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名無し物書き@推敲中?:
鈴木社長は一代で今の会社を築いた。
自他共に認める天才肌の人間だ。
独創的で豪快で、その切れ味足るや、
凡人の及ぶ所ではない。
そんな社長の口癖は、
「使えない奴だ。」
「君という人間には学習能力が有るのか。人間ではないようだな。」
人間という生き物は学習能力が高い生物なのだ、歴史から学ぶ事の
できない人間、同じ過ちを何度も繰り返す人間にはマネジメント
する資格はない、というような話を会議でも講演でも事有るごとに口に
している。
社長の配下では同じ失敗は2度と許されない。
失敗から学ぶ事のできない人間、即ち学習能力の
低い人間は、人間で有る事すら否定される。自身が天才肌故に、
同じ過ちを2度も繰り返す事の意味がどうしても理解できないのだろう。
或る雨の日の夜、社長が刺殺された。
犯人は元側近の部長だった。リストラされた部長の報復だった。
通夜が行われた。あれ程の功績をもたらした人間にしては
人影もまばらなのは以外だった。
焼香の時、社長の遺影に俺は問い掛けた。
「シャチョウハ・・・レキシヲマナンデオリマシタカ・・・?ヒトニウラマレルトイウコト・・・」