どうせモテないし、小説でも書こうぜ

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飯島は34歳になるサラリーマンだ。結婚して妻と東京で二人暮らしだが、最近家に帰るのが辛くなってきた。妻と過ごしたくないのだ。
仕事が早く終わっても、漫画喫茶で時間を潰し、妻が寝てから帰宅する。
もしくは幼馴染の加藤という男が近くに住んでいるので、彼のアパートへ遊びに行く。小説家である加藤は離婚して独身生活をしている。
二人には幼い頃から仲の良かったもう一人の友達がいた。それが保木ことボギーだ。死んだボギーの命日が近づいていた。
ボギーは子分の態度をいつもとり、聡美というブス女が好きだった。何度も告白してはフラれた。
ボギーは母子家庭だが、母親が家に男を連れ込んでセックスするのが嫌だった。
あるチンピラに金を出せばその男を街から追い出してくれると聞いたボギーは、必死にバイトして20万円を作った。
だがチンピラは断った。仕方なく飯島と加藤がその役を買い、母親の男をリンチして街から追い出した。
ボギーの20万円は加藤が預かったまま、34歳になる今でも東京のアパートに置いてある。
飯島は妻のHPを見るのが好きだ。妻はHPでは独身を装っている。飯島の書き込みに妻は丁寧に答える。
また飯島はボギーになりすまして聡美への愛を告白するサイトを立ち上げた。妻は夫とは知らずに、ボギーの告白に感想を書き込む。
ボギーは海に溺れて死んだのだ。ボギーの死体が打ち上げられたのは、地元で風俗島と呼ばれている浜辺だった。
飯島は妻と義母と旅行に行くことになっていたが、憂鬱で仕事があると嘘をつきドタキャンした。
かわりに飯島は加藤と車に乗り、深夜の道を飛ばして故郷に戻り、ボギーが打ち上げられた島へ渡った。
だがその島はレジャーランドになっていて、昔の風俗島の面影がなかった。飯島と加藤は死んだボギーの思い出話に花を咲かせた。(了)