作家になって千里子と結婚

このエントリーをはてなブックマークに追加
母の笑子と娘の萌は日曜日に農園に出かけた。そこは蒸発した父・隆が借りていた市の共同農場だった。
市からお宅の区画が荒れ果てていると警告されたのだ。
母の笑子はそれほど興味を示さなかったが、娘の萌は日曜日の度に農園に通い鋤や鍬を振るようになる。
女子高の友達からテニスを始めたのかと言われるほど、萌の腕はたくましくなった。
萌が農作業をしていると、周りの区画の人たちから、最近お父さんを見ないねえと言われ弁解に努める。
いつもお父さんはお姉ちゃんと来ていたね、でも妹さんの方がお父さんに似ているよと言われ、父の不倫に萌は驚く。
父のパソコンを開くと、父がやっていたHPがあり、父が無農薬農法の師匠として、多くの人達から支持されていた
ことを萌は知る。萌が父になりすまして、書き込んだりした。
農園で、父が宗教修行をする山に行きたがっていたことを萌は知らされる。
山のICから電話があり、父の財布が忘れられていたことを知らされ、
母と娘は車でその山に向かう。父の財布と衣服が忘れ物として保管されていた。
二人が頂上に上ると、そこはまさに自殺にうってつけの場所に思われて怖かった。
母の笑子は肉体改造をするようになり、筋肉をつけてついにフルマラソンに参加する。
これこそ父・隆が妻に望んでいたものだと笑子は萌に言う。
萌は父の服を使って案山子を作った。まるで父がいるようだ、ずっと近くにいるようだと萌は感じた。(了)