連載小説『君の瞳に映るのは僕一人』

　　　１

　明日から仕事だ。嫌だ。どうなることか。なあ、助けてくれ。
なんでこんなに悲惨な人生送らないといけないんだよ。ハードな仕事しかしたことねえよ。
低学歴だからさ。工場ばっかだよ。俺は肉体労働苦手なんだよ。けっこう貧弱だからな。
なんで俺だけこんな人生なんだよ。なんでなんだよ。
　/ばっきゃろう甘ったれてんじゃねえよ。
　うるせえな。俺の境遇じゃねえからお前はそんなこと言ってられるんだよ。馬鹿はお前なんだよ。
頼むから、目を覚ましてくれ。これは悪い夢なんだろ。俺は世界で一番えらいはずだ。俺は世界で一番えらかったんだ実際に、十代のころは、
そう信じていた。何の根拠もなくさ。

罧はショーペンハウエルファンではなかったのか？　
彼は人生は苦痛なものだと書いていただろう。

あ、小説だったのか、ごめんごめん。

　/この前『ららららぶそんぐ』てスレ立てたばかりなのに、よくまたスレ立てられたな。
そうだ。俺も意外だ。２ｃｈに文章書くことしかできねえよ。働き出すと、まとまった小説かけなくなんだよ。
推敲とかできねえんだよ。疲れてな。何も考えずにかきっぱなしするしかなくなんだよ。２、３枚のSSも書けなくなんだよ。
俺、本質的に馬鹿だからさ。小学生のときも、作文の時間一人だけ2ヶ月たっても原稿用紙一枚の文章を完成させることできなかったしさ。
　/絵里子ちゃんいたよな。
　うん。いたいた。あの子、絵を描いてごまかしててずるいと思ったよ。そんなことはどうでもいいんだけどさ。
人生ってなんだろうか、と、考えたらやっぱり結婚して子供を作って、子孫繁栄をめでるってことなんだと思うんだよ。
でも、俺の場合その可能性は完全にたたれてるって言っていい状態なんだ。そんな状態なのに生きてても意味はないんじゃないだろうか。だろうか、じゃなくて、ないんだよ。

　生物としての人間、ヒト全体として見れば、子孫繁栄を人生の目的と言える。
目的と言うよりも、むしろ、終わることのない労働だろうが。

翌朝俺は工場に出勤途中、事故に遭った。結果、顔の形が変わって手と足を１本ずつ無くした。あれほど工場で働きたくなかった事が今となっては懐かしい思い出だ。

すずき、ＰＲＥＡ！