ショートショートショートショートショートショート

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突然それは起きた。
世界は崩れ、水没していく。多くの同胞が大地に消え、波にさらわれた。
私は他の生き残りと同様ただ走った。だが災厄は異常な速さでその範囲を広げ、私は驚異に飲み込まれた。

私達はただ生きてきた。住居を作り、守った。食物を集め、蓄えた。子孫を育み、未来を託した。私達は専念し、真摯に生きてきたはずだ。
なぜこのような仕打ちを受けるのか? 神は自然は、なぜ私達を見捨てるのか?
絶望に満ちた意識が薄れていく・・・


夏の正午、一軒の家から声が聞こえる。
「御飯ですよ、手を洗いなさい」
「は〜い」
男の子は満足して庭を後にした。