>>211 シュルレアリスムとは、何もダリのような抽象性のみを指す言葉ではない。
日常を超えようとする現実の運動。この点にこそ、この言葉の本質がある。
211はまさに、純粋なシュルレアリスムの追求を目指しているのであると
言わねばならない。前段においては、4〜6行目の展開が秀逸である。
「散歩しているとインターネットに接続をしているコンピューターがありました」
この一文のみでは、凡百のSFに成り下がってしまうところであるが、
「ワロタ君は言いました(中略)我慢して散歩をつづけました」
との展開によって、それを免れるばかりか、バロウズのカットアップを思わせる
緊張感を、文章に付与することに成功している。
その後の一文と後段への流れにいたっては、もはや脱帽である。
瞬間、小説の書き手が、虚構世界を破壊するかのような不安を与えながら、
かろうじて虚構世界は存続する。そのまま雪崩式にカタルシスへと向かうと、
唐突に終焉する。負けたよ211。次回の芥川受賞なんてケチなことは言わない。
いきなり選考員として登場して、駄馬の群れである僕らを見下ろしてくれ。