216 :
エイチドット@喫煙中:04/05/31 21:09
その夜は親父とお袋がそろって出かけていて、おれは風呂に入ってさっさと眠ろうと思っていた。
で、ゆっくり風呂に入っていて、ぼちぼちあがろうか、と思っていたら、玄関の扉がガタガタいう鳴
る音が聞こえて、すぐにガチャリという音がした。誰だろう、と少し緊張したが、聞きなれた声がし
て、安心した。
『来てんー』
隣の家に住んでいる従妹の悠紀だ。
おれとおない年で、同じ高校に通っていて、お互いにひとりっ子で、未成年だけど酒の好きなもの
どうしだ。
『恵ちゃん、どこー。お酒の相手してよー』
たまに彼女はおれと飲むために家にやってくる。今日は家で出来上がってきたらしい。甘えた声で
呼んでくる。今日は早く寝たいんだけどな、とおれは思った。正直、酒の相手はしたくない。でも、
まあ、寝酒のつもりで呑むか。眠くなったら問答無用で寝ればいい。そんなんで壊れる仲でもないし。
そう思って、
「風呂だよー」と、おれは大きな声で答えてやった。
『お風呂ー?』
ちゃんと聞こえたらしい。答えてくる。
「そうだよー。もうあがるから、ちょっと待ってろー」言って、おれは湯船から立ち上がり、洗い場
にあがった。
同時に洗面所(兼脱衣所)の引き戸がガラガラと開く音がした。おれは思わず、げ、と言って、湯船
の中に急いでもどった。
『恵ちゃん、ここかあ』
洗面所と風呂場をへだてるのは、曇ったプラスチックの扉である。その向こうから悠紀の声がして、
赤いコート――彼女のお気に入りのやつだ――を着た悠紀の姿が見えた。しかも、扉のノブをガチャガ
チャと回し始めた。
『出てきてよー』
217 :
エイチドット@喫煙中:04/05/31 21:09
「待て待て待て待て待て待て待て待て」おれは焦った。「阿呆か、入ってくんな」
『恵ちゃんと飲みたいのー』悠紀はなおも甘えた声で言った。さすがにムカッとした。
「わかったから、そこどけ。出られないだろう。酔っ払ってんじゃねえよ、馬鹿が」
「怒ったあ」泣きそうな声で言った。
「やかましい。なんなんだ、いったい!」
『う・・・』
彼女は言葉に詰まったようだった。そして、体の動きをぴたりと止めた。なんだ、と思っていると、
彼女の体が崩れて膝をつき、うつむいた。
おれが訝しく思っていると、情けのない声を出してきた。
『・・・振られたんだよお・・・』
「振られたあ?・・・なんだ、それで、ヤケ酒か」
『・・・ううう・・・』
おれはやれやれと溜息をついた。
「わかった。わかった。しょうがねえやつだなあ。すぐに出るからさ、な。ちゃんと酒も飲んで、
話も聞いてやるよ」
なるべく優しく言ってやった。性別はちがっても酒飲みどうし、仲良くしなくてはいけない。と思
ったのだ。
「だからさ、そこをどいてくれないか。そうじゃないと出られないからね」
『ぐー』
やばい。眠り始めやがった。
「おい」
『ぐー』
出れねえ。
218 :
エイチドット@喫煙中:04/05/31 21:10
the end
219 :
名無し物書き@推敲中?:04/05/31 21:20
萌えが、どうしてもわかんないんですよねえ・・・・・・
どういうキャラが萌えなのでしょ。
どういう話が萌えるの?
教えてよ。
萌えについてわからんこともないが、実際に妹のいる俺は妹萌えだけはダメだ。
奴が顔が良かろうが外で男と付き合おうが俺にとってはそういう意味では気色悪いだけ。
あと俺は顔は良いが性格の悪い女ってのが萌えだった時期もあるんだが
ある時期その本物に振り回されることがあってからは全く萌えなくなった。
思い出した。無感動で無表情な女に萌えた時期もあった。
これも本物(但しこいつは顔が十人並みな上、表情がないのでもはやブス)
に出会ってダメになった。
萌えってそういうもんじゃあないのかなあ
221 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 02:58
age
222 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:22
春である。4月である。初恋の季節である。
彼女も恋をしていた。末々中学2年生の前園佳子(まえぞのかこ14歳・154cm39kg)、童顔で可愛らしく、目は大きく輝いていて、体は華奢、肌は白く、
四肢は伸びやか、髪は校則そのまんまのおかっぱ、常に伏目がちで小さな声でしゃべるという、という実に実にプリティな少女である。
彼女は隣のクラスの中村君が好きだった。
中村君はバスケ部のエースであり書くのも嫌になるくらいのさわやかかっこいい少年である。背が高いし筋肉質だし成績もいい。ああ、むかつく。
そんなわけで彼女は中村君に告白をしようと思い立ったのだった。だが、中村君の倍率は以上に高い。さて、どうするか。
佳子はそのことを同級生で親友の愛乃充(あいのみちる13歳・165cm42kg)に打ち明けた。愛乃充は髪を長く伸ばし、薄く茶色に染めているが、水泳部員
なので「塩素で茶色くなったんです」と言っている賢い女の子だ。幼くしていろいろ経験のある彼女は佳子の良き相談相手でも会った。
「ラブレターを書きたいのだけれど」と小さな声で喋る佳子に対して充はフンと鼻で笑ってこう言った。
「いい、佳子。そんな間接的なものなんか興味ないよ。本当に男の子を振り向かせるのはねえ、心のこもった誠実なあんた自身の言葉と、魅力なんだよ」
「魅力なんて」佳子は悲鳴をあげそうになった。「わたしそんなのないよ」
(ああ、可愛い)。と充は思った。(こんな可愛いものを中村に渡すことになるのか。もったいないな)
223 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:24
彼女は既に男に飽き足らなくなっているのであった。だが、
(しかしながら親友のためなら自分を犠牲にいてみせよう)と彼女は思った。あっぱれな娘である。
「魅力なんて自分が発見するものじゃないわ。他人様が見つけてくれるものなのだよ。でもねえ、
そうだねえ、それで不安だっていうのなら、いい方法があるよ」
「な、なに。なに。聞かせて充ちゃん」
「あのね佳子」本当につらそうな顔をして充は言った。「本当に中村君を手に入れたいなら方法はただ
ひとつ・・・それに耐えられる?」
「中村君のためだったらなんでもする・・・」
「OK。その心意気素晴らしい。じゃあ、教えてあげる。いい?中学生にとって、異性の魅力とは・・・
心のこもった言葉よりも・・・お色気なのだよ。下半身がエレクトするか否かなの・・・」
224 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:33
そうして放課後。中村君は校舎裏に呼び出された。中村君はすでにバスケ用のユニフォームに着替えている。
「また。告白か。あきあきだぜ」
クールである。こういうのに慣れているのだ。ムカつくぜ。
「ほら、いきな」
「う、うん」
校舎の影から佳子が現れた。中村君がそれに気付いた。
「やあ、前園。なんだいこんなところに呼び出したりして」
「中村君・・・あ、あの・・・あの・・・」
「なんだい?ぼかあ、これから部活があるんだけどね。用がないならさっさと帰らせてもらうよ」
中村君がくるりと振りむいた。
「佳子がんばれ」
後者の影から充がつぶやく。
「う、うん。な、中村君・・・」
「なんだい?おや、どうしたんだい、その顔は真っ赤じゃないか?」
佳子の顔は真っ赤であった。脂汗をたらたらかいていた。
「中村君・・・」次の瞬間、佳子はブレザーを脱ぎ捨てた。ついで靴
を脱いだ。それから胸のリボンを解いた。そして・・・さすがに恥ず
かしかったのか、シャツやスカートではなく靴下を脱いだ。
225 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:43
そして反応を見るように上目遣いで中村君を見た。
「な、なんてことだ・・・」
中村君も流石にこういう不意打ちは食らったことがないらしい。
胸元のシャツのボタンを上から3つばかりはずすと、腕を組んでない乳をぎゅっと集めて、言った。
「中村君の・・・好きに・・・して・・・」
「よっしゃ。いちころ」と校舎の影で充。
「ま、前園・・・な、なにを」中村君もしどろもどろである。
「中村君に・・・めっちゃめちゃにされたいの・・・中村君の・・・ああ・・・奴隷に・・・して・・・私だけのものになって」顔を真っ
赤にして佳子はそう言った。汗をかき、顔を赤くし、大胆にも素足を見せて、佳子は挑発した。素晴らしい勇気である。ていうか奴隷。そ
そらない男がいるはずがない。
「はあ、はあ、前園・・・はっ・・・しかし、おれもモテスギテ困る男中村。駄目だよ。前園。おれにはできない。だって紳士だからさ」
「ええっ」と佳子。
「さすがは中村」と充。「しょうがない佳子。あれだ。あれをやるんだ」
226 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:48
_| ̄|○
おれはこんなあさがたになにを・・・
>>226 いや、そこで「自分を見つめなおさない猪突猛進ぶり」が必要なんじゃ
ないかなあと思うね。なんせ「萌え」だからな。
まずはイキオイとゆうかリビドーとゆうか、そういったものをだなあ、
恥じることなく叩き付けて、技術はその後だ!!
意気込みはびしびし伝わってくるので我に返っちゃもったいないぞ!!
でももうちょっとなんとかならなかったのか、
カッコひゃくろくぢうにせんちよんぢうにきろカッコトヂル。
>>212-213 エロパロ板で普通の話書くと大抵ブーイングが来てる…
見てて泣ける
エロ無しの二次創作板を作って欲しいが
それもどうやら難しい事になっているらしい。
age
230 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/18 15:07
幼なじみとか、先輩後輩とかが萌える
231 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/18 22:18
232 :
恥死量超え:04/08/18 23:16
「はい、シャロお手」
そう言って手を出すとパタパタ尻尾を振っていた雄チワワのシャロは前足を
ペタンと俺の手に置いた。そして濡れた瞳で俺を見上げる。
ああ、なんて可愛いんだろう。
「よーし、シャロいい子いい子」
そうこうして犬と戯れているうちにシャロの飼主が帰ってきた。
「あー、竜ちゃんまた来てるー」
帰ってきたのはシャロの飼主の由佳だ。俺の幼馴染ですごい可愛い。
ショートカットの髪に少しきつそうに見える非常に特徴的な目をして
いる。でも、そんな外見とは裏腹に一緒にいるとこれが面倒見が良くて
頼りがいのあるいい奴なんだ。男の俺が言うとなんか情けないけど。
まあ、こいつの話はいいんだ。俺が夢中なのはこいつが飼ってる犬の方。
三年前に由佳が子犬のシャロを貰ってきて以来、もう俺の心はメロメロだ。
三日に一度はシャロの顔を見ないと落ち着かない。由佳がいない日もこいつ
の家に遊びに来る。
233 :
恥死量超え:04/08/18 23:16
「もう。竜ちゃんがあんまりかまうから最近わたしに冷たいんだから」
「だってシャロは由佳より俺の方が好きなんだもんなー」
タイミングよくシャロがワンッ! と吠えた。
「むむむむむー」
むくれている奴がいるがもちろんそんなの気にしない。
「よーし、シャロ。散歩連れてってやるぞー」
抱き上げて腹をなでてやる。シャロは気持ちよさそうに鳴いた。
そうしていると、突然・・・・・・
「だぁぁぁぁぁぁ! あなた達男同士でなにやってんのよ」
「男同士ってお前・・・・・・」
「交代、交代。シャロを離しなさい!」
そういって俺の手からシャロを奪い取った。
「あぁあああ(哀)」
シャロを抱き上げた由佳は部屋を出てった。そして手ぶらで帰ってきた。
「おい、シャロは?」
俺の問いには答えず由佳は俺の横にチョコンと座った。
「?」
そしていきなり俺の胸に顔をうずめてきた。
「うぃぇぇぇええ! お、お前どうしたんだよ」
由佳は頬をさくらんぼ色に染めて絹糸のような細い声で言った。
「交代って言ったでしょ。私もシャロみたいに可愛がってよ」
そして俺をシャロみたいな濡れた瞳で見上げ一声鳴いた。
「わん!」
234 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/06 21:12
age
僕が16才のときの年明けの話だ。
僕の家はいわゆる本元で正月に親戚が集まる家だ。今年も例外なく20人ほどの顔見知りの連中が集まった。
その大人数から、我が家のおせち料理は子供だけで分類したりして、3組ほどに別れて食べることになっている。
しかし人数の割に僕に年の近いのは少なく、具体的に言えば従兄弟で一つ年下の女の子のまゆを除いては、5,6才の子供や40半ばの親類で溢れかえっていた。
にぎやかな居間と台所と廊下に、何故か少し嬉しくなりながらゲームに夢中な子供5人たちのお世話兼暇つぶしをしながらおせちを待っていた。
子供のお世話に飽きた僕は残った部屋で一人のんびりテレビを見ていると、まゆが適当に声をかけてくる。
6年ほど前までその従兄弟の子供たちはいなかったわけで、同年代では二人だけだったせいかまゆは妙に僕になついていた。
こいつとは下手な男友達より気のしれた仲だったので気軽に話し合えたし、何より楽だった。
おせちが出来るまでだらだら一緒に寝転がって、腕相撲したり、蜜柑取り合ったり、明けましてで溢れかえるテレビについてくだらない談話を繰り広げていた。
子供がばたばたしだして、おせちが運ばれてきた事に気づいたのと、年賀状が気になった僕はポストを覗きに立った。
おせちそっちのけで友人のそれに一枚一枚目を通しにやけながら、親と祖父母の分を仕分けした後ちょっと遅れてみんなに交じる。
空いてた席に入ると、周りの親戚からお年玉を貰ったので、お礼をしながら雑煮とおせちを食べた。
ひと段落ついて、また子供はゲームを用意しだし、おばの一部は片付けに、おじ連中は大声で騒ぎ出した。
とりあえず酒を勧められた僕は半時間ほど奴らに付き合ったあと、期をみて輪から抜け出して移動することにした。
さっき僕がテレビを見ていた部屋でまゆとおばさんがこたつに入り、ぼけぼけみかんを食べながらやっぱりテレビを見ていた。
僕に気づいたまゆに、ゆきちゃーんと呼ばれた。んー、と返し、お年玉のことを思い出してそこに居座ることにした。
一角空いてるのに、よこおいでー、とこたつのすそを上げ僕を隣に来させる辺りがなつっこいと思う。
隣に入ってまゆの蜜柑を食べながら、二人してお年玉を机の上に広げてどっちが多いか勘定していた。
まけた割にあまりがっかりしてなさそうに笑ってるまゆとそれを見て笑ってる僕を見てか、
おばさんにあんたら仲えぇなぁ、とか言われ苦笑いに変わった僕に、まゆはうんーとやや赤くなりながら心なしかくっついてくる。
おばさんが去った後も受験の話をしたりぼうずめくりをしながら、4つもあるのにコタツの隅の1つに寄ったまま夕方まで一緒にいた。
おせちの残りをご飯にと二人であさってきてはこたつに戻って、今日帰る親戚を見送ってはこたつに戻って、お風呂に入ってはこたつに戻ってきて、そのままこたつに半身を入れてこたつの一角で二人一晩を過ごした。
妙に暖かくて朝方目が覚めたら、何故か抱き合っていてびっくりした。先に起きてよかった、ほんと。寝顔可愛いなおい。
237 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/02 04:33:59
age
238 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/08 02:56:31
MURUPO
239 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/08 04:42:28
240 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :04/11/29 20:13:12
>>232-233 いいねえ。とても良いねえ。超遅いレスだが。
何が良いって、あれですよ、これはね、もう120パーセント
セックスへの流れなのですよ。でもやらない。それやると
「萌え」ではなく「エロ」になってしまう。その寸止め感とゆうのは
実はこの手の話に非常に必要なのではないかと思うのです。
少年漫画誌なんか読んでると、たまに見ますね。「表現の限界」ってやつ。
18禁にして書き直した方がいっそ良いのではないですか?みたいな。
だって、犬ですよ。「シャロみたいに」ですよ?
そりゃあもう首輪ですとも!四つ這いですとも!!調教ですとも!!
とりあえず俺が続き書いたら確実にジャンルとしてフランス書院文庫に
直行です!!
そういったおぢさんの汚れ切った妄想に踏み込まない節度と忍耐、
これを大事にしていくと良いと思うさ!!
241 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :04/11/29 20:31:48
>>235-236 これも良いです。良いですよ。町田町蔵なら、
「正月の集まりで顔を合わせた従妹をつい魔が刺して犯してしまい」の
一行で済まされてしまいそうなこのシチュエーション、なかなか
萌え道として良いところを付いて来てます。
途中から作者自身が盛り上がってしまって最後2行、「もう俺が悶え
られりゃあどうでもいいや」みたいになってしまっているところも
非常にポイント高いです。あとはあれだね、「二人でこたつ」の場面、
触れた肌の感触・濡れた髪の香り・彼女の吐息・間近でみる彼女の笑顔、
そういったものを細かに描写した方が読者にとっては親切だと思うさ!!
いや、まあ「読者に親切」な文章を書いてほしくはないんだけどさ、
この作者には。
俺としては「先に起きてよかった、ほんと。寝顔可愛いなおい。」の
ラストが千金だ。ええもん見せてもらった!!また書いてくれよな!!
242 :
名無し物書き@推敲中?:04/11/30 18:28:58
保守
245 :
名無し物書き@推敲中?:2005/05/04(水) 22:23:57
246 :
名無し物書き@推敲中?:2005/05/04(水) 22:33:22
萌えというよりエロが多いな
249 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/10(水) 01:52:08
とりあえずあげときますね
250 :
名無し物書き@推敲中?:2005/09/06(火) 23:20:38
8
251 :
無名草子さん:2005/10/02(日) 11:18:38
ダブルクリップの大勝
フェンス越しに見る空は青く遠い。そのくせ、手を伸ばせば今にも届きそうなくらい近い。
グラウンドでは青春とかいう二文字が当てはまるようなくらい活き活きした奴らが汗を流している。
それなりの才能があればああいったものも面白いのだろうが、スポーツと言う者にあまり興味はない。
武術に関してはそれなりの覚えがあるが、それだってやっぱり強い人間と比べると・・・そこまでだ。
スタインベックの真珠や、ヘミングウェイの白夜など、薄っぺらな本を懐から出す。
・・・やっぱやめた、今日は何も考えず雲の数でも数えてよう。
雲の流れが徐々に揺るみはじめ、紺色と赤色のグラデーションで彩られる。
上手な画家が綺麗なグラデーションを作ってる。そんな錯覚さえ覚える。
夕方近くになると街の明かりが綺麗なイルミネーションを作る。
それを見てから帰るのがほぼ日課になりつつある。
「・・・さむ。」
しかし、さすがに夕暮れの秋空は寒い、昼は暖かいのになぁ・・・。
「それはこっちの台詞。よくもまぁ、授業サボってこんな何も無い所にいるわね。」
「うわっ」驚いた。
「うわって、何?私は化け物か何か?」
「うむ、般若。って知ってるか?怒った女の・・・」
「・・・はぁ。」
なんだその諦めたような、呆れたような溜息は、意味深だぞ。
「いいわ、あんたと言い合っても不毛なだけだから。」
「お、おう、分かってるじゃないか。良い子だ、さぁお兄さんの膝にお座り。」
「死にんさい。」
「・・・うぅ、ひどい。」
「ま、早く出てってね。もうそろそろ施錠しないと。」
「お、分かった。んじゃ、そろそろ行くかね。寒いし。」
「うん。」
「あ、今日はこの後すぐ帰る?」
「うん、何で?」
「いや、女の子が一人で帰るのはちょっと危険じゃないかと、一人・・・だよな?」
「うん、一人で帰るけど、そういう気が利くとはね・・・ふーん、なんか下心とかある?」
「ねーよ、っていうかお前相手に下心が沸くのならその意欲を勉強に向けますわな。」
「ははっ、そりゃいい。言ってる事とやろうとしてるコトが見事に矛盾してる。」
「うるせーな、じゃ、校門で待ってるぞ?」
分かった。あっけらかんと、そんな返事をして電気のついてない校舎に消えていった。
おい、屋上は鍵はしめなくていいのか・・・。
「おう、ちょっとコンビニよって良いか?」
「駄目って言ってもよるんでしょ?」
「うん。」
「なら無駄な問答はいらないんじゃない?送ってくれるって言ってるんだしついていくよ。」
「いや、なんか結構『買い食いは禁止されてるでしょ!』とか言いそうだったから」
「そんなにお堅くはないつもりだけど?」
「まぁ、そりゃそうだな。」
原材料に砂糖が入ってないのに異常に甘い缶コーヒーとあんまんを二つ買う。
「ほい、熱いから気をつけろよ。」
「ん、ありがと。なんか悪いね、送ってもらうのにこんなのまで。」
「気にすんな」
「あ、公園よっていこ?」
「何で?」
「飲み食いしながら歩くコトができないんだよね。」
「うわ、結構不器用?」
「何事にも一途って言ってほしいな」
「うそをつけ、何かにつけ気になる事があったらそわそわそわそわしてるくせに。」
「むー。」
ガキの頃からのつきあいは伊達じゃない。
公園につく。夜の公園なんて初めてだ。
子供の頃は夜が来るのをきらい、頑なに公園から帰りたがらず、親を困らせたりしたもんだ。
255 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/12(土) 03:52:59
支援上げ
作者がsgaeてんだからageちゃダメだろ
257 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/23(水) 00:52:43
「ああ、例えば、世界が2重人格を許していたとしたら?」
そんな、不思議な疑問を投げかける
「それは、どういう?」
かえってくる答えは無い。ただ一つ
「もし世界が、二重人格だったら、どうする」
そんな、
不可解なことを、
彼女は
尋ねてきた。
258 :
名無し物書き@推敲中?:2005/12/29(木) 16:42:43
259 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/02(木) 20:52:53
電車男PART2まだぁ?
260 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/13(月) 19:49:58
それにしても、無名草子さんたちとは、さぞやすごい作家先生の匿名書き込みなんでしょうね。
作家なんて才能が全てだから、津井ついみたいに、いくら努力したって駄目なものは駄目ですよ。
私なんか、早々に見切りをつけて趣味の世界で細々ですから。
小説現代ショートショート・コンテスト優秀賞受賞 阿部敦良
261 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/13(月) 20:24:40
「笑顔」
幼馴染と再会した。自宅最寄の小さな駅で。
話しかけてきたのは彼女の方だ。
「中川君?」
初めは髪が短いせいだろうか、誰かと思ってしまった。だが、その瞳はとても懐かしく、透明度は彼女そのものだ。
「浅野さん、久しぶり」
うまく笑えただろうか。自信は無い。
彼女、浅野理奈とは幼い頃毎日のように遊んだが、中学に進級し互いに同性のグループをつくったことで話す機会は自然と減った。別々の高校に上がり、顔すら見なくなった幼馴染。
「何?その呼び方?」
彼女は、記憶の中の少女と変わらない笑顔を見せた。
そこで繋がった。そこにいるのは間違いなく、当たり前だが、彼女だ。
「何て呼び合ってたっけな、あの頃は・・・」
今の俺には眩しすぎる、あの頃。
「しーくんって呼んでたよ、中川君のこと。私は呼び捨てにされてたと思うけど、よく覚えてないなぁ」
「うわ懐っかしいな、しーくんって。でも今そんな呼び方してたら恋人同士になっちまうよな」
言って後悔する。昔無かった壁が18の俺たちの間にはある。それを自らの言葉で思い知った。
「変わったね、中川君。」
一瞬、僅かに悲しげな表情を見せる彼女。そう?俺は冗談気味に笑う。その瞳がとても冷たいものに見えて。
「変わったよ、笑うようになった。昔はホント無表情だったよね。でもさ、時々笑うと嬉しくて。私さ、笑わせようと必死になってた。」
笑顔で話す彼女の言葉にはよく笑うことが悪い、そんなニュアンスが含まれているように思えた。実際そうなのだろう。
昔の笑顔とは違う。そんなこと、俺が一番分かってる。
「必死に親父ギャグ連発する小学生には苦笑するしかなかったからな」
「ひどっ!でも何十回かに一回はアタリだったくせに」
素直に返す彼女に感謝した。今の俺は変わりすぎてる。分かってはいるが、理解はしたくない。そんな俺の逃避癖。
「でもさ、芯は変わってないのかもね・・・。また変なことで悩んでる、でしょ?」
囁くように彼女は言った。適わない。俺の心を勝手に読まないでくれ。本当に
「適わないな」
「やっと笑ってくれた。久しぶりだね、しーくん」
262 :
261:2006/03/13(月) 20:26:18
駄文失礼しました。萌えはあっさり系が好き。
「お兄ちゃ〜ん!」
>>262 自分で「駄文」とか書くな。
こーゆー場合は「拙文」とするんだ。
265 :
名無し物書き@推敲中?:
駄文