この三語で書け! 即興文ものスレ 第十壱層

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「19世紀的な文化進化論は、あくまで西欧文明中心のダーウィニズムに基づいたものであって、それに準拠しない文明、
たとえばトロブリアンド諸島の文明などはその準拠枠で判断することはできない。いきおい感情的な、<未開>などという言葉で
くくられ、最終的に西欧文明に到達する以外の結論も見いだせないことから、存在意義についても軽視され……」
 長広舌が続く。今日も教授は絶好調だ。
「……20世紀になって、ソシュールの記号論を応用した構造主義がレヴィ=ストロースらによって提唱される。また、
文化の発展がおのおの一元的な進化をするものではないという文化相対論に基づいた価値観の再構築が行われ、
いわゆる<未開文化>の研究が加速していくこととなる」
 そこで教授は話を止め、講義ノートを閉じた。
「ここまでの講義を通じ、諸君に伝えておかなかればならないことがある。文化は独自のものであり、決して他の文化によって
解釈されたり、決定されてはならないものだ。異文化交流により変容する面は少なからずある。しかしだからといって、
異文化の価値基準を勝手に適用したり、様式を押しつけたりすることは、文化の多様性を否定し、結果全文化の衰退を招くことにも
なりかねない。これらを踏まえ、私は諸君らにこのことを伝えよう」
 教授は胸を張り、誇らしげに宣言した。
「ジオン・ズム・ダイクンの思想は掲げられ続けなければならない。地球連邦のそれは、異文化抑圧以外の何物でもないのだ」
 やはり、教授は今日もノリノリだった。

 本文は概ね文化人類学史に沿っていますが、R・エルツを削ったり、内容の置換をしています。そこへのツッコミは勘弁。
 お題は継続で。