1 :
名無し物書き@推敲中?:
タイトルだけ考えました。
>>2以降、登場人物の設定から順番に考えてください
これは私が責任を放棄したわけではなく、みなさんで作って行きたいからです
私が登場人物を1人考えても良いのですが、日本名、海外名、又はファンタジー的な異世界の名前等、一人目を考えてしまうと世界観が限定されてしまいます。
ジャンルも特に限定はしません。
ただし、18禁的表現は無しにします
自由度の高い、作者も楽しめる作品にしましょう
#スレ立て#
本編の主人公。糞スレを立てることに情熱を燃やす真性基地外。
うぬぼれが強く、自分のセンスが優良であると信じて疑わない。
3 :
1 ◆AVMlW3FCkY :04/09/27 01:39:59
真面目に書いていない人はスルーでお願いします
人物、その他設定が揃えば、私が本編開始を決定します
sage忘れましたスイマセン
では、名前だけ抜きで設定決めます
【名前未定】
21歳 男 O型
本編の主人公。冷静沈着、無口な男。
自分の障害になるものは全て消去しようとする。
大雑把な性格。
適当ですが、↓以降、真面目にお願いします
>>1本人がグダグダな上に、他人には真面目にやれってか……
>適当ですが、↓以降、真面目にお願いします
面白いこと言うね。それに
「僕が作ったルールに皆さん真面目に参加して下さい」って言われてモネ
>>5 確かにグダグダかもしれません。では、あなた自身はグダグダではないのでしょうか?(別に喧嘩を売っているわけではありません)
>「僕が作ったルールに皆さん真面目に参加して下さい」って言われてモネ
ルールなどほとんど存在しません
『創作文芸板に居る人でこのスレに参加した皆で作っていく』という事と、18禁禁止。だけです
ですので敢えてリレー小説ではなく、合作小説という形にしました
7 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/27 02:26:08
終了
8 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/27 03:08:20
【名前未定】
27歳 女 A型
温和で前向きな性格。職業は図書館司書。
主人公のトゲを抜くような感じでよろしく。
こんな感じでいい?
9 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/27 03:20:50
【名前未定】
31歳 男 A型
スイミングクラブのオーナー。
同性愛者。
エイズキャリアで余命半年。
【名前未定】
20歳 男 O型
地元大学のUFO研究サークル代表。
捏造写真をつくらせたら右に出る者はいない。
11 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/27 09:44:18
【名前未定】
55歳 男 O型
大学教授。心理学を受け持つ。
サド。
【名前未定】
17歳 女 B型
自然発火能力を持つESP。
マゾ体質。
【名前未定】
10歳 雄犬 土佐犬型
人語を解するが話すことはできない。
いつもイライラ。
【名前未定】
16歳 女 A型
生き別れた弟を捜して旅をしている。
一途だが視野が狭い。
【名前未定】
32歳 男 A型
いつも霧の湿気にむせ返っている男。
ぜんそく持ち。
17 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/28 02:45:04
18 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/30 03:24:12
【名前未定】
22歳 鳥 飛行型
平和保護管理局員
頭にちっちゃいゴーグル
じゃあ、名前考えちゃうよ。
田中 志朗
主人公でも脇役でも、何でもいいのでよろしく。
マーヴェラス麻子
スクエア・キュービック
堅い役でよろしく。
;'゙'゙;'゙'゙
霧の住む町サイレントヒル・・・・・
,,;:,、,;
;'゙'゙;'゙'゙
;'゙'゙;'゙'゙
;'゙'゙;'゙'゙;'゙'゙
;'゙'゙;'゙'゙
;'゙'゙;;'゙'゙;'゙'゙
がんばれ1、とりあえず冒頭だけでも見てみたい。
>4 原田 重行 はらだ しげゆき
>8 末永 今日子 すえなが きょうこ
>9 大森 雄大 おおもり ゆうだい
>10 三上 利明 みかみ としあき
>11 仙田 宏隆 せんだ ひろたか
>12 小宮 薫 こみや かおる
>13 マックス
>14 明峰 悠 あけみね ゆう
>15 田中 志朗 たなか しろう
>>19さんのを使用。
>18 Mo-151A. もう-いちごいちえ。 コードネーム風に。
参考にでもしてみてください・・・
>>26 いいじゃん、いいじゃん。
>18コードネームって、何者だよw
>>1 最低限ジャンルだけでも決めてもらわないとキャラクターも設定も書きようがありません。せんせー。
題名から見てミステリーっぽいですよね。
登場人物が結構いるから、
いろんな視点のストーリーにしてみてはどうですか?
「霧のない世界」に興味を持ったのは、いつからだろう。
青い青い空―
社会科の教科書には詳しく書かれていないけど
情報と通信が発達し
さらさらした服と
植物の生い茂る、奇跡の世界。
>>33 雰囲気出てますねー。 もう書いちゃっていいのかしら・・・
いつか私も行ってみたいものだ。
こんなむせ返るような町では考えられない環境だ。
この町は霧に煙っていた。
単に湿度が高いわけではない。
もっと重苦しい何かが、常に漂っているのだ。
人々はもうなれているのだろう、何も言わない。
いつからだろう。
この町が、霧に支配されてしまったのは。
少なくとも、祖母が子供だった頃には、この町からも青空が見えた。
いや、見えたらしい、と言ったほうが正しいのだろうか。
僕が物心ついた時にはもう、この町は霧で煙っていたのだから。
空を見上げる。
そこにはただ、果てしない灰色がゆらゆらと蠢いていた。
>>33-34イイヨイイヨー。
駄文ですが続けさせていただきました。
方向性はミステリー?
>>1さん見てるかすら・・・
登場人物は
>>26で、
ジャンルはミステリーってことでよろしいですか?
今冒頭部分みんな書いてますが、
終わったら細かい設定考えていきましょうよ。
現在自分の作品ネタ切れ中。刺激を求めて参加します。
時折吹く風が道路に光の影を落とすばかり。
それも、一日に一回見れるか否か……。
旅人は言う。
「神秘と幻想の街だ」
だが、街の人々は皆、その言葉を陰鬱な表情を浮かべながら受け取る。
ミステリーっていうと、殺人事件とかを思い浮かべるんだが。
それってリレー形式だと難しくないか?
39 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/03 10:20:42
なんか進んでるー
霧って心理的なもんじゃなくって物理的なものなん?
物理的なものだと思ってるんだけど。
「霧に煙る町」だぞ
心理的なもんじゃないだろう
ロマンチックな奴だな
42 :
242:04/10/03 13:03:11
どこと問わず、体中を湿気が舐める。町の中で帽子を被るのは住人の常識だった。
湿気が毛髪を弄ぶ。目深に被られた帽子。
住人たちはけっしてお互いの顔を長くは見つめようとしないのだった。
霧の中に含まれる何かが人の恐怖を膨らませる。誰が言ったか知らないが、
それは事実として受け入れられていた。
霧が町に棲みつき始めた昔、今はいない町の先人は膨らんだ恐怖のままに
隣人を、愛するものを互いに殺し合った。
それからだ。それから今も住人は霧を恐れ、人を恐れ、何より、
いつ膨らむとも知れぬ自らの心に恐れている。
序文を読んでみると
物理的な霧が人々に心理的な影を作っているようだね。
よそ者である旅人にとっては「神秘的・幻想的」な不思議な町。
でも人々は賛同できないってわけだ。
霧の正体が何ものなのか、自然現象なのか、別のものなのか
それが気になるところだ。
フェザーたんハァハァ
すいません、ちょっとパソコン出来ませんでした
これほどのたくさんの書き込み、ありがとうございます。
文章が集まれば、別ページにてまとめて行きます
ここはサイレントヒルの同人小説をうpするスレになりますた。
>>43 私が想像している霧は、
何かボスのようなものがいて、それが霧を生んでいるという・・・
それの謎を追う
>>26がいて、
彼らは様々に行動するんだけど、
やがて一つに行き着いてしまうって感じなんですけど。
>>30にも書いたとおり、いろんな視点から書いていきたいですね。
48 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/03 17:00:15
となると、やはりジェイムズは欠かせないと思う。
あと電動ノコギリもね。
>1殿
大変でしたね。お待ちしてました。
大まかな設定を決めたら、
ひとりひとキャラ持ってそれぞれ書いてみたらどう?
面白いかな〜って思ったけど、やっぱグダグダになるか・・・。
すまん俺(↑)は別の1です。申し訳ない。
担当を決めて書く。という方法ですか
いいかも知れませんね
>>33-35 かなりイイですね
昔、街外れに住む年寄りがぼやいていたか。
「光なんぞ意識していなかった」
光?光って何だ?
その時はそう思っていたが、今となってわかる。
光とは、この街に無いもので、外の街にあるものだ。
誰が言ったのかはもう忘れてしまった。
「盗まれた物は奪い返せば良い」
その場にいた友人達は、何も言わずに頷いた。
セーブポイントの赤い紋章マダ〜?
54 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/04 00:43:50
55 :
ミステリ罧イカ原堤 ◆mm/T2n8mWo :04/10/04 00:48:25
霧は俺も使ってるんだけどな。今書いてる小説で。幻想小説書いてたらみんな使うだろ。なんでこんなかぶるようなショーもないことスレ立ててするかなこいつら。馬鹿じゃないのか。
バツイチで子供が二人いるギャグ的な腐女子も必要だと思う。
書き始める時に主要登場人物の中に必ず入れるからそのつもりでよろしこ。
58 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/04 01:10:15
質問です。町の名前はあるのですか?
おいおい、サイレントヒルか羽生蛇村のどっちかに決まってるだろ?(禿藁
ふり解けないもの
染み入ってくるもの。
そして、どうしようもないもの。
確実な悪でなく、確実な嘘でもない
そんな人のいやらしい部分のような霧。
全てを晒し出したい
つきつけて、焼いてやりたい
少年のような探偵だった。
つまさきを立てて
その向こうに近づこうと、鼻先を上げる。
打ち上げられた発光灯が
頭上を追いぬいて、夕霧空を鈍く灯し始める
―嘘の向うも嘘か。
依頼者は 末永 今日子という。
少し違う日本
心幼い探偵と
霧の町で起こるミステリ
そんな雰囲気で捉えてみました。
1話につき、嘘をもった依頼者1人でもいいかもね。
オールスターで登場させると、風呂敷広げるのは簡単だが
結んでく時かなり強引にしなきゃならんし。
ショートショートな展開に期待。
探偵は3に出てきたよな、車でヘザーとサイレントヒルに行く男。
エンディングで殺したり殺さなかったりで分岐するのをちゃんと取り入れようぜ(藁
64 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/05 04:10:33
>>60 つうか、意味分かんないんだけど
何が書きたいのか噛み砕いて説明してくれますか?
65 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/05 14:28:03
もうすぐ霧に煙る町につくよ
大橋巨泉が愛した霧の町に
さぁ行こう
66 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/05 14:30:40
今日子は達夫の胸に数かぎりなく
ベーゼを貪った
(´д`;)定期的にサイレントヒルが出てくるのは何故でしょうか?
>>60の続き書いちゃいますが・・・。
「私を・・・助けてください」
ふいに、彼女はそう言った。
霧のように暗く沈んだ彼女の顔は辛うじて、
美しい鼻梁と唇、そして長く反り返った睫を示していた。
「ぞうぞお話ください」
長い沈黙の後、今日子は泣き出してしまった。
そのとき、涙に吸い寄せられるように霧が薄まっていくのを見た。
―――このまま泣かせておいた方がいいのかもしれない。
私は小さな革張りのソファ立ち上がると、
しゃくりあげる声を聞きながら、コーヒーを淹れはじめた。
カフェインが効いたのか、霧が消えていったのか、
少し落ち着いて、今日子は話し始めた。
「両親が・・・お互いに、殺しあったんです・・・
・・・霧が、霧が家の中に入り込んできたんです!
父と母を取り巻いたかと思うと、もうその時には・・・・・・」
それは、この町に漂う重苦しい霧だった。
「霧が家に・・・信じられない・・・」
この町では、除湿機を常時付けておかないと、
食物は黴に覆われ、洗濯物は湿気を帯び続ける。
今や、除湿機の需要は町でも一番である。
そんな家に霧など・・・入るはずがなかった。
「霧は、父と母から離れると私に向かってきたんです。
外に出ると襲い掛かってきそうで・・・ここまですごく怖くて・・・」
また、泣き出してしまった。
「お願いします、助けてください・・・」
今回は、大仕事になりそうである。
↑ちょっと無理矢理だったな・・・。
スルーでかまわないので。
このスレ自体スルーされてるのに気がつこうよ・・・(笑
あまり関係ないが、俺の部屋は早朝、マジで霧が張っていたことがある。
いやー、華々しく終わったね。
なんにも始まらないうちから(笑
ツインボーラー連射!!
/\___/ヽ
__,、 ≡ /'''''' '''''':::::::\
〃ニ;;::`lヽ,,_ ≡ .|(●).,----.(●)、:|
〈 (lll!! テ-;;;;゙fn __,,--、_ . | ,,ノ(、_, )ヽ、,, .:::| ≡
/ヽ-〃;;;;;;;llllll7,,__/" \三=ー"."| `-=ニ=- ' .:::::::|' ≡
>、/:::/<;;;lllメ \ヾ、 ヽTf=ヽ \ `ニニ´ :::::/
j,, ヾて)r=- | ヾ: :ヽ;;: | l | l `ー‐--‐‐―\ ≡
,イ ヽ二)l(_,>" l| ::\;:: | | | ヽ,,-‐、i' / V
i、ヽ--イll"/ ,, ,//,, :;; l // l く> /::l"'i::lll1-=:::: ̄\
ヾ==:"::^::;;:::/;;;;;;;;;:::::::::::::: :::::ゞ ノ/ L/〈:::t_イ::/ll|─-== ヾ
\__::::::::/::::::::::::_;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ ヘ >(゙ )l:::l-┴ヾ、ヽ )
 ̄~~ ̄ ̄/ :::|T==--::::: // / ト=-|:|-─ ( l /
/ :: ::l l::::::::::::::::::/ /:::::::::::/:::::(ヽ--─ / | /
ヽ_=--"⌒ ゙゙̄ヾ:/ /:::::::/:::::::::`<==-- ノ / /
板全体が固まったな・・・。
75 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/09 09:29:30
晒しage
(´д`;)パソコン禁止命令が・・・
納戸氏
上手いですね。(´д`;)続きを考えるのは気が引けます・・・
田中 志朗は、末永 今日子の言うことなど一言たりも信じてい
ず、内心思うことはどうやってこの狂人を追い返すことができるの
だろう…ということだった。
近頃のテレビが探偵を華々しくかき立てたためか、探偵はまるで
殺人事件から不思議な現象を調査する何でも屋のトップレベルに位
置するような職種と思われているらしい。
だが違うのだ。探偵はこそこそと嗅ぎ回るいうなればたれ込み屋
なのだ。そして、人のいやな部分を見つめるだけの嫌らしい監視人
なのだ。探偵は事件を解決しない。隠されたことを露呈させますま
す事態を複雑にするだけだ。
そんなことを知らなかった24歳頃の田中 志郎は探偵こそ人を救
う最高の職種だと勘違いして仕事を始めた。今は…もうそんなこと
は思っていない。
「末永 今日子さん、でしたか…警察に行かれた方がよいでしょう。
私は探偵です。探偵以上ではありませんよ。何かを調査するので
あればご依頼を引き受けましょう。かりに人が死んだのであれば
警察の仕事です…」
末永今日子は、なにを言われているかわからない子供のようにぽ
かんと口を半開きにしながら聞いて…いや理解できなかった。
「そんな…霧が…人を殺したなんて…警察が…信じるわけ…ないじ
ゃない…私…親殺しで捕まっちゃう…」
「それでも、警察に連絡するのはあなたの義務です。そして、現実
はあなたの両親が死に、あなたは今警察へ頼る必要がある。ただ
それだけのことです。…私が電話をしましょうか?」
「え、え?」
田中 志郎はここで彼女が逃げ出すものだと思っていた。こうい
ううそつきにはこれぐらいがちょうど良い。
原田重之は図書館で程良い眠りをむさぼっている。暖房が効き、
湿気も少ないこの部屋は寝るには最高だと毎日のように思っていた。
原田重之は大学一年生。ようやく解放された受験の嵐と昨日の合
コンから来る開放感と疲れから、ぐっすりと眠るには最高の体調だ
った。そんな眠りをじゃまするように、頭に軽く拳が落ちてきた。
「原田君。いつも行っているんだけど、ここは君のベットじゃない
んだよ。」
「松田さん…いいじゃないっすか…寝る」
「こーら。寝るな。もう閉館なんだよ、さっさと出ていきなさい」
「…ふぁ〜い…」
原田重之は寝ぼけ眼で周りを見ると、周りには松田さゆりが立っ
ているだけだった。
「あれ…末永さんはぁ? 今日休み?」
「さぁ? 無断欠席したのよねー末ちゃん。おかげで緊急かり出
しされちゃったんだよ。あとで何かおごってもらおう」
「へぇ…昨日合コンであんなに楽しんでいたのに、末永さんもしか
して二日酔いってやつ?」
「末ちゃんに限ってあり得ないしょ。一升瓶一気のみができる女は
末ちゃんだけだよ?」
「…まぁ〜たしかに」
「そろそろ帰るよ。原田君」
>>77-79 上手いですね、続けてみます。
志朗が促しても、今日子は警察へ行こうとはしなかった。
ただじっと、手の甲にしずくをぽたぽたと落としながら、
ソファに座っているのだった。強く、美しい顔をしている。
「末永さん、ちょっと待っててください」
志朗は、通報するつもりだった。
彼女の言っている事が本当なら、これは一大事である。
もしも嘘なら・・・彼女は捕まってしまうだろう。
志朗にとって、そんな事はどちらでもよかった。
とにかくこの女に出て行ってほしい・・・
ぷるるるる・・・
今日子は、志朗が受話器をとったのを見て、
とうとう出て行ってしまった。とぼとぼと重い足取りだった。
やれやれ・・・おっと電話の相手が出てしまった。
「もしもし、東地区の末永今日子が不審な動きをしている模様。
私は田中探偵事務所、田中志朗」
・・・警察に電話など、するわけがない。
文章の癖が全く同一だな、しかも上手くないし(笑
ここは往生際の悪い
>>1が自作自演でサイレントヒルの同人小説を批評するスレになりますた
探偵が嫌らしい監視人だと言った理由を教えよう。
「了解いたしました。ただいま情報を受け取りました。あなた様の
ご協力に感謝いたします。また、ご必要な情報がありましたら。
探偵総合情報エージェンスにご連絡を…」
田中 芳朗は最後まで聞くことなく受話器をおろす。事務所の窓
から、外を見る。灰色の霧の中かすかに街灯と信号機の点滅が見え
る。
それを見ながら探偵業界がいかに変わっていったのかを思い耽っ
ていく。開業当時は確かにリュウ=アーチャーのように殺人事件を
請け負ったことがあった。薄暗いバー、命スレスレの戦い、大企業
との葛藤。
だが、いつの頃からだろう。どんな仕事も誰かに先回りされるよ
うに解決されていった。そして、それより遅く解決する田中 芳朗
は当然のように仕事がなくなっていった。
仕事がないということは自らが思っていたような正義も果たせな
い…そこに現れたのが探偵総合情報エージェンス。
彼らは金ですべてを解決するエリートだった。そして、世間の情
報をいかに仕入れるのかを当時は一番力を入れていた。それが独立
している探偵達へ仕事を割り与える…つまり下っ端になれというこ
とだった。与える代わりに仕事の経過を報告しろ、さもなければ仕
事はない。
はじめは抵抗した。自由と独立を奪われるなんてたまったもので
はない。だが誇りでは飯を食えないことも思い知らされた。仕事が
ない状態が半年も続き、蓄えは底をつき、酒の最後の一滴を飲み干
したあと…探偵総合情報エージェンスに金の無心をした。
よくある負け犬の物語だ。
今は飼い慣らされた負け犬の物語が続く。
事務所の扉をノックする音が聞こえる。午前中は予約を入れてい
なかったはず…田中 芳朗は、どうぞ、というと肌の浅黒い白髪の
中年がこれまた白衣を着て入ってきた。
事務所の扉をノックする音が聞こえる。午前中は予約を入れてい
なかったはず…田中 芳朗は、どうぞ、というと肌の浅黒い白髪の
中年がこれまた白衣を着て入ってきた。
「やあ。芳朗君。喘息気味なのを表すような青白い顔は相変わら
ずだね。君のような負け犬がいつまで立ってもこのしめった事務
所で昔を懐かしみながら1秒ずつ過ごしているなんて実にお似合
いですばらしいね」
「仙田先生。相変わらず皮肉は変わりませんね。で、なにのご用
ですか?」
「君の過去の傷を弄りにね。やれやれ相変わらずエージェンスとは
おつきあいが長いようで」
「全然信じませんよ。学生時代の時から本当のことなど言わない人
だったじゃないですか」
「全く君といったら、世界はサドとマゾしか居ないことをいつも
認めはしなかったから…」
「先生。サドとマゾはご自分の趣味で遊んでいてください…私が
大学にいたときからその趣味は変わっていないんですか。で用事
がないならかえってください。午後から仕事なんです」
仙田宏隆は事務所のソファに座り込むと困ったように話し始めた。
「小宮薫という女子高校生をつれてきてほしい」
「…あのですね。失踪人は警察の…」
「失踪人ではない。女子高校生と言っているだろう? 私のところ
へつれてきてほしい。…同意は簡単に得られる」
「ものすんごく怪しいですよ。やっかいなことを頼もうとしてい
ませんか?」
「なに。気にすることはない…羞恥プレイをするから君に視姦し
てほしいだけだよ。…彼女はマゾだからな」
「先生。…そりゃ男として一度は希望したいんですがね…」
「なに、君もマゾだからマゾ同士高めあってくれれば良いんだよ。
さて、二日後に十三ビルの12階にいる彼女を、大学の私の研究室
まで連れてきてくれ」
仙田宏隆は白衣を翻すと立ち去っていく。田中芳郎はあきらめた
ようなため息をはいた。事務所の扉が閉まると同時につぶやいた。
「負け犬とマゾか…」
ソファに沈み込み
天井でゆっくりと空気を攪拌しているプロペラを見つめる。
少なくともあの博士が持ちかけてくる依頼は
玉砂利のなかに落とした記念硬貨を探してくれだとか
野良猫がじゃれてる最中にどこぞへ消えた義眼の行方を追って欲しいだの、
探偵頭脳を駆使するでもない仕事ばかりだ。
どうせ今回もまた、くだらない割りに労力を食うような
それこそ探偵エージェント方じゃ箸にもかけない様な類だろう。
断ってしまえばいい。が
もう相手は云うだけ云って霞の向こうだ。
黒塗りの丸テーブルにはさりげなく茶便箋が置かれている。
―さっきの女。末永今日子に比べればずいぶんと準備がいい
呪いの言葉を吐きつつ油紙の留め紐をほどく。
―沈痛な面持ちが脳裏をよぎる。怯えてもいたか
まとわりつく思考を振り解くように開くと、
数枚のビニル札と簡単な地図が、そっけなく顔を覗かせた。
末永今日子は霧の煙る町をただ当てもなく歩いていた。ぼんやり
とふらふらと町を歩いていく。ただどこに行くのかもわからないま
ま歩く。
末永今日子の頭の中には、両親が霧の中に埋もれるように死んで
いた光景が繰り返し繰り返し再生されて、再生されすぎて曖昧だっ
たところですら自分の思いこみが記憶の細部をしっかりと補強して
いき…今では手を伸ばせば触れられるのではないかと感じていた。
両親の死の記憶はつらい。だが、思い出してしまう。歩みは次第に止まり、ぼろぼろと
大粒の涙を流す。
(おとうさぁん…おかあさん)
両親が死ぬ記憶がこぼれでる。最初に思い出すのは私の両親にとって最愛の子の名を叫び
ながら霧の中で埋もれている。両親。
「今日子っ…にげるぅんん」
そうやって白い霧が赤い霧に変わる。
(え…え…)
今日子の眼前で両親が霧にまみれて弱々しくなっていく声で叫ぶ。今日子は何が起きてい
るかわからず今でその光景を呆然と見つめる。
家の居間が赤で染まる。両親の声はもはや聞こえず赤の中で棒がゆらゆら立ち上がってい
る。それをみたら、両親が昔赤トンボというものを見たがっていて絵にまでしたのを思い
出した。もっとも、中学生の夏休みの研究課題で遊ばないでよ、と怒った。なんだかバカ
にされたみたいだったから怒って怒って、すまなそうに寂しく笑う両親が
「おとうさんっ…おかあさんっ」
今日子はただ叫んだ。ぼろぼろと涙がこぼれた。耳に空耳と思えるほどのかすかな声が聞
こえた。
"ごめんね……げて"
今日子は夏のことが頭に回りながら、あのときと同じように家をかけでていく。ただ違う
のは、この家には戻れないと言うことだった。
霧に煙る町さんは1さんなのかな?
この人の連続書き込みで一気に世界を決めてしまってるけど・・・
>>90 すいません。1さんじゃなかったりします。…DAT落ちするんだからこっそりと地下スレしようかなぁというぐらいしか思っていませんし、設定もだんだん無視して逝っているような気がします。こ、これでもがんばって沿っているつもりなんですがw
>>91 設定するだけして、あと面倒な辻褄合わせ誰かやって
というのでなければ大丈夫かと。
読んでないけどおれの生み出した
>>10のキャラは
もうステキなガールをピンチから救い出したか?
>>93 まだ使ってませんが・・・・上の方ででてきたキャラを固定として全員使うつもりです。
末永今日子をじっと眺めている鳥が一羽いる。雀とよく似ているが、頭には小さなゴー
グルをかけている。何かカムが引き締まるような音が鳥の中から聞こえる。
瞳が末永今日子をとらえると赤く明滅する。ただの鳥ではなさそうだった。
そしてその鳥は、ふわりと飛び上がりなき続ける末永今日子の肩に乗る。
「よぅねえちゃん。こんなとこでグダウダ泣いてないで立って警察にいきな。あんたはも
う囲まれテンダヨ」
「…はあっ!?」
末永今日子は泣くのも忘れて肩に乗った鳥を見つめる。
「おっと、紹介をわすれちまってたな。俺はMo-151A. 製造番号143576678。監視型飛
行機械だ。こうやって日時平和のために町を監視している。ま、もっとも犯罪をしねえ
奴には関係のない話だがな。嬢ちゃん、あんたは重要度の高いしかも諜報防止のために
通信まで制限して保護される人物としてしていされてやがる。さあ、しちめんどくさい
しめったれたはなしはここまでにしてとっとと、警察に行こうぜ。」
「は、はあ?」
「さあ、ここから右の路地に曲がってうっとうしい奴らを巻こうぜ。嬢ちゃんのんびりし
ているとしんじまうしな」
末永今日子は後ろを振り向くと濃厚な霧の中に何人かの人影が見える。
「し、ぬ?」
「いいからさっさと逃げろ!」
霧の中から大人の黒い手が飛び出す、今日子の肩をつかむ。今日子を確保しようと霧の
中に引き込もうとする。今日子が本能的に男の手だと感知をして、何をされる分からぬ恐
怖に叫ぶ。
「ひぃやぁっ! いやぁあ!」
今日子の振り思わぬ行動に驚いた黒い手が肩から外れてしまう。その隙に転がるように
駆け出す。
「嬢ちゃんこっちだ! 右へ曲がれ!」
訳も分からず霧に巻かれた路地の中に声に導かれて駆けだす。ところが300mも行かない
うちに何か柔らかいモノが体にぶつかってきて、今日子はバランスを崩してしりもちをつ
く。柔らかいモノが怒りの抗議をあげる。
「どこみてんだ! このバカ!」
「ご、ごめんなさ…原田君?」
末永今日子の目の前に現れたのは原田重之だった。
「末永さん? なにやってるんすか…?」
「そ、そんなことどうでもいいの! 変な人が私を追ってくるの!」
原田重之は末永今日子の後ろに突如として現れた黒い人影を呆然と見つめていた。
原田がとるべき行動はたった一つだった。右拳で男を殴りつける、シンプルな一つ。体
を回転させ、右手を握りしめ、男のあごの部分に全力を込めて突き上げた。確かな手応え
が手に伝わる。
が、次の瞬間原田は地面が非常に近いことに気がつき顔面から地面にたたきつけられた。
次に伝わるのはどこからくるのか分からない激しい激痛。口の中にあふれる鉄の味。
「がっ! はっ!」
その痛みを完全に感じる前にみぞおちにその何倍もの痛みが突き刺さる。
「げっ! がっ! ぐぅっ…」
原田は何もできずにただ悶絶することしかできなかった。どこか遠くから鳴き声が聞こ
える。遠い記憶にあるどこか知らない場所での女の子の泣き声を思い出していた。その泣
き声が高まると、思い出される記憶に埋もれるように意識を失っていった…。
――――それは、霧の中の記憶――――
小学生1年の夏休みだったと思う。ある夜―――祖父がこんなことを言った。
"光なんぞ意識していなかった…なぁ重之、この霧はわしらのせいなんじゃろうな。大
気を汚してしまった人間への復讐なんかもしれん…いずれ人は消えるべきなんじゃろ…"
祖父は家の眼前に見える霧を眺めながらお酒を飲んでいた。僕はなんだか難しい言葉が
並べられたのと、祖父に何か別の悲しそうな顔が見えたのをみて心配になって聞いてしま
った。
"じいちゃん。なにかあったの?"
"なんでもない…"
祖父は家の庭に目を向けた。そして、お酒をあおるように口に流した。
"じいちゃん。女の子が泣いてるよ?"
"ん…?"
"ほら、あそこ…"
霧がその場所だけ晴れていくようだった。晴れていく場所にお下げの女の子が泣きなが
ら泣きながら歩いてくる。
――――それがすべての起点だった――――
あげ
クソスレageんなクズ(藁
「……まったく…仙田先生もこんな事…自分でやればいいのに」
田中 志朗は十三ビルの前にたっていた。片手には仙田 宏隆がおいていった地図があ
った。
「これが十三ビルか……ビルと言うより、元ビルといった方がいいかな」
ぼろぼろに穴のあいた筒が空に向かって起立している――――――それが十三ビルの外
見だった。"立ち入り禁止"の看板はぼろぼろになっており、ビルオーナーはもとよりここ
を管理している不動産屋が果たしているのかどうか怪しいような気がした。
「ここに…二日後にマゾの少女が現れるとはね、幻想的というかばかばかしいという
か。…まぁ、その事前調査に来ている自分もどうかとおもうがな…」
そんなことをつぶやきながら、十三ビルの中に入る。真っ正面に見えるエレベーターは
当然壊れているので12階の様子を見ようと思えば非常階段を上がらなくてはいけないよう
だった。
あたりを見渡すと、電気の切れた非常階段表示がうっすらと見える。田中 志朗はサー
チライトをつけると非常階段へと向かっていく。
非常階段は外見とは予想を反してまだぼろぼろではなかった。下へ降りる階段と上へ上
る二つの階段がある。田中は手帳を取り出し、ビルの構造を簡単に書き記すと上へ上へと
のぼり出す。
じめじめとした霧と薄暗い階段の中、田中は足下を確かめながら上へ上へと上がってい
く。6階…7階…8階…9階…10階の非常階段まで上がりきったところで、さすがに疲
れて踊り場で立ち止まる。
「…ふぅ。ったく…昔は何でもなかったのになぁ…ん?」
非常扉のなくなった10階の億で何かが横切った気がした。
田中は懐からスタンガンを取り出す。
呼吸が音を立てないように静かに吸い込む。
背を低くしながら、霧が立ちこめる部屋にじっくりと足を進める。
近くで
音が、した。
何か水を流すような、そんなかすかな音。
(こちらに…気づいていないのか…)
そんなことを思い、スタンガンを握りなおした瞬間、何か柔らかい大きなモノと冷たい
水がぶつかる。
「ひゃぁっ…ふぁっ」
大きなモノは嬌声をあげて田中の体ごと地面に倒れる。
田中が次に認識できたのは冷たい水が部屋中に飛び散っているのと、その水にかかりな
がら嬌声をあげ続ける10代ぐらいの裸体の少女だった。
「ん…はぁ…水いやぁ…んぁっ…」
長ったらしい黒髪が青白い体を覆いながらよがり狂う。水が体に触れるたびに嬌声をあ
げる。片手には白いホースを握り細かく震えを刻む。
「お…おいっ!」
「ぁん…」
少女の手からホースを取り上げ、それが火災非常用のホースであることに気がつくと、
それを取り上げる。
少女の目がこちらを恨めしげにのぞき込んでいることに…田中が気がつくのはそのすぐ
後だった。
こちらをにらむ裸体の少女とそれにあっけを取られる中年男性。
新聞記者がみれば「レイプ事件に出会ってしまった中年男性!」いや、戦場報道マンが
みれば「戦場の悲劇」とでもテロップを出すだろうか。
「…後ろ向いててよ。変態」
裸体の少女から吐かれる台詞は恥じらいといよりは相手をなじる台詞だった。田中は何
も言うことができずに相手が言われるままに後ろを振り向く。
「向いていいよ。オッサン」
田中が振り向くと近くの高校の制服を着た少し鼻が大きな、きれいというよりは元気い
っぱいという言葉が合いそうな少女が相変わらずこちらをにらむ。
「…で、オッサン。こんなとこでなにしてんの?」
「…それは俺がもっとも聞きたいことなんだけどな。君はこそこんな廃ビルで何をやっ
ているんだか。オナニーでもしたいのならもっとまともな方法があるんじゃないのか
と」
「う、うるさいっ。どうだっていいでしょ。っていうより、そっちの方が変じゃない」
「俺は人捜しだからね。別にいいのさ。」
「人捜しぃ? へーそう。あんた探偵でしょ、人のケツ追い回して最低なヤツ! そう
やっていろいろ探し回るけちくさい犬みたいなやつね」
「どうも、あながち間違っていない、いいご感想で。別に君みたいな弱っちい女の子に
何言われてもなんだかかわいい言葉にしか聞こえないね。いいか、くそガキ。ここで君
が趣味で何しようが勝手だが、この霧の冷たい空気の中で水を浴びているなんて誰が考
えたって普通の事じゃない。それを助けてやったというのに何一言感謝なしでそんなこ
と言われる。君みたいな子が廃ビルで死んでいるってのはいっぱいあるんだ。それがど
ういう事か分かるだろ? さっさと帰れ」
「……別に霧なんか怖くないし、オッサン…」
田中の目の前の少女の瞳孔が深紅に染まる。不意に目の前に小さな炎が揺らぐ。燃える
ものが何もないはずなのに。
期待上げ
「…こんな事もできるんだよ。炎で人を焼くことだってできるんだ…」
「…パ…パイロキネシス…君は…」
「だから、いっぺん死んでおく? この世の中、オッサンみたいなヤツなんて焼き払え
るんだから」
田中は手に握ったスタンガンをちらりと見つめた。焼ける前に一発食らわせれば大丈夫
なような気がするが…もし、溶岩と変わらない熱量を自分が食らわされてしまえば…それ
に、この後、先にもこんな人間に追われてしまったら…。少女は悠然と構えている。それ
が不気味だ。なんとか…しなくては。
「私の名前は…田中 志朗。君の言うように探偵だ。ここにある子を捜しに来ただけだ。
焼き払われてしまうと困るんだけどね」
「へー…どうせろくな事じゃないんでしょ? その子の名前は!?」
「小宮薫」
少女がこちらをにらむ。
「その名前は、私の名前だよっ!」
田中の眼前に赤が爆発する。猛烈な熱を感じた後…視界がブラックダウンした。
ワンボックスカーの後部座席で痴呆のようによだれを垂らしながらうつろな目で座る末
永 今日子がいた。運転席と助手席には黒服の男達が座り、無言で走行を続ける。
運転席の男が沈黙に耐えかねたのか話を始める。
「大丈夫なのか…あの女。薬で頭まで逝っちまったんじゃないのか?」
「しらねえよ…俺たちは指定された薬を打っただけだぜ。別に殺すなとも言われてない
しいいんじゃねえのか?」
「この女なんなんだ。どう見ても普通の女だぜ」
「…探偵総合情報エージェンスの依頼だからな。きっと金持ちのご令嬢なんじゃないの
か? 家出しているとかな」
「そんなもんかな…」
末永 今日子は全ての状況が見え、聞こえていた。だが、考えが全然まとまらない、体
に力が入らない。
車は高速道路に乗りどこかへ行こうとしている。どこか遠くで、パトカーのサイレンの
音が聞こえる。黒服の男達は少し身をすくませた。
「さっきの場所の方へ行くぞ…だれか通報したか」
「あぁ…そりゃ普通するだろうな…」
「しかし…今日は霧が濃いな」
「そうか? いつものことだと思うんだが」
ワンボックスカーは走り続ける。
いくつかのサービスエリアを抜ける。
運転席の男が、携帯を取り出す。
「あぁ…俺だ。女は捕まえたぞ。…あ? あの薬大丈夫なのか? 後部座席でよだれ垂
らして転がってるぞ。あぁ、次のサービスエリアで受け渡すよ」
「…なあ、霧が濃くなってきていないか?」
「またかよ。山に近づいているんだから当たり前だろ」
「そうか…」
霧が車の窓を真っ白に埋め尽くす。濃すぎて前方が見えない。
「う、うわぁっ!」
「なっ」
「な、なんだよこれっ! おいっ。ハンドルが…ハンドルがきかねえぞ」
車が…横転する。
男達が、天井に飛ぶ…いや天井に落ちる…そして、左右の窓のぶちあたる…。血が社内
を飛び回る。血が…ぐるぐると車内を回り…左の窓に落ちる。男達の首も左に傾ぐ…そ
して動かなくなる…。そして…霧が…車内を…汚染し始める…。男達は…霧にまかれ…
まるで補食されるかのように血しぶきを巻き上げ…顔の皮が破れ…筋肉がそぎ落とされ
…骨が露出し…消えていく…。
「ぃ ゃ ぁ ぁ ぁ っ !」
末永 今日子には目の前の景色が何かを思い起こさずにに入られず、それでありながら
思考がバラバラに吹っ飛んでいく。思い出されることは…両親の死体と………。
白衣の…。
…。
――――それは人が懺悔したかったことに違いない――――
"おはよう。今日の気分はどうかな"
目を開くとそこは白い部屋。白一色だけで埋め尽くされている。
声をかけてくれた人の姿は見えない。
眠っていたことに気がついて立ち上がろうとする。さらさら…と自分の髪の毛が顔にか
かって、手で払いのける…その手は幼い女の子の手。
"うん。だいじょうぶ"
"それはよかった。じゃあ今日もやってもらってよいかな"
"はい。だいじょうぶです"
ガスの抜けるような音がして、白い壁にぽっかりと黒い穴が開く。
女の子は黙って、その黒い穴に歩んでいく。
黒い穴の中には七色に光る光が明滅しながら、仄明るく周りを照らす。突然、明かりが
赤暗い色に切り替わり、無機質な声が聞こえた。
"Alert Code Red. Alert Code Red.北西部実験区域H-53より出火あり。区域の閉鎖を行
います。閉鎖を行います…閉鎖を…閉鎖…閉…へ…"
女の子の目の前に誰かが現れる…同じぐらいの背の…。
――――だからこそ、人は嘆くのだ…
空に向かい、己の所行を恨み、神を乞い、救世主を望む。
それが後の世に悪行と呼ばれようとも…そのときは、己の思う善き事だったのだ。
いい感じに地下すれ…いや…オナニーすれになってきていて良い感じです…。ようやく調子を取り戻せそうなので年明けから少しペースアップできそうです。
…ちなみに私は1さんじゃありませんよ(藁
原田重之が目を覚ますと、ベットに眠っていた。
「…気がつきましたか。原田重之さん」
「誰…だ」
原田の眼前には公僕という印象がよくあいそうな痩せ気味の中年男性が座っている。
「公安…といっておけばよいかな。三上利明という。表向きには公開されていない課で
過去の隠蔽工作が必要な事業について対処を行っている」
「末永さん…は…」
「気にすることはない。…それより君に聞きたいことがある。今現在の末永今日子さん
について情報がほしい。君は彼女について何を知っている」
「な、にって…それより。いてっ」
「無理に動くな。肋骨にヒビ、内蔵に軽度の損傷がある」
三上がベットの脇にある水入れからコップに水を注ぎ原田に渡す。
「飲め。少しは気が晴れるだろ。私は君に質問しているのだ。彼女について何か知って
いるかね。」
「…いい人だよ」
「そんな曖昧な事じゃない…こう普段の言動でおかしなところはなかったかな」
「そんなこと言われても困るな。一体何が聞きたいんだよ。一体何がしたいんだよ。そ
もそも何を隠蔽しに…」
「隠蔽の言葉の範囲を知っているのなら。君はただ黙って答えるだけでいい…それとも
この隠蔽工作に君は参加するのかね。君には十分な参加資格がある…やっかいごとに参
加したくないのならば…黙って質問に答える方がいいと思うところだけれどね」
「ふざけるなよ。何の問いかけをしているつもりなんだ。知らない方がいいって遠回し
に言いたいのなら、俺を知らないだけだ!」
「…参加すると。参加したいと? 君は若いからいろいろなものを見れば助かると思っ
ているんじゃないのかな。そう言う若者がいるから何もわかってはいないんだと私は思
うんだがね。君は正直に私の質問に答えてーーー」
「うるさいっ。俺の質問に答えろ。一体何のことなんだっ。あんたのうっとうしい言葉
はもういいっ。何がおこっているんだよ。俺は傷だらけになって、殺人犯とかいって
い た末永さんはあの黒い…」
原田は救いを求めるように三上を見上げた。助かったのなら何か言ってくれるに違いな
いと思っていた。だが、その張り付いたような三上の薄笑いは微動だにしなかった。
「君は彼女を救いたいと思うのかね。彼女は大学図書館の司書で…君とは何の関係もな
いと思っているんじゃないのかね? …そうは思わないのかね?」
「…」
「そんな君がなぜ助けたいと思うのかな? バカなことをせずに私の質問に答えてくれ
れば…」
原田は体が痛むのを無視して三上につかみかかろうとする。だが、三上は体をほんの少
しずらすだけで原田の行動を避けた。原田はベットから転げ落ちる。原田を見下げるよう
にしながら三上は話す。
「…そんな無力な君は無駄だと思うがね」
「ば…ばかにすんなっ。ばかにするんっじゃねえっ。教えろ…おしえやがれ…おしえる
んだっ!」
原田の苦しげなうめきと叫びが部屋に響いた。三上はそれを見ながらいすに座り直す。
原田を助けるそぶりすらない。
「そうだね…おもしろい話をしようか。これをよくあるB級映画話ととるかどうかは君
次第として…霧を巡るそんな話だ。ある場所にある研究所があった。そしてその研究所
ではこの町…いや世界の気候をコントロールしようと研究を続けていた。
その第一段として町の霧を除去する事を目的とし、その計画の名前を双子の魔女団とい
った。…水を操りそれを何らかの形で消滅させる」
「…そんな事したらよけいに気候が悪くなるんじゃないのか」
「…さあね…ともかくその計画は失敗におわる。計画中のモノが暴走という最悪の形で
ね」
「…計画中のモノ?」
「詳細は明らかになっていない。推測はできるが私はあまり推測を好まないのでね。そ
してその計画の一担当者のひとりに君の祖父ー原田 伸行ーが参加している。」
「なんでだ。何でそんなモノに参加しているんだ」
「私は推測を好まないと言っただろう。この計画の全てを知っているわけではないしね。
ただ、この計画の技術部長だったそうだ。数少ない証言者の話ではただ椅子に座ってい
るだけの技術部長ではなくて、本物の技術力を持ち管理能力のある人物だったそうだ」
「…あんたは一体何をするんだ」
「最近、この双子の魔女団の参加者リストが漏れた。私は誰が一体何のためにこのリス
トを利用しているのかを探している。必要があれば対処をする」
「で、末永さんは何の関係があるんだよ」
「末永今日子は双子の魔女団の参加者だ。若干13歳のね」
118 :
名無し物書き@推敲中?:2005/03/28(月) 13:58:10
age
保守
120 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/07(日) 20:39:37
1ではない連続書き込み者です。
まだこのスレあったのですね…。ちょっと書いてみようかと思います。
「まったく…あんな炎で気を失ぅ? 本当に田中ちゃんって探偵やってるの?」
そんな声で田中 志郎は目を覚ます。どうやら十六ビルの中で気を失っていたらしい。
にやにやと笑っている小宮 薫が目の前にいる。
「…殺したのじゃなかったのか」
「そんなことはもうやってないよ。…あーったく、あの研究所の人かと思ったのにな
ぁ」
「…研究所ってなんのはなしだ?」
「ほら。田中ちゃんの身分書」
小宮 薫が身分書を投げる。
「で? 誰に頼まれたの? それをいってくれなきゃさぁ…」
「おいおい。そもそも、そっちが攻撃的だったからだろう? まったく。すこしはこっ
ちの…」
「はいはい。わかったから」
「…まったく。だから最近の若い…」
小宮薫が頬をふくらませて、田中志朗をにらみつける。
「漫才やりに来たのじゃないの! いいから!」
「仙田 宏隆教授。知ってるだろ? 君のお相手らしいからな」
「あ。なんだ。仙ちゃんからなんだ〜。ん? ふ〜ん」
小宮薫が上目づかいにこちらを見上げながら、モジモジと恥ずかしそうにつぶやく。
「…仙ちゃん。観客増や…すって…そういうことなんだ…」
「すまんが、何を思っているのかしらんが、仙田教授の趣味にはつきあえないとだけ言
っておくよ。1日はやいが…まぁいい。仙田教授のところへ行くかい?」
「うん…」
相変わらず恥ずかしそうにしている。
(…仙田教授…お願いだから、法に触れることはしないで欲しいんだが…片棒次がされ
るこっちの身にもなってくれ…)
田中志朗が盛大にため息をつくと十三ビルを出ようと降りていく。その後ろを恥ずかし
げについていく、小宮薫にさらを見て、ため息をついた。
バラエティ番組を見ながら、日本茶をすすっている女性が居る。末永今日子が目を覚ま
した時、目に飛び込んできたのはまずそれだった。次に気がついたのは、どうもベットの
上で寝ているらしく、7畳ぐらいある部屋にいることだった。
「あの…」
女性がこちらを振り向いた。若さを失いつつある30代ぐらいの顔。末永今日子にはどこ
か見覚えがあるような気がする、懐かしい顔。
「あ、目さました? 無理に起きあがらなくても良いよ。寝ていたら? あれ? それ
ともおトイレ? おなかでもすいた?」
「そうじゃ…」
「あ、もしかして、生理? ごめんごめん。それだったら…あ、買ってくるの忘れた。
薫ちゃんに言っておかなきゃ」
「……その…どれも違うんですけど…」
「じゃあ…お風呂?」
「……」
末永今日子は無言でその女性をにらんだ。女性は驚いた顔をして納得したようにしゃべ
り出す。
「あ。あぁ…今日子ちゃん。そうだったね…。私は明峰 悠。今年で三十路の寂しい女。
これでいい? いじめて楽しい? 」
「いじめるも何も…さっぱり知らないんですけど。なんで、私、ここに?」
「……覚えてないの?」
「…」
霧が濃厚にまとわりついてきたこと、ガラスを割って侵入してきたこと…顔が…顔が…。
突然目の前がブラックアウトして、誰かが叫び声を上げているに気がつく。
(私…叫んでるんだ)
末永今日子は自分が顔を覆って叫んでいることに気がつく。そして、誰かに抱かれてい
ることに気がつく。
「大丈夫…大丈夫だから。ほら今日子ちゃん。しっかりして」
嗚咽ばかりが垂れ流しになっていた。お父さんとお母さんが、霧に殺されちゃって、誘
拐されそうになって、原田君が助けてくれようとして、血を吐いて倒れちゃって、私、な
んにもできなくて、注射打たれて、知らない男の人たちに連れられていって、顔が、顔が、
「ごめんね」という両親の声が。赤い赤い血。
誰かの長い、長い悲鳴が聞こえる。
でも、優しく包むその人は…今度は消えそうには…なかった。
どれほどの時間が流れたのだろうか。
泣き疲れて、頭がぼぉうっとしてきた。
「はいこっち!」
「え?」
顔を上げたと同時に、頬にすごい衝撃が加わった。痛い。見事な平手打ち。
「どう? 目が覚めた? ほら、笑った。笑った。真っ赤なリンゴみたいなホッペだぞ
〜ぅ」
「あは…はは…あははは!」
もう。なんでもよかった。よく分からないけど、笑ってしまう。おなかが痛い。
「さあ、ベットから降りて。日本茶でもどう?」
そう言って、峰岸悠は末永今日子にお茶を渡す。末永今日子は日本茶に口を付けてみる。
「あつい! 猫舌なんです。氷を5つぐらいれてくださいね」
「…贅沢ねー。取ってくるから待って」
ショートの頭をぼりぼりかきながら、隣の部屋に行く姿を見てまた笑いがこみ上げてき
た。バラエティ番組は夕方のニュースになっていた。
"本日の天気予報です。昨日から霧濃度が、非常に高まり停滞しています…"
”インテリジェント・ゴリラスーツ”を常に身に着けることが、この未来社会での第一のルールだった。
それを着用しない外出は、まさしく死を意味した。ゴリラスーツに装備された高価な機械が発見次第
すぐ反応し、パワーアームで、即撲殺。辺り一面が肉片や汚物で汚れても、パワーアームできれいに
掃除するから手は汚れずに済む。未来社会では水は人の命よりも高価だから、それは環境にも
やさしい。指先すべてに仕込まれた、肉食の昆虫が全ての肉片や汚物を食べてしまうのだ。その後、
今度は虫が排泄した糞がゴリラスーツの動力となるのである。何と合理的であろうか。
このゴリラスーツを開発した、J・チャリティ博士はその為に大いに苦労した。
こっそり読ませてもらってます。
面白いね。続き期待。
>>129 ぬぬぅっ! 久しぶりに来てみたらうれしいレスが…。
えーと、まだこの先のぞむひといるのかぁ。明日まで休みだから少し書いてみようかなぁ。
―――― それは、語られることのない過去の物語
時は過ぎ、人は変わり、見知らぬモノへと墜ちていく。
すべからくしてその時が最善であったことを見せつけるかのように――
――
16歳の女の子が研究所に閉じこめられて、不機嫌でない子なんているんだろうか。
「はーぁ。ばっかみたい」
一応個室は与えられているけれど、外出禁止と毎日の実験にうんざりする。あんな能力
みて何が楽しいのだろう。…弟がここにいるって聞いて来たけど、来たら来たでなんだか
んだといわれてはぐらかされるばかり。いーかげん。みんな燃やしちゃおうかなー。…は
ぁ。
内線の呼び出し音がする。実験かな…また実験かぁ。そう思いながら、テレビ電話の受
話ボタンを押す。
白衣を着た中年のおばさんがディスプレイに映し出される。背後には何人かスタッフが
作業に従事しているのが見えた。
「不機嫌でーす」
"だろうな…って思ったから電話したんだけど。そんなに不機嫌なら、外 出 許 可
降りたって話はなかったことに…"
「わ。岸辺さんっ! それはまった! 」
"あーら、この岸辺様にやれないことはないのよ〜ほーっほほほほ"
「きしべさーん。スタッフのみんなが"くだらね〜"ってため息ついているのが見えちゃ
うんですけどー」
本当にため息ついているのが見えた。岸部のおばちゃん−岸辺 洋子−がスタッフに振
り返る。
"こらっ! 今の顔おぼえてなさいよっ〜!"
"岸辺博士! それは投げちゃだめ! 絶対だめですよっ! 超高濃度なエスタルミン
保存液ですっ! せめて、硫酸とか王水とかまだ生きてる可能性がありそうなやつで−−
"
"じゃあ! くだらねーといわないっ!"
"それとこれとは、う、うわわっ!"
"エスタルミン保存液は吸ったぐらいで死なないわよっ!"
スタッフの悲鳴が聞こえる。岸部さんはスタッフの頭めがけてエスタルミン保存液の入
った瓶を投げつけた。
「岸辺のおばちゃーん。スタッフの人しんじゃうよー…」
私の口元に笑みがこぼれる。ほんの少しだけ楽しい気分だった。
金属質のエナメルちっくな壁に包まれたドーム型の日当たりなんて全然考えてない実験
室。そこかしこに並べられたパソコンによく分からない実験器具。私はさっきの岸辺のお
ばちゃんの前に座っている。
「そう言うわけで! 今日は外出許可が下りたの。いい? 悠ちゃん? 町に降りてい
っても良いけど、この研究所のこと、能力のこと話しちゃだめよ?」
「はーい」
「滞在できる宿は…」
後ろでスタッフの人が額にガーゼを当てながら"瓶が割れなくて良かった…"つぶやいて
いるのが見えた。
「…スタッフさん。大丈夫だったー!?」
スタッフの人がこちらを振り向いて弱々しそうにほほえんでくれる。岸辺のおばちゃん
がわざとらしそうに咳払いをしてこちらに注意を向ける。
「いいの。悠ちゃん。ここのスタッフは煮ても焼いても死にそうにないんだから」
「で、どこに泊まれるの? 岸辺のおばちゃん」
「ふふーん。ここ、ここ」
そうやってどこからか取り出したパンフレットには、この町の最高級ホテル−リアモン
ト−の案内が乗っていた。私はそれを渡されて見ていると、得意げに岸辺のおばちゃんが
話し始める。
「ここのスイートルームに一泊二日。超豪華なお食事付き。屋上には温水プール。その
一つ下にはバー−フィアモンテ−知ってる? あそこの50年物のワイン? 一杯6万円だ
って。マッサージの人も居てねーそれがまた評判がいいの んーいいでしょー?」
「これって…おばさんの趣味じゃない?」
「そ、そんなつもりはないんだけどなー。んー一回行って見たかったところではあるわねー」
「経費のだしにつかったでしょー」
苦笑いをしている岸辺のおばちゃんがいる。突然、背後から男性の声が聞こえた。振り
向くと仙田せんせー−仙田 宏隆−が突っ立っていた。
「まったく。岸辺。そういうことを行うと良心の呵責というのに苛まされないのかな?
君の心理構造なんていうのはわがままで傲慢ちきとしか言えない気がしてならない毎日だよ」
「何言うの。経費なんて私のためにある物でしょ?」
「君には経費の定義を一度辞書で引いてもらいたいよ。そもそもね。君はスイートルー
ムだけお願いしたんじゃないんだろう? 最高級の食事にマッサージ付き。ついでに、
外へ出かけるための車まで最高級だ。少しはみんなに遠慮というものを持って欲しいな」
「ついてこれないヤツのひがみ?」
「ひがみというのは物事を歪曲してとらえることかな? それとも素直じゃないってい
う意味かね?」
「あーうるさいっ。もーなに? 私の文句でも言いに来るためにここにきたわけ? そ
れともほかに用事がないなら、おじゃまさせてもらうわよ」
「ああ、そうそう。二人だけで話をさせてもらえるかな? アクアウィッカについての話だ」
「…また? ちょっと悠ちゃん。先に自分の荷物まとめててくれる? あとで研究所ロビーに行くから」
「はーい。岸辺のおばちゃん。早くしてね」
私は二人から離れながら、岸辺のおばちゃんが厳しい顔をしているのをちらりと見た。
私の部屋にはあまり荷物なんてない。外に出ることもないし、大抵研究用の服を着させ
られているから持ち出すものと言ったら…いつもの病気用の薬とここに来るときに持って
いた服が数着、時計に財布。あとは…
「写真忘れてた」
ベット脇に置いてある、写真立てから写真を取り出し、折れないように財布に入れ込む。
「…鷹…今どこにいるのかな…」
私は写真に写っている、弟のことが心をよぎった。
研究所のロビーでボンヤリと岸辺のおばちゃんを待っていると仙田せんせーが通りかかった。
「やあ。悠君。岸辺を待っているのかな?」
「そーでーす。岸辺のおばちゃん遅いよ。30分も待ってるんだけど」
「電話してやれば良いんじゃないのか?」
「無理ですって。どうせ、今頃部屋でバックに詰め込めないほどの服でも詰め込んでい
るんじゃないかと」
「催促っていうのは必要だと思うけどな」
「無理なことは仙田さんが一番よーく知っているんじゃないんですか?」
「持続的に催促してやればいつかは変わるさ」
仙田せんせーが話の区切りがついたかのように黙り込む。私も話す事なんて特にないか
らまたボンヤリと岸辺のおばさんを待つ。ロビーに飾ってある3Dディスプレイのニュー
スがもうすぐ夕方になることを伝えていた。霧はいっこうに晴れないらしい。霧が全然晴
れないから、いろいろなものが腐りやすくなって、いろいろなことに支障をきたしている
という話はよく聞く。なんで? といわれると、自然破壊のせいだ、世界の変化だ、なん
だかんだといっているらしいけど…。
「…悠君。君は、なんでここに来たのかな?」
「せんせーは私のデータがあるんだからよく知っているんじゃないんですかー?」
「弟を捜してここに来たっていうことはね。だけれども、そういうデータというのは別
段、君の心を詳細に報告していてくれる訳じゃないんだ。データ上では"弟を捜してここ
に来た"それだけだ。そんなことに興味があるんじゃない。なぜか…なんだ」
「せんせー。そんなことロビーで聞くことじゃないんじゃない? いつもの診療所では
なすようなことなんじゃない?」
「興味本心の質問を報告に上げる気はあまりなくてね」
「…」
「…答えたくないならかまわない」
「さみしかったから、かな」
「不在の人間に対しての理解の欲求かね?」
「ちがうよ。ね、せんせー。タンスの後ろでも、ベットの中でも、押入の中でもいいか
ら、知らない血のつながった家族がどこかにいる証拠の写真が出てきたら、探したくな
い?それもね、私覚えていないけど、弟が赤ん坊の時抱き上げて写真取っているんだ
よ?見たくて、知りたくなっても…いいじゃない?」
「…なるほど。君の弟とこの研究所で会えると良いな」
「せんせーは、鷹にあったことあるの?」
仙田せんせーは珍しく石のような表情がゆがんでいるように見えた。
「何度か…あったことはある」
「え? ほんとっ!?」
「…この研究所が許してくれたらいずれ君もあえるだろう。さて、話し込みすぎたよう
だ。私は診療所に帰るよ」
仙田せんせーは立ち上がり診療所へと向かおうと歩み出した。入れ違うように、岸辺の
おばちゃんがロビーに駆け込んでくるのが見える。…一泊二日なのに、なぜか大きな旅行
鞄を引きづりながら。
いくら霧が晴れない町とはいえ、リアモントホテルの中で窓を見れば外は蒼穹の空が見
えた。外の鬱蒼とした、ミルクの霧よりは蒼穹の空を3Dディスプレイで映し出している
方がまだましだと経営者は思っているのだろう。
岸辺のおばちゃんと私はスイートルームの馬鹿がつくほど広々とした部屋に目を奪われ
ながら荷物を置き、部屋の鑑賞としゃれ込んでいた。
「うわー。すっげーきれー」
「悠ちゃん。せめて、"わーすっごくきれいー"とか女の子らしく」
「どーせ色気なんてこれっぽっちもないですよ。研究所なんていつも裸同然でいろいろ
チェックされているようなもんじゃないですかー。乙女の心がすり減った今になって何
を今更ー」
「おっほん。それは言わないお約束。乙女の心は年を取っても持つものなのよ」
「へーへー。仙田せんせーとの会話は乙女の会話とは言えそーにないけど」
「あいつは屁理屈の変態屋だからよ。悠ちゃんもあの人に触られたら私に言うのよ」
「その前に焼いちゃいますって。あ、岸辺のおばちゃんが妬いちゃうかなー」
「この、ませガキ」
こつん、と岸辺のおばちゃんの拳が私の頭を軽くたたく。
「岸辺のおばちゃん。いたいよぅ」
私はうるうるとした目で岸辺のおばちゃんを上目遣いにみる。
「あーかわいいかわいい。そんなことは、彼氏の前でやってご覧なさい。効果絶大。ち
なみに性欲絶倫かもね」
「岸辺のおばちゃん…乙女の会話じゃーないよぅ」
138 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/06(金) 18:16:15
悪夢聡史 ◆5edT8.HnQQ という荒らしが暴れています
長々と続いております。霧に煙る町ですが、このあたりで中間地点となりつつあります。
張り続けた複線消化のため、現在プロットを見直しの最中です…。
しばしおまちください。
頑張ってね
141 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/04(土) 08:26:03
霧に煙って前が見えないよー。
142 :
霧に煙る町@作者:2006/03/08(水) 23:07:18
…。
痛烈なお知らせがあります。
久しぶりに書こうと思って探していた文書データが… デ ー タ が 消 え ま し た 。
え…SDカードのばっかやろおぉぉお orz。
う、うわぁぁぁ…ん。
ちくしょー。うがー。ふげー。
143 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/09(木) 01:49:41
144 :
霧に煙る町2@作者:2006/03/09(木) 20:31:32
ぼくが書きます。
145 :
霧に煙る町@作者:2006/03/17(金) 22:52:51
今日がんばって書こうとしたけれど、やっぱりなんだか前のような流れをもって
物語を書けないです。
後の引き継ぎよろしくお願いします。
「さて、と」
岸辺のおばちゃんが携帯電話を取り出して、何かしら操作をしている。
「どしたの? 岸辺のおばちゃん」
「これから遊びに行くところを、ちょっと探そうと思ってねー」
「え? この前行っていた、映画見に行くんじゃないの? 影の獄にてとていうやつ」
「ふふーん。ちょっと寄り道したっていいでしょう」
「ふーん。誰かに会うんだー?」
「まぁ、良いじゃない。ほら、いくよ。車も待ってるし」
岸辺のおばちゃんが腰に手を当てて悠然と構える。
「遊びに行きますか!」
「イェイ!」
二人の乙女達は奇声を上げてロビーで待っているであろうタクシーを目指して歩いてい
った。
タクシーが最初についたところは、風の宮公園というところだった。もっとも、霧に包
まれてかろうじて見える看板に"風の宮公園"とかかれているのが見えるだけだったから、
一体どんな公園なのかは分かったものではないのだけれども。
「運転手さん。悪いんだけど、この子を24R映画館に連れて行ってあげて。ほら、後お
金。使いすぎないでね。遅くても20時には帰ってくること。分かった?」
「わ、分かったって…岸辺のおばちゃん見に行かないの?」
「ふふん。まぁ、秘密のお友達とね。滅多におしゃべりする機会がないからね。ごめん
ね」
「えー。こんなか弱い女の子を一人で映画館なんてきっと襲われちゃうよ」
「はいはい。大丈夫大丈夫。無料報酬で見てくれている人がいるから」
「えー。もしかして研究所の人ー? ま さ か 仙田せんせー?」
「勝手に言ってろ。なんにもなければ、見かけもしないから大丈夫。気にせずにあそん
でらっしゃい」
「えー」
渋っている私をよそに岸辺のおばちゃんはさっさと降りてどこかへ行ってしまう。タク
シーも何も言わず道を先へ進めていく。岸辺のおばちゃんが見えなくなるまでタクシーの
窓に張り付き、その小さくなる姿を見ていた。一人で、映画館にいくなんて。二人で見に
行った方がおもしろいのに…なんだか、よくわかんないお預けを食らっているような気が
するのは気のせいなのかな…。
24R映画館は控えめに言って、ぼろい。ぼろいというよりつぶれてんじゃないのかって
…。
「岸辺のおばちゃん怒るよ…こんなの…」
なんだかよく分からない脱力感を感じながら、映画館のチケット売り場に行く。入場料
金をみると、中学生までは1000円かぁ、高校生以上だと大人料金の2000円。
「大人一枚」
受付の人が困ったような顔をしながら聞き返す。
「…中学生さん? 学生割引の値段なら1000円ですよ」
「これでも、高校生です」
「あ、もうしわけありません…。えーと次の上映は10分後です。A3番入り口を入ってく
ださい」
私は何となく憮然としながら、入場口をくぐる。
入場口をくぐると外見のぼろさに反して、やわらかい明赤色の光が場内を照らし、床に
は赤い絨毯、壁は朱漆が塗り固めてあった。何枚かの映画ポスターが壁に貼られ、今は全
然上映していないことを示すため「未上映」と隅っこに書いてある。そんな風に、通路が
左右に伸びていて、等間隔に扉があった。扉の上の方に「A3」とかかれたところがある。
「あそこ…だね」
私はそっと、その朱漆の扉を開ける。
スクリーンから発される乳白色が薄暗い劇場を照らしている。
スクリーンからは最近上映されているであろう、映画の予告編が流れている。私は、半
分ぐらいしか埋まっていない客席で、中央の後ろ側に空いている席を見て取ると、底に座
った。
だって、中央の後ろ側って、スクリーン独り占めって感じで良いじゃない?
どこかの映画の予告編が終わりを見せる。
映画が、はじまる。
150 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/19(水) 02:28:18
始まったのはドラえもんだった。
オレにぴったりだ。難しい映画は
わからんからな。とそのとき、
俺は何かが違うことに気付いた。
あれのび太声変わりしてない??
しかも声変わりというには、声が高くなっているように思えた。
ついでに言えばジャイアンも変だった。
ああ、のび太がドラえもんに助けを求めに行く。お決まりと言う奴だ。
あれれ〜、ドラえもん?ドラえもんかお前?
私は何かの幻を見せられているのだろうか、そう、霧のような幻を。