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164名無し物書き@推敲中?
幸福な生活、きれいな奥さんに、明晰な子供。広い家に住んで仕事も家庭もうまく行っている。
余暇には、趣味に没頭し癒される時間を、満喫している・・・・・・。
「はい、5つ数えたら戻ってきますよ。5、4、3・・・・・・」

僕は、催眠術にかかるのが好きだ。僕の成し得なかった成功、そして幸せな時間。
それを、ほんのひと時でも味わえるのが好きだ。
近所の、同級生が催眠術を覚えて練習台になっている。
しかし、現実の生活はどうだろう。
惨めに感じた。

家に帰ると、やけに妻がやさしかった。
ひょっとして、浮気でもしたんじゃないだろうかとさえ思えた。
奥から、ゴトっと物音がした。
男だ。見知らぬ男がクローゼットの中から転がり落ちてきた。
逆上した僕は、近くにあったブロンズの置きもので男を殴った。
絶命していた。
妻は、ヒステリー状態で警察に電話をしている。
逃げなくてはと思った。
2階の部屋へ行き、当面の荷物を黒カバンに詰め込んだ。
早く逃げないと。

玄関のドアを開けると、ドアの前に妻がいて、拳銃を構えた警官が僕を狙っていた。
僕は、黒いカバンを胸の前に当て身を守った。
これは夢なんだ。いや催眠状態なんだ。
カウントすれば現実に戻れる。
僕は、大きな声で叫んだ。
「5、4、3・・・・・・」
拳銃の音がした。
ああ、爆発物と間違われたんだな・・・・・・。

僕は、覚める事のない眠りについた。