この三語で書け! 即興文ものスレ 第十六期

このエントリーをはてなブックマークに追加
左手は朝顔の花のように弾けて消えた。
バック中だった車は、輪留めに乗りあげ跳ねて、ケツをどこかにぶつけた。
銃撃は止まない。ガラスというガラスが砕け散り、背中に降り注ぐ。
俺は頭をかかえて、うずくまっているらしかった。
コン、カン、と空き缶でも蹴り飛ばすような音がする。
命をかっさらっていく音にしちゃ、あまりにも軽いだろ。
そんな俺の気持ちにゃ関係ないだろうが、弾が飛んでくるのが止んだ。
パラ、とガラスの破片が落ちる音がする。
助かった? はは、ミラクル……。そう思いながら体を起こす。
窓の外からタバコが差し出された。
残った右手で、無言でうけとる。純金のライターが差し出された。
火をつけ、深く深く煙を吸い込み、それから全てを吐き出した。
「いいか?」と聴く声。「おう、やれ」と答えた。
銃声を聞いたと思う。風船でも破裂させたような音だった。


NEXT:「ほうせんか」「かみしばい」「通知」