478 :
名無し物書き@推敲中?:
「なんだ、このデカイ穴は」
足元に大きな穴が開いているのを彼は発見した。そっと覗いてみる。
「うおっ、すげーな。底が見えない」
真っ暗な穴の中。どこまでも闇が続いているようにも見える。
「よーし」
穴の規模を探るため小石を落とす。そして耳を近づけて様子を伺う。
「……何も聞こえないな」
彼の期待とは裏腹に何の反応もない。
どっこいしょと今度はかなり大きい石を投げ入れた。
みるみる大きな図体が闇に消えていく。
「……あら?」
相変わらず変化はない。ドスンとも聞こえない。
「かなりの深さだな。地球の裏まで繋がってるんじゃないのか」
そんな馬鹿げたことを言ってると彼の頭に小石が落ちてきた。
「いてっ、何だよ、誰だ」
辺りを見渡しても誰もいない。
「……ちぇ、おかしいな」
また穴を覗く。すると穴の中から大きい石が彼の耳をかすめていった。
「うわあっ、何、何だ?」
穴から飛び出した後はドスンとすぐ側に落ちた。
「い、石が飛び出してきた。穴の中から……。こんな大きい石が」
おそるおそる穴の中を確認する。相変わらずの真っ暗な穴の中。しかし、目を凝らして良く確認すると何かが見える。光のような何か。
「何だ、明かり……。いや、違うこれは……」
空だった。青い空。真っ暗な穴の向こうには大きな空が見えた。そしてその向こうには
彼と同じく穴を覗く者がいた――。