「その理由はラクシス、お前が一番よく知っている筈だ」
「は……?」
「ラクシス……」
そこで口を開いたのはエステルであった。
「昼間あなたが訓練させていたあの若い騎士たちに、こんな大役が任せられると思う?」
ラクシスはびくっとなった。確かに、ここ数年のヤーファの騎士の弱体化――腐敗は懸念されているところであった。しかし、その問題がまさかこ
の場で問題になるとは彼女にとっては思いもしないことであった。ヤーファの主要な騎士団の軍事顧問を一手に引き受ける彼女としては自分にそ
の責任の一端があるように思えていささか肩身の狭い思いである。
「そこで、こちら側で練度の高く、信用も置ける傭兵を数人選出しておいた。それに、こちらにはこんな強い傭兵が何人もお抱えでいるのだぞ、と
他国へ暗に示唆することもできる」
「……なるほど。確かに、道中通行することになる土地や国に対しては効果が期待できるかも知れませんね」
「そういうことだ。一応素性や経歴も一通りは調べがついている、明日にでもそのリストを渡そう」
「お願いします」
かしこまって頭を下げるラクシス。
一方、エステルは今までの話をきちんと聞いていたのかどうかすら怪しく思えるような手つきで残りの料理を捌いていく。おそろしくのんびりとした
手つきで、見ている方の手まで何となく遅くなってしまいそうな雰囲気であった。
ヘイストスへの表敬訪問の日まで、残すところ一週間である。
期待さげ。
FE関連スレまとめ所にこのスレ載ってたよ。
220 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/07(日) 22:28:55
すたこ〜ら逃げろ〜(逃げろ〜)
(((((((っ・ω・)っ
___/\___
>>219 なんと……! そのようなことが。
いつの間にそんな処置が……いやはや。
>>220 でも最近、それも聞かなくなりましたね。
イチバン新しいモノでも2001年の「封印の剣」のCMが最新だったハズ……。
それも「暗黒竜」の使い回しだって話ですし。新収録しないのかなぁ。
>>1はもう夏休みに入ってるんだろ?
ならば書くのだ。
続きを書くのだ。
元ネタ系譜なら、ラケシスだろ?
わざと?、間違い?
翌日。
「陛下! フランジェルジェ卿がご到着されました!」
「通してくれ」
謁見場は簡素な造りだが広く、厳かな雰囲気の漂う一室だった。一段高い場所には国王の座る王座が置かれ、そのうしろにはヤーファ
国旗が威風堂々と自身を示すかのように置かれている。天井は高く、開けた印象を受ける。
コツ、コツと、靴が石の床を叩く音が断続的に響く。
「ダフネス国王陛下。シグルド=セイダム=フランヴェルジェ、陛下より賜ったルオフォンデス地方の領地視察の任を終え、ただいま帰還
いたしました」
落ち着いた、よく通る声だった。彼の年齢は二十六歳であるが、その声からは彼の実年齢以上の落ち着きと荘厳な印象を受ける。
彼は王の玉座の前まで歩くと、片膝をつき、国王を見上げた。
優しい若草色の髪と、怜悧な顔立ちを持つ青年である。線は細く、体格そのものはひょろりとして頼りなさそうであるが、剣術舞踏会の
優勝者である。もしかしたらその豪奢な衣服で力強い筋肉を隠そうとしているのかもしれない。
「卿!」
「うわっ」
ダフネスの後ろで控えていたミハルが飛び出し、シグルドに飛びつく。彼は立ち上がりながらミハルを受け止めたためか、体勢が安定しない。
「け・いっ! やくそくの時間に二時間も遅れていますっ! ヤーファ騎士の、いえ男のなさることではありませんわ!」
ミハルは背伸びしてシグルドの頬を両手で力いっぱいつねる。彼の顔の輪郭が力いっぱい歪む。
「いっ、痛い痛い。ひどいことをなさるお方だ」
「時間に・鈍い・殿方には! 縁談なんて一生舞い込んできません!」
「うっ……確かに私は独身ですが……! しっ、しないだけです! できるけどしないんですよ!」
「嘘ね! ホラ、わたしの目を見てお話なさい!」
「痛たたたたたた……」
___∧∧ リロードし忘れてました。
/\ (;゚∀゚)\
\/| ̄∪∪ ̄|\
>>222 \|
>>1 .| 文化系であるにも関わらず実は自分、運動部なんですよ。そんなの言い訳になんかできませんけどね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ お盆あたりにラッシュかけようと思ってます。
>>223 系譜やったことないです。そんなの言い訳に(後略
名前だけは知ってるんですけど。「フィンラケ」とか。どういった意味なんでしょう。
どんな性格なんだろうね、と楽しくいろいろ思案しております。
>>224 仕様です。
シグルドの目尻から水が湧いて出てくる。ミハルはそれには全く構わず、彼の頬をあれこれと操作する。
「貴婦人に! 優しくというのは世界の常識ですッ!」
「ほ、本当の貴婦人というかたは、そう無闇やたらと男のほっぺたを引っ張るかたではないと存じ上げておりますが……」
「自分のことは棚に上げてなんですかその態度はっ!?」
「そ、それはお互い様と……い、痛い痛たた……」
「こらこらミハル。卿は長旅でお疲れなのだから、卿をあまりからかってはいけないよ」
玉座の上から諭すような声が投げかけられる。
ヤーファ国王ダフネスが自身の娘を、特に末っ子である三女、ミハルを溺愛しているという話は有名であった。歳を重ねてから授かった
子供だったのでその喜びと愛情は一層強く、彼女に対してはダフネスも甘い。国を継ぐ者として厳格に育てられたラクシスに言わせれば、
“父上はミハルに会ってはいけない”。“ミハルばっかり、ずるいわねぇ”とはエステルの弁。
「うぅ……家へ戻ったらすぐに冷やしておかねば……」
「自業自得です!」
ふん、と鼻を鳴らすとミハルは大股でダフネスの後ろへ下がった。激痛に目を潤ませるシグルドには一瞥もくれない。その動作がシグル
ドの心にまた一つ大きな傷をつけるのだった。
「……失礼しました、本題に戻りましょう。痛たた。
領地視察の件は追って報告書を作成し提出する用意ですが、口頭でも簡単にお話させていただきます。
まずかねてより懸念されていた治水の件です。これは我々が考えていた以上に深刻な問題となっております」
「というと?」
「はい。もともとルオフォンデスの地の土は水の吸収が良くなく、作物を作るに適した土地とは言えません。これは以前お話しましたね……。
しかし今年の夏に入ってからというもの、ルオフォンデス地方の降水量は例年の半分以下と落ち込んでいるようです。
川の水位もそうとう下がってきており、干ばつ状態に陥るのも時間の問題でしょう」
「……ふむ」
「一応、信頼のおける魔道士を一人雇って雨を誘発する魔法と土を健康にする魔法をかけさせましたが、ただの問題の先送りにしかなら
ないでしょう。早急に根本的な治水対策を敢行する必要があるかと」
この辺で軽く現在時までの登場キャラのまとめを。
>>205〜からの登場人物です。
■エステル=ヤーファ=レスティン(エステル)
→ヤーファ王国の第一王女。病弱。ヘイストス王国への表敬訪問に向かう構成員の形式上のトップ。
■ラクシス=ヤーファ=ラウナ(ラクシス)
→ヤーファ王国の第二王女。騎士団の軍事顧問を一手に担う剣の達人。ヘイストス王国への表敬訪問に同行。
■ミハル=ヤーファ=レティーナ(ミハル)
→ヤーファ王国の第三王女。奔放な性格の明るい娘。
■シグルド=セイダム=フランヴェルジェ(シグルド)
→代々王家に仕える名家の当主。智勇の武人で王家からの信頼も厚い。
■ダフネス=ヤーファ=ブレナスク(ダフネス)
→ヤーファ王国現国王。老齢で近年は体調を崩しぎみ。
以下、名前だけ出てきたキャラです。
■ミスト=ラーヴァブルー(ミスト)
>>217 →ミハルに仕える世話好きな侍女。
■アレク=ミランダ(アレク)
>>211 →エステル、ラクシス、ミハルに仕える近衛騎士。
シグルドは予算の収支を確認する会計報告などの事務処理も行うが、最もな得意分野は室外に出ての領地の視察だった。
もともと彼は勉学は得意だが好きではない。むしろ乗馬や運動競技をたしなむほうが気分がいいと彼は言っている。
「こちらで腕の良い測量士と労働者を選出しておきますので、彼らの履歴書も併せて提出しましょう。
それらに目を通された上で、土地の改善に向かわせる人材を選出していただければ」
「承知した。下がってよいぞ」
「は。……じゃぁミハルさま。約束の時間には遅れましたが、行きましょうか」
彼は王女に向かってひらひらと手を振ると、踵を返して歩き出した。
それが合図となったかのようにミハルは跳ねるように駆け出し、シグルドに飛びついた。
『うわっ』
『二時間遅れの罪滅ぼし、なんにしましょうか?』
『……できれば、そう値の張るものでないことを祈っております。それさえわかって下されば、もうご自由に』
『はーい』
そして、ヘイストス王国への表敬訪問、出発の日。
私は馬車の中で暖かい紅茶をすすっていた。
この車は不思議と、まったく揺れていなかった。居住空間の広さと揺れが反比例するものが馬車であると話には聞いていたが、
これは意外な感触である。
もともと私は馬車には乗らない。遠出するときはいつも馬に乗って出かけていたし、徒歩というときもあった。
何かにつけて体を動かしておかないと、次の日に体の反応が鈍くなるからだ。室内での行事や祭典が立て続けに行われる年末
年始などは特にたまったものではない。毎年その時期になると脱走したくてしかたがなくなるのだ。
不快だった。退屈だ。つまらない。その思いをまさかいま、ここで味わうことになろうとは思いもしていなかった。
「……では、次は傭兵です……」
この旅の指揮を執るシグルド=フランヴェルジェ卿の言葉も右から入って左から抜けていくかのようだ。
「そちら側の窓から見えるのが、先頭からルヴェル=ミリア。ジョス=グレバン、レイニ=バドラックです」
馬車の中身の構造はいわゆる“対面式”だそうだ。読んで文字の如く、確かにシグルド卿は私と姉上に向かい合うように座っている。
横に長い長方形のテーブルを挟むように長椅子が置かれる配置だった。テーブルにはレースが敷かれ、私たちが座っている
長椅子には凝った装飾の施された絨毯が広げられている。
「逆側にはラク=ウクラ、イーサー=ダン、ゼノンが控えます。
しんがりはアルファルト=カナリス卿が。補佐にはアレク=ミランダが就いています」
透き通るようなガラスがはめ込まれた窓から目だけ動かして外を覗くと、三人の男女が一列になって歩いているのが見えた。
先頭を歩くのは、思わず目を見張るほど美しい金髪を蓄えた長身の女性だった。波のかかった髪をうなじの辺りで一本に
まとめている。飾り気のない茶色の衣装はところどころ汚れて破け、一種の清楚さ、といったものを殺しているようにみえる。
その後ろ、列の真ん中を行くのは、肩からつま先にまで届くかといった外套を羽織る、くすんだ金髪の男だった。
彼は窓から覗く私の視線に気付いたのか、体を少しこちらに向けて片手をひらひらとこちらに振ってみせた。それを見咎めた
うしろの男が彼を小突く。くすんだ金髪の男――ジョス=グレバンはやれやれといった感じで肩を竦めると、また体を元に戻して
歩いた。
最後尾についているのは、30代後半程度の、いかつい顔をした大男だった。目尻を斬るようにつけられた刀傷が特徴的だ。
ちくちくと生やしたあご髭と、皺の寄ったバンダナのせいかも知れないが、常人では近寄りがたい雰囲気を持つ男である。
それこそ暗い夜道で出会ったら、たぶん私は悲鳴……をあげるかどうかはわからないが、とりあえず一歩後ずさる。
「後方には軍医のジョネス女医らが控える馬車もおります。有事の際は彼女らに連絡を」
「承知した」
目を返して、私は正面のフランヴェルジェ卿に視線を戻した。
「……ひとつ、お尋ねしたいことがあるのですが……?」
おずおずと小さく肘を曲げて挙手したのは、私の隣でぼーっとしていた姉上だった。
「姉上。あまり喋られてはお体が」
「外でわたしたちを守ってくださってる傭兵のかたがたには……馬は支給されないのですか?」
私の心配の言葉はやんわりと流された。
232 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/15(土) 18:15:00
続きマダー? チンチン
233 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/02(水) 18:27:16
>>◆5GHcZDkbag
この流れって
>>61と矛盾してないか?
ドーターを旅立った一行は、ヤーファの隣国ヘイストスへの入国を果たした。
しかし、そこに待ち構えていたのはダロス王の放った刺客、油気三兄弟であった!
三兄弟の卑劣な罠に嵌り、逸れ逸れになってしまった仲間達。
それは戦力を分散させようとする三兄弟の策略なのだ。
恐るべし油気三兄弟!
果たしてレバン達はミハルを守りきる事が出来るのか!?
ミハル達の運命やいかに!!!
___∧∧ 先に謝っておきます。
/\ (;゚∀゚)\ …まさか3人姉妹の間で百合の花が咲くとは思ってなかったんです。ごめんなさい。
\/| ̄∪∪ ̄|\
>>232 \|
>>1 .| もっと褒めてください。なんて……。
 ̄ ̄ ̄ ̄ でも褒められるとやる気は出るんでもっと褒めてください。
>>233 ああっ、作中の伏線を明かさないで。
ええそうです。全部フランヴェルジェ卿のせいですよ。ええもう。
彼の行動一つ一つとジョス(レバン)の動きに注目です。このプロローグは。
>>234 ……どう料理しましょうか。
――ここヤーファ王国は他国と比べると教育制度が徹底しているほうではあるが、それでも地方の
住民の中には成人でも言葉の読み書きができない人間が少なくない。
いまでこそこの教育制度が整えられていられるからよいというものの、以前のヤーファは言語の
発音の訛りのおかげで東と西ではそもそも会話が成立していなかったともいわれている。大陸の
文化の最先端を行く文化国、とはいっても末端にまでその通称が浸透しているわけではないのだ。
まして、乗馬のような貴族のたしなみ、“高級な遊び”が民間に普及しているだろうか?
「傭兵とはいえ彼らも元を辿れば民間人です。
戦闘でも通用する正当な乗馬技術はおろか、馬の背に腰を落ち着けることすら難しいでしょう。
農民が家畜として馬を飼育するのは珍しくないことですが、多くもありません。
馬を飼っているからといって乗れるとは限らないのですしね……」
と、フランヴェルジェ卿は説明した。
姉上は途中で話の要所が理解できたらしく、眠ってしまった。
卿はそんな姉上を横目で捉えると、一瞬だけ目元を緩めてみせた。
昼飯時になると馬車が止まり、一時間の休憩が取られた。
場所はまだまだヤーファ領内である。日程は姉上の体調を慮って余裕をもって編成されているので
急ぐ道中でもないのだが、長く待たされるということ。それが私にとっては少しわずらわしくもあった。
少し出てくるから姉上を見ていてくれ、とフランヴェルジェ卿に告げ、私は愛用の長剣を腰に吊るして
外に出た。
辺りは一面の草原地帯で、舗装された街道が筋のように走る以外はまさに緑一色だった。
天気は絶好の快晴。9月も半ばを過ぎ、年内ではもっとも過ごしやすい時期にすでに入っている。
馬車は街道から少し外れた脇に列にして停められていた。荷を引く馬も今ばかりはくつろいだ様子で、
だらしなく足元の雑草を食んでいる。
少し離れた広葉樹の木の根元では護衛の傭兵が好きに雑談に華を咲かせていた。
……平和だった。
「今が……」
誰にも聞こえないようにして私はそっと呟く。
「ずっと続けばいいのにな」
もちろん、退屈なのは嫌だ。身体は動かしたい。剣の訓練もそうだが、乗馬や運動競技など……。
そうやって、自身の力量の多寡に一喜一憂して、これといった争いもなく日々を過ごす。
なかなか魅力的なプランに思えた。そしていつかは、……死ぬ。
あれ、トリップ一緒だ
___∧∧
/\ (;゚∀゚)\
\/| ̄∪∪ ̄|\
>>238 \|
>>1 .| はっ!? トリップが安直すぎたのでしょうか、それともとりっぱーを回されましたかッ!?ここここ、っと。
 ̄ ̄ ̄ ̄
>>239 それは即ち、「続き書いて」→「続き読んでみたい」と拡大解釈してよろしいのでしょうか。
……よろしいんですねッ!?
>>237・続き
だが、それこそ自然の摂理である。本来あるべき人間の正しい姿なのではないだろうかと私は思う。
私は姉上ほど頭が回るわけではないのでそう難しいことはわからないのだが……そうやって生きている
自分をなんとなく頭に思い浮かべただけで、なんとなく良い気分になれる。これが幸せ、というやつか。
ちょうど日陰になっている場所に隠れるようにして馬車の裏手に回る。過ごしやすい時期となってきた、
といっても今日は陽射しが強く、少々暑い。上空でかすかに流れていくそよ風と小鳥の鳴き声が紡ぎだす
楽曲はその暑さをちょうど打ち消してくれる清涼剤となってくれている。
「ラクシス様?」
突如として私を呼ぶ声にすこしだけはっとした。
「ご休憩中ですか? もしお望みになられるなら、飲み物でもお持ちいたしますが……?」
私とつかず離れずの場所で腰を折っている中背の青年の名を私は知っている。
「いや、いい。気持ちだけありがたく受け取っておこう。顔を上げてくれ」
短い返事と共に背筋を伸ばした青年の表情は、多感な青年期に位置している年齢にはあまりふさわしくない
抑揚に欠けた平板な無表情だった。
姓をミランダ、名をアレク。私の妹、ミハルの身辺の世話役を務めてくれている若い騎士だ。
彼は生粋のヤーファ騎士ではない。彼は最近――といっても80年ほど前のことだが――ヤーファ王国から
独立した都市ソラディアの出身である。外様の正騎士だ。
ソラディア地方はかの昔はヤーファ王国の植民地であったという歴史がある。
それが……まぁ色々あってヤーファに併合され、独立した。
まぁ、そのくだりの歴史はいまはどうでもいい。
「ミハルのほうは、どうだ? また君にあらぬ八つ当たりをかけてはいないだろうか」
気になるのは、こっちだ。
ミハルの身辺の世話は彼と侍女であるミスト=ラーヴァブルーの二人がそのほとんどを交代で
受け持っている。が、生憎とミハルの“勢い”は彼ら二人がどう健闘したところで止められるものではない。
時にひとたび機嫌を悪くするとひどい。想像するだけで頭の奥のほうが痛くなってくるほどだ。
考えても頭痛がひどくなるだけなのでこれ以上は言わないが……機嫌を損ねたときのミハルを見た者は、
その外見だけの容姿とのあまりの差異に、落胆の色を隠せないという。
「今回は、なんとか。フランジェルジェ様が巧みにミハル様の機嫌をとって下さいましたので」
口調こそ丁寧そのものであるが、彼の表情にはうっすらではあるがミハルの暴挙から一時であるが解放
された心理的な開放感……すなわち、“あーやれやれ”が浮かんでいるのが見てとれる。
「ははは、その様子だとだいぶ苦労しているようだな」
「かなり」
少しおどけた表情になって肩をすくめる彼の様子がおかしくてつい声を上げてしまう。
というかトリップって#の後の8文字で決まるんですね
僕知らなくて10文字入れてて最後の2文字をやや複雑にしてたつもりだから、
トリップでググって見たらなんかたくさんヒットしたんで不思議に思ったんです。
んでちょっと、ここに書き込んでみたわけです。
続・
>>242 士官アカデミーでの養成を経て正騎士となり、王宮に勤めるようになった彼は外様で
あることを理由に貴族の子弟や直属の騎士などにはあまり受け入れられなかった。
士官学校にいた頃はそうとう陰湿な嫌がらせなどを受けていたそうだが。
反面、その深い見識と幅広い視野、細かい面に目が行き届くマメな性格は老練の重臣や騎士団長
などに高い評価を得ていたそうだ。剣の腕も確かで、一定の調子を崩さずに堅実に攻める
その戦い方は足を止めての斬り合いではアカデミーではほぼ負けなかったそうだ。
そして王宮に勤めるようになり、あるできごとをきっかけに私の妹、ミハルの周辺を守る
近衛騎士に任命され、以来、ミハルが起こすあんなことやこんなことの後始末に追われている。
彼がミハルの近衛騎士に任命されたのはおよそ一年前と、そう昔のことではない。むしろつい
最近の話である。
だが、彼の平板な無表情の裏にある苦悩と苦悩と苦悩の色はその“一年”という言葉一つでは
語りつくせないほどの……思い出があると、物語っているように見えなくもない。
245 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/06(金) 08:08:49
age
___∧∧
/\ (;゚∀゚)\
\/| ̄∪∪ ̄|\ 自分以外の書き込みがあるとやる気が上昇してスレが伸びます。「age」でも。です、うふふ。
\|
>>1 .|
 ̄ ̄ ̄ ̄
>>246 太陽板のカチュアスレは数度見たことがあるのですが、果たして自分は何をすればいいやら。
右も左もわからぬおっぺけぺーがすぐに参加しても悪いのでしばらくの間見学させていただきましょうか。
そちらのスレにこのトリップを持つ人間が現れたら、そのときはよろしくお願いします。
続・
>>244 一国に仕える騎士であるという立場上、彼自身も戦闘訓練や王宮の警護などの雑務が山のように
その両肩にのしかかっているハズなのだが。この雑務に加えてあの奔放な妹の付き添いまで務める
となると、常人なら一ヶ月ほどで音をあげてしまうことだろう。事実、そうして肉体的、精神的苦痛に
参って倒れていった騎士は数え上げていくとキリがない。
この状況を改善しようにも父上は誰よりもミハルを愛して止まらず、叱りつけることをしない。
まして他人の言うことをまるで聞かないミハル本人の悪性もあって、もうすぐ成人を迎えるというのに
彼女はまるで10とちょっとの少女のような気質である。そろそろ私の周りの人間もこの事態を重く見始めて
いるようだが、父上の溺愛のしようがあまりにも激しくて表立って事を表面化することができない。
「あのお方を更正させることのできる人間が現れたら、私は無条件でその人間を尊敬いたしますよ」
私も同じ気持ちである。
「まぁ、せめてこの旅の間だけは羽を伸ばすといい。休暇の旅行と思ってくつろいでくれていいぞ」
「ありがたきお言葉」
丁寧に一礼すると、アレクは自らの仕事場に戻っていった。近衛騎士といえども下士官には違いない
彼には、馬の世話や付近の哨戒などの仕事が山のようにあるのだろう。
――今度、姉上にもう一度頼んでおかねばな。まったく、出来の悪い妹で申し訳ない。
今回の目的地、ヘイストス王国へは約三週間の道のりだった。
旅は順調で、10日目には全行程の半分を踏破することができた。
入り口の税関を恙無く通り抜けた先は、大陸の中央部に位置する世界最大の貿易都市であり無統治国家。
自由都市ドーターであった。
「ちょっとマズいことになりましてね」
そういって円卓に地図を広げたのは傭兵であり、腕利きの魔道士のジョス=グレバンだった。
少しくすんだ金髪と碧眼を持つ整った顔立ちの青年である。魔法使い特有の陰気臭さは彼にはなく、
どこか人好きのする雰囲気を持つ男だ。それと同時に、当たり障りのなさそうないい加減な感じも存在している。
「フランヴェルジェ卿の指示によりちょっと先を見てきたんですけどね。
ドーターとヘイストス王国の国境となっている川が……そう、ここです。ここが連日、ヘイストス地方で
降り続いている雨により決壊してしまったらしく。現在、ドーターの自警団により一帯が封鎖されてしまっている
らしく、一切の通行は許されない……と」
ドーターに入ってすぐに位置していた宿の最上階の一室である。私たちが宿泊する施設は別の場所にある
のだが、何かあったときのためにと作戦本部として借りている部屋だ。
「川の水が市内に入ってくることは有り得ないとのことですが、氾濫が止まるのに数日かかるとのことで……。
現在、当局が総力を上げて被害の防止に努めているそうです。しばらくの足止め、ですね」
250 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/15(日) 19:15:49
余計な混乱を招くことのないよう、この旅に随伴する者たちはそれぞれで別の宿を取ることになっている。
いきなりヤーファ王国の王女が大所帯でおしかけたとあっては大きな騒ぎとなる。まずないとは思うが、
その混乱に乗じてヤーファをよく思わない人間が刺し違える覚悟で向かってこないとも限らない、のだそうだ。
特にここは王国制度を取っているわけでもなく、自警団はあっても自治体はない無統治国家である。
さまざまな思想を、それぞれの価値観を持って是とする人間の集まる自由都市である。
そういった彼らを刺激しないようにとの措置であった。私とアレク、それに傭兵のゼノンがドーター中央部の
商店街の一角にある宿。エステルとフランヴェルジェ卿、傭兵のジョス=グレバンが閑静な住宅街の外れにある
小さな民宿。あとはてんでばらばらといった感じだ。王族には最低限の護衛をつけるらしい。当然か。
私たちがいるこの部屋は、何かあったときのためにとフランヴェルジェ卿が借りた高級宿の最上階の一室だ。
なにか急を要するような事態が起きた際などに、と彼は言っていたが……。なるほど、役に立ってくれた。
滞在2日目にして早くもここの世話になるとは思っていなかったが。
「まぁ、天災に遭ったと思ってあきらめたほうがいいんじゃないでしょうかねぇ。事実、天災に遭ったわけですし」
傭兵のレイニ=バドラックはやれやれと肩をすくめて入り口のドアのノブに手をかけた。
「消耗品の補給などが必要なら、ちゃっちゃと済ませておくことをおすすめしますよ」
「バドラック。まだ会議は終わってないんだけど?」
「いらねェ」
ジョスの引き止めの言葉を軽く一蹴すると、彼はそのまま出て行ってしまった。
過去編長過ぎ。
ちゃんとこのスレ内で完結するの?
___∧∧
/\ (;゚∀゚)\ 後先考えられない人間って、自滅しますよね。そう、このスレの
>>1とか……。
\/| ̄∪∪ ̄|\
\|
>>1 .|
>>252  ̄ ̄ ̄ ̄ 過去編というか、完全にこっちがメインになってしまってますね。申し訳ないです。
まぁ、当時の何も考えてなかったおっぺけぺーなプータローの頃、ちゃんと覚えて反省してますよと。
世界観とか、時代背景とか、そういったものをきっちりと確立するためのプロローグということで。
要するに、本編でそれらを語りきることのできないダメ物書きの逃げ口上という……以下略。
スレ内完結は…… 無理かと。
続・
>>251 「ちょっ、バド!? お話はまだ終わってませんよ!」
「うるせェ、お前は俺のおふくろか!」
「……あら、つれないお言葉」
さすがに扉の向こうのバドラックには呟くようにして言ったその台詞は聞こえなかったようだ。あるいは、
ジョスの軽口にある程度本気で腹を立てたか。恵まれすぎと言っても過言ではない彼の体格と悪人面は
まったく、私の予想を裏切らなかった。
そしてその予想が確信へと変わったとき、彼に対する明確な嫌悪感があらわになるのを感じる。
……短気な人間は、嫌いなのだ。
「まぁ別に、大したことではないのですがね。
どうせこの街にある程度の期間滞在するのですから、要りようになる消耗品などは買い込んでおかないと。
あとは、精神的疲労に負けないだけの鋭気を養っていただいて。改めて申し上げるまでもないことかと存じますが」
「質問いいかな? 魔道士ジョス=グレバンくん」
ジョスの説明割って入ってきたのはフランヴェルジェ卿だ。
目の前に私がいるからだろうか、彼はずっと椅子に腰を下ろしもせず、直立不動の体勢を始終保っていた。
そんな彼をなんとなしに視界の端で捉えた、その瞬間。私の背中を、ぞくりとなにかが駆け抜けた。
彼の、ジョスを見る目が。
目。目が、瞳だけが。
違うのだ。
どこがどう違うのかはわからない。私以外の第三者からすれば、私のほうがおかしいのかも知れない。
足が萎えてくるのを心の中で叱咤激励してなんとか踏みとどまる。
射抜かれるような視線、というわけではない。冷え切った一瞥などでもない。殺気なども微塵も感じられない。
しかし、何か……。身体の内側から揺さぶられているかのような、この感覚はなんだ?
これまで何回も剣による試合を重ねてきた。時には、命に関わるくらいの致命的なケガをした時もあった。
その時、自分はこんなに震えていたか?
自分の何倍もあろうかという戦士と対峙したことだってある。
その時、自分はここまで怯えていただろうか?
彼の、シグルド=フランヴェルジェの、瞳。髪と同じ緑色。冬に打ち勝つ、春の色。
見る者に安らぎさえ感じさせるその色……。今は、とてもそうは思えない。
見たくない。でもなぜか、身体が動かない。何か見えない布で全身を巻かれているかのように、足の指先
から首関節までが、まるで反応してくれないのだ。まるで自分が、別の生物になってしまったような。
なのに、膝が笑い出す。なにかがカチカチと鳴っているのが聞こえる。その音が自身の歯が噛みあう音で
あると悟るのに一秒もの時間を要した。
「……うぁ」
ふっと、全身から力が抜けた。視界が白く染まる。一瞬の刹那に現実とそうでない場所との境界が
曖昧になって。しかし同時に、心地良くもあった。
そんな中で、このまま倒れたら、床に頭を打ち付けることになる、と考えた。痛そうだ。
打ち所しだいでは記憶の一つや二つは飛ぶかも知れない。
そんなことを考えながら、せめてその衝撃に備えようと意識だけは五感すべてを総動員して。
しかし、その衝突は――来なかった。
>>◆KKI0EmBLeM
そもそも完結までの大筋は把握してる?
257 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/13(木) 12:54:43
ほう
flkd;gf
twtle:
ert;:ert;wert;
]ter;lwe:trlwe:
wetelt:45456
259 :
◆Iib/K.IbhY :2006/07/09(日) 20:47:43
a
260 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/08(金) 19:26:49
残飯
261 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/25(月) 08:44:49
アスペルガー残飯、諦めて働け。おまえに小説は無理だって。
262 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/15(水) 07:08:08
このスレ乗っ取っても良い?
>262
プレゼンしてみれ
264 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 04:06:14
265 :
名無し物書き@推敲中?:2006/12/08(金) 14:26:25
オレルアンの弓騎士ザガロ様が265ゲットだ!!
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| ラ
>>1アン トロトロ歩いてんじゃねーよ(w
| | ̄| |
>>2−ナ ユニットでもねぇくせに出しゃばんな(w
| | ̄ ̄ ̄ ̄ | |
>>3シェイル 盾が無かったら一撃でお陀仏だな(w
| | お | |
>>4−ダ ヘタレ王子と一生いちゃついてろよ(ゲラ
| | 好 | ┥
>>5−ドン 弟と一緒に最後衛でくたばってな(w
| | み | | カシ
>>6 母が病気? 病気なのはテメェだろ(プ
| | 醤 | |
>>7バール ロンゲうざい、切れ
| | 油 | | ミネル
>>8 飛行ユニットは全部俺の経験値だな(ワラ
| | | | ビラ
>>9 一緒にがんばろうぜ
| |_____| |
>>10−マス ぶっちゃけお前俺のパクりだろ(w
|_______.|
じゃあこれから俺がつくった直木賞受賞作を発表していくことにする場にしようかと思う。
>>266 紋章騎士団を日本文学の最前線にデビューさせるんだね。すごいっ!!