163 :
名無し物書き@推敲中?:
ぎょろりと突き出した瞼。あらぬ方向を、きょろきょろ見渡す。
右目と、左目の動きは一致せず、ただ、虚空から何かを見つけようとしている。
2本しかないありえない指は、その目的も定かではなく、木に留まる為にあるとしても納得いきがたい。
「しゅっ」っと一閃巻き舌が伸び獲物を捕らえる。
ああ、紛れるためにこの生物は、表皮の色を変えるんだったな。
ある東京の昼下がり。ご多聞に漏れず僕は、渋滞に巻き込まれていた。
予測を誤った僕は、広い横断歩道の中に取り残されてしまった。
「ばっかじゃねーの」若い女が、これ見よがしに聞こえるように通り過ぎていく。
またあるものは信じられないといった侮蔑の表情で俺を見ていく。
恥ずかしい・・・・・・。
僕の頭にある考えが浮かんだ。そうだ紛れればいいんだ。
俺は、ギアをドライブに入れアクセルを踏み込んだ。
横断中の歩行者は、次々にはじき飛び、頭から血を流し倒れていった。
数秒後俺の周りには死体の山が出来た。
俺は、車から降りもっていた鋏みで自らの心臓を貫いた。