330 :
痴話げんか :
【情報戦】
とある昼下がり。S美は、どきどきしていた。
嫌味にならない程度に薄化粧し、清楚な感じの服を選ぶ。
鏡に映る姿を入念に確認する。何処から見ても新米ママよね。
公園の皆さんに受け入れてもらえるかしら。
S美は意を決して公園に向かった。
下調べ通り公園には三人のママさん達がいる。
人見知りがちなS美は、イメージトレーニング通り笑顔で話しかけた。
「こんにちは」
「……」
気まずい沈黙。イメージトレーニングでは、受け入れられ子供の名前なんか聞かれるはずだったのに。
笑顔が強ばってたのかしら……。S美は、気を取り直しシナリオ通り続ける。
「裕太と言います」
「……」
「今日公園デビューなんです」
「……」
さしものS美も恐慌を起す。
何故?場違いだったのかしら。
胸を射抜くような冷たい視線。心なしか赤ちゃん達の顔まで私をにらんでいるようにも・・・・・・。
「あんた……イントネーションおかしいし、それに何その胸のバッジ……」