【雰囲気は】紋章騎士団【ファイアーエムブレム】

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137 ◆5GHcZDkbag
「へぇ、すげぇなぁ……」
 その頃、闘技場の中、観戦客用のスタンド部分に腰を降ろした者がいた。
 1人は緑色の髪。薄汚れてはいるが立派な白銀のマントの下には厚手の鎧が見え隠れしている。
 もう1人はやや黒みがかった赤色の髪。美しいとは言えぬ色ではあるが、彼もまたマントの下に鎧を隠している。
 最後の1人は……一転して、小柄な少女のようだった。明らかに長そうな髪を何故かバンダナで隠し、2人の男に
挟まれる形で座っている。
「それより大丈夫なのか?……お前の読みは全くアテにならんと誰でも知っていただろう。確か、10回賭けて勝ち数
が多い方がミハル様に何かおごる……だったか。確実にお前が損するぞ、いいのか?」
 緑髪の男が赤髪の男に言った。その手には、今後の試合の対戦表が書いてある紙が握られている。
「何をぉぅ!?舐めるなよ、俺は賭け事は好きだが得意じゃないんだ!!!!」
「……ダメですわ」
 すかさず少女が突っ込む。
 緑髪の男はフ、と小さく鼻を鳴らし、手にある紙に目を通す。
「しかし珍しいな。トーナメント形式か」
「そうだなぁ。普通の闘技場じゃ気まぐれに対戦相手が出たり入ったりしてさ。トーナメントなんてできやしないよな」
「流石、貿易都市って事か。それだけ人も集まるのだろうな」
 緑髪の男はフム、と口の中で呟き、再び手元の紙に目を落とした。
「ん?まさかこれ、」
 その疑問の声に、隣の少女も手元の紙を見た。
「あら―――あらあらまあまあまあ。これってまさか……」