ドラえもんの最終回を捏造するスレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
363名無し物書き@推敲中?
@
『ドラえもん のび太の罪と罰』

〜プロローグ〜

富士見町の繁華街の外れで、一人客引きをする少女がいた。
呂律の回らない口調で、道行くサラリーマンを必死に客引きをしている。
焦点の定まらない視線や、ふらつく足取りを見れば、彼女が普通でないことはすぐに分かる。
肉の削げ落ちた頬や、落ち窪んだ眼窩、それと年のわりに乾燥した素肌など、明らかに薬物中毒の症状が見られる。

「お客さん、2時間1万円でどうですか?お兄さん?」
サラリーマン風の男は、その少女の危なっかしい様子を見るなり、足早に立ち去った。
それに追いすがろうと少女は駆け出した。が、足がもつれて倒れる。

「えへっ!今日は中々お客さん付いてくれないな?」
彼女はあの源静香ちゃんのなれの果てだった。
そこには日本中の少年達を熱くさせたパンチラヒロインの面影はなかった。
今はただ、行きずりの客を相手に小銭を稼ぐヨタカに過ぎない。
364名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 20:59:16
A
彼女を今の悲惨な境遇に貶めたのは、あののび太である。

甘言を用いて静香ちゃんをその気にさせ、散々その若き肉体を玩んだのはあののび太だった。
その後ジャイアンやスネ夫から金を取って静香ちゃんを抱かせ、さらにはシャブ漬けにしてソープに飛ばしたのだ。
その稼ぎまでも巻き上げたのび太は、身も心もボロボロになって客が付かなくなると静香ちゃんをあっさり捨てた。
愛する人に捨てられてしまった静香ちゃんは、自殺未遂事件をたびたび引き起こした。
つい先日も硫化水素を用いた自殺を試み、危ういところを出来杉くんに救われたばかりなのだ。

別の労務者風の男に静香ちゃんは声を掛ける。
その労務者風の男はまとわりつく静香ちゃんを軽くいなし、近くにいた売人から覚醒剤を購入した。
グラム単位で2万円と、最近は相場が落ち着いている。
少しくしゃくしゃになった福沢諭吉を5枚ほど売人に渡すと、その浮浪者は再び歩き出した。

静香ちゃんはフラフラとした足取りで、その労務者風の男の後を追った。
「のび太さん、のび太さんなんでしょ?私、静香よ」
覚醒剤の影響ですっかり肉の削げた頬に、無理矢理笑顔を浮かべて男の肩にもたれかかる。
その労務者はすこし面倒くさそうな表情をしたが、仕方がない、といった感じで静香ちゃんの腰に手を回した。
そのまま二人は近くのラブホテルに入る。

今夜は、この男が彼女の「のび太くん」になるのだ。

ただのスレた娼婦に成り下がったかつての国民的ヒロインは、誰とも分からぬ男と今夜もセックスをする。
僅かな金と、我が身を滅ぼす覚醒剤のために。
365名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 20:59:58
B
〜第一章 ドラえもん のび太のもはやこれまで〜

「ジャイアンがいじめるよぉ」
今日ものび太くんが泣きながら懇願するので、ドラえもんは仕方なく不思議なポケットに手を入れた。

困ったときにはドラえもん、それがのび太のルールだ。
少し困り顔でポケットを探るドラえもんの姿を見て、のび太くんは泣き落としが上手くいったとほくそ笑んだ。

今日、のび太くんはジャイアンの店の権利書を奪って登記の名義を書き換えてしまったのだ。
さらに甘言を用いてジャイ子を騙し、ジャイアンを連帯保証人にしてブラック金融から多額の金を引き出してもいた。
現在、激怒したジャイアンは血眼になってのび太の行方を捜している。このままだと発見されるのは時間の問題だ。
とりあえず換金した3000万円ほどの現金と、無記名債券の束を手にし、のび太は高飛びしようとしていた。

行き先はルクセンブルグ。そこは裏金パラダイス。
この火傷しそうなブラックマネーを信託投資にぶち込むと、国営銀行がきれいさっぱりクリーニングしてくれるのだ。
この上がりで俺はモナコのカジノで豪遊するんだ。
そしてパリの赤線でパリジェンヌを買いまくって枯れるまでセックスするんだ。

のび太の期待と股間はパンパンに膨らんでゆく。
366名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:01:14
C
静香ちゃん、誰それ?
ああ、このあいだ無理矢理に堕胎させて借金のカタにソープに売り払ったあの淫乱娘か!
もう俺はあんなロリ娘なんぞ興味ないって、冗談よせよ。
俺はこれからパツ金巨乳のパリ娘とシャンパンセックスする男だぜ。
あんな小娘なんぞシャブ漬けにして花電車芸で温泉ストリップ周りでもさせてろっての。

それよりドラえもん、はやく秘密道具出してくれよ。なにやっているんだよ。
早くしないとジャイアンが俺を殺しにくるんだよ。
下手すりゃ極東会も俺を消しに動き出してるかもしれないんだよ。

そうイラつくのび太の目の前で、ドラえもんはモタモタとポケットをまさぐり続ける。
痺れを切らしたのび太は遂にドラえもんに怒鳴りつけた。
「もう何やってるんだよドラえもん。僕のことが大事じゃないのかい?」
そしてのび太はスーツの裾を少し広げ、胸ポケットに突っ込んだ札束を少しチラつかせた。

報酬だぜ、そう匂わせたつもりだ。
人間もネコ型ロボットも所詮は金で動く、のび太はそう確信していた。
もちろんのび太はそんな金を渡すつもりなどない。
秘密道具を出し次第ドラえもんは殺す、その積もりであった。
367名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:02:24
D
「あ、あった!」
遂にドラえもんが叫んだ。

「ほんと!ドラえもんありがとう!」
感謝の言葉を述べつつも、のび太は胸の奥のホルスターに吊った拳銃に手をやる。
ドラえもんが秘密道具を出した瞬間に、ドラえもんを射殺するつもりだ。

興奮するのび太の目の前で、ドラえもんはゆっくりと秘密道具を取り出した。

「ちゃちゃちゃ!レミントンM870ショットガン!」
ドラえもんの手に握られた黒光りする凶器…のび太の表情が一瞬緩む。
追いつめられた今、血路を切り開く確かな相棒としてこれほどふさわしい道具はない…ドラえもん、ありがとう。
のび太はドラえもんの握るショットガンに、ゆっくりと手を伸ばした。

その瞬間、ドラえもんは素早くショットガンを構え、のび太に銃口を向けた。

「…えっ?」
唖然とするのび太。目の前の光景が信じられなかった。
「な、なんだようドラえもん?どうしてボクに銃口を向けるんだよ?」
のび太は拳銃を掴んだ手を止めた。怯えた表情でドラえもんの顔を見返す。
368名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:09:17
E
そこにはいたのはいつものドラえもんではなかった。
あのほがらかな笑顔を浮かべ、いつものび太のことを優しく見守ってくれたドラえもんの面影など何処にもなかった。
鬼畜、そんな言葉がお似合いの一匹の野獣がそこにいた。

「ド、ドラえもん?」
「のび太、貴様が3000万の現金と総額一億の株式を持ってることはお見通しなんだよ。とっととそれをよこしな!」
ドラ声でのび太に怒鳴りつけると、ポンプアクションで散弾をチェンバー内に装填する。

「それにな、のび太、お前がケイマン諸島の口座に合計1億5000万の隠し資産を持ってることも知ってるんだ。
しかもその金はスネ夫を騙して親父に横領させた子会社の運営資金だってのも俺は知ってる。
のび太観念しろよ。昨日自殺未遂を引き起こして意識不明の重態に陥った静香ちゃんのためにもな!」

ドラえもんはショットガンの銃口をのび太の鼻先に押し付けながら、のび太の懐にあった拳銃を引っ張りだす。
「こんなちゃちい拳銃で俺を殺そうってのか?俺は未来のネコ型ロボットだぜ、全身防弾なんだよ馬鹿!」
せせら笑うドラえもんの目の前で、のび太は呆気にとられていた。
369名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:10:23
F
それよりも、静香ちゃんが自殺したって本当か?
市原のデブ社長が経営する新風俗にマゾ調教済みの静香ちゃんを売り飛ばす契約のことが脳裏を過ぎった。
国民的ヒロインの脱糞マゾプレイをいたく気に入った変態社長からは前金をしこたま貰ってある。
あの市原のヤンキー上がりもまた極東組の盃だ。不義理は直ちにタマに関わる。

のび太の額に冷や汗が浮かぶ。

そんなのび太の表情を楽しそうに眺めながら、ドラえもんは金の詰まったバッグを取り上げた。

「ジャイアン、全部済んだぜ。入ってこいよ」
ドラえもんが廊下の方に向かって声を掛けた。

ジャイアン?ジャイアンだと!

扉がゆっくりと開く。薄暗い廊下に人影が映し出される。その人影に部屋の明かりが射し、その容貌を明らかにした。

そこにはジャイアンがいた。
顔が赤銅色に染め、憤怒の眼でのび太を睨みつけるジャイアンが立ちはだかっていた。

その手には釘バット。
野球チームのスラッガーであるジャイアンは野球の流儀に乗っ取ってのび太を始末しに来たのだ。
370名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:11:29
G
「のび太、よくも…よくも貴様!」
ジャイアンがのび太に歩み寄る。

一瞬、のび太の脳裏に幸せだった小学校時代の思い出が浮かんだ。

学校の放課後に空き地に集まり、草野球をして遊んだあの幸せな日々。
空き地にはジャイアン、スネ夫、出来杉君たちがいた。みんなのび太の方を見て笑っている。
「のび太さ〜ん、早くぅ!」
静香ちゃんの声がする。眩い夏の日差しを浴びて、満面の微笑みを浮かべてのび太に手を振っている。
二度と返らない、少年の夏。

それがのび太の最後のイメージだった。のび太は少し笑った。
その瞬間、頭蓋骨が砕ける音を聞いたような気がした。

記憶はそこで途切れた。

そのままのび太は真っ暗な世界へ落ちていった。
371名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:13:24
H
〜第二章 のび太の煉獄の魂〜

1.静香

退院後、ラブホで客のペニスをくわえているとき、静香の携帯が鳴った。
忙しいのになによ、と慌てて電話に出た静香は、そこで信じられない事実を聞かされた。

「えっ?のび太さんが……生きてるですって?」
静香はショックのあまりそのまま携帯を落とす。
客が不審がって静香の股間をまさぐるが、普段淫乱の静香ちゃんの股間も今日は何故か乾いたままだ。
いやらしく絡みつく客を足蹴にし、静香ちゃんは服を着てラブホを飛び出した。
タクシーを呼び止め、病院へと向かう。

「あの男、あののび太が生きてるなんて、そんな!」
タクシーの中で悔しさのあまり泣き出す静香ちゃん。

彼女の人生をボロボロにした憎き男、野比のび太。憎んでも憎みきれないあの男。
しかし彼女の操を奪い、彼女を大人の女にした男でもある。

愛憎交じりの激しい感情が、静香ちゃんの心のなかでせめぎ合う。
「いっそ、私の手でのび太さんを…」
静香はタクシーの中で呟いた。
372名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:14:53
I
2.ジャイアン

「えっ?のび太の野郎が生きてるって!」

剛田青果店を追い出されて家族で四畳半に引っ越したジャイアン一家。
さきほどまで暴れまくっていた借金取りのチンピラに殴られ、その傷に絆創膏を張りながらその電話を受けた。

「そうだよジャイアン、サツ関係の知り合いに聞いたらあいつ生きてるってさ!」
スネ夫の声は震えている。
のび太のせいでスネ夫のパパは会社の資金を不正融資し、業務上横領に問われて自殺したのだ。

「だって、俺アイツの頭蓋骨を叩きわって殺したんだぜ!」
ジャイアンの声も震えだした。
「死んだの確認したのかよジャイアン!俺がやるって自信満々に言ってたじゃん!」
スネ夫は泣き叫んだ。魂の叫びだ。全てを失った男の絶望がその叫び声に詰まっている。
「わ、悪かったよスネ夫。とにかく今すぐに病院に行くよ!」
ジャイアンは電話を切った。

脳溢血で倒れた父、ノイローゼで寝込んでいる母を見た。みな憔悴しきっている。
そしてジャイ子の遺影を見た。
のび太の「結婚してやるよ」という甘言で騙されて権利書を渡し、騙されたと分かって自殺したジャイ子…。
ジャイアンの目に涙が溢れた。

そのまま駆け出すようにアパートを飛び出したジャイアンは、全力で病院に向かった。
「なぜアイツは生きているんだ?俺は確かにアイツの脳味噌が飛び出たのを見たのに!」
373名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:23:55
J
3.パパとママ

生まれたときは可愛い子供だった。
あの日、すくすくと伸びやかに育って欲しいと、その赤子に「のび太」と名づけた。

二人はその記憶が甦り、目頭が熱くなった。
あの時の玉のような笑顔、あの可愛かったのび太が…

どうしてこんなことに。

もはや極東組の手が回り、のび太は逃げようもない、という話をドラえもんから聞かされた。
しかものび太は幼馴染達に手をかけ、彼らを騙して売り飛ばしたのだという。
何度も自殺未遂を起こし、街娼に落ちぶれた静香ちゃんの訴えに、パパとママに気持ちは揺れた。

そこに飛び込んできたのがジャイ子ちゃんの投身自殺の一報だった。
また去年、スネ夫のパパの会社を潰したのも、のび太のせいだという。

このままでは、のび太は悪魔になってしまう。
374名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:30:45
K
「もう、あの子を殺すしか…」ママの一言。
パパは無言だった。そして目線を合わせずに素直に頷いた。
そして二人は、ドラえもんとジャイアンから持ち込まれたのび太殺害計画に同意したのだ。

愛息のび太のこれ以上の堕落を食い止めるために。
愛息のび太の穢れた魂を救済するために。

そして今日、死んだと思ったのび太が生きているという。

何故だ?

どうして?

今生き返っても、なにもいいことなんかないんだぞ、のび太。

相反する親心同士が二人の中で渦巻く。

息子が生きているという喜びと、何故ここで死ななかったのかという気持ちと。
二人はタクシーで病院に向かう間も、終始無言だった。
375名無し物書き@推敲中?:2008/07/07(月) 21:32:10
L
4.病院に集った共犯者たち。

病院のベッドで眠るのび太を、ドラえもんやパパやママが虚ろな目で見下ろしていた。
その背後でジャイアンとスネ夫と静香ちゃんが澱んだ瞳でのび太を見ている。

看護婦の格好をしたドラミちゃんを引き連れたドクター出来杉くんがのび太を診察する。
「のび太くんは助かったみたいですよ」
出来杉先生が言うと、病室中の空気が緊張した。

「?」
その空気を察した出来杉先生は不審に思った。

(息子さんが助かったというのに、なんでこの人たちはこんなに暗いんだろう?)
出来杉先生は首をかしげながら診察道具を仕舞い、回診を終え出て行った。

取り残されたレギュラーメンバーたちは、昏々と眠るのび太を見下ろしながら溜め息をついた。

「どうして生きてるんだよジャイアン。極東会の仕業に見せかけて、ちゃんと頭蓋骨を叩き割ったって言ってたじゃないか」
スネ夫がジャイアンに詰め寄る。ジャイアンは少し戸惑いながらも言い返した。
「仕方がねーだろ。脳味噌をぶちまけてたんだから死んだと思ったんだよ、何で生きてるのかコッチが聞きたいくらいだ」
376名無し物書き@推敲中?:2008/07/08(火) 00:28:57
M
「私だって…」
静香ちゃんが語りだした。
「私だってのび太くんに無理矢理犯されて孕まされて、殺したいほど憎いんだよ。ジャイアンさんに任せたのにどうして!」
遂に静香ちゃんは泣き出した。
子宮全摘出した静香ちゃんは、一生子供を産めない身体だ…そう、のび太のせいだ。

「のび太が死ねば、私達も解放されたのに。なのにどうして?」
パパとママはそう呟く。

「で、どうするよ?今なら誰も見てないよ」スネ夫はみんなに向かって言う。
「どういうことだよスネ夫?」とジャイアン。

「だからさ、いまここでのび太の生命維持装置をちょっといじればさ、わかるだろ?」

スネ夫の思わぬアイデアに、病室内の空気が一変した。
互いに顔を見合わせる…彼らの顔には、諦観と安堵、その双方の表情が浮かんでいた。

みんながスネ夫を見つめた。
その視線を受けたスネ夫は、意を決したように無言で頷いてみせた。

スネ夫の手が、生命維持装置のスイッチに伸びてゆく。
377名無し物書き@推敲中?:2008/07/08(火) 00:30:07
N
スネ夫の手がスイッチに触れようとしたそのとき、突然のび太が反応した。
「助けて…」
呼吸器の隙間からかすかに漏れる声は、確かにそう言っていた。

「…助けてドラえもん。今度は真面目に生きるからさ。」
その声にはっとなり動きを止めるスネ夫。部屋の空気も止まった。

ベッドで眠るのび太の目から、涙が一筋流れ出る。
その涙はゆっくりと頬を伝い、そのまま鬢の辺りに流れ落ちた。

「どうしたんだよスネ夫、早く切ってしまえよ!」
戸惑いを見せながらも、ジャイアンが叫ぶ。

しかしスネ夫は動かない、いや、動けなかった。
散々自分達を騙し、多くの人間を苦しめたそののび太が、今、目の前に横たわっている。
殺したいほど憎んだその男は、今は誰よりも無力だ。
生命維持装置のスイッチを少し動かせば、のび太は確実に死ぬ。
元々瀕死の重傷だったのだから、殺人とバレる可能性も薄い。

しかし…しかし!
378名無し物書き@推敲中?:2008/07/08(火) 00:30:43
O
「止めて!」
緊張した空気を打ち破るように静香ちゃんが叫んだ。

「のび太さんを殺さないで!私の愛する人を殺さないで!」
泣き叫びながら静香ちゃんはのび太に縋りつく。

「のび太さん生きて!お願い!そしてもう一度私を抱きしめて!…私、あなたを本当に愛しているのよ!」
静かな病室の中で、静香ちゃんの鳴き声だけが響き渡った。
病室の隅で、のび太の母もすすり泣きを始める。

スネ夫は一度目を瞑り、生命維持装置のスイッチからゆっくりと指先を離した。
迷いは無かった。

確かに彼は父の仇である。
静香ちゃんの人生を破壊し、ジャイアンの妹を死に追いやり、家庭を滅茶苦茶にした罪深き男だ。

だが、彼には生きてその罪を償ってもらおう、そう思った。

もう一度、のび太の言葉を信じてやろう…それが友情じゃないか。

その後のび太は無事に一命をとりとめた。
のび太の贖罪の日々が始まる。(了)