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うはう ◆8eErA24CiY :
「食欲」「書籍」「洪水」
テレビの画面いっぱいに、礼文島のウニ丼が映し出された。
女性レポーターは、「この職業で本当によかった」と心から思った。
「はい。それでは、さっそく、いっただきまーす!」
ウニ丼をほおばるレポーターと共に、幾百万の視聴者も口をあんぐりと開け
思う存分に空気を咀嚼した。
「おいしいっ」と、いちはやく叫んだのはレポーターではない、視聴者だ。
味覚放送。
従来のテレビ映像にあわせ、味覚と嗅覚を直接脳jに伝えるシステム。
世界からの集められた最高の味覚の洪水が、幾億の人間の食欲を満たす。
まずい料理にも、「うまい」と言わされる芸能人に騙される事はない。
物は、食べれば、なくなる。
しかし放送は、書籍同様のソフトウエアだから、幾人で味わってもなくならない。
夜が更ければ、放送も終わる。
「さあ寝ようか」と一視聴者は、ビタミン剤と食欲抑制剤を飲んで寝床につく。
何も心配する事はない。ダイエットにもなっていいじゃないか。
第一、配給の国民標準食のあの味ときたら…
※いかにもよくある展開だけど…大丈夫?
次のお題は:「ビル」「ピル」「ヒル」でお願いします。