あなたの文章真面目に酷評しますPart28

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936名無し物書き@推敲中?
午前二時だというのにくそ暑い。トレントと<エッジ>のバックルームにいる。
 俺のサングラスを試しているトレントに帰りたいとぼやくと、二、三分したらみんなもう帰るという。
ダンス・フロアの音楽が大きすぎて、
一曲終わって次の曲がかかった瞬間ドキッとする。
レンガの壁に寄りかかると隅の暗がりでは、坊やが二人抱きあっている。
俺がいらついてるのを見たトレントが声をかけてくる。
 「俺にどうしろっていうんだ?ルード(クルエード、鎮静剤、催眠剤)でもやろうか?」
 トレントは菓子のペッツの容器を取り出すと、ダフィ・ダックの頭を後ろに倒した。
俺が無言でペッツの容器を見ているので、容器をしまったトレントは、それから首をひょいと斜めに伸ばして「あれミュリアルじゃないか?」とつぶやいた。
「ちがうよ。あれ黒人だぜ」
「ああ、そうだな」
 沈黙。
「女でもないや」
何でトレントは拒食症でもない十代の黒人の坊やを、ミュリアルと見まちがったりするのだろう?
よく見たら、その坊やはドレスを着ていた。
トレントの顔色を見ながら、もう一度「帰らなくちゃ」とつぶやく。
「そう、みんな帰らなきゃいけないんだ。同じこと何度もいうなよ」
トレントがそういうので仕方なく自分の靴を見つめていると、今度は「文句が多すぎるんだ」といわれる。ぼんやり靴を眺めていた俺がペッツの容器を見せてくれといいかけた時、トレントが「わかったよ。ブレア見つけてこいよ。行こう。帰ろう」といい出した。
937名無し物書き@推敲中?:2005/06/23(木) 00:42:15
 メインルームには戻りたくないのだが、メインルームを通らずに外へは出られない。まずダニエルが見つかった。
<HEAVEN>の文字の入ったすそを短く切ったTシャツに、白黒のミニスカート姿の陽に焼けたかわいい娘と話している。帰ろうよというと、
こわい顔で「ふざけるな」とどなる。やっと腕をつかまえて飲みすぎだぞというと、「ダニエルは冗談だろ」というなりすばやく、娘のほっぺたにキスをし、
俺たちの後について出口に歩き始めた。ブレアは出口でU・S・Cの奴と立ち話をしていた。
 「帰るの」ブレアがきいてきた。俺は「そう」ち答えながら頭の中では、ブレアはどこにいたのだろうと考えていた。
 外へ出ると夜だというのに暑い。「ねえ、楽しかった?」ブレアがきいたのに誰も返事しない。ブレアもそれ以上何もいわず下を向いてしまった。
トレントとダニエルはトレントのBMWの前に立っている。グルーブボックスから《アズ・アイ・レイ・ダイイング》のアンチョコを取り出してブレアに手渡す。
さよならのあいさつをすませると、みんなで酔っ払ったダニエルを車の運転席に座らせる。
ダニエルの代わりに誰か運転して、家まで送った方がいいとトレントがいい出したが、送れば明日迎えに行くことになって、
かえって面倒だということで結局ダニエルが運転することになった。俺は車でブレアをビバリーヒルズの家まで送って行くことにした。
 黙ってアンチョコをいじくりまわしていたブレアが突然口を開いた。「畜生!何で黒いスタンプなんか押されなきゃならないの。落ちやしないわ」
と入場券代わりに手の甲に押されたスタンプをこすりながら怒っている。
それからブレアが四ヶ月もいなかったのに一度も電話をくれなかったのね、とせめるので謝る。明るすぎるハリウッド大通りを避けて、サンセット大通り経由でブレアの家のある通りに出る。
 車寄せに乗り入れてキスをした。ブレアは俺のこぶしを見て「真っ赤じゃない」といい残すと車から出ていった。ブレアにいわれてハンドルを力一杯握りしめて運転していたことに気づいた。