【モテ】セガ、サミー、ms、ナムコ、EA【モテ】

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1名無し物書き@推敲中?
セガを中心にした創作学園ラブコメを書いて見ませう
にゃぁ
3だったら1を殺す
4:03/04/29 14:37
>>3
通報しますた
他の板と比べて板内引き篭もり率が高い創作文芸板で
その題材は無理かと
6:03/04/29 14:42
やっぱ無理ですかねぇ
ゲーム・ハード板だとドロドロした
展開ばかりで凹みそうになるかも知れなかったので・・・
7名無し物書き@推敲中?:03/04/29 14:50
まさか7?
空振りだねえ
8名無しさん@3周年:03/04/29 14:51
セガ君はナオミに命かけてたのに
セガ
落ちぶれはしたけど元お嬢様。その豊富な知識と
したたかな社交術は一目置かれる

ナムコ
セガにあこがれる純情少年。やっとセガとタメを
はれるくらいの知恵と渡世術を身につけた

サミー
なぜかセガの祖父に恩のある不良少年(実はヤクザ組長の息子)。
日陰者であることを知りながらセガに恋心を抱く

マイクロソフト
セガが通う学園に転校してきた成金。
金と権力で手に入らないモノはないと豪語するおぼっちゃま
その力を目当てにセガがモーションをかけてきてちょっとドキドキ。

こんな感じ?
10:03/04/29 14:54
>>9
いいっすねー

普通ならセガを男きゃらにするところ女キャラですかー
11名無し物書き@推敲中?:03/04/29 14:59
>>6
ゲーハーに一応立ててください
12吾輩は名無しである:03/04/29 15:03
萌えるかじにょ、1コインでクリアできる。
13名無し物書き@推敲中?:03/04/29 15:22
分かるなぁ>>1、君がどう言う気持ちでスレ立てたか。
俺も他所の板で小説スレ、ネタスレなんかをよく見るんだけど
やっぱり面白い文章を書く人、俗に言う神と呼ばれる人はいっぱい居るよな。
そして、もしこれが文章のエキスパート達(創作文芸板の人達)の手に掛かれれば
どれだけ面白くなるんだろう? もっと凄い、面白いスレが生まれるかもしれない
そうしたドキドキの期待感を篭めて、君はスレを建てたんだろう?
だけど、いいかい、この板には神らしい神は
まったくと言っていいほど存在しないんだよ。
あるのは正しい日本語講座と粘着嫉妬の煽りあい
常人には理解できないプライドを保つため自作自演
日々、進歩も発展もなければ人の揚げ足をとって俺の方が上だ
俺の方が才能があると本気で思いこんでいる連中ばかりなんだよ。
悲しいけど、それがこの創作文芸板の現実なのよね。
分かったかい>>1、ここは君が想像する地上の楽園板じゃないんだよ。
叩かれる前に、さっさと元の板にお帰り。
14:03/04/29 19:07
>>13
縦に読めないのですが?
15:03/04/29 19:10
>>11
無理でした
16名無し物書き@推敲中?:03/04/29 19:59
あげ
17:03/04/29 20:14
元ジャニーズジュニアとか俳優やってる友達とかいるんだけど、
ココは辞めジュのHPだよ↓知ってる?見てみて!
http://http.nu/%83W%83%83%83j%81%5B%83Y%82%CC%94%E9%96%A7%8B%B3%82%A6%82%C4%82%A0%82%B0%82%E9%82%E6%81B
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プライベートが見れちゃいます。
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ジュニアに興味無い人も、男のコも楽しめるよ。現役のタレントとかも出てくるから!
メールは正確に丁寧に送る事だけ守って!プライベートなビデオだけだから
あんまりミーハーな感じの人は無視されちゃうから注意して〜。
189:03/04/29 21:05
キーンコーンカーンコーン
「おおっと、ギリギリセーフ!」
私は始業のチャイムが鳴り終わるギリギリに教室へ滑り込んだ。
「セガ遅ーい」
「また夜中まで株売買のゲームやってたんでしょ」
「実際の売買でもないのに楽しいのかしらね」
慌てて席につく私を見て、周りのクラスメイトが囃し立てる。
「ふん、私が参加してるWebサイトのなかじゃ、獲得評価額トップなんだ
から。5ヶ月連続首位なのよ」
「まーた自慢が始まった」
「まあ、あんたの株を見る目が確かなのは認めるけどねー」
やれやれといった感じで冷やかした連中が応える。
「元手よ元手! 私に元金を預けてくれれば、1週間で5倍にしてみせる
わ。はぁ、どこかにそんなお金出してくれる王子様はいないかしら」
「ナムコ君がいるじゃん」
「あいつはパス。仮に私が損を出しても、笑って許しそうだもん。実際の
お金を扱う以上、それなりのリスクは背負いたいのよね〜」
「損しても返せないクセに」
「それとも体で返す〜?」
「はいはい、悪かったわよ。どうせ私は、会社乗っ取られたバカ社長の娘
ですよーだ」
いつものやりとりだ。今さら怒ることもない。でも私の境遇を笑われてる
みたいで、どこかチクリと刺さる。
ガラリ
「はいはい静かに。今日は転校生を紹介するわよ」
手に持ったバインダーを叩きながら担任が教室に入ってくる。その後ろ
には先ほどの言葉の答えだろう、涼やかな雰囲気の男の子がついて
きている。きらめくような金髪だ。外国人だろうか。ただ染めてるだけ?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
続き読みたい?
読みたい
209:03/04/29 23:55
隣の席の男子が小声で話しかけてくる。
「あいつアメリカと日本のハーフらしいぜ。親父がパソコンOSの開発会社
社長なんだって。世界でも指折りのおぼっちゃんかあ。すげーなあ」
「ふーん。それでこの学校の噂を聞いて、転校してきたってわけね」
「きゃー、それじゃもしかして恋人探し? やーん、私チェックされたら
どうしよ〜」
 後ろで聞いていた友達が思いっきり甘えた声を出す。普通なら突拍子も
ない話だが、うちに限ってはそうでもない。
 この学園に通う生徒の保護者は、大抵が大会社の重役連中だ。誰も
が自分の親の役職を自慢している。ライバル企業の生徒もいるが、会社
同士で取引をしている生徒も当然いる。そんな場合、子ども同士が仲良く
なることで、会社同士の親密度がより上がったりもする。いままで接点
のなかったふたつの会社が、事業提携した例もあった。学園での出会い
がきっかけで結婚し、会社も統合させてしまった先輩もいるほどだ(自分
の会社を大きくできる結婚を止める親はいないらしい)。
 友達が恋人云々言ったのは
”提携会社を探すために子どもをこの学園に転校させたのではないか”
ということの揶揄でもある。もちろん実際の恋仲にもなりたいのだろう。
それほど転校生は美形だ。
「ま、セガには関係ないことだろうな」
「そうね」
男子の心ない言葉を私は無表情に受け流す。彼も軽口で言ってるつもり
だろうが、今の私にはかなりキツい。
”セガはこの学園にいる意味がない”
そう言っているようにも聞こえた。
 だがこれはチャンスだ。あの転校生を私の虜にできれば、彼の会社
から援助を取り付けられる。そうすれば、両親の人脈を使って会社を
興せる。学園で得た友人関係を使って、いろんな提携を得られる。もしか
したら、乗っ取られた会社を取り戻せるかもしれない。打算的な考えに
嫌悪しながらも、私はそこまでのシナリオをぼんやりと思い描いた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
気が向いたら続ける
>>9
がんがれ
すごく(・∀・)イイ!!
セガが女性キャラだとどうしてもキャス子になるな。
239:03/04/30 23:13
「マイクロソフトです。マクスと呼んでください。しばらくは迷惑をかける
と思いますが、どうぞよろしく」
 流暢な日本語で自己紹介を済ませる。思ったより腰が低くてちょっと
驚いた。世界指折りのお坊ちゃんなら、相当鼻持ちならないヤツだと
思ったのに。これなら案外簡単に近づけるかも。
「じゃあ、マクス君。窓際のあそこの席へお願いね」
「はい」
「授業始めるわよ。一時限目は英語です。テキストの75ページを…」

キーンコーンカーンコーン

 授業が終わると、私はそそくさと転校生の机に向かった。思ったとおり
女子が遠巻きに彼を眺めている。勇気がないのか恥ずかしいのか、
声をかける人はいないみたいだ。意を決してみんなより一歩前に出る。
「ハ、ハーイ、マクス。クラスメイトのセガよ。よろしく」
「マクスです。よろしく」
軽く手を上げて声をかけたところ、彼はニコリと笑って言葉を返し、手を
差し出してくれた。私は握手をするため、さらにもう一歩前に出る。
「何か用?」
「ええ。学園内を案内してあげようかと思って。ここって案外広いし、中等
部の校舎もあるから、高等部へいきなり転校してきた人は迷うことが
多いの。私の誘いを受けて損はないわよ」
「そうなんだ。じゃあ、せっかくだからお願いしようかな」
「えー、セガ抜け駆けずるーい」
「マクスさん私も、私も案内します〜」
「ねえねえ、なんでそんなに日本語お上手なんですかぁ〜」
私とのやりとりがきっかけになったのか、ジッと見守っていた女子たちが
矢継ぎ早に声を上げる。すごい。圧倒されそう。
「じゃあ、マクス。お昼休みにね」
「ああ、わかった」
 私は彼にひと声かけると、黄色い洪水から逃げるようにその場を後に
した。ふう、まずは第一段階成功、かな。
249:03/05/02 00:20
「セ〜ガさ〜ん! あなたの可愛い王子様、ナムコ君のご登場です
 よ〜! 待っててくださいね〜!」
 昼休みになって、恥ずかしいセリフを大声で張り上げながらアイツが
この教室に向かってくる。まったく、アイツには羞恥心がないのかしら。
「ほらほら、王子様が呼んでるわよ」
「…ほっといてちょうだい」
私は声の主の友人をひと睨みすると、憮然と応えて机からお弁当箱を
取り出した。
「じゃあセガ、また後でね」
「うん、いってらっしゃい」
友人たちは連れ立って学食へ向かうところだ。できれば私もみんなと
一緒にごはんを取りたいけど、学園の学食や売店のお弁当はことの
ほか高いし、園外へ出られないから、自前のお弁当箱でガマンガマン。
ガラッ
友達と入れ違いでナムコが教室に入ってくる。
「もう、セガさん無視しないでくださいよ。さ、一緒にお昼食べましょう」
ナムコは私の前の席にドカッと座ると、持っていた包みを私の机の上で
広げはじめた。
「はいはい。どうでもいいけどあんたもう少し静かにここに来れないの?
 私すっごい恥ずかしいんだけど」
「そんな、セガさんへの想いを伝えるのに、なんの遠慮が要りましょうか」
予想したとおりの答えが返ってきて、私は大きくため息をついた。
「どうしたんです?」
「…ううん、なんでもない」
ふと周囲を見渡すと、窓際にひとり生徒が残っている。いつもならナムコと
私しか残らないのに珍しい。と、今朝の話を思い出し、慌てて席を立って
残っている生徒に話しかける。
「あ、マクスごめんね。学食案内するから」
「いや、いいんだ。僕も持ってきているから」
マクスはカバンからカロリーメイトとペットボトルを取り出してこちらに見せた。
>>9
グッジョブ!
26名無し物書き@推敲中?:03/05/02 06:28
良スレage
279:03/05/02 12:53
「へえ意外。持ってくるにしても、もっと豪華だと思った」
「朝と夜にたくさん食べさせられるからね。昼はこれくらいでいいんだ」
彼の席まで行って話を続ける。
「あ、私これのチョコレート味よく食べてるよ。夜食だけど」
「そう? 僕はプレーンがいいんだ。あんまり甘いのはちょっとね」
「飲み物はミルクティーなのに?」
500mlのペットボトルを机から取り上げ、彼の前でプラプラしてみせる。
「食べ物と飲み物の嗜好は別さ」
こうしておしゃべりをしていると、彼がホントに飾らない性格だというのが
わかる。本当にお坊ちゃんなのかしら。
「セ〜ガさ〜ん、なに知らない人とお話してるんですか〜」
耳元で恨めしい声が聞こえて、ドキッとして振り向く。そこには、声の
表情そのままのナムコがお弁当箱とお箸を持って立っていた。
「わっ。な、何よ。ビックリするじゃない」
「僕がいるのにほかの人のところに行くなんて哀しいです〜。紹介して
くださいよ〜」
「あ、ああ、そうね。こちらマクス。今日うちのクラスに転校してきたの。
マクス、このうるさい坊やはナムコ。うちの中等部の2年生よ」
「マクスです。よろしく」
「あ、ナムコです。先ほどは失礼しました。こちらこそよろしくお願いします」
マクスが立ってナムコに手を差し出す。ナムコも慌ててお弁当を机に置くと、
身を正して相手の手をつかんだ。うん、この辺はしっかりしてきてるのよね。
「失礼だけど、ふたりはどういう関係なのかな?」
「うーん、幼馴染ってとこかな。お互い家が近かったし、おじい様同士が
お友達だったの。ま、くされ縁ってとこね」
「いいえ! 恋人同士です!」
「……あんたね」
「はは。じゃあ、お邪魔しちゃ悪いかな」
「ううん! そんなことないない! ぜひお食事ご一緒しましょう」
私は席に戻り、自分のお弁当箱を持ってマクスの席へ向かった。
289:03/05/02 12:54
読んでくれてる人がいてホッとしてます。
続きは5/6の予定…。
せっかくのイイ話なのに


マクスの顔にゲイツを想像してしまう俺…
309:03/05/06 23:17
 食事中、私たちはお互いのことを話した。ナムコの会社のこと、私の
いまの境遇のこと、マクスの生い立ちのこと。
 マクスは生まれも育ちも日本で、海外行きを強硬に嫌がった母と
ふたりで暮らしている。アメリカにいるよりは日本のほうが安全だろうと
いうことで、彼の父も了承したらしい。以前は父がよく遊びに来ていた
が、マクスが大きくなってからは、彼が会いに行くことも多くなったそうだ。
「父は、僕らが望めばどんなものでも買い与えてくれる。一緒にいられな
いことを申し訳なく思っているのか、母によほどの弱みを握られている
のかわからないけど」
生活は質素ではないのだろうが、なにか家族として扱われていない生
活に、息苦しさを感じているみたいだった。
 食事を終えた私たち3人は、一緒に学園内を周った。体育館、学生
食堂、保健室……。お昼休みの短い時間ではとても周り切れないので、
ひとまず今後の授業で使いそうないくつかの科目別教室と、何かあった
ときに駆けつける場所をマクスに教えた(トイレと職員室、ロッカールーム
は先生がすでに案内していたようだ)。
「これだけじゃ面白くないから、私のとっておきの場所教えたげるね」
 高等部棟にある、ひと気のない階段を上っていく。ここはクラス教室
から離れているため、往来する生徒が少ない。屋上近くまで行くと、生
徒用の机やイスが乱雑に積み置かれていた。普通に見れば、とても
進めなさそうに見える。私はその机のひとつにゆっくり乗ると、ルートを
思い出しながら足を進めた。
「私と同じ場所に足を置いて進んで」
 ぐらつく体を落ち着かせるため、腰を下げて足を進める。無事屋上へ
通じる扉の前にたどり着いた。その鍵を開け、先んじて屋上へ出る。
続いて扉を通ったマクスが、前方にある風景を見て歓声を上げた。
「すごい。天然のパラソルだね」
 屋上の一角にサマーベッドが置かれており、そこに大きな影が落ち
ていた。校舎裏の高台から生えている樹の梢が、影を作っているのだ。
319:03/05/09 00:17
「へへ、いいでしょ」
「あのサマーベッド僕が運んだんですよ。よくあの机の壁を通れたなあ」
ベッドまで行き、腰を下ろそうとスカートを裾を押さえる。
「ああ、ちょっと待ってくださいよ」
ナムコが走り寄ってきて、ズボンのポケットからハンカチを出した。ベッドの
上を手にしたハンカチで軽く払う。
「はいどうぞ」
「ありがと」
 空調や電源関連の設備はなく、この屋上はかなり広い。マクスは影を
作っている樹を仰ぎ見たり、壁際に寄って下の様子を覗いたりしていた。
時折風が屋上を通り、頭上の葉がざわめく。
 ひととおり見て満足したのか、マクスが私たちのところにやってくる。
「ココにほかの人は来ないの?」
「さっきの机と椅子の乱雑さを見たでしょ。あそこをくぐろうって人はそうそう
いないわ」
「僕もひとりで時々来ますけど、ほかの人とかち合ったことはないですよ」
「ふたりはどういうときにココに?」
「セガさんがいないかなーと思ってたまーに」
「うーん、授業をサボりたいときとか、ひとりになりたいときとか、人知れず
練習したいときとか、かな」
「練習?」
「昔の話だけどね」
 そういって立ち上がると、マクスの前で背筋を少し反らして姿勢を正す。
両手を広げ、左手は胸あたり、右手は肩よりも少し上に上げる。右肘を
気持ち折り、左肘は胸のところにある風船を胸と手のひらで挟むイメージで
折り曲げる。顔を少し上げ、ちょっと右に向ける。体を反転させてマクスに
背中を見せ、右足を大きく後ろに出す。
"ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー……"
頭の中でテンポを取りながらステップを踏む。私の体はクルクルと回り、
ふたりから少しずつ離れていった。
329:03/05/09 00:18
世間ではなかったことにしたいようですがひとまず続けますよ
339:03/05/10 00:40
「ワルツ? いや、ウインナーワルツか」
「セガさんは社交ダンス部にいたんですよ。いろいろあって辞めちゃい
ましたけど」
「いろいろ?」
「……まあ、いろいろ」
「そうか……でも」
「?」
「女性がひとりで踊っているのは、男として見過ごせないかな」

 「お嬢さん」
近くで声が聞こえた。ステップをやめ、腕を下ろしてその方向に顔を向け
る。そこには、右手を胸に当てて少しお辞儀をした姿勢のマクスがいた。
「よろしければ私と踊っていただけますか?」
顔を上げてこちらにウィンクしてくる。むう、なかなかやるじゃない。
「ええ、喜んで」
スカートの端を指先で持って少し上げる。ヒザを曲げてこちらも礼をする。
「では、と言いたいところだけど、ステップはブルースしか知らないんだ」
「ふふ、いいわよ。付き合ってあげる」
互いの手を取り、体を合わせる。
「いくわよ。1,2,3,4、スロー・スロー・クイック・クイック……」
 葉のざわめきと風の音をバックに、マクスと踊る。けして上手ではない
けど、私をリードしようと一所懸命だ。
 時折ナムコが視線に入る。サマーベッドに座って、惚けた表情でこちらを
見ている姿が目に映った。
”ダンスのジャマをするほど無粋ではないみたいね”
「僕はラッキーだな。転校初日にこんなステキな女性に声をかけて
もらえたなんて」
「あら、私は知っていたわよ。あなたがとってもステキな紳士だって」
「……まいったな」
349:03/05/11 23:17
 顔を赤らめてマクスが視線を逸らす。おお、かなり脈アリですよ。これで
しばらくは、私が気になる存在になるに違いない。もう少し気分を盛り上げ
させた後で、わざと遠ざけたりして余計に気になるようにさせてやるわ。
その時この人は、どんな行動を取るかしら。
キーンコーンカーンコーン
「予鈴ね。今日のダンスはここまで」
「あ、ああ。そうだね、教室に戻らないと」
 扉に戻り、鍵をかけて椅子と机のバリケードを再び通る。
「はぁ、僕もセガさんと踊りたいなあ……。ダンス習おうかな」
「そうね、ちゃんとステップ踏めたら相手してあげるわ」
「絶対ですよ! 約束ですからね!」
「はいはい、がんばってね」
 バリケードを無事通過し、階段を下りる。廊下ではまだそこかしこで
生徒たちが話をしたり、ドタドタと走り回っていた。
「そういえばセガさんの教室に弁当箱置いたままだ。でも取りに行って
ると間に合わないし、どうしよう」
「あら、いいわよ。預かっておいてあげる。ついでに明日中身入れて
きてあげようか」
「ほ、ホントですか」
「私が作るから、いつもあんたが持ってきてるのより味は落ちるけど」
「いいえ、そんなこと全然ありません! ぜひ、ぜひお願いします〜」
「もう、わかったら近づかないでよ。ほら、教室に戻りなさい」
「はい! お弁当楽しみにしてます〜!! マクスさんまたお会いしましょ〜」
 満面の笑みを浮かべながら、ナムコが階段を駆け下りて行く。マクスは
手を上げて彼を見送った。
「私たちも戻りましょう。教室がどこかわかる?」
「ええと、このままもう2フロア下ってすぐそこの渡り廊下を通って、右に
行けばいいんだよね」
「ん、正解。行きましょ」
359:03/05/14 01:56
 道を間違えないよう、念のため私が先行する形で教室に向かう。
それにしても、お弁当なんてそんなにうれしいものかしらね。私にとって
は面倒くさいだけなんだけど。マクスも作ってあげたら歓ぶかな。
「ね、明日マクスのぶんのお弁当も作ってきてあげようか」
「え、あ、い、いや、いいよ。悪いし」
「いいのよ。ふたり分作るなら3人もあまり変わらないわ。おかずたく
さんのほうが作りやすいし」
「そ、そう? じゃあ、期待しちゃおうかな」
「ん、期待してていいわよ。カロリーメイトよりはおいしいと思うわ」
「よ、よろしくお願いします」
なんか顔真っ赤にしてる。嬉しいのか恥ずかしいのかよくわからない
けど、まんざらじゃないみたいね。男って案外単純なのかなあ。
ガラッ
「じゃあマクス、明日も今日の続きでまた案内してあげるから」
「うん、わかった」
 教室に入った途端、周囲の女子の目が私たちに集中する。彼に
ひと声かけて別れると、それぞれに女子がワッと集まった。私には
マクスの様子を聞く人がほとんどだったが、彼にはどこを案内されたか
聞いたり、まったく関係ないことを話題にしてくる人もいたようだ。
 私は素直に彼の印象をみんなに話した。思ったより気さくで、だけど
しっかりした人らしいこと、自分の家のことを鼻にかけた風でないこと、
どこか寂しげな雰囲気があることなどなど……。それを聞いた友達は、
彼の性格や境遇をいろいろと想像しあった。影のあるところがクリティ
カルで、自分の妄想に浸り始める友達が出始めるほどだ。
キーンコーンカーンコーン
 授業開始のチャイムがなっても、友達は私の席から離れようとしない。
現実に引き戻すため、彼女たちを掃くように追い払って席につくよう
促す。見ると、マクスもいつまでも自分から離れない女子たちに席に戻る
よう諭していた。同じようなことをしていたようだ。思わず目が合い、お互
い苦笑いを浮かべ応える。
369:03/05/16 01:46
 放課後もマクスを取り巻いていた女子たちだが、お目当ての彼は
今度は男子連中に早々に連れて行かれてしまった。帰る途中クラブ棟を
案内されているのを見かけたので、どうやら部への勧誘が目当てだった
ようだ。彼は前の学校でどんな部活動をしていたのかしら。ちょっと
気になったりして……。
 下校するため、いつものように裏門から学園を出る。直進して大きな道
に出て交差点を渡り、その角に店を構えているモーターハウスに裏口
から入った。もちろん周囲に目を配りながら。事務所を通って建物内の
ショースペースに向かうと、ガソリンの匂いが鼻をついてくる。もう慣れ
た。ショースペースをそっと覗く。お店の入り口はシャッターがすべて開
いていて、たくさんのバイクが歩道に並べられている。ここの整備士で
あろう人たちが、話をしながら作業をしているのが見える。ただひとり、
整備ブースで黙々とバイクをいじっている人がいた。
「ああ、セガさんいらしてたんですか」
ふいに後ろから声がして、思わず背筋を伸ばして振り向く。そこにはネク
タイ姿の茶髪の青年が立っていた。ここの事務の人だ。顔は知ってるが
名前は知らない。
「え、ええ。学校が終わったから、また送ってもらおうと思って」
「そうですか」
「お願いできますか?」
「今まで坊ちゃんがそれをことわったことがありますか?」
 そう言って、茶髪の青年はショースペースへ向かっていった。ひとりで
整備をしていた人に近づき耳打ちする。報告を受けた男性が整備の手を
止めこちらを見やる。報告に来た青年と何か話をした後、タオルで手を
拭きながらこちらへやってきた。
「今日は早いんだな」
「私今日の夕食当番なんです。お買い物もしないと」
「そうか。ちょっと待っててくれ。着替えてくる」
男性は、事務所にある階段をトントンと上がり2階に消えていった。私は
事務所にある自分のロッカーを開け、レインスーツを制服の上から着込む。
379:03/05/19 00:06
しばらくお休みします。
ってダレも見てないよね。
見てるよ、最近下がって見つけられなかった
39山崎渉:03/05/22 03:00
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
40山崎渉:03/05/28 10:56
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
419:03/06/26 01:39
 ロッカーにあるバックパックに通学カバンを詰めて背負い、ヘルメット
を持って準備をする。ここ最近の私の通学スタイルだ。
 おじい様が亡くなって父が会社から追い出された後、彼のお父様が
何かと面倒を見てくれた。新しい住まいや父の再就職先のほか、当面
の生活費もお世話してもらった。
 私がここの人たちと会ったのはおじい様の葬儀のときだが、父は以前
から見知っていたようだった。ほとんど見ず知らずの人から施しを受ける
ような形になったため、母や私はかなり憤りもしたし不安にもなったが
「心配ない。この人たちは信用できる人たちだ」
という父の言葉を信じて甘えることにした。
 それ以来、私は彼に学校への送迎をしてもらっている。もちろん最初
は断った。でも彼の
「約束してたんだ。じいさんが死んだら、おまえを護る役目はオレが引き継
ぐって」
という不思議な言葉を聞いて、渋々了承した。これはどうやらウソでは
ないらしい。父も彼のお父様も、おじい様付きの執事もこの約束を知って
いた。もちろん彼が子ども時代におじい様と交わしたお遊びなのだろうが、
彼はそれを果たそうと大真面目だ。彼はそういう世界に生きる人なのだ。
 「待たせたな。そっちの準備はいいか」
彼が作業着から普段着に着替えて降りてきた。手にはフルフェイスの
ヘルメットを持っている。
「あ、はい。お願いします」
事務所の椅子から立ち上がり応える。
「じゃあ行こうか。良さん、悪いがしばらく空ける」
「へい、いってらっしゃい。遅くなるようでしたらご連絡をお願いします」
「ガキじゃないんだ。分かってる」
事務所で作業をしていたさきほどの青年に声をかけ、裏口へ進む。私も
それに従った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
復活してみた
おっ、ひさしぶり
439:03/07/02 01:03
 けして綺麗ではないバイクにまたがり、彼がエンジンをかける。
ドルルルン!
 2、3度エンジンを吹かすと、こちらを見て後ろに座るよう促す。私は
足を大きく開き、ヒラリと後部シートに飛び乗った。私のためにあつら
えてもらったフックに足をかけ、彼の腰に手を回す。両手をグッと握り、
大きな背中にピッタリと体をつけた。彼が振り向いて話しかける。
「いったん家に帰った後で買い物か?」
「そうですね。さすがにこの格好のままはちょっと…」
「了解」
向き直るのを見て、私はさらに体を密着させた。途端、体が軽く後ろに
引っ張られる。彼から離れないよう、手に力を込めた。
フォーン……
 一陣の風となって街を駆け抜ける。彼の鼓動、私の鼓動、エンジンの
駆動が一体になる。信号で止まっても体を離さない。このままどこかへ
連れて行ってくれればいいのに。家にいつまでも着かなければいいのに。
夢見心地になるまえに、その風は凪いでしまう。
 「着いたぜ」
「……」 
「おい?」
ハッとして声の方を見た。ヘルメットを脱いでこちらを向いている。バイク
のエンジンも止まっていた。彼がちょっと心配そうな表情をしている。
いけないいけない。
「は、はい。ごめんなさい。ぼーッとしちゃって」
「タンデムで気を抜けるとはたいしたタマだな」
「サミーさんの腕がいいからですよ。安心できますもん」
「そりゃどうも」
 パッと手をほどき、彼から離れてバイクを降りる。
「じゃあ、パパッと着替えてきちゃいます。ちょっと待っててくださいね。
それとも家に来ます?」
「そうだな。じゃあ玄関まで」
そう言って、サミーさんは足早にエレベータールームに向かっていった。
マクス君のライバル、お邪魔虫キャラ、任天堂君キボン
459:03/07/10 00:56
 エレベーターのなかでふたりきりの時間が続く。意味もなくフロア移動を示す
シグナルを見ているが、頭の中は別のことでいっぱいだ。
「(もしここでエレベーターが止まったら……)」
まずありえないことを想像し、その後に起こることを夢想して顔が熱くなる。ガー
扉はいつもどおり開く。私は赤くなったであろう顔を見られないよう、
駆け足で自宅へ向かった。バックパックに入れた通学カバンから鍵を
取り出し、自宅のドアを開ける。バタバタと廊下を小走りし、奥の自分の
部屋に飛び込んだ。
「おいおい、ドアの戸締りくらいしろよ」
玄関からサミーさんの声がする。ドアを閉める音と、キーチェーンをつける
カチャリという音が聞こえた。
「だってサミーさんいるじゃないですか。大丈夫ですよ」
「まさか、いつもこんな感じじゃないだろうな」
「えー、いつもはもっとちゃんとしてますよ。今日だけです」
「…それと、着替えるなら部屋のドアも閉めろよ」
「はーい」
もちろんわざとだ。もしかしたらサミーさんが家に上がってくれるかな、
と期待したけれど、結局彼が靴を脱ぐことはなかった。
 私はジーンズと無地のTシャツに着替え、淡い色のシャツを羽織った。
通学カバンが入っていたバックパックに携帯電話と財布を放り込み、
玄関に向かう。見ると、サミーさんは玄関マットの上に腰を下ろし、
携帯電話を操作していた。
「お待たせしました」
「ん、ああ」
「携帯ですか」
彼の背中越しに端末を覗き込む。
「ああ、ほとんど使ってないけどな。たまーにワケのわからないメールが
届くくらいだ。かわいい女の子がいっぱい! 今すぐアクセス!とか」
「あ、そういうのうちにも来ますよ。そういうときは迷惑メールに設定
するんです。そうすると、同じアドレスからは届かなくなりますよ」
469:03/07/10 00:59
わ、見てる人いた。ありがとう。
マターリ続けるんでよろしくです。
リクエストもがんばります。
47名無し物書き@推敲中?:03/07/14 19:53
ガンガレー
48山崎 渉:03/07/15 11:39

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
499:03/07/16 23:24
「そんなこといわれてもやりかたがわかんねえよ」
「じゃあ、ちょっと貸してください」
「あ、おい」
彼から携帯電話をヒョイと取り上げ、操作しながら靴を履いて外に出る。
サミーさんも外に出るのを確認すると、玄関の鍵をかけてエレベーターに
向かって歩き出した。
「ほら、迷惑メールを開いた状態でメニューを呼び出して、送信元メール
アドレスを登録するんです」
「わかったわかった。ついでだからもう来ないようにしておいてくれよ」
「はい。まかしといてください」
「セガは案外携帯使いこなしてんだな」
「まあ、それなりに」
 通路、エレベーター、駐輪場と、とりとめのない会話をしながらバイクの
ところまで移動する。なんてことのない話題でも、こうしてサミーさんと
お話できるのがすごく楽しい。すごく嬉しい。いつもならココでお別れ
だけど、今日はもう少しだけ一緒にいられる。余計嬉しい。
 「いつものスーパーでいいのか?」
「いえ、ササキストアへ行ってください。今日そっちが安売りしてるんです」
「了解。ああ、店の名前を聞いただけで場所がわかるなんて、オレも
ずいぶん振り回されたもんだなあ」
「何言ってるんですか。自分で私のお守りをするって言い出したクセに。
はい出発」
サミーさんがバイクにまたがるの待って、私もすぐさま飛び乗って発進を促す。
「はいはい」
 私たちは再び風になった。体に当たる空気、こもって聞こえる音、
追い抜かれる車、後ろへ流れていく景色……。私はバイクから見える
世界を感じながら、サミーさんに好意を寄せるようになったのはいつごろ
からだろうとボンヤリ考えた。
「(最初はナイフみたいに怖い人だったのに)」
「ああ!? なんか言ったかあ!?」
「なんでもないですー!」
サミーのクセにカッコイイじゃねぇか
519:03/07/24 01:07
 ササキストアは、私が住んでいるマンションから10分ほど離れた
ところにある、比較的大きな都市郊外型スーパーだ。食料品コーナー
のほか、書店や薬局、軽食を出す休憩所が同じ建物内にある。さらに
ホームセンターや衣類、シューズ、家電量販のお店、ゲームセンターが
ササキストアを囲むように隣接しており、ちょっとした商業スポットに
なっている。当然訪れる人も多い。
 私はササキストアで買い物を終えると、無理を言って服屋さんに寄って
もらった。布団から下着、コートまで、何でも売ってるお店だ。安いのでよく
利用している(それなりのセンスの服を選ぶのに難儀するけど)。
「うーん、コレはイマイチ…あ、これいいかも。襟がなければなあ」
「おーい、帰らなくていいのか。おまえ今日これでメシ作るんだろ」
女性ものの服を売っているコーナーに、ズケズケと入ってきてサミーさん
が私に文句を言ってくる。ササキストアでも買い物中カゴを持たせて
たし、今も夕食の材料が入ったバックパックを手に持っている。完全に
荷物持ちね。でも、初めて買い物に行ったとき、サミーさんが自分から
持ってくれたっけ。それ以来サミーさんが荷物担当になってるんだけど、
ちょっと甘えすぎかな。
「ね、サミーさん。これどうです?」
私は手に取っていたスリーブレスのシャツを、自分の体に重ねてみせた。
「うーん、色がちょっと明るいかな。セガだったら黒とかブラウンとか暗い
ヤツが似合うんじゃないか。肌白いし。あと、個人的には襟はないほうが
いい、かなあ…」
「ですよねっ。襟があるとスカートでないと似合わないし」
「おまえいつもジーンズだからな」
「しょうがない。今日はTシャツと靴下とインナーでガマンするか」
「じゃあ、外で待ってるから」
「あ、はい」
 下着を買うのを察知したのか、サミーさんはひとりで行ってしまった。
あの人なりに気を遣ったらしい。さすがに好みの下着は聞けないか。
52名無し物書き@推敲中?:03/07/28 18:17
誰かアドンとサムソンでラブコメ書いて♪
53山崎 渉:03/08/02 01:06
(^^)
54山崎 渉:03/08/15 12:41
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
559:03/08/20 00:56
 「お待たせしましたー」
新しい服が入ったビニール袋を大きく振りながら、サミーさんが待って
いる場所に向かう。待ち合わせは、アイスクリームショップ横のベンチ
と決まっている。遠くから元気よく声をかけたが、相手はそれに応えず
別の方向をジッと見ていた。
「サミーさん?」
彼の視線の先を見やると、スーツ姿の男性がこちらに歩いてくるのが
わかった。ガードマンなのか、いかつい連中を何人か従えている。
私は彼らに見つからないよう、アイスクリームショップの影に隠れて
様子を伺う。
 スーツの男性がサミーさんの前まで来て、立ち止まった。
 「久しぶりだな」
「そうだな」
「あの子のお守りか」
「ああ」
サミーさんはベンチに座ったまま、憮然とした態度でスーツの男性に
応える。相手の男性も腰を下ろそうとせず、見下ろすようにサミーさんに
話しかけていた。
「いつまで経っても返事がなかったからな。わざわざこうして来てやった
わけだが、ココで会えたのは偶然だな」
「どうだか」
「返事は?」
「親父やじいさんが守ってきたシマだ。オレもそれにならうだけだ」
「フン、古臭いプライドだな」
「なんとでも言え。このシマをおとなしく渡す気はない」
「それが古いと言うんだ。貴様ひとりでどうこうできるものではないことは、
貴様自身よくわかっているだろう」
「フン」
「そうさせないための彼女、か?」
「セガは関係ない。昔の約束を守ってるだけだ」
「…まあいい。今は別のヤマがあるからまだ手出ししないが、時期が
来れば始めさせてもらう。貴様もそのつもりなら準備しておくことだ」
56名無し物書き@推敲中?:03/08/28 19:03
続きキター
57名無し物書き@推敲中?:03/09/18 02:54
期待age
589:03/09/18 23:31
「……勝手にしろ」
「今回はこれで失礼する。貴様らの返事が聞けただけでも、良しとしよう」
「それはそれは、わざわざご苦労様でした」
 サミーさんはおどけるように応えた。スーツの男性の表情が強張る。
サミーさんにグッと近づいたかと思うと、胸元を持ち上げようと腕を伸ばし
た。サミーさんはそれを払いのけ、立ち上がって逆に相手のネクタイを
持って引き下げる。スーツの男性は前に倒れ、ベンチに突っ伏してしまった。
「どうした、運動不足か?」
「クッ!」
 スーツの男性の取り巻き達が、グルッとサミーさんを取り囲む。連中は
中腰になり、各々懐に手を回したりズボンのポケットを探ったりしている。
サミーさんは拳を構え、周囲をスキなく見回す。
「よせ!」
 ベンチに突っ伏した男性が声を上げる。取り巻き達は姿勢を正し、サミー
さんから一歩離れた。男性は立ち上がると改めてサミーさんの前に立ち、
彼の胸元をつかんだ。サミーさんは涼しい顔で相手を見ている。
「いまにそのへらず口を叩けなくしてやる。覚悟しておけ!」
サミーさんは応えない。ただ、相手を冷めた目で見つめるだけだ。
「フン!」
 荒々しくサミーさんを離し、スーツの男性は来た道を戻っていく。取り
巻き連中もそれに従う。ひとりはサミーさんを睨み返していった。サミー
さんは動じることなく、それを見送る。しばらくすると、黒塗りの大きな車が
駐車場から出て行った。それを確認するとサミーさんは大きく息をつき、
ベンチに座り直した。
 今の一体なに? シマって? 始めるって何を? そうさせないための
私の存在? わけがわからないよ。どうしよう。怖くて動けない……。
体の力が抜け、アイスクリームショップの陰で座り込んでしまう。ああ、
やっぱりサミーさんと私は、住む世界が違うのかな。
 ボーッと流れる雲を見ていると、視界を遮るようにサミーさんの顔が
割り込んできた。
599:03/09/18 23:33
待ってくれてた人がいたとは驚き。
筆が遅くてごめんなさいデス。
60名無し物書き@推敲中?:03/10/01 03:10
>>59
ガンガレ
619
「おい」
「!!!!!」
「どうしたんだ、へたりこんで。気分でも悪いのか」
「い、いいいええ。な、なんでもないです。だだだ大丈夫です」
慌てて勢いよく立ち上がる。頭が働かなくて、うまく呼びかけにうまく答えられない。
「そ、そうか。ひとまず、ベンチでひと息入れようぜ。先に行ってな。ソフト
クリーム買ってやるから」
「はは、はい」
駆け足でサミーさんがいたベンチに走る。チラリと後ろを見やると、サミー
さんがいつもと変わらない感じで店の人に注文をしていた。あんなことが
あったのに落ち着いてる。あの人にとってはよくあることなのかしら。
「ほら」
「あ、ありがとうございます」
ベンチで固くなっていると、サミーさんがソフトクリームを差し出して来た。
私の好きなストロベリー味。サミーさんの手には、チョコレートとバニラの
ミックスが残っている。いつもと同じ注文だ。
 「よっこいしょっと」
背負っていたバックパクをベンチに置き、サミーさんが私の横に腰を
下ろす。お互い何も言わないままソフトクリームを食べた。あーん、緊張
してて、味なんか全然わかんないよ。
「…さっきの様子、見てただろ」
先に言葉を発したのはサミーさんだった。私はビクンとして、思わず背筋を伸ばす。
「は、はい。見てました…。なんか、ずいぶん仲悪そうでしたけど…」
おそるおそるサミーさんを見やる。うわ、怖いカオ。でもちょっとカッコイイかも。
「いいわけないさ、オレらのシマを奪おうとしてる連中だからな」
「シマ?」
「うーん。セガは、オレの親父が何してるか知ってるだろ?」
「えーと、地域専属の警備会社ですよね。商店街でトラブルがあった
ときに仲裁に入ったり、暴れてる人を取り押さえて警察に連れて
行ったり、イベントがあるときにそれを取り仕切ったり」
「はは、モノは言いようだな」