1 :
名無し物書き@推敲中?:
よくありそうだが、いざ書くとなると結構辛いんです・・・。
2 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/26 17:50
吹っ切れてないとな。
4 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/28 02:06
asfdafs
20世紀――人々が、便利さと引き換えに心の光を失った時代――
光を失った人々の心は闇を生み、その闇は、それを糧とする闇の者を生み出し続けていた。
そして、それは世紀末を迎え、人の心の混沌がますます広まった1999年頃から急激な加速を始めていた。
かつてノストラダムスが予言した「恐怖の大王」とは、ひょっとしたら彼ら闇の者なのかもしれない。
ただ、人々が彼らの存在に気づいていないだけで――
それから数年――
新世紀を迎えたこの世界で、物語は静かに動き始める――
〈東京――東京でございます――〉
新幹線がホームに滑り込み、到着を告げるアナウンスの響く中、ひとりの少女が新幹線からホームへと降り立った。
「ふぅっ、やっとついた……」
つぶやいて、少女は手にしたかばんをヨイショとばかりに持ち直す。
そして――周りの人達に聞こえないよう気を遣い、後ろに向けて振り向かずに声をかけた。
「ブイリュウ、ついてきてる?」
もちろん、そこに少女の連れがいたワケではない。そもそも少女はずっとひとりだったはずである。が――
「バッチリだよ」
姿は見えないがハッキリと聞こえる声が、少女の問いに答えた。
「けど、ホントおっきな街だよねぇ……
こんなトコで、ホントに見つかるのかなぁ?」
「けど、私達はなんとしても“彼”見つけないといけないんだから……」
声に答えて、少女はメモを見た。
「えっと……“彼”が住んでるのは……東京都、府中市……
……どう行けばいいんだろう……」
どうやら、メモには目的地しか書かれていなかったらしい。
おかげで、少女はこの後本屋の地図コーナーに駆け込むハメになってしまったのである。
東京駅でそんなことがあった翌日――
「おぉりゃぁぁぁぁぁっ!」
気合の入った、しかしそれでいて明るい元気さを失っていないかけ声が六角形のリングの上に響き渡り、
ドォッ!
繰り出された飛び蹴りを顔面にくらい、相手は盛大に跳ね飛ばされる。
〈おぉっと! ジュンイチ得意の飛び足刀が炸裂! 挑戦者が吹っ飛んだぁっ!〉
実況席の女の子がハイテンションでまくし立てるのを聞きながら、蹴りを放った少年――柾木ジュンイチはマットに着地した。
顔立ちは高校1年生――16歳という年齢の割にやや童顔めいたところがあるが整っており、ハンサムでも不細工でもない、といった感じか。茶色がかった髪はあまり手入れされていない無造作ヘアー。そういうクセっ毛なのか、重力に逆らって無意味に逆立っている。
格闘をしている身としては小柄な部類に入る、身長162cmで中肉中背のその身体を漆黒の武道着で包み、額にはバンダナをまるでハチマキのように着けている。服に合わせたのか、その色はやはり黒い。
〈それにしても強い! 校内武闘リーグ期待の新星の成せる技か!
このまま今回もブッチギリで圧勝かぁ!?〉
「……とか言ってるけど、どうする? まだやんのか?」
ジュンイチの言葉に、相手はクラクラする頭を押さえて立ち上がる。
もはや観客の目から見ても、両者の力の差は歴然としたものだった。しかし、相手にはまだあきらめるつもりはないようだ。
しかし、彼がそう簡単にあきらめないのもある意味当たり前だ。彼はジュンイチと比べて、体格では圧倒的に勝っているのだ。ということは当然、体重も圧倒的に勝っていることになる。一発の破壊力では、彼が圧倒的に勝っているはずなのだ。
「……やる気は、あるみたいだね♪」
「当たり……前だぁっ!」
ジュンイチに答え、相手は大きく振りかぶって拳を打ち放つ。
先ほども述べたとおり、彼とジュンイチの体格には歴然としたさがある。体重差もどんなに少なく見積もっても20Kgはある。普通の人間ならガードは不可能。仮にできたとしてもパワー負けして押し返されることは間違いない。が――
「………………で?」
――ガッ!
ジュンイチはその一撃を、なんと左手一本で受け止めていた。
もちろん、普通の人間にできることではない。だが、現にジュンイチは相手の拳を片手で受け止め、しかもそのまま動きまで封じてしまっている。
「ひとつ、教えといてやらぁ。
オレに勝ちたいんなら……」
言って、ジュンイチが空いている右の拳を握り締め――そこに、まるで何かが放電しているかのようなスパークが発生する。
そして、そのスパークは光と変わり、ジュンイチは次の言葉を紡いだ。
「丹田の扱いくらいは、覚えてから出直せやボケぇっ!」
次の瞬間、
ドゴォッ!
雷のごとき衝撃を伴ったジュンイチの拳が、相手の身体を宙高く跳ね上げていた。
そして、それは同時に、試合の終了も意味していた。
ジュンイチが通っているここ、私立龍雷学園は武道やボクシングなどを始め、格闘技全般を広く推奨している。
結果、校内には格闘技系の部活が乱立することとなり、その数は今や50を軽く超えている。
そんな事情もあり、各部活の出稽古の場として異種格闘技リーグ「Dリーグ」が校内の有志の生徒達によって発足したのが数年前。
後にそれが一年を通じてのペナントレース方式の大会となったのだが、今では帰宅部の生徒も参加可能となり、毎朝授業前に試合が行われている。
そして、ジュンイチはそのリーグ戦で、入学以来負けなしの連勝中。今やリーグのトップランカー達ですら一目置くほどの注目選手となっていた。
〈決まったぁぁぁぁぁっ! ジュンイチの十八番、気功技『雷光弾』!
入学・リーグ登録以来数多の挑戦者を破ってきた必殺技で、今回もKO勝ちぃっ!〉
実況の言葉に満足げにうなずき、ジュンイチはリングから降りようと歩き出し――
「――――――!?」
突然、今まで感じたことのない異質の気配を感じた。
あわてて辺りを見回すが、試合の観戦に朝早くから登校している生徒達がいるだけで特にそれらしい気配の主の姿はない。
「……何だったんだ……?」
「……なるほど……今のに気づいたってことは、いよいよ本物みたいですね……」
校庭の端の木の陰から校庭の反対側に設置されたリングを双眼鏡で見つめ、少女は静かにつぶやいた。
「柾木ジュンイチ……か……」
そう言い、少女は校舎に向けて歩き出した。
そして、一言つぶやいた。
「やっぱり……彼で間違いないですね……」
「えー、今日はホームルームの前に転校生を紹介する」
朝のホームルームの時間になり、ジュンイチ達のクラスの担任が教室に入ってきた後、放った一言がそれだった。
だが、普通考えればおかしな話である。今は7月の始め。あと二週間もすれば夏休みだ。そんな時期に転校するなんてケースは普通はない。
当然のことながら、クラスにざわめきが走るが、担任にとってはいつものことらしい。騒ぎを鎮めようともせず、そのまま話を続ける。
「今回は夏休み前ということもあり、せっかく知り合えてもすぐめったに会えない状況になるんだが、休みに入るまでにこの学校に溶け込めるよう、みんなも協力してやってくれ。
じゃ、入っていいぞ」
担任が言うと、前方の教室のドアが音を立てて開き――教室内のどよめきが最高潮に達した。
ハッキリ言おう。
カワイイ。
栗色の髪を肩で切りそろえ、背はジュンイチと比べて10cmばかり低い。年相応のあどけなさが残っているその表情には、深く澄み切った双眸とおだやかな顔立ちのせいか、どこか神秘的な色合いが宿っているようにも見えた。
そして、少女は黒板のチョークを一本手に取ると、スラスラと筆記体で名前を書き、その上に慣れた手つきでカタカナでルビを振った。
「ジーナ・ハイングラムです。イギリス人と日本人のハーフで、先日来日しました。
一応、この通り日本語も一通り話せるので、早くみなさんとお友達になりたいです」
「……だそうだ。
うちの学校は武道推奨校ということもあってクセが強い。みんなで早く慣れさせてあげるように」
いきなりの転校生に完全に注目が集まり、誰も聞いていないのはわかっていたが、担任は一応そう告げてHRを切り上げた。
そして、その日の昼休み――
「……まったく、新しい刺激があるといっつもこれだ」
もう見飽きた、といった感じで、ジュンイチは教室の一角にできた人だかりを見つめてつぶやいた。
何の人だかりかは言うまでもない。転校生であるジーナと話そうというクラスの面々によるものである。
ただでさえ美少女な上、人当たりのいい性格であることが自己紹介と午前中の授業での発言の様子、そして休み時間のクラスメートとの会話で判明している。男子だけでなく、彼女のその人間性に惹かれた女子まで加わり、ジーナの周りは上へ下への大騒ぎになっている。
今はまだクラスの面々だけですんでいるが、このことが他のクラスまで広まれば、収拾のつかない事態になることは容易に想像できた。
「……ったく、せめて静かにやらせとこうかな」
言って、ジュンイチが人だかりに向かおうと立ち上がり――それに気づいたのか、ジーナも呼応するように立ち上がり、
「ゴメン、私のことはこのくらいで。また今度答えてあげますから」
そう言うと人だかりから抜け出すと、一直線にジュンイチへと向かってきた。
「ねぇ」
「あん?」
そっちに向かおうとしていたところを逆に当人に言い寄られ、ジュンイチは思わず当惑して聞き返す。
「柾木くん、これからどこかに行くんですか?」
「いや、そういうワケじゃない。むしろヒマだ」
用件の方もお前が自分で片づけたからな、と胸中で付け加える。
一方、ジーナはそんなジュンイチの答えに表情をほころばせ、
「じゃあ、ちょうどいいですね。
これから校内を案内、してくれませんか?」
「今から、か……?」
ジーナに聞き返し――ジュンイチはふと気づいてジーナに尋ねた。
「ところで……なんでオレの名前知ってんだ?
確かオレ、まだお前に名乗っちゃいないだろ」
「え? えっと、それは……」
ジュンイチの質問が意外だったか、ジーナは思わず返答につまってみせる。
「……あ、そうそう。今朝、試合してたでしょ? それを見てたから……」
「ふーん……」
ジーナの答えに、ジュンイチはあることに気づいていたが、彼女の意図を察してあえて尋ねないことにした。
「……ま、そういうことで納得しとくけど……」
そう言って、ジュンイチはため息をつき、
「あっちで立候補したがってる連中はどうするんだ?」
「え、えーっと……可哀想ですけど、今回は遠慮してもらうということで……」
ジーナの席の周りで「自分が自分が」と言いたげなオーラを発しまくっている級友達を見て、ジーナはジュンイチの問いに冷や汗混じりにそう答えた。
「ここが屋上なんですか?
けっこうすごしやすそうなところですね」
気持ちよく風が吹き抜けていく屋上に出て、ジーナが嬉しそうにつぶやく。
そんなジーナを、ジュンイチは壁によりかかって見ていたが、やがて彼女に声をかけた。
「あのさぁ、ジーナ……」
「……はい?」
「いい加減、オレを連れ出した理由を聞かせてくれないか?」
その言葉に、ジーナが一瞬だけその動きを止めたのを、ジュンイチは見逃さなかった。
「え……?」
「わざわざオレに接触してきた理由を答えろって言ってんだよ」
聞き返すジーナに、ジュンイチはあわてる様子もなく答える。
「悪いけど、オレを甘く見ていたみたいだな。
お前、言ってたよな? 『今朝の試合を見ていたからオレの名前を知っていた』って。
けど、その説明で納得するには、ちょっとばかり矛盾が多すぎるんだ」
そう言うと、ジュンイチはそこで一息ついてから続けた。
「オレ、これでも宅配便でバイト――っていうか手伝いをしてたことがあってな。
当時は免許持ってなかったから自転車配達。おかげで配達中にいきなり頼まれることもあって、
お客の顔を全部覚えなくっちゃいけなかったから、一度顔と名前を覚えたヤツはたいてい忘れないんだ。
そして、この学校の連中は全員記憶済み。つまり……その中に見覚えのないお前がいたらすぐわかるんだ。
そしてお前の顔は今朝の試合の観客の中にはいなかった。
もうひとつ付け加えるなら、今朝の試合の実況じゃオレの名前は出ても苗字は出てないんだよ。
だから、お前が言っていた通りだとしたら、自己紹介もしていないのに、オレの苗字を知っているはずがないんだよ。
あ、一応クギ刺させてもらうけど、歓声の中から聞いたって言う説も除外な。
あの時オレの視界の中にいなかったってことは、
今朝の試合を知ってたとしてもオレの視界に入らないほど遠くから見てたってことだ。
そんなに離れていて、みんなの歓声の中からオレの苗字を正確に聞き取るっていうのは……
よっぽど大声で歓声あげてたヤツがいない限り聖徳太子様でもそう簡単にはいかないと思うぜ。
そして、それほどの声のヤツがいたか――は、今までのオレの説明聞いてれば、いたかいないか、聞くまでもないだろ?」
そのジュンイチの言葉に、ジーナはしばしキョトンとしていたが、
「……なるほど、大したものですね。
全校生徒の顔と名前がわかるだけでもすごいのに、今朝の実況の内容まで覚えているなんて。
あなたの言う通りです。私がこの学校に転校してきたのは留学なんかじゃなくて、あなたと接触するためだったんです」
「なるほど。で、その目的は……こいつか?」
ジーナに言い、ジュンイチが手をかざし――その手がスパークに包まれる。
「柾木流総合格闘術。ウチの家系に代々伝わる技だ。
ま、今までの流れから察するに、オレのことはいろいろ調べてるみたいだから、説明の必要はなかったかな?」
ジュンイチの言葉に、ジーナは笑って、
「えぇ。もちろん知っていました。目的のひとつであることも認めます。
けど……本命は別にあります」
「別に……?」
聞き返すジュンイチに、ジーナがうなずき、
「そう。あなたには、その気功の他にもまだ気づいていない、秘められた力があります。
私達は、その力を貸してもらうためにやってきたんです」
「……“達”……?
お前の他にも、誰かいるっつーのか?」
ジュンイチが眉をひそめて尋ねると、突然その頭上から声がした。
「オイラのことだよ♪」
その声にジュンイチが頭上を見上げ――そこにいた存在に気づいて目を丸くした。
そこにいたのは、青い体表に小さい翼をパタパタさせて滞空している爬虫類の子供――要するに、青色の子ドラゴンとしか形容できない生き物だった。
他にその周囲には何もない。つまり、今の一言はその子ドラゴンから発せられたものだということになる。
>>11 きたああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1
す、素晴らしい良作の予感!!!!!!!!
続き待ってます!!!
がんばって!!!
「お、お前は、一体……?」
「オイラ? オイラはブイリュウ。
ようやく見つけたよ! キミがオイラのマスターなんだ!」
ジュンイチに答え、ブイリュウは宙返りの要領で降下すると、ジュンイチの胸に飛び込む。
「オ、オレが……お前のマスター?」
ジュンイチが呆然として尋ねると、ジーナがそんな彼に説明する。
「彼はプラネルのブイリュウ。あなたを見出したブレイカービースト『ゴッドドラゴン』の分身です」
「プラネル……? ブレイカー、ビースト……?」
「そう。
ブレイカービーストは、遥か昔、この世界にも数多く存在した精霊達が生み出した、彼らの守護神――
精霊達がこの世界から姿を消した後にも、その時代に生きる彼らの魂を受け継ぐ者達と共に、この世界を守り続けてきたんです」
「ち、ちょっと待った!」
聞き返す自分に説明するジーナの言葉を、ジュンイチはあわててさえぎった。
「そのブレイカービーストが、オレを見出したってのか?
じゃあ……」
「そうです。
あなたは、ゴッドドラゴンに見出された『炎』の精霊の転生――『炎のブレイカー』なんです。
あ、ちなみに私は『大地』の精霊の転生です。今は別行動をとってますけど、ちゃんとプラネルだっているんですから」
「いきなり、そんなこと言われてもなぁ……」
突然落ち着くヒマももらえないまま専門用語を羅列され、ジュンイチは心底困って頬をかきながらつぶやき――ふとイヤな予感を感じてジーナに尋ねた。
「なぁ……とりあえずその話が真実だとして……そいつらがオレやお前を必要としてる、ってコトは……」
「……はい。
この世界に、闇が迫っています。
その闇の名は……『瘴魔』」
一方、その頃街では人知れず異変が始まっていた。
人気のない路地裏に、黒い煙の塊のようなものが生まれていたのだ。
そして、それはゆっくりとサイズを縮めていき――何かの形を作り始めた。
と、同時に、煙の中に取り込まれたものがあった。
近くに巣をはっていたクモである。
「瘴魔? 何だよ、そいつぁ?」
「人の心の闇を糧に生まれた暗黒の存在……闇の者です」
頭上に多量の疑問符を浮かべて尋ねるジュンイチに、ジーナが説明する。
「ジュンイチさんも、新聞やニュースで知っているはずです。
近頃、原因不明の怪現象が多発してるって……」
「あぁ。子供が神隠しにあったり、牛の血が抜かれていたり、夜中に唸り声が聞こえたり、動物園の猛獣がどう見ても素手でやられたとしか思えない殺され方してたり……って、まさか!?」
「そうです。あれはすべて瘴魔の仕業です。
私達ブレイカーの使命は、瘴魔のような闇の者を討ち滅ぼし、地球を守ることなんです」
ジーナの言わんとしていることに気づき、声を上げたジュンイチにジーナが答える。
「……とは言っても、私もまだなりたてで……
一応、私を見出してくれた仲間の人達だけで今まで戦ってきてたそうなんですけど、最近、急に瘴魔の出現回数や強さが増してきたらしくて、自分達だけじゃどうにもならなくなってきて……」
「……で、オレやお前が新たに見出された、か……」
ジーナの話に、ジュンイチはつぶやいて腕組みし、しばし考え込む。
「お願いです。私達に力を貸してください。
『炎』のブレイカーは他のブレイカーのリーダーとなるべき重要な存在だそうで、私達の戦いにはジュンイチさんの力が必要なんです」
しかし、ジュンイチは静かに、そしてハッキリとジーナに言い放った。
「……お断りだ」
って、割り込んでしまった。
スマソ・・・。
「なんでですか!? どうして手伝ってくれないんですか!?」
放課後、さっさと帰ろうとするジュンイチにジーナがしつこく食い下がってきた。
そんなジーナの言葉をロコツに耳をふさいでやりすごし、ジュンイチは歩調を緩めることなく家路を急ぐ。
「ジュンイチさん、武術もやってるじゃないですか! 戦う力だってあります!
なのに、どうして!」
その言葉に、ジュンイチはようやく立ち止まり――その後ろを歩いていたジーナはモロにジュンイチの背中にぶつかった。
「……ジュンイチさん……?」
つぶやくジーナに、ジュンイチはゆっくりと振り向き、
「……悪いが、オレは、“闘い”はしても、相手の命を奪う“戦い”は絶対にやらない。たとえ相手が誰であってもな」
「け、けど……」
「瘴魔は命を持たねぇっつーんだろ?
けどな、戦えば、それに巻き込まれるヤツが必ず出る。望む、望まないに関わらずにな。そしてそれは、紛れもなく命がある連中だ。
だからオレは戦わない。代わりを探すんだな」
言って、ジュンイチはジーナを置いて歩き出すが、
「……代わりなんて、いないんです……」
うつむいたまま後について歩き出し、ジーナが言う。
「ブレイカーは純粋に魂の転生の問題です。ジュンイチさんが生きている限り、ジュンイチさんの代わりなんて、ありえないんです……」
「………………」
つぶやくジーナの目尻に涙が浮かんできたのに気づき、ジュンイチは思わずため息をつき――
――ゾクッ!
『――!?』
いきなり背筋を駆け抜けた悪寒に、ジュンイチとジーナは思わず身構えた。
「なんだ……? このとんでもなくイヤな感じは……」
思わず身震いしながらジュンイチがつぶやくと、ジーナが呆然とつぶやく。
「そんな……まさか、こんな昼間から現れるようになったんですか……!?」
「おい、何が起きてんだ!? 何なんだよ、この感覚は!」
ジュンイチがジーナに詰め寄ると、ジーナは静かに答えた。
「この感じ……間違いありません。
この近くに、瘴魔が現れたんです!」
「なんだって!?」
ジュンイチが声を上げると、
ドガオォォォォォンッ!
街の方で爆発が起きる。
「まさか、あっちで!?」
ジーナが声を上げると、
「ジーナ! 大変だよ!」
声を上げ、街の方からブイリュウが飛んできた。
「市街地に、瘴魔が現れて暴れてるんだよ!
街の人達の避難も終わってないし、このままじゃ被害はバカにならないよ!」
「市街地だと!?
……くそっ! よりによってあっちに!」
言って、ジュンイチは街の方へと走り出す。
「どっ、どうしたんですか!?」
あわてて後を追い、ジーナがジュンイチに尋ねると、ジュンイチは振り向きもせず、言い放つように答えた。
「あっちには、妹が通う中学があるんだ!」
ドガオォンッ!
その怪物が投げつけた車がビルに激突し、爆発を起こす。
巻き起こる炎の中、怪物はゆっくりと歩を進める。
真っ黒な身体に八本の足、周囲を見回す複数の瞳――
その怪物は、さながら巨大なクモのような姿をしていた。
そして、怪物は次なる破壊の対象を求め、街を進み始める。
警察も果敢に応戦しているのだが、まったく想定外の未知の自体の上、ちょっとした家ほどの大きさの怪物が相手ではまったく歯が立たない。
炎に包まれる街の中、人々は恐怖にかられ、逃げ惑う。
そんな中、人々の流れに逆らって走る少女の姿があった。
濃い栗色の髪を見る者に対して快活そうなイメージを与えるポニーテールにまとめ上げ、その身体は中学校の制服に包まれている。
と、そんな彼女の行動に気づき、少女の友人が声を上げる。
「ちょっと、あずさ! 何やってんの、危ないよ!」
「けど、あのコはもっと危ないよ!」
友人の言葉に答え、少女――柾木あずさは崩れたガレキの下でか弱い鳴き声を上げる子犬を指さす。
「あたしは逃げれば助かるけど、あのコは逃げることもできないんだよ!
まだ逃げられるあたしの危険なんて、あのコの危険に比べたら、なんてことない!」
言って、あずさは子犬へと走り、ガレキを手早くどかして子犬を助け出す。
「さぁ、もう大丈夫だよ」
「ワン!」
あずさが子犬を下ろし、子犬は礼を言うかのように一声鳴いて走っていった。
「さて、次はあたしだね」
あずさが言って立ち上がるが、
ドガァッ!
頭上のビルに怪物の投げつけたパトカーが直撃し、ガレキやパトカーの残骸があずさに向けて降り注ぐ!
「――――――っ!」
あずさが声にならない絶叫を上げ――
――ズザァッ!
その目前に、立ちはだかる影が現れた。
あずさのよく知る、そしてもっとも信頼できる者の影。それは――
「――お兄ちゃん!」
援護カキコ
「ぅおぉぉぉぉぉっ!」
声を上げるあずさの前でジュンイチが咆哮し、手にした木刀にスパークが走る。
「柾木流、気功技――
――雷鳴斬!」
ドゴォッ!
ジュンイチが木刀を振るい、そこから放たれた雷撃がガレキを直撃する。
朝の試合で使っていた技『雷光弾』と同じ要領の技だが、木刀という拳よりも細い媒介を使っている分、より収束させられて威力が高まっているのだ。
しかし、それゆえに「攻撃範囲の狭窄」という代償も同時に発生する。そしてそれは、この場合には仇となった。
そう――雷鳴斬の一撃は頭上から降り注ぐガレキをすべて破壊するには至らなかった。煙の中から、難を逃れたガレキが姿を現したのだ。
(――! 止めきれない――!)
ジュンイチが胸中で叫び――とっさにあずさを突き飛ばし、落下点から逃がす!
「お兄ちゃん!」
あずさが叫び、ガレキがジュンイチへと降り注ぎ――
――ズガガァッ!
突如地中から突き出した石柱がジュンイチの盾となり、降り注いだガレキからジュンイチを守る。
「こ、こいつぁ……?」
ジュンイチがつぶやくと、
「大丈夫ですか!? ジュンイチさん!」
言って、ジュンイチのところにジーナが駆け寄ってきた。
「ジーナ……?
ひょっとして、こいつぁお前が……?」
「えぇ。私の『大地』の力で……」
ジュンイチの言葉にジーナが答えると、あずさがジュンイチに言う。
「お兄ちゃん達……のんびり話してる場合じゃないと思うよ……」
『――!?』
あずさの言葉にジュンイチとジーナが見上げると、クモがこちらに向けて足を振り上げている!
「――くっ!」
「危ない!」
ジュンイチはとっさにあずさをつかみ、ジーナと共に跳躍し、
――ズガァッ!
クモの足は大地に突き刺さり、周囲のアスファルトを粉砕する。
「くそっ、あいつが瘴魔かよ!」
「あんな大きいのも初めてです!」
あずさを下ろしてうめくジュンイチに、となりに着地したジーナが言う。
一方、クモ型の瘴魔は地面に突き刺さった足を引き抜くと、再びジュンイチ達へと向き直る。
「こいつ――!」
ジュンイチがうめくと、
「ジュンイチぃっ!」
言って、ブイリュウがジュンイチ達の元へと飛来した。
「ブイリュウ!
ちょうどいいぜ! あずさを頼む!」
「う、うん!
きみ、こっちへ!」
ジュンイチに応えたブイリュウの言葉に、あずさは初めて見るブイリュウの姿に戸惑いながらもその後についてその場を離れる。
「……さぁて……
てめぇ、調子ン乗ってんじゃねぇぞ!」
叫んで、ジュンイチはかまえ直した木刀に“気”を込め、
「今度はてめぇがくらえ!
雷鳴斬!」
ズガァッ!
ジュンイチが放った雷撃がクモ型瘴魔を直撃し――
――ドガァッ!
「ぅわぁっ!」
直撃を受けたにも関わらず、まったくひるむことなく振り回されたクモ型瘴魔の足が、ジュンイチをビルの壁面に叩きつける。
「ぜん、ぜん……通じねぇだと……!?」
ジュンイチがうめくが、よほど痛烈なダメージを受けたのか、全身がしびれるような感覚にとらわれ、動くことができない。
そんなジュンイチを見て、抵抗は不可能だと判断したのだろう。クモ型瘴魔は彼にとどめを刺すよりも前に、次なる脅威を払拭すべくジーナへと向き直る。
「く、くそぉ……っ!」
必死に遠のく意識と戦いながら、ジュンイチはなんとか身を起こそうとするが、やはり動くことができない。
と――
「――お兄ちゃん!」
「あ、ちょっと!」
そんなジュンイチの元へ、ブイリュウの制止を振り切ったあずさが駆け寄ってきた。
「ば、バカヤロー……! 今のうち、とっとと逃げやがれ……!」
「そうだよ! キミには何の力もない! ここにいたら危ないよ!」
「お兄ちゃんがそんななのに、逃げられないよ!」
ジュンイチとブイリュウに言い返し、あずさがジュンイチをなんとか助け起こそうとすると、
ドガァッ!
「きゃぁっ!」
クモ型瘴魔の一撃を受け、ジーナが吹っ飛ばされてきた。
「ジーナ!」
ジュンイチが声を上げると、クモ型瘴魔は彼らの方へと向き直る。
「くそっ……!」
(しびれは取れてきた、今なら少しは戦える。
けど……!)
胸中でうめき、ジュンイチはジーナに駆け寄るあずさを見た。
(もしまたやられたら……今度こそジーナやあずさも……!)
気がつくと、ジュンイチは木刀を杖になんとか立ち上がり、クモ型瘴魔の前に立ちはだかっていた。
「……ジュンイチ……?」
ブイリュウが声をかけるが、ジュンイチの耳には届かない。
(……精霊だか瘴魔だか、オレの頭にゃ突拍子すぎてわかったもんじゃねぇ……
けど……)
そんなジュンイチの手の木刀に今までとは違うスパークが走り始めた。
(……けど、今のオレには、その力が必要なんだ……!
頼む……今だけでいい……
……みんなを守れる力を、オレにくれ!)
さらに援護カキコ
「――いくぞ!」
残った力を振り絞り、ジュンイチが木刀をかまえ――
――ブァッ!
突然、木刀の周囲に“力”の奔流が生まれる!
しかし、その力はジュンイチのいつもの気功技のものではなかった。明らかに、人間の“気”とは違う力が働いている。
「なっ、なんだ!?」
目の前の事態に驚愕するジュンイチの目の前で、木刀は突然煙のように霧散する。
そして、ジュンイチの手の中に“力”が収束していき――次の瞬間、ジュンイチは見たこともない一振りの剣を握り締めていた。
「こ、この剣……!?」
ジュンイチがつぶやき――クモ型瘴魔がジュンイチに向けて足を振り上げる!
「ぅわぁっ!」
あわててジュンイチが手にした剣を振るった、次の瞬間――
――ズガァッ!
そこから放たれた炎の刃のようなものが、振り下ろされたクモ型瘴魔の足を粉砕していた。
「す、すげぇ……!」
ジュンイチが剣を見つめてつぶやくと、
「――ジュンイチ! また来るよ!」
ブイリュウが叫び、クモ型瘴魔は別の足をジュンイチへと繰り出す。
「くそっ!」
とっさに、ジュンイチはブイリュウをつかんで跳び――自分の身体にも異変が起きているのに気づいた。
(痛みが……消えてる!?
それに、なんか“力”がドンドンわいてくる……
……これなら、いける!)
そして、ジュンイチはクモ型瘴魔の背後に着地し、攻撃をかわされ、再び自分の方へと向き直ろうとする目標へと突っ込み、
「遅いってんだよ!」
その尻に蹴りを一発。バランスを崩されたクモ型瘴魔は顔面から地面に突っ込む。
「とどめだ!」
ジュンイチが叫び、その剣にさっき炎の刃を放った時と同じように炎が生み出される。
そして、ジュンイチはそのままクモ型瘴魔へと突っ込み、
「これで、終わりだぁっ!」
ズガァッ!
大上段から振り下ろしたジュンイチの一撃が、クモ型瘴魔をとらえる。
さすがに両断はできなかったが、たとえ生きていたとしてももう動けないはずだ。
「どうだ……!?」
それでも油断せず、ジュンイチが剣をかまえてつぶやき――クモ型瘴魔に異変が起きた。
突然苦しみ方が変わったかと思うと、ジュンイチの斬撃でできた傷の中央に、何やら紋章のようなものが浮かぶ。
そして、
――ドガオォォォォォンッ!
クモ型瘴魔は、大爆発と共に負のエネルギーを散らして消滅した。
「……か、勝ったぁ……」
なんとか自分が生きていることを実感し、ジュンイチはかまえを解いてヘナヘナとその場にへたり込む。
と――
――シュオォォォォォ……
音を立て、ジュンイチの手にした剣が生み出された時と同じように霧散し、元の木刀の形へと戻った。
「……なんだったんだ? あの剣……」
ジュンイチが木刀を見つめてつぶやくと、
「爆天剣だよ」
言って、ブイリュウがジーナと彼女を支えるあずさと共にやってきた。
「爆天剣……?」
聞き返すジュンイチに、ブイリュウがうなずき、
「そう。炎のブレイカーの使う専用の剣――炎の精霊器さ。
さっきみたいに、炎を自在に操ることができるんだよ」
そう説明すると、ブイリュウはジュンイチへと改めて向き直り、
「とにかく、キミが炎のブレイカーだってことはこれで証明されたんだ。
改めてよろしくね、ジュンイチ♪」
「あ、あぁ……」
ブイリュウに言われ、ジュンイチは戸惑いを残したままうなずいたのだった。
こうして、ブレイカーとしての初めての戦いにかろうじて勝利したジュンイチ。
しかし――彼らと、これから出会うであろうブレイカー達の戦いが、やがて人類どころかこの地球の命運そのものを左右するものになっていくということを、この時、まだ彼らは知る由もなかった――
Legend01
「転生」
了
Next "Brave Elements BREAKER"――
「……オレ、人類の救世主になったつもりも、なるつもりもないんだけどなぁ……」
「オレ……戦士になりきれなかった……
オレの気持ちがハンパだったから……勝てなかった……」
「お前には、守りたい大事なもんがあったんじゃなかったか?」
「カン違いすんな。別にブレイカーだからヤツらと戦うワケじゃねぇよ。
オレは……オレの守りたいもののために戦うんだ!」
「こんな役に立たない“力”なんていらねぇよ……!
オレが欲しいのは……オレが欲しい“力”は……!
……みんなを、絶対守れる“力”だぁっ!」
「いけぇっ! ゴッドドラゴン!」
Legend02「決意」
そして、伝説は紡がれる――
>>29 面白かったです〜。
続編楽しみにしています。
では、おやすみなさい。
「勇者精霊伝ブレイカー」
オープニングテーマ
勇者精霊伝ブレイカー
希望Vo:柾木ジュンイチ(保志総一朗)
TVサイズ
ずっとキミのことを 守りたいよ
はるか未来つかむまで
青きこの星に 暗黒が迫る
さぁ戦いの時は来た
止められない熱い鼓動ビートが
オレの胸を奮わせる
はるかな時を 越えて目覚めた
精霊のその魂が 爆裂する
戦う勇気が力になる
みんなの笑顔が勇気をくれる
どんな時もキミを守りたいよ
目指すものはひとつ Victory!
勇者精霊伝ブレイカー!
立ち上がれ!
「勇者精霊伝ブレイカー」
エンディングテーマ
Battle For You
〜戦いは貴方のために〜
希望Vo:柾木ジュンイチ(保志総一朗)
TVサイズ
ジュンイチバージョン
その胸で目覚めた
生まれたばかりの情熱が
力へと変わり
拳握らせた
この胸で芽生えた
君を想ったこの気持ちが
導いた勇気
今も変わらずに
果てしない 光と闇の
戦いの中
かけがいのないモノの
ために生きよう
遥か久遠の 時代を超えて
君の待つあの場所へ辿り着く
そして守るよ みんなの笑顔
たとえこの魂が 滅びても
今甦る 戦士の誇り
愛する者のために立ち上がれ
この旅の果てつかみ取れるよ
自分がここに生きたその証
34 :
柾木ジュンイチ@青き紅蓮の新勇者:03/07/28 03:07
>>15 SANKYUU! 単純な戦闘力ならクラスで最強なので頑張るぜ!
おれのHPもよろしくな!
「勇者精霊伝ブレイカー」、おれと同じ名前の主人公が活躍するぜ!
よろしくなズガオオォオオオンン!!!!!!!
35 :
柾木ジュンイチ:03/07/28 03:09
36 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/28 23:20
あげ
38 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/29 02:21
なんだこの糞文章は。
バカバカしくて全部よめなかった。
39 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/29 02:50
萌えるって燃えるの意味か
萌えるだと勘違いしてた
40 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/29 03:57
ジーナたん(;´д`)ハァハァ
>>38,39
この糞文でも十分萌えますがなにか?
>>40 一応言っとくけど俺と38は別人
俺に対してのレスと38に対してのレスが
見事に混ざってたんで一応言っておく。
これは・・・なつかすぃ、無礼力一じゃないの。
よく保存してたな、と思ったら復活してるのかよジュンイチ!
>>35 グッジョブ!
スレ違いなのでsage
久しぶりに車を走らせてたポンコツカーだけどな
でもこの車飛べるんだぜ、行けマキシマムスピード秒速120キロ。
そんな俺の隣を俺の悪友がフェラーリとか言うのに乗ってやってきた
その時、ある人が目に入ったあれは憧れの一条さん。
何やら2人とも楽しそうなご様子、何か俺の車ダサいとか2人で盛りあがり始めている。
散々言いたい放題言って二人とも、バイバイと言いながら去って行った。
二人が去った後に俺の車が語り掛けてきた。
「行こうぜ宇宙へ」それと同時に禁断の装置縦回転パラダイス、スイッチオン。
説明 俺の車ならきっと飛べるという信念から生み出されたシステム
今の所、縦回転しただけで成功確率0%故に命名、次ぎこそきっと飛べる。
--------------------10秒後---------------------
やったぜ飛んだ。目的どうり空を飛んでる初めて飛べた
今俺は車と一つになった、さーて待ってろよフェラーリ俺の車の凄さを見せてやる。
ただ問題なのは縦回転しながら徐々に落ち始めている事だけだが。
--------------------1時間後-------------------
「えーと何でこんな事したのかな?」
警察の人が何か聞いてる。
「俺の夢だったんですよ、だから飛んでみました」
あの後何故か、フェラーリに直撃、自分の恋にけじめをつけた
しかも二人とも生きているらしい本当に良かった
俺の青春時代はまだ始まったばかりだ。
46 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/01 07:56
終わったなこのスレ
47 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/01 09:05
萌えってのは、アレか?
眼鏡かけたエプロン姿の妹が屈託のない笑顔で振り向いて、おかえりおにいちゃんとか言って抱きついてきたりすることか?
さびしかったよーとか言われながら、よしよしと頭なぜてやることなのか?
いっしょにお風呂はいろーって浴室に手を引かれて洗いっこかよまいったなーとかか?
私も洗ってよ、とか言われて石鹸泡だらけのタオル渡されたりしてドギマギするわけか?
脳内妄想もほどほどにな。
49 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/01 09:17
こういう文体、ストーリー展開、ノベルスっていうのか?
正直、何が面白いのかちいとも分からん。
俺がオヤジだから?
でもまだ22だぞ?
何度読んでみても角川スニーカーとか富士見ファンタジアとか、
まるで理解できんし、興味も湧かない。
で、だ。だったら読まなきゃいい。それだけだ。別にだれに強制される
わけでもないしな。
でも、俺は、将来文筆関係でメシを食っていきたいって思っている。
ところが、昨今では、まず純文学では芥川賞をとらない限り、それで
メシは食えない。では、ライターか?評論業か?それも職としては厳しいが
よしんばそれらのプロになれたとしても、俺は本来フィクションを書きたいんだよ。
そうすると、今、フィクションで、一番でかい市場を持つのは、このスレのような
ノベルスであることは間違いないわけで、だったらやっぱりこういう種類の作品も
書けなきゃいかんのだろうが、しかしなぁ・・
50 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/01 09:22
書けない奴が批判的なことを愚痴るのは簡単だよな。
幼稚でみっともないことだが、簡単には違いない。
51 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/01 09:35
そうなんだよな、みっともないよな。
いや、こういうジャンルが理解できないだけで別に
批判していない。そして、もし俺がこのジャンルに興味があったとして、
それで俺がこのジャンルの名作を「書けるか」といったら、相当に怪しい。
これだけ巨大になっているジャンルだ。ゴミも多いだろうがその分ダイヤも多いはずだ。
でもな、それ以前に、このジャンルに興味を持てんと、まず「書こう」という気すら
起こらんだろ?そしてそれは、現在の小説の世界で生きていこうとする人間にとっては、
かなりな荊の道なのではないか、と・・・
>>51 正直に言うと俺もわからない。
そういう系のを買って読んだ事があるけど全く駄目。
ただ一つ言わせてもらうと、
萌え系以外のもかなりあるんじゃないか。
どうも話し聞いてるとそれしかないと思ってるんじゃあ。
>>52 ああ、「萌え」だけではないみたいだな。あとはなんだろう、和製ファンタジーか?
でもあれも、書き手と読み手の間にもの凄い量の「約束事」があるみたいじゃないか。
なんか「ロードス島戦記」とか結構面白いみたいだけど、
そういう作品をくぐってきたファン、目の肥えたファンタジーファンなんかにかかると、
俺が付け焼刃的な知識で挑戦してみても、まず相手にされないだろう。
てか、このジャンルって、そりゃあ萌えからファンタジー、学園モノとか一杯あるけど
どれもみんな「アニメ」や「漫画」の背景知識がある程度必要とされてるよな?
困るな・・・いままでそういうジャンルにはまったく触れてこなかったし、そして今更、興味も湧かない。
漏れが今、興味がある&得意なジャンルは、純文学ほど難解ではない、で、同時にノベルスほど
非現実の話ではないっていうやつ。
たとえば、自分が子供の時に感じた記憶、感動なんかをリアルにかつ自分ならではの文体を
駆使して表現するってやつ。実体験をフィード・バックさせたフィクションってやつだな。
そういうジャンルでプロとしてやっていこうとすれば、この出版大不況の昨今では
それこそパイが「極めて」少ない。で、非常に困ってるわけよ・・・。
ネットとかで自分の作品公開してるのとか見てみると、ほとんどがこのスレのようなノベルスの
ようなやつだし、一見そう見えなくても有形無形にそれらの影響を受けていたり・・・と・・・・
たとえばさ、ノベルスって俺のイメージではこんなんなのだよ。
ある文芸創作系のサイトで公開されてた、とある作品をフラッと読んでみたんだよ。
そしたら、なんか冒頭で偶然知らない女の子に出会うっていう滑り出し。
で、もちろん話はその子と主人公の男中心に進んでいく・・・・
でもな、現実のことを考えたらさ、そ ん な こ と 、 あ る か ?
「滅多にない」なんてもんじゃない。ない。普通に生きてたら
クラスの女子か親戚、まあ、手を伸ばしても合コンとかで出会うしか、
女性とのドラマは生じない。それが、現実。
現実には起こらないことが起こるから小説は面白いんだって言われるかもしれんが
だったら、もっとリアリティーと説得力が欲しい。一番の違和感は冒頭のそういう
ボーイ・ミーツ・ア・ガールがなんか様式として、読み手にも書き手にも教養として
前提になってしまってること。違和感を感じないんだろうな、偶然出会った少女とドラマが始まることに。
でも、俺にはわからないし、そういうリアリティーを無視した作品には巧拙のまえに興味を失う。
むろん、書いてみようとも思えない。
>>54 という事は漫画やアニメを全く知らないって事?
そういう人には確かに向いてないと思う。
でも、リアリティーとか説得力を持ったファンタジーなら
出来るんじゃないかな。
ただ質が馬鹿高くないと駄目だと思うけど
>>55 アニメ、漫画をまったく見ない・知らないというわけではない。
ドラえもんとか好きだし、その流れで藤子・F・不二雄のS・F短編なんかは
かなり熱心に読んだ。ただ、世間で「オタク系」と分類されるようなジャンルのものは
まあ、新世紀エヴァンゲリオンくらいしか見てない。繰り返すが、オタク系作品に
頻繁に見られる非現実性、そしてファン同士の馴れ合い・・・に、どーも馴染めないのだよ。
現実的なファンタジーか。マーケティングが難しそうだ。どっちにせよ、俺の場合、
かなりハイ・クオリティーなもん書かないとオタク系の読者にはまるで受けなさそうだな。
(^^)
まあ、モリビト28号様に弟子入りしろってこった。
60 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 12:05
61 :
無料動画直リン:03/08/02 12:13
62 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 13:31
文章というものを極限にまで分割していくと、形態素だとか、
文字だとかになってしまう。こうなると、ほとんど著作権の対象では無くなるから、
表現というものは複数の作品で共有されるものになる。
「雲ひとつない青空」なんて表現と同様に、作者がオリジナルだと思った表現は、
すぐに共有化されて陳腐なものになっていく。2chにおける特有の言回しやコピペ
では、その傾向は特に顕著である。
著作権が無い、ということはどういうことか。結局は、金にならないということである。
いくら文章の言回しが上手い人間でも、それだけでは無数の作品と比較して
売りとするにはいささか弱さが否めない。すると、キャラクターの登場である。
読み手のツボを突くようなキャラクターを設定すると、どうなるだろうか。
キャラクターの著作権が作品を覆うのである。これによりキャラクターの台詞や
行動の描写までもが著作権の対象に成り得るし、その権利を利用することで、
出版社が小説という貧相な活字媒体を利用せずに儲けることが可能になるのである。
また、大衆すなわち大多数の読み手にとっては、表現は分りやすいほうが好まれる。
くどくどと描写をされると解釈に労苦を伴うため、嫌われるのである。
すると、「雲ひとつない青空」と書かれていたほうが都合が良いということになる。
そうやって、うすっぺらなキャラクター小説が売れて行く。資本主義とはそういうものなのである。
>>62 小説と言う物が文字で作られた作品か
それとも純文を重視して作られる作品か
64 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 16:46
その内部に実体としての意味を価値を内在していると思われた言語、ことばは
実はある体系内での関係性によってその意味が決定されるものである、
ということがポスト・モダンという思想運動の成果で明らかになった。
そのようなパラダイムの内部においては、言語、そして散文をもその自立的な意味、価値を
失うことになる。それはまるで、それ自体には使用価値が存在しない「貨幣」のようなものである。
つまり、近年においては、ことば、散文、さらに小説でさえも、その内部に価値は存在しなくなった。
価値はあくまでも、交換価値という形でしか存在しないという、非常に流動的な、
不安定なものに成果てた。まさにそこにおいてこそ、ノベルスというメディアの存在価値がある。
貨幣と同様の存在である以上、それは記号的でなければならず、それ固有のノイズの存在を
許さない。それは、たとえば、紙幣において、端っこの破れたボロボロのものと、たった今印刷された
新品のものとの価値の格差は存在しない。それと同様なことが文学においても生じた場合、
あらゆる意味内容、概念、感情一般が統一化され、普遍化され、俗な言葉で言い換えると、
「薄っぺらく」なる。それらは、一見変化に富み、我々に多様性の錯覚を見せるが、その多様性
というのも所詮はコンビニエンスストアの商品のバリエーション程度の多様さしか持ち合わせて
いないのである。文学が死滅した、という言説の根拠はまさに、ここにある。
>>64 つまり要約すると
細かく表現すれば幾万通りの言葉と表現が出来る
だけどおおまかにわかりやすく説明すればバリエーションが少なくなる
という事で良いかい。
つうか、何を言いたいのか解らん。
どうも大事なところは難しい言葉を使い説明をはぐらかしている様に見える。
>>64 もうイイよ・・・・
お前の文章見てると涙が出てくる
間違えた65です。
知ってるか?難しい言葉並べて判らない奴を馬鹿にする奴よりも
判らない奴が判るように説明できる奴の方が頭がいいんだぜ
萌えるとかファンタジー物とかお前らはただ頭が幼いんじゃないのか?
それともミーハーなだけか?
どこかで見たような文章つなげただけじゃんか
ズガァァァンとか幼稚すぎないか?
71 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 17:35
64の言うことも、それなりに分かるのだが、こんな私はまずいのだ
ろうか?
>>71 まずい。だって、書いた本人にもよく分からないんだもん。
(口語訳)ぶっちゃけさー、最近の小説ってみんな同じようなパターンだよね?
なーんかキャラにしてもセリフにしてもストーリーにしたってさあ、
どっかで見たようなパターンじゃん?話の冒頭でさあ、女の子がパンくわえて走って登校してたらさあ、
もう次の展開、読めるっしょ?そう、ぶつかるの。男の子と。
んでその場は別れて、で、学校着いて教室入ると、なんとさっきの子がいるわけよw
いうまでもなく、そいつ転校生。で、さ。最近はそういう「読めるパターン」の寄せ集めってカンジがするわけ。
それって結構まずくない?だってそういうのってさ、たしかに分かりやすいけれど、でも実際の感情とか、
シチュエーションってそんなんじゃないでしょ?もっと、複雑でさ、まあ、人それぞれなわけじゃん。
でさ、その人それぞれ、「俺にしか分からん様な感覚や、俺にしか体験したことないような状況をお前らにも
なんとか伝えたい、伝えてやる!!」みたいなやつが文章になって、それを文学って言ってたわけでしょ?
やっぱまずいよ。
なんでまずいかって?それはさ、そういう感情や経験がパターン化されちゃったもんばっか読んでたら
わたしらのさ個性とかがなくなる気がしない?自分の、すごく言葉になりにくいような複雑な思いとか、
気持ちとかが、みんな「パターン」で表現できてしまいそうで、それって、「わたしがわたしでない」って
カンジがして、すごく不安になるのよ。わたしの感情がみんなも同じって、
なんかいいことみたいだけど、よく考えたらだれも他人がいないってことにもならない?
73 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 19:08
おい、このくらいの文書で、要約したり、難解だから口語訳したり
するなよ。
意地でも軽く読み流して賛成するなり反論するなりするもんだ。
作家志望だろう?
>>54 自分もラノベ嫌いだけど、ちょっと
リアリティに対する考え方が違ってる。
「女が突然目の前に現れる」というエピソード自体は
小説におけるリアリティの範疇に入らないと自分は思ってる。
それを言うなら小説のほとんど全部があり得ない話になってしまう。
勢い完全な日記形式の私小説かノンフィクションを書かざるをえない。小説とは、例えば
>>72の例で
「女がパンを食いながら走り、主人公衝突した。実は転校生だった」という
ありえない事件(現実には転校初日からパン食いながら走り、人とぶつかったりすれば
第一印象が悪くなり、いじめかそれに近いからかいを受けることになるというのは普通。
中高生なら特にそういうことは気にするはず)を説明抜きの前提として
「もし現実に起きたら、そのとき人間はどう反応するか?」
を考えるものだと思う。この点において初めてリアリティが問題になる。「リアルな」小説なら事件が潰れないよう
「必然性(例えば『女は急いでいて髪はぐちゃぐちゃ、顔は膨れてブスに見えた』等)
を整備しつつ」「女と嫌でも関わるはめになる」話を作る。そこが作家の力量だと思う。
転校初日からパン食いながらぶつかってきたバカがいる→かわいくもねえ。むかついたし言いふらしてやる
→どうして友人もなく楽しみでもない学校に
遅刻間際で通学路の人通りも少ないのに人と衝突するほど慌てて来るのか。
→顔の腫れが引いてみるとびっくりするほどかわいい!
→誰が女の顔を? 誰がそんなに急がせた?
→裏に事件あり。
→主人公は女をからかったことが原因で事件に巻き込まれる。
と、リアルな小説ならなる。。。。。。。。。。わけないなあ。。これじゃラノベそのものだ(鬱
(ごめんなさい! 所詮は素人なので。一つの例としてスルーしてください)
とにかくラノベの場合不自然な展開(女がパンをくわえて走るという滑稽な自殺行為)
をすることに(作者が)いささかの疑問も抱かずストーリーが「ラブコメとして」進行したりする。
ラノベをリアリティの面で非難するならこういう点で非難すべき。
そしてラノベはおおいに非難されるべき。
75 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 19:21
76 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 19:47
読むな。アッチ行け
>>73 書いた本人にもよくわからない文章を
他人が理解する方が無理難題なわけで。
自分の範囲は最低限書いた本人がわかるレベルであります。
>>77 愚か者。作者が不在のテクストを捻じ曲げ、曲解して、自らのオリジナルって言ってもいい段階まで
加工する作業こそが創作行為なのではないか。作者がそのテクストを理解しているかどうかなどどうでもいい。
要は君ら一人一人の、独自の「解釈」をこそ読みたいのだ。
>>74 なるほど。オチはともかく、思考プロセスが面白かったよ。色々、示唆されることも多かった。
もうちっと自分でこの問題について考えてみて、面白い考えが浮かんだらもう一遍書き込んでみる。
ズバッと解決しよう
「長文の奴ら、ウザイ」
80 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 22:31
81 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/02 22:33
>>78 それを現実でやっちゃうと
議論相手に付け入る隙を与えちゃうわけで
まあそれを前提に話し合いたいなら
最初からそれを言いなさい。
83 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/07 18:23
まれにみる低レベル
84 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/07 18:24
85 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/11 16:28
そろそろ萌えをだれかかけ
よし書いてやる。
一日待て
88 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/11 22:43
誰か、激励してくれ。
89 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/11 22:56
誰か激励してくれないと、がんばれません。
。・゜・(ノД‘)・゜・。
激励してくれないともう止めちゃうよ。
91 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 05:01
純恋板の方で思い付きで書いた書き込みをどっか書ける所
無いかなと思って見たら、丁度合う様なスレがあったんで書き込みしてみます。
俺の理想の告白シーンってテーマで数行の短いのを何編か。
自分の中で萌えという場面です。
ちなみに、
小説?書いた事ありません。
作文?苦手でした。
という事で三文小説風告白シーン書いてみていいですか?
書いてみます。
93 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 05:36
学校の屋上、僕達は手摺に手をかけ景色を見ながら並ぶ様に立っていた。
まるで可憐な美少女を絵に書いた様な、そしてどこか掴み所の無い、不思議で、けどとても親近感の湧く様な女の子。
そんな彼女は僕のすぐ隣、手の届きそうな距離にいる。
会話はこれといって無かったが、それはいつもの事で自然な事だった。
突如、何かを思い立った様に僕は言い放った。
それは今までずっと胸につかえていた言葉。
「す、好きなんだ」
僕は視線を前の景色から離れないまま、まるで時間が止まった様な感覚でいた。
「そっか」
彼女は濁りの無い透き通る様な声で軽くそう答えた。
僕の心臓は、急スピードで高まる。
僕は隣にいる彼女の顔を見た。
彼女は目の前の景色を見ながらなぜかニヤニヤしている。
「じゃこの際付き合っちゃおっか」
景色に視線をやりニヤニヤしたままそう言うと、何の事か解らないと言う様な放心状態の僕の方に視線を移しまじまじと見ていた。
そしてすぐ彼女の顔はみるみる意地悪心を秘めた様な笑顔になった。
「じゃ早速、一緒に帰ろっか」
まるで外国語を聞いているかの様な気分でその言葉を聞くと、僕はその場に立ち尽くして動けずにいた。
彼女はニカニカ笑いながら「さあさあいざ参ろう」と喋り僕の腕を引っ張っている。
そしてその彼女の短めの髪が、屋上の涼しい夏風で揺れると、ほのかな匂いを僕の方まで運んでいた。
94 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 05:41
訂正
僕は目の前の景色を離れないまま×
僕は目の前の景色を離せないまま○
ちょっと書き直して手を加えたら描写が増えて長くなってしまった。
では次のもう一編を。
95 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 05:44
訂正
「じゃ早速、一緒に帰ろっか」×
「じゃ早速、一緒に帰りましょう」○
後から見たらこっちの方がよかったです。
96 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 06:08
学校の屋上の手摺際で、私達は並んで雑談をしながら景色を眺めていた。
私の隣にいるのは、幼馴染みで昔からいつも一緒にいる男の子。
彼はどこかワイルドで女の子の間でも隠れた人気がある。
しかし取っ付き難そうにも見えるのか、仲の良い子はほとんどおらず、私だけだった。
私達は他愛も無い話をして笑いながら放課後の時間を過ごしていた。
なぜだろう、ずっと胸に秘めていた言葉、それを今ならすぐにでも言ってしまえそうな気がする。
雑談が一段落すると、私は躊躇もせず、まるで目の前の景色に言う様に呟いた。
「ずっと。好きだったんだ」
その言葉が目の前の景色の中に溶け込んでいく。
私は隣の彼の方に視線を流す。
「ん、知ってたよ」
彼はまるで何事も無かったかの様に、その場でヘラヘラっと笑いながらそう言った。
不思議と彼がそう言ってくれるのを、私はずっと前から分かっていた様な気がした。
涼しい夏風が吹いたあと、彼は空を見上げながら、少し大きな声で言った。
「よーし。んじゃ以後お付き合い、よろしく」
そう言い終わると同時に、彼は手摺からぴょんと飛ぶ様に離れた。
彼の長い髪が、その長身と軽やかな動きで静かに揺れる。
そして彼はまるでお姫様をエスコートする様な仕種をして、ちょっと照れながら手を出した。
私は静かに笑いながら、自分の手を差し出した。
97 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 06:17
以上です。
文章稚筆ですいません。
あとオフィス編ていうのもリクエストされたんですけど、
いまいちオフィスっていうシチュエーションが分からないのと、
俺の理想の告白シーンて中にはまだそういうのが無かったのでイメージがちゃんとまとまっておらず、
ここの反応見てから考えてみるかなと思って書き込みしてみました。
98 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 21:00
>>90 よし行ってこい
>>97 確かに良い文章だ
だがその文章は頭が良すぎる。
手本に俺が明日あたり一丁書いてやる。
ついでに100
101 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 22:47
>>98 おながいします。
ちなみに俺のやつの萌え度はどの程度ですか?
自分は理想なだけにかなり萌えるシチュエーションなんですが。
できた。
「あね」
夏休みの気だるい昼下がり、窓が開け放たれたリビングで、僕はテレビを見ていた。ソファーに寝転がり、リモコンで適当にチャンネルを変える。
平日の昼なんてどれも主婦向けの番組で、好奇心だけで生きている僕の目を引く物なんてあるはずもなかった。仕方なく、再放送のドラマで妥協してリモコンを置くと、リビングに姉が入ってきた。
ぼさぼさの寝癖だらけの染めていない髪の毛を肩にだらりとたらし、よれよれのTシャツ、ずっと昔からはいている尻がぴちぴちの短パン、絵に描いたようなだらしのない姿だった。
眠そうに目をこすり、ふあぁと口を大きく開きあくびをかみ殺すこともなく、冷蔵庫へ一直線に進み開ける。ぴちぴちの短パンの尻を突き出し冷蔵庫の中を物色している。
戻ってきた姉の左手には棒タイプのソーダアイスが握られていた。ソファーには座らず、直に床へ腰を下ろした。ぼぉっとテレビを見ながら、アイスを食べ始める。
姉の湿った唇がゆっくりと開き、唾液の糸が三本伸びて切れた。中からしっとりと濡れた赤い舌が出てきて、アイスの表面を下から上へと舐めた。表面に唾液でなぞったラインができて、日の光りに当たりキラキラしている。
姉が腕を曲げアイスを口の中へ運ぶと、柔らかそうな二の腕が少しだけ揺れた。水色のアイスに白い歯を立てて噛み砕く。シャリシャリと音を立てて細かくした後、ゴクンと喉を鳴らして飲み込んだ。
今、姉の喉を通って体内に、体の奥深くにアイスが進入した。そんな下らない言葉を思い浮かべると、少し鼻の穴がひくりと大きくなるのを感じた。僕は、だらしのない格好をしている姉の何気ない行動一つ一つを観察していた。
なぜ姉を観察しているのだろう。そう思うが止まらなかった。
姉は空いていた右手で、うちわをテーブルの上から取り、自分の顔に向けて扇いだ。ふわぁと髪の毛が舞い上がり顔を覆い尽くした。それをうっとおしそうに払いのけ、口を大きく開きアイスをつっこみ、口だけで咥える。
そして、テーブルにおいてあったゴムで手早く髪の毛を後ろに束ねた。可愛らしい産毛が生えた白いうなじがあらわになる。
アイスを右手に、うちわを左手に持ち扇ぐ。ふわふわと産毛が揺れ、ぷるぷると二の腕が踊った。
僕は規則的に揺れ動く肉に夢中になった。
姉は食い入るような視線に全く気づく様子もなく、つまらなそうにテレビを見ている。
ドラマの登場人物が、愛してると安っぽいセリフを口にした。それに反応したのか、なんなのかは知りようもないが、突然、姉のうちわを扇ぐ手の角度が変わった。
結果として、姉のTシャツの袖口と僕の視線が一直線上にむずばれた。
枕にして寝たら気持ちよさそうなほど、柔らかそうな二の腕の奥には、毛の生えていない脇の下があった。夏なので手入れはしているようだ。脇の隣には丸みを帯びた膨らみが少しだけ見えた。
姉は下着を着けていなかった。姉は下着を着けていなかった。
僕は二度頭の中で繰り返した。
姉は下着を着けていなかった。もう一度繰り返すと、すごく興奮した。
さらに奥を見ようと、顔を突き出した。簡単に見えた。周りの肌色とは違った、赤みを帯びた円形の地帯と突起が、いとも容易く見えてしまった。
姉の裸ぐらい何度か見たことはあった。しかし、自分から性欲の対象として見たことは初めてだった。
激しい罪悪感に襲われて、慌ててテレビへと視線を移すと、男と女がキスをしていた。二人の唇がアップになって、さっき見た姉の生々しい唇が頭の中に蘇った。
ブラウン管ごしの唇よりも、妖艶で二の腕とは違う柔らかさを持った、姉の唇が僕を捕らえて離さない。駄目だと思いつつ、もう一度だけ、もう一度だけと、僕は姉を盗み見るように観察する。
アイスは半分ほどになって、すでに溶け始めていた。水色の液体が姉の指に絡まりついた。きっとべたべただろう。僕もからみついてべたべたにしたいと思った。
姉は急いで食べ始めた。唇を開き、歯を立て、アイスを砕き、喉を鳴らして飲み込む。飲み込む時、姉の喉は、単独生物のようにうねる。
そのたびに僕は姉の喉に釘付けになった。なにか、とても卑猥な物のように思えて、僕は姉の喉を見ながら興奮した。心臓が高鳴り鼻息が荒くなる。姉にバレないだろうか。
「何、アイス欲しいの?」
荒い鼻息に気づいたのか、姉はリビングに入ってきてはじめて言葉を発した。目と目が合い、どきりとした。
普段と何も変わらない姉の目線に、僕は激しい自己嫌悪に陥った。
「いらない」
僕は姉から視線をそらし、できるだけそっけなく言った。
もう見ない。絶対見ない、そう思いながらも、理性では自分の膨れ上がった感情を押さえることができなかった。
頭ではテレビを見ようと思っているのに、僕の目は姉の行動を全てチェックしてしまう。
姉は何事もなかったかのように、テレビへ視線を戻した。
最後の一口を食べ終えると、残った棒をゴミ箱へ向けて投げた。棒はゴミ箱の中に吸い込まれて消えた。
姉はべたべたになった右手の指を、口に咥え舐め始めた。
まずは唇をすぼめて、人差し指を咥えた。舐め終わると、唾液で濡れて光る人差し指が唇の間から出てきて、最後にチュパッと音を立てた。姉は親指から小指まで同じように舐め、最後にチュパッと音をたてた。
とても、いやらしい。僕は、この、チュパッと言う音がとてもいやらしく感じた。
姉の唾液でべたべたになっている右手から、濡れて魅力を増した唇から、大人の魅力を感じた。
僕のことなど全くお構いなしで、姉は立ち上がり台所の水道で手を洗うと、自分の部屋へ戻って行ってしまった。
僕はほっと胸をなでおろした。そして、人差し指を口の中につっこみチュパッと音を立ててみた。
「……なんだ全然エロくないじゃん」
僕は笑いながらTシャツで人差し指をぬぐった。
108 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/12 23:05
これは、とある作品を見て影響を受けて書いた作品。
似たの見たことあるかもしれないけど勘弁して。
まぁ、ほぼオリジナルだから気づくこともないかもしれないけど。
1日で書いたし、色々荒いところもあるかもしれないけど、
これが自分のイメージする萌え小説かな。
109 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/12 23:18
>>101 シチュエーションとしてはいいと思う。
自分が言えたことじゃないが、文章で引っかかるところが多い。
文章が変だとあれっと思って、内容が素直に入ってこないから注意したほうがいいと思う。
>108
もしかして姉さんのモデルはミサトさん?
なんとなく生活感のあるセクシーなおねえさんて萌えは解ります。
萌えというか、妄想主軸の官能小説ぽいですね。
111 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/12 23:22
>109
何せ書き慣れてないもんで文章力の無いのが俺の及第点です。
確かに文で引っ掛かると感情移入度が薄まるというのはありますね。
あ、るぅるぅるぅだ。
萌え小説かけるんだね。女の人がアイス食べる姿は良いね。そそる。
113 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/13 00:26
>>112 こんばんわ。
同じ板にいればやっぱり知ってる人に会うもんだね。
114 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/13 01:18
ここは過疎板の中の過疎スレだね。
人が来るまであげてやる。
みんな萌え小説を誤解している。
gooの辞典で「萌え」はこんな意味で載ってる。
「ある人物やものに対して,深い思い込みを抱くようす。その対象は実在するものだけでなく,
アニメーションのキャラクターなど空想上のものにもおよぶ」
自分は、ライトノベルのようにアニメっぽさを意識しない系統の小説でも、
深く登場人物や物語に感情移入して、○○ってかなり(・∀・)イイ!! とか
ああ、このシチュエーション激しく(・∀・)イイ!! とか思えば萌えだと思う。
だから、タイトル見ただけで逃げずに、参加してくれよ。
あのホラ、八朔っていう、旧またりの作品ね、
いまなら見れるけどサー。
116 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/13 01:30
>>115 正解。あれかなりお気に入り。
真似して自分もやったけど、エロに走りすぎて失敗した。
117 :
◆GABILdxSDI :03/08/13 16:40
最近見かけなくなったテレフォンボックスを偶然見つけた。
しかもそれがコンビニのレジの横にあったから驚きだ。
なぜこんなところにあるのか不思議でならなかったが、
勇気を出して中に入って見た。
すると中は以外にも広く、25Mプールの倍くらいの面積はあった。
老若男女いろんな人がいっぱいいる。
しかしその人たちには共通点があった。
声が『サザエさん』に出てくる花沢さんにそっくりなのだ。
いそのく〜んと、だみ声で声をかけられそうで、
私は気が気でなかったが、勇気を出して尋ねてみた。
「2000年問題の対策はもうお済みですか?」
すると花沢さんの中の一人が苦笑いをしなが言った。
「後ろ・・・」
わたしはコンニャク
このスレが廃れる原因は、
>>5辺りから始まっている駄文にある気がする。
ラノベを読んで触発された中学生が、ラノベにすらなりきらない脳内の欲望を
ただひたすらに塗りこめただけのようだ。
>>91とかから始まればまた違った展開があったかもしれない。
91の人、よかったです。るぅるぅもそれなりによかったよ。
119 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/13 17:40
>>118 どうもです。
オフィス編ももし纏まったら書き込もうかと思ってます。
いかんせん文章力が無いんでどこの描写がおかしいとか言って貰えると糧に出来ます。
>>117 読んでてマルコヴィッチの穴を連想しました。
最後の一文が説明不足で唐突で意味不明なんですが、
なんか逆にインパクトありました。
サザエさんとかじゃなしに他の要素でもうちょっと引っ張って説明して最後ドンと来たら、
そういう風な感じで映像でショート化したら面白そう。
120 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/13 22:35
【萌え文章強化月間】
一日一回は萌え文章を書きましょう。
萌え文章推進委員会より。
121 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/13 22:44
122 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/13 22:47
誰か、萌えるシチュエーション上げてくれない?
可能なら書くから。
激しいガン・アクション。
萌えではなく燃え違いか。
>>122 うはははは、生き生きしとるな。
「萌え」に骨をうずめるのも、またよし!!
・・・・・「浴衣と夕立」。
125 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/14 00:53
>>123 ごめん。銃詳しくないんだ。だから、書けそうもない。
>>124 祭り板の住人は「age」じゃなかったの?
文章の練習になればいいと思って来てるだけで、
「萌え」に骨を埋める気はないよ。
126 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/14 00:54
んじゃ、伍長の「浴衣と夕立」をがんばってみる。
次の夜に覗いてみてよ。
>>125 >祭り板の住人は「age」じゃなかったの?
うむ!!危うく志を忘れるところだった!!
気付かせてくれて礼を言う!!
そうだよな、「浴衣と夕立がそそる人」であることなどを
恥ずかしがっておっては、祭り板の名折れだよな!!
ええ、好きですとも、濡れた白い浴衣・ノーブラ・みやつぐちから見える裾ちち!!
好きではいけませんか?!!
128 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/14 01:12
あ、そういいつつまたさがってた。
>>101 100点中83だ
すまない書けない。
吹っ切れられないよー。
130 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/14 14:33
>>124 いいお題だ。あんた萌えのセンスあるよ
「萌え=セーラー服」しか思いつかない漏れっていったい……
131 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/14 16:53
「浴衣と夕立」
ものすごい恥かしい小説に仕上がりそうなんだけど、
まぁ、いいや。
とにかくできたら上げるよ。
132 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/14 17:22
>>127 今調べたけど、みやつぐちは「身八つ口」と書くみたいだよ。また一つ賢くなったよ。
>>130 伍長は恐ろしい男だよ。この程度の萌え伍長にしたら序の口。底が知れない。
「セーラー服」なんて言ってたら、初心者は引っ込んでなって言われるよ。
るぅるぅ、伍長とのホモっぷりをあんまりさらけ出すようだと
また後ろから刺されるから、ほどほどにな。
134 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/14 17:28
135 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/14 23:14
うむ、今日も来た!!
まだ作品は上がってないようだが、楽しみにしておるよ!!
>>133 なんで疎外感感じてるんだよ?!お前も愛してるぞ!!
てゆうか「萌えスレ」で排他的になる必要ないと思うぞ!!
一緒にいちバカとして盛り上がろうぜ!!
今上げるからレスしないで待ってて。
一応書けた。
「浴衣と夕立」
空は完全に夕日色に染まり、目に映る物全てが赤みを帯びて見えた。昼間と比べると、気温もだいぶ下がり過ごしやすくなっていた。
太郎は花子と手を繋いで、ゆっくりと川沿いの土手を歩いている。手を通して感じる花子の体温はとても心地よく、ぬくもりが体全体まで行き渡った。
「ねぇ、太郎くん」
太郎だけに聞こえるほどの声で、花子は言った。太郎が顔を覗きこむと、彼女は頬を染め恥かしそうに俯く。
「本当に……大丈夫かな。浴衣、変じゃない? 」
太郎は花子の前に回り込み、上から下までじっくりと観察した。花子は不安げにその様子を見つめている。
普段は、背中まで届くつやつやした黒髪が、今日はきっちりアップにされていて、浴衣によく合っていた。浴衣の方は、深い藍色をベースに白い百合がくっきりと染め抜かれていて、黄褐色の帯が彩りを添えている。
足元には、ベージュの足袋にラベンダーの鼻緒草履で、浴衣の雰囲気を決して損ねていない。
改めて見るまでもなく、花子に似合っていた。ここに来るまで見た、どの浴衣の女性よりも、一番綺麗に着こなしているように見えた。できるなら毎日お目にかかりたい、と太郎は思った。
「大丈夫。よく似合ってる」
「本当? 」
「本当だって。だから、早く行こう。花火大会が始まるよ」
太郎は花子の手を握り、先程より少し早足で歩き始めた。
「あっ」
歩いている途中、花子が声を上げ空を見上げた。つられて太郎も見上げると、その顔にぽつりと、何か冷たい物が当たった。
雨。
理解した瞬間、それは大粒の雫となって、辺り一帯に降り注いだ。雨は空を切り裂くような勢いで、太郎達に襲いかかった。
「どうしよう。浴衣濡れちゃうよ」
助けを求めるように花子は言った。濡れると何か問題があるのだろうか、と太郎は一瞬思った。しかし、そんなことを考えている間にも、雨は降り注ぎ全身を濡らす。太郎は周囲を見渡し、雨宿りができそうなところを探した。
「あの橋の下まで走るよ」
返事を聞く前に、太郎は花子の手を取り走り出した。一番近くにあった階段で土手を降りて、川縁を走る。花子が慣れない鼻緒草履のため走り難そうだった。太郎は少しスピードを落として、花子に合わせる。その心遣いに、花子は申し訳なさそうな顔をしてごめんねと謝った。
橋の下に駆け込む頃には、太郎も花子もずぶ濡れだった。激しい呼吸音と、雨音だけが耳に届き、他の音は全て、届く前にかき消された。
所々に苔や染みで彩色された石橋の下、幅1メートルほどの川縁で太郎と花子は身を寄せ合っている。
「大丈夫? 」
「うん。……ごめんね、私のために太郎君まで濡れちゃって」
「いいよ、気にしなくて」
太郎がそう言うと花子は頷き、雨を落としつづける空を見た。そして、ぽつりと呟いた。
「花火大会中止かな」
「きっと、夕立だよ」
「うん」
会話が途切れた。沈黙の代わりに激しい雨の音が空間を支配する。
雨がコンクリートの橋を叩く音、川の水面を叩く音、土手の土を叩く音、雑草を叩く音、それらの音が交じり合って一つの大きな音を作り出していた。
太郎はさりげなく花子を見つめた。雨に濡れた前髪が肌に張りつき、雫を流している。肌は雨に濡らされてしっとりと湿っているようだ。普段は隠れている、日に焼けていないうなじに、産毛が張りついている。太郎はそれが妙に艶かしく思えた。
花子は、体に張りつく浴衣を気持ち悪そうにしている。気持ち悪さに耐えかねたのか、襟をめくり中へ空気を送り込んだ。
その時、太郎は目撃した。襟から覗く、うなじと同じぐらい白い肌を、丸みをおびた胸の膨らみを目撃した。思わずじっと見てしまったため、花子が太郎の視線に気づいた。花子は襟を正して手で隠し、太郎を睨みつける。
「エッチ」
「ごめん」
太郎はなんと言い訳していいのかわからなかったので、素直に謝った。しかし、花子は何も言わず、黙りつづけている。浴衣から流れ落ちる水滴で、彼女の足元には水溜りができていた。今も、髪の毛から雫がおちて広がり続けている。
数分後、水溜りが太郎の足元に到達した時、突然花子は口を開いた。
「 」
声と同時に、橋の上を車が通ったため、太郎には全く聞きとれなかった。
「え、なに? 」
「教えない」
そう言って花子は無邪気に微笑んだ。そして、外を指差して
「ほら、もう雨上がったよ。早く行かないと花火大会始まっちゃう」
太郎の手を引っ張り、夕日が再び顔を出し始めた空の下へ駆け出した。
完了。
何かこれ晒すの、すごい恥かしい。
だからsage。
途中何度も嫌になって書くのを止めようとしたけど、
ほとんどやけになって無理矢理終わらせた。
5枚程度で一日もかかった。
結論として、自分は、萌えというか、こんな感じのは向いていない。
恥かしくて全然進まない。
エロならいくらでも書けそうなんだけど。
浴衣と夕立ち上手く利用できなかったな。
はずかしー
143 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/14 23:45
Σ ( ̄ロ ̄lll) 「萌え」と「エロ」て違うもんなのか?!
同意語だと思ってたよ!!奥が深いね、萌え!!
しかしまあ、興奮したよ!!ええ噺だった!!
書いてくれてありがとう!!一応保存しといた!!
その気持ちわかるぞ。
俺も今萌え系を書かざるをえない状況なんだが激しく進まなかい。
なんつーか途中でつまづくのな。だからこんなとこ来てるわけだが。
誰か書いてよ。
一人だけじゃ恥かしいじゃないか。
誰かいないのか。
萌えを書かせたら、俺に敵はいないという猛者は。
>>144 心を宇宙とシンクロさせるんだ。
そうすれば道は開ける。
147 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/15 03:05
なんだかんだ言っても1000は良い物だ
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
149 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/15 16:12
またりと待つとしようか
おお、なかなかいいですね「浴衣と夕立」。
実はお題が良かったかも。俺もちょっと考えたんですけど書いたら大体そういう様な流れになるかな。
やはり隠しテーマの「雨宿り」りは外せないな。
ただもし自分ならラストは雨止まないままにして終わらせるかな。
なんていうか二人の距離や心の動き
そこから先の二人の未来みたいなのを雨宿りに反映させる為に
止ませないまま終わりにすると思う。
あと雰囲気の切なさとかからも。
151 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/15 19:23
>>150 乾草ありがd。
101もがんばって書いてよ。
るぅるぅ、エロいのも書いてよ。
153 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/15 19:47
>>152 エロいのは書いてる時、寒いから嫌なんだよ。
155 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/15 21:04
>>154 実際に珍子とか万戸とかを描写し始めると萎えるんだよ。
「あっ、そこ、えぐってぇぇぇ」
とか書いてる自分が馬鹿らしく思えてくるしね。
156 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/15 22:13
燃えの方が好きなんだよ。
157 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/16 20:58
定期あげ。
あぼーん
159 :
無料動画直リン:03/08/16 21:04
上げたとたんにこれかよ。
燃料投下どうなったのさ。
そんなに早くはできないよ。
萌え小説ばかり書いているわけじゃないんだから。
同時進行たくさんあるの?
>>163 萌えともう一つ別のを書いてる。
そっちがメインで萌えはほとんど気分転換用だから、進むのは遅いよ。
僕らは故郷がないから帰る町がない。
だからお盆になって、ひっそりと静まった団地の公園で、あの子に会えた。
シーソーと砂場と低い鉄棒と、黙って浴衣を着てたたずんでいる女の子には、むせかえるような蝉時雨と濃い夏の夕日が降っていた。
中学校に入学して一緒のクラスになった、その子の名前は恵ちゃんという。
恵ちゃんは勝ち気で人なれた子で、ぱっちりとした目と、真っ黒な髪をもっていた。青白い滑らかな頬には美しい血の色が透いて見えた。
僕がいる男子の輪のなかに、よく入ってきては、ませた頭で口づけの種類や体のしくみ、抱擁のしかたについて、あでやかな笑顔で知識を披露していた。
僕は恵ちゃんから、アノとき男女がどうするのかを教えてもらった。
もちろんそれはお話だけのことで、声を潜めて秘密を囁くと、たちまち小悪魔のような笑みを輝かせては、ついと顔を背けて別の男子へ話しかけていった。
父親が持って帰る週刊誌には女の人の裸はたくさん載っているけれど、肝心の最後にどうするかについては、いつだって曖昧に隠されていて、盗み読んだ僕の頭のなかは、そこだけぽっかりと空白があいていた。
鮮やかに疑問を氷解させてくれた恵ちゃんを、僕は女王様を見る従者のような面持ちで眺めていた。一年になったばかり、五月の教室のことだった。
だから僕はアノとき男と女がどうするのか知っている。そして僕は自分が恵ちゃんを好きだということを知ったのは、梅雨が終わる頃のことだった。僕の片思いはそれからずっと続いている。
恵ちゃんはつまらなさそうに、塗り下駄の赤い鼻緒を足指で弄んでは、ぱかぱかと動かして独り遊びをしていた。
植え込みごしに、ためらった息を吐き出して、
「鈴木」
声をかけた。『恵ちゃん』は、僕が夜になって布団のなかで苦しくなったときにつぶやく、寂しい呼び名だった。
白い影がゆっくりと動く。
「山田くん」
朝顔の花をあしらった涼しげな浴衣だった。小さくおさげに結わえた髪の房が夕日を浴びてつやつやと光る。
「家、この近くなの?」
僕は後ろの団地を指差して、
「ここ」
と答えた。植え込みをぐるりと廻り公園に歩み入った。
自分が住んでいるところを知ってもらえたことが嬉しくて、そんな自分は恵ちゃんが駅向こうに住んでいることも、名簿を暗記して住所も電話番号もすっかり知っていた。
近寄ると心臓が知らぬ間に激しく高鳴っていた。
「何してるの」
「知佳を待ってるの」
恵ちゃんは素っ気なかった。僕がまごまご戸惑っていると助け舟のつもりなのか得意げな顔で、
「お祭り見に行くのよ」
ぴやぴやと響くソプラノで自慢した。
「どこの? 八幡神社は終ったばかりだから、もしかして、阿波踊り?」
それは隣の市でやっている、この辺ではわりと有名なお祭りだった。嬉しそうに頷くと僕に向かって両袖をひろげた。
「かわいいでしょ。お母さんに着せてもらったの」
これが教室なら「別に」とか適当にごまかして、そんなことをしたって意味のない、強がりや格好つけをするのだけれど、
「かわいい」
思ってもみない声が出た。
恵ちゃんは、ほんの間だけ、はっとしたような表情を見せたけど、すぐ満面に笑顔を浮かべ、その大きな目で僕をまじまじと見つめる。ほこらし気に何度か頷いたら、黙って、その場で小さな円を描くように回った。
「旅行にいってきたんだ。昨日帰ってきたの」
「どこ?」
「キャンプ! テントを張ってカマドつくって星を見た。お父さんに教えてもらって釣りもしたよ。すぐ離しちゃったんだけど、大きくて、キラキラ光ってピチピチ跳ねてね、魚ってすごいの。釣りしたことある?」
「ない。友達と釣り堀に行ったことあるけど、一匹も釣れなかった」
悔しそうな僕の言葉に恵ちゃんは、まなじりを下げる。
「星もすごかったよ。空のずうっと端っこの方まであってね、頭のうえになるほど増えていって、それがぜんぶ光ってるの。落ちてこないのが不思議なくらい、いっぱい光ってた。
気をつけてると流れ星が見れるんだよ。お母さんは見つけてた。わたしは駄目だったけど。お母さんはたくさん見つけてた。それでね、夜は寝袋に入って眠るの」
うらやましくなって、同時に悲しくなって、なんで僕は恵ちゃんを、そんなところへ連れてつれていけなかったんだろうと、たたらを踏む。
「怖い話、した?」
訊ねると、黒目をらんらんと輝かせて恵ちゃんは小さな口を開く。僕の耳もとに唇を近づけて囁いた。
「こんど教えてあげる」
背筋が粟立つのは怖い話を聞きたいからではなく、耳たぶへかかった恵ちゃんの吐息のせいだ。
僕たちは学校のことや、連絡を取りあった友達のこと、駅前にできた新しいペットショップのことについてしゃべった。
僕の家は父親が旅行が嫌いで母親はパートで忙しかった。母親は隣町の生まれで、和歌山にあるという父の田舎には、なぜだか生まれて一度も行ったことがなかった。
恵ちゃんがふくらはぎの辺を、むずがゆそうにさすった。
「さされた?」
「あたし、さされやすいんだ」
膝を曲げて浴衣のうえからふくらはぎの辺をぽりぽりと掻いている。いつの間にか僕も二の腕の裏側をやられていた。
二人でぽりぽり掻いていると、悪戯っぽく目を光らせて顔をあげると教えてくれた。
「キャンプでも虫除けスプレー塗ってたんだけど、すごいことになってるよ」
近くのベンチに並んで座ると、恵ちゃんは浴衣の裾をそっとはだいて見せてくれた。白くつややかなふくらはぎに、こんもりとした麦粒ほどの盛上りが、いくつも出来ていた。
そのなかの大きめの一つへ恵ちゃんは桜色の爪先で十字に印をつける。はだけた浴衣の陰から幽かにのぞいた女の子の内腿は、しっとりと湿っているように見えた。
恵ちゃんはぷくぷくとしたふくらみの一つを指で示した。
「これが一番大きい」
僕は息を殺して肌理の細かい産毛のほとんど生えていない、ふくらはぎをねめまわす。
「こっちの方が大きくない?」
膝の裏側近くにある赤味をさした斑点を、そっと指で差した。
「ほんとだ」
そう言って恵ちゃんは膝を外側に返す。合わせた前みごろが大きくひらいて、ふっくらとした腿のつけ根があらわになった。
「かゆいのはどこ?」
思案顔で恵ちゃんは、いま十文字をつけたところと、
「ここと、ここ、かな」
それより膝寄りにある、もう一ケ所を柔らかそうな指の腹で押した。
「爪で、ばってんをつけるのは、効く?」
「効く気がする。かゆくなくなるのよ」
「ほんと?」
「やってあげる。見せて」
恵ちゃんはこちらを向いて、さあ、といった風に両手を差し出すと、甘やかに微笑む。
驚いた僕が呆然としていると、
「さあ」
と、せっつく。
顔が赤らんでいくのが自分でも恥ずかしくて、僕はぶっきらぼうに片腕を上げた。恵ちゃんは睫をあげて訊ねてくる。
「どこ?」
「このへん」
恵ちゃんはずいっと近寄って柔らかい指で腕を掴む。もう片方の指は、僕が適当に差したあたりにゆっくりと触れた。
「ここ?」
耳まで赤くした僕が頷く。恵ちゃんは白い手で二の腕を優しく包むように持ち直すと、桜色の爪先で縦に、横に、印を刻んだ。
「山田くんは、いつもどうしてるの?」
「唾つけてる」
「ふうん」
つけたばかりの印をまじまじと見つめていた恵ちゃんは、少し考えると両手で腕を抱くようにして唇を寄せた。
あっ、と思う間もなく唇が虫さされの傷口に吸いついた。たっぷりの唾液で濡らすと柔らかい舌先がちろちろと傷口のうえを転がる。唇を離すと舌の腹で印を下からゆっくりと舐め上げた。
「これでいい?」
恵ちゃんは頭がくっつくぐらいの距離から上目遣いに僕を見上げて、にっこりと嬉しそうに微笑んだ。
ほんのわずかな間の出来事だったけれど、僕には起きたことが現実だとは思えなかった。
恵ちゃんは、ついと、顔を離すと、はだけたままの足を指して言った。
「山田くんも、やって」
そして大きく膝を外側にむけて美しいふくらはぎを僕にさらした。
夕立までたどり着けませんでした。ってか思いっきり途中です。
もとネタはありますけど、ほぼオリジナルなんで勘弁して下さい。
171 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/17 15:39
ネタを投下したら上げなきゃダメでしょ。
まだ続き書くの?
まぁいいや、ここまでの感想ね。
中学1年が主人公の一人称小説にしては、
地の文で使われてる言葉とか描写とかが、なんか子供らしくない。
もうちょっと中学1年らしい言葉とか描写を選ぶといいと思う。
あでやかな笑顔、たたらを踏む、とか、中学1年は使わないと思うし。
まだ他にもあれって思う描写が結構あったから、
気をつけたほうがいいよ。
まぁ、余計なお世話だったら聞き流してよ。
萌え要素の方は、問題ないと思う。
中学の頃の女の子の、大人びた雰囲気と子供らしさが入り混じった感じがいいとおもう。
というか、萌えの部分に関しては、自分のやりたいようにやればいい。
ああ、あれって萌えるなという気持ちを前面に出していけば、
他人意見する必要などないと思う。
感想ありがと。
描写については語り方の問題ですね。
1人称で「回想」している「僕」として視点をきちんと定めた
ほうがよかったかも。混ざってた。参考にするよ。
あの書き出しだと、「現在進行」の「僕」として主に語る書き方に見える。
労力的にしんどいので続きは、また今度にします。
174 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/18 15:40
定期上げ。
175 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/18 22:01
エロ画像かと思ったら、微妙だね。
まぁ、ここに相応しいけど。
177 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/18 22:12
>>176 いや、選んだんだよ!!こういうスレで「もろエロ」もどうかと思って!!
URLの末尾削ればちゃんと(?)エロ画像に行くぞ!!
178 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/18 22:16
179 :
(´・_ゝ・`)ノ:03/08/20 01:24
定期上げ
萌えってな
……こ、これは(・∀・)イイ!!
っていう情動を抱かせるものだよな?
その上で物語として成立させている必要があると。
まぁ、物語がきちんと成り立っていなけりゃ萌えも何もないか?
いずれ、ハイレベルにまとめてやる必要があるみたいだな。
創作とは押し並べて難しいもんだな。本当、色々な意味で。
| -`).。oO(ダレモミテナイ…トウカスルナライマノウチ…
「ふぁ〜ふ」
まだ一寸ぼんやりしている頭を軽く振って、僕は立ち上がる。そして軽く伸びをする。
いつの間にやらすっかり寝入っていたようだ。二の腕についてしまった畳の後が一寸じんじんする。かすかに祭囃子の音が聞こえる。そういえば今日は祭だったっけかな。
八月半ば、一般的に盆と呼ばれる時期に、僕は実家に帰省していた。見渡せば田んぼやら畑やらが広がる田舎で、誰も何にも急かされてはいない。僕の普段住んでいる環境とは大違いだった。
いつもと違う、ゆったりと流れる時間が心地よく、それ故にか時間が何時の間にか過ぎていく。少し寝転がっていたつもりだったのに、あたりはすっかり薄暗い。
「そう云えば、今日は祭だったかな」
毎年、この時期に山の神社で開催される盆踊り。結構出店も多く、この日だけは普段とは違った賑わいがあった。この町に住んでいた頃―学生だった頃は、毎年のように友人と連れ立って行ったものだ。
―一寸、行ってみるかな。
何気なくそう思い、だらけた体に少し活を入れて、僕は立ち上がった。
実家から神社まではそう遠くない。暫く歩いて林道に入れば、あとは一本道だ。僕は薄い上着を羽織って、ふらりと外に出た。
蝉の声が聞こえる。祭囃子がそれに重なる。風に揺られてか草葉が掠れる音が、かすかに其れに混じる。普段とは違う―普段のそれとは違うからこその―どことなく幽玄的な空間に、不思議と好感を覚えている自分が居た。
尤も、ここで暮らしているときは都会に憧れ、こんなところ一秒も居たいとは思っていなかったわけだが。
少し苦笑した。
2.
神社に近づくにつれ、少しづつ道の脇に屋台が見られるようになった。それにつられるかのように人の数も増えていた。祭囃子がよりはっきりと聞こえる。蝉の声が子供達のはしゃぐ声と、人が集まったときの喧騒に変わっていった。
出店というものも祭りならではと、ふらふらと寄り道をしながらの道中となっていた。手にはいつの間にかたこ焼きやら焼きそばやら。何故か赤い風車まで持っていた。全く声が掛かるたびに寄り道をしていては大変だ。
……と、ぽつり、と僕の額に何か冷たいものが当たった。
ぽつり、ぽつ、ぽつ……それは段々と増えていき、仕舞いにはさぁさぁと結構な勢いで降り始めた。
―参ったな。
半ばその場の思いつきで出てきたものだから、雨具の用意など全くしていなかった。天気予報では予想されていたのか、皆どこからか傘を取り出しては歩いていく。子供たちは益々騒がしく駆けて行く。一寸裏切られた気分だ。
とりあえず、林道を少し外れた木陰に駆け込み一息つく。所詮通り雨、そのうち止むだろうと高をくくり抱えたたこ焼きに箸をつける。少し濡れた服と辺りの湿気が気色悪い。
ふと、自分の後ろで誰か動いた気がして、そちらに気を向けた。其処に居たのは、年のころ十八、九、丈は僕より一回り小さいくらいの、浴衣姿のお嬢さんだった。ずぶ濡れではないところを見ると、僕と同じように振り出して直ぐ駆け込んできたりしたのだろうか。
彼女はこちらに気づいていたのか、にこりと微笑んでこんにちわ、と軽く挨拶をしてくれた。
僕もつられるようにこんちわ、と返す。しかし先客が居たとは、全く気がつかなかった。
雨音激しくさぁさぁと振り続けている。周りの喧騒は何時の間にか聞こえない。
「いや、急にヒドイ雨ですね。参りました何も用意していなくて」
3.
―その纏め上げた黒髪と微妙に覗いているうなじが素敵ですお嬢さん。
「そうですね、本当に」
「折角のお祭だと云うのに、一寸残念ですね」
―まぁ尤も今の僕はその透き通るような白い肌と薄桃色の唇、ほっそりとした喉元にどきどきなんですけれどもお嬢さん。
「えぇ。でもきっと通り雨ですから。上がった後に涼しくなってくれると良いのですけれど」
「そうですねきっと普段の着物姿も素敵なんでしょうけれども少し濡れた浴衣姿もなかなか素敵ですよお嬢さんところでその浴衣素敵ですね」
―そうですね、でも少し蒸しますから、矢張り振られている間は一寸
……あ、しまった、反転した。
お嬢さんはあら、と一寸はにかんで、ありがとうございます、と云ってくれた。うっすら朱に染まった頬がまた素敵ですお嬢さん。そして僕は真っ赤です。耳たぶまできっと。
4.
「―あ、いやその他意はなくてですね、お祭りですし。いいですよね―和服って。失われた日本の文化というか。あははは。ところでたこやきなんかいかがですか?先刻買ってきたのですが」
何がどう良いのかよく分からないが、とりあえず僕の中で日本文化は失われてたらしい。彼女はくすくすと笑いながら、頂きます、と爪楊枝に手を伸ばした。
僕も何故か照れながらたこ焼きを一つほおばる。出来立てを貰ってきたのだが、何時の間にか少し冷めてしまっていた。まぁ、猫舌な僕には丁度良いくらいだが。あと食事中のお嬢さんを見つめるのは失礼だぞ自分。
「―ところで、その風車」
「え、あぁ、先刻そこで貰ったんです。おまけに、って」
僕は持っていた赤い風車に、ふーっと息を吹きかけてくるくると回してみた。案外と良く回る。
「同じものを、前に貰ったことがあるんです。なんだか懐かしくて」
一寸寂しそうに、彼女は笑った。そのとき僕は何となくだが、彼女は誰かを待っているのだろうということ、その誰かが彼女にとってどういうひとなのだろうということが、分かった気がした。
雨音だけが響く。さぁさぁと。間が保たない。
「あー、では今日は此処で待ち合わせですか?」
ずっと、待たされっぱなしです、と少し困ったような、拗ねたような彼女。
その、彼と待ち合わせですかと余計なことを聞いてみたら、今度は真っ赤になってうつむいて、やだ、まだそんなんじゃありませんと段々声が小さくなっていく様がとってもキュートですよお嬢さん。
5.
さて、そうこうしているうちに所詮は通り雨、すっかりあがってしまっていた。先刻までやかましいほどに聞こえていた雨音が嘘のように今は無く、また辺りは喧騒に包まれはじめていた。
「―雨、止みましたね」
彼女はまだ真っ赤にうつむいたままだ。こくん、と小さくうなずくのが見えた。
「―それじゃ、僕はもう行きますね。彼に悪いですし」
あー耳まで真っ赤ですよお嬢さん。そろそろ湯気が出てきそうですね。
ふと思って、持っていたたこやきと風車を彼女のほうに差し出す。一寸戸惑っているような彼女。
「あ、もしよろしければこれ、どうぞ。僕はもう一寸その辺りを回って帰りますので」
多分、照れてたのだろう。自分でも何をしているのかよく分からないが、兎に角たこやきと風車を彼女に渡してその場を去った。彼女は微笑んでありがとうございます、と云ってくれた。
でも一寸寂しそうに見えたのは、きっと僕の気の所為だろう。そして今思うと随分デリカシーの無いことだったのかもしれない。
さて結局僕は、出店を幾つか回って岐路についた。辺りはすっかり祭りの喧騒に包まれていた。あのお嬢さんと過ごしていた、雨音だけの時間が嘘のようだった。
6.
後日談となるが、かねてから「出る」と噂の木の下に、今年はお供え物らしきものがあったとの話が、酒の席で少し話題となった。祭りの後片付けをしていた地元の青年団員が、その木の下に、ちょこん、と置いてあるたこ焼きと赤い風車を見つけたんだそうだ。
たいして珍しいものではないが、場所が場所だけに、といったところだろうか。
「で、結局その出るってのは、何が出るんですか」
親父の晩酌に付き合いながら一寸聞いてみる。妙に懐かしそうな表情をした親父は、赤ら顔で語り始めた。
「なに、昔な、仲のよい恋人同士が居て、毎年あの木の下で待ち合わせをしていたらしいんだと。だが戦で男のほうが取られてしまい、ある年の祭りは男が来ることができなかった」
親父が一気に酒を煽る。それで、と俺は空いたグラスに酒を注ぐ。
「でな、その娘さんのほうは知っていたのか知らなかったのか、その年もその木の下で待っていたそうなんだと。途中で雨が降って祭りが中止になっても、ずっとな。その後、それが元で肺炎を患ってしまっただとかいろいろ話があったが、それは実のところ誰も知らない」
7.
またグラスが空になった。とりあえず注ぐ。
「それから何年か後、雨の降っていた祭りの夜、その木の下で誰かを待っているような娘さんを見かけたというものがいてな。
それから雨の振る祭りの夜には、誰かがその木の下で、浴衣姿で立っている娘さんを見かけるんだそうだ。しかも話を聞くに、どうも同じ背格好をしているらしい。
年若い、浴衣の似合う白色美人。ありがちだけどな」
ふーん、と今度は僕が酒を注がれる番だった。まだ待っているのでしょうか、一寸悲しい話ですね、と云い酒を煽る。
「実を云うとな、昔父さんも逢ったことがあるんだ。その木の下で。大人しい、可愛い娘さんだった」
母さんに聞かれたらどつかれますよ?内緒にしといてくれ。僕のグラスに、さらに酒が注がれた。
まぁ、それが噂のそれかどうかは知らないけれどな、と親父は続けた。
「で、父さんの時も、娘さんに渡した風車とたこ焼きがちょこん、と置いてあったんだ。あのときはやっぱり余計なことだったかと一寸ショックだったな」
―あんたもかよ。何か云ったか?いやなんでもないです。
だから今年も多分、誰かが逢ったんだろう。親父は何故か一寸寂しそうに云っていた。
実家からの帰りの電車の中、僕はうつらうつらとしながら、出会ったお嬢さんのことを考えていた。
―まぁ、お盆だし。そういうこともあるか。
とりあえず、来年もこの時期、帰郷してみようと思った。
この電車が駅に着いたら、また僕の日常が始まる。
祭囃子が、聞こえた、気がした。
夏と浴衣と彼女の記憶 了
良くまとまってないのか・・・長くなってしまいました・・・
趣旨から外れているかもしれないです・・・すみません・・・
(一応、浴衣と夕立で思い立ったものです)
| -`).。oO(感想とか・・・いただけたら・・・うれしいです・・・
萌えよりは綺麗なお話だなぁ。
いや、文体だのの技巧はまた別として、結構いいと思いますよ。
それなりにまとまっていると思いますし。
ってこれじゃ感想になりませんな。失敬。
娘さんの正体の伏線をもう少し会話中とかに織り交ぜるか、
会話の前後に一つ段階を作るかしたほうが良いかも知れません。
イメージはグラデーションというか、流れるようなモノ。流動体。
あと、段落を視覚的に意識するがよろしいと思いますよ。
文を読まずに全体として見て、綺麗に見えるかどうかです。
こんな感想流していただいても一向に構わないのですけれども。
>>189 早速の感想ありがとうございます。
「萌え」とは違うかなぁ・・・と薄々思ったりはしたのですが、
「綺麗」と評価いただけるとは思わなかったので、一寸びっくりです。
> 娘さんの正体の伏線をもう少し会話中とかに織り交ぜるか、
> 会話の前後に一つ段階を作るかしたほうが良いかも知れません。
う〜ん、展開が一寸唐突過ぎたというか、もう少し伏線を用意したほうが
上手く流れたかもしれないですにゃ。
> あと、段落を視覚的に意識するがよろしいと思いますよ。
一文がそのまま書かれてしまって、改行がブラウザ任せなのが
拙いですね。つい、エディタで書いたまま投稿してしまいました。
留意したいと思います。
そして次は、こう、萌え転がる方向を目指して。
191 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/21 16:25
あげ
192 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/08/23 19:11
Σ ( ̄ロ ̄lll)うお、作品上がってんじゃねえか!!
>>181は書いてくれてありがとな!!
いや、いいね、幽子ちゃん(仮)!!
「透き通るような白い肌と薄桃色の唇、ほっそりとした喉元」とか
「濡れた浴衣姿」の文なんか、萌え描写するとともに、
少女が幽霊である微妙な伏線になっていて感心したよ!!
優麗かつ幽霊!!しゃれが利いてるね!!
>>183のあたりも微笑ましくて好きだぞ!!
例によって細かい批評は避けて、「良かった」ということだけゆうておく!!
また書いてくれよな!!
>>193 感想ありがとうございます。
某プロパイダ規制に掛かってました。くふ。
「透き通るような〜」云々の描写は「こういうひとがいたらなぁ…いるかなぁ…」
とか思って書いていたら何時の間にかこの世のひとでは無くなっていたというのは内緒です<何
しかし技巧というか文章としては
矢張りまだまだ精進必要だな…と云うのは勿論のこと。
細かい単語の用法やら云い回しやらの技術以前に、
もう一寸話を整理するというか、ページ配分のようなものを
考えて作ってみたいと思います。
194 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/09/13 19:46
うむ!!寂れておるな!!良い感じだ!!
俺が何か書ければよいのだろうが、小説はとんと書いた事が
ございませんのですよコノヤロウ。いわんや萌えをや!!!!
というわけで引き続き「萌えのシチュエーション」について
考察していく俺がいるわけだが、あれだな、「風邪とお見舞い」
なんていうのは、「風邪が女」でも「お見舞いが女」でも、
どちらでもおっけーだよな!!リンゴ剥いたり、おかゆ作ったり、
体温計くわえさせたり、おでこくっつけたり、からだ拭いたりしてな!!
「ダメ・・・感染っちゃうよう・・・」とかゆわせたりしてな!!
なにを一人で盛り上がってるんだ、俺!!もうすぐ三十路だ!!!
伍長殿のリクエスト受け取りました。
こんな夜中に何ですが、今すぐ文を書き始めます。
駄目です。
実際に書いてみると激難です。
伍長どの、我撃沈しました。
Σ ( ̄ロ ̄lll) あきらめ早ええな?!!3時間で?!!
ネタ投下 後で我に返ったら悶え死ぬかも
昨晩パソコンをやっていて寝オチしたこと。秋でも窓を開けたままで寝たら風邪を引くということ。家族の誰かがそんな俺を運んでくれたこと。寝ている間に風邪はもう回復しかけていること。そのようなことは大体理解できた。
ただ解せないのは、俺が何故か妹を抱いて寝ているということだった。
もちろんいやらしい意味ではない。芽衣は制服を着たままだったし、体がかなり冷えている。それが火照った体に気持ちよくて俺は芽衣を抱きしめていたのだろう。
ともかく何も非難されるようなことは無いと分かったので俺はさっさと芽衣を追い出すことにした。
とその前に一応感触を確かめておこうと思いつき、ぎゅっと芽衣を抱きしめた。
体の熱が奪われて気持ちがいい。眠っている芽衣の体は弛緩しきっていてとても抱き心地も良かった。
「ほら、め、い、起きろ。起きろってば。芽衣」
しばらく抱き心地を堪能した後、ぐにぐにとぷにぷにのほっぺたをつねってひっぱってやる。三十秒ほどしてようやく芽衣の目が開いた。状況を理解しようとするようにぼおっと俺のほうを見つめてから思い出したように突然ちいさくあくびをしてそれからまぶたを擦った。
「目傷めるぞそれ」
「しょうがないよ。こうでもしないと目が覚めないし」
言いながら芽衣はまぶたから両手を離すと手を突っ張って背伸びをした。それから両目をパッチリと開ける。
「おはよう。おにいちゃん」
にっこりと微笑みながら俺に話しかける。顔がすぐ目の前にあるものだから、つい緊張して目をそらしてしまった。
「ところでなんだって俺の布団に入っているんだ?」
疑問に思ったことを聞いただけなのだが、すぐに芽衣は反応して「聞いて聞いて」のポーズをとった。
握った両手を胸の辺りに持ってくるポーズだ。見ようによってはピーカブースタイルに見えなくも無い。
本人は気付いてないかもしれないが、芽衣は何か聞いてほしいことがあるといつもこのポーズをとる。
「今日ね。ほんと外すごく寒かったんだよ。ほんと凍えちゃうぐらい。雪も降るかもしれないよね。
それでかわいそうなあたしは寒さに震えながら帰ってきたんだけど、お兄ちゃんが心配で部屋のぞいたらすごくあったかそうだったからつい」
芽衣はどうやら俺のことを心配してくれていたようだ。それは素直に嬉しいことなのだが。
「寒かったのは分かったけど病人に鞭打つようなことするなよ」
またもや芽衣はにこっとわらった。
「でも気持ちよかったんでしょ?」
……あれ?
「えーと」
「どうせならもうちょっとやさしく抱きしめてほしかったな、あたし」
起きていたんですかアナタ。
「うりうり。おにいちゃんむぎゅー」
「うわっ、やめろって。首に手をまわすなってば」
まあでもきもちよかったわけで。
結局俺は翌日も寝過ごすことになったのでした。
202 :
名無し物書き@推敲中?:03/10/20 11:58
>>198-201 妹萌え。ものすごいいきおいで。
「聞いて聞いて」のポーズあたりで転げまわってます。
ギュっとしてるあたりで起きるかなぁとか思ってみたりしたのですが
「実は起きていた」というところもかなりいいですね
そして翌日も寝て過ごすわけですね妹付きで (何
ウリウリ オニーチャンムギュー( ・∀・)つ)´Д`*)
> 赤白青紀氏
おつかれさまです。
われにかえって悶え転げてください。
あと、勢いだけの感想で御免なさい。
そして折角なのでage
203 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :03/10/20 22:50
>>198 (=゚ω゚)ノ うむ、いいぞ!!妹かわゆらしい!!ひとつほしい!!
「ありえないけど憧れる」、見果てぬ妄想、人はそれを「萌え」と呼ぶ!!
ただひとつもったいないと思うのはだな、せっかく良い妄想力を
持っておるのだから、「照れるな」とゆいたいね、俺は!!
これは特にアマチュアにすごく多くて、どうも興ざめだ!!
同人誌などの素人サイトとか見てても「いいわけ」が多い!!
俺はエロ小説などをよく読んだりするわけだが、やっぱり売れてる人とかは
「いや、俺、こうゆうの好きっすから!!ええ、そうですよ、いつも
こんなコト考えてます!!いけませんか?!!!」みたいな、
自分の性癖をこれでもかとゆわんばかりにぶつけてきている。
こうゆう「妄想力」が問われるジャンルは、いっそ読者の事など考えず
自分の楽しみのためだけにリビドーを全開にする、とかのほうが
読んでいる側は楽しかったりするものなのさ!!
「聞いて聞いて」とか、ええ感じじゃないか!!むしろ誇れ!!
ま、書いてくれてありがとう!!保存しといた!!
簡素に感謝。
>>202 なによりageてくれたことに感謝。
一日くらいレスつかなくてちょっと焦ってたです。
次はネタ投下したらageをやっとこうかな。
思う存分萌え転げてください。
>>203 感想というか激励にさんくす。
確かに自分に対しても言い訳してたかも。反省。
ほしゅ
ほしゅしゅ
うむ!!明けまして(=゚ω゚)ノぃょぅ!!
今年もプロになれるとかなれないとか上手いとか下手だとか
端から見たらどんな風に感じるかとか、
そんな事には一切とらわれず、
「ええがな、俺、こんなん好きやねん!!いろいろゆうな!!」
みたいなスタンスで皆さんが萌え道を進みますよおに!!
喪中なので、寒中お見舞い申し上げます。
中層部探検中に、このスレを発見しました。
私の趣味ジャンルとは異なるので、感想は差しひかえます。みなさん、がんばってください。
赤城青紀=マジレスおじさん
…だったらやだな…。
210 :
名無し物書き@推敲中?:04/03/22 16:34
このスレが流行らないのはある意味板が健全な証しか
211 :
守人 ◆c9IAlTLm4s :04/05/08 04:25
初カキコします。
自分も書きたいんですが、パロ系(2次)はだめですか?
212 :
名無し物書き@推敲中?:04/05/14 04:33
だめかと。
「創作」文芸板だから、パロは板違いかと
214 :
名無し物書き@推敲中?:04/05/30 15:52
保守age
215 :
エイチドット@喫煙中:04/05/30 19:23
おれもなんかかこう
216 :
エイチドット@喫煙中:04/05/31 21:09
その夜は親父とお袋がそろって出かけていて、おれは風呂に入ってさっさと眠ろうと思っていた。
で、ゆっくり風呂に入っていて、ぼちぼちあがろうか、と思っていたら、玄関の扉がガタガタいう鳴
る音が聞こえて、すぐにガチャリという音がした。誰だろう、と少し緊張したが、聞きなれた声がし
て、安心した。
『来てんー』
隣の家に住んでいる従妹の悠紀だ。
おれとおない年で、同じ高校に通っていて、お互いにひとりっ子で、未成年だけど酒の好きなもの
どうしだ。
『恵ちゃん、どこー。お酒の相手してよー』
たまに彼女はおれと飲むために家にやってくる。今日は家で出来上がってきたらしい。甘えた声で
呼んでくる。今日は早く寝たいんだけどな、とおれは思った。正直、酒の相手はしたくない。でも、
まあ、寝酒のつもりで呑むか。眠くなったら問答無用で寝ればいい。そんなんで壊れる仲でもないし。
そう思って、
「風呂だよー」と、おれは大きな声で答えてやった。
『お風呂ー?』
ちゃんと聞こえたらしい。答えてくる。
「そうだよー。もうあがるから、ちょっと待ってろー」言って、おれは湯船から立ち上がり、洗い場
にあがった。
同時に洗面所(兼脱衣所)の引き戸がガラガラと開く音がした。おれは思わず、げ、と言って、湯船
の中に急いでもどった。
『恵ちゃん、ここかあ』
洗面所と風呂場をへだてるのは、曇ったプラスチックの扉である。その向こうから悠紀の声がして、
赤いコート――彼女のお気に入りのやつだ――を着た悠紀の姿が見えた。しかも、扉のノブをガチャガ
チャと回し始めた。
『出てきてよー』
217 :
エイチドット@喫煙中:04/05/31 21:09
「待て待て待て待て待て待て待て待て」おれは焦った。「阿呆か、入ってくんな」
『恵ちゃんと飲みたいのー』悠紀はなおも甘えた声で言った。さすがにムカッとした。
「わかったから、そこどけ。出られないだろう。酔っ払ってんじゃねえよ、馬鹿が」
「怒ったあ」泣きそうな声で言った。
「やかましい。なんなんだ、いったい!」
『う・・・』
彼女は言葉に詰まったようだった。そして、体の動きをぴたりと止めた。なんだ、と思っていると、
彼女の体が崩れて膝をつき、うつむいた。
おれが訝しく思っていると、情けのない声を出してきた。
『・・・振られたんだよお・・・』
「振られたあ?・・・なんだ、それで、ヤケ酒か」
『・・・ううう・・・』
おれはやれやれと溜息をついた。
「わかった。わかった。しょうがねえやつだなあ。すぐに出るからさ、な。ちゃんと酒も飲んで、
話も聞いてやるよ」
なるべく優しく言ってやった。性別はちがっても酒飲みどうし、仲良くしなくてはいけない。と思
ったのだ。
「だからさ、そこをどいてくれないか。そうじゃないと出られないからね」
『ぐー』
やばい。眠り始めやがった。
「おい」
『ぐー』
出れねえ。
218 :
エイチドット@喫煙中:04/05/31 21:10
the end
219 :
名無し物書き@推敲中?:04/05/31 21:20
萌えが、どうしてもわかんないんですよねえ・・・・・・
どういうキャラが萌えなのでしょ。
どういう話が萌えるの?
教えてよ。
萌えについてわからんこともないが、実際に妹のいる俺は妹萌えだけはダメだ。
奴が顔が良かろうが外で男と付き合おうが俺にとってはそういう意味では気色悪いだけ。
あと俺は顔は良いが性格の悪い女ってのが萌えだった時期もあるんだが
ある時期その本物に振り回されることがあってからは全く萌えなくなった。
思い出した。無感動で無表情な女に萌えた時期もあった。
これも本物(但しこいつは顔が十人並みな上、表情がないのでもはやブス)
に出会ってダメになった。
萌えってそういうもんじゃあないのかなあ
221 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 02:58
age
222 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:22
春である。4月である。初恋の季節である。
彼女も恋をしていた。末々中学2年生の前園佳子(まえぞのかこ14歳・154cm39kg)、童顔で可愛らしく、目は大きく輝いていて、体は華奢、肌は白く、
四肢は伸びやか、髪は校則そのまんまのおかっぱ、常に伏目がちで小さな声でしゃべるという、という実に実にプリティな少女である。
彼女は隣のクラスの中村君が好きだった。
中村君はバスケ部のエースであり書くのも嫌になるくらいのさわやかかっこいい少年である。背が高いし筋肉質だし成績もいい。ああ、むかつく。
そんなわけで彼女は中村君に告白をしようと思い立ったのだった。だが、中村君の倍率は以上に高い。さて、どうするか。
佳子はそのことを同級生で親友の愛乃充(あいのみちる13歳・165cm42kg)に打ち明けた。愛乃充は髪を長く伸ばし、薄く茶色に染めているが、水泳部員
なので「塩素で茶色くなったんです」と言っている賢い女の子だ。幼くしていろいろ経験のある彼女は佳子の良き相談相手でも会った。
「ラブレターを書きたいのだけれど」と小さな声で喋る佳子に対して充はフンと鼻で笑ってこう言った。
「いい、佳子。そんな間接的なものなんか興味ないよ。本当に男の子を振り向かせるのはねえ、心のこもった誠実なあんた自身の言葉と、魅力なんだよ」
「魅力なんて」佳子は悲鳴をあげそうになった。「わたしそんなのないよ」
(ああ、可愛い)。と充は思った。(こんな可愛いものを中村に渡すことになるのか。もったいないな)
223 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:24
彼女は既に男に飽き足らなくなっているのであった。だが、
(しかしながら親友のためなら自分を犠牲にいてみせよう)と彼女は思った。あっぱれな娘である。
「魅力なんて自分が発見するものじゃないわ。他人様が見つけてくれるものなのだよ。でもねえ、
そうだねえ、それで不安だっていうのなら、いい方法があるよ」
「な、なに。なに。聞かせて充ちゃん」
「あのね佳子」本当につらそうな顔をして充は言った。「本当に中村君を手に入れたいなら方法はただ
ひとつ・・・それに耐えられる?」
「中村君のためだったらなんでもする・・・」
「OK。その心意気素晴らしい。じゃあ、教えてあげる。いい?中学生にとって、異性の魅力とは・・・
心のこもった言葉よりも・・・お色気なのだよ。下半身がエレクトするか否かなの・・・」
224 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:33
そうして放課後。中村君は校舎裏に呼び出された。中村君はすでにバスケ用のユニフォームに着替えている。
「また。告白か。あきあきだぜ」
クールである。こういうのに慣れているのだ。ムカつくぜ。
「ほら、いきな」
「う、うん」
校舎の影から佳子が現れた。中村君がそれに気付いた。
「やあ、前園。なんだいこんなところに呼び出したりして」
「中村君・・・あ、あの・・・あの・・・」
「なんだい?ぼかあ、これから部活があるんだけどね。用がないならさっさと帰らせてもらうよ」
中村君がくるりと振りむいた。
「佳子がんばれ」
後者の影から充がつぶやく。
「う、うん。な、中村君・・・」
「なんだい?おや、どうしたんだい、その顔は真っ赤じゃないか?」
佳子の顔は真っ赤であった。脂汗をたらたらかいていた。
「中村君・・・」次の瞬間、佳子はブレザーを脱ぎ捨てた。ついで靴
を脱いだ。それから胸のリボンを解いた。そして・・・さすがに恥ず
かしかったのか、シャツやスカートではなく靴下を脱いだ。
225 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:43
そして反応を見るように上目遣いで中村君を見た。
「な、なんてことだ・・・」
中村君も流石にこういう不意打ちは食らったことがないらしい。
胸元のシャツのボタンを上から3つばかりはずすと、腕を組んでない乳をぎゅっと集めて、言った。
「中村君の・・・好きに・・・して・・・」
「よっしゃ。いちころ」と校舎の影で充。
「ま、前園・・・な、なにを」中村君もしどろもどろである。
「中村君に・・・めっちゃめちゃにされたいの・・・中村君の・・・ああ・・・奴隷に・・・して・・・私だけのものになって」顔を真っ
赤にして佳子はそう言った。汗をかき、顔を赤くし、大胆にも素足を見せて、佳子は挑発した。素晴らしい勇気である。ていうか奴隷。そ
そらない男がいるはずがない。
「はあ、はあ、前園・・・はっ・・・しかし、おれもモテスギテ困る男中村。駄目だよ。前園。おれにはできない。だって紳士だからさ」
「ええっ」と佳子。
「さすがは中村」と充。「しょうがない佳子。あれだ。あれをやるんだ」
226 :
エイチドット@喫煙中:04/06/07 03:48
_| ̄|○
おれはこんなあさがたになにを・・・
>>226 いや、そこで「自分を見つめなおさない猪突猛進ぶり」が必要なんじゃ
ないかなあと思うね。なんせ「萌え」だからな。
まずはイキオイとゆうかリビドーとゆうか、そういったものをだなあ、
恥じることなく叩き付けて、技術はその後だ!!
意気込みはびしびし伝わってくるので我に返っちゃもったいないぞ!!
でももうちょっとなんとかならなかったのか、
カッコひゃくろくぢうにせんちよんぢうにきろカッコトヂル。
>>212-213 エロパロ板で普通の話書くと大抵ブーイングが来てる…
見てて泣ける
エロ無しの二次創作板を作って欲しいが
それもどうやら難しい事になっているらしい。
age
230 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/18 15:07
幼なじみとか、先輩後輩とかが萌える
231 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/18 22:18
232 :
恥死量超え:04/08/18 23:16
「はい、シャロお手」
そう言って手を出すとパタパタ尻尾を振っていた雄チワワのシャロは前足を
ペタンと俺の手に置いた。そして濡れた瞳で俺を見上げる。
ああ、なんて可愛いんだろう。
「よーし、シャロいい子いい子」
そうこうして犬と戯れているうちにシャロの飼主が帰ってきた。
「あー、竜ちゃんまた来てるー」
帰ってきたのはシャロの飼主の由佳だ。俺の幼馴染ですごい可愛い。
ショートカットの髪に少しきつそうに見える非常に特徴的な目をして
いる。でも、そんな外見とは裏腹に一緒にいるとこれが面倒見が良くて
頼りがいのあるいい奴なんだ。男の俺が言うとなんか情けないけど。
まあ、こいつの話はいいんだ。俺が夢中なのはこいつが飼ってる犬の方。
三年前に由佳が子犬のシャロを貰ってきて以来、もう俺の心はメロメロだ。
三日に一度はシャロの顔を見ないと落ち着かない。由佳がいない日もこいつ
の家に遊びに来る。
233 :
恥死量超え:04/08/18 23:16
「もう。竜ちゃんがあんまりかまうから最近わたしに冷たいんだから」
「だってシャロは由佳より俺の方が好きなんだもんなー」
タイミングよくシャロがワンッ! と吠えた。
「むむむむむー」
むくれている奴がいるがもちろんそんなの気にしない。
「よーし、シャロ。散歩連れてってやるぞー」
抱き上げて腹をなでてやる。シャロは気持ちよさそうに鳴いた。
そうしていると、突然・・・・・・
「だぁぁぁぁぁぁ! あなた達男同士でなにやってんのよ」
「男同士ってお前・・・・・・」
「交代、交代。シャロを離しなさい!」
そういって俺の手からシャロを奪い取った。
「あぁあああ(哀)」
シャロを抱き上げた由佳は部屋を出てった。そして手ぶらで帰ってきた。
「おい、シャロは?」
俺の問いには答えず由佳は俺の横にチョコンと座った。
「?」
そしていきなり俺の胸に顔をうずめてきた。
「うぃぇぇぇええ! お、お前どうしたんだよ」
由佳は頬をさくらんぼ色に染めて絹糸のような細い声で言った。
「交代って言ったでしょ。私もシャロみたいに可愛がってよ」
そして俺をシャロみたいな濡れた瞳で見上げ一声鳴いた。
「わん!」
234 :
名無し物書き@推敲中?:04/09/06 21:12
age
僕が16才のときの年明けの話だ。
僕の家はいわゆる本元で正月に親戚が集まる家だ。今年も例外なく20人ほどの顔見知りの連中が集まった。
その大人数から、我が家のおせち料理は子供だけで分類したりして、3組ほどに別れて食べることになっている。
しかし人数の割に僕に年の近いのは少なく、具体的に言えば従兄弟で一つ年下の女の子のまゆを除いては、5,6才の子供や40半ばの親類で溢れかえっていた。
にぎやかな居間と台所と廊下に、何故か少し嬉しくなりながらゲームに夢中な子供5人たちのお世話兼暇つぶしをしながらおせちを待っていた。
子供のお世話に飽きた僕は残った部屋で一人のんびりテレビを見ていると、まゆが適当に声をかけてくる。
6年ほど前までその従兄弟の子供たちはいなかったわけで、同年代では二人だけだったせいかまゆは妙に僕になついていた。
こいつとは下手な男友達より気のしれた仲だったので気軽に話し合えたし、何より楽だった。
おせちが出来るまでだらだら一緒に寝転がって、腕相撲したり、蜜柑取り合ったり、明けましてで溢れかえるテレビについてくだらない談話を繰り広げていた。
子供がばたばたしだして、おせちが運ばれてきた事に気づいたのと、年賀状が気になった僕はポストを覗きに立った。
おせちそっちのけで友人のそれに一枚一枚目を通しにやけながら、親と祖父母の分を仕分けした後ちょっと遅れてみんなに交じる。
空いてた席に入ると、周りの親戚からお年玉を貰ったので、お礼をしながら雑煮とおせちを食べた。
ひと段落ついて、また子供はゲームを用意しだし、おばの一部は片付けに、おじ連中は大声で騒ぎ出した。
とりあえず酒を勧められた僕は半時間ほど奴らに付き合ったあと、期をみて輪から抜け出して移動することにした。
さっき僕がテレビを見ていた部屋でまゆとおばさんがこたつに入り、ぼけぼけみかんを食べながらやっぱりテレビを見ていた。
僕に気づいたまゆに、ゆきちゃーんと呼ばれた。んー、と返し、お年玉のことを思い出してそこに居座ることにした。
一角空いてるのに、よこおいでー、とこたつのすそを上げ僕を隣に来させる辺りがなつっこいと思う。
隣に入ってまゆの蜜柑を食べながら、二人してお年玉を机の上に広げてどっちが多いか勘定していた。
まけた割にあまりがっかりしてなさそうに笑ってるまゆとそれを見て笑ってる僕を見てか、
おばさんにあんたら仲えぇなぁ、とか言われ苦笑いに変わった僕に、まゆはうんーとやや赤くなりながら心なしかくっついてくる。
おばさんが去った後も受験の話をしたりぼうずめくりをしながら、4つもあるのにコタツの隅の1つに寄ったまま夕方まで一緒にいた。
おせちの残りをご飯にと二人であさってきてはこたつに戻って、今日帰る親戚を見送ってはこたつに戻って、お風呂に入ってはこたつに戻ってきて、そのままこたつに半身を入れてこたつの一角で二人一晩を過ごした。
妙に暖かくて朝方目が覚めたら、何故か抱き合っていてびっくりした。先に起きてよかった、ほんと。寝顔可愛いなおい。
237 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/02 04:33:59
age
238 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/08 02:56:31
MURUPO
239 :
名無し物書き@推敲中?:04/10/08 04:42:28
240 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :04/11/29 20:13:12
>>232-233 いいねえ。とても良いねえ。超遅いレスだが。
何が良いって、あれですよ、これはね、もう120パーセント
セックスへの流れなのですよ。でもやらない。それやると
「萌え」ではなく「エロ」になってしまう。その寸止め感とゆうのは
実はこの手の話に非常に必要なのではないかと思うのです。
少年漫画誌なんか読んでると、たまに見ますね。「表現の限界」ってやつ。
18禁にして書き直した方がいっそ良いのではないですか?みたいな。
だって、犬ですよ。「シャロみたいに」ですよ?
そりゃあもう首輪ですとも!四つ這いですとも!!調教ですとも!!
とりあえず俺が続き書いたら確実にジャンルとしてフランス書院文庫に
直行です!!
そういったおぢさんの汚れ切った妄想に踏み込まない節度と忍耐、
これを大事にしていくと良いと思うさ!!
241 :
ブル伍長 ◆Xoaxo7g2Iw :04/11/29 20:31:48
>>235-236 これも良いです。良いですよ。町田町蔵なら、
「正月の集まりで顔を合わせた従妹をつい魔が刺して犯してしまい」の
一行で済まされてしまいそうなこのシチュエーション、なかなか
萌え道として良いところを付いて来てます。
途中から作者自身が盛り上がってしまって最後2行、「もう俺が悶え
られりゃあどうでもいいや」みたいになってしまっているところも
非常にポイント高いです。あとはあれだね、「二人でこたつ」の場面、
触れた肌の感触・濡れた髪の香り・彼女の吐息・間近でみる彼女の笑顔、
そういったものを細かに描写した方が読者にとっては親切だと思うさ!!
いや、まあ「読者に親切」な文章を書いてほしくはないんだけどさ、
この作者には。
俺としては「先に起きてよかった、ほんと。寝顔可愛いなおい。」の
ラストが千金だ。ええもん見せてもらった!!また書いてくれよな!!
242 :
名無し物書き@推敲中?:04/11/30 18:28:58
保守
245 :
名無し物書き@推敲中?:2005/05/04(水) 22:23:57
246 :
名無し物書き@推敲中?:2005/05/04(水) 22:33:22
萌えというよりエロが多いな
249 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/10(水) 01:52:08
とりあえずあげときますね
250 :
名無し物書き@推敲中?:2005/09/06(火) 23:20:38
8
251 :
無名草子さん:2005/10/02(日) 11:18:38
ダブルクリップの大勝
フェンス越しに見る空は青く遠い。そのくせ、手を伸ばせば今にも届きそうなくらい近い。
グラウンドでは青春とかいう二文字が当てはまるようなくらい活き活きした奴らが汗を流している。
それなりの才能があればああいったものも面白いのだろうが、スポーツと言う者にあまり興味はない。
武術に関してはそれなりの覚えがあるが、それだってやっぱり強い人間と比べると・・・そこまでだ。
スタインベックの真珠や、ヘミングウェイの白夜など、薄っぺらな本を懐から出す。
・・・やっぱやめた、今日は何も考えず雲の数でも数えてよう。
雲の流れが徐々に揺るみはじめ、紺色と赤色のグラデーションで彩られる。
上手な画家が綺麗なグラデーションを作ってる。そんな錯覚さえ覚える。
夕方近くになると街の明かりが綺麗なイルミネーションを作る。
それを見てから帰るのがほぼ日課になりつつある。
「・・・さむ。」
しかし、さすがに夕暮れの秋空は寒い、昼は暖かいのになぁ・・・。
「それはこっちの台詞。よくもまぁ、授業サボってこんな何も無い所にいるわね。」
「うわっ」驚いた。
「うわって、何?私は化け物か何か?」
「うむ、般若。って知ってるか?怒った女の・・・」
「・・・はぁ。」
なんだその諦めたような、呆れたような溜息は、意味深だぞ。
「いいわ、あんたと言い合っても不毛なだけだから。」
「お、おう、分かってるじゃないか。良い子だ、さぁお兄さんの膝にお座り。」
「死にんさい。」
「・・・うぅ、ひどい。」
「ま、早く出てってね。もうそろそろ施錠しないと。」
「お、分かった。んじゃ、そろそろ行くかね。寒いし。」
「うん。」
「あ、今日はこの後すぐ帰る?」
「うん、何で?」
「いや、女の子が一人で帰るのはちょっと危険じゃないかと、一人・・・だよな?」
「うん、一人で帰るけど、そういう気が利くとはね・・・ふーん、なんか下心とかある?」
「ねーよ、っていうかお前相手に下心が沸くのならその意欲を勉強に向けますわな。」
「ははっ、そりゃいい。言ってる事とやろうとしてるコトが見事に矛盾してる。」
「うるせーな、じゃ、校門で待ってるぞ?」
分かった。あっけらかんと、そんな返事をして電気のついてない校舎に消えていった。
おい、屋上は鍵はしめなくていいのか・・・。
「おう、ちょっとコンビニよって良いか?」
「駄目って言ってもよるんでしょ?」
「うん。」
「なら無駄な問答はいらないんじゃない?送ってくれるって言ってるんだしついていくよ。」
「いや、なんか結構『買い食いは禁止されてるでしょ!』とか言いそうだったから」
「そんなにお堅くはないつもりだけど?」
「まぁ、そりゃそうだな。」
原材料に砂糖が入ってないのに異常に甘い缶コーヒーとあんまんを二つ買う。
「ほい、熱いから気をつけろよ。」
「ん、ありがと。なんか悪いね、送ってもらうのにこんなのまで。」
「気にすんな」
「あ、公園よっていこ?」
「何で?」
「飲み食いしながら歩くコトができないんだよね。」
「うわ、結構不器用?」
「何事にも一途って言ってほしいな」
「うそをつけ、何かにつけ気になる事があったらそわそわそわそわしてるくせに。」
「むー。」
ガキの頃からのつきあいは伊達じゃない。
公園につく。夜の公園なんて初めてだ。
子供の頃は夜が来るのをきらい、頑なに公園から帰りたがらず、親を困らせたりしたもんだ。
255 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/12(土) 03:52:59
支援上げ
作者がsgaeてんだからageちゃダメだろ
257 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/23(水) 00:52:43
「ああ、例えば、世界が2重人格を許していたとしたら?」
そんな、不思議な疑問を投げかける
「それは、どういう?」
かえってくる答えは無い。ただ一つ
「もし世界が、二重人格だったら、どうする」
そんな、
不可解なことを、
彼女は
尋ねてきた。
258 :
名無し物書き@推敲中?:2005/12/29(木) 16:42:43
259 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/02(木) 20:52:53
電車男PART2まだぁ?
260 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/13(月) 19:49:58
それにしても、無名草子さんたちとは、さぞやすごい作家先生の匿名書き込みなんでしょうね。
作家なんて才能が全てだから、津井ついみたいに、いくら努力したって駄目なものは駄目ですよ。
私なんか、早々に見切りをつけて趣味の世界で細々ですから。
小説現代ショートショート・コンテスト優秀賞受賞 阿部敦良
261 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/13(月) 20:24:40
「笑顔」
幼馴染と再会した。自宅最寄の小さな駅で。
話しかけてきたのは彼女の方だ。
「中川君?」
初めは髪が短いせいだろうか、誰かと思ってしまった。だが、その瞳はとても懐かしく、透明度は彼女そのものだ。
「浅野さん、久しぶり」
うまく笑えただろうか。自信は無い。
彼女、浅野理奈とは幼い頃毎日のように遊んだが、中学に進級し互いに同性のグループをつくったことで話す機会は自然と減った。別々の高校に上がり、顔すら見なくなった幼馴染。
「何?その呼び方?」
彼女は、記憶の中の少女と変わらない笑顔を見せた。
そこで繋がった。そこにいるのは間違いなく、当たり前だが、彼女だ。
「何て呼び合ってたっけな、あの頃は・・・」
今の俺には眩しすぎる、あの頃。
「しーくんって呼んでたよ、中川君のこと。私は呼び捨てにされてたと思うけど、よく覚えてないなぁ」
「うわ懐っかしいな、しーくんって。でも今そんな呼び方してたら恋人同士になっちまうよな」
言って後悔する。昔無かった壁が18の俺たちの間にはある。それを自らの言葉で思い知った。
「変わったね、中川君。」
一瞬、僅かに悲しげな表情を見せる彼女。そう?俺は冗談気味に笑う。その瞳がとても冷たいものに見えて。
「変わったよ、笑うようになった。昔はホント無表情だったよね。でもさ、時々笑うと嬉しくて。私さ、笑わせようと必死になってた。」
笑顔で話す彼女の言葉にはよく笑うことが悪い、そんなニュアンスが含まれているように思えた。実際そうなのだろう。
昔の笑顔とは違う。そんなこと、俺が一番分かってる。
「必死に親父ギャグ連発する小学生には苦笑するしかなかったからな」
「ひどっ!でも何十回かに一回はアタリだったくせに」
素直に返す彼女に感謝した。今の俺は変わりすぎてる。分かってはいるが、理解はしたくない。そんな俺の逃避癖。
「でもさ、芯は変わってないのかもね・・・。また変なことで悩んでる、でしょ?」
囁くように彼女は言った。適わない。俺の心を勝手に読まないでくれ。本当に
「適わないな」
「やっと笑ってくれた。久しぶりだね、しーくん」
262 :
261:2006/03/13(月) 20:26:18
駄文失礼しました。萌えはあっさり系が好き。
「お兄ちゃ〜ん!」
>>262 自分で「駄文」とか書くな。
こーゆー場合は「拙文」とするんだ。
265 :
名無し物書き@推敲中?:
駄文