「猫柳」「矢印」「北風」
畦道にあるバス停はただひっそりと迎え入れてくれた。
夜闇に浮かぶ灯に包まれながら、安堵の一息は白くやがて掻き消える。
宵の黙にぽつんとひとり。
見上げると、あまねく散らばる星の海。
地上は負けじと輝く銀の浪。
たゆたう刻は悴む心をささやかさせる。
現の夢と知りつつも、生きてみよう。
現の闇と知り得ても、生きてみよう。
矢印の示すがままを捨て、抗いつつ、もがきつつ。
瞼を閉じてまた息ひとつ。絆された私がひとり解き放たれた。
北風に、猫柳は右にゆらり左にゆらり。
風に吹かれて、待ちくたびれたバスがやって来る。
次は「水仙」「朦朧」「白粉」でし