1 :
名無し物書き@推敲中?:
正義の星メテオ星と悪の星クリンゴン星との攻防を描くリレー小説です。
出だしを書きましたのでまともなSF小説になるように繋いで行ってください。
「いまいましいメテオ星人め、めにものを見せてくれるわ、カタストロ星を失った代償はきっちりと払ってもらわなきゃならん。カアースデュフオー大佐、粒子波動砲はまだ完成せんか」
「はい、もう少しで完成するものと思われます」
「提督、アルキメデス星にも攻撃をかけましょうか」
「いや、アルキメデス星は後回しにしよう。殺人レーザー光線はこの星から発射されたという報告が入っている。まずこの星を血祭りに上げて殺人レーザー光線銃を破壊せんことには安心できんからな」
そのときドアが開いて隊員が入って来た。提督に向かって敬礼をし、報告した。
「提督、たった今粒子波動砲が完成したと連絡が入りました」
「そうか、よし、すぐにメテオ星に向けて打ち込め」
「はい、わかりました」
そう言って隊員は部屋を出ていった。暫くして、「ズドーン」という大きな音がして目も眩むような閃光が走った。メテオ星に命中すると、あっという間にエーテル星は炎に包まれた。大爆発が三度もあって、メテオ星はばらばらにされてしまったと誰もが思った。
2 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 00:40
しかしばらばらになったはずのメテオ星の中から
忽然と三隻の超巨大戦艦が出現した。
モレンスキー提督は驚のあまり声も出なかった。
「な、なんだこれは、いいから粒子波動砲を全艦
にくれてやれ!」
3 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 00:53
「フッ……」
巨大戦艦の中で一人の男が口に笑みを浮かべる。
彼こそがメテオ星第二十七宇宙攻撃艦隊提督シュバルツ=ザンコックその
人だった。アルキメデス方面の勝利を勝ち取った原動力となった人物で、メ
テオ側では英雄的扱いを受けており、今年で二十五になったばかりという若
さでありながら前線で鍛え上げられたその実力も確かなものだ。
「クリンゴンの糞どもめ、貴様らの魂胆などとっくにお見通しだ。我が艦隊
がこの戦争に決着をつけてやる。正義の名を持ってな!!」
そして、彼は凛とした声で指示を出す。
「全艦、突撃!!」
4 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 00:54
「ズドーン」「ズドーン」「ズドーン」という大きな音が十回以上もした。これでは超巨大戦艦もひとたまりもないだろうと思われたが、ガスが振り払われると超巨大戦艦はまたしても無傷で現れた。
「な、なんなんだ、こいつらは」
モレンスキー提督は茫然とした。次の命令の言葉も出なかった。
次の瞬間超巨大戦艦から一斉射撃が始まった。クリンゴン星の艦隊は次から次に爆破され、消えていった。
5 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 01:05
「戦艦シャイニング、およびグラナダ以下六隻、撃沈されました!」
「空母スレイヤー以下三隻撃沈、二隻が戦闘不能により離脱します!」
モレンスキーの耳に続々と味方の被害報告は入る。
しかし、彼は何も指示を下すことができない。確かに先程主砲を敵
艦のど真ん中に打ち込んでやったはずだった。
だが、次々と落とされているのは自軍の艦なのだ。
「ばかなっ……ばかなっ……」
そしてついに三つの敵艦が肉眼で確認できる位置にまで迫ってきた。
6 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 01:08
モレンスキー提督は叫んだ。
「い、いかん、このままでは全滅だ、退却、退却だ!!」
クリンゴン星の艦隊は、尻尾を巻いて逃げた。秘密の基地まで逃げ帰るとモレンスキー提督は部下に命令した。
「いいか、超巨大戦艦を構成している材質を徹底的に調べろ、そして弱点を見つけるのだ。このままでは我々は負けてしまう、解ったら今すぐにとりかかれ」
部下達は
「解りました」
と言って全員で超巨大戦艦の分析にとりかかった。
7 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 01:32
「提督、奴等を逃がして良かったのですか」
モニタに映るグリンゴン星の艦隊の残骸を満足げに眺めている
シュバルツに声が掛けられた。
シュバルツが振り向くと、副官であるエレナ=ランフォートが
半ば挑みかかるような目で自分を見ていた。
「構わない。あれはわざとだ」
「どういうことですか」
「グリンゴンの奴等に我々の存在を知らしめてやるためさ。どん
なに撃っても沈まない、恐怖の浮沈艦隊のね。そのうち奴等はこ
の船の影を見ただけで逃げ出すようになる。あえて情報を流すこ
とは効果的な戦術さ」
「……なるほど。分かりました」
エレナはそれだけ言うと、クルリと後ろを向いて去ろうとした。
「あ、エレナ」
「何か?」
「これから初陣の勝利と我が星の未来を祝って、一杯どうかな」
シュバルツが言うと、エレナの目がみるみる鋭くなる。
「遠慮します!!」
それだけ言い放つと、先ほどより数倍早い足取りでブリッジから
出て行った。
「相変わらず、固いねぇ」
シュバルツは苦笑いを浮かべながら、モニタに目を戻す。
「……これからだ、本当の戦いは」
8 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 01:33
超巨大戦艦の中では涼子とカールが悠然と雑談していた。
「敵はあわを食って逃げていきましたね」
「強烈な敵の攻撃に耐えられたのはどうしてなんですか」
「この艦の外装は普通です。ただ超伝導バリヤーを貼ってるので大概の攻撃に耐えられます。欠点は超伝導バリヤーを貼ってる間は攻撃が出来ないということです。だからこちらが攻撃しているときにあのような巨大エネルギーに襲われたらひとたまりもありません」
9 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 01:51
「そんなことも知らないでこの船に乗ったのかよ。これだから
辺境育ちは困るんだよな」
突然二人の目の前に男が現れた。手には缶ビールとスポーツ新
聞。顔を見るとどう考えても二十代だがその持ち物は完全にオ
ヤジだ。
「あんたは?」
男はカールの問いに答えず、缶の蓋を開けた。
「ちょ……そんなもの規律違反じゃ……」
涼子が止める間もなくビールは男の口の中に注ぎ込まれた。
「かぁ〜、うめぇ!!どうだ?あんた達も一杯」
「ふざけないで!!」
「お前、船の中を何だと思ってる。それでも軍人か!?」
男は口々に言う二人をギロリと睨むと言った。
「軍人か?だと??てめえらこそ自分の乗っている船がどんな船
かもしらねえで、勝てると思ってるのか!?戦争を舐めてるんじゃ
ねえぞ」
〜完〜
11 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 02:09
〜再開〜
「だったら欠点さえ解らなければ安全なんですね」
「ええ、ただし奴らも馬鹿ではありません。たちまちこちらの弱点をついて攻撃を仕掛けてくるでしょう。だからその裏をかけばいいんです。まず奴らは囮の艦隊を差し向けて来るでしょう。
12 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 02:11
そしてこちらが攻撃に回ったときを狙って恐らく精密なワープのような方法を使っていきなり我々の前に姿を現し攻撃をしてくるでしょう。そのときはこの艦の死角を徹底的に調べてそこを狙うはずです。この艦の一番の死角といえば右舷並びに左舷の斜め後方です。
13 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 02:12
この当たりには小さな銃さえ備えられていませんからね。
今からそこに銃を設置する時間は無いですから超特殊赤
外線探知魚雷をそちらの方に向けておくようにセットし
ておきましょう。これで万が一の場合も安心です。敵が
現れてこちらが攻撃をしている間は、涼子さんはなるべ
く右舷並びに左舷の斜め後方のモニターディスプレイに
注視しておいてください」
14 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 02:43
「敵艦接近、敵艦接近、正面から向かって来ます。
奴らは馬鹿なんでしょうか。凝りもせずにやっつけ
てくださいとばかりにやってきました」
「よーし、超伝導バリヤーを貼れ、引きつけるだけ
引きつけて好きなように攻撃させてやれ!今度こそ
全艦一網打尽にしてやれよ」
バリアスキー提督の命令の声も聞こえた。敵艦隊は
三千を超えようかという大艦隊だ。超巨大戦艦は三
百六十度ぐるっと敵に囲まれた。モレンスキー提督は叫んだ。
「一斉射撃始め!!!」
敵の攻撃は三分は続いただろうか。モレンスキー提督は又叫んだ。
「全艦射撃を止めろ!!!」
15 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 02:44
バリアスキー提督は待ってましたとばかりに叫んだ。
「よーし、超伝導バリヤーを解除しろ! 敵に向かっ
て総攻撃を開始しろ」
超巨大戦艦からの総攻撃が開始された。クリンゴン艦
隊は次々に撃沈されていった。
モレンスキー提督はほくそえんだ。
「よーし、敵は罠に嵌ったぞ、大急ぎで敵の左舷後方に
ワープできるように精密な計算をしろ!大至急だ」
計算は人工知能計算機により一瞬に出た。
「提督、計算は完了しました。これより敵の左舷後方に
ワープします」
「よし、ワープしろ」
「ワープ、ガチャン」
涼子はワープしてきた敵艦を素早くキャッチした。
「カール、左舷後方に敵艦をキャッチ」
「よし、超特殊赤外線探知魚雷発射」
だがそのときバリアスキー提督の脳裏にある言葉がよぎった。
(なんでこんな時間まで俺起きてんの?)
寝ろ!
17 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 03:47
「魚雷は全部命中、異常接近した三隻の敵艦は殲滅しました。やったー」
涼子が歓喜の声を上げた。そのとき小さな振動があった。
「どうやら、敵艦が至近距離で爆発したので破片がぶつかった
らしい。今からモニターしてみよう」
「攻撃中に破片を受けたので結構被害は大きいようです」
隊員の声がスピーカーから流れて来た。
「旗艦を失った敵は退却を開始しました。追いかけますか」
続いてバリアスキー提督の声もスピーカーから流れた。
「いや、こちらにも軽微だが被害が出た。修理しなくてはならんか
ら追いかけなくてもいい」
それからまもなくして、涼子達のいる特別作戦室に
バリアスキー提督が降りてきた。
18 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 03:48
「やあ、カールさん。またも助けてもらいました。
まさか奴らにあんな技が
使えるとは夢にも思っておりませんでした。全くあ
んたは天才じゃ、これからも
よろしくお頼みしますぞ」
提督は頭を下げ、握手を求めて来た。
カールは握手に応じながら、
「いえ、恐れいります」
と短く締めくくった。
それから提督は涼子の方を振り向きつかつかと寄
って来た。
「涼子さん、あなたがいち早く敵艦を発見してく
ださったお陰で我々全員は無事救われました。お
礼の言葉もありません。本当にどうもありがとう」
「いえ、提督、私は何もしてません。カールの言
う通りに動いただけですから」
「なんと、奥ゆかしいお方じゃ、カールさん、こ
んな方を嫁さんにもらえばいいぞ、
こんな方を大和なでしこというんじゃろうな、い
や、ちょっと地球のことを勉強したの
でな、ははは」
19 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 08:19
涼子は嫁さんという言葉を聞いて顔を赤らめた。
それを見た提督は
「おー、おー、純情な娘さんじゃ、カールさん、
こんな娘は大事にせにゃいかんよ。飛びっきりの
美人だし頭も良いし胸も大きい。おー、こりゃ失
礼。旗艦を失った敵は暫くは攻撃を仕掛けてくる
ことはないじゃろう。今のうちに地球に行きなさ
れ、カールさんに上げた三ヶ月の休暇はあちらで
はなんと十年にもなるらしいじゃないか。ゆっく
りと休めるだろうし、その間に結婚をするのもい
いじゃろう。もう老兵の役目は終わった。帰って
きたときにはカールさん、あんたが提督をやって
くれ。特別昇進じゃが休んでる間にあらゆる手は
打っておく。まず問題なく決まるじゃろう。それ
では頼んだぞ」
20 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 08:55
バリアスキー提督は言いたいことだけを言い終
わるとさっさと持ち場に戻ってしまった。涼子と
カールは顔を見合わせてお互いにきょとんとした。
先に口を開いたのは涼子だった。
「よっ、未来の提督」
「り、涼子さん、ひやかすのは止めてください。しかし
提督直々の許可も出ましたのでこれから地球に
行きましょう」
言い終わると同時にカールはエレベーターに向かっ
た。涼子も遅れてはならじと、後を追った。エレベー
ターは二人が乗ると同時に下降を始めた。どうや
ら一番下迄来たらしい。エレベーターが開くとすで
に修理された車が待っていた
「車のドアを開くと車が喋った。カール、大変
な活躍おめでとう、それではご自宅に向かわせ
ていただきます」
21 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 08:55
第二章 地球の結婚式
作者急病のため連載は中止になりました
23 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 10:26
ワナビー先生の病状は回復に向かっています。
不定期読み切りで復帰予定ですので読者の皆さん、もう少し待ってね。
24 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 20:26
二人が乗ってドアを閉めると同時に車は音も無く出発した。
ほとんど全速力で走ったのか、車は数秒でカールの宇宙基
地のような車庫に到着していた。二人は大型宇宙船に乗り
換え地球を目指すのだ。二人とも地球の言葉を話せるよう
に睡眠学習をもう一度する。主要な言葉十ヶ国語を学習す
ることにした。日本語、英語、フランス語、ドイツ語、イ
タリア語、中国語、韓国語、アラビア語、タイ語などである。
二人の睡眠学習が終わると早速地球に向けて飛び立つこと
になった。
「それじゃ、涼子さん。いよいよ地球に向かって飛びます
よ。この数日間本当にご苦労さんでした。私はもう二度と
涼子さんを離しませんからね」
「私も永遠にカール一人を永遠に愛します。私たちきっと
幸せになれますよね」
「大丈夫、私にまかしといてください。それでは出発します」
25 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 20:28
涼子にとってはたった三日の冒険であったが、あまりにも
多くの出来事が有ったので、何年も経過したような気がし
た。暫くして少しショックが有った。思い出に浸る間もな
く宇宙船は地球に到着していた。
「今は夜の九時十三分ですね。この宇宙船は特殊な外装材
を使ってるので、地球の人に見つかる心配はありません。
宇宙船は涼子さんの家の真上に停止しております。ここか
ら転送機で涼子さんの玄関前に下ります。どうぞこちらに
来てください」
カールは私をうながして別の部屋に入った。カールの部屋
にあった転送機と良く似ている。私達は転送機の上に立っ
た。続いてカールが言った。
「それでは行きますよ。転送!」
26 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 21:18
カールが宣言すると同時に私達の体は七色の光に分解され
始めた。ふっとかすかだが、厭な感覚が襲った。言葉には
言い現しにくいが、めまいがするような感覚だ。
と思う間もなく私の家の玄関前にしっかりと足をつけていた。
「まず涼子さんが先に入ってください。そして頃合を見て私を
紹介してください。私は伊藤忠商事の社員ということになって
おりますから忘れないようにね」
「わかりました。それでは行ってきます」
涼子は玄関を開け
「只今、お母さん」
と大きな声で言った。母はすっ飛んできた。
「まぁ、涼子。何も言わずに出かけるんじゃありませんよ。
それに三日も家を空けるなんて! 今迄こんなことは一度も
なかったのに」
「ご免お母さん。私恋人が出来たんです。私達結婚するんで
す。突然驚かしてご免なさい。でも彼はとってもいい人なんで
27 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 21:19
すよ。今連れてきてるので会ってね」
涼子は母に許可も得ず、勝手に玄関を出てカールを呼んだ。
カールは緊張しまくっていたが、母の顔を見ると挨拶をした。
「初めまして、カールといいます。よろしく」
「まぁ、あなたたち、いつからそんな仲だったんですか」
「知り合ったのは三日前ですが………、あ、いや、三年前
です。実は深い事情がありまして、話せば長くなりますので
そのことは後でじっくりと涼子さんにお聞きください。お願い
があります、お母さん、涼子さんを是非私にください。いや、
突然お伺いして、しかも三日間も大事なお嬢さんを無断で
預かって失礼は重々承知しております。ですが、私はもう
三年も前から彼女のことが好きだったんです。お願いしま
すお母さん、是非彼女を私にください」
カールは平身低頭、平謝りに謝った。しかしお母さんは
ぷいと横を向いたきりカールの話を聞こうとしなかった。
28 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/17 23:35
二人の間に沈黙の時間が流れた。非常にきまずい雰囲気で
ある。お母さんがようやく口を利いたと思ったら、こう
言った。
「とにかく今日のところはお帰りください。涼子とよーく
話し合ってみますので」
「そうですか、解りました。又今度お伺いさせていただ
くことにします。それでは失礼します。涼子さん、また
連絡しますね、さようなら」
そう言ってカールは家を出た。カールが家を出て行くと
母は涼子を問い詰めた。
「涼子、いつの間にあんな人と知り合ったんだい? カール
なんて、外人みたいな名前だし、ハンサムだけど、外人っぽい
顔をしているし、普通の日本人じゃないでしょう。ちゃんと
した説明をしなさい」
29 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 00:28
「母さん、いい加減にして、そういうのを偏見っていうのよ。
彼が外人だろうと、アンドロメダ星人だろうと、ヒマラヤ猿人
だろうと、そんなことはどうでもいいことじゃない。肝心な
のは私たちが真剣に愛し合ってるかどうかでしょう。私達二人
はどんなカップルにも負けないぐらいの愛があるっていう自信
があるわ。それが一番大切なこと、大事なことじゃないの。
私はあの人に本当の愛というものを教えてもらったのよ。
そんな凄いことを無償で提供してくれる人ってあの人以外に
この世にいると思う? 宇宙中捜したってあんな素晴らしい
人はいないのよ? お母さんも恋をしたことがあるなら解る
でしょ。あの人は私を真剣に愛してくれているのよ。私には
そのことが心が張り裂けそうなぐらい分るのよ。お母さんだ
って俳優のはや、いや、大恋愛をして私を生んでくれたんで
しょ。それなら解るわよね。愛以上にこの世に大切なものは
ないんだってことが。それなのに人種が違うというだけで、
反対するなんて横暴よ!」
30 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 00:29
「なーに甘いことを言ってるのよ、愛だ恋だと言っても
結局、いつかは愛なんて覚めるときは覚めるもんよ。特に
相手が外人だったりしたら、ほんのちょっとの生活習慣の
違いが出ただけで離婚騒動に発展したりするのよ。芸能界
だって大恋愛の末に結ばれたカップルだって結局は憎しみ
あって分かれた、カップルが大勢いるじゃない。千正男
だってシェパードと別れたじゃない。金の切れ目が縁の
切れ目だってこともあるのよ。相手を選ぶときはあらゆる
条件を考えて、よっぽど慎重にいかないと結局あんたが
泣きをみるのよ」
31 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 08:51
「大丈夫だって、お母さん。私達の愛は海より深いのよ。
それにカールは常識をわきまえた人間よ。いつまで議論
しても平行線だしもう遅いから私寝るわ、それじゃ、お
休みなさいお母さん」
涼子はとんとんとんと、階段を上がり自分の部屋に入っ
た。そして服を着たままバタンキューと仰向けに寝た。
大の字になり、思いっきり深呼吸した。そしてゆっく
りと三日間の間に起こったことを思い返してみた。全
ては現実だったのかしら、夢ではないのだろうか、い
や、こんなリアル過ぎる夢なんて有り得ない。現実に
あったことは疑いようのない事実である。
32 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 08:51
思い返すまでもないことを涼子は認識していた。カールは
どこに行ったんだろう。宇宙船に戻ったんだろうか。そ
れともアンドロメダ銀河迄戻ってまたあの超高性能の望
遠鏡で私の一部始終を見ているのだろうか。だとしたら
変なことは出来ないわ、こんな信じ難いことを知って
しまった以上、彼には私と結婚する義務がある。早く
結婚しないと私は恥ずかしさに絶えられないくなるわ」
そこまで考えたとき涼子の携帯が鳴った。
33 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 09:07
なんかセリフが下手
34 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 20:11
「もしもし、涼子さんですね。カールです。お母さんは
私たちの結婚に反対しておられましたが大丈夫です。必
ず説得してみせます。明日から毎日でも説得のためにお
伺いしますので涼子さんも応援してください」
「ありがとう、カール。私も毎日お母さんを説得してみ
るわ。私達きっと幸せになれるわよね」
「勿論ですよ、涼子さん。僕達二人の幸せのために頑張
りましょう」
「お互いの幸せのために頑張りましょうね。私、今夜は
疲れちゃったのでもう寝ます。お休みなさい」
「お休みなさい、涼子さん」
次の日からカールのお母さんに対する猛攻撃が始まっ
た。涼子も一緒になって説得に当たった。お陰で約一ヵ
月後にさすがのお母さんも折れて結婚することに賛成し
てくれた。
35 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/18 20:20
「カール、わたしの負けよ。」
お母さんは、罰が悪そうにはにかみながらそう切り出す。
「ありがとうございます、かならず涼子さんを幸せにします」
子供のような瞳を輝かせ、カールは声を弾ませた。その横で、
涼子は愛しげに未来の伴侶の横顔をみつめる。
瑞々しい地球の四季は、未来の新しい家族の足元に春風を
ひゅると忍ばせ、ものいわぬ祝福を捧げるのだった。
36 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 04:02
何だか凄まじいな…。
結局これ何人で書いたの…?
37 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 04:49
そうして浜洋平(未成年)は少年院へ逝ったのであった。
38 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 05:31
あれからすでに四年の歳月が流れていた。西暦二千七年
三月、カールはフランスが堪能なところを買われ、伊藤忠
商事株式会社のフランス支社資材調達部部長に異例の
若さで抜擢されていた。子宝にも恵まれ二人の可愛い女の
子もすくすくと育っていた。俗説にこの地球では日本の奥さ
んを貰って、フランスで生活をして、日本料理とフランス
料理と中華料理を毎日食べれられれば最高だ! という例
えがあったが、カールはそれら全てを手に入れ、これ以上
はないだろうという生活を満喫していた。まさに幸せの絶
頂だったのだ。特に毎日の夜の営みはカールの最高の楽しみ
だった。そのために仕事がどんなに忙しくても残業は
一切せず、どこにも寄らず真っ直ぐ家に帰った。フランス
ではカールはもてまくった。アンドロメダ銀河に住んで
いた頃とは大違いである。フランスははっとするような
美人がごろごろいた。カールの課だけでもこの子は綺麗と
思う女の子が五人もいたが、カールは無関心を装った。特に
39 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 05:32
去年入社して毎日日本茶を入れてくれるカトリーヌ・シボン
という子は抜群であった。髪は金髪、目はブルーでフランス
人形そのままという感じの女の子である。日本人にはない色
白の肌はきめが細かく、まるでシルクのようであった。その
子が毎日カールにアタックしてきてカールは辟易していた。
結婚していることは宣言してあるのだが、そんなことは
彼女にとっては関係ないようなのである。毎日毎日相談し
たいことがあるから、今日、会社が終わったら、会って
くれとか、今度の休みは暇だから自宅迄遊びに行っても
いいですかとか、何かにつけてカトリーヌ・シボンは
接近を試みてきたが、カールはそれら全ての要求を拒否
してきた。もて過ぎるのも困るもんだなとアンドロメダ
銀河に住んでいた頃と、あまりにも違う環境に当惑する
ほどである。いくらカトリーヌ・シボンが超美人で
超可愛いいといっても涼子と比較は出来ない。すでに俺は
40 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 05:33
涼子と結婚しているのだ。カトリーヌ・シボンと浮気を
する自分の姿を想像しないでもなかったが、涼子を
裏切ることなどもっての他である。世間には醜い三角
関係など星の数ほど存在するが、俺だけは絶対そんな
関係は作らないと心に決めていた。涼子一人で
俺は毎日へとへとになってるというのにこれ以上何を
望むというのだ。そんな思いを持っていたが、カトリ
ーヌ・シボンの攻撃は次第に熾烈さを増していった。
このままではストーカー行為にさえ走る恐れすらある。
人が人を好きになるという感情はどうにもならない
ものなのだろうか、それとも彼女の理性はちょっと
狂っているのだろうか。幾ら考えてもわからなかった。
彼女にいい男を紹介するか、フランスを逃げ出すか、
そんな対策を講じなければならないほど切迫した
ところまできていた。
41 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 05:34
西暦二千七年三月十九日、今日もカトリーヌ・シボンは
俺の帰りを駐車場の入り口の影で待ち伏せしていた。
車に乗ろうとしたところを彼女はすかさずやって来た。
「お願い、どうしても相談したいことがあるの。三十分、
いや十分でいいから相談に乗って」
彼女は眉間に縦皺を寄せて懇願してきた。大概の男
はここまで言われれば、こみ上げて来る涎を押さえながら、
厭そうなふりをして承諾し、そのまま浮気の道を
突っ走ってしまう可能性が高い。しかし俺は普通の
人間じゃあない。何せアンドロメダ星人のうえに理性も
分別も人並み以上にある男だ。たった十分の相談が
一生取り返しのつかない罠に嵌る可能性もなきにしも
あらずだ。君子危うきに近寄らずである。
「悪い、シボン。今日は重要な用事が今からあるんだ。
一分の余裕もないんだよ。それじゃ」
42 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 05:35
俺は口からでまかせを言った。こうでも言わないと
彼女は諦めないだろう。しかし彼女に待ち伏せを
食らったのはもう十回を超える。彼女の行為はもう
十分にストーカーの域に達していた。なんとか
しなければいけない。あれだけの美女だから彼女に
アタックする男は数知れずだと思うのだがどうなって
いるのだろうか、現に職場でも俺からみてもいい男
だと思う男から頻繁に誘いを受けているのに彼女は
全てを断っている。ひょっとしたら彼女は俺が
結婚をしているのに魅力を感じているのではない
のだろうか、独身の男なんかには興味がないのかも
しれない。彼女は人の物を取りたい、横取りしたい
という願望の持ち主かもしれない。良くそういう
困った人間がいるんだよな。そして自分の物にした
途端興味がなくなって簡単に捨ててしまう。
43 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 16:34
ようするにエゴイストなのだ、他人の幸せそうな
家庭をみるとそれに嫉妬し、めちゃくちゃに壊した
くなる。愛情もからんでいるからジェラシーの根は
限りなく深い。そしてめちゃくちゃになった家庭を
見て自己満足する。そういう他人の不幸を見ること
を至上の喜びとする人間が現実にこの地球上にはう
んざりするほどいるのだ。アンドロメダ銀河にも二千五百年程前
はそんな人間がごろごろしていた。しかし一人の天才によっ
て精神改革が達成されアンドロメダ銀河の精神年齢
はぐんと上がった。地球も改革される必要がある。
44 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 16:36
彼女は美しい薔薇だ、美しい薔薇には棘がある。
彼女に男を紹介しても何の解決にもならないだろ
う。フランスを脱出しても彼女ほどの
執着心の強い女だったらあらゆる手段を使って
探し出して来るかもしれない。うーん、どうすれ
ばいいんだろう。いっそアンドロメダ銀河迄
逃げるか、俺はそんな面倒なことはしたくないし
なぁ。
45 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 16:37
そんなことを考えながらカールは家路を急いだ。
家に近づくほど股間は疼いてくる。今日は涼子を
どんな手で喜ばそうかと考えるとそれだけで快感が
湧いて来て顔も自然に綻んでくる。今日はどんな
夜になるんだろう。きっと凄い夜になるに違いない。考えただけで頭の芯が痺れ
脳からアドレナミンや、ドーパミンが大量発生し
精神状態は完全な躁状態に陥る。ふと横をみると
涼子が座っている。
「あなた、今日も楽しい夜にしましょうね」
涼子が喋りかけてくる。しかしこの涼子は幻覚であることは
カールは百も承知だった。
46 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 16:52
書き手が変わりましたね
お手並み拝見
47 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 21:18
ドーパミンなどの脳内麻薬は
覚醒作用があるが、あまりにも大量発生し過ぎると、
幻覚症状を引き起こす可能性があることもカールは
十分承知していた。結婚して一年ぐらいはこの
幻覚症状が頻繁に出て、カールも大いに悩まされた
ものである。しかしさすがに最近は幻覚症状にも慣れ、
いくら信じ難い出来事があっても動じなくなっていた。
「あぁ、わかってるよ、楽しい夜にしよう」
と言った。この不思議な事情を知らない人間は、あの男
は誰もいない横を向いてお喋りをしていると思って気味
悪がるだろう。幻覚の涼子は家に近づくと必ず消えていた。
家に帰るとカールはドアのチャイムを鳴らした。すぐに
「ハーイ」という返事がして涼子がドアを開けた。
カールの顔を見るなりキスを求めて来る。今日は大胆に
舌まで入れてきた。
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■ ■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■■■終 了■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■打 ち 切 り■■■■■■byブッシュ■■■■■■■■■■■■■■■■
49 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 21:19
カールはキスをしながら左手でドアを閉
めた。3歳になる娘も玄関まで出てきてこちらをみている。
涼子は子供に見られても平気だった。逆にお母さん達は
こんなに仲がいいのよと自慢したいぐらいだった。予想
通り今夜も涼子との交わりは激しいものとなった。いや
シボンの猛烈なアタックのお陰でより刺激が強くなったの
かもしれない。涼子に対する愛と同時にシボンに対する
愛も猛烈に膨らみ始めていた。しかしそれは猛烈な
アタックを受けて刺激されただけであり、カールは
シボンをなんとかしようという気はさらさらなかった。
むしろ涼子と交わってるときもシボンとのことは
どうしようかと思い悩んでいたのだ。このままで行くと
とんでもないことをあの女はしかねないと恐れていた
のだ。その不安は一週間後に的中した。家に帰ると
誰もいなかったのだ。
50 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/19 21:21
なアタックのお陰でより刺激が強くなったの
かもしれない。涼子アタックのお陰でより刺
激が強くなったのかもしれない。涼子に対す
る愛と同時にシボンに対する 愛も猛烈に膨
らみ始めていた。しかしそれは猛烈なアタ
ックを受けて刺激されただけでありカールは
キスをしながら左手でドアを閉めた。3歳に
なる娘も玄関まで出てきてこちらをみている。
涼子は子供に見られても平気だった。逆にお
母さん達は こんなに仲がいいのよと。
51 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/20 01:22
こんなことをする奴はあいつしかいない。シボンだ。
カールは怒りに震えながらシボンの携帯に電話を
した。
「もしもし、カールだが、シボンか」
「ハーイ、カール。あなたから電話をしてくれる
なんてどういう風の吹き回しかしら、でも電話
してくれて嬉しい」
「ふざけるなよシボン。お前が涼子や娘達をどっかへ
やったのは解ってるんだよ。早く返してくれないか」
「何言ってるのよ、カール。私があなたの家族を知る
わけがないでしょ。冗談は言わないで」
「すると誰がしたというんだ。シボン、やはりお前しか
いないじゃないか」
「私は知らないわ、本当よ。それは天にだって
誓えるわ、信じて」
52 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/20 01:33
「そうか、シボン。疑って悪かったな、今日のことは
忘れてくれ」
カールはシボンの真剣な返事からシボンではないと
いうことを本能的に嗅ぎ取った。それでは犯人は
一体誰なんだ。頭をフル回転させていてフッと名案を
思いついた。アンドロメダ銀河からSPT望遠鏡
で逆探知すればいいのだ。早速リモコンで宇宙船
を地球まで呼びつけ、アンドロメダ銀河に引き
返した。自宅に帰ると望遠鏡のある部屋まで走り、
大急ぎで望遠鏡を操作してみた。徐々に犯人は姿
を現し始めた。なんと犯人はクリンゴン星人だった。
涼子達はクリンゴン星人達の奴隷国の一つである
アミューズ星の牢獄に囚われの身となっていた。
53 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/20 01:58
なんだこれ
54 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/20 03:42
突然その部屋にかけてある巨大パネルのスイッチが
自動的に入り、クリンゴン星人が映し出された。
「カールだな、俺はクリンゴン星の副司令官レオナルド・
パールというものだ。俺達はこの一ヶ月あらゆる手を使
ってクリンゴン星を亡き物にし、モレンスキー提督を葬
り去った憎い奴を探し求めた。そしてその張本人はお前
とお前の嫁である涼子であることを突き止めた。お前
たちの罪はあまりにも大きい。子供達に罪はないが
同罪だ。よってお前たち全員を死刑に処す。しかしお
前ほどの逸材をこの世から抹殺してしまうのはさすがに
この俺も偲びない。そこで提案がある。今から二日以
内に超巨大戦艦三隻とアルキメデス星を爆破し、その
後俺の傘下に入り、この俺に忠誠を誓うというのなら、
お前たち全員の命を助けてやろうじゃないか。
どうだ、いい条件だろう。今すぐ返事をしろ!」
「断る! そんな虫のいい条件は飲めん」
55 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/20 03:44
「よし、今すぐ涼子と子供達を銃殺しろ!」
「ま、待ってくれ、それだけは止めてくれ、条件は飲む」
「初めからそう言えばいいのだ。今からきっちり二日後だ、
例え一秒でも遅れたらお前の最愛の妻子全員の命はない
からそう思え」
カールは頭をかかえてしまった。どうすればいいのだ。
幾らなんでも超巨大戦艦三隻とアルキメデス星を爆破する
なんてことは出来ない。かといって最愛の妻子を全員
見殺しにするなんてとても出来ない。残る方法はアミュ
ーズ星に単身乗り込んで妻子を助け出すか、クリンゴン
星人だけを抹殺できる殺人レーザー光線をもう一度
開発するかのどちらかしかない。しかし奴らの科学力は
あなどれん。不審な行動をすればすぐに疑われてしまう
だろう。とりあえずシボンに電話は入れておこう。
56 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/20 03:44
彼女も心配してくれてるかもしれない。そう思って
カールはシボンの携帯に電話を入れた。
「もしもしシボンか? カールだ」
「はい、シボンです。奥さん達見つかりましたか?」
「あー、疑って済まなかった。無事に見つかったよ、た
だし嫁はちょっとした病気だ、スマンが明日と明後日は
休むと会社に伝えておいてくれ」
「わかったわ、奥さんは大丈夫ですか、カール凄く
気落ちしているみたいね。元気出してね」
「ああ、俺は大丈夫だ、それじゃ、又何かあったら
電話する。頼んだよ」
57 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 01:49
「オッケー、カール。奥さんの病気が早く
良くなるように祈ってるわ」
電話を置いたとき、カールに名案が浮か
んだ。殺人レーザー光線と睡眠学習装置を
合体させたような特殊銃を作ってアミューズ
星に発射してみてはどうだろう。直接脳波
に作用する超特殊電波でクリンゴ
ン星人の良心を増幅させ、悪心を減少させ
る。そうすれば自分達の間違いを認め、
無条件で妻子を解放してくれるだろう。
用心のためにダミーのアンドロイド
を超巨大戦艦などに派遣し、いかにも
破壊工作を行ってるかのようにカモフラー
ジュしておく。そして自分は超伝導バリヤ
ーと全方向に発射する撹乱電波によって外
部からは探りようがない秘密の研究室に篭り、
58 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 01:50
こっそりと超特殊銃を研究するのだ。
「よし、これで行こう」カールは腹を決めた。
秘密の研究室に入ると今までの経緯を自分
そっくりのアンドロイドに話し、ぬかりなく
芝居を演じることを要求した。アンドロイド
は、「分った、カール。やってみよう。ただ
し成功した暁にはお礼をたんまりとはずん
でもらうよ」と言って早速宇宙船に乗り込み超
巨大戦艦に向かった。アンドロイドのくせ
に何がお礼をたんまりとだ、とカールは苦
笑せざるを得なかった。カールは超特殊銃
59 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 01:51
を設計、開発するため食事の時間も寝る時間
も惜しんで研究に没頭し始めた。膨大な資
料をネットから集め、クリンゴン星の中枢
のデータベースにも不正アクセスし、デー
タを盗み出した。そしてクリンゴン星人
の脳の特徴をコンピュータに打ち込んでい
く。さらにそのデータを人工頭脳コンピュ
ータに転送し可能性を模索させる。実に緻
密で根気のいる作業だ、しかし時間はまる
でない。一瞬たりとも気の抜けない状況で
ある。
60 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 17:25
まる二日間カールは一睡もせず、
食事も取らず働き続けた。お陰で
超特殊銃の基本設計は期限の六時
間半前にようやく完成する。
コンピューターでシミュレーシ
ョンしてみると、ダミーのクリン
ゴン星人は戦闘意欲をいきなり九
十七パーセント減少させた。成功だ!
これから自動組み立てロボットが
動けるようにコンピューターで
プログラミングしていかなけれ
ばならない。
プログラミングが全部終わった
とき、すでに処刑時間迄2時間を
切っていた。大至急超特殊銃の組
み立てにかからなければならない。
61 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 17:26
もう一刻の猶予もない。カールは
念入りな最終チェックを終えると
プログラムを作動させた。自動組
み立てロボットは目にも止まらぬ
速さで超特殊銃を組み立てて行く。
それでも時間内に組み立てられるか
どうかは分らない。ディスプレイ
の端の方に組み立て完了時間が
表示されている。涼子達の処刑時
間の十七秒前と出ている。ぎりぎ
りセーフだ。ロボットが組み立て
ている間にも超特殊銃の発射角度
などを計算し、脳波を狂わされた
ダミーのクリンゴン星人がその後
どういう行動を取るかを観察しな
ければならない。四十八時間飲ま
62 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 17:27
ず食わず、おまけに一睡もしないで
働き詰のため意識は朦朧としてい
た。休んでいる余裕などまるでな
い。予定通り組み立ては十七秒前
に終わる。すぐに発射しないと間
に合わない。カールは祈るような
気持ちで超特殊銃の引き金に手を
掛け引いた。
「発射!」
超特殊銃は「ブシュ〜〜ン」とい
う轟音とともに青白い閃光を残し
て宇宙の彼方に飛び去っていった。
カールはその頼もしいほどの光を
美しい幻想でも見るかのような目で
見送った。安心感に全身を貫かれた
カールは不覚にも意識を失い、混沌と
63 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/21 18:45
(ハラハラドキドキ)
64 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 01:23
した意識の中で失禁した
それは
非常に神秘的な体験であり貴重な経験だった
めまぐるしく変化する天体の中央にいながら
進化もなく変化すらないこの宇宙船の乗員は
一体どこをめざして航海を続けているのだろう
おい2chネラーよ目を覚ませ
これはゲームなんだよ
知的でもなんでもないただの・・・・・
65 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 06:29
・・・・・超・・常・現・・象である。
先ほどからひっきりなしに超常現象が
出現していた。今日も俺は深夜だと
いうのに眠れずにいた。宇宙とは
何なのか、俺は一体何者なのか、
それらを考え出すと俺は眠れなく
なるのが癖のようになっていた。しかし
今日は結論が出た。俺はあることに
確信したのだ。その途端に超・常・現・
・象が出現したのである。
66 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 06:56
小さくて赤いランプがしきりに
点滅している。点滅する度に
ツー、ツー、ツーという音も
発している。普段はこんなに
やかましい奴じゃないのに、そう、
これは電気毛布のサーモスタットで
ある。あることに確信した瞬間から
電気毛布のサーモスタットが突然狂
ったように作動し始めたのだ。
確信したことを肯定するような不思議な現象が
出現したことで俺の心は解放され、仕事や人
間関係などで鬱積されていたもやもやは何処か
に消し飛んでしまった。そう、俺は一気に
躁状態になったのだ。
67 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 06:57
人間なんて眠る必要すらないという結論を強引
に導き出した。結論が出ると同時に服を着替え
外に飛び出す。今は寒い冬の真っ最中であり、
イヤを軋ませて車を急発進させた。目的地は歩
いてもせいぜい30分ぐらいの距離の難波である。
目的地の近く迄来ると、車を適当な所に停め、
歩いて行くことにした。さすがに真夜中のうえに、
繁華街から少し離れているだけあって人影はほ
とんどない。しかし前の方を一人のおっちゃんが
歩いているのを発見する。今の俺はとにかく誰で
もいいから誰かと議論をしたい心境だった。前を
歩いているおっちゃんに早足で追いつくと、
声を掛けた。
「寒いですねぇ」
「おう、寒いな」
68 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 06:58
不意に声をかけられた男はややびっくりしな
がらも振り返ると落ち着き払ってそう言った。
こちらの姿形を判断し、年下で危害を加えそ
うにない人物だと判断すると、見下したよう
な喋り方をした。意外にもわりと気軽な声が
返ってきたが、顔はいかつい顔をしている。
年は40歳〜50歳ぐらいだろおうか。
一瞬ヤクザかもしれないと俺は思った。しかし
今の俺には、どんな人間でも関係なかった。と
にかく議論に乗って来てくれる人間を必要とし
ていた。俺は次の言葉を喋ろうと思ったが何の
準備もしていなかったので次の言葉が出て来な
い。しまった、このままでは場が白けてしまう。
あせった。何を喋ればいいのだろう。1秒、
2秒、どんどん時間が過ぎ去って行く。
69 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 06:59
俺たち二人の間にきまずい雰囲気が流れ始めた。
えーい、何でも喋ってやれ、
「ベトナム戦争は中々終わらないですね。」
最初に声をかけてから5秒ぐらいは経過しただろ
うか。苦し紛れに突拍子もないことを言った。当
時ベトナム戦争はフランス植民地時代を加えると
30年近くにもなり泥沼化していた。俺は頭の中の
片隅にあった潜在意識を
無理矢理掃き出した。
30年近くにわたるベトナム戦争は、対仏独立戦争
と南北ベトナムの内戦が中心だった時期を経て、
1960年代前半からは、アメリカがかかわった戦争
へと変化していた。
70 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 07:02
1964年8月のトンキン湾事件をきっかけに、アメリ
カは1965年2月には北ベトナム爆撃(北爆)を開始、
3月には沖縄駐留の海兵隊二個大隊などの米兵3500
人を南ベトナムのダナンに上陸させ、本格的にベト
ナム戦争に介入していく。以後、戦争は拡大する一
方となり、米国はのべ260万人の兵士を派遣、韓国、
タイ、オーストラリアからも兵士が送られた。米軍
は5万8千人が戦死、30万人以上が負傷した。ベトナ
ムでは335万人が戦死、サイゴン政府軍22万人、民
族解放軍約110万人、民間人約200万人が死亡、その
半数は子どもたちだったといわれている。
「おぅ、なかなか終わらんな、しゃーけど来年あた
りには、決着がつくやろな」
「結局、あの戦争はなんだったんでしょうね。」
俺たちは並んで歩きながら話をした。
71 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:28
「まぁ、ひと言で言えば、社会主義と
自由主義の綱引きやな、まったくベト
ナムからすれば迷惑な話やで」
「だけど、ベトナムにも責任がないこ
ともないですよね。」
俺の問いには返事をせずに男は言った。
「おぅ、そこに開いてる飲み屋がある
からちょっと寄っていこうやないけ」
男の方から俺を誘った。誘う手間が
省けて俺は内心にんまりとする。香ば
しい展開になってきた。
俺たちはこじんまりとした一杯飲み
屋に入った。カウンターしかない小さ
な店だ。男が先に入って行った。客は
誰もいなかったが男は入り口近くに座
った。俺は入り口の一番近くに座った。
72 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:29
一番無銭飲食のしやすい場所だ。無論
そのことを意識して座ったわけではな
い。男は熱燗を頼む。俺は瓶ビールを
頼んだ。
「肴は何にしますか」と店長らしき人
物が訊いてきた。
俺はおでんのだいこんと牛すじを二
つずつ頼んだ。男は湯豆腐を頼む。俺
たちは酒を飲みながら話の続きをした。
「ほっておけばベトナムは共産化される。
だからアメリカは危機感を募らせて無
理矢理介入してきたんですよね。」
「まぁ、そうだな。アメリカは自由の
ため、民主主義のために戦う。いわば
アメリカにとっては正義の戦いだ。し
かしベトナムだって独立のためだし、
73 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:29
自分たちの主権を取り戻すために戦う。
いわば民族独立闘争だ。こちらも正義
のための戦いだ。立場は違うがどちら
も正義のために戦ってることに変わり
はない。」
少しの沈黙があった。暫く考えてからぼくは言った。
「つまりお互いに正義のために戦うわけですね。
しかし私に言わせてもらうと、結局は指導者が
馬鹿だからこんな戦争が起こると思うんですよ。
ベトナムが独立しようが、共産圏の陣営に入ろ
うが、ほっておけばいいんですよ。そんなもん
は国の勝手、人様の勝手ですよね。アメリカが
いちいち口出しするべきもんじゃないでしょう。
74 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:30
ぼくはこんな戦争をするよりも経済でやりあえ
ばいいと思うんですが、どうですか。結局欠陥
のある主義や社会構造は自滅していくんですか
ら。戦争をしてまで自分の陣営に引っ張り込も
うとするのは、どうかしてると思いますね。」
「そんなに世の中は簡単ではないんだよ。ベト
ナムはフランスの植民地だ。一つの植民地をな
くすということは、大変な利権を失うことにな
る。フランスは危くなってきたのでアメリカに
助けてほしいと言ったのだ。アメリカとしては
同盟国であるフランスの頼みをむげに断るわけ
にもいかないだろう。それに共産主義国家が世
界中で増え続けると将来的には、世界が破滅す
る恐れだってなきにしもあらずだ。と考えたか
もしれない。例え小さい芽でも早いうちに摘み
取っておいたほうがいいと考えたんだろうな。
75 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:31
ドミノ理論といってドミノ倒しのように一つ倒
れると次々に倒れていく恐れがある。それがア
メリカは恐かったのだ」
そうか、ベトナムはフランスの植民地だったのか、
ぼくは今迄知らなかった。こんなことでは、顔に
似合わず知識の豊富なこの男に勝てはしない。
自分から議論を仕掛けておいて、相手に言い負
かされるなんて恥じだ。話題を変えなくては、
と頭をフル回転する。やはり自分の最も得意と
する分野、宇宙で議論するしかない。先ほど出
現した超常現象のお陰でぼくの宇宙論は完璧に
近くなっていると確信していた。話題を一気に
変えた。
「ところで話は変わりますが、人間ってなんだ
と思います?」
76 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:32
「人間は人間だろ、神でも何でもない。ただ
の動物だ」
男はやや不機嫌な顔をして言った。優勢に
なってきた議論の腰を折られて不愉快になっ
たのだろう。ぼくは男が神という言葉を出し
たのを聞き逃さなかった。この言葉が出るの
を待ち望んでいたのだ。先ほど家で体験した
超常現象と神とは密接な関係があった。
「果たしてそうなんでしょうかね。ぼくは単
なる人間でもなければ、ただの動物でもない。
人間はひょっとしたら、神ではないかと思う
んですよ。実は小学生の頃から夜も眠れず
にそのことを考える癖がついてしまいまし
て、今日もそのことで寝ながら延々と考え
ていたんですよ。人間が生まれる前はこの
宇宙には何が有ったのだろうかなってね。
77 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 10:59
そしたら何にもないんですよね。何にも。
ただ、無の世界から宇宙が生まれて、宇
宙は太陽と地球を生んで、その地球から
微生物が生まれ、動物に進化し、進化に
進化を重ね人間が生まれた。結局人間は
星から生まれたんですよね。単純に言え
ば人間は無から生まれたということにな
ります。こんなことって普通考えられな
いでしょう。無から人が誕生するなんて。
絶対科学でも解明出来ないはずですよ。何
もない世界から何かが生まれるなんて。こ
のことは小学校以来のテーマだったんです
よ。それで今日結論が出たんです。そうか、
人間は神だったんだと。そしたらどうなった
と思います? なんと電気毛布のサーモスタ
ットがいきなり狂ったように点滅を始めたん
78 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 11:01
ですよ。これは私の考えが間違っていないと
いうことを肯定してくれていると直感したん
です。それでぼくは嬉しいやら、気分は高揚
するやらで、こうして誰かと話がしたくなっ
てこんな時間にミナミにやってきたというわ
けです」
「ほぅ、そりゃあ凄いね。自分が神だと確信
した途端に電気毛布のサーモスタットが狂っ
たように点滅を始めたというわけか。」
「点滅だけではなく、ツー、ツー、ツーとい
う音も出ていましたね」
「はっはっは、君はその音を録音しておくべ
きだったね。そうすれば君の話は一気に信憑
性が高まる」
「ぼくもそれは考えましたが、残念ながら、
79 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 11:02
テープレコーダーを持ってなかったので、物
理的に不可能だったんですよ。惜しいことを
しました」
「まぁ、完璧に録画、録音してもそれを超常
現象だと認める人間はいないかもしれないな
ぁー、インチキをしようと思えば幾らでも出
来るからなぁ」
「うん、そうですね。証拠を残してもあまり
意味はないですよね。大事なことは証拠を残
すことではなく、理屈が通ってるかどうかだ
と思うんですけどね」
「人間は神だと思った途端に超常現象が出た。
だから、人間は神なのだというのは理屈とし
ては解るが、いまいちインパクトがない。弱
いなぁ、もっと何か、それを強烈に証明する
何かがないと誰も信じないだろう」
80 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:20
男は酒が切れると、追加注文をした。ぼくも
熱燗を頼んだ。それから男が言った言葉の意
味を考えてみた。自分としては、画期的な
出来事だと思ったのに、他人からみると、
凄いことでも、大したことでもないわけか、
ぼくは少し愕然とした。自分の持論を一気
にまくしたてることにした。
「しかし、人間は星から生まれたことは認
めますよね。そして星は無から生まれた。
無から何かが生まれるということは理論的
には有り得ない。つまりそのとき神の一蹴
りがあった。ここに神の存在を無視できな
い根拠がありますよね。そしてその神とは
この世に存在するすべての物、勿論人間も
含まれる。つまり人間も神であるというこ
81 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:22
とです。この世に存在するすべての物はた
った一つの物から始まった。その根本原因
になった物、それは神であった。ぼくもあ
なたも、そしてこの世に存在するすべての
物質は神であるというわけです。さっきそ
のことに気がついたのです。そしたら信じ
がたい超常現象がぼくの考えを肯定してく
れたのです。ぼくの精神が物質に影響を与
えたとしか考えられません。すべての物は
繋がりがあるという証拠なんじゃありませ
んか。」
82 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:23
男は暫く沈黙していた。ふとカウンターの
中の人物を見ると、こちらの話を興味深そ
うに聞いていた。ぼくは言いたいことを言
うとなんだか心がすっきりした。この男の
反論が楽しみだった。
ここまで言うと、どんな男でもぼくの考えに
同調するだろうとたかをくくっていた。男は
やがて口を開いた。
「まぁ、宇宙の誕生の前まで遡るとあんたの
言ってることは正しいかも知れん。しかし今
の科学ではわからんのだよ。それにあんたは
自分の精神が物質に影響を及ぼしたというが、
単なる幻覚かもしれんじゃないか。夢を見
ていたということも考えられるし、たまた
ま故障したということもありうる。とにか
83 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:24
く簡単に人間の精神が物質に影響を与えた
りしたら、社会の秩序は乱れる。あんたは
ニュートンの絶対時間と絶対空間の話は知
ってるか。アインシュタインに否定されたが、
俺は正しいと思ってる。時間と空間は絶対
的なものであり、なにがあろうと
変化はしないんだよ。何故かわかるか? 時
間や空間がほいほいと変化すれば秩序が乱れ
るだろう。そんなことになれば世界は崩壊す
る。世の中は乱れないようにうまく出来てい
るんだよ。」
やはりそう来たかとぼくは思った。多分同調
してくれるだろうと甘く考えていたが、万が
一があれば、反論してくるかもしれないと思
っていた。そしてこんな場合はたいてい万が
一の方に流れるもんであることはこれまでの
経験で知っていた。ただその通りの結果にな
っただけである。自分より20歳も30歳も年下
かもしれない男に「うん、そうだな」なんて
同調するのは年長者としてのプライドが許さ
ないだろう。
「だけどニュートンは光の速さは無限大だと思
っていたんです。ニュートンは天才だと言われ
てますが、その点は普通の人間と大差なかった
んです。万有引力だってニュートンのオリジナ
ルではないと言われています。ニュートンが万
有引力の着想を得たのは1666年ですが、フック
という学者がすでに1665年に「ミクログラフィ
ア」という本の中に逆2乗の法則を発表してい
ます。ニュートンは数式で証明したに過ぎませ
ん。りんごが落ちるのを見て万有引力を発見し
たという話も作り話だというのが定説になって
います。つまり時空を超えるような天才は未だ
かって現れたことはなかったしこれからも現れ
ることはないでしょう。アインシュタインも今
までに構築された理論を基礎にして、新しい理
論を打ち立てたに過ぎません。今までに構築さ
れた理論を基礎としないで、まったく新しい理
論を打ち立てた人間こそ、真の天才でしょうが、
それは理論的に不可能だということです。それ
を可能にしようと思えば、今から3000年後にあ
るかもしれない理論、あるいは五万年後にある
かもしれない理論を、いきなり構築しなければ
ならないです。それを可能にしようと思えば、
それこそタイムマシンに乗って未来に行って帰
ってくるぐらいの発明でもしない限りは無理で
すよね。しかしタイムマシンがあるとすれば、
未来人がやってきても良さそうなもんですが、
そんな話は聞いたことがありません。つまり未
来においてもタイムマシンなんてもんは発明さ
れていない。有り得ないということですよね。
87 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:33
つまんね
ぼくは絶対時間は信じてますが、絶対空間は信
じてません。何故ならいまだかって時間が狂っ
たとか、時間が止まったなんて話は聞いたこと
がありませんが、空間がおかしいことになった
という話は耳に蛸が出来るほど聞いているから
です」
「ほう、あんた面白いことをいうね。俺は、空
間がおかしいことになったなんて話は聞いたこ
とがないよ。例えばどんなもんがおかしくなっ
たんだ、言ってみろよ」
男は少し怒ったのか、おでこに縦皺を刻んで
言った。いきなり雰囲気が悪くなった。しまっ
たと思ったがもう後の祭りだ。
「例えば、超常現象や超能力です。これらは空
間がおかしくならない限り起こり得ない現象で
す。空間が絶対ならこんなことは決して有り得
ないでしょう。アメリカもソ連も絶対的には否
定していないし、本当に存在するものとして莫
大な予算を立てて研究までしていますよね。つ
まり否定しきれない事実がたくさんあるから、
研究せざるを得なくなったということです」
「確かに超常現象や超能力は有り得るかも知れん。
しかし有り得んかも知れん。いや有り得ん。例
えば野球だ。」
「野球ですか。」
「そうだ、野球だ、今迄野球で投げたボールが
消えたとか、打った球が直角に曲がったとかい
う話を聞いたことがあるか? 聞いたことがな
いだろう。これだけ野球の試合があって、大リ
ーグ、日本のプロ野球、草野球と数え切れない
くらいの試合が有ったに違いないが、未だかっ
てボールが消えたとかいう話は聞いたことがないぞ。
これだけの野球人口があるんだから中には超能
力少年がいて、超能力を使って消える魔球を投
げる少年がいてもおかしくない。いや、超能力
がこれだけ存在するなら、超能力魔球の一つや
二つ、投げられる奴がいないと返っておかしい。
それなのにそんな奴がいたなんて聞いた話はま
ったくない。いや、スポーツ界全体を見たって
そうだ。スポーツをやってて、不思議な現象が
出現したなんて話は聞いたことがないぞ。おか
しいだろう。世の中には超能力を使える人間が
五万といるらしいのに、スポーツ界では一人も
使える奴がいないなんて。だから超常現象や超
能力なんて存在しないんだよ。」
いやー、痛いところを突かれてしまった。そう
いえばスポーツの世界において超常現象や超能
力が出現した。なんて話は聞いたことがない。
漫画や映画や、小説などでは、掃いて捨てるほ
ど転がっているが、現実の世界ではまったく聞
いたことがない。昔、巨人の星の星飛馬が大リ
ーグボール3号かなんかで、消える魔球を投げ
たことがあったが、あれは超能力なんかではな
かった。笑っちゃうような理論だったが、ちゃ
んとした理屈があったのだ。漫画でさえ、超能
力は使ってない。いや、漫画なんだから超能力
を使って、完全なホームランを強引に急落下さ
せて、ただの凡フライにしたとか、アメリカま
で飛ばしたとか、めちゃくちゃな超能力を使っ
た漫画など、幾らでもあった。しかし今はそん
なくだらないことを考えている暇はない。ちゃ
92 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:43
読みにくいよ。
読まないけど。
んとした反論をしなければならないのだ。そう
思ったらパッと閃いた。
「スポーツは神聖な競技ですから、神がそんな
ことを許さないんじゃないですか。それを許せ
ば不平等にもなりますしね。」
ぼくは適当なことを言ってなんとか逃げよう
と思ったが、男は執拗に追及してきた。
「神聖もくそもないだろう。世界中でやれ霊が
出た。超常現象が出た。私は超能力が使えると
いう話は幾らでもあるが、それに対して現実の
スポーツの世界では不思議な現象が出現したと
いう話はまるで聞かない。確率的におかしいん
じゃないか、幾ら何でも皆無というのは。三田
光一という男を知ってるか。この男は大変な念
写能力があって、まだ世界にロケットを飛ばす
能力がない時代に月の裏を念写した。ご存知の
ように月は常に地球に対して表だけを向けており、
裏を見ることはできない。その当時月の裏を見
たものは世界中で誰一人いなかった。
そこが三田光一の目の付け所だったんだが、誰
も見たことがないから、みんな信じたんだな。
しかしその後NASAが月の裏側を撮影することに
成功した。そしてその写真を三田光一の写真と
見比べてみるとまるで違っていたんだよ。三田
光一の写真はうまく書いた単なる絵だったんだ。
三田光一の念写能力は完全にインチキだったと
いうことが証明されたのだよ。ヘレナ・ペトロ
ヴナ・ブラヴァツキーというロシアの大変有名
な霊能者も、近年インチキだったことが証明さ
れた。エジプトのピラミッドやロードス島のヘ
リオス像などの世界七不思議も近年の研究によ
り不思議でも何でもないとされている。この世
に不思議なものなんてどこにもないんだよ。」
男は勢いづいてまくしたてた。その迫力に負け
そうになってしまう。しかもこの男の説には他
人を納得させるだけの説得力があった。ぼくは
なんとか反論するべき材料がないものかと、必
死で頭を回転させる。ない、ない、ない、どこ
にも反論すべき材料はない。このままではぼく
は打ちひしがれて帰るしかなす術はないのだ。
しかしはっと閃いた。そうだ、特異点だ、ビッ
グバンだ、ここだけはありとあらゆる理論も法
則も通じない世界である。これはぼくにとって
最後の最後の砦である。
「この世に不思議なものなんてどこにもないと
おっしゃいますが、果たしてそうでしょうか。
例えば宇宙はどうして生まれたかは未だに解っ
ておりません。私達がこの世に現実に存在して
いるってことも不思議なことなんではないです
か。どこまで行っても科学では解明できないも
のもあるんです。科学で解明出来ないものなん
てないと考えるのは、単なる科学者達の思い上
がりだと思います。」
「うむ、確かにあんたの言う通り世の中には不
思議なことはまだまだある。永遠に解明出来な
いことも多々あるだろう。まぁそのことを議論
すれば水掛論になる。そろそろここを出ようか。」
ぼくは男にうながされて店を出た。勘定は男が
払った。別れ際に男が
「それじゃ、お互いに頑張ろうぜ」
と言ったので、ぼくも
「ええ、頑張りましょう」
と答えた。それからぼくはこの時間でも開いて
いる喫茶店を探して、喫茶店のはしごをした。
今日は日曜日である。ということは競馬がある
ので、場外が開く時間までスポーツ新聞を見て
競馬の予想をすることにした。スポーツ新聞だ
けでは物足りないので売店が開く頃を見計らっ
て難波の地下街に行き、競馬ブックを買う。そ
してさらに詳細な検討に入った。超常現象を体
験したぼくは何故か第六感が強烈に働く体質に
なっていた。冗談ではなく当たり馬券が見えて
るのだ。今日はまるで負ける気がしなかったの
で、難波場外に行って当たり馬券をたんまり買
ってから友達の家に行くことにした。
その頃は毎週日曜日には高校時代の仲間4人が、
一人の家に集まって競馬を楽しむことになって
いた。集合時間は特に決まっていなかったが、
98 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:54
朝の第一レースはほぼ10時頃と決まっているの
で、みんなは9時30分頃から遅くとも10時頃に
は集まるという暗黙の了解みたいなものが出来
あがっている。友達の家に行くときもすっかり
強気な性格になってしまい、強引な運転の仕方
で車を運転していく。いつも置いている駐車場
に車を駐車させてから足早に友達の家に向かっ
たが、家に着くと挨拶もそこそこに二階にある
部屋に向かって、階段をトントントンと駆け上
がり、奥にある狭い友達の部屋に入って行った。
三畳ほどの部屋にはベッドが置いてあり、益々
部屋を狭くしている。いつも集まることになっ
ている仲間のメンバー3人は既に来ていたが、
その日はもう一人飛び入り参加の男がいて足の
踏み場もない狭い部屋に4人ものむさくるしい
野郎供が雁首を揃えていたのである。ぼくは部
99 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 22:54
屋に入った途端窒息死しそうになる。仲間の一
人がその男を紹介した。
「こいつお前の中学時代の同級生の山田の弟や
ねん」
その名前を聞いてちょっと吃驚した。弟のほう
が男前で背も高く、兄とは似ても似つかなかっ
たからである。しかしその男の顔を良く見ると、
やはり兄の面影がある。そしてその弟はお土産
を持って来ていた。そのお土産とは10万円ばか
りの馬券の購入依頼だったのだが、その男の会
社の社長からの頼まれものだということである。
100 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:24
itai
101 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:24
「この馬券代をみんなでノミませんか。的中し
たところで本命ばかりですから賠償金はしれて
ますし、全部ハズレればみんな僕らのもんです
よ」その提案に対して俺達は全員で相談し、結
局その馬券を飲むことにする。そしてベッドに
腰掛けて煙草を吸い始めたら友達の一人が顔を
真っ赤にして
「お前どうしてん、耳から煙出とるやんけ」
吃驚したような顔をして言ったが、俺にはそう
いう自覚はなかった…。それから暫くして仲間
の一人が言った。
「今日は遅かったやんけ、どうしたんや」
「ちょっと自信があったから場外に行ってドカ
ンと買ってきたんや」
「ほんまか、ちょっと馬券見せてくれや」
「うん、これや」
102 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:25
友達はシゲシゲと見てからこう言った
「ようさん買うてきたのう、しかしこれ当たる
でー」
馬券は当たるような気がしていたが、友達に確
勝を保証されて益々自信を深める。その日の馬
券の調子予想通り抜群に良く、朝から生涯最高
といえるほど当たりまくる。そして場外で厚め
に買ってきた馬券も見事に的中し、会社の社長
の馬券は全部外れて臨時収入まで入ってきた。
この日の勝利は決して偶然ではないと考え、益
々精神は高揚していった。その日の最終レース
が終わっていつもの会計係が計算を始めたが、
計算が合わないと言って何度もやり直していた。
あまりにも何度もやり直して時間を掛けるので
ぼくは痺れを切らして遂に怒りを爆発させて言
った。
103 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:25
「俺にまかせろよ。幾ら時間を取れば気が済む
んだよ」
言うなり、収支決算ノートを強引に取り上げ、
電卓を叩いて計算を始めた。もう一人の友達が、
ひやかすように、
「おー、遂に真打が登場したぞ」と言ったが、
ぼくは意に介さなかった。ぼくは収支決算係が、
どこでどう間違えたかをひと目で見抜いた。そ
こを修正して再計算をすると、計算はピタリと
合った。他の友達が「さすが真打」とか「おー、
天才じゃん」とか言って、しきりに囃し立てた。
ぼくは全ての決算を済ませるとみんなに言った。
「これから難波場外に行こうぜ」
「もう閉まってるでー」
104 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:26
友達の一人が反対した。確かに普通では閉まっ
てるだろう。だがぼくは超常現象を体験したので、
きっと不思議な力が働いて場外だってまだまだ開
いているだろうと、とんでもないことを考えてい
たのだ。その日の稼ぎ頭だった俺は場外で払い戻
しをしてみんなに好きなだけ奢ろうと考えていた。
場外に行く話は消えたので俺は、それじゃ今日は
奢るからそこらへんに飲みに行こうと言った。そ
して近くにある友達の知り合いの洋酒喫茶風の居
酒屋に飲みに行くことにする。その居酒屋にはク
ラスは違ったが、高校時代によく見かけていた可
愛い、少なからず好意を持っていた女の子が勤め
ていた。とりあえずビールを注文してから「みん
な好き勝手に注文してくれ」と言ったので、とに
かく沢山飲んだり喰ったりする。この日は俺が全
部奢る覚悟をしていたので万札が数枚飛ぶのを覚
105 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:27
悟したが、なんと6000円と少しで済んでしま
った。友達ということで思いっきり値引きしてく
れたのだった。
それから暫くしたある日のことである。夜間は
家の前の広い通りに時々違法駐車していたが、
俺の自動車のワイパーに赤っぽい紙が貼ってあり、
ドキッとさせられる。駐車違反の紙かと思ったが
良く見るとそうではないようである。紙には、
……あなたの収入を5倍〜10倍にしませんか……
、……ズーム株式会社……、
とかいう文字が印刷されていたが、その一枚の紙
切れが俺の人生を狂わすきっかけになるとは露ほ
どにも思わなかった。その時期に俺は『爪の飛
ばない爪きり』の特許出願をしていて、なんとか
現物も自分の力で作ってみようと一人奮闘していたが、
106 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/22 23:40
107 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/23 08:52
ひょっとしたらこっちから攻めたほうが、案外近道
かもしれないと思った。一度説明会に冷やかし半
分で見に行くことにする。
広告には、『ズーム』と書いてあったので、カメラ
に装着するズームレンズか何かを売るのだろうと思
っていた。そして説明会に行ってみると大違いである。
ズームというのは、ズームガソリンオイルコンデシ
ョナーとズームエンジンオイルコンデショナーの
ことで、要するにガソリンタンクとオイルタンクに
入れる添加剤のことなのだ。そして係員が出てきて、
ちょっとした実験をする。すると化学反応で、エン
ジン内の不純物を溶かしてパワーがアップし、ガソリン
及びオイルの消費も減少するという画期的な効果が
108 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/23 08:53
あるということを強引に納得させられた。〈これは売
れるかもしれない〉ぼくは実に単純な男なので〈これ
は絶対に売れる〉という考えに変化するまで、ものの
5分と掛からなかった。すでにこの時点でぼくの
脳裏には、大成功を収めて優雅な生活を送ってる自分
の姿を想像していた。こういうのを取らぬ狸の皮算用
だというのを後ほどいやというほど認識させられる
のをこの時点では夢にも思っていなかった。売ってや
ろうと即座に決断し、説明会が終わったときには早速
申し込みをしていた。その商品と実験装置を買い取り、
まず自分の車で試してみることにする。ぼくの車は
軽自動車で馬力が31馬力しかなく、いつも馬力不
足に悩まされていた。しかし添加剤を入れた途
端に馬力が5馬力はアップしたような気がした。
109 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/26 04:04
そして燃費も計測してみたらなんと約20%
も伸びている。商品に対して益々自信を付けたので、
まずガソリンスタン
ドを中心に売り歩くことにする。しかし現
実は厳しく実験をやらせてくれるガソリン
スタンドさえめったに無かった。だが、闘
志は衰えるどころか、益々燃え上がっていく。
〈そうだ!明日はトラックの運送会社に売
りにいこう。〉
そう思って運転すると不思議なものだ、
いつもはぽんこつみたいなこの軽自動車も
ずいぶんと軽快な速さで町を飛ばしている
ように思えたし、
薄気味悪い血の色に見えていた夕日も、
航海から帰った男たちを癒す希望の灯台に
見えたのだった。
<ズームガソリンオイルコンデショナーと
ズームエンジンオイルコンデショナー……
よし、覚えたぞ。これぞまさに福音だ!>
111 :
名無し物書き@推敲中?:03/04/06 19:47
そう思ったら、明日が待ち遠しくて夜も殆ど眠れない
ほどだった。次の日は近所にある中堅程度の運送会社
に勇躍乗り込んだ。まず事務所に行き、社長に会わせ
てほしいと頼む。しかし社長は今いないので専務を紹
介すると言われ、渋々それで承諾することにする。専
務は社長の息子らしかったが、商品の説明をして、実
験をさせてもらえるように頼んだ。しかし専務は
「社長がいたらお前なんかぶっ飛ばしているところだよ!」
いきなり専務は大声で怒鳴りつける。
〈何で商品を売りに来ただけで、ぶっ飛ばされなきゃ
いけないんだよ。〉
112 :
名無し物書き@推敲中?:03/04/06 19:51
心の中でムッとしたが、グッとおさえて説明を続けた。
「私は他にも爪の飛ばない爪切りとか、鼻毛専用の電
池式カミソリとかも考えていて、特許出願も出してる
んですけど、ただ時間がかかるんで、手っ取り早く稼
ぎたいと思ってこんな仕事をしてるんですよ。今日は
特別サービスにさせて貰いますので代金は結構ですか
らどうぞ使ってみて下さい。この商品の素晴らしさが
解って貰えればいいですから」
ここはとても商売にはならないと判断し、自暴自棄
になってトラック一台につき一セットの商品を差し
上げて引き上げることにした。トラックの運転手た
ちはさっそく注入し始めたが、
「もし車が潰れたりしたら弁償してくれよ!」
中にはしつこく添加剤の成分を聞く人もいてそこ
まで言われてしまう。俺は返す言葉がなかった。
113 :
名無し物書き@推敲中?:03/04/07 11:11
114 :
aaaaa:03/04/07 12:05
115 :
名無し物書き@推敲中?:03/04/07 12:17
(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
121 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/13 01:21
山崎コレクション
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
(^^)
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
125 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/13 21:34
宇宙戦争なんてありえないの。人にとって宇宙は広すぎるの。以上。
糸冬 了
126 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/14 16:12
ねえ、宇宙って空気無いのにどうして「ズドーン」って音が伝わるの?
>>126 あれは演出上の理由。種なんてその典型。
実際に宇宙空間では音なんて伝わらない。
音が伝わる原理ぐらい知ってるでしょ?(厨房でも知ってる)
徳山〜懲りてないのかい?
ホントに行っちゃうよ
129 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/15 04:52
130 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/15 20:24
田中憲次よ
いい加減にセンス磨け
ネーミングセンスが皆無
言葉の間違いが多すぎ
話のつくりが平板
要するにつまらない
131 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/15 20:36
前半の宇宙戦争のくだりは確かに平板でつまらん。
しかし後半の意外な展開はなかなか読ませる。
特にカールが伊藤忠商事に就職してからのあたり、
あとは突然超常現象が起きるあたりか。
超常現象は本当にあったんだと思わせる説得力を感じました。
134 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/16 01:33
>>131 ベタ褒めだったな。ちょっとビビッたYO。
136 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/21 12:57
>>133 お前さー、頼むから、頼むからさ
そのバレバレの自作自演やめて、ホントみててむかつく
ばれて無いつもりだろうがもうやめて
やるならどうせばれてるんだからカールってコテでやれよヴォケ
あと、カールマジで訴えます
今度はテメーが夜中震えながら警察待つんだよ
お前と同じはったり野郎だと思うなよ
>>126 お前は厨房か
状況を考えろ。宇宙船の中に人がいて、
その宇宙船から波動砲を撃ってるんだぞ。
音が聞こえるのは当たり前だろが!!!
138 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/24 22:00
139 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/24 22:05
>>126 お前さん、勘違いしてるぞ。
>>137 お前さんも正しくない。
単一波長、同位相の光を打ち出すだけで音が鳴るわけないだろ
ラノベ板に逝きなよ>カールとかいう人
>>141 「カールの脳内でのみ音が鳴る」以外の解釈は出来んと思われ。
光は「粒子」「波動」の両方の性質を持つため、
>>3にあるの「粒子波動砲」は
「光」に関連した何か、例えばビーム兵器なんだろうと推測するしかない。
ビーム兵器ならば、光を収束したり波長を整えたりする際には全く音は出ない。
強いて音が出る瞬間を考えると、ランプを点灯させたときに「パチン」という位。
他の考え方としては、景気付けとしてビーム砲を発射したときにスピーカーから
爆発音を流すことが義務づけられているのかもしれないが、そんな記述は見られない。
145 :
名無し物書き@推敲中?:03/10/26 22:06
カール
146 :
名無し物書き@推敲中?:03/11/03 18:23
147 :
名無し物書き@推敲中?:03/12/19 16:55
カール!!
148 :
名無し物書き@推敲中?:03/12/20 10:36
そして宇宙に平和が訪れた。
149 :
名無し物書き@推敲中?:03/12/21 14:50
「まだだ!カールの死体をうpしなければ大衆は信じはしない!」
150 :
名無し物書き@推敲中?:03/12/21 16:51
151 :
名無し物書き@推敲中?:03/12/21 16:58
ゴールデンレター
このスレを見た人はコピペでもいいので
30分以内に7つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白され、17日後に
あなたに幸せが訪れるでしょう
152 :
名無し物書き@推敲中?:04/01/01 23:33
カール
153 :
名無し物書き@推敲中?: