この三語で書け! 即興文ものスレ 第十七期

このエントリーをはてなブックマークに追加

  捜査令状をとったり、なんだかんだで、ニックネーム”狩猟者”の男のアパートに踏み
 こんだのは、昼過ぎになった。
 「ちっ、”参謀”のやつか。余計な知恵を入れやがって」
  部屋の真ん中に転がるコンピューターの破片を見て、ジムは唾を吐きたくなった。
 πを計算させるテストを、数100万ケタ単位で完走していたCPUも、重要なデータを
 記録していたはずのハードディスクも、ハンマーか何かで丁寧に叩き潰されていた。
 「昨日の夜、そういえば何かを叩く音がしてましたよ」
  管理人が、ドアのところからおそるおそる言った。
 「そうかい」
  お前さんは合鍵さえしっかり持ってりゃいいんだよ、と言いかけてやめた。その情報に
 興味がないことを口調で示し、俺は更に部屋を探った。シャワールームの排水溝、便器、
 キッチンの流し、ゴミ箱のなか、と見て回る。
 「月に何日くらい帰ってきた?」ビニール手袋を懐からとりだし、右手にはめる。
 「ほんの何日かしか、もどらなかったように思いますが」
  ゴミ箱の奥にはコンドームが引っ付いてた。つまんでビニールパウチに入れる。
 「だろうな。……女のデータは失われたが、”狩猟者”のDNAは手に入れた。まずまずだ」


 NEXT: 「調査」「毛細管」「潜行」