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名無し物書き@推敲中?:
その身において、ソレが全て。至る限界は、各々の持つ身体的な限界に等しい。つまり、カラダ/存在を有するだけで限界を持つ事になる。
即ち、有限であるゆえの、限界の有限。
世界とは、自分の体を通して己に取り込む情報によってのみ確立される、自己認知の限界である。
ならば、体を持たなければどうなるだろう。
―― 「無」である存在。
肉体は、死ねばそこで終わりだし、精神もそこでついえるだろう。
それは、儚い夢にも似ている。
一夜限りの舞台。糸を付けられて踊らされている事にさえ気付かなければ、永遠に信じていたであろう夢。
しかし、夢であるからして、いつかは覚めてしまう。
目が覚めてしまえば、昨日の夢のことを思い出すことは無い。余程色濃い夢で無いならばの話だが。
記憶は、時とともに磨耗し、完璧な「無」に向かって疾走する。
そいつが生きたという記憶、そいつが居たという記憶、そいつは誰だったのかという記憶。そして、自分は誰だったかという記憶。
しかし、記録は永遠に消えない。
限りなく「無」に近づくが、決してゼロになる事はない。
たった一夜限りの夢だとしても、その夢の中では、ソレがジブンの生きた世界である事には変わりは無いのだから――
[Magic Drive] ブレイキング・マインド より