「うん、じゃぁ、またねー」と携帯電話を切ったときに
たまたまそばにいた曾おじいちゃんからこう声をかけられた。
「そんなちんまい箱にむかってなぁにをはなしとんなぁ?」
機械嫌いの曾おじいちゃんが機械のことをたずねてきたのが意外で
僕は少し驚きながら「これはね、携帯電話って言ってね、遠くの人と会話できるんだよ」と言った。
「ほぅ、そんな箱でで話せるってーのはあれだなぁ、魔法みたいだなぁ」
なんて曾おじいちゃんが似合わないこと言うから、僕はまた驚かされた。
曾おじいちゃんの家からの帰り道、ポケットから携帯電話を取り出してみる。
人と人とをつなぐ魔法の箱。そう思ったら携帯電話がいつもとちょっと違って見えた。
次は「秒針」「後始末」「帽子」で
リロードミスやってしまいました。・゚・(ノД`)・゚・。 すみませんです。
次のお題は208さんの「ハイライト」「布団」「幼稚園」で。
「そやからブツはとこに隠したって聞いとんのや!」
酒巻の尖った革靴が彼女のわき腹周辺に突き刺さった。
苦しげに体を折り曲げながらもがく彼女を眺めながら私は茶番劇を笑った。
布団で簀巻きにされた彼女にとって、酒巻のようなアル中の蹴りなどさほどの苦しみではないのだ。
「関西弁ってのは漫画みたいだな」
「あ? どういう意味や?」
「うそうそ。ちょっと言ってみたかっただけ」
私はパイプ椅子から飛び降りるとパンツの食い込みを直した。
いくら脅しても彼女は決して喋るまい。ブツを持って愛人と逃げた夫を待つ人妻か。
私は末端価格30万円のうまい棒を持ち逃げした夫に激しく嫉妬した。
ポケットから取り出したクシャクシャのハイライトにマッチで火を付ける。
酒巻のような男にはわざとクシャクシャに曲げたタバコを吸っている私の美学はわかるまい。
「たしかやおきん幼稚園だったっけな?あんたの息子が通ってるのは?」
私の言葉に目を剥き、悔しげに唇を振るわせる彼女はかつてないほどに美しい。私は充足した。
次は「秒針」「後始末」「帽子」で
時の刻みを報せる秒針。刻々と近付く事柄。
私の前では、息も絶え絶えの老人が、間近に見えているであろう死と向かい合っていた。
「頼むぞ……果たしてくれ」
老人のトレードマークとなっている巨大で厚ぼったい帽子が、小刻みに揺れる。
老人は、この世界を統べる者である。この、地下世界を――。
私は、果たさねばならない。
後始末を。
世界の終焉を。
手の中に在る、このスイッチを押せば、地下世界は終る。
『わしが死んだら、この世界を消し去って欲しい』――老人の願いである。
彼が居なくなっては、この世界の存続は不可能。
私は、スイッチを押す――。
次は、「台風」「瓦」「ストーブ」
冬の寒い道場内は、しかし今この時間だけは熱気を放っている。
長身の空手着を纏った男の、その裂帛の気合と――衆人の
見届けようと手に汗握る緊張によって。
それは、台風(ハリケーン)と称ばれる、男の必殺技だった。
身体をねじることによって生まれる遠心力を、
直線の軌道に転化させて繰り出される必殺の手刀。
男が振り上げた手を降ろす。
轟、という音と共に、台風が全てを吹き飛ばした。
強靭なる瓦二十五枚が、文字通り崩れるように瓦解する。
おお、とあがる活声。
それにつられてか、道場内に設えられたストーブの炎も踊る。
「次は四十枚だ」
お題
「氷塊」「火球」「魔術師」
214 :
「氷塊」「火球」「魔術師」:03/10/05 17:28
村の夫婦がある男に必死になにかを懇願している。
男は村一番の魔術師だ。夫婦の娘が行方不明になったので
魔術を使って娘が生きているかどうか、それからできることなら
居場所も見つけてくれ、と頼んでいるのだ。
男は難しい顔をして話を聞いていたが、村人の必死のお願いに心を打たれ承諾した。
夫婦は男の手を握って何度もお礼をして帰っていった。
あくる日、男は手の平から出した火球を大きな氷塊にかざしてなにやら呪文を
唱え始めた。後ろでは夫婦が心配そうな表情でそれを見つめている。
男は氷塊を覗き込みながらこの世のものとは思えない声で喋り始めた。
「見える…見えるぞ。娘は生きている。村のふもとの森の大木の傍で
うずくまっているのが見える」それを聞いた夫婦は大急ぎでその場所へ行った。
男のいうとおり、娘は無事だった。夫婦は大変喜び、男に対して金貨、衣料品、
食料、家畜などたくさんのお礼をした。そして村人たちは一層その男の魔術を信じるようになった。
男は自宅で受け取ったパンをぶどう酒で流し込み、考えていた。
次はどの娘をさらおうかと。
「やらせ」「ガッツポーズ」「からくり」