どうせモテないし、小説でも書こうぜ

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明日香は別れた夫が自殺してから鬱が始まった。遺書を送りつけてきたのだ。心療内科に通い、精神薬を飲んで生活する。
また風俗店で働くうち、客としてやってきた鉄っちゃんと同棲するようになった。鉄っちゃんはテレビの放送作家であり、コネで明日香も風俗ライターの仕事をもらえるようになった。
だが雑誌を通して、風俗の仕事が親にばれて勘当され、その最中に父が亡くなり、明日香はやけになった。その結果、お酒を飲みながら、致死量の精神薬をラッパ飲みし、救急車で運ばれた。
明日香が目覚めると、体中を拘束されて身動きがとれず、点滴などを挿入された状態だった。
その個室はクワイエットルームと呼ばれ、近辺で最大規模であるこの精神病院において、一番面倒な入院患者が閉じ込められる病室だった。
やがてクワイエットルームから一般病棟へ移った明日香は、他の入院患者とコミュニケーションを図っていく。現役AV女優で入退院を繰り返している患者は、他の患者達にテレカやタバコ等を販売している。
髪の毛を燃やしてしまう女性や、体が棒状の拒食症患者、キチガイたちと明日香は暮らしていく。
そんなキチガイの中でただ一人身だしなみの良い綺麗な女性がいた。彼女と明日香は互いを認め合い、一刻も早く退院できるよう願った。
この病院は他の病院で引き取りたがらない重症患者ばかりを集めていて、自分たちだけは違うと彼女と明日香は話し合った。
彼女は退院した。明日香はアイドル患者のおもりなど、彼女が勤めてきた患者たちのリーダーの座を引き継いだ。
だが現役AV女優の患者が明日香の荷物を漁っているのを発見し、明日香は彼女を殴ってしまう。看護婦たちにその光景を見られた明日香はクワイエットルームへ逆戻りしてしまう。
明日香は入院して以来、自分だけは間違って連れてこられたと考えていたが、面会に来た鉄っちゃんから、実は相当ひどい状態で、一般の病院では手がつけられず、この病院へ強制入院させられた過程を聞かされた。
明日香はいい子を演じてなんとか退院にこぎつけた。病院から出る明日香と入れ違いに、一台の救急車が飛び込んできた。
担架に乗せられているのは、明日香と心を通わせあい、一足先に退院した、前のリーダーだったあの女性に見えた。
明日香は彼女と交換したメールアドレスを破り捨て、鉄っちゃんとも別れ、今後の生活を考えた。(了)