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「名門」「養成」「除籍」 :
ボクは運良く出自が良いこともあって
名門の道を歩み出すことを許された。
しかし、ボクはそのことを有難いことだとは思わなかった。
名門というだけあって、その養成課程は熾烈を極め、
ボクはそれについていくことができなかった。
何時の間にかボクはこの特権を得ることができなかった者達を
羨むようになっていた。
ボクも彼らみたいに自由にやれたらいいな・・・、と。
それから数年後、ボクはこの名門から除籍する羽目に陥っていた。
もうここに戻ってくることはないだろう。
でもこれで良かったのだ。ボクはもともとこの道に進むべきではなかったのだ。
翌日の新聞には、世の中を震撼させた連続殺人事件の犯人の
死刑執行が執り行われたという記事が掲載された。
その記事をみながら、人々はこう口にした。
「あいつは人間に生まれてきたのが間違いだったんだ」
次は「フラグメント」「コリジョン」「ますます」でおねがいします。
それは順調な航海の途中、突然起こった。
私の乗る小型客船と大型客船とが回避不可能なコリジョンコースに入ったのだ。
急いで救命胴衣を身に着けると、私は甲板に立った。
救命ボートは押し寄せた人であふれており、乗れる気配はない。迫る影はますます大きくなる。
私は腹を括ると、遠い故郷にいる妻子との思い出のフラグメントを胸に海に身を投げた。
訪れる着水の衝撃。そして、私の意識は闇へと落ちていっていた。
目を開けることに安堵した。生きてる。家族に会える。
体が動くことを確認すると立ち上がり、あたりを見回す。すると視界にそれが飛び込んできた。
眩いばかりのネオンの中に、堂々とそびえ立つ大きな蛍光ピンクの看板には
『ようこそ、天国へ!』とはっきり書かれている。天国から地獄。
私はそこに呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
次は「目薬」「差」「女」でお願いします。
男は古びた薬局に入ると、店で一番「効く」目薬を出すよう女の店員に頼んだ。
目に点し瞬きを三回程すると「真実」が見えるようになるらしい、その目薬は
一般のものより数千円ほどの値段差があったが、男は信じ購入した。
家に帰り、さっそく目薬を点し、ゆっくりと瞬きをした。三回目の瞼を閉じ
そしてゆっくり目を開け周りを見渡す男は、確かに「真実」を見ることができた
ぼ っ た く ら れ た
「火薬庫」「引火」「ポップコーン」