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うはう ◆8eErA24CiY :
「水」「みちづれ」「夜」「制服」「回路」「日記」
正門をくぐると・・・「バシャー!」受付の女性が水ごりをしていた。
頭から水を浴び、唇が紫色になっても一心に祈り続ける。
なのに会社は平然と、机にはビニールプールまで装備してある。
「制服のブラウスが透けなくて残念です」と言うと、彼女はにこやかに一礼した。
エレベータで社長室に上がると、様々な祈りの声が聞こえる。
「南無阿弥陀佛、南無阿弥陀佛」「父と子と聖霊の御名において・・・」
部外者の自分までも、みちづれにしそうな大合唱。
彼等の思考回路は、一体どうなっているのか?
そして社長室からは、「キェー!」と、精神集中の雄叫びが響く。
「あのー」と切り出すと、白装束の社長はいちはやく叫んだ。
「おお若者よ!よくきた、共に祈ろう」
=== ○○製薬は、皆様の御健康をお祈りいたします ===
看板に偽りなし。健康への祈りは、今日も深夜まで続く。
私も社長に習い、徹夜で般若経を唱えさせていただきました。
・・・と、業務日記には書いておこう。
※なんかむりやりだー
次のお題は:「兎」「月」「空気」でお願いしまふ。
未来、知的生命体があちらこちらの星に居るんだな。
(あの、空気無いんですが……)
おれは宇宙空間に居た。頭の中に浮かぶ言葉は何故か丁寧な言葉遣いだった。
(月が超至近距離で拝めるのはいいのですが、あと数秒で逝きますよ、コレ…)
そんな生き死にの際を体感している時、天使は舞い降りた。
「助けて欲しい? 」
彼は、おれに聞こえるように耳元で話してくれた。おれは頷いた。
おれは、アレなお兄さん兎たちに囲まれていた。
「あ……あの、これは一体…? 」
「とっとと払わんかいコラァ!!! 」
な、何をっ!!? 困惑するおれの前に、さっきの天使――と言っても兎だが――が、おれに歩み寄る。
「これは商売なのよ、お兄さん…この荒んだ世の中にただで人助けをするような感心な人たちが居ると思って? 」
兎だろ、と思いつつも、口には出さなかった。
「で……でも、おれ、お金なんて…」
「そうね、持ってるわけ無いわよねぇ」
堕天使は、そう言っておれに手渡す。これは……?
「最新式の光線銃よ。今からあなたをどこかの星に放つから、そこの生命体を全部始末してきて頂戴。
丁度、事業拡張の為に新たな拠点作りが必要だったとこなのよね」
はい?
「安心して。人間の生きていける環境の星を選ぶから…じゃっ、ヨロシクね〜」
「いや、ちょっと待って!! ちょっ……」
僕は生きて帰れますか?
「果実」「夢」「息切れ」