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「フジ」「織田雄二」「警官」:
あたしの好きなタイプ?。
うーん、『踊る大捜査線』の青島さんとかタイプかも。
え?あんな猿面した警官のどこがいいのかって?
何言ってんの、あの熱い行動力が最高なんじゃない。
それに、あたしサルっぽい顔結構好きかも。
織田雄二以外にもガレッジセールのゴリとかもカッコイイって
思っちゃうし。
え?、あの男はどうかって?
あれは駄目!いくら猿っぽくてもあれは勘弁。
あの極端にしかめた眉毛はちょっとキモイよ。
まるでフジサンじゃないアレ。
いくら世界最強の警察とか言われていてもさー、
ブッシュ大統領はちょっとひくよね。
次は「放課後」「素材」「脱離」でお願いします。
遂に娘が完成した、と男は諸手を挙げて歓喜した。
稀代の天才工学者と謳われた彼は、学会の寵児。
十年前に失った愛娘を実験中の事故で亡くして以来、
彼は娘を「造ろうと」苦心に苦心を重ねてきた。
果たして、その研究は実を結ぶ。造形は完璧。質感も申し分ない。
挙動の機微は彼が記憶を頼りに何年もかけてシミュレートして来た賜物。
外科医が解剖でもしない限りは人外と見抜けるものはいないだろう。
震える手を握り締め、頸筋に誂えたスイッチに手を伸ばす。指が震える。
もう出会うこともなかったはずの娘との邂逅。心臟の鼓動が早まる。
目覚めて初めのランゲージはどうするべきかが分からない。
今の自分は随分と興奮していることを冷静に理解していながらも、
かつての娘にどう接していたかが思い出せない。
否、と頭を振る。今のこの瞬間の喜びに比べれば全ては瑣末。
スイッチに指先が触れた。少々では見咎められないように偽装した
金属質のスイッチは、そこだけが人間ではないことを知らせるもの。
不安もあった。男は目を閉じ、震える指でスイッチを深く押し込む。娘は起動する、はずだった。
鳴るサイレン。研究室に設えたディスプレイの全てが赤く光り、エラーを警告する。
男は終ぞ気づかなかった。過日希望を得たときから心の奥底にしまい込む形で忘れていた。
かつて、彼が娘を失い打ちひしがれていた頃、自暴自棄に造った一つの機械。
研究室を巻き込む形で己が造り上げたもの。
男の全てたる愛娘の頸筋の真横、娘を乗せた台に組み込まれた、男の絶望の一つの形。
即ち、自爆装置のスイッチに。
起動してから十秒後に爆発するシステムを、放心していた男は止められない。尚もエラーを警告する合成音。
最後の数秒で我に返り、必死で何があったのかを確認しようとする指先は愛娘の頸筋へと。
目覚めたばかりの娘と、それを知らずに抱きかかえた男は一緒に、そう言えばこうして抱き上げてやった、直後、
閃光と衝撃が全てを圧倒した、そこから先は知らない。
次のお題
「城下町」「相対速度」「帽子」