この三語で書け! 即興文ものスレ 第十四段

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おれの名前は音楽大学。
脳内に無限の五線紙を持ち、無限の五線紙の上に無限の♪を
当て続け、続けさまに音を復元できるという優れた声帯を持っているのだ。
今日もまた脳内で音楽が・・・・・・。ああ、分かってる。分かってるって。そう焦るな。
バカ!焦ってるのはお前自身だろ。お前自分に自信がなくて焦ってんじゃねえのかよ、バカ野郎!

いいさ、俺は・・・・・・ああ、そうだ。今日もラーメンを食べながら呪いの言葉のように悲しい音楽を喉から
つるつると麺が吸い込まれていくと同時に、あるいは吸い込まれるがゆえに吐き出し続けなければならないのだ。無限に。
そうしておいて、どうせ分かってることだ、俺は挑戦という言葉をそこら中に書き付けて・・・・・・バカ!何やってるんだ!
自信だ、自信がない、おれには自信がない。
だからどうしたって?重要なんだ。自信というものが一番音楽に必要さ。
言ってることは簡単だろ。だけど自信を持つというのは一番難しいことであって・・・・・・

間違いない!これだったのだ、おれが待っていたのは!
そう、今日俺はいよいよ会社を立ち上げることになってしまった。だが、やってしまった。取り返しのつかない。
もう俺に音楽は必要ないんだ。一切を否定して、俺が俺であるという、音楽が音楽であるということを否定して、
会社はもう始まってしまっていた。
キーンと飛行機の鳴って、もしくはがさがさと落ち葉の鳴って、そうして俺はどうやらお菓子についているおまけのおもちゃだった。
そうだね。俺はお菓子についているおまけのおもちゃを作る会社を立ち上げたんだったね。
250名無し物書き@推敲中?:03/10/08 03:15
お題忘れた。
夜の勢いで無茶してしまった。

「綿棒」「一人暮らし」「歯痛」
 誰かが見れば滑稽だと思ったかも知れない。しかし男は一人暮らし
でツレも無く、人目を気にしなくて良かったし、気を置けるほどの
余裕もありはしなかった。
 男は50本ほど束にして売っている綿棒を買って帰宅した。ドアを
占めて鍵をかけると、男はやにわに激しい足踏みと身震いを始めて
部屋の奥へと走りこんだ。右手にはしっかりと綿棒の入った袋が
握られて、左手は頬を強く抑えている。
 それは痛みの限界に達した虫歯だったので、男はすぐさま歯痛の元
を抜きに掛かった。ボールと歯に紐を縛り、思い切りボールを投げた
のである。声にならない声が部屋中にこだまし、壁といわず床と
いわず、部屋中をボールが跳ね回った。
 跡からは血が出ていた。男は焦って綿棒の束を取り出すとそのまま口に
突っ込んだ。血を混ぜた涎が塞がらぬ口から垂れ流れ、男は隙間に
ティッシュを詰めた。
 そうして男は窒息した。
一人暮らしは楽だと思っていた。
まず、自由だ。縛るものは何も無く、思うが侭に行動できる。
遅く帰っても注意する人間もいない。
だが、その考えは改めざるを得なくなる。

後ろ手にバタン、と乱暴にドアを閉める。
痛む歯を押さえ、部屋中をひっくり返したが、保険証が見つからない。
思い切り箪笥を蹴ってみるも、歯の所為で思うように力が入らない。
力比べでは箪笥の勝利となり、足を抑えてうずくまる結果となった。
保険証は実家から取り寄せようと考えたが、時間がかかりすぎる事に気付いて止めた。
残った力で床の上を蹴散らして、寝るスペースを確保する。
仰向けになって天井を見る。
次第に、視覚も聴覚もズキズキという痛みに支配される。
急に、「歯痛には正露丸が効きますぞえ」という祖母の言葉が思い出された。
ガバ、と起きると、薬箱から正露丸と綿棒を取り出す。
小さくちぎった正露丸を、黒く空いた穴に詰め込む。
徐々に苦味が痛みを侵食していく。
ふう、と大きく息をついた。
ふと遣った目先に電話があった。
――そういえば、しばらく連絡してないな。
僕はおもむろに受話器を取った。

次は、「鞄」「遅刻」「電車」