隣の家のヘンテコ変人鬼畜博士が俺にくれた薬があった。
何か知らないが、これ飲むとコップになるらしい。
どうして俺にくれたか理由は分からないが、飲んでみよう。
俺はコップになっていた。
元に戻れるのか? いや、別にいいけど。どうでもいいし。
おや、チン毛がパンツから飛び出してるおっさんが近付いてきやがる。
そういやあ、今頃はサラリーマンが起きだす時間だなあ。
えっ…? おっさん、ちょっとよしてくれ。俺は牛乳瓶じゃあないよ。カルダスじゃあないよ。
うわあ、おっさん、俺を手に持ってトイレに入らないでくれ。
消臭剤臭いのはいいとしても、アンタの一物や排便なんざ見たくもないよ。
せめてその手にもつ新聞で俺に見えないようにしてくれ。不思議だが、俺は今、目をつぶる事が出来ないんだ。
それ以前に、目がないのになんで見えてんだよっつー話なんだが……
んっ…うわっ、臭ッ!! 口をつけるな!! せめて歯を磨いてからだなあ……
ああああ………爪を口で噛むなよ…それ、入れるなよ入れるなよ…やっぱ入れた――!!!
おっさん、ウンコ終ったか? あれ? 窓を開けて……? えっ………? 俺を…………??
なっ……投げるのォ〜〜〜!!!? 外にィ!!? いや、待て、割れるって割れるって。
絶対われっ――
俺は飛んでいる!!
今っ、俺は空を飛んでいる!!!
もうすぐ落ちる!!
最後の輝き――パリン。
「あー……最近、ウンコのキレが悪いなあ………」
ウンコを流すと、おっさんは、そんなことを呟きながらトイレを出た。
そして、手を洗い、メシを食って、また繰り返しの人生を歩み始めた。
外のガラスの破片は、ばあさんがブツブツ文句を言いながら片付けた。
不思議なことに、ガラスはピクピクと蠢いていたという――
次「荒し」「リコール」「MDコンポ」
工学部の俺。工具店から何かしら部品を買い込んで変なオブジェを作るのが趣味。
しばしば電気品を分解することもある。そして勇気を振り絞ってMDコンポを分解しオブジェを作ることにした。
ドライバーを握る手も心なしか震えてる。何せ数万円もした家電に手を出すのは初めてだし
俺はそんな高価なもの失くすほど金銭面で余裕も無い。
しかしそんな状況を吹き飛ばしてまでそれをオブジェに変えたい理由が俺にはあった。
そのMDコンポは欠陥品、つまりリコールされた物だった、ということもあった。
そしてなにより俺のどうにもとまらない芸術的衝動がそれをオブジェに変えたがっていた。
数時間後、荒れ果てた部屋、望んでいたものとはかけ離れている物体。
確かに俺が望んだ芸術品とはほど遠い。でも俺は満足してる。
俺の中で芸術的衝動が金という価値基準を上回ったからだ。
初めての投稿です。駄文だとは思いますが何気に必死で書きました。10分ぐらいかな。
次は「味噌汁」「ビデオ」「鉛筆」でお願いします。
「味噌汁」「ビデオ」「鉛筆」
ナイフで少し削り過ぎた鉛筆をクロッキーの上に滑らせると思いの他なじむ感じがした。
純白の中にも妖艶さと大胆さを潜ませたカサブランカの花。
白百合のようにそそとしているのでもなく、ベアトリックスのような熱情もこもっていない。
しかし、俺はカサブランカのそんな中途半端なところが気に入っていた。
そう、俺が狂おしいほどに愛しているあの女のように。
オレンジ色の花粉を振りまくの葯に濃淡を付けている所で、不意にチャイムが鳴った。
時計に目を向けると、丁度、短針が九の所をさしている。
ドアを開けると、其処には静かな笑顔をたたえた百合香がいた。
「どうせ、晩御飯まだでしょ?それから、昨日いってたビデオも持ってきたわ」
台所には昨晩百合香に作ってもらった味噌汁が鍋に残したままだったので、内心どきりとした。
しかし、百合香は別に気にしている風でもなく、リズムよく包丁を動かし始めた。
「ねえ、またカサブランカ描いてるの?」
「……まあね」
急にカサブランカが振りまく香りに胸が詰まった。
俺に白百合は似合わないからな。
ふいに俺の瞳の奥でカサブランカのようなあの女が、妖艶に微笑んだ。
まぶしい光をたたえた百合香の背中から視線を逸らせ、俺はひたすらカサブランカの花を凝視していた。
☆カサブランカは高いので文化祭のときしか生けたことないです。
次は「炭酸せんべい」「コミックス」「スクールペン」で。
223 :
「炭酸せんべい−コミックス−スクールペン」:03/10/06 15:04
プラハの冬は寒さが厳しい。空気の粒が肌にパリパリと突き刺さるようだ。朝の旧市街
を見たかったが、この路面の凍てつきようでは、少し時間がかかるかもしれない。沙羅は
引き返すことにした。消え入りそうな街灯の光はどこか幻想的で、影の中からいまにも雪
の精があらわれそうな感じだ。チェコではアニメ文化が発達していて、コミックスコーナ
ーなども充実している。陰鬱なイメージのある東欧で、現代のメルヘンともいえるコミ
ックが育ったのは、重い空気と抑圧の歴史への無意識の反発だったのかもしれない。
ふとあたりを見回すと、モノクロの景色の中にマックの赤みがかったオレンジの看板が
見えた。店の中に入ると、婚約者の裕樹が何か薄くて丸いものを光にかざしている。
「やだ、いつの間にこんなところに来ていたの? 」
「へへ、外に出たらあまりにも寒いしね。ところで、さっきさ、新婚旅行中の人にこれを
貰ったんだ。マックはともかく、炭酸せんべいがチェコにあるなんてびっくりだよ」
裕樹は、スクールペンでノートに顔くらいの大きさの輪を描いた。薄黄色の炭酸せんべ
いの真ん中には、プラハの街並みが焼付けられている。
「ここにプラハの街を描き写してしまえば、割れたりしないしね」
沙羅は、コーヒーにミルクを入れながら、裕樹となら一緒に生きていけそうと思った。
次は、「線」「スパーク」「ハンガー」でお願いします。
(れ)
224 :
名無し物書き@推敲中?:03/10/06 15:31
「線」「スパーク」「ハンガー」
ある日、道を歩いていたら住宅街の歩道にハンガーが落ちていた。
クリーニング屋でもらうような針金ハンガーが、アスファルトの上に
はりついている。私は指でつまんで近所のガードレールにハンガーを掛けて
おいた。何となくそのハンガーが地面でホコリまみれになる事が不憫だったのだ。
帰り道、また先程のガードレールに出くわすと、ハンガーはそのままだった。
しかし、ハンガーに割り箸の袋が結びつけてある。「?」なんだろうか。
そのままにして通り過ぎて、私は家に帰った。
何日かして、またその道を通りかかった。遠目で見ると何か白い塊が
ガードレ−ルの上にのっかっている。近寄ってみるとあの時のハンガーに
無数のメモ用紙、割り箸の袋、ストローの袋などが結びつけられているのだった。
外側の白線の上に、黒いマジックで何か書いてある。
『ここに結んでおくと願いが叶います』『いたずらしたらスパークするよ』
私は不思議な気持ちがして、しげしげとハンガーを観察してみた。100以上は
結ばれている。どういう事なんだろうか。突然、人の気配を感じて振り向くと
私の周りを子供達が取り囲んでいた。10歳くらいの子供が前に出て言った。
「スパークする?」「……いや、しない」慌てて首を振る。子供はにやりと笑う。
子供達の目の中には、青い火が灯っていた。転がるように私は逃げ帰った。
**次は「人魚」「薔薇」「船上」でお願いします。
窓の外にはまだ例の市民団体が座っている。
彼らはフランスの核実験に抗議とかで三日前からずっとハンガーストライキをやっている。
なぜ今頃、しかも日本のフランスパン工場の前でそんなことをしなきゃならないのか。
理解不能だ。彼らはそれこそ核実験の放射線で脳がやられてるのかもしれない。
今のところ座っているだけで実害はないが、安心はできない。
カレー屋で連日大声で排泄物の話をしたり、もんじゃ焼き屋で連日大声で嘔吐物の話をしたり、
彼らの悪行は数え上げたらきりがない。
そういえば今朝早く工場の機械の一つがスパークした。
彼らはすでに牙をむいたのだろうか。