ショベルカーを中心とした男達の群れが移動していた。
どの男達も目出し帽などで顔を隠していたが、充血した目と紅潮した頬で
興奮していることが見てとれた。
ショベルカーを操縦している男が近くの仲間に言った。
「銀行がどんなにATMを強化しても
こちらにはこのショベルカーがあるから無駄さ」
近くの男は頷き、ショベルカーの男を見た。
ショベルカーの男の眼はATMコーナーを捉え、
かすれた低い声で「やるぞ」と言い、ショベルカーのアームを振り上げた。
その瞬間、ATMコーナーから轟音が響きだした。
なんと、そこから人型の物体が現れ、
ショベルカーに向かって突進してきたのだった。
瞬間、彼らは何が起こったのかを理解できずに呆然として
人型物体がショベルカーに攻撃するのを眺めていた。
しかし、ショベルカーの鈍くひしゃげる音と
ショベルから投げ出された搭乗員の男の悲鳴を聞いて、彼らは気づいた。
この物体がATMだと。
こうして銀行側の採用した対ショベルATMとショベルカー+盗人の
史上初の戦いは始まったのだった。