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名無し物書き@推敲中?:02/12/29 00:38
チン☆ポロに全てを委ねて、僕等は流れに乗ればいい。
あと2日で
>>1君に会える☆
嬉しいなぁ☆早く会いたい。
「オネアミスの翼」見るの!一緒に☆
春になったら二人で映画見に行こうねって約束したの☆
早く会いたいなぁ・・・
今日はあんまりメールできなかったけど・・・
疲れてるから仕方ないよね・・・
メールだと
>>1君の言葉がすごい冷たく感じるのは気のせいかな・・
気のせいやんね・・・文字じゃわかんないよ・・・
だからって電話も苦手なんだよね・・・何話したらいいのか全然わかんないんだよね・・・
話題がなくて大変・・・一緒にいて楽しいかな・・・って悩んでしまう。
>>1君が応援してくれるからダイエットがんばります!
目指せ10キロ減量!!!!!!!!!
昭和19年、冬。千葉県山武郡のある小さな村役場の一室。
外は霙がちらついている。石炭ストーブに置かれた薬缶から白い湯気が立ち上っていた。
スーツ姿の男とテーブルを挟んで一人の少女が座っていた。
スーツの男は東京からやってきた陸軍の人間で、犬神と名乗った。兵器の開発に携わる
研究者だという。なるほど、眼光は鋭いが、物腰は柔らかで確かに軍人離れした雰囲気だった。
少し距離を置いて立っている軍服姿の男。こちらは身のこなしからいかにも軍人らしく
犬神と会話する態度もどこかよそよそしい。おそらくただの運転手役として犬神に随行して
きただけのようだった。
村長は東京からやってきた目的も明かさないままの軍人に少女がおかしな事を口走りは
しないかと気が気ではなかった。
少女は村の神社の娘で15歳になる。名を那美といった。
那美は幼少の頃からたびたび不思議な事を口走り騒動を起こした事があった。
翌日の天気を言い当てたり、産まれてくる子供の性別を言い当てたり、
事故や病死者を予言するのだ。
そして那美の予言はほぼ確実に的中した。予言はしかし、周囲の人間に不幸しか
もたらさなかった。予知するだけなのだ。予知した事故や犯罪を防ごうと試みれば
必ず予知を上回る災禍が発生した。
例えば海での遭難を予言された村の漁師が海に出なかった時、その男の家から火事
が出て男の家族と隣の家を焼いた。
例えば家の事情から不本意な結婚を決められる事を予言された娘は恋人と駆け落ち
を試みたが落石事故に遭い恋人もろとも命を落とした。
そのうち村民達は那美を疎んじるようになった。
どうして知っていたのに教えてくれなかった。どうしてそんな不穏なことを
言うのか。どうして言う事を聞いてくれないのか。
那美は次第に予言をしなくなる。予知はしていても軋轢を避けるためにそれを他人に
言わなくなったのだ。頼み込めばようやく翌日の天気くらいは教えてもらえるが、
それまでだった。那美は陰気な、人を寄せ付けない雰囲気をまとっていた。
犬神もおそらくこの不思議な力に興味があって東京から那美に会いにやってきたの
だろうが、那美の力を近くで見てきた村長には、那美にまたしても余計な厄介ごとを
持ち込まれたような気分だった。
犬神は床に置いたトランクケースをテーブルの上に乗せて中から何枚かの封筒を取り出した。
そのうちの一枚をかざし言った。
「さて、この封筒のなかに一枚の紙が入っているのだが、その紙には何が書いてある?」
「星です」
即答だった。犬神が封を開けてみれば中から星型が書かれた紙が出てきた。
犬神は星型の書かれた紙をしげしげと眺めてから次の封筒をかざして同じ質問をした。
犬神が次々と投げかける質問に那美は全て正答した。犬神はすっかり上機嫌の様子だった。
同行した軍服の男も驚愕しているようだったが、村長は別のところで驚いていた。
あれほど自分の力を他人に見せる事を嫌っていた那美が嫌がる様子をまるで見せない。
それどころか嬉々として犬神の次の質問を待ち構えているようにも見えた。普段の沈鬱な
表情はない。
犬神の質問は一時間ほど続いただろうか。那美は封筒の中の図形を言い当て、隣の部屋に
いる人間の数を当て、犬神の家族構成を言い当てた。
「よし、じゃあ最後の質問だ。私の・・・」
「背広の内ポケットの中にある封筒ですね?」
「・・・そうだ」
「召集令状です」
犬神は満足そうに笑うと懐から一枚の封筒を取り出し中から召集令状を抜き出した。
「櫻井那美君。国のために君の力を役立ててもらいたい」
その晩、那美の家では急ごしらえの壮行会のようなものが行われた。
なにしろ15歳の少女が赤紙を受け取る話など聞いた事が無い。家族は当然、集まった
誰もが戸惑っていた。しかも出発は翌日という慌しさだ。
那美だけは落ち着いていた。こうなることを知っていたのだろう。その上で自分は
死ぬ事は無いから安心して欲しいと皆の前で告げると自室にさがってしまった。
翌朝、那美は犬神が乗ってきた車に同乗して村を離れた。
(^^)
東京、市谷の参謀本部までは車で4時間ほどを要した。
車中で犬神はほとんど口を開かなかっが、東京は初めての那美だったから窓から外を
眺めているだけでも十分に刺激的だった。これから那美があたる任務については一切
話さなかった犬神だが窓から眺める風景については一々詳細に説明してくれた。
参謀本部内の一室で待たされている最中もどれもみな初めて見るような室内の調度を
眺めているだけで圧倒されていた。
しばらくするとノックの音がして犬神が立派な軍服姿の男を伴って戻ってきた。
犬神は幾分緊張した面持ちで言った。
「部長、彼女がお話した櫻井那美君です。桜井君こちらは岡本清福少将」
部長と呼ばれた男は右手を差し出しながら言った。
「岡本だ。よろしく頼む」
那美は椅子から立ち上がり握手しながら頭を下げた。
「櫻井那美です。よろしくお願いします」
「座ってくれ。犬神も」
犬神は那美の隣の椅子を引いて腰掛けた。岡本はテーブルを挟んで那美の正面に腰掛けた。
「犬神、まだ何も話していないだろうな?」犬神がはい、と返事をしたのを聞くと続けた。
「櫻井君、君は今日から軍属となる。帝国軍人だ。将校だぞ?陸軍少尉だ。君の念力で
犬神君の指導の下、防諜を旨とした任務についてもらう。」