リレー小説「ハードファンタジー」  

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1妖精ポック
ベルセルクみたいなエロスとバイオレンス盛り沢山のヤシきぼーんぬ!
(ハァハァ)

混沌の渦
3名無し物書き@推敲中?:02/11/24 13:08
何処とも知れぬ、荒涼とした世界。
世界の中心には一本の化石化した大樹があった。
5名無し物書き@推敲中?:02/11/24 15:02
6名無し物書き@推敲中?:02/11/24 15:16
文字通り、天を支える世界樹であった。
もしこれが枯れたり斬られたりした日には、そりゃあ目も当てられない天変地異が世界を見舞うことになるはずだ。
だから、その神聖な御神木に手を出そうなんて考える不埒なヤツはいなかった。
されど。
いま、世界樹の根元から、不遜かつ凶悪な笑みを湛えてそれを見上げる筋骨隆々の巨漢に関しては、どうやら例外といったほうがよさそうだった。
7名無し物書き@推敲中?:02/11/24 22:39
 巨漢の男は股間に手を当てむんずと男根をとりだした。
 天をも突き通すかという大男根である。
 ややあって股をあけっぴろげにした男が言った。
「やい、世界樹よ。俺様のマラとお前の木の股どちらが強いか勝負しろ」
 はて、珍妙なることか、なんと化石であった世界樹が蠢きだしたではないか。
 木の根がもどもどと動いて形を造ってゆく。根と根があわさり。貝のごとくひっついた。
 木のこぶが膨れあがり貝柱のごとく盛り上がった。
 なんたることか、世界樹はその名のごとく子を生み出す器官をつくったのだ。
 巨漢の男と、母なる世界樹の怪異なる決闘が今はじまる。
8名無し物書き@推敲中?:02/11/25 00:07
そのとき、
9名無し物書き@推敲中?:02/11/25 21:04
少女はつと足を止めた。
10名無し物書き@推敲中?:02/11/25 21:07
>>7
荒らしマジうざい。大人気ない。そして…
「つまらない」
11:02/11/25 21:12
でも書いてしまった以上は続けねばならないのも宿命だよね(w
12:02/11/25 21:26
ごめんね。
一行リレー小説だとは思ってなかった。
すまんかった。スルーしていいよ。
エロって書いてあったからさ。
一行だったの?
7は荒らしに見えないが?
14:02/11/25 21:31
アレはアレで面白いじゃないか。ねえ?
俺より下手だったらキレで荒らし呼ばわりもしたろうけど、文章に力もあるし着眼点もいいし。
あの文章なら荒らしには当たらないよね?
7は面白い。リレー小説を面白くするツボを押さえていると思う。
10は己の筆力で返すべきだ。
でもあれの後に続けるのは相当の実力者じゃないと無理ぽいからそういう意味では荒らしかも〜
とりあえず10が「おもしろい」続きを書くのを待ちたい
18名無し物書き@推敲中?:02/12/01 17:00
10召喚age
19名無し物書き@推敲中?:02/12/05 02:42
10召喚age
age
21名無し物書き@推敲中?:02/12/11 00:54
N E V E R E N D
22名無し物書き@推敲中?:02/12/11 02:23
確かに7は下品ではあるがその分恐ろしく濃密で力強いかと。
つか、嫌なら仕切り直しでもすれば?
どっちにせよ楽しめそうなスレだ。期待age
23名無し物書き@推敲中?:02/12/12 17:39
さて、これから始まろうと言うこの奇妙かつ壮大な決闘の前に、話さねばならないだろう。
この勇ましくも世界中に挑む巨漢のことを。
彼の左目を貫くように刻まれた稲妻の形をした傷跡のわけを。
不敵な笑みに裏打ちする彼の恐るべき実力を。

我々は少しだけ時の狭間からこの男の過去を覗いて見よう。
24名無し物書き@推敲中?:02/12/12 18:35
そう、時は紀元前5012年、はれて1年間の月蝕が終わり
全世界に光の差し込んできた太陽の年のこと。
25青木原精神病院:02/12/12 23:24
男はただ、今日を生き延びることに必死だった。
月食を恐れた愚王による馬鹿げた統治。男はみな兵役にとられ、残された家族には生殺しのような税がかけられた。
そして一年、何も起きぬままに月食は終わり、兵役を解かれ故郷に帰れば家族は既になかった。
ただ同然の給料をはたいて買った土産も、辛い兵役を耐えぬく糧となった家族との思い出も、すべて男には
無意味となった。
26名無し物書き@推敲中?:02/12/13 00:25
ゼンダマンの名前が問題ありと思われ。
27名無し物書き@推敲中?:02/12/13 00:35
男はまだ巨漢とは言えなかったが、大柄な青年だった。
ボロボロに成り果てた心と体を抱えて日を生き抜くうちに、若く傷みやすい青年の心はすさんでいった。
盗んだ剣で強盗を重ね、弱き者たちからは何もかも奪った。
やがて、彼は奪うことに慣れていった。それ自体に楽しさを感じ始めた。
28名無し物書き@推敲中?:02/12/13 00:43
ある日彼は物乞いの老婆に目をつけた。
普段なら金にもならなそうなのだが、その老婆の首にチラリと高価な金の首飾りの紐を見たからだ。
「おい。お前いいもんをつけてんじゃねぇか?金かそれは?」
老婆は顔をあげずに俯いたままだ。
垂れ流しになっている老廃物にハエが群がっている。死にかけか、と男は思った。
「そいつをよこしな婆さん。死にかけのあんたが持ってても仕方ねぇだろ」
29名無し物書き@推敲中?:02/12/13 00:48
突然、老婆は奇怪な笑い声を立て始めた。
老婆の痩せ細った体にふさわしくない大声で。
狂ってるか…ちょうどいい。男は剣を一振りした。
老婆の首が飛んだ。濁った血が切り口から噴出し、あたりの排泄物が赤黒く染まる。
男は老婆の胴体部に残った首飾りに手を掛けた。
しかし、抜けない。
30浩二:02/12/13 00:49
後藤め。許さんぞ。
31名無し物書き@推敲中?:02/12/13 00:57
彼女のボロキレのような衣服を剥ぎ取ると、皮と骨だけの胸の中央に首飾りは埋もれていた。
皮膚の中に刺さっていたのである。
奇妙な首飾りに当惑しつつ、彼はそれを胴体から引き抜いた。
ぐにゅ、と嫌な音がして血にぬれた首飾りが引き抜かれる。

「ヒェヒェヒェヒェェエ」

笑い声がした。飛んだ首のあたりで。
思わず振り向くと、老婆の首が白目を剥いたまま笑っている。
「オ前ガソレヲ引キ抜クノヲ待ッテイタノダ。世界樹ノ産声ノ時カラ…。我ガ破壊者ヨ」
男は思わず唾を飲みこみ、じりじりと退いた。
32浩二:02/12/13 01:02
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33名無し物書き@推敲中?:02/12/13 01:06
「何故退クノ?」
老婆の声音が変わった。シワシワの口元からゴボゴボと血が溢れ出す。
汗の滲む手で、首飾りを握り締め、男は生首を凝視した。
聞き覚えがあるような気がしたのである。

「オ前忘レタノカイ?」

しわだらけだった老婆の顔から、ゆっくりと皺が消え始めた。
恐るべきその変貌を男は固唾を飲んで見続けた。否、逸らせなかった。
「あ…ぁ……!!!!」

それはあの懐かしい母の顔であった。
一瞬嘆きに満ちた視線を送り、母の生首はこんどこそ絶えた。
思いもよらない母の亡骸の前で男は呆然と立ち尽くした。
首飾りから血の雫だけが滴り落ちる。
34浩二:02/12/13 01:19
後藤め。
35名無し物書き@推敲中?:02/12/13 01:52
「あ…あれは隣に後藤さん…。あれは、あれは母さんじゃない!!」
男は急いでセブンイレブンへと駆け込み、肉まんひとつを買った。
ほくほく気分で店を出ようとした。そのときだった。
あるものが私をふり返させた。否、ふりかえさせられたのだ。
そこには、明日発売の「ゼルダの伝説」が置いていたのだった。

「あ…ぁ……!!!!」

男は涎を、唇からあごへと滴るように流し始めた。
全身は細かく振るえ、目からは感動と驚嘆の涙があふれる。
店員が心配そうに見ているが、男は興奮していた。


36名無し物書き@推敲中?:02/12/13 04:10
楽しんでるかい?
37名無し物書き@推敲中?:02/12/13 14:54
続き書きたいんだけど主人公の男の名はどうしよう?


名前苦手だから誰かいいのキボンヌ
38青木原精神病院:02/12/13 15:35
脳内ではヘイドレク、と呼んでますがいかがでしょう?
39名無し物書き@推敲中?:02/12/13 15:41
ボッポ
40名無し物書き@推敲中?:02/12/13 17:18
>>38
(・∀・)イイ!!


漏れに思い付くのって神話系しかねえ。
41名無し物書き@推敲中?:02/12/13 22:59
>>38
採用ケテーイ。
じゃぁそれでいきませふ。
42名無し物書き@推敲中?:02/12/13 23:34
「何…だよ……これは…」
 自分が殺したのは死にかけの老婆だったはずだ。
 なぜそれが自分の母なのだ?これはいったいどういうことだ?
 男は汗の滲んだ手のひらの首飾りをおそるおそる眺めた。
 何かの種のような形をした真っ黒な石に、銀色の留め具が嵌められており、そこから金の鎖が伸びている。
「せかい…じゅ…だと?」
 確かに老婆、いや人ではない何かが彼にそう言った。
 男は無意識にそのことばを呟いていた。
43名無し物書き@推敲中?:02/12/13 23:35


 ドク…ン

「…うああっ!?」
 首飾りが手のひらの中で 脈 う っ た 。
 思わず手を振り払ってしまって、あることに気付いた男は愕然とした。
 汗ばむ手のひらに、首飾りの石の部分がもう半分ほど埋まり始めているのだ。
「なっ何だ?!おい止めろ!!」
 必死で反対の手で引き抜こうとしたが、思わず激痛がはしる。血管のなかを熱いどろどろしたものが巡ってゆくようだ。めまいがした。その恐怖に男は無我夢中で首飾りを引き抜こうとした。
 しかしすでに留め具が皮膚の中に埋もれようとしていた。そして完全にそれは男の体内に埋まっていった。
 
44名無し物書き@推敲中?:02/12/13 23:37
体中を異物が駆け巡る。
 地中を根が這うように、体中に何かが這いめぐらされるような悪寒。肌はあわ立ち、嫌な汗が流れる。
 割れるように頭がいたい。視界が朦朧としはじめ、母の亡骸もかすんだ。
「かぁさ…ん……助け て…くれ」
 気の遠くなる痛みに涙がにじむ。
母の、血まみれの母の生首の転がる胴体に、震える手を伸ばした。頭がいたい。痛い。なんだ、なんなんだこれは。答えてくれ母さん。貴方に何があった、俺には何が起ころうとしている?!

 
 胸の突き刺さるような痛みに、思わず心臓をおさえると手に異物感があった。
 はっとして胸をみると、首飾りが皮膚から半分出てきていた。そう母の時のように。
「畜生、ふざけんな!!」
 首飾りを引き抜こうと、力をこめた瞬間全身が切り刻まれるような痛みがはしり、男は絶叫して倒れこんだ。そして、もう首飾りの離れないことを悟った。呆然となった。
45名無し物書き@推敲中?:02/12/13 23:37

 しばらく呆然としていた。事態がよく分からないままに、男は母の遺骸をぼんやりと眺めていた。
 母のぼろぼろの衣服は汚物にまみれていた。
 せめて…と男は自分の上着を脱いだ。それでもあまり変わらないのだが。
 そうして母の汚物まみれの衣服をはぎとって、男はまたも心臓が止まるような思いがした。
 母の衣服の下の体から無数の《根》が伸びて、地面に深く深く刺さり、
 彼女をそこにはりつけていたのである。

46名無し物書き@推敲中?:02/12/13 23:50
う…ん。ムズカスィ。
イメージはすごく沸いてくるのになぁー。
まだ名前使ってなくてスマソ。>ヘイドレク
エロスもバイオレンスもない…という点で申し訳ない。
エロは下手なんだがこんどがんばってみまつ。おやすみなさい。
47青木原精神病院:02/12/14 04:08
「どうして・・・」
ヘイドレクは膝をついた。
「かあ・・さん」
その呼び掛けに答える者は、もう、いない。だが男は母の名を叫び続ける。
「どうしたのさ!?俺と!親父と!兄さんが!兵隊に行っちまった後、一体何があったんだよ!?」
男の目から熱いものが込み上げる。
「兵隊に行けば親父たちとはバラバラになるし、毎日ゲロ吐くまでこき使われるし―」
もう、とまらない。
「俺、もうなにがなんだかわかんねぇよ・・・」
地に吸い込まれる、涙。思い出も、何もかも、消えてなくなればいいのに。
嗚咽だけが虚しく響いた。
48青木原精神病院:02/12/14 04:19
>>46さん
とりあえず、先の構想が御有りのようなので、
邪魔にならん程度に繋げてみました。
46さんの話、マジで面白かったです。序盤から一気に謎が謎を呼んでますね。
続きが楽しみです。
49名無し物書き@推敲中?:02/12/14 16:55
age
50名無し物書き@推敲中?:02/12/15 07:14
賑やかな声の漏れてくる酒場の、傷んだ木の戸を押して、中に入った。
 ボロボロの身なりをしたままの男に酒場の主人は面食らったようだが、かの月蝕以来ならず者は珍しくなかったので、男が酒を注文すると、何も聞かず黙って頷いた。
 ヘイドレクは注文をおえると近くの席に座った。
 テーブルの上に置かれた自分の手は土に汚れ、血がしみていた。
 彼は母の死体をあの場所から引き剥がすために、根を掘っていたのだった。
 思ったより根は深く、少しでも切ろうものなら血のような赤い樹液がにじんだ。
 男は発狂しそうないきおいで母の遺体をはがそうとしたが、無理だった。
51名無し物書き@推敲中?:02/12/15 07:15

 兵役で連れて行かれてから一度も忘れたことのなかった母の遺体にすがって彼は泣いた。
 吼えるように泣いた。
 それから無残にも変わり果て、あげく自分が首をはねた母を、彼は解体した。
その場にさらしていくのは嫌だった、だからだ。
 ばらばらにして、その場所に土をかけた。そして周辺の石を墓標にした。

 目の前に酒が置かれた。
 男はそれを一気に流し込んだ。熱い嗚咽のような感触が喉のおくを通り過ぎていく。
 なにもかも忘れたい一心で男は酒を飲み続けた。


 彼はその夜酒場の近くに宿をとった。
 一人ではない、見知らぬ女も一緒である。
 この彼よりも一回り年上の女は、酒場で彼に声をかけ、酔って自棄ぎみの男は自虐的な気持ちで女と寝ることにしたのだった。
 部屋に入ると女は厚ぼったい唇を彼に重ねてきた。
 男のほうはアルコールに正常な感覚は飛んでいるものの、本能の導くままに女の口付けにこたえてやった。
 
 朦朧とするなかで耳に女の甘い悲鳴がとどく。
 きしむ音と女の震える振動とを体に感じながら、つきあげる痺れに男はそれをむさぼろうと腰をつきあげる。
 男は何も考えないようにつとめた。汗の滲む肌をすりあわせ、ただ快楽を追って現実から目を背けようとした。
「……ぁっ あぁぁっ…!…」
 女の悲鳴が一段と強くなり、男もそろそろ出そうと思い、動きを速めた時だった。
 彼が異変に気付いたのは。
 
 それは気付かない程度のものだった。
 女の金色の髪の毛の中から見えたそれは、小さな、緑色のものだった。
 しかし彼が気付いたのは《それ》が驚くべきスピードで「成長して」いたからだ。
 彼が愕然として動きを止めると、女はじれったそうに男を見上げた。
「…ねぇちょっと……どおしたの?……は やく ぅっ……」
 促すように女が腰をこすりつけてくる。
 だが男の目は女の髪の間から伸びてくる一点に注がれたままだった。冷たく苦い唾が喉を通り過ぎる。 
 それは天井へ向かってするすると垂直に伸び始めた。それは暗がりでよくみえないが蔓のようだった。もはや一本ではない。何本何十本という細いつるが、女の髪から伸びてきた。
「おまえ……なんだそれは…?」
 酔いなどふっとんでしまった男は、かすかに震える声で聞いた。
「え…何よぅ……もう……」
 中断されていることで不機嫌な声を出して、女は気だるげに天井に目をむけた。
 そして 目 が 合 っ た 。
 何百本という、奇怪な蔓と。
「ひぁっ………!!!!」
 女の悲鳴をその蔓たちが一斉に食った。ちがう、その口めがけて一斉に蔓たちが入っていったのである。蔓たちは容赦なく女の口から喉へはいりこんでいった。
 それだけではない。耳や鼻や、あげく眼へと押し寄せ、女を侵蝕していった。
 あまりの凄惨な光景に男は飛びのき、目をそらすこともできずに皮膚という皮膚から突き出す植物を凝視していた。
 女の体が奇妙にゆがむ。
 シーツはたちまち血に染まる。

 ドクン…

 胸に何かが注ぎこまれるのを感じた。水ではない何かエネルギーのようなものを。
悪寒がした、気付いてはいけないような気がした。
しかしある予感が男をとらえていた。
まさか、あれは。あの無数の蔓は…もしかしたら
半分泣き笑いのような表情を浮かべて、男は己の下半身をみた。
鼓動がはやまり気味の悪い汗が背中をつたいおちた、そのとき男は見た。

今、女を食いつくしている奇怪な蔓の根はすべて、
自分の男根から伸びていた。

何かを飲み下すように、ドクン、と蔓が波打つ。
耳のすぐ脇で、心臓が動いているようだ。鼓動が聴覚を覆う。

蔓が飲み干す振動とともに、ヘイドレクの筋肉が呼応するように隆起する。

人間から栄養を取り込んでいるのか…?!

言葉もでなかった。体を動かすこともできなかった。
ただ震えながら自分の《蔓》が女を食い荒らすのを見ているほかなかった。
部屋の壁に背中を押し付けたまま、ひきつった笑いをうかべた。
瞬間、ヘイドレクはその場に嘔吐した。


夜明けとともに逃げるように宿をでる。
女の死体はもはや残らなかった。あるのは血まみれのベッドだけだろう。
ヘイドレクは昨日一日のうちにもはや自分が人間でなくなってしまったことを感じた。
なんのために、誰が? 世界樹とは何だ、母に何があったのか?
胸のうちに去来する謎のこたえを、知りたい。
知らなくてはいけない。

彼はかつて兵役のために辿った王都への道を、またのぼる。
王都にいけば何かわかるかもしれない。あそこには様々な国から訪れた者たちが来ると聞いたことがある。
かすかな希望にすがるつもりで男は歩き出した。
一晩でひとまわりも大きくなってしまった体を黒いマントで隠すように覆って。

58名無し物書き@推敲中?:02/12/16 22:28
これからちゃんと>>6に繋がるのか不安…。

王都へ向かう道すがら、ヘイドレクは夜ごとに宿を取った。
そして夜ごと、劫苦に苛まれた。
夜半、幾度となくヘイドレクは絶叫した。
首飾りから怪異が、まさに怪異としか呼べぬ何かが流れこむたび、
ヘイドレクの肉は、筋は、骨は打ち震え、泡立ち、ざわめき、膨れあがった。
だが、五体を捏ね潰すような痛みの中でヘイドレクを叫ばしめたものは、
血と臓物と排泄物をぶちまけ、ひしゃげ落ちる、
老婆の変貌する母の生首であった。

ヘイドレクは王都へと歩き続けた。
一縷の望み、それを追うように、また恐怖の幻影に追い立てられるように。
夜を繰るごとに魁偉に、歪つに変容しつつある肉体を引きずり、ヘイドレクは歩き続けた。
 また名も知らない町に辿りついた。
 睡眠もろくに取れないヘイドレクの眼は落ち窪み、目は深く陰鬱な光を秘めたものになっていった。
 頭からすっぽりと覆う黒いマントの存在に、通り過ぎるものは皆、畏怖を抱いた。
 しかしヘイドレクはそれらを気にする余裕はなかった。
 ただズキズキと傷む、もはや自分のモノとは思われない体と、耳に残響する母の声に追い立てられていた。
 女の奇怪に歪む音。
 老婆の生首が笑う声……。


「ヘイドレク」

 ビク、と肩を揺らして男は足をとめた。
 名を 呼ばれた気がした。自分でも忘れかけていた名を。
 次の瞬間、ヘイドレクは後ろからマントを引っ張られるのを感じた。
 早鐘のように鼓動が体内に響く。
弾けるように振り向いた。
 引っ張っていたのは、焦げ茶色の髪を後ろで束ねた、ひょろっとした背の青年だった。男の反応に驚いて、ネズミのように飛び上がっている。
 その青年をみて、声を漏らしたのはヘイドレクだった。
 張り詰めていた表情がほんの少し、歪む。
「ヘイドレク…じゃないのか?」
 びっくりしたせいか心臓をおさえつつ、焦げ茶毛の青年が、もう一度、呼んだ。
 マントの下の顔をうかがうように。
 男は一瞬どうして声を出すのか思い出せなかった。ここ数日、外の声を出してなかったので。
「……ぅ …ジュ オ…ク?」
 こげ茶毛の青年の顔に笑みが一気に広がった。
62名無し物書き@推敲中?:02/12/18 17:05
>>61
× 外の声
○ うめき声以外の声

スマソ。
「やっぱりお前だ!ああ良かった、人違いじゃなくて」
 満面に笑みをたたえているこの青年は、彼の友人に間違いはない。男は兵役で王都へ連れて行かれて、そこでジュオーク、この鳶色の毛の青年と出会ったのだった。
 年はヘイドレクとほとんど違わない。
 物事を楽天的にとらえるジュオークといると、ヘイドレクは過酷な兵役のなかでも笑っていられた。それは自分が苦しみに埋もれてしまわないためには大切なことだった。
「なんかデカくなってないかい?いいな成長期ど真ん中だな」
 ジュオークはケラケラ笑いながら明らかに兵役のころよりも二周りは大きくなっているヘイドレクの背をたたいた。
 相変わらず手加減のない叩きっぷりだ、とヘイドレクは久々に温かいような気持ちとともに苦笑した。
「元気 そうだな」
「俺はな。お前は死にそうだなあ」
「ああ、ちょっとな」
「影が薄くなってるぞ。まぁ来いや、どうせ宿に泊まるんならうちに泊まれよ。小さいがな」
ジュオーク。
こいつに会うのは、何年ぶりか。
ヘイドレクは記憶を巡らそうとしたが、過去の残像は霞の向こうに朧に見えるのみであった。
忘れた?思い出せない?
心臓が脈打つたび、血液とともに全身を流れ伝う鈍い疼痛は、
ヘイドレクの思考や記憶、感情というものをあからさまにこそぎ落としていた。
しかし、それでも思い出せることはある。
かつてヘイドレクは傭兵として、この男ジュオークと足並みを揃えた。
剣を振るうよりも、得体の知れない手品じみた<魔術>とやらに惹かれ、
<炎の剣>とかを作り出してけらけら笑っていた男。
その屈託のない笑顔で女はおろか、強面で鳴らす古株の傭兵にも可愛がられた、子供のような男。
そして、珍妙なまじないで俺を始終驚かせ、その度拳固をくれても懲りようとしない、人なつっこい男。

「久し…ぶりだ…な」
声が出た。幾分しゃがれてはいたが、ヘイドレクの喉は主の支配を受け入れていた。
6564:02/12/18 18:22
かぶりスマソ。64はボツ。
続きがあるならそのまま続けてよいので輪?
かぶっても(・∀・)ナカナイ!
6764:02/12/18 19:07
んじゃ、>>63に続ける感じで。元々心理描写だからなんの進展もさせてないし、64。


 ヘイドレクが足を踏み入れただけで、ジュオークの部屋は小さくなった。歩を進めるたび、ぎいぎいと床板が悲鳴を上げる。
「やめたほうがよくないか?壊れそうだぞ」
「木ぎれ引っかぶって寝るのもいいぞ。あれが案外あったかくって、なあ」
 無責任にジュオークは笑う。笑顔はヘイドレクの心に暖かいものを残したが、同時に心臓の鼓動は一抹の不安を寄越していた。

 あの夜。
 女を引き裂き、喰らい尽くした夜。
 あの夜以来、ヘイドレクは眠りの傍らに人を置いていない。
 いかな苦悶に苛まれようと、ヘイドレクは孤独を保った。
 再び、あのおぞましい木の根が俺から伸び、隣人を粉砕したら?
 その隣人が、気のおけない友人だったときには?
 背後から忍び寄る絶望の記憶が、ヘイドレクに今すぐここから出て行けと命じていた。

「ところで、だ」
 いたずらを思いついた顔のジュオークが、寝台脇から酒瓶を取り出した。
 ポート・ニースの7年もの。かつてヘイドレクとジュオークと、その他顔も思い出せない戦友たちと日ごと痛飲した、懐かしい酒だった。
「せっかく逢えたんだ。再会を祝して、一杯やろうぜ」
68名無し物書き@推敲中?:02/12/18 20:33
>>67
俺は>>59はあれから毎晩食ったと読み取ったんだけど、
やっぱり食ってなかったのかな?

でも
>>夜を繰るごとに
って書いてあるんだよねえ・・・うむむどっちなんだ?

それと>>ALL
単に兵役に行ったのと、傭兵だったのではかなり
能力に差が出てくるから、ここんところはっきりさせようぜ。
人を喰ったのはあの晩だけで、
あとは夜は悪夢やら痛みやらが襲ってきてるのかなと思ってるがどうだろう。
7064=67:02/12/19 02:42
>>68
「傭兵」はポイしてください。>>25より、軍に徴兵されたと解釈するのが妥当。

>>59は、喰ってないんじゃないかと判断しました。精神負荷で吐いてますし。>>69に同意。
 窓の外は赤く染まりかけ、夜の訪れがもうすぐであることを告げている。
 差し出された酒瓶は窓からの光で赤い影を作っている。
 その赤さが、ヘイドレクの胸に苦い恐怖を湧き上がらせた。
「…どうした?黙っちゃって」
 不思議そうな顔をしてジュオークが首をかしげる。
「……いや、酒はいい。悪いが、俺は別に宿をとるから…」
 頭に響く鼓動の中で、やっとそれだけを口にして、ヘイドレクは顔をそむけた。
 ジュオークは眉を片方だけあげた。
 不可解なことがあったときのこの男の癖だ。
「そうか?俺のうちなら気にしなくてもいいよ。まぁお前の立ってる位置の木の板が湾曲してるのは認めるけどな。だが、そのせいで壊れたって弁償しろとは言わないって」
「…… そうじゃ ない」
「あ?」
 

「じゃぁ何だ?どうした?」
 何も知らないジュオークの、ただ再会だけを喜んでくれている口調が、胸の湧き上がる不安を増長させる。
「……夜は…」
 

  夜ハ 俺ハ人間ジャナクナルンダ
  オ前ヲ殺シテシマウカモシレナイ

 血管が鼓動にあわせて、あらゆるところで笑うように浮き上がる。
 しかしマントの下だ。ジュオークには見えない。
「夜は?」
 ヘイドレクはいたたまれない気持ちで、友を見た。
 黙っていることしかできなかった。
 話せばなんと言われるだろうか。その言葉を言われるのは分かっていた。
 でもこの男の口からその言葉を聞くのは嫌だった。
 わかっているのだ自分が既に、『バケモノ』だということは。

 黙ったままでいるヘイドレクに、友は肩をすくめると、卓にポート・ニースを置き、呟いた。
「……夜は、自由だ」
「…?」
「お前が人知れず踊っていたって、自由なんだ」
「……は?」

 友はすべてを察したように、深く頷いた。
 ヘイドレクの肩を労わるように優しくたたく。
「俺に気兼ねなく踊りたいんだろ?」
「…待て別に踊ってな……」
「さすがにお前が踊ればこの家の維持は絶望的だ。そういうことだな」
「全然違う」
「そうか…」
 微妙にかみ合っていない会話に、もう一度ゆっくりとジュオークは頷いた。
「じゃぁ泊まれなくても酒は飲めるだろ?」
 あの会話で何を納得したのか分からないが、友人の深い追求をうけずにすんだことにヘイドレクは安堵した。
 相変わらずジュオークの突拍子もない言動に当惑したものの、緊張がほぐれてゆくのを感じた
木をくりぬいたような質素なコップに、軽やかな水音をたてて酒が注がれる。
 ポート・ニースの透明な水面にうつる自分の顔を、ヘイドレクは覗き込んだ。
 その様子を、静かな眼差しでジュオークが見守っている。
 窓の外は夜の闇が満ち、部屋の中をちいさな洋燈が照らし出す。

「国王は発狂したそうだな」
 その言葉にヘイドレクはつと顔をあげた。
 ジュオークは口元に酒を傾け、淡々と続ける。
「月蝕の終わりに溺愛していた姫が死んだらしい。死因は知らないが。それで本格的におかしくなったらしいな。今、王都は大騒ぎだろうよ」
 紡ぐ言葉が見つからず、ヘイドレクは俯いた。
 そうか、狂ったのか。
「もとから狂っていたよ。あちこちの小国を侵略して、そこで捕まえた子供を城に連れて行って、城で食ってたらしい。人間の子供をだぞ?月蝕は滅びの印だというが、結局世界はなにも変わらないしな。滅んだのは王の精神だけ、か。あはは傑作だな」
 ジュオークの瞳は口元に反して、いたく静かだ。
 王が狂うのは勝手。しかし、
「残された国民は、どうなる」
「さあ、ね。今更俺たちの知った事じゃないよ。軍事力を象徴する国王、政治の中枢である王家、
その両方が消え失せたんだ。せいぜい貴族連中が後釜争いの真っ最中だろうさ」
 ジュオークの言葉は重く、辛かった。
 そうか。
 俺たちの滑稽な戦争も、滑稽な結末と共に終幕か。
「ヘイドレク」
 ジュオークが言った。始終浮かべていた笑み、今も仮面のように貼り付いていた笑みが消えた。
「王都に向かう気か?ならやめておけ。あそこは今、内憂外患の見本市みたいなもんだ。
周辺国家の侵略は連中が分割占領について妥協さえすればすぐにでも起こるし、併合された
都市国家の残党はもう兵を挙げている。残った連中は何も見ずに政争で手一杯。屋台骨からして
ガタガタだ」
「そうみたいだな」
 コップから喉に流れ込む酒が熱い。
 水面の自分の顔が不安げに揺れている。
 言葉を切ったままのヘイドレクを、友人はコップを口元に当てながら
じっと眺めていたが、ふと話題を変えるように明るい声音で切り出した。

「ところで、家族は無事だったか?あの土産の反物はどうした。母君は喜んでくれたか?」
 ポート・ニースの水面に波紋がたつ。
 コップを握るヘイドレクの指が、押さえ切れぬ衝動に震えた。
 喉の奥が焼けるように熱い。言葉が焼けてしまってでてこない。
 脳裏をあの映像が駆け抜ける。

 ごぼごぼと血の湧く首のない母の胴体、排泄物からくる耐え難い悪臭。
 赤く染まってゆく、根の生えた体。

「母は……」

 嘔吐しそうになって慌てて口元を押さえ込んだ。
 血管の中を再び異物がめぐりはじめた。指先が震える。
「……母は、死んだよ」
 ヘイドレクは苦痛に叫びだしたい気持ちで胸の首飾りを押さえ込んだ。
 頭の中で、どくどくと血管が騒ぎ始める。
「死んだのか……」
 静かにそういうジュオークの声がかすんで聞こえる。
「ああ……」そう言うとともに立ち上がった。
 なるべく不自然ではないように、マントの下の根のように浮き出た血管を
気取られないように。
「どうした?」
「…酔ったよう…だ。すこし、酔いを…」
 そこまで口にして、ヘイドレクは凍りついた。何気なく振り返って視線に収めた、コップ片手のジュオーク。
 その背後に伸び、のたくり、這いずる、一本の木の根!
 ヘイドレクは知った。
 俺は、ジュオークを喰おうとしている。
 俺は、ジュオークを喰わされようとしている。
 其れを知った今、迷いはなかった。立ち上り始めた痛みも霧消した。
 ヘイドレクは無造作に右手を伸ばした。マントがめくれ、節くれ立った瘤の目立つ二の腕が露わになったが、もうどうでもよかった。
「な、なん…」
 ヘイドレクはジュオークが驚く暇も与えることなく、ジュオークの胸ぐらをむんずとひっ掴むや、窓の外へと放り投げた。
 木枠がへし折れ、悲鳴と言うより当惑の叫びが長く伸び、次いで鈍い音と怒声が響いた。
 ヘイドレクは動かなかった。否、動けなかった。
 既に室内は、異質の気配で充満していた。
 まさにヘイドレクその人の、そしてヘイドレクのそれと明らかに異なる気配とに。
 既に部屋の大半を浸食していた木の根の数々は目前で獲物をかっさらわれたことに怒気を表し、その矛先を当の宿主に向けていた。
 木の根はヘイドレク自身から発していた。爪先が、5本の指が、踵が無数に分化し、延長し、異化されて、室内を覆い尽くしていた。
 人を喰らう為にあり、それをなす為に己をすら喰らう。今のヘイドレクは、まさに化物であった。
 ヘイドレクはそれを認識していた。否、認識せざるを得なかった。 苦悶と恐怖、そして血の惨劇と涙と吐瀉物。
 それらが拭いがたく、ヘイドレクの精神にこびりついていた。
「くそ…なめんじゃねぇ」
 ヘイドレクは深く深く息を吐いた。
「仲間売って生き延びる奴なんざ、兵隊失格なんだよ!!」
 不敵に笑い、見得を切るヘイドレクの四肢を、無慮数万の根が貫き、引き裂いた。
「があああぁっ!!」

 宙を舞い、やがて地に墜ち、したたかに腰を打ったジュオークは反射的に湧いて出た罵声を口にしようとした途端、言葉を失った。
 ジュオークが投擲された窓から、洋燈の光が漏れていた。
 光は影を生んでいた。
 その影こそ、ジュオークを顔色なからしめたものであった。
 腕、はたまた触手のような、得体の知れない無数の影。蛆の大群がうねくるような、おぞましい吐き気を催す蠢き。漆喰の壁を貫いて生え出る、その力。
 呆気にとられる、と言ってもいい。ジュオークは半開きの口を閉じることも忘れ、憑かれたようにそれに見入っていた。
「なん…なんだよ…」
 奇妙なまでに力の抜けた声が、ジュオークの喉から漏れた。それはジュオークの精神が示した、精一杯の抵抗であったのだろう。
 が、友の怒声と苦鳴、そして宙に吊り上げられた筋骨隆々たる男の影絵を目の当たりにして、ジュオークの心の奥底で何かが断ち切られた。
「なんなんだよ」
 ジュオークは形なく沸き上がった感情、怒りや恐れや哀しみや不安がごた混ぜになって吹きこぼれる理不尽な感覚を、
「なんなんだよ、一体っ!」
 喉の奥から、腹の底から、心の澱から投げ捨てるように絶叫した。

 叫ぶともはや言葉は空になってしまってでてこなかった。
 カタカタと歯が情けなく触れ合って音をたてる。
 気味の悪い汗が皮膚からふきだしてゆくのを感じる。
 ジュオークの視線は完全に、室内の異様な影に釘付けになってしまった。
「おい待て待て待て待て……」
 呟きはむしろ自分自身の動転を抑えるためにこぼれた。
 起こった現実が本当にリアルなのか咄嗟にわからず、あらゆる思考を発動して
物事を脳裏で整理しようと図ったが、いかんせん混乱している頭ではうまくいかない。
 その時、ヘイドレクの叫び声がジュオークの意識を正常にした。
「ヘイドレク!!」
 戦友が死ぬ。ジュオークはそう判断を下した。
 ならば助けに行く、というのが彼だった。彼は立ち上がろうとした。
 しかし腰が抜けていた。



 身を刺す壮絶な痛みの中で、なかば意識を失いかけていたヘイドレクは友の声を聞いた。
  だめだ…来ないでくれ……
 音を成さずに、警告はただ唇の動きのみで終わる。
 ギギギ、と噛みしめた歯が鳴る。腸の煮えるような悔しさともどかしさに、顔の筋肉がひきつる。
 張り巡らされた木の根で、洋燈の光がさえぎられ、薄暗くなってゆく中、ヘイドレクの悲痛な叫びは、
痛みの中に声にならない。
  やめろ
 自分を貫く無数の木の根の流れが、破られた窓枠へ向けられたのを感じた。
 窓枠の外は夜の闇が覆ってみえない。奥を見るにはもう洋燈は用をなさなくなっている。

 しかし、その奥には友がいるのだ。
 

 丸腰で立ち向かうわけにもいかないと判断し、壊れた自分の家の木片を武器に、
 ジュオークはたどたどしく立ち上がった。
 両の手でしっかりと木片を握り締め、いつでも撲殺してやるつもりで家に近づく。
 ランプの光が薄い今、家の中がどうなってしまっているのか見えない。
 ただヘイドレクの血を吐くような叫びが聞こえる。そして何かが締め付けられてゆくような嫌な音。家の軋んでゆく悲鳴。
 それがジュオークをかきたてた。じりじりと歩を進める。
「待ってろ、今行く。今、行くから待ってろ……」
 何度も 言い聞かせるように呟いて、一歩一歩近づいてゆく。
 

 木の根に身動き一つできない。友人は着実に来るだろう。自分はどうすることもできないのか。
 木の根が血管の中に入り込んでくる。そして血管から外に出てゆく。
 既に自分の体はこのバケモノに支配されている。顔の筋肉が、木の根の侵入とともにピクピクひきつる。
 白くなるほど握り締められた、怒りに震えるコブシから、根が伸びてゆく。
 声にならない声で男は叫び続けた。
  来るな  来るな  来るなぁぁぁぁぁ 

「…………ぁぁぁああああ!!!」

 矢じりのように鋭利な根が、搾り出された叫びと同時に一斉に窓枠へ向かった。
 その向かう先に、恐怖に眉をしかめたジュオークの顔がある。
 矢のごとく、飢えた獣のごとく、根はその顔に喰らいついた。
 はじめに衝撃があった。
 ジュオークは自分の顔に無数の石が投げられたように思った。
 その衝撃で後ろに倒れながら、石が顔に食い込んでいるように思った。
 次に火を当てられたような激痛の波が、一気におしよせた。
 左からの視界で、家からのびてきた無数の縄のようなものが自分に伸びているのが分かった。分かるや否や、彼はつま先から一気に恐怖が流れ込んで、彼の頭を埋め尽くした。
 彼は無意識のうちに絶叫していた。
 あの晩と同じだった。
 怪根が友から養分を吸い上げる振動が、じかに響いてくる。
 同時に、身体のあらゆる筋肉が、応えるように肥大してゆく。
 自らの根に吊り上げられ、手足は虚空をもがくばかりで、叫び声さえ出てこないのだ。
 息もできないほどの怒りで無数の血管が浮かび上がる。
 手を絡めとる根の力にある限りの力で反発しながら、容赦なく食われてゆく友に、手をのばす。
「…やめ…ろ……」
 ジュオークの口からほとばしる叫びが耳をつんざく。
それは彼の精神をむしった。


   我 ガ 破 壊 者 ヨ 


 この状況下の中で、彼はあの日(>>28-45)の風景を再び思い出した。
 彼の母を使った何者かは、あの日彼に向かって言ったのだ。
 『我が破壊者』と。自らを滅ぼす者だということか。
 ならば。

「今…壊してやるぜ……」
 身を焦がすほどの怒りをすべて注ぎ込み、渾身の力をこめて彼は左手を振り上げた。
 いくつかの木の根がぶちぶちと引きちぎれる。
 その振り上げた拳の先にあるもの、
 もはや光を落とす隙間もないほどみっしりと木の根に覆われた ランプがあった。
 まだ火はついたままだと、ヘイドレクはわずか零れる光で知っていた。

「焼けろ」

 全力を乗せた拳が、ランプを覆う木の根ごと、ランプのガラスを砕いた。

 覆いを失った火は根にその手を伸ばした。
 そしてその瞬間、まるで生き物のように根は、その火を避けるように身をくねらせた。
 洋燈から一斉に木の根が、慌てて手をひっこめるかのごとく退く。
 支えを失った洋燈は、そのまま床に落下し、床にひしめく根の上に油をぶちまけ、またたく間にその火をのり移らせていった。
 火が舐めるように根の表面を伝ってゆく。
 根は怒り狂ったようにうねり、その巨体を壁にぶつけ始めた。
 まるで動物が火を突きつけられて必死に逃げようと壁を掻く様に似ていた。
 そして根はものすごいいきおいで収縮をはじめた。
 ジュオークに群がる根もすべて一瞬にして退きはじめた。


 身体が焼けてゆく激痛の中、ヘイドレクは口をひきつらせた。
 笑いたかったのかもしれない。
 初めてこの怪物を意のままに、支配下におけたという喜びが胸のうちを駆け抜けたが、それは一瞬だった。
 根の収縮とともに宙に吊り上げられていた身体が床にたたきつけられる。
 打撲の痛みと、根が身体を引き裂く痛みとは違う、焼け爛れるような苦痛が全身を覆う。
 そして根が自分の血管の中へ、急速に収縮してゆく違和感ともいうべき奇妙な感触がした。

 炎が部屋の木材に燃え移りやがてその身体を増幅させていった。
 根のために荒らされた部屋は火が燃えひろがるにはかえって好都合だった。
 火は恐るべき速さで家屋を炎に包んでゆく。
 友の部屋が燃える…、友…、ハッとヘイドレクは目を見開き、弾かれたように窓枠へ走った。
 
 動くたびに千切れんばかりに痛みの走る身体を引きずって、なんとか窓枠までたどりついた。
 壁にすがってやっとのことで外へ身を乗り出すと、炎に照らされて、血溜りの中に浸かって俯けに倒れている、ジュオークの姿が視界に飛び込んできた。
 ヘイドレクの血の気が一気にひいた。手足が急速に冷えてゆくのがわかる。
「ジュオーク!!」
 自分の身体もぼろぼろになっているのを忘れてヘイドレクは駆け寄ろうとした。
 だが、いきおいを支えきれず倒れこむ。
 頭上でぱちぱちと火の粉をあげながら、炎は家を飲み込んでいく。
 みしみしと木材が音をたて、ヘイドレクの後ろで崩れ、轟音とともに家は崩壊をはじめた。
「ジュオーク、ジュオーク!!」
 必死に名を呼びながら友を抱き起こした。
「………!」
血にまみれたジュオークの顔は、木の根に食いちぎられ、肉片がでこぼこになっていた。かろうじて右半分は原形をとどめていたが、もはや左は壊滅的だった。
左の眼孔はぽっかりとその口をあけ、その中に深い深い闇だけがある。

言葉が驚愕に喉を押されて出てこない。
ジュオークの焦げ茶色の髪が、血に濡れてぽたぽたと雫をたらす。
友の顔に触れようと手を伸ばしたが、ぶるぶると震えてうまく動かせない。
ヘイドレクの耳に大勢の人の叫び声が聞こえた。向こうに松明のあかりで、赤い点が連なる。
この炎に、町の者が異変を感じてかけつけてきたのだろうか。
ジュオークの家が町から少し離れていることが幸いした。火は大して燃え広がらないだろう。

ゆっくりと無数の炎が近づいてくる。

ドクン……

鼓動とは違う何かが身体の中に響いた。
まるで信号のように確かに、ヘイドレクの中に危険だという意識が満ちる。
また再び、化けものが息を吹き返そうとしているのか。
ジュオークの身体を抱えて、炎の被害の及ばないところへおいた。生きているという望みは薄かった。だが生きていて欲しかった。
ヘイドレクの眉が、苦痛に歪む。
木の根に破られ、穴が開きほとんどボロキレ同然のマントを被って、
逃げるように、彼は町のうらの森へ急ぎ身を消した。
夜の闇だけが協力的に、彼を人の眼からそっと隠した。
ロクに推敲してない……スマソ。
なかなか意欲をそそられるスレなのはいいとして、
他に見てる人いるんかフアーン。
 一切の光が去った。
 天を焦がす炎の照り映えも、星々のかけらがこぼす輝きも、ここにはもう届かない。
 鬱蒼と茂る梢が、ヘイドレクたちを包み込んでいた。
 重々しく天を覆う木々は、物言わぬ庇護者の抱擁であった。
 自身も血にまみれ、ふいごのように荒い息を吐きながらも、ヘイドレクは身動き一つしないジュオークを下生えに横たえた。
 がひゅっ。
 咳き込む音がし、液体がヘイドレクの頬に跳ねた。ぬるりとした感触、そして鉄の臭い。
 ジュオークの血だった。
 喉の奥で血の泡が転がる、ごろごろと響く音が、ヘイドレクを僅かに安堵させた。
「死ぬな…死なないでくれ」
 ヘイドレクは糸のように細いジュオークの呼吸音を聞き逃すまいと、耳を凝らし続けた。
montage
96名無し物書き@推敲中?:02/12/24 20:47
なんか他に読んでる人の感想が聞きたいです…。
おもしろいのかおもしろくないのか…。
もっと濃い文章がいいのかな。

あと、女の人が登場するのは荒れる元でしょか?
妹とか…。
97名無し物書き@推敲中?:02/12/25 00:10
>>7 激ワラタよ、腹いてぇ
98名無し物書き@推敲中?:02/12/26 22:54
おもしろいYO!!
かなり独特な雰囲気を作れてて、
俺は大好き。
99名無し物書き@推敲中?:02/12/26 23:10
YAー!
ちょい長いけどサイドストーリー作ってみたYO
100別視点のお話:02/12/26 23:17
 暗く冷たい空気の満ちる長い長い回廊に二つの足音が響いている。
 ひとつは軽い音をたて、ひとつは前者よりも重くしっかりとした足取りである。
 双方ともひどく急いているのか、音の間隔がひどく短い。
 闇の中を、一点だけぼかしたような明かりが、音に合わせて移動してゆく。
 光源である美しく装飾されたランプを持つ細い指。
 ランプの光はその白い手を縁取る白いレースを映しだす。その紺のドレスをまとった女性が、先方を後方からくる足音を導くように足早に歩いている。
 しかしひどく慎重だ。
 なぜなら彼女の歩くその場所は、騒音を立てるべき場所ではない。
 複雑な幾何学模様をあしらった大理石の床に、通り過ぎる二人の影がはっきりと映る。
 双璧には繊細な図柄が施され、一定間隔におかれた猛禽の彫刻は今にも息を吹き返しそうに感じられる。
 ここはヴィルム城の回廊。王都ヴァイエンジルークの中心地であり、レンプロクト王国の心臓。
 国王の勅令が発せられる場所であり、先の国王が幽閉されている城である。
101別視点のお話:02/12/26 23:18
 先方をゆく女の眉間に暗い不安が落ちている。
 頭部の尖塔帽にベールがかけられ、それが女の細い顎を覆っている。
 やがて足音は回廊の突き当たりで止んだ。
 重く荘厳な扉に、女が細い指をかけ、ゆっくりと力をいれて開く。
 扉の唸る声が、回廊にこだまして増幅され、恐ろしい地響きのように耳に届く。
「こ、皇后……皇太后様がお待ちでいらっしゃるはずです」
 女は後方を振り向いた。白髪の豊かな顎鬚を蓄えた老人が、ゆっくりと頷く。
 老人は胸から円錐上の首飾りをつけていて、黒いローブをまとっている。
 急ぎ足で疲れた心臓を落ち着かせるために一度深く息を吸い、細く長く吐いた。
 部屋の中へ足を踏み入れる。暗い部屋だが、床に炎の陰が映っている。
 案内をしてきた老人に頭を下げ、女は眉をしかめて、最初と同じようにゆっくりと扉を閉めた。
102別視点のお話:02/12/26 23:20

 部屋の中はひどく暗かった。
 それでも老人は光源のほうへ、忍び寄るように歩を進めてゆく。
 心臓が高鳴った。この老体にそれは痛く響く。
 やがて部屋の中に唯一輝く赤いランプのもとに女性が佇んでいた。
 金の縁取りのされた美しいドレスをまとい、二股に分かれた尖塔帽から黒のベールをかけた秀麗な姿。
 皇太后、先の王の后である。今は皇太子が急遽王位を継ぎ、皇太后となった。
 老人はその優艶な相貌に陰鬱な影を落としている皇后のもとへ駆け寄った。
「どうなさったのですか。陛下は……?」
 皇太后は視線を床に落とした。
 その白皙の頬が少しこけたようだ。睫毛がうっすらと陰をおとす。
 老人は部屋を見渡すようにキョロキョロしながら、ひどく狼狽しながら続けた。
「……何故幽閉など…、それにヘイア王女はどうなさったのです?最後に拝見させていただいた時はご病気などしそうにありませんでした」
103別視点のお話:02/12/26 23:22

 王妃に向き直り、問い詰めるように続ける。
「私が城を離れている間に何があったのですか?あの月蝕の終わりに何があったのです?」
「……そういくつも質問を並べないでください。わたくしも俄かに信じられないのですよ」
「も、申し訳ございません」
 慌てて頭を垂れて引き下がる。王妃は静かに部屋の奥へ歩き始めた。
 奥の間は天蓋から厚い天鵞絨のような生地のカーテンが垂れていて見えない。
「先生にはまず見て頂きたいのです。口頭で申し上げるにはあまりにも信じがたいことですから」
 
104別視点のお話:02/12/26 23:35
 
 王妃は伏し目がちに壁にある太い紐をひいた。
 カーテンが両脇に退き、部屋の奥が露になる。老人はそのおくへランプの明かりをかざした。
「……おおぉ…!!」
 思わず足が退いた。老人は目を見開いたまま、動けなくなってしまった。
 光に映しだされたもの。

 部屋中を縦横無尽に覆う奇怪な根の数々。
 そしてその中央にある根の根元、その樹塊こそ、先の王その人だった。

 悲愴な、今にも断末魔の声をあげそうな表情をしたまま、石化しているのか動かない。
 その腕の中に、金色の髪の毛が埋もれているのを、老人は見つけた。
「……ああ、あれは……!?」
「ヘイアですわ」
 驚愕に唇をわななかせる老人の後ろで、奇妙に静かな王妃が答える。
「なんと……!王女が……」
「娘を取り込んだままなのです……もうずっと…」
105別視点のお話?:02/12/26 23:37
 王妃は口元を押さえ込んで、か細い声で言った。
「私にも解らないのです。突然、ヘイアを抱きしめたあの人の身体から根がのびて……」
 老人は意を決して身体から根を生やし、根塊と成り果てた王をまじまじと見つめた。
 明らかにそれは樹の根であった。
「先生。どうか助けて……私はヘイアが叫ぶのを聞いたのです。あの子は生きているのでしょうか…」
「月蝕の終わりからもう数ヶ月たっています。王女がこのままだとすれば……申し上げにくいことですが………」
 老人の言葉が終わらぬうちに王妃は悲痛に懇願した。
「いえ、いいえ!生きているはずです。どうか救ってあげて……」
「……しかしこのような病は聞いたことがないのです。前例のない病には手の施しようがない」
「…そんな」
 崩れそうになる王妃の肩を、老人が慌てて抱きとめる。
 腕の中で、王妃は顔を覆ったままほとんど泣き声で訴える。
106別視点の…??:02/12/26 23:53
もうちょい続く。
一気にあげて寝ます。
んでしばらく傍観するに留まります。
107別視点のお話?:02/12/26 23:55
「このことは城の一部の者だけが知っているだけです。
王が突然消えたことで、城じゅうに発狂したという噂が流れました。私たちもその噂を利用して、この塔を封鎖したのです」
「ヘイア王女は…?」
「別の遺骸で葬儀を……」
「王子…現国王には……?」
「話していないままですわ。話せないのです……。あの子は父親を嫌っていました。陛下の……あの…忌まわしい習慣を知らないまでも感じ取って、嫌悪していたのでしょう」
 そこで王妃は言葉を切った。老人もしばらく何も言わずに天蓋を眺めていたが、ふと呟いた。
「…………皇后様、よくぞ耐えられましたね」
 その言葉に王妃は眉根をゆがめた顔をあげ、老人の顔をしばらく凝視したあと、こらえきれずまたか細い声をあげて涙を流した。
 その揺れる背を、皺だらけの手でさすりながら、老人は続ける。
「もはやこれは私の手には負えないでしょう。樹のことは樹を知る者に聞くべきです」
108別視点のお話?:02/12/26 23:57
「……誰か、いるのですか?」
「知り合いに良き樹学者がおります。樹のことを知り尽くしている男です。国王に取り付いている樹について知っていることがあるかも……」
 その言葉を敏感に感じ取り、すくっと顔をあげた王妃が急き込み叫んだ。
「その者を!連れてきてください先生、今すぐ。名は?!」
 しかし老人は困った表情をして視線を泳がせた。
「一刻を争う事態なのは重々わかっておりますが、その男は放浪癖があって、一定の地に長期間定まるということがないのです。幸い家はこの王都にありますが」
「名は?名はなんと?」
「カイザヘークといいます。若いですが、樹のことに関しては遥かに素晴らしい知識をもっている男です」
「国中に呼びかけましょう!!」
 叫ぶなり王妃は急いで立ち上がった。老人は慌てて付け足す。
「お待ちください。容易く見つかる男ではありません。あの男のいくところは森の奥深く。人の立ち入らぬ場所がほとんどです」
「じゃぁどうしろというの?!」
 ヒステリックに叫ぶ王女を宥めるように、老人が続ける。
「ですから! ……ガルグ(鷹の一種)を一羽放つのです。伝令をつけて。恐ろしく眼のいい彼らは空からでもすぐに見つけるでしょう。
幸いにも、私は彼の特徴を熟知したガルグを持っています。今夜じゅうに放ちましょう」
 王妃はしばらく肩で息をして、悲しみに歪んだ表情を浮かべていたが、それを聞くと安堵したように肩を落とした。
 はじめて、王妃の口元に小さく笑みが浮かぶ。
「ありがとう、ルシュア先生……。本当に頼りになるのは貴方だけです…」
「勿体なきお言葉です。王専属の医者の一族である以上、私の全生命をかけて王に誠意をつくす所存です」
 深く深く頭をたれる老人の禿げかけた頭を、温かく王妃が見つめる。
 再び閉じられたカーテンの向こうにそびえる王の根塊。

 二人は気づいただろうか。
 根が僅かに脈打っているのを。
 そして王の後頭部から、皮膚を割って突き出た白い種子のような石を。
 それがヘイドレクの持つものと、まったく同じ形状であったことを。


110別視点の??:02/12/27 00:12
はい長々と。

ファンタジー議論スレの影響か
別視点もあったほうが世界が広がるかなーと思って書いてみた。思わず長かったけども。
面白いって言われるとリレーのし甲斐もあるってもんです。
じゃぁ本編?のほうがんばってくれ。楽しみにみてるYO
111名無し物書き@推敲中?:02/12/27 11:07
こういうジャンル初めてなので、気合い入れて読ませて頂いてます。
硬派でシビアな展開にいつも心臓を握り潰される思いをしてました。
(・∀・)イイ!
サイドストーリーまで出来てしまう辺り、
流れによる勢いを持ちながらも濃い話になりそうですね。
発想力&ボキャ貧困なのでROM専ですが草葉の陰からヒソーリ応援してます。ガンガレー
112名無し物書き@推敲中?:02/12/29 22:56
独特、硬派すぎて続かない罠。
しかし設定合わせをやると意外さがなくなってつまらんしなぁ。
どうするよ?
113名無し物書き@推敲中?:02/12/29 23:05
>>112
後付でつじつまを合わせて行くしかないですな。あんまり面白くない案では
自分が置いた設定、解決した伏線を文の終わりに並べる、くらい?
誰がどうつなげるか分からない、危うい面白さがコレの命ですからねー。
114名無し物書き@推敲中?:02/12/29 23:29
おもしろいの書いてくれてる人には本当に悪いが、
リレー小説であまり長文を書かれても続けづらくなるんだよな。
いや本当に面白いんだけどさ、長文で作品の味が固まって
来ちゃってるから、ひょいと気軽には書けないのよ。
そういう訳で、俺は本編の長文は出来るだけ遠慮してもらって、
長文書くならサイドストーリーって形を提案したい。
完結したサイドストーリーは本編書く人にも世界観の構築に役立つしさ。
どうでせうか?
115踊りドジョウ:02/12/30 00:26
無茶を承知でいきなり発言。いっそ本流スレ、サイドスレ、設定スレと
三本立てたら? で、設定スレはsage進行で行く。よほど特殊な人でも
無いと設定には目には付けないと思いますが……。
116無益なる彫像:02/12/30 00:46
「全く何だここは・・・」
ナイフを手にした少女は、一息ついて、構えを解いた。
周りには、急所を切られ、死んだ者。
そして、手や足を切られてのたうち回る者がいる。
すべて、男ばかりだった。
店のマスターは、呆然としたまま立ち尽くしている。
それは、店のバーテンダーも同じだった。
少女は、イスに掛けて置いた、黒く光を寄せ付けない、大きな布を取ると、
マントの様に羽織った。
「会計」
そうマスターに言う、
ワンテンポ遅れて、慌てたように、マスターは
「ああ、はい、・・・」
と店を見渡し、
「・・・いや、結構だよ。お譲ちゃん」
と落ち着いた声で言った。
少女は笑い、3Rt硬貨を置くと、
「女だと分った途端、態度を変えるんだな。この町では、大抵の男はこんなものなのか?」
マスターは苦笑し
「戦争が厳しくなってね。慰安婦が足りないからな。」
「前線にでもしない、臆病者達に、触らせるものは無いよ」
少女は、皮肉を吐くと、出て行った。
117無益なる彫像:02/12/30 00:47
えと、ファンタジー?ポイ世界観ってことで、許してくださると、
嬉しいのですが・・・・。
118名無し物書き@推敲中?:02/12/30 01:05
ハードファンタジーと銘打ってあるから、
ここくらいは強い女なんて萌え担当みたいなモンは
ださないで、淡々とやってもらいたいと言ってみる。
119karumina:02/12/30 03:31
むーん。
味付けの無い・・・・ご飯は通には美味しいと?
そういう事かいな?
炊き込みご飯に味濃すぎるものを混ぜると、台無しになるって感じかな。
121踊りドジョウ:02/12/30 05:44
和食をフランスパンで食べる感覚といってもいいですね。
期待される味付けが違いすぎて違和感丸出しって意味で。
122名無し物書き@推敲中?:02/12/30 11:32
それも新鮮
123名無し物書き@推敲中?:02/12/30 12:36
うん。ある程度はアリ。
124karumina:02/12/30 12:38
宮廷の昼食だった。 
119―121の食事が運ばれてくる。
>118
おうじょはいった。
「では、どうしろというのです?」
じょうおうはいった。
「では、どうしろというのですか?」
おうじはいった。
「・・淡々とやってもらいたいんだろう。」
おうさまはいった。
「淡々とやってもらいたいのであろう?」
じいはいった。
「淡々ではなく淡淡で意味は、しつこくないようす とこだわりのないようす という意味ですじゃ」
じいはつけたした
「電子辞書の検索結果ですじゃ、文句があるのであればカシオに言ってほしいのですじゃ。」
コック119は言う。
淡淡の意味を知った上で、しつこくない=ご飯 だが ツウ ならば、それだけで、美味しさが分るのかと、
そう言う意味かと思ったのだけれど。
だから、萌え=薬味(コショウとか塩)はいらないのかな?と解釈して、いった言葉。
萌えを塩こしょうととるか、グルタミン酸ナトリウムととるか、人それぞれだからね。
126名無し物書き@推敲中?:02/12/30 13:12
正直、萌え論争はファンタジ議論スレでやったほうがよい。

127名無し物書き@推敲中?:02/12/30 14:47
>>124
淡淡=ただのご飯とは違うだろ。
それは必要以上に萌えを評価してないか?おれは120の見解に同意。
118は、ハードと銘打ってある=ラノベみたいにはしたくない
という意味だと俺は思った。
128karumina:02/12/30 15:02
おけー。おけ。
萌えって人のかんかくだろ?
まあ、いいや。
ライト と ハードのさわなんだい?
この、わからずやにおしえてくれないか?
129名無し物書き@推敲中?:02/12/30 15:35
荒れそうな雰囲気がするからそろそろやめませう。
踊りドジョウ氏発見!

あからさまな萌えキャラってある意味、
作者の読者サービスみたいな感じがするから俺は嫌だね。
女剣士の何が萌えってそこからある程度、展開やら設定やらが見えてくる。
だが女剣士だって使い方によれば、すごい面白いと思う。

ライトは作者が読者に媚売ってるような小説じゃない?
魔法とか妖精だしてるよー面白いよーって。
俺はこのスレにはあんまり魔法とか妖精とか乱発してほしくないな。
そういや、「魔法はむやみに使ってはならんのだ」って見なくなったな。
あの奥ゆかしさがとても好きなのだが。
で、本編ってどうすればいいの?
書いていいのか?
例に漏れず少し長めの文章はもうダメ?
133無益なる彫像。:02/12/30 16:10
>131
同意。その通りですよ。
>130
そうか? ライトって電撃文庫とかでしょ?
ファンタジーの概念に繋がるので、やめるけど、
電撃面白いよ。
媚売っている奴 いるといえば、いるけどね。
てか、さ、俺の小説。
二つのお国があってな。
それが戦争しとるんだが、少女ってのは、片一方の第2王子なのよ。
で、魔法使い をつかって、逃亡する為に、性別反転の魔法を掛けられた訳さ。
まあさか、その魔法使いが、全てを企んでいたともしらず。
と言う ありがち パターン小説 の一部だったらどうするのさ?
134名無し物書き@推敲中?:02/12/30 16:13
それが全然面白くない人間もいるってわかってね。
135彫像。:02/12/30 16:19
ありがち、と言う事は、それだけ、それが、ヒットしたという事だよ。
ヒットしてない物の類似品なんて、誰も作らない。
面白くない人は、最先端な人か、少数派なのかな。
136ハード支持者:02/12/30 16:25
逃亡するために女になるその王子のプライドに疑問符。
そこらへんを曖昧にできないのがハードでない?
魔法使いにも疑問符。
魔法っていう曖昧なもので終わるより、知的攻防戦のほうが面白い。
女になって逃げるってのは面白いけど、
なんか女になってドタバタする先のストーリーが目に見えるようだ。
そこらへんが萌えなのか。
>>133
どこらへんに同意してんのかまったく謎。
女になって逃亡ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
変装して顔を隠してても町中見回ってる奴にいつ見破られてもおかしくない、
隠し通すか気付かれるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。ご都合主義は、すっこんでろ。
139名無し物書き@推敲中?:02/12/30 16:40
とりあえずイイ女出しとけ、って感じで出すのはやめませう。
140無益なる彫像。:02/12/30 16:59
138 と 136
しゃあないやン?
後で、とって付けた設定だってほざいただろうが?
>137

>「魔法は・・・・以下全てに対して、同意。
141名無し物書き@推敲中?:02/12/30 17:14
文章のお話に行こう。一案。一日にのべ四十行程度以上は我慢する。
あんまり多く作っちゃった時は冷蔵庫で取り置いて少しずつ出す。
どうだ?
142133:02/12/30 18:01
>>140
ああ、そうか。>>133の文意がまったく分からなかった。
>>166がそういう設定だったら、ということね。

143137:02/12/30 18:07
だー意味分からないことしちまった。
>>142の名前は137でつ。

だから、魔法はむやみに使ってはならないのだに同意してる割には
自分の小説の後設定に魔法使いがでてくるから、なんでかなーって思ったんだよ。
なんで?
そういうパターンに設定されたらショックだな、って意味?
144karumina:02/12/30 18:24
えと。
設定ではっ〜〜と。
国が戦争をしていて、王子が逃亡せねばならんほど ピーンチな訳ですね。
しかも第一王子ではなく、第二王子 
つまり、第一の王子が戦争に出向いて、父ともに死んでいるわけさ。
で、残るは、第二王子のみ そこまで、ピーンチな訳なんですよ?
むやみに使ってないと思うのですが?
楽な気持ちで、書いたのが行けなかったカナ。
>>144
なるほどね。
おれがその設定が嫌だと思ったのはね、
ファンタジーと銘うってあるから魔法使いを出すっていう安易さとね、
わざわざ乱世に女に化けるっていう無謀さに
萌え要素をみいだしたからかな。

っていうかこの場所で議論したくないんだよ。
場所かえないか?
146名無し物書き@推敲中?:02/12/30 18:55
何処にする?
147名無し物書き@推敲中?:02/12/30 19:07
ファンタジ書いてる奴逝けスレは?
ちょうど議論してなかったっけ?萌えとはなにかとか魔法とか。
148真に無益なる彫像。:02/12/30 21:12
本当に、いい人たちですね。
貴方達のような人がいるから、このレスがまともでいるんだ。
レスに変わってお礼を言おう。
ブギーポップ風。
で、そこでよいの?
149名無し物書き@推敲中?:02/12/30 21:20
おいでませー。
150名無し物書き@推敲中?:02/12/30 21:27
>>彫像サマ

貴方はまず主語と目的語をはっきりさせてから来ましょう。
ブギーポップがどうしたって?
151彫像。:02/12/30 21:31
148の言葉がよ。
ブギーポップ風だなぁと。
152150:02/12/30 22:57
俺かっこ悪いな。そういうことか、スマソ
153彫像:02/12/30 23:13
by つけけとけばよかった、と 後から思った。
自分でも、一瞬ハア?となったからなぁ。
漆黒の闇の中、
矢のような激しい雨が降り続いている。
その時、激しく、雷鳴が轟いた。
また、一段と、雨風が強くなった。
馬が草原を走っている、白い貴族用の白馬だった。
手綱は張られておらず、下に垂れている。
雷の光の中、白馬の上の黒い塊りが映し出された。
黒い塊りは振動の中、呟くように言う、
「雷が恐いのか・・・・悪いな」
白馬は答えず、上下の振動が黒い塊りをさらなる雷が映しだす。
黒い塊りは、馬の首にもたれかかっていた。
重い瞼を、薄っすらと開け、流れる景色を映す。
黒い塊りは、瞼を落とした、疲れているからではない、思い出す為だ。
暗い世界の中、老婆の高笑いが聞こえる、
あれは、・・・・・どれぐらい前の事だっただろうか。
昔から、城の一角に、立ち入り禁止の場所があった。
それが、まさか、魔女の住まう場所だとは、思いもしなかった。
場所を知ったのは、じい に父上と兄上が死んだと聞いた時だった。
城の中とは異質の空気の中、
光を吸収するかのような漆黒の服に身を包み、老婆が一人立っていた。
「・・・案外綺麗な部屋だな。」
俺は、ぶっきらぼうにそう言う。
老婆は、ニャリと笑い。
「えぇ。私以外にも、沢山いましたからね。」
部屋を見渡すが、
「誰も居ないぞ?」
「え〜え。それは、この国が滅ぶと、占いに出ていた者で、」
「くっ」
俺はナイフを抜くと、その切っ先を老婆の喉に、向ける。
じい はその二人をみて、おろおろするばかりだった。
「その為に、ここに入らしているのでしょう?」
部屋を見渡し、
156カタカタ・・鮭兵:03/01/01 02:22
「その為に、ここに入らしているのでしょう?」
老婆は顔一つ変えず、そう言うと、目をじいの方に向け、
「フェン・ラアワド・ナレジ この部屋から出て行っておくれ、ここからは、
代々、秘密にされてきた場所だぁよ。執事である アンタを入れることは出来ないのさ」
じいは、頷くと、俺に一度、軽く礼をすると、
「では、宜しく、お願いいたします。」
「ああ、そんな事 いわれんでも、分かっているよ。その為にここに住まわせてもらっているんだ。」
じいが、出て行くときに扉を閉めた途端に、完全に異様な空気に支配された。
鼓動が高鳴る。
目を俺に戻し、そして、皺だらけの頬がほころんだ。
「おや、流石に、王家の血か・・・反応しているね。苦しいんだね。付いておいで」
そう言うと、ナイフを無視して、ドアから右の面の壁を押した、すると、壁に筋が入った。
返し扉だったのだ。
「これを、隠す為に、薄明かりだったのか」
俺は妙に納得した。
老婆は振り向き、笑う、
「暗いから、気を付けな・・・すべって死ぬことはないだろうけどぉねぇ」
その首に、小さな、赤い筋があった。
血だ。
血だ。
やはり切れていたのだ。
俺はナイフの先を見てしまう、無論かすり傷なので、血は付いていない。
「何を驚かれているのです?」
俺は、はっとし、驚いていた顔をしたことに気付く。
「血が・・・・・」
老婆は笑いながら、ランプを手に取ると、火を点けた。
暗いこの部屋では、小さな太陽のように、火が眩しい。
「血など、・・・もう、どうでもいいのですよ。みんな、死ぬのです、貴方さま以外・・・。
さあ、敵兵がここにも来るでしょう」
そう言うと老婆は暗い穴のような階段を下りていく、
俺は、急いで、老婆の後に続く、そこは、部屋より幾段、臭いが強くなっていた。
俺は、すぐに老婆に切り出す。
「おい。みんな死ぬって・・・・降伏すれば、お前らは助かる筈だろ?」
少しの間が過ぎ・・老婆が思い出したように、口を開く、
「今から、貴方様を逃がします。そして、誰も口を開きません。そしたら、殺されるのですよ」
「・・・・魔術を使って、ヤツラを倒すのではないのか?」
「ヒィヒィッ・・・」
老婆は引きつったような笑い声を出すと、
「それはそれは、まんまと、フェンに騙されましたねぇ」
じい、は他の使用人の誰よりも信頼できる人物だった、だから俺はムキになった。
「そんな筈は無い。」
「では、全てが貴方様の為であったとするなら、それでも、ですか?」
「・・・・・・・・・」
「そうでしょう。それに、私達の魔術には、そのような力はありませんよ」
「なっ、お前たちは伝説にあった、魔女だろう?」
「なっ、お前たちは伝説にあった、魔女だろう?」
「伝説など・・かつての名ですよ・・・・」
「しかし、子孫なのだろう」
「子孫と言っても、儀式書・道具・を5代前の王がほとんど燃やしてしまったそうで。」
「・・・・それで、何が出来る?」
「ですから、貴方様を逃がす事だけですよ。」
「で、その結果、全員死ぬのか?」
「ええ、まあ、貴方様が、最後まで戦われても、戦われなくとも、敵はこの城に、火を放って、
全てを燃やす気ですからね」
「先ほどは、口を開かなくて死ぬと言わなかったか?」
「口を開かないものなど、敵が来る前に、自決するでしょうねぇ。捕まるのは、逃げていった者達、
ですよ。ヒィィヒィヒィ 知らないのに殺される・・・この世はあわれですねぇ、さあ付きましたよ。」
そう言うと、階段が終わった。
相変わらず薄暗い部屋だった。
「さぁて、貴方の姿を変え、そして、この城から、逃がします」
「・・・外に出れるのか?」
「ええ。 では、城の者も と言いたいのでしょう?でもねぇ。王子さま、貴方様には
厄介な、王族の血が魔力の力に対抗するのさぁ、だからね、貴方様一人分なのさ」
「なら、私だけ残る」
俺は、そう言った。
「あの扉は、こちら側からは開かないようになっています」
「・・・・・」
「では・・・・お姿を変えさせていただきますよ、そこの円の中心に立ってください・・・
ええそうです キヒヒィヒィ」
俺は、老婆の言葉に従い。
円の中心に立った。
円の中心に立った。
「tokikoenu 鏡の kilyouwokotouutsi 幽玄に somarisigarasinotikara ・・・・・・」
円の縁取りが淡く輝くと、俺の立っている中心にある、小さな円も同様の光を放つ、
すると、文字が浮かび上がり、空中に浮かび浮遊する、一方床にも、色々な大きさの
円と文字が複雑な幾何学模様を造り上げている。
「akemasite omedetou kotosiha イエソドたる地よ konosaki wasureta」
そのとき、老婆以外の声がした、その声は、暗闇の中で、言う。
「ははっ。流石だねぇ。まったく、同時に魔法陣を二つも出すとはさぁ?」
老婆の声は
「regahahmom kannrilroe バがコウィ・・・グガッ・・・・・・・・!」
老婆の声が、呻き声にかわり、増していった円の光が止まった。
暗闇の中、俺は目を凝らして、老婆を見る。
老婆の腹から、ギラギラと鋭い光が目に反射した、剣だ。
恐らくは、短剣だろう。
老婆ではない声は、こう告げる
「憶えているかい?あんたの娘が生んだ出来損ないの、孫娘の事を」
言い終わると、短剣が消えた。
老婆は、腹を抑えながら、ふらふらとよろめき、しかし、踏みとどまる。
「どうだい、私の腕は?一度では殺さないように急所を外したんだよ?」
老婆は、体中を小刻みに震わせていた。
「なっ・・何故じゃ・・なぜおる?・・・お前は、リイラにしまつさせた筈」
「ああ?母親にしまつさせるように言っただけだろ?」
老婆の目が見開かれる。
それを見て、笑うと、
「ばぁかだねぇ。流石は親子だ・・・」
そして、真顔に戻ると、
「魔法より、剣の方が早いんだよね。」
光が、弧をえがいた。
老婆は、後ろに崩れ去る。
それと、ほぼ同時にして、
それと、ほぼ同時にして、
老婆の後ろから、チッと下を打つ音が聞こえてくる、
光が増した円と文字が体の中に入ってくる。
床の幾何学模様が回転をはじめる。
「未完成の陣を強制発動 とはっ・・・・・落ちたものね。」
音がした風を切る音、聞きなれた音だった。
そう、剣が風を切る、その音だ。
そう思った時、右の腕に、痛みが走った。
「痛っ」
さっきまでは、なんでもなかったが、どんどん、体が重くなっていた。
これが、魔方陣の効果が効き始めている証拠たのだった。
「うふ・・・印はつけたわ・・・。逃げなさな。まあ、その不完全な陣では、
城の周りだろうケドね。アハハハハハ・・・・・・。あ、そうそう、三日ぐらいは、
貴方は、走ったり出来ないからね 王族の血は 魔力を弾く、でも、一度染みこめば、
麻痺させるの・・・・・。だからねここで、殺さないの。バイバァイ〜。」
そう言った瞬間。
光が弾けた。目の前が全て、白い空間の中にいた、と思った瞬間、真っ黒の闇になった。
目覚めた先は、馬小屋だった。否、正確に言うなら馬の上だった。
馬は俺に驚いたのか、走り出した。
人々の声がした、危機を感じた、動かない体を無理に動かし、
俺は、俺と馬との間にある、黒い布を引っ張り上げ、自分を隠した。
自分の体を軽く感じた、髪が鬱陶しく感じた。
だが、今はどうでも良かった。
ただ、この馬に揺られて走って、いれば、安全だという 思いだけだった。
サイドストーリーだったら、サイドストーリーだとどこかに書いて欲しい。
いっそメール欄でもかまわないから。
本編か?と一瞬おもっちった。
162名無し物書き@推敲中?:03/01/01 16:30
荒れそうだったけど、結構読んでくれている人がいるんだ……。
少し感動しかけた。
じゃぁ本編すこしできたので書きたいんですけど、長文はダメなんですよね…

>>141さんの意見を取り入れて一日40行以上はかかないという方向で。
リレーにむかない長文書きでもうしわけない…。
でも書きたいんです……沸くイメージを具現したいのです…。
でも自分だけの物語にしたいわけじゃなくて、誰かが手を入れてあらぬ方向に
変わっていくならそれも楽しいと思っています。
もう少しだけ。
163名無し物書き@推敲中?:03/01/01 17:59
僕もちゃんと見てるので頑張れ。思い通りにならないのも
現実だ。2chにも他人がいれば現実は滲み出る。でも頑張れ。見てる。
応援する人がいるのも現実だ。
164名無し物書き@推敲中?:03/01/01 18:11
>>163
ありがとうございます。
相変わらずの長文ですが、本編復活させてみました。

>>94からの続き

「死ぬな…!ジュオォ……クッ……」
 ジュオークの頭を胸に抱え込んで、ヘイドレクは祈るように叫んだ。
 こげ茶色の髪にべっとりとついた血。
 ヒューヒューと喉を通るたびに鳴る、か細い息の音。
 ついに恐れていた悪夢が現実となってしまったのだ。惨劇は起こってしまった。

 あのとき、本能が命じたとおりに、出て行くべきだったのだ。
 もっと自覚するべきだった。
 自分はもはや人間ではないことを。
 取り返しのつかないことが起こってしまう前に。

「…すまない………本当に…すまない ことを………」
 歯を強く噛み締め過ぎて小刻みに震えているヘイドレクから涙がぽたぽたと
ジュオークの頬に落ちる。
 それはどす黒い血と泥に混じって、顎の方へ伝っていった。


 誰か、誰でもいい。誰か……助けてくれ。
 この友人を救ってくれ……!!

 次々と滲んでくる涙に、ヘイドレクは眼を強くつぶった。
 聞こえてくる、風の声ほどの弱弱しい息の音がとぎれぬよう祈りながら。
 鉄臭いにおいが鼻をかすめる。そしてさっきまで飲んでいたポートレースの匂いが
わずかに香ってくる。
 そしてそのうちに、血の匂いにまぎれて薄く匂っていただけの草の匂いが、段々濃くなり始めた。
 まるで草を顔の前に差し出されているような鮮烈な香りだ。
 ヘイドレクはそっと双眸を開いた。ジュオークを抱える自分の手の異変が、
その視界に飛び込んできた。
 手が緑色になっているのが見えたのだ。
「……は、はは、今度は…なんだよ…」
 泣き笑いのような引きつった笑みを浮かべて、ジュオークの肩に置かれた自分の右手
を凝視する。
 それはゆっくりと浮き出て、手の甲を覆ってゆく。萌黄色をした何かが。
 ヘイドレクは眼を凝らした。
 自分の手の甲に生えてくる無数の…芽?
「やめろよ……」
 声が怒りで戦慄く。口元の笑みは凍りついたままで。
「なんなんだっ!!!!」
 怒り狂ったヘイドレクが憑かれたかのように、無我夢中でその芽を毟り取る。
 だが掻きとっても掻きとっても、芽は物言わず、無数に生えてくるばかりだ。
 ぽろぽろと取れた芽が、ジュオークに降り注ぎ、赤く染まった身体に、
鮮やかな緑色の斑点をつけてゆく。
 さわさわ…、と耳のすぐ下で音がして、ヘイドレクはハッとして、急ぎ自分の頬に
触れた。

 ぽろぽろ、と萌黄色の芽が落ちた。
 手の平にさりさりと柔らかな紙のようなものの触れる感触。
 ぽろぽろと頬から落ちたものを手のひらに包み込み、ゆっくりと目の前で開いた。
 まぎれもなく、何かの植物の芽だ。
 しかし芽はジュオークを狙う様子はなく、ただヘイドレクを埋め尽くしていった。
 ヘイドレクの手は芽におおわれ、通常の三倍の大きさまで膨れ上がっていく。
「もう止めろ……俺を、人間に戻せ……。……戻してくれ!!!!」
 ヘイドレクは両手で顔を覆い、叫んだが、口の中に折れた芽が入り込んできて、
噎せこんだ。
(俺はもはや、人間の姿ですらない……)
 絶望的な気持ちで塞がれることを免れた視界から、ジュオークをみた。
 それから、口に入ったいくつかの芽を脇に吐き出す。
 しかしヘイドレクは変貌した身体が、この瀕死のジュオークを襲わなかったことに
感謝していた。芽は生えてくるだけで何もなかったからだ。

 ミシ……

 背後から、下生えを踏むかすかな音が耳に飛び込んできた。
(…誰かいるのか!?)
 反射的にヘイドレクは振り向いた。すがるような気持ちで。
どぅわっ。調子のって40行超えた……ッ。
さっそく自分の言葉を破っているなんて…ごめんなさい。>>141さん

逃げよう……。
ああ、悪かったね。
116の作者だよ。
やっぱり、あの少女があのままの文では、流石に
浮かばれないと思って書いたんだ。
つまり、154―160までは、つうかもちっと、続きあるんだけど、
 が116の少し前のところだよ、 安易に考えた設定も、練っていくうちに
中々のものになってきたんでね、書いたんだ。
あと、気軽に書いたもので、叩かれて、そのご、誰もこないから、
何とかしよう というきもあったんだけどね。
まあ、それだけだよ。確かに読み手に対して長々と休みなしに書くのは大変で、失礼に
あたるね、でも、一度書くと、止まらなくなる癖があるのです、
・・・・以後、気をつけます。失礼しました。
では。
>>171
うーん。だね、HNもあるもんね…。
でもサイドならサイドだと分かるようにしないと本編と混ざっちゃうからなぁ…。
なら、あんまり採用したくない案だけど、
始まる最初か最後の一レスをつかって
「>>○○->>△△ サイドストーリー」とか入れたほうがいいかも。

あの設定を採用したからには叩いた人をうならせるような
面白さを期待しているよ。
173ま、本編進めてみる:03/01/01 21:09
 それは足音ではなかった。
 ヘイドレクから伸びた芽、それが細い茎を伸ばし、双葉を開く音だった。
 さり、さりり、みきり。かすかな音が無数に響く。芽は無数に萌え、育ち、ヘイドレクの背後に緑の絨毯を現出せしめた。
 芽が伸びるたび、もとからあった下生えが萎れ、朽ち、土に帰った。
−これは−
 呆然とヘイドレクが見守る前で、妖樹と化したヘイドレクの芽は一斉に成長を始めた。
 日光の代わりに月光を浴び、水の代わりに木々を朽ち果たし、その滋養分を啜って。
 ものの五分を要さず、木々は怪異の姿持つヘイドレクの丈を超えた。超えてまだ、木々は伸びゆく。
ついには茂る森を覆う天蓋となるものもあった。
 ヘイドレクはこのおぞましき奇跡を、なかば屍と化した友を抱えて見守った。

 木々は己を育んだ森を外方より包み切ったとき、その成長を終え、次なる変容を始めた。
 四方八方、無限方位に伸び広がった枝々の先端に、くびれが生じたのだ。
 くびれた先は震え、膨らみ、樹皮を割り、艶めかしく色づいた。
 いつしかそれはずっしりとした質量を誇示しつつ、枝先からぶら下がっていた。
 戦慄すべきそれら無慮数万の果実は、毒々しい鮮紅色に染まっていた。

   とりあえず芽を萌えさせてみました(w
174一応本編:03/01/01 21:52
怪芽が萌えた!(w


 下生えの朝露に足をぬらしながら、男が歩いている。
 その初老の農夫は、どこかビクビクとおびえた様子で、何かを探すように辺りを
キョロキョロと見回しながら、路を塞ぐ低木の枝を掻き分け、歩いていた。
 腰に錆びている古い鎌がかけてある。
 しきりにその鎌に手をかけながら、農夫は朝霧のうっすらとかかる森をうろうろと
歩いていた。
 しかし、見慣れたはずの森の異変に気づいて、農夫はハの字に歪んだままの眉毛の
下の丸い大きな目をいっぱいに見開いた。
「……なんだこれは……」
 霧の中でも鮮明にそれは視界に飛び込んできた。
 森に寄生したかのような巨大な妖樹。天をつくほどの壮大な枝ぶり。
 その枝枝にぶらさがる、目に痛いほど真っ赤な奇怪な果実。
 しかしその周りの木々がいっせいに枯渇してしまっている。
175一応本編?:03/01/01 21:55

「まさか、本当に……お?」
 木の根のところに、埋もれるようにして青年が横たわっているのが見えた。
 農夫は飛び上がって、慌てて青年の所に駆け寄る。
 そして青年の様をみて、一瞬痛そうに顔をしかめた。
「……おお生きとる。しかしひどい傷だ。…うーん、まさか本当にいるとは」
 ぶつぶつと呟きながら、農夫はこげ茶色の青年を抱え上げた。青年の身体に積もっ
ている草が、はらはら落ちる。
 農夫は気味悪そうに苦い顔をしながら、上を見上げた。
 視界に毒々しい赤が飛び込んでくる。
 ジュオークを抱え、農夫は肩をすくめて一目散にその場を去っていった。

 湿った冷たい風が、その妖樹の枝枝をすりぬけて、泣いているような音をたてている。


謎を増やしてみる、と。
>172
うえい。
どうしょ、期待されるとは、
予定では、あと、一 二回で おわるんですよ。
皆様のご要望にこたえて、シナリオを考えたので、
現実的に作らさせていただきました。
期待しない方が 100%いいです。
期待すると凹むよ。
たとえ、それが、嫌味 皮肉 でいった言葉だとしてもね。
177彫像 個人的外伝。:03/01/02 01:06
温かい場所に居た。
だが、俺の心は落ち着かなかった。
目をあけなければ、と、俺が言う。
しかし、それは、温かさの中に消えていった。
それが、何度か繰り返された。
その時、プツリと、温かさが消えた。
目を大きく見開く、
緑色の海が流れている。
白馬が走る、上下振動と、風を切る感覚が、
俺がまだ馬の上に居るのだと、実感させる。
(雨はもうやんだんだな)
そう思い、上の方を見た、
白い雲が切れ切れに浮かび、太陽が輝いていた。
と、前方の左右に森の木々が目に入った。
(やばいっ)
そう思うより早く、手を手綱へと伸ばす、
手が手綱に触れたと思った瞬間、確認の為に目を手綱から、前方に向けた。
前に障害物が無いと思った瞬間、体に強い衝撃が走った。
俺の体は、強い力で、後ろに弾かれ、そして、そのまま、背中から下に落ちた。
「グッ・・・・ハッ」
一瞬何があったか分らず、ただ、空を仰いだ、
呼吸が出来ず、少しの間、地面の上で、喘いだあと、
上半身を起こして、白馬の方を見る。
白馬は、一度こちらに目を向けると、背を向けて走っていった。
俺は、待てとも言えず、上半身をゆっくりと横たえると、
痛みを思い出すかのように、空を仰いだ。
しばし、風の音だけとなる。
178彫像 個人的外伝。:03/01/02 01:14
116からはじまった、わけのわからん物語。
>>154−160 177
ダイジェストは144に書いてある。
まだ続く、がっ・・・116のは 経由しない。
ごめんなさい。116を含もうとすると無駄に、長くなるので勘弁を
179一応本編:03/01/02 20:58
登場人物を増やしてみた。


 町の隣に茂る森を少し入っていったところに、息を潜めるように家が建っている。
乾いた土の壁に蔦が這い、茅葺きの屋根のところどころから草が生え、花をつけて
いる。屋根から灰色いずんぐりと太った煙突が突き出ていて、白く煙が昇っている。
 窓の内側に見えるポツンとひとつ置かれた鉢植えから伸びているハーブのような草
や、外にきちんと積み重ねられた薪や樽から、そこの住人の清く慎ましい生活ぶりが解る
だろう。
 家の中にいるのは、一人の若い男だった。
 中途半端な長さの黒髪を大雑把に、細い何かの植物で束ねている。髪と同じ色の眼には、
丸い眼鏡がかけてあり、気の弱そうな面立ちだ。
 眼鏡の男は一人で嬉しそうに弛んだ表情を浮かべながら、コップに注がれた温か
な飲み物を飲んでいた。
 旅人のようなローブをまとった風情からはそこの住人ではないことがわかる。
 しばらくすると、重い足音が近づいてきて、戸口がどんどんと鳴った。
「どーぞー?」
 驚く様子もなく、眼鏡の男は戸口に向かって言った
180一応本編:03/01/02 21:29

「空けてくれんか!?」
 戸口の向こうから切羽詰ったような声が聞こえてきたので、慌てて戸口にたち、
開けてやる。戸口の外に立っていたのは、あの農夫だった。
「あ、ご主人。どうでした?」
「あんたのいった通りだった。ほれ」
 農夫は抱えている青年を少し持ち上げてみせた。頬に乾いた血をはりつけたその様を
みて、眼鏡の奥の目が見開く。
「やばいですね。おわ、片方の眼がない?!」
「どうにか生きてるようなんだが。なんとかできないかね?……ところで家内は?」
 きょろきょろと部屋を見渡して、農夫がいうと、
「町に買い物に行きましたよ。砂糖かなにか何か切れたらしくて。それより手当てして
みましょう。奥のベットお借りできます?」
「ああ。一刻を争う事態だ。構わんよ」
「じゃそちらへ」
 農夫は奥のベットに恐る恐る青年を横たえ、一方青年は熱湯を沸かしにいった。
181一応本編:03/01/02 22:39
「それはなんなんだ?ルポワくん」
 青年の顔にべっとりと小さな葉がのせられ、その上から黄色い液に浸された布があて
られている。その主人は不思議そうな顔をして、眼鏡の青年をみた。
「カラゴラ系植物の樹液にひたしたものです。炎症をおさえる効果がありまして。
……一通りやってみましたんであとは大丈夫と思いますよ」
 ルポワと呼ばれた青年は浮き出た汗を指の背で拭きつつ、笑って顔をあげた。
「……何かに刺されただけじゃないですね。肉が吸い取られたのかな、あちこちえぐれ
てましたけど。それにしても酷いな、これは」
「…ほんとに誰がこんなことをしたのか……。むごいことをするもんだ」
 眉をひそめて、主人は包帯にまかれたまま眠っている青年を見やった。
 包帯からはみ出ている痛ましい傷跡に身震いする。
「ところで」
 ルポワの表情から弛みが一斉にひき、黒い瞳が何かを捉えたかのごとく静まる。
 横たわる青年のこげ茶色の髪の毛の中から緑色の芽を摘み上げると、目の前で
方向を変えながら眺め、主人の方へかざした。
「これはどこから持ってきたんです?」
 差し出された芽に不思議そうに頸をかしげたあと、主人はつと顔をあげて、大きな丸い
眼を開いた。
「この若者が倒れていたとき、上にふりかかっていたよ……それより思い出したんだが森に奇妙な………」
「すごいですね。多分ですけど、これはカラゴラ系植物の一種でモーリエというんですが、土に敏感でしてものすごい山奥、それも滅多に人の入れないような山奥にしか生えて
ないんですよ」
 言いかけた主人をさえぎってルポワが興奮した口調で早口に続ける。
「信じられないなぁ。この芽は治癒能力が非常に高くてですね、多分この若者が
助かったのもこれのおかげのようなものですね。僕も前々から探してたんですこれ。
でも気になることは、これは芽なら貴重ですが、成長すると厄介なんですよね。これは
まだ芽だからいいですけど」
 その緩い表情からは予想もできないその早口の説明に、主人は声を出すのも忘れて
ただただ圧倒されていた。
 ルポワの方といえばまるで子供のように興奮しきった表情を浮かべて、目に見入って
いる。
183山崎渉:03/01/06 16:00
(^^) 
と、思えばいきなり立ち上がった。
「まだあるかな。行ってみてきます!」
「え……止めといたほうが」
「いやいや、こんな貴重な芽ほっとけませんよ。どのあたりで?」
 気迫に押されて主人は、びくびくしつつ窓の外を指差すと、
「ここを真っ直ぐ行くと、多分……ある…はずだがしかしな………」
「わかりました!いってきます!」
 主人の言いかけていることなど全く耳に入っていない様子で、ローブを被りなおすと、
ルポワは見かけからは想像できない速さで戸口を飛び出していった。
 窓の外に、全速力で駆けてゆく後姿が、森の中に消えて行くのが見えた。
 主人は肩をすくめて、病人に向き直り、毛布をかけなおしてやる。
 笑みの含まれる口元からため息が一つ零れた。
「植物バカってやつかね」

 森の中に入った途端だった。
 彼はその異変に気づいた。木々が騒がしくない。
 一羽の鳥もいない。
 ずり落ちてくる眼鏡を抑え、全速力で走りながら彼はある書物の内容を
思い出していた。
 先ほどの青年に降りかかっていたモーリエについてのことを。
 確かにあの芽は貴重だ。滅多に取れるものではないから。
 それが土に敏感で、発芽するためには種子が発芽するに耐えうる、厳しい条件を
クリアした厳選された土壌が必要となることからも『貴重』なのだが、それよりも―――
 その芽は手に入れること自体が非常に困難なのだ。
 それがモーリエの芽が入手困難な一等秘薬せしめたる所以でもある。

 なぜそこまで入手困難だと言われるのか。
その答えは、《緋の番人》と呼ばれる『果実』が芽を守っているからというのにある。

 彼らは種子を守る。そのためには敵と見なしたものは徹底的に潰しにかかる。
 ゾク、と背中が粟立つのを感じて、ルポワは唾を飲み込んだ。
 恐怖からではない、抑えきれない期待と興奮からだ。
 そんな果実がなるというなら是非見たい、この植物バカの頭にはそれしかなかった。
モーリエの芽があるということはその《果実》もいるはずだ。
 あの若者はどうやってその芽を手に入れたのか。
 《果実》の目をくぐり抜けて、芽を手に入れる方法があるのか、疑問だ。
「書物どおりの風景になってきましたね……」
 森の異質な雰囲気に走るスピードを緩めながら、ふと、ルポワは近くにそびえている
大樹を見上げた。
 樹皮がしなびている。
 眼鏡の奥の目を細めながら、その樹皮に触れる。
 表面がまるで腐ったようにぶよぶよしている。またすぐに手をひっこめ、ローブの下に入れると、考え込むように首をかしげた。
 おかしい。
 書物によれば、モーリエは発芽してから成長するまでに数百年を要するはず。
 近隣の木々をゆっくりと侵食し、肥大してゆく怪異の樹のはずである。
 しかし、これはまるでモーリエの木のある近隣の樹林の様子に似ている。
 少なくとも前にきたとき、こうではなかったはずだ。
 なぜだ?
 胸のあたりでざわざわと黒い影のような不安が沸きおこる。
 そして気づかないうちに、かきたてられるように駆け出していた。
 警告のように鳴り響く心臓を抑え、ルポワは森の奥へと飛び込んでいく。

 ふと頬に冷たい刺激を感じた。
 いくつも重なる。ぽつぽつと小さな粒が空から−−−雨が降り始めた。
 ローブを頭までかぶり直し、なおも走り続ける。
 降り注ぐ雨粒は頻度を増しはじめ、視界がぼんやりとかすみはじめる。
 囁く程度だった雨が次第に、騒音をたて始め、視界が緑の靄でかすむ。
 木の根に引っかかりそうになって、ようやく走るのを止めたルポワは上を見上げた。
 雨粒が細い針状になって、放射線状に降りそそいでくる。
 慣れない急激な運動で彼の息は切れ切れになり、ゼイゼイと息をするたび重たく肩が
上下する。
 息で曇った眼鏡を拭き、もう一度かけ直したところで、彼は左の視界の端のものに気づいた。
 とっさに顔をそちらへ向ける。

 雨のためにぼんやりとしたシルエットばかりだったが、その色は、
 はっきりとルポワの脳裏に焼きついた。
 彼はゆっくりと、そこに近づいていった。
 急に視界が開けた場所に出た。
 木々は消滅してしまっていて、ホールのように円形状になっていて、
 その中心に、まるで王のような迫力を持って、巨大な樹がそびえていた。
 枝枝に、恐怖の象徴のように毒々しい《果実》を実らせて。
 

「うへー寒い寒い」
「お疲れさん……っと見張り交替の時間か?」
「ああ、交替してきた。あんなん高いわ寒いわでやってられねぇよ」
「まぁこっち来て火に当たれよ。飲むか?」
「あれか?いいねぇー―――よいしょっと……あーあったけー」
「待ってろ、おい誰かコップ投げてくれ!」
「ふぅ。酒でも飲まにゃあ……って気分だな」
「おいジュオーク!まだ酔うなよ?! で、どうだった見張り台からは?」
「言ったろ?最悪だよ。見えるのは赤い輪をつけた黒いお月様だけよ」
「こっからも見えるぜ?ちょっと葉っぱに隠れるけどな」
「ばか。こっちは真正面にあんだぜ。気持ち悪いったらねぇよ」
「確かにあんなんずっと見てたら狂いそうになってくるよな」
「ああ。このまま月蝕は終わらないんじゃないかって思えてくるね。やだやだ」
「そしたらこの兵役も終わらないのか……」
「―――終わると思うよ。そしたらどっかで飲もうな、爪の垢みたいな給料でも
給料は給料だしな。……って何泣きそうになってんだ?ヘイドレク?」
「あ?だーれが泣きそうだって?ちげーよ。ちょっと……家族が心配なんだよなぁ…」
「ああ、お前家族がいんの?」
「お前は?」
「俺は孤児だからなぁ」
「そうか」
「家族がどうしたんだ?」
「無事だったらいいなあと思ってさ。親父も兄貴も俺もいないから、母親一人なんだ」
「ふぅん」
「…―――俺、もらった金は使わないで土産でも買おうかと思ってるんだ」
「いいんじゃない?……でも、何が買える?」
「一応一回も使ってないからな、ましな額にはなるはずだ。母親に反物でも買うよ」
「嘘つけ。一回も?なんだその禁欲さは」
「うるせぇ。お前はもらった途端に使いすぎだ」
「えらいですぅーヘイドレク君は母親思いですぅーすごいですぅー」
「お前からかってんだろ?」
「からかってないですぅー。母親思いヘイドレク君に拍手ですぅー」
「止めろばか!俺がなんか恥ずかしい!拍手するな!」
「い、痛いですぅー。叩いたですぅー」
「もういいって!やめろよ。力抜けるだろ」
「あ、あれあれ止まらないですぅー??口癖になりそうですぅー」
「はぁ?」
「これハマッたですぅー」
「………あは…本当に止まらなくなってる!!ぎゃははっはははは!!!」
「笑うなですぅー」
「腹痛ぇー!!やめろってばあっはははは!!!!」」
「笑いすぎですぅー!俺は酒でも飲むです!」
「誰か止めてくれ!はっはははっはああははは!!!」
「いたっ!もうひどいですぅーヘイドレク君はぁ」
「ああははははは………え?」
「いたた、痛たたたっ。痛いですって」
「…おいおいー何やってんだよ?俺何もしてないけど?」
「痛ぇって。イタタ…刺さってる刺さってる!」
「ジュオーク?」


「お前の手が俺の右目に刺さってるんだよ」


190間違ひ…:03/01/07 03:43
うーん。とんでもない間違いに気づいた……。
せっかくできたのになぁ……鬱。
一番最後の科白の『右』は『左』と読んでください。
左目が潰れたんですので。
一応訂正しときます。
191名無し物書き@推敲中?:03/01/07 03:51
ageときます。
192そして:03/01/07 05:18
成美の秘められた蕾へと、加藤の舌が蛇のように伸びた。
ビクンと思わず腰を逸らす成美を、力任せに左手で押さえつけ
ながら蕾の奥の壺へと右手の中指と薬指をなめらかにねじ込んだ。
くいと指をぬるぬるとした壁に向かい突き上げると、成美の腰は
激しく前後に揺れ始めた。
その行為を激しく続けながらも、一方で加藤の舌は成美の首筋から
胸元にかけてゆっくりと唾液をその白い肌に塗りつけながら動きつづけた。

成美の口から抑えきれない悦びの声があふれ出ていた。
193量産型させ子ライオネス・オスカー ◆fzDhiHYsdU :03/01/07 11:15
言い知れぬ快感に身を任せていた成美は干し柿のような加藤の
乳首を刷毛で掃いた。みるみると加藤の乳首が勃起する。
加藤は童貞だった。生まれてこの方、女を抱いた事がなかった。
女とは蛇だと幼少の頃から思っていた。
刷毛で乳首を掃かれたとき加藤の胸中に成美への憎しみが燃え上がった。
「なぜお前は刷毛などで俺の乳首を」
「アジャ昆布をお袋買って」
「なんだと。もういっぺん言ってみろ」
「オナニィーッ、イッパァーツ!」

SEXちんこマジでイク五秒前忍者ハットリ参上!SEXちんこマジでイク五秒前忍者ハットリ参上!
エロさもハードファンタジーに必須なのだろうか。
まだ程遠い展開だな…
195未だ…:03/01/08 07:48
 ジュオークの目から血飛沫があがった。
 そのまま血を噴き上がらせながら、仰け反るように仰向けに倒れてゆく。
 ポツ、ポツ…、と冷たい血の飛沫が頬に飛んでくる。
 頬に飛んできた液体に手を触れる。
 そして再び自分の手のひらを見やった。
 しかし、そこにあったのは人間の手ではなかった。
 血に塗れた手が、デコボコの醜悪な表皮に覆われ根と化した自分の手が、あった。
「う、うあああぁぁぁ!!!」
 己の手から逃げるように、抜けた腰をひきずり後ずさる。
 血のついた根を振り払うようにして、顔を背けるとヘイドレクは追い立てられるように
駆け出した。
  助けてくれ誰か助けて助けて助けて助けて

 現実から目をそらす様に、両目を頑なに瞑ったまま、ヘイドレクは走った。
 目じりから涙が滲みだす。親友の血飛沫がまた胸の奥に蘇る。
 どこへ行けばいいのか分からない。
 この体が、自分が、どうなってしまうのか分からない。
 嫌だ、嫌だ助けて助けて誰か────!!!!

 そのとき、柔らかな衝撃が、ヘイドレクの足をとめた。
 誰かにぶつかったのだ。
 反射的に顔をあげると、上から静かに手が下りて、ヘイドレクの頬を拭いた。
「おやどうしたの、ヘイド。雷が怖いの?」 
「おかあさん…」
 口から自然にその言葉が零れて、ヘイドレクはぶつかったのが母だと気づいた。
 同時に、自分が母の腰あたりの背丈しかないことにも気づいたが、それも当然だった。
196未だ…:03/01/08 07:51
 彼は母のおなかに顔をうずめて、甘えるように顔をこすった。
「あらあらこんなに濡れて、走ってきたのね」
 いつの間にか、頬の血は雨粒となり、外は雨が降り注いでいた。
 母は大きな乳白色のローブをまとい、彼をローブの内側にいれてくれた。
 ヘイドレクは母に何かを言おうと思ったが、遠くで雷がなったので、思わず叫んで母に隠れた。
「怖がりねぇヘイドは」
「だっておかあさん、かみなりがおちてきちゃうよ」
「大丈夫よ。雷は一番大きな人のところへいくんですもの」
「じゃぁ、お父さんがあぶないよ」
「ふふ…大丈夫。お父さんは家の中よ。はやくおうちに帰りましょうね」
「うん」
 温かなローブの内側は母の匂いがした。
 それだけで、何もかももう大丈夫な気がした。あの雷さえも。
 満たされた気持ちでヘイドレクは母の歩調に合わせてとことこと歩き始める。

 ぼたり、と後ろで何かが落ちた。



197終わり…:03/01/08 07:52

 振り向くが、母のローブで何も見えない。
「おかあさんなにかおちたよ?」
 母は何も言わずに黙って歩き続ける。その沈黙に異様なものを察して、ヘイドレクは
雨の中、母のローブから上をのぞきこんだ。
 首から上がなかった。
 思わず後ろを振り返ると、母の首が転がっていた。優しそうに微笑んだままで。
「どうしたの、ヘイド」
 まるで何の変哲もないように、母が言った。背中を冷たい汗が流れてゆく。それとも雨か。
「どうしたの。そんなに怖い顔して」
 ああ、と彼の唇から嗚咽が零れ、その場に力なくへたり込んだ。
 母の口元から、天へと一直線に植物が細い茎をのばしはじめたのが見えたのだ。
 それは母の目じりや、鼻や皮膚を突き破って、伸びてゆく。
 彼は知らずに頭を振っていた。
 嫌だ。もう、嫌だ。嫌だ。
「おかあ、さん────」
 熱を持った涙がとめどなくその頬を流れてゆく。
 自分の腿の肉を爪の先でかき集めるように、力を入れながら、
彼は天に向かってただ吼えるように叫んだ。
頬に水の落ちてくる感触で目が覚めた。
目蓋を開けると、目の前に灰色に濁った雲一色となった空が見える。
遠くで、雷が轟いているのが耳に入ってきた。
夢、か…────。
独りごちて、その頬に落ちてきた雨粒に触れようとした。
が、触れられなかった。
自分の体が全然動かないのだ。抑えられている感触、そう感触すらなかった。
首から下がまるで消えてしまったように。
血の気が引いてゆく頭に、追い討ちをかけるように降り始めた雨が流れる。
(無い?
 体が無い?)
怪訝に思い、かろうじて首を曲げて下を見た。
そこにあったのは巨大な樹だった。樹と化した己の四肢があった。
壮観な眺めであった。
ヘイドレクは唇がわななき、必死に目を覚まそうと頭を振ったが、目は覚めたままだった。
とっさにもう一度天を仰ぎ見る。
ぞっとした。そうだ、目を覚ましたときに感じた微妙な違和感。

───視界の位置が高すぎるのだ。
 
199山崎渉:03/01/19 03:42
(^^)
200神神神 ジョン・スミス 勇者 ◆AIWOEVCG6U :03/01/24 00:50
つーかリレースレ荒らしはエロしかねーのかよおい!
201000:03/02/27 14:31
 ヘイドレクは咄嗟に何が起こったのが理解できなかった。
 もう一度、下を見る。
 奇怪に折れ曲がりながら、その枝枝を広げ、新緑の葉を茂らせ、
真っ赤な果実をぶら下げている、樹がある。
 その樹が自分の体となるはずの場所にある。
 どういうことなのか。
 今までもさんざん不可解なことが身に起きたことから考えても、答え
は一つ、『自分の体が樹になってしまった』としか考えられなかった。
 自分の樹の周りにあったはずの森は、奇妙なことに一掃され、
自分の周りには茶色い土ばかり露呈し、それを遠くから見守るように、
威厳をなくしたように黄色く変色しかけている葉を茂らせた木々が
円状になってただずんでいる。
 まるでコロセウムのように。
 言葉がなかった。
 しかし悲鳴をあげようとしてもヘイドレクにはもはや口さえもなかった。


 うちのめされているヘイドレクの遥か足元では
 今、二人の男が『緋の番人』による制裁をうけているところであった。
202名無し物書き@推敲中?:03/03/03 10:26
虫の息age
「緋の番人」は、後ろ手に縛られている二人の男を淫蕩な目付きで一瞥すると、
蛇のような赤い舌を出して己の薄い唇をちろちろと舐めて湿らせた。
反抗的な目付きの長髪の青年に息がかかるくらい顔を近付けて、いきなり
服の上から乳首を摘み上げる。
「アッ」
「うふふ、感じやすいのね。たっぷり御仕置きしてあげたくなっちゃうわ……」
「ねぇあたしのも触って……、もっと……」
 緋の番人の節くれ立った細い枝が、人間の指のようにしなやかに、
青年の長い髪を、その枝に絡ませる。
 緋の番人の顔は木の表皮で覆われ、もはやこの世のモノとは思えない。
 その奇怪な相貌に、震え上がりながらも青年は次第に脳天を貫くような
痺れに感覚が麻痺し始めた。
 柔らかな舌が自分の鎖骨をちろちろと舐め始める。
 青年の耳にくぐもった笑い声が響いた。

 ──この奇妙な生き物のものの声だろうか。

「ほら。触って欲しくてこんなになっちゃってるのよ…」
 それは最初、艶かしい女の声だった。
 だがやがて青年は、その声が自分の良く知るものだと気づき始めた。
『ねぇ、抱いてよジーノ』
「…シャーラ?!なんで、こんなところにいる?お前は……」
 言いかけたジーノの唇を、柔らかな少女の唇がふさいだ。
 甘い花の香りがする。
 青年よりも明るい亜麻色の髪の毛をふわふわと揺らしながら、
少女は豊かな乳房をジーノの胸に押し付けた。
 眩暈がするような気がして、ジーノは少女を恐々抱きしめた。
 胸にあたる柔らかなもの。今にも折れてしまいそうな腰に、手をまわす。
 頭に上った血が一気に下半身のうずきに変わる。
 この少女を粉々にしてしまいたいような凶暴な衝動が沸いた。
 今ならそれができる。いや、一刻も早く、そうしなければおかしくなりそうだ。
 ドクンドクンと波打つ下半身に、シャーラの手が触れた。



キィィィィィイィイイイアアァァァッァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!


 夢恍惚となったジーノの耳にいきなり、鼓膜をつんざくような悲鳴が響いた。
 同時に顔に何か液体のようなものがどろりとかかる。
 ジーノは青臭く、苦い味が口にひろがり、ようやくハッと我にかえった。
 今までこの手で抱いていたはずの少女の感触がなくなっている。
 血の気が引く思いで、無我夢中で顔の粘液をこそげ落としながら、ジーノは
気配の消えた少女が同じように怯えているのではないかと不安になった。
「シャーラ?!どこだ!シャーラ!!」
「なんですか!!」
 返ってきたのは、男の声だった。
「いや、あんだじゃなくて……」
 怒鳴り声で反してみて、なにかおかしなことに気づく。
 慌てて顔の粘液を取り除き、瞼をひらくと、そこにあったのは真っ二つに
切り裂かれた心臓のような、しかし人間と同じぐらいの背丈をした巨大な真っ赤な果実だった。
 自分の身体に付着しているのは、その果汁だと気づくとジーノは腰が抜けたのもかまわずザザザと後退した。
「………!!!」
 声にならず金魚のようにパクパクと口を動かすだけのジーノの上から、
比較的冷静な声が降り注いだ。
「色々な攻撃パターンがあるようですね。さすが太古から生きているパワーというか……」
 驚いて上を見上げると、眼鏡をかけ、自分と同じように赤い果汁まみれになった男がいた。
「あんた…何だ?」
「今はあなたと同じ彼らの標的です。まず逃げましょう」
 男は眼鏡の奥から、どこかを睨みつけるようにしていった。
 ジーノがその視線の先をたどると、この森にひとつだけ不自然なほどに膨れ上がった大木が
悪魔のような果実をその両手にみのらせて、森の空白の真ん中に佇んでいた。
206山崎渉:03/04/17 14:03
(^^)
207山崎渉:03/04/20 01:51
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
「まさか」
209山崎渉:03/05/22 03:29
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
210山崎渉:03/05/28 10:43
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
211名無し物書き@推敲中?:03/06/29 18:10
>205
初めてここに来たんだけど……ここで終わりかよう〜。
すごく面白いじゃん!
余力があるならぜひ続きをきぼんぬ。
212名無し物書き@推敲中?:03/07/02 21:29
リレー小説だが、テーマが特殊だからな。
設定を壊したくないというのもある。参考資料か何か欲しいところ。
213名無し物書き@推敲中?:03/07/13 06:12
同じく続ききぼんぬ。
214山崎 渉:03/07/15 11:42

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
215微妙リレー:03/07/29 14:15
「逃げるって…待ってくれよ。あいつら何なんだ?オレはただ、
この森を通ろうとしてただけなんだ。バケモノの森だなんて誰も言わなかったし!!」
 眼鏡をかけた男は、ちら、とジーノの方を見た後、再び、モーリエの大樹を仰ぎ見た。
「ええ…、そうですね。こんな森ではなかったんだ昨日までは……」
 男が呟いた時、赤い蔦のような果実の腕が、ジーノに向かって伸びてきた。
「あ、う、後ろあぶねぇ!!」
 ジーノが叫んだのと同時に、男は身を翻して飛び、振り向きざま、
長剣をしなやかにのばして、その蔦を切りつけた。
 あまり、その様が見事だったので、ジーノは声を忘れてたたずんでいた。
「す、すげぇ…」
「ボーっとしてはいけません!!立ち止まらずに走って!!」
「え?ああ……」
「この番人たちは我々をあの大樹のもとに引きつけようとしています。
大樹から離れなければ!!」
 ジーノは振り向いた。
 なるほど、いつの間にか攻撃をよけて走っているうちに、森の空白の中心地へ
追いやられている。初めにいたところが遠くに見えた。
「い、いつのまにこんなとこまで来ちまったんだ……」
 ひとりごちたジーノの上に、男の怒鳴り声がひびいた。
「はやく!!!」
 その背から、奇怪な声をあげて果実たちが這ってくるのが見えた。
216微妙リレー:03/07/29 14:16


「ひぃい!!」
 真っ赤な番犬のようだ。
 ジーノははじけるように駆け出した。無我夢中になって。
 うしろで叫ぶ男の声も聞こえなくなるほど。
 とにかくこの大樹から離れ、町へ出なければいけないと念じながら。
「なんなんだよぉおおお!!!助けてくれよオオ!!」
 恐怖で涙がにじんでくる。
 あの奇怪な赤い生き物はなんなんだ。なぜあんなものに狙われるのだ。
 ぐるぐると考えても何もわからなかった。
 すると、突然声がした。
「ふせてください!!」
 ふせる?
 ジーノは訳がわからなかったが、とっさに指示通りにその場に倒れこんだ。

 びゅん!!

 頭上で風をきる鋭い音と、ぶちん、と何かがちぎれる音がした。
 どすん、と脇に落ちた気がして、そうっと覗き込む。
 それはさっきの赤いバケモノの腕のような部分だった。
 ちぎれたところから赤い液を滴らせて、魚のようにビクンビクンとはねている。
 まるで本当に生きているかのようだと思った。
「ひ…ひぃい……」
 あまりの気味悪さに、声がかすれてでなくなった。
217微妙リレー:03/07/29 14:17
 ジーノの上から、さっきの男の声がする。
「だめですよ!闇雲に走っては向こうの思う壺だと言ったでしょう!!」
「え?あれ、なんであんたがココに」
 さっきの眼鏡の男である。
 一緒に走ったおぼえはない。一人で逃げたはずだった。
 不思議に思ってあたりを見回すと、無我夢中で走り回ったのにも関わらず、
さっきの場所から少ししか離れていなかったのである。
「どうなってんだ?!」
「方向感覚が麻痺していくのかもしれませんね。とにかく私と一緒にいたほうがいい」
「あんた何なんだ?!」
 やってくる蔦を綺麗にかわしながら、剣をふるう腕は軍人とみまがうほどだ。
 見た目からは貧弱な学者のようなのだが。
「自己紹介している暇はありませんが、とりあえず。私はルポワといいます。
あなたは?」
「じ、ジーノ」
「ではジーノ、あなたは丸腰だ。せめて武器は?」
「な。なんにもねえんだ。短剣があったがう、売っちまった」
「ではこれを!!」
 そういってる間にも蔦の攻撃を巧妙にかわしながら、ルポワは胸元から
短剣をとりだし、男になげた。
 刃渡りは大人の手の大きさほど。簡素な革のケースのついた短剣だった。
「小さっ!」
「文句いわないで下さい!!もともと植物採取用の剣なんですから。
それよりもついてきてください。こっちです」
 ローブを羽のようにひるがえしてルポワが駆け出す。
 その声の確かさに、なにかしら頼りになるのをおぼえてジーノはあとを追った。
218微妙リレー:03/07/29 15:44
 ルポワのあとを追おうとして走り出したその時だった。
 誰かに足を掴まれて、ジーノはいきおいのまま突っ伏した。
「ぐわあっ!!」
 尋常な締め付けではなかった。
 恐怖におののいて自らの足を見やると、足に捕まっている女が見えた。
 女?
 何もまとっていない裸の女が、ジーノの足首を掴んだまま伏せて
肩を震わせていた。陶器のような白い肌には、赤い樹液がまみれていて、
金色の髪の毛が流れるように地面に散らばっている。
 ジーノは驚いて探検を持ってない手で、女の柔らかな髪に触れようとした。
 ゆっくりと女が顔をあげた。
 背中の毛穴という毛穴から異様に冷たい汗が噴出す。

 女の顔には目がなかった。

 目のある部分は落ち窪んでおり、白磁の肌が茶けたしわしわの樹皮と化し
美しい金の髪は、膨らみ始め蔦と変化していった。
 もはや声もでないジーノの四肢に、緋の番人の手足が絡みつき始める。
219微妙リレー:03/07/29 15:52

 ジーノは体中が強張って、動けなかった。
 ただ、蜘蛛のように全身に蔦を巻かれながら、太い果実の中央に光る
金色の目のようなものと目が合った。
 それは番人の目に違いなかった。
 ジーノは遠くで、ルポワという男が叫びながら近づいてくる音を聞いた。
(無理だ、俺たちは捕まっちまったんだ……。)
(逃げられるわけねえよ、こんな悪魔みてえなバケモノから)
 やがてルポワの叫び声がした。
 あの男も捕まってしまったのか。
 そう思っていると、いきなり堅いものが首にまきつくのが分かった。
 木の匂いから、それが枝であるような気がした。
 しかし次の瞬間、首を締められたまま、体が急激に上に押し上げられるのが分かった。
体が地面を離れ上へ上へ向かっていく。
 ぼんやりと目をあけると、大樹が眼の前に見えた。
 大樹の幹の木目が下へ下へと下がっていくのが見える。
 何者かによって、自分は上へ向かっているのだと思った。
 ふととなりを見やると、首に枝を巻きつけたルポワが、自分と同じように
上昇してゆくのが見えた。彼の方は頭から血を流していた。自分を助けにきたときに
頭を殴られたのだろうか。すっかり気を失ってしまっているようにみえる。
 彼の手から、赤いバケモノの果汁にまみれた長剣がするりと落ちた。
 そして今は豆粒ほどにしか見えなくなってしまった番人たちのうごめく地上へ
と、キラキラ刃を反射させながら落下していった。
相当放置されてたので続けてみました。
ってかハードファンタジーってなんだかよく分りませんが。

 死にたい。
 早く楽になりたい。

 死は甘く優しく、ヘイドレクの苦しみを溶かしてくれるように思えた。
 その白い光のように強力なものが、自分を無にしてくれれば、現実も一緒にきえさって、
また家族のいたあの頃に戻れるような気がした。 
(誰か俺を殺してくれ)
 自分はもはや人間の体をもたなくなってしまった。
 自由に動かせる四肢ももたない。人間ですらなくなってしまったのだ。
 いま自分を人間にかえせるのは、ただ死のみだ。
 ジュオークをあんなふうにしてしまう前になぜ自ら命を絶たなかったのだろう。
なぜ人間を喰らう恐怖に苛まれながら命をたつ選択肢を選ばなかったのだろう。
 俺は知りたかったのだ。
 なぜ自分がこんなことになってしまったのか。
 母親をあんなふうにしたのは何だったのか。
 しかしこのザマはなんだ。
 俺は友人を瀕死の状態においこみ、自ら樹と化して森を破壊しているだけだ。
 ヘイドレク、おまえはもうバケモノなんだ。
 人食いのバケモノ。
 おまえが生きているだけで、罪なんじゃないのか。
(早く……楽に………)
(……誰か……)


 『汝を死なせはしない』

 幾重にも重なった膜を通したような低い声が、体全体に響き渡った。
内側から聞こえるようでもあり、それは外側からの声のようでもあった。近くから聞こえる
のか、遠くから叫ばれているのか、わからない。
 ヘイドレクは突如響いた声に意識を集中しようとした。
(……どこから聞こえてきやがるんだ?)
 もう一度、輪郭のつかめない不可思議な声が響く。

『破壊者よ。汝が初めに壊すべきは汝自身』
『それは死にあらず』
『然し死の苦しみを要する』

(破壊者……前にも同じことを言われたような気がするぜ)
 自嘲気味に彼は思った。笑いたかったが、口の感覚がなくなってしまっていた。
 声に返すように頭の中で念じる。

(すべての元凶はお前だな!!
あの時もそうだ、お前は俺のことを『破壊者』って言った)
(あれから何もかもおかしくなってやがる!!)
(これ以上何がしたい!?)
 念は手ごたえのない闇の中に溶けていくようだ。


 一呼吸おいて、先ほどよりももっと不鮮明な声が響いてきた。
 聞き取るのはより困難になっている。もはやずっと彼方から囁かれているような
虫の息ほどの声だ。

 『………は……らず。…が……うと…………を……』

 なにも聞き取れないことにイライラしながら、それでも用心深く、ヘイドレクは
耳をすませた。
 だんだん声は遠くなってしまう。
 しかし、最後の余力を振り絞ったように、声は一瞬鮮明さを取り戻した。

 『あ は…強 い………ぐ…消え…る………左手を……』

(ヒダリテ?)
 聞き取れた単語をもう一度反芻しながら、彼は左手の感触を思い出そうとした。
 その時、ビクン、と指先に電気が走ったような痺れを感じた。
 それはまったく唐突に彼を襲った感覚だった。
(左手がある!!?)
 彼は自分の左手だけが感触を取り戻していることに気付いた。
 他はすべて、口や足でさえ感覚を失い、それがあることさえ実感がないというのに。
 左手の親指を、まるで初めて手に入れたロボットか何かのように慎重に動かした。
ピクン、と反り返るのが分った。人差し指、中指、薬指、小指。五本全て同時に握り締め、
また開いて限界まで伸ばしきる。また、手の平を、前に曲げてみる。ひらひらと前後左右に
動かしたあと、肘から曲げる。
 どうやら自由になるのは左腕全体のようだ。

 たとえ一部分でも自由に動かせるのだ。
 自分が少し人間に戻った気がしたが、彼には不可解だった。
 なぜ、あの声の主は、この手を自由にしたのだろう?
 俺に何をさせるために?

 空を揺るがすような雷鳴が耳に飛び込んできたのはその時だった。
 夢から冷めたように、体をぬらす雨の温度が身に突き刺さった。
 体から伸びた枝という枝に、雨の雫が降り注ぎ、葉の表面を光らせる。
 雨の匂いがした。葉の青臭い匂いや、樹の香が色濃くたちこめている。
 そしてもう一度、空を粉々にしてしまうような雷の音が響いた。
 地上から遥か上にいるヘイドレクには、自分の真上でなっているのではないかと
思うほど迫力をもって響いた。いまにも体が散り散りになってしまうのではないか
と思うほどだった。
 次の瞬間はっとした。

  ───怖がりねぇヘイドは

 夢の中で聞いた声が蘇った。母の声だった。
 あれは夢だったか、それとも小さい頃の記憶なのか、分らない。
 続きを思い出そうと意識を集中させる。
 違う、他になにか言った。彼女は……

  ───大丈夫よ。雷は一番大きな人のところへいくんですもの

 そうだ。雷は一番高いところへいく。
 今、自分がいるところは一番上に違いないが、木の枝がまるでキノコの傘のように広がって
しまっていて、突出しているところはない。
 いま、この腕をのばせば、雷を呼ぶことが出来るだろう。
 あの飢えた獣のような雷はすぐにでもこの腕に噛み付くにちがいない。
 この体を一瞬のうちに切り裂いて、燃やし尽くすだろう。
 俺は、死ぬ。
 今度こそ、死ぬのだ。

 先ほどまで死は甘美な響きをもったが、今は具体的なカタチをもって喉元に突きつけられていた。
死ぬほどの痛みならこれまで幾度も味わった。痛みは一瞬だと思えばいい。
 しかし死をよく見ようとすればするほど、それは濁ってしまって何も見えなくなってしま
うのだった。ただ苦味と腹の奥にくすぶる不安を残して。
(迷うな……っ!)
 彼は自分自身を奮い立たせようとした。
 でなければ、死の中に飲み込まれ、左手の自由が再び失われてしまうような気がしたのだ。
 すると、もう一度先刻の言葉が、彼の身の内に蘇ってきた。

  破壊者よ。汝が初めに壊すべきは汝自身
  それは死にあらず

(はは、なかなか無茶なことを言いやがる……)
 いやな汗が全身からふきだす。
 冷たい雨のせいでそう思うのかもしれない。
(雷が落ちて死なない奴がいるか…?)
 死にあらず、とあの声は言ったが、到底死なないとは考えられなかった。
 しかし、考えてみれば、それならそれでいいかもしれない。
 彼は静かな覚悟が体の中で形を成しはじめるのを感じていた。
 ここで、このまま自分を失い、人間を喰うバケモノになるのと、得体の知れない声にまかせて、
自分を破壊するのと。どちらが自分にふさわしいのか、ようやく答えがでそうになっていた。

(ジュオークは、助かっただろうか?)

 ふと友の顔が頭をよぎった。
 導かれるようにして、ヘイドレクはすぐ頭上にある、灰をしきつめたような空に向かって、
その左腕を高く高く伸ばした。
 
コソーリと続き。
しかもよく分らん文章。落ちるか上がるまで続けてみよー。
文章練習もかねて。
228山崎 渉:03/08/02 01:41
(^^)
229名無し物書き@推敲中?:03/08/02 03:00
掻age
230山崎 渉:03/08/15 12:35
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
231名無し物書き@推敲中?:03/08/29 14:35
>227
この板でスレが落ちるってことはまずないよ。
のんびりマターリやりなさいな。

この小説、HTMLにしてまとめてみようかな。
読みやすいように改行とか整形してさ。いいかな?
しかし、続くのは>>7なんだよな……すべては>>7へのストーリー……
ハードにすればするほど、滑稽に思えてしまう。
そうだ、京都ヘ行こう。
唐辛子を両手に抱えて為吉は思った。
しかし、為吉の愛人の子供はうんこを踏んでしまった。
ある意味危険だ。
脳内危険センサーが鳴り響く中、為吉は東名高速を駆ける風になった。
所変わってここは幻の大陸、ムーです。
現在ムーでは、「秋葉原」の「はばら」がブームだった。
全く意味が理解できないな。
それが口癖のモンドリアルガバメギブリンは「秋葉原」の「きは」を練習していた。
きはーーーーーーーーーー!!!!
「きは」は難しかった。
ルール、一行以上書くなよ。
モンドリアルガバメギブリンはそんなことを言う「はばら」の師匠を憎らしく思う。
最近セックスしてないな。
247名無し物書き@推敲中?:03/08/29 22:41
一行リレー小説「奇跡の価値」、第一章完。
248名無し物書き@推敲中?:03/08/29 22:44
第二章から第二百九十八章までは作者の都合により省略します。
なんだってぇぇぇ!!
第二百九十九章:
 ヘイドリックは風の歌を聴いていた。高みから見下ろす世界は優しかった。
クロイツワァールの丘。元は精霊たちの住処であったというここは、未だ人の手の入らぬ未開の地でもあった。
「ここがさいたまか……」
太陽が眩しい。
子供たちが、銘菓十万石饅頭を口にする。
255名無し物書き@推敲中?:03/08/31 13:58
うまい、美味すぎる!
256名無し物書き@推敲中?:03/09/01 16:36
しかし、さいたま銘菓十万石饅頭には、欠点があった。
なんと、食べてしまうとサイタマ〜と叫ぶ副作用があったのだ!
258名無し物書き@推敲中?:03/09/02 13:05
「なんと言うことだ、我々は十万石饅頭に最後の希望を託したというのに、なぜ今ごろになってそんな欠点が……」
259名無し物書き@推敲中?:03/09/02 20:00
あげ
その時、異変は起きた。
突然、天から万物の根源たる太陽が大地へと向かって落ち始めたのだ。
ゆっくりとした回転で太陽に顔が現れる。現れた顔はサイタマーと叫び始めた。
261名無し物書き@推敲中?:03/09/03 10:43
ヽ(゚∀゚)ノさいたま〜! さいたま県民全員が一斉に叫んだ。世界中にさいたま旋風が吹き荒れる。
262533:03/09/03 16:21
ハ!?

・・・全部夢だったのか
263名無し物書き@推敲中?:03/09/03 16:30
ユメオチ(・A・)イクナイ! さいたま県民全員がつっこんだ。 533は死んだ。
「お願い。力を貸して。
 このままでは、世界中がサイタマに沈んでしまう」
「……姫。私のような世捨て人にそんなことを頼んでどうするおつもりです。
 全ては、20年前のあのときに決まっていたことなんですよ」
「そんな。民の苦労も、笑いも、
 みんな、あのサイタマのためにあったと言うのですか!?」
しかし、頭の中から声が聞こえてきた。
「サイタマサイタマサイタマサイタマ・・・」
悪夢はまだ終わっていない・・・
266名無し物書き@推敲中?:03/09/05 19:36
このさいたまの呪いを解くためには、姫の純潔が必要です!
アル>超えられない壁>>デル姉>アレックス>>ソフィア
>>>>超えられない壁>>>ディーオ>クラウス>他シルヴァーナの人たち>>
>>>>絶望的に超えられない壁>>>>モラン
姫が迷っていると、異世界から何かが着弾し、サイタマを打ち砕いた。
空から「スマソ、誤爆」という声が響いた。
時すでに遅し、姫はサイタマと化した。
「サ・・サイタ・・・・マ・サイ・・・・・タマ」
「姫ェーーー!」
このまま姫を殺すしかないのか?
270:03/09/06 17:51
 目の前に一人の少女がいる。

 少女は背を向けている。
 背中に垂らされている、つややかな漆黒の髪の毛は、太陽光を含んだ風にさらさらとなびく。
 華奢な手足には大小の鈴がついた装飾具がはめられている。大きな白い一枚の布を巻き、上から
幾重にも銀紐で押さえつけているだけの衣装から見ても、この少女は今夜、何かの儀式を行うの
だろうということがわかった。
 肩がかすかに動いて、少女がこちらを振り向いた。
 長いまつげに縁取られた円らな瞳を、とたんにうれしそうに細める。
 その笑顔をみた瞬間、カラダの中を暖かな血がめぐっていくのを感じた。耳奥に鼓動が響くのだ。
少女が駆け寄り、少年は少女を抱きしめる。
「綺麗だ、タウニ」
 腕の中で少女の、花を揺らすような笑い声がする。
 さわさわ、と頭上で木の葉も笑い声のような音をたてた。
「ね、ラライノ。《タ・カーファ》にきてくれる?」
 少年は無論だ、とでもいうようににっこり微笑んでうなずいた。
 二人は互いに陽光のような疼きを、胸のうちに感じた。それはこそばゆかった。
 やさしく視線がひとつに繋がると引き寄せられるように唇を重ねた。
 甘い花の匂いがする、と少年は思った。
 ヒメーダの花の匂いだ。

 



  暗転。
271:03/09/06 17:52
 さっきよりも成長し、まだ幼さを匂わすものの全体的に大人びた少女が、無邪気に
首をかしげてこちらを見ている。
 夕方になりかけた空が、丘の向こうの平原をすべてオレンジ色に染め上げ、薄紫色の雲が空の
上にところどころボンヤリ浮かぶ。
 顔半分に赤い光を受けながら、少女は、もう背丈が少女よりも大きくなった少年の手をまだ握っている。
「ほんと?」
 少女の唇からもう一度、その言葉がこぼれる。
 少年は少女の顔をみない。
 むずがゆいような気持ちで唇をかみしめたまま。
 少女の瞳が、斜陽をうけてきらきらときらめいた。涙が浮かんでいたのかもしれなかった。
 次の瞬間、喜びで顔をくしゃくしゃにして少年に抱きつく。
「約束してね!ほんとうに……あたしをお兄さんのお嫁さんにしてね」
 警鐘のように、頭上で木の葉がざわざわと騒いでいた。
 しかし双子の耳には何も入らない。 
 互いの体温のほかには。




  暗転。
272:03/09/06 17:53


 内臓を切り裂くような叫び声。
 双子の夢物語の最終章が幕をあける。それは夜。
 大勢の足音が二人の間の絆を踏みにじる。
 暗闇の中。月もない夜だった。星もなかった。
 誰も彼も惨劇に目をつぶりたかったのだろうか。
 少年は両手を何かで潰され、喉も目も潰され丘の見えない場所に引きずられていく。
 血のにおいが満ちる。
 潰された足の痛みで少女は気を失う。



  暗転。  
273:03/09/06 17:54

 来ない、来ない、来ない。
 あの丘の上の樹の幹に少女はくくりつけられたまま朽ちようとしていた。
 兄ラライノは襲撃の夜から姿がない。
 彼女は何も知らずに兄を待ち続けている。
 来ない来ない来ない。
「あれはおまえなぞ愛しておらぬ」
 いつのまにか傍に立っていた老木のような村の長老を、ぼさぼさになった黒髪の間から
見上げた。ヒューヒューと飢えた喉からは息しか漏れない。
「お前を捨てたのだ」
 嘘。嘘。嘘。
 約束した。彼はあたしを愛している。それがすべて。
「村を清めた娘が、もっとも重い罪で村を汚すとは」
 兄さん、来ない、来ない、来ない。



  暗転。
274:03/09/06 17:55

「まだ生きているのか」
「驚いたな。見ろ、樹と同化しかかってるんだ」
「《タ・カーファ》での踊りは見事だったもんだが、こうなってみるともはや魔女だな」
「魔女というか妖怪だよ」
「あはははは」
「早くくたばれ。おまえのせいで村は樹神の恵みを失うところだったのだぞ」
「そうだ死ね」
「死んで詫びろ」




  再び暗転。
275:03/09/06 17:59
 潰れた少女の足は樹の表面に吸収され、そこから樹の養分が流れ込み、少女はまだかろうじて生きていた。
 顔は黒髪が覆ってほとんど見えなかったが、腕の皮膚が老婆のようにしわしわになり、骨と皮だけになっている。
 悲しみは何千回も何万回も少女の腸を焦がし、やがて絶望と全てに対する憎悪になった。
 強い憎しみのエネルギーを樹が吸い取り、徐々に少女を体内に取り込みつつあった。
 少女は深い深い悲しみの泥沼に浸かったまま、兄を待った。
 しかし、来なかった。
 来ないはずだ。兄はとうに村を当に離れたのヒメーダの樹の下で息絶えていたのだから。
 しかし少女はかたくなに兄を待った。
 長老の言葉が彼女の心にしみ広がり、激しい怒りと混ざって、彼女の臓腑をずたずたにした。

 ──いつか。

 少女は最後の息をゆっくりと深く吸い込む。

 ──いつか私は兄を見つけ出して、この世界といっしょに殺してやるわ。
   ラライノの愛が私のすべて。
   それがないなら、最初から何も無いのと一緒───

 ゆっくりと息を吐きながら、彼女は世界に呪いをかける。
 強い呪いは強い力を彼女にあたえた。
 彼女の力を吸った樹は、誰もが目をみはるほどに成長し、成長し、
 やがて天に届いてしまった。 
276名無し物書き@推敲中?:03/09/06 18:15
その時、激しい誤爆の嵐が、姫に直撃した。
277名無し物書き@推敲中?:03/09/06 22:49
世界樹の産声。
278馬鹿二号 ◆ZTH7lDqG12 :03/09/07 00:29
そして男は運命の戦いをいどむのであった
>>6
279も し か し て:03/09/07 00:30
糸冬 了 で す か?
280本編:03/09/08 01:26
 身体を貫かんばかりの爆音が轟いた。
 ぐらぐらと空気が悲鳴をあげて振動し、同時に閃光が辺りに満ちあふれ、
ヘイドレクは突如全身を押しつぶしそうな圧力に、絶叫した。
 四肢をのこぎりで切り刻まれるような衝撃と、身体を雑巾のように絞られているような
圧迫感が同時に遅い、時間の流れてゆくのが激流のように全身に重い水圧を伴って押し寄せる。
 かと思うと、次の瞬間、顔の熱湯を浴びせられたかのようなじりじりと焦げるような鋭い痛
みが、顔の左半分に走った。
 そして突然、茫洋たる宇宙に投げ出されたかのように、あらゆる束縛、無論重力からでさえ
も解放された。ヘイドレクは何が起こっているのか分からず呆然とした。
 辺りは純白といってもいいように何もなく白光で満ちていた。
 完全なる無の中に、ヘイドレクは浮いているのだった。
 一瞬、長い夢を見たようにも思った。
 黒い髪の美しい少女の微笑む顔が脳裏をかすめ、再び何も分からなくなる。
281本編:03/09/08 12:23

 シャンシャラン シャンシャンシャン

 何処かで不規則に鈴の音が響く。誰かが動く音に呼応しているかのようだ。
 遠いところから聞こえてくるのか、それともただの幻聴だろうか。
 やがてそれも聞こえなくなる。
(死んだか……?)
 少なくとも生きている感じがしなかった。
 これは肉体の感じることができる世界とは程遠いところにいるようだ。
 では此処は何処だ?
 死後人々がゆくという、世界樹の頂上にある《神々の庭》だろうか。
 ああ、でも此処には神すらいない。何もない。
 此処は……?
 
 『時間の歪みの中にいるのだ。我々は《時の気泡》と呼ぶ』
 
 突然、何処からとも無く聞き覚えのある声が、ヘイドレクを包み込んだ。
 紛れも無くそれはヘイドレクが雷を受ける間際、彼の左手を解放した声に違いない。
 しかし声の実態は何処にも無かった。
282本編:03/09/08 16:19
「あんたか……俺を助けてくれたあん時の声……」
 身体に重くのしかかる様だった疲労や圧迫感は今は無く、ヘイドレクは虚空に向かって、言葉一つ一つを
確認するように話し掛けた。
 声の主が何処にいるのか分からなかった。遥か頭上から発せられているようで、背後から話し掛けられて
いるような感触もあった。
 声の主は何も答えなかった。ヘイドレクが言い迷っている先の言葉を促すかのように。
 ヘイドレクは続けた。
「俺は…同じ声を聞いたよ。夢ん中でだ。あんたは……確かラライノと呼ばれてたな…」
 しばらく沈黙したあと、声の主は深呼吸をするかのように静かにゆっくりと答えた。
『その通りだ。我が名はラライノ』
「やはりな。ただ妙なのは……あんたのその声は少し…大人びているな」
 返事は無かった。ヘイドレクは先を続ける。
「夢だからよく分からないが、あんたは若い時に、死んだみたいだった。それが今のあんたの声はまるで
すっかり大人になってやがる。まるで死んだあと、成長したみてえだ。そんなわけはないのに……」
 沈黙が空間を満たす。
 どちらも言葉を発しなかった。そのまま互いに黙りあっていた。
『……それの記憶がお前の中に流れ込んだのだな』
 長い沈黙のあと、再び低い声が満ちた。
 それ? 何のことだろう、とヘイドレクはキョロキョロと辺りを見た。
『……お前の胸にある種だ。雷で焼けてしまったが』
 種、と言われてハッとした。ふっと胸を見るとあの首飾りがあった。
 今や黒曜石のような輝きは消えうせ、焦げ付き鈍い光を放っているその石をヘイドレクはマジマジと凝視する。
 これが俺の変わりにあの凄まじい落雷を受けたのだろうか。
『それがお前を今まで死に追いやろうとしていた世界樹の枷だ。お前の母親の命を吸ってな』

  ドクン……───

 全身が冷水を浴びせ掛けられたかのように凍りついた。
 ああ、母さん…! ヘイドレクは喉奥から叫びにも似た悲しみが突き上げてくるのを感じた。
 《世界樹》その呪わしい言葉をまた再び彼は聞いた。それは確かに彼の運命の上に突き立てられたナイフに違いなかった。
「俺はその世界樹をぶっ壊してやる!」
 彼は知らぬうちに叫んでいた。
 いつのまにか握り締めていた拳に、見る間に血管が浮き出る。ふるふると四肢がやり場のなかった憤りに震え始める。
 声の主は何も答えない。
 ヘイドレクは口角に泡を飛ばす勢いで、どことも分からぬ声の主の胸倉をつかまんばかりに腕をふりあげて叫んだ。
「教えろ!その世界樹は何のために俺を!俺の母さんをあんな目に……!!!」

『お前が私の《呼の種》を体内に持っているからだ。ヘイドレク』

 
 ディ・フェイ
 《呼の種》 口の中でその名を反芻するが、聞き覚えは無かった。
「それが…その《呼の種》が何だって……?」
 頭が混乱して、ヘイドレクは前髪をがしっと掻きつかむ。ふと顔半分がピキ、と痛んだように思った。
『お前は私と繋がっているのだよ。私の魂を繋いでいるのだ』
「だから、世界樹は、俺を殺そうと…するってのか?────何のために?」
『私を抹消する為だ』
 消す?
 脳裏をまた一つのビジョンがよぎる。樹にくくりつけられた少女の断末魔の呪いの言葉。 
 (ああ、あの黒髪の美しい少女か)
「………そうか」
 全ての経緯が漸く此処で目に見える糸となり始めたのだ。


 しかし、だからといって全てが許されるはずが無かった。
 彼の母親を、そして彼自身と周りを巻き込んだ事態が無くなったわけではないからだ。蘇った悪夢に再び拳を握り締めると、
ギリギリと歯軋りする勢いでヘイドレクは怒りを押し殺した声で言った。
「だけどな、お前には悪いがな、俺はその世界樹をぶっ壊さなくちゃ気が収まらねぇよ……!」
『……うむ。それは、当然の権利だろう』
「…………」
『私の能力の枷は外された。これからお前の行く先に大いに貢献するだろう』
「…おい、待てよ。俺はあんたの妹を殺しにいくっつってんだぜ?母親をあんなめにあわせた上に俺も死ぬ目に合わされたからな。
その樹をぶっ倒すだけじゃ済まねえかもな。油をかけて丸焼きにしても足らねぇと思うぜ」
 沈黙だけが返ってきた。
 声の主は反論もしないで、ただまるでヘイドレクを傍観しているかのように黙っている。


『いいのだ。多分、私だけがあの樹を殺すことが出来るのだから』
 声の調子は穏やかだった。そして何処か悲しかった。
『彼女は私を殺し、この世界を破壊しつくすつもりでいた。私は殺されるのは構わないのだ。一向に……。
しかし世界が破壊されるというなら私は全力で彼女を止めなければならない。そして、それが出来るのが私だけなのだ』
「随分、自信があるな……」
 もし顔が見えるのなら、彼は微笑んでいるに違いない。
 とても悲しそうに、全ての覚悟を決めた微笑を浮かべているだろう。
 声ばかりをやりとりするうちに、ヘイドレクはまるで目の前に相手が立っているかのような錯覚に落ちていた。
『……《緑光の民》と呼ばれし者の定命かもしれぬ』
 ヘイドレクに言ったというよりもそれは独白に近かった。どこか自嘲を含んだ物言いだった。
(セドタ・カーファ。緑光の民、か)
 その時、ヘイドレクのはるか真上から、地鳴りのような唸り声が空間を揺らし始めた。
 腹にずしんと沈み込むような恐ろしい響きがあたりを満たす。
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオッゴゴゴゴッゴッゴゴオゴッゴゴ………

『《時の気泡》がはじけ始めたようだ。もっと話すことが出来たと思ったのだがな……』
 何も無かったはずの無の空間に、風が起こり始めた。
 ゆっくりと風が旋回をはじめたのが全身で感じられる。
 同時に痛みや疲労といった、今までかけ離れていた感覚がゆっくりと身体に戻り始める。
 頭が朦朧としはじめた。声がぼんやりと輪郭を失ってゆく。
 遠ざかってゆく声が、しきりにヘイドレクに呼びかけているのが聞こえる。

『《呼の種》はお前の助けとなる。ヘイドレク。世界を、世界樹を…赦し…』

 そして巻き起こる風の中に巻き込まれ、轟音のなかに何もかも掻き消えてしまった。
 
話を広げるのはいいが、>5-6>23に向かって収拾つけろよ。
>>289
はい。全てそこに向かうために書いてます。
うまく>>7に繋げられたら、俺の本懐は遂げられますんで。
もう少し文章力が欲しい。
 蜂蜜のような甘さと微かな酸っぱさが交じり合った不思議な香りが鼻孔をつき、次の刹那、人肌よりも
少し熱いくらいの温度に塗れた柔らかな布が頬にあてられた。
 まだ夢と現実の狭間を行き来していたヘイドレクの意識は、その刺激に一瞬にして現実に引き戻された。
 彼はゆっくりと双眸の瞼を開いた、重くのしかかる疲労を時間をかけて克服しながら。ただその動作で
さえ、彼に残っているだけの体力では、岩を持ち上げるにも等しかったのだ。 
 彼の視界に飛び込んできたのは、一滴の雨水だった。
 唐突のことに、彼は驚き、目を瞑り低くうめいた。
 するとその気配に気づいたのか、彼のそばにいた人物が慌てて彼の顔に手を当てたのが分かった。
「…あら、気がついたのね」
 どこかしっとりとした雰囲気を持つ声だった。柔和な響きの中にもしっかりとした芯のようなものがあっ
て、聞くものをどこか安堵させる声質を持っている。彼の瞼の上におかれた手は、ひんやりと冷たく、
頬に当てられた粘着性のある液体を多量に含んだ湿布の熱と、ひどく対照的だった。
 もう一度、重たい両瞼を持ち上げると、同時に彼の両目を覆う指が静かに退く。
 蓋を除かれ、今度視界に飛び込んできたのは、はるか頭上で小雨にうすくけぶる新緑の葉、その隙間に
埋もれるように見え隠れする枝々、それと同時に耳には河の音にも似た、ささやくような雨の音だった。
 視界の端で、黒いものが蠢いた。
 それに身構えようとして、咄嗟に首だけを起こすと、影の姿が鮮明に目に飛び込んできた。
 黒く厚い布地のフードを肩のところに落としているために、相手の顔は、雨のために薄暗い森の中でも
はっきりと分かった。頭部を覆う白髪は豊かで、後頭部で一つに球状にまとめられている。ヘイドレクを
正視する穏やかな色を湛えた碧眼や、柔らかな笑みを口の端に宿す唇や、顔の真ん中に通った鼻筋のまわ
り、そして首筋を細かく皺が走っていたが、この老婦人の知性あふれる美しさを少しも貶めはしなかった。
 彼女の全身は雨のためにすっかり濡れていた。こめかみのところから乱れた髪が一房落ちてきていて、
雨の雫を滴らせる。彼女は黒いマントの下から、同じように皺の刻まれたか細い腕を取り出すと、
ヘイドレクの頬にあたる湿布の位置を直してやった。
「動かないで。貴方が一番ひどい傷だわ」
 あげていた顔を下ろすと、ヘイドレクの耳ににじむように疲労が波になって押し寄せた。
 老婦の声は遠くで、ぼんやりと霞むように聞こえる。
 しかし、彼女の声の中にヘイドレクは言いようのない安堵感を覚えていた。遠い昔の母の声と、それは
どこか重なるところがあったからかもしれなかった。
 

「《血草》とあのガルグ(鷹の亜種。温和な性格と長距離に耐えうる肉体のため伝達用にしばしば用いられる)
がなかったら、今ごろ三人死んでいたでしょうね」
 目覚めたばかりのヘイドレクが意識を失わないように考慮してか、婦人はヘイドレクの全身に同じ湿布を当て
ながら穏やかな調子で話し続けた。今度は腕にあの熱い湿布をあてられたのがわかる。
 ここへ来てヘイドレクは全身を包帯のようなもので包まれていることが分かったが、じりじりと染みとおる
痛みと疲労に、意識もはっきりしなかった。
「森の様子がおかしいのに気づいたのがちょうど森へ入ったころだったかしら。急いで家に戻ると、家には一人、
何があったかは知らないけれど虫の息の怪我人がいたの。彼のいた場所にルポワ君が出て行ったしまったと、
すっかり血の気をなくした主人が私にいってねえ、あの慌てようったら」
 思い出し笑いにくすくすと息を漏らしつつ、婦人は湿布の上から包帯を巻き、ヘイドレクの様子をうかがう。
 彼が息をするたびに、かすかに唇がわななくのを見て、息をつくと、彼女は続けた。

「私は昔から草や木が大好きだったから、家にもたくさんの種類の草木があるのだけれど、その中で《血草》という
植物があって、これは風に乗って流れてきた血の匂いに反応して葉を持ち上げる性質があるの。それが葉を
いっせいに上にのばしていたから、私、きっと誰かが怪我しているんじゃないかって思ったのよ。急いで家中に
ある薬草を掻き集めて、手ごろな鞄につめたわ。でもすっかり焦っていたのね。肝心の居場所がわからない。その時
窓をすごい勢いでたたく者があったのよ」

 その時、猛烈な勢いで降り注ぐ雨音に混じって激しく窓を叩いたのは、人ではなかった。
 婦人が窓をあけると、雨に茶と黒の混じった特徴的な幾何学模様の羽をびしょ濡れにしながら、毅然とした姿勢を崩さずに
立つ一羽のガルグがそこにいたのだ。
 ガルグは恭しく猛禽類に見られる鉤状の鋭いくちばしを下げた。礼をするかのように。
 婦人はすぐにその白い羽毛で覆われた足にくくりつけられている紙を見つけた。
 それを解く間、ガルグは身動き一つせずに、じっと部屋の奥を見据えたままだった。素晴らしい躾けを受けたことが、
その小さな全身からあふれる誇りにも明らかだった。
 雨には濡れていたものの、手紙は読めない状態ではなかった。
 そこに書いてあった宛名は『カイザヘーク』
 それこそあのルポワの本名である。
 婦人はそこに書いてある内容を読むと、鷹のほうへ視線をなげかけた。
 鷹の丸いながらも鋭利な輝きを秘めた瞳は、婦人の意思を汲み取ったかのごとくに、二三度瞬いた。
「あなたはルポワの居場所が分かるのね」
 頷いたかのように見えた次の瞬間、鷹はもう窓辺を蹴り離れ、翼を大きく羽ばたかせはじめていた。
 慌てて外套がわりの厚手のマントを羽織ると、彼女は慌てて鷹のあとを追い、やがて森の中に倒れている血まみれの
若者三人と、まるで神の断末魔の悲鳴のように真っ二つに裂けた、巨木の残骸を目の当たりにしたのだった。

「────ほんとうに、心臓が止まりそうになったわ。幸い、血はルポワ君の頭から流れていた者と、もう一人の子が
鼻血を出したものだけで、あとは、真っ赤な樹液がほとんど。本当に良かった。私をみて追いかけてきてくれた
主人が二人を家まで運んだけれど、本当にひどい傷だったのは貴方よ。貴方はもう、動かしちゃいけないくらい
だったのよ………」
 うっすらと瞼を開いたヘイドレクの動作に、老婦人の言葉が途切れる。
 睫にふさがれて彼の瞳はよく見えなかったが、しきりに彼の青ざめた唇がわななき、かれが何かを言いたそうにして
いるのを、老婦人は汲み取った。
 耳をすまして彼の口元に耳を寄せると、この青年の唇の奥から、うめきともつかない低い声が零れてきた。

ちょい訂正
>>293
6行目「貶める」ではなく「見劣りさせる」のほうが正しいかもしれないので直します。
推敲不足で申し訳ありません。
 下生えが何者かによって踏まれ、力ない声をあげた。

 横たわるヘイドレクの耳にはそれは確かに左方、そして此処からそう遠くない場所から発せられた音として飛び込んできた。
 はっとして、顔を向けると同時に左頬に当てられていた湿布がずり落ちる。
「あらあらいけませんよ。まだ動いては……」
 湿布のズレを直そうとした老婦人の耳にも、はっきりと、それは聞こえたようであった。
 雨に混じって風が時折すすり泣くような音をたてる。その中にひっそりと紛れ込むようにして、誰かの足音が
こちらに近づいてくるのだった。
 それも奇妙なことに、ひどく緩慢に、歩くのが覚束ないとでもいうような不規則な足音なのだ。
 激しさを取り戻し始めた雨に、悪化する視界に姿は見えない。
 老婦人も動作のかたまったままの手を、慎重に懐に引っ込め、息を殺して、ぼやけた森の奥を見つめた。
 視界の奥には二股に割れた巨木があるはずである。
 足音と同時におこる微かな振動が、全身に伝わってくる。
 ドクン、ドクン、
 心臓が高く響きはじめる。まるで足音に呼応するかのように。同時に左手がビリビリと痛み始めた。
 身体は大地に貼り付けられたかのように動かない。
 白い霧の奥からやってくる影の奇妙な足音だけがその場に伝わってくるだけだった。
 老婦人の息を呑む気配がした。
 やがて容を明瞭にしはじめた影は、その奇妙さも露呈しはじめた。
 色も容も、人間のものではないと瞬時に理解できるほどだったのだ。
 それは目にも毒々しいほど紅かった。大きさはちょうど成人した人間ほどだったが形がヒトとは明らかに異なる。
 頭部にあたるところから下までゆるい曲線を描いて膨らみ、腰のあたりから左右に突出した部分が現れる。
 そしてさらに再び二股に分かれ、まるで人間のいうところの『足』が形成されているのだ。
 その部分でゆっくりと歩いてくる。
 腰のあたりにぶら下がる『手』は先端にいくにつれて細くなっていて、地面すれすれに垂れ下がっており、それが
動くたびに前後に揺れている。
 頭部にあたるところには小さく穴のような目がつき、奥で金色の炎をくゆらせている。
「なんてこと……」
 老婦人が驚きと悲嘆の入り混じったような声で呟いたのが聞こえた。
「緋の番人…」
 無意識に呟いたのだろう。思わず零れたというような消え入るような声だった。
 ヘイドレクのように横たわる者からすれば、見上げたその景色は異様だった。
 傍らに佇む奇怪な、《果実》という形容すら間違っている《化け物》
 本来食すはずのそれは確かに動き、ヘイドレクの真横に確かに立ち、彼を見下ろしているのだ。
 金色の目でヘイドレクを見つめたまま、《緋の番人》は微動だにしなかった。
(こいつは俺を殺しにきたのだろうか)
 頭の隅でふとそう思った。しかし攻撃をかわすにはあまりに疲労しきっていた。
 この状態で《緋の番人》が攻撃をしてくれば確実に死んでしまうだろう。
 そう考えていたのはヘイドレクばかりでない、傍らの老婦人も同じ懸念を抱いていた。
「おまえ……俺を殺す…か?」
 見下ろす《緋の番人》に絞りだすようにそう言ったとき、自然口の端が引きつった。
 己の身体から生まれたモノによって殺されるか、そういう自嘲がヘイドレクを笑わせたのだ。
「刺激しては駄目…!これは《緋の番人》といって凶暴な……」
「そんなこと知らない……こいつは、俺から生まれたんだ」
 老婦人の言葉をさえぎるように、ヘイドレクは言った。その言葉は老婦人をどれほど驚かせたのだろうか。
彼女は目をわずかに見開いた。


「畜生……」
 まだ此処で死ぬわけにはいかない、しかしもう術がない。
 ヘイドレクは果実を睨み続けながら、どうにもならない己の非力さ無力さに歯噛みする思いだった。

「アッ……!」

 小さく老婦人が虫の鳴くような小さな悲鳴をあげた。
 《緋の番人の》右手が動いた。横たわるヘイドレクの上にかざされたのである。
「私の目の前でそう簡単に殺させないわ!」
 婦人がマントの奥から手を取り出して、《緋の番人》のかざされた『手』にたたきつけた。
 しかしそれには小さなナイフが握られていた。
 刺されたにもかかわらず、《果実》は騒ぐことも攻撃することもなかった。
 その手からポロポロと何かが無数に零れ落ちてきた。
 それは萌黄色をした小さな柔らかな葉であった。
なんかいきなり変な用語とか増えだしたのは気のせいか。
途端に面白くなくなってきたぞ。
「これは……」
 老婦人がつぶやく。
「モーリエ……────」
 ヘイドレクには老婦人の言葉が何を意味するのか分からない。
 ただ、自分の上にぽたぽたと温かな赤い怪物の《血》と混じって、小さな緑の芽が落ちてくる感触がある。
 鼻腔を果実特有の甘いにおいがくすぐる。その強い香りにまじって、草のにおいがしはじめた。
 爽やかな匂いが意識にかかる靄を飲み込んでいく。
 同時に、体中の血液に混ざって全身をめぐり、四肢にしつこく絡みつく疲労や痛みを軽くしていく。
 重く地面に張り付くような身体が、徐々に軽くなってゆくのがわかる。
 眼にも毒々しい赤色をした巨大な《緋の番人》は、それ以上何もせず、動くこともなかった。
>>302
すいません…。
造語は読みにくいだけですね。控えます。
違う、読みにくいんじゃない。
仮想の存在に頼りすぎて現実感が圧倒的に薄れたと言いたい。
これまでの流れの空気を読んでないんじゃないかと言いたい。
>>305
既存のファンタジーのパターンになってきたと言う事でしょうか。
雰囲気壊したくはなかったのですが……。
すみません。あと2レスだけUPしたらいろいろ学んできます。

 全身に力が入ることを確認し、続いて慎重に上体を起こしてみる。
 今や疲労は嘘のようになくなっている。
 ぺりペリ、とかすかな音をたてて、頬に張られていた湿布が剥がれ落ちた。
 黄色い樹液のようなものにひたされた其れには、痛々しくかすかに血がにじんでいた。
 眼にするや、ヘイドレクは反射的にそれがはがれおちた左の頬に手を当てた。
 湿布のせいで濡れていたが、それでも皮膚の凹凸から頬に亀裂が入っているのが分かった。
 思わず皮膚の内部に触れてしまったせいで、鋭い痛みがはしり慌てて手をひっこめる。
 ヘイドレクは神妙な面持ちになると、再びおそるおそる頬に指の腹を這わせる。
 傷は左目のところまではっきりとついていた。そして瞼の上から額の半ばまでぱっくりと割れているらしかった。
 意識が明瞭になると同時に彼はそこでようやく視界がおかしかったことに気づいた。
 左目が開いてなかったのだ。
「おい…眼……俺の左目はどうなってる…」
 なかば放心した状態でひとりごちるように彼は言った。
 

「え…?」
 目の前の赤い化け物に気圧されたのか、顔の筋肉を硬直させたままの顔で老婦人はヘイドレクに視線を移す。
「え、じゃない。俺の左目は…その……どうなってるんだ?」
「…あなたの……」
「左眼だ」
「ああ…眼のこと、ごめんなさい。ええと……瞼の傷がふさがるまで開けないでしょうけど、見えるようにはなるはずですよ」
「……そう…か」
「それよりも」
 老婦人は眉をひそめ、伺うように目の前で動きを止めている《緋の番人》を見上げた。
「私には何がどうなっているのか皆目分からないのだけれど……」
 老婦人にならってヘイドレクもその巨体を見上げてみた。
 《緋の番人》と呼ばれ植物学者たちからその凶暴性を恐れられる、生ける《果実》は今、
静かに小さな金色の目でヘイドレクを注視している。
 その眼差しにはヘイドレクを心配するような気配さえ感じられるのだった。 
 ヘイドレクが、その《果実》に向かって何か言いかけた時だった。
 遠くから人の叫ぶ声がした。叫ぶ、というよりも大声で何かを呼ぶような。
 ヘイドレクよりも先に、老婦人がその声の方をはっとした面持ちで振り返り見た。
 雨の音の中にぼやける声の輪郭が段々近づいてくる。 何かを探すような声だ。
「…………ぉぉ!ォオフィー!おおい、おーい」
 ヘイドレクの身体に力が入る。
 と、突然傍らに座っていた老婦人がマントの中から手をあげて大きく振り上げた。
「あなた!来ては駄目よ!」
 雨にぼやける視界に、朱色の点が灯っている。それに浮かび上がるようにして、枯葉色の人影が見え始め、
それは小走りなのか急速にはっきりとした形になった。
 同時に呼び声も明瞭になる。
「ソフィー!そこにいるのかね!」
 しわがれてはいるが、どこか心強く思われる男の声だ。
 老婦人が急に立ち上がって叫んだ。険しい顔つきになっている、振り上げた手で、マントの端を硬く握り締めたまま。
「来ては駄目、そこにいてちょうだい、あなた」
「お、おまえおまえ……それは……!!」
 ランプの燈火が左右に揺れ動きながらその場に止まった。枯葉色のマントに身をつつんだ男の顔は
今、ヘイドレクの眼にもよくわかった。
 ハの字になった眉は恐怖に歪み、その下の丸い眼は信じられんというようにいっぱいに開かれて、
二人の傍らに佇む《果実》を注視していた。
 その時だった、ヘイドレクが巨人の目の中にある光が消えたことに気づいたのは。
 《果実》がゆっくりと、歩きなれぬのかもともとそうなのか、身体を前後左右に揺らしながら、初老の男の方に向き直った。

「──あ、あなた…!」

 今まで動きをやめていた《果実》が動き出したことにヘイドレクも驚いたが、もっと驚いたのは傍らの老婦人であった。
 彼女はあの獰猛な《緋の番人》が、向きを彼女の夫のほうに変えたことで、心臓が止まるかと思うほど驚き、
擦り切れる寸前の糸のようなか細い悲鳴をあげた。
 枯葉のマントに身を包んだ男は蒼白になって固まってしまっていた。

 しかし《果実》は彼女の夫を見もせずによろよろと半回転し、向きを変えると、何もせずにまた元来た方向へ、
あの真っ二つに割れた巨木の方角へ歩きはじめた。
 それが霞む視界の遠くへ赤い点になってしまうまで、誰も何も話もせず、身動きもしなかった。
 やがてそれも見えなくなってしまうと、雨の音がやけにはっきりと耳に飛び込んできた。さっきよりも勢いがなくなっている。
 空が薄暗くなっているのはもう夕刻になりかけているからなのだろう。
 先に固まっている空気を切り裂いたのは、老婦人だった。
「………歩けるかしら」
 顔をあげると、老婦人が上からヘイドレクを微笑を浮かべて見下ろしていた。
 彼女も今しがたのことではりつめていた緊張がとけたのか、微笑には明らかに疲れが浮かんでいた。
 ヘイドレクは緊張が解けたことに微々たる疲れは感じたが自分の中の肉体的な疲労がいまやすっかりなくなっていることに気づいた。
彼は老婦人の問いに頷くと、よろよろと立ち上がる。


「モーリエは効くでしょう?……でもまだ急には歩けないと思うわ。あなた、手伝ってくださる?」

 そう言われると、まだ《果実》の方向を不安げに見つめたまま固まっている老いた男が、はっとしたように顔をあげた。
 慌ててヘイドレクの隣にやってくるとその腕を持ち上げ、彼の肩にまわした。
 老婦人が夫の手にしていたランプを受け取ると、その場にあったかばんを取り上げ、ヘイドレクの肩に
その皺の深くきざまれた細い手を、そっと添えた。

「……まず私たちの家にいきましょう。そこで、話してくださるかしら。あなたの知っていることを……」

 ヘイドレクは老婦人の顔は見ずに、神妙な面持ちで頷いた。
 どこまで知っているのかは彼自身も分からなかったのだが。

314名無し物書き@推敲中?:03/11/22 18:04
もうこのスレも終わりか・・・・
315名無し物書き@推敲中?:03/11/24 00:35
なんとかしよーよー。
本当にここから>>7に繋げられるの?
お、終りなのか………
書き手は此処を見放したのだろうか
あっがれぇぇぇぇ!!
クソスレの悪寒
320偽者 ◆wY.7vOSg46 :04/01/14 22:51
(メ´_ゝ`)ノ 誰かここまでのあらすじまとめてくれ。
慢性的な眠気のせいで長い文章読んでても理解できないんだ。
話がつかめたら最初から読み直してみる。
それから、続きを書くことを約束しましょう。

偽者じゃダメか。w
321あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/15 04:13
>>6から>>99まで

世界樹はこの世の全てを支えており、誰もこれを害そうとはしなかったが、
左目に稲妻のような傷跡を持つ巨漢は例外であった。
その男は自慢の巨根であろうことか世界中に勝負を挑んだのである。
すると世界樹は女性器を作り出し男の要望に応えた。
 
 男【ヘイドレク】の過去
紀元前5012年、兵役が終わり、故郷に帰るも家族は無く、男は全てを失った。
ゼンダマンという名前に問題があったのだろうか。
男はまだ只の青年であったが、次第に心は荒み盗賊まがいの事をするようになった。
ある日男は老婆を(実際は母だったのだが)殺し、金の首飾りを奪った。この時男は世界樹の破壊者となる。
首飾りは男の体と同化し、はずす事は出来ないようだった。
母の体からは根が伸び、地面に縫い付けられているようであった。
母を埋葬した男は酒場に行き、知り合った女と一晩を共にする事になる。
女との睦言の際に、自分の男根が人間から養分を奪うようになったことを悟る。
男は女の養分で大きくなった体を隠すようにし、王都へ向かった。
体に起こる異変を苦しみながらも、歩を進めるうちにかつての友【ジュオーク】と出会う。
友の家で語り合ううちに男の体は暴走を始めてしまい、友を襲ってしまう。
殺してしまうことだけは避けたが、いつ死んでもおかしくない状況の友を抱え、彼は森へ向かった・・・
322あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/15 05:09
>>100から>>187まで

 別視点(>>100から>>109
皇后と皇太后と老医【ルシュア】は根に取り込まれた王と王女【ヘイア】の状況を知るため、
樹に詳しいという樹学者【カイザヘーク】を探すことになる。
根は脈を打ち、ヘイドレクのものと同じものであったが、彼らがそれに気付いたかどうかは分からない・・・

 >>166から>>187まで
男の体からは芽が吹き出、背後ではとてつもなく大きく異様な樹が育ちつつあった。
樹は森を包むように育ち、不気味な実をつけた。
翌朝農夫によって発見されたジュオークは、森の近くにある家へと運び込まれ、
眼鏡の青年【ルポワ】に治療される。
ルポワの話によれば、
ジュオークの体に降りかかっていた治癒能力の高い【モーリエ】という植物が命を救ったのだという。
ルポワは森へと芽を探しに、そして果実を見に行く。
途中で不吉な予感がしたものの彼は進むことを止めず、ついにモーリエへとたどり着いた・・・

モーリエ・・・・この植物は治癒能力が高いのだが、成長条件が厳しい上に【緋の番人】と呼ばれる果実が芽を守るため入手が非常に困難なのである。
発芽から成長しきるまで数百年かかり、他の樹から養分を吸い取り成長する。

疲れたんでひとまずここまで
本編かサイドか分けて書いてあると読みやすくて非常にありがたいと思う今日この頃
323あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/15 06:48
>>188から>>247まで

 ルポワ視点>>188から>>209まで
目を覚ましたヘイドレクは自分の体が樹と化していることに気付き呆然とする。
一方、木の下ではルポワと通りすがりの青年【ジーノ】が緋の番人に襲われていた。
ルポワにより何とかその場ぼ危機は避けれたものの、依然として番人は襲いかかってくる。
ルポワは見事な剣術を発揮し、必死に逃げようとするが結局ジーノ共々捕まってしまう。
捕まった二人は枝により持ち上げられ・・・

 ヘイドレク視点>>210から>>227
母を殺し、ジュオークを瀕死に追い込み、
そして今完全に人間で無くなってしまったヘイドレクは死を望むようになっていた。
強く死を望んだ時、何処からとも無く不思議な【声】が聞こえてきた。
声は「ヘイドレクが破壊者であること」、「最初に破壊すべきものは自分であること」、
「しかしそれは死ではないこと」、そして「左手が自由に動かせること」を伝えた。
自分の真上では雷が鳴っている。
実際に左手が動くことを知ったヘイドレクは、
いろいろ考えた末に自分の真上で鳴っている雷に向けて大きく手を伸ばした・・・

 為吉フォーエバー(>>233から>>237
唐辛子を両手に抱えた為吉は京都行きを決意する。
しかし愛人がうんこを踏んでしまい、脳内危険センサー鳴り響く。
そんな中東名高速を駆ける風になった為吉だが・・・

 ザ・ムー「奇跡の価値〜第一章」(>>238から>>247
ムーで流行の「秋葉原」の「はばら」という言葉に対し、
「理解できない」とうそぶくモンドリアルガバメギブリンは「きは」を練習していた。
「きは」は難しく、その上に勝手なルールを設けた「はばら」の師匠を憎く思うモンドリアル。
そんな彼の悩みは一つ、最近セックスレスな事だ。
324あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/15 07:48
>>251から>>288まで

 放置・そして〜>>251
精霊たちが住んでいたというクロイツワァールの丘。人々の信仰のためか未開のまま残っている。

 采の国編>>252から>>276>>270から>>275は除く)
子供たちは最後の希望を託されたさいたま銘菓、十万石饅頭を食べていた。
大変美味な饅頭だが、食べると「さいたまー」と言ってしまう重大な欠点があった。
人々が欠点に気付いた時には、太陽に現れた顔が「サイタマー」と叫び始めていた。
 この時さいたま県民総出で「サイタマー」と叫ぶことにより世界がサイタマに沈み始める。
 また533の死亡が確認される。
誤爆によりサイタマは破壊されるものの時既に遅く、姫はサイタマと化していた。
しかし人々が行動を起こす前に誤爆の嵐が姫を直撃し・・・

 世界樹(夢の中へ)>>270から>>275>>277
村を清めた娘【タウニ】は兄【ラライノ】と禁断の恋に陥ってしまう。
二人は村人により制裁を受け、ラライノは死にタウニは生きながら樹と化していった。
強い怒りと憎しみから彼女は世界に呪いをかけ、呪いは彼女に力を与えた。
彼女の力を吸った樹は彼女の怒りのままに大きく、大きくなっていった。
樹の名前は「世界樹」といった・・・
325あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/15 07:49
 >>280から>>288
稲妻はヘイドレクを貫き、体を引き裂くような痛みと顔の左側が焼けるような痛みを与えた。
薄れ行く意識の中彼は黒髪の美しい少女を見た・・・
鈴の音で意識を取り戻した彼は、声によって自分が時間の歪み【時の気泡】にいることを教えられる。
彼は声の主が夢で見た、ラライノのものと知る。
声により首飾り(落雷で焦げ付き、もはや只の石のようだが)は【種】であると聞かされる。
声が言うにはヘイドレクの体は【呼の種】(ディ・フェイ)を持っており、
ラライノとヘイドレクとの魂をつないでいるのだという。そしてそのために世界樹はヘイドレクを狙ったのだ、とも。
声は世界樹を壊すと言ったヘイドレクを否定することは無かった。
時の気泡がはじけ始め再び意識が遠くなるヘイドレクに、
声は「呼の種は助けとなる事」と「世界樹を赦して欲しい事」を伝えた・・・


【時の気泡】・・・時間の歪み。はじけるらしい
【神々の庭】・・・世界樹の頂上にあり、人が死後に行く場所とされている
【呼の種】(ディ・フェイ)・・・ラライノとヘイドレクの魂をつないでいた枷
【緑光の民】(セドタ・カーファ)・・・今はまだ不明。ラライノはそう呼ばれているようなのだが・・・

326あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/15 08:16
>>292から>>313まで

老婦人(ソフィー)による看護で意識を取り戻したヘイドレク。
【血草】と【ガルグ】のおかげで助かったらしい。血草で怪我人がいることを、ガルグでその位置を知ったのだという。
話を聞いていると突然、しかしゆっくりと緋の番人がやって来た。
番人は、彼らを襲うどころかモーリエで治療し始めた。
治療が終わった後も番人はその場にい続けたが、農夫がやってくるとゆっくりと森の中央へと帰っていった。
ひとまず農夫の家に向かうことになったのだが・・・

【血草】・・・血の臭いに反応して葉を持ち上げる
【ガルグ】・・・鷹の亜種で、温和な性格で長距離飛行が可能なため、しばしば伝達用に用いられる。
        またカイザへークを探す目的でも放たれた
【カイザへーク】・・・ルポワの本名

あらすじなのにあんま端折ってない上に、文がまずくってすみません
精進して来ます
327名無し物書き@推敲中?:04/01/15 09:39
うんっ! 素晴らしい! あらすじ屋 ◆i9xallK9DAはグッジョッブや!
これで、今までの流れが人目でわかるねっ!!!!!!!!!!!!
328偽者 ◆wY.7vOSg46 :04/01/15 21:24
>>あらすじ屋
(川´_ゝ`)ノ サンキュゥ。なんか難しいなぁ・・・でも約束しちゃったから
少し書きましょ・・・。
期待下げ
330名無し物書き@推敲中?:04/01/17 21:40
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<まだー? まちくたびれた。
             \_/⊂ ⊂_)_ \______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/
>>330
じゃぁーリレー小説なんで、漏れもチョト書いてみたのをあげよう。
332名無し物書き@推敲中?:04/01/18 15:08
>>331
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<早く〜 まちくたびれた。
             \_/⊂ ⊂_)_ \______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/

 黄色い樹液にひたされた布をあちこちにあてられ、その上から包帯でぐるぐる巻きにされたうえ、
ほんの少しの間に驚くほど痩せこけて眠るジュオークを眺めながら、ヘイドレクは悔しさに拳を
握り締めずにはいられなかった。
 生きながらえていることが不思議なくらいだった。
 化け物となっていく苦しみに蝕まれる毎日を、ジュオークの冗談が、かつてのポート・ニース
が、一時とはいえ癒してくれた。
 だが今や、あの懐かしい香りは、舌の上から血の味とともに流されてしまった。
 木の焼ける臭い。ジュオークの叫び声。
 ──逃げればよかったのだ。あんな恐ろしい光景を見たら、逃げ出すのが当たり前だ。
 しかしヘイドレクは、ジュオークという男はそういうことのできない男だと知っていた。
 いつもおどけたように笑いながら、いざというときに逃げ出す小心者ではない。
いつも先頭をきって仲間を助けに戻るのは彼だった。自分の心配をするまえに他人の心配をしてしまう、
致命的な優しさがあった。

 キィ、とドアが開く音がしたが、ヘイドレクは振り向かなかった。

「あなたの御友人には気の毒な話でした」

 ルポワは悲痛な面持ちで横たわるジュオークを一瞥した。
 物静かにヘイドレクの傍まで歩み寄ると
「ちょっとこれ、持っててもらえますか?」といって、コップを手渡し、ジュオークの口を覆っていた布
をはがし始めた。
「何をする気だ」
 脅すような低い声に、ルポワは口元に笑みを浮かべた。
「何でもありませんよ。ただの栄養食ですから」
 そういって、ジュオークの真っ青になって、水気を失った果実のような口元に、オレンジ色も鮮やかな
木の実のようなものを差し込んだ。
「ラウシの実です。栄養価が高いうえに吸収力が良いですから、こういうモノが食べられない状態の
患者さんには最適のものなんです。それに先生がご自身で品種改良をなさって、野生のものよりも格段に
苦味が減りましたし、栄養価も高まりましたから、まさに文句なしの栄養剤なんですよ。あ、コップどうも」
「ばかに詳しいな。先生ってのは、あのばあさんか」
「あ、いえ。彼女は先生の妹です。先生は行動派なので滅多に会えないですよ」
 そう照れたように笑うと、ジュオークの頭を持ち上げて、口元にコップをあてて、慎重に水を注いだ。
 その動作を眺めながら、ヘイドレクは自分のひざを無意識にさすった。

 彼自身も致命的な重傷を負いながら、いまはもう奇跡的にほとんど回復していた。
 この怪しげな眼鏡の男が言うには、あの赤い化け物の落とした『葉』のおかげだという。
 《緋の番人》と言っていた。
 なぜ、あれは自分を助けたのだろう。
 あの時、あの血のような果汁と葉を降り注ぎながら、あの《果実》の目に殺気はなかった。
 まるで「愛情」ともいえるような感情があった。
 なぜだ。

 考え込んでいたヘイドレクは、ルポワの声を聞いていなかった。
 そして不意に、言葉が飛び込んできた。
「………かもしれない」
「ん?」
 顔を上げると、コップを持ったまま、ルポワがいつものヘラヘラ笑った顔とは打って変わった真剣な顔で
こちらを見ていた。
「あなたがさっき話してくれた『世界樹』のこと、僕も聞いたことがあります」

「何……?」
 ヘイドレクは思わずルポワを凝視した。
>>281で『神々の庭』が世界樹の頂上にあるってヘイドレクが知ってるのは
不自然だから、その箇所なくしたほうがいんじゃねーかと。
それじゃぁ。
337偽物 ◆wY.7vOSg46 :04/01/18 18:38
(川´_ゝ`) ・・・何だろう・・・ね、うん・・・
338名無し物書き@推敲中?:04/01/19 16:05
偽者タン新作Murder?
339あらすじ屋 ◆i9xallK9DA :04/01/22 07:26
俺のやったことが無駄だったとはな・・・
340偽物 ◆wY.7vOSg46 :04/01/22 18:46
か、、か、書くぜ、書くぞ!いいか、書くぞ!ホントに書くぞ、今書くぞ!?

・・・マジだぞ!?脅しじゃないぞ!?
ドキドキ
342偽物 ◆wY.7vOSg46 :04/01/23 19:35
(川´_ゝ`) 。oO(マジかよこれ引っ込みつかねぇよ。まだ内容つかめてねぇんだよ・・・)
(゜V゜)。oO(大丈夫だよ………気にせず書き込んじまえよ、これはリレーだ。ヤッベヤッベってなったら、後の奴に任せりゃイイさ!)
344偽物 ◆wY.7vOSg46 :04/01/23 21:57
(川´_ゝ`) 。oO(おお、なんか誘惑の声が聞こえてきたなぁ・・・でもいいこと言ってる気がする・・・
 じゃあこれって、「誘惑」じゃなくて「導き」じゃないか。そうだ・・・今書かないと俺は嘘吐きだ。
 でも、でも・・・・・・ネタねぇ・・・)
345名無し物書き@推敲中?:04/01/25 16:34
それでも急浮上
346名無し物書き@推敲中?:04/02/05 15:16
定期上げ
誰ぞ、誰か居らぬのか
黒き英雄ヘイドレクの物語の語り部は………もう居らぬのか!
348名無し物書き@推敲中?:04/02/10 06:05
ルポワは世界樹について知ってることを語りだした。
ヘイドレクは一言も聞き漏らさないように集中して聞いていたが、
求めていたような話を聞くことは出来なかった。
しかし全く収穫が無い訳ではなかった。
モーリエと緋の番人についての話だ。
本来は近づく者を排除するという緋の番人が、
彼らを襲うどころか治療を施したことは学者ではないヘイドレクにとっても大きな疑問であった。
また、何百年とかけて成長するはずのモーリエが短期間で成長した事・・・
「と、まぁ、僕が知っていることは以上です。つまり、世界樹は伝説上の木であり、存在しないとする文献が
 ほとんどだということですね。残念ですが」
 その言葉などもうほとんど興味を失って、ヘイドレクはなにやら思索にふけっているようだった。
「しかし」
 ルポワはそこで言葉を切ると、そもったいぶった様子でチラリとヘイドレクを見た。

「その中で、おもしろい説があったのです。デルロ・ローザンという人が唱えたものですが、その人は、
世界樹はいまだあると主張していました。そして化石化しているのではなく、ただ眠っているだけだと」
「眠っているだけ……?」
 ヘイドレクの興味がのってきたことを確認すると、ルポワは楽しそうに頷いた。
「そうです。それが目を覚ましたときに世界は終わるそうです。おもしろいですよね。もちろんこの説は誰にも
相手にされないで多くの巷説に埋もれてしまいましたが。僕はいつだったか、友人からその人の書いた本を
もらったのです。それが、王都の僕の家にあるはずです」
「その、デルなんとかっていうやつの書いたやつを読めば……」
「ええ。何か分かるでしょう。それに、もうひとつ」
「なんだ?」
「僕にその本をくれた友人が、いつか『緑光の民』の話をしていました」
「なんだと?!」
「まぁまぁ落ち着いてください」
 思わず身を乗り出したヘイドレクをなだめるように、ルポワは両手を押し出すような身振りをした。
「これは僕の専門分野ではないので、これ以上のことは何もわかりません。
 ただ、僕の友人……そう、彼は民俗学を専門としているのですが、『緑の民』の末裔が今も生きている
 ことが分かったと嬉しそうに僕に話してくれたことがあるのです」

 ルポワの淡々とした口ぶりとは対照的に、ヘイドレクの身のうちは血がたぎりだしていた。
 未来へ続く道が照らし出され始めている。
 その先に何があるのか分からないが、とりあえず、道は定まった。
 俺はかならず
 知れず、ヘイドレクは微笑んでいた。ぞくぞくと期待に胸が高鳴る。
「王都だ」
「え、なんですか?」
 聞き返すルポワにヘイドレクはにやり、と笑み返した。その瞳は今や燃えたぎる復讐の炎で満ちている。
 ゆっくりと彼はもういちど繰り返した。

「王都へ行くぞ」

 ではジュオークさんの傷がふさがったら王都へ戻りましょう。
 最低でも10日後には出立できるはずです。
 私が王都までの道を案内します。


 そう言い添えると、ルポワは部屋の外へ出ていった。
 窓外はもう夜の帳をおろしている。老夫婦はヘイドレクのために毛布を用意してくれた。
 横になったほうがいいという彼らの忠告を丁重に断り、ヘイドレクは友のかたわらにいることを望んだ。
 ランプが卓の上で赤々と燃え上がっている。
 椅子に腰掛け、毛布に包まりながらヘイドレクは変わり果てた友の姿を見守った。
 揺れる炎の光は、あの夜を思い出させた。
 ジュオークの骨のように細くなった足に手を置き、彼はやりきれなさにうなだれた。
 長いこと、そのまま動かなかった。

「……いど……く」
 その時ふいに、どこからか声が聞こえてきた。洞窟の奥から漏れくる風の音のような。
 うなだれたまま彼はその声を聞いた。
 顔をあげると、ジュオークの萎んだくちびるがわずかに開いて、そこから声が聞こえてくるのだった。
「ジュオーク?」
「……ヘイド……レ…ゥ…」

 間違いなかった。友は自分の名前を呼んでいる。
 ヘイドレクは友の回復に喜び、思わず顔のそばに身を寄せた。

「ジュオオーク!意識が、意識が戻ったんだな?!」
「………ヘイ…ド……」
「俺だ。ヘイドレクだ!ここにいるぞ!」
「……おおォ……ヘ、イド」
 そのとき枯れ枝のような細い、包帯にグルグル巻きにされたジュオークの腕が、頼りなくぶるぶると震えながら、
持ち上げられヘイドレクの方へ伸ばされた。
 その指がヘイドレクの頬に触れる。
 その痛ましい仕草にに、ヘイドレクはのどの奥を熱いものが込み上げてあわててそれを呑み込んだ。
 目の奥が熱くなる。ヘイドレクはジュオークの手を力を入れぬようそっと握ると、うなだれた。
「許してくれ……何をしても俺は償いきれん、おまえを巻きこんじまったのは俺だ。
 許してくれ、ジュオーク……」


「ヘイドォ……レクゥ……ヘイ、ドォ……」 
 ジュオークは何度も何度も繰り返しヘイドレクの名前を呼んだ。
 ヘイドレクがその枯れ枝のような指を離すと、指はヘイドレクの頬から首へと伸ばされた。
 首に、ジュオークの指に巻きついた包帯の感触があたり、次にゆっくりと指が絡められるのに気がついた。
「………ヘイ、ド、レェ、ク…オオォォオ」
 
 次の瞬間、
 まるでツタのようにその枯れ枝のような指が伸び、ヘイドレクの首に一瞬のうちに絡みつき、締め上げた。

「ぐ、ぐぉおおおお!!!」
 驚いて飛びのいた時にはもう遅かった。
 ジュオークの指が物凄いいきおいで首の骨を折らんばかりに締め上げる。
「いいいいいぃぃぃいぃいいいいいヒヒひいひいひいいひひひひひひひひひひひひひh」 
 血が逆流し、目の奥で火花が散る。
 声が喉ですべて押しつぶされ、耳に化け物じみた叫び声が響いてきた。
 巻きつけられていた包帯の下からジュオークの肌が見えた。

 それは人間の皮膚ではなく、かさかさと茶けた樹皮であった。
>>350
おおお、変に文字が抜けてる!!

「俺はかならず見つけ出すぞ、世界樹を。そして粉々にぶったぎってやる」

というのが世界なので宜しく。
オツカレー
>>354
世界ってなんだよ正解だよ。眠いしもう限界だ。逝ってくる……
 血が逆流する。
 目の奥で風景が、ジュオークのカオが明滅する。
 ぎりぎりと自分の首の骨が軋む音がする、喉がつぶれる。
 目の前でジュオークのなりをした化け物がいよいよ奇怪な叫び声をあげて
ヘイドレクの首を締め上げる。
 閃光が何度もまたたき、意識が遠のく。
 
 こいつを殺さなければ──!!

 とっさにそれだけを考えた。
 ジュオークの姿はもう見る影もなくなっている。
 ヘイドレクは口角から唾液があふれだし、意識の飛びそうになるなかで、
ぶるぶると震える右手を、その化け物の胸に押し当てた。

 突然手が何かに締め付けられるような感覚を覚えた。
 耳をつんざくような化け物の悲鳴が聞こえた。同時にドアがいきおいよく開き誰かがやってくる音が。
首に絡み付いていた凶悪な力が一気にゆるみ、空気がようやく流れ込んでヘイドレクは咳き込んだ。
 そしてそのまま椅子に倒れこむと、上から化け物の弛緩した身体が、たおれかぶさってきた。
 耳鳴りがまだしている。
 何があったのか、よくわからない。
 なんだ?
 何が起こったのだ今。
 手がやけに締め付けられている気がする。
 
 そう思って自分の手を見ようとしたが、動かない。
 おぞましい怪物の相貌が眼に飛び込んでくる。木の化け物といったほうがいい。
 姿こそは、先のジュオークと同じだが、その皮膚は樹皮のように皺皺で、両目があったところは
落ち窪んでただの窩になっていた。首に絡んでいたのは木の枝で、蔦のように柔らかいように思ったが、
いま触ってみると、木の枝のように硬いのだった。
「大丈夫ですか!!」
 声はルポワのものだった。
 その後ろに、もう一人のけが人である、ジークという青年の姿もあった。それから老夫婦も。
 みな同じように青ざめて手に各々、棍棒やら鍋やら剣やらを携えていた。
 このおぞましい叫び声に駆けつけたのだ。

 しかし今はヘイドレクに覆いかぶさる異形の樹怪に動揺をかくせないようだった。

「それは……一体何が?!」
「知るか……ッ」
 ヘイドレクはうまく吸えない空気に咳き込む。
 咳き込み、前のめりになった時だった。

 この樹怪の胸にめり込んでいる自分の腕を目の当たりにしたのは。
 ただ押しのけようと夢中だった右手が、まるでネジのように樹怪の胸の真ん中に突き刺さっている。
359名無し物書き@推敲中?:04/03/11 16:01
保守age

 心臓の音がやけにうるさく耳の奥で鳴っている。
 いやな冷や汗が湧き出してくる。
 
 ──俺の手は、どうしてこの化け物に《めり込んで》いるのか。

 ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン
 強張る手をおそるおそるゆっくりとヘイドレクは引き抜いた。
 化け物の胸からゆっくりと、その右手が全貌を明らかにした。
 鼓動がまるで雷鳴のように大きく体内に轟く。なにか、予感のようなものがあった。
 自分「も」化け物になっていた、ということを、いまさらヘイドレクは思い出した。 
 胸にぽっかりと空いた闇の口からずるずると出てきた、自分の右手。

 それはもう「手」ではなかった。


「きゃぁああああああ……!」
 部屋にあるランプに照らし出された、ヘイドレクの異形の右手に叫び声をあげたのは、
老婦人だった。しかし他の者もあっけに取られた表情をして、その右手を凝視している。
 頭が目の前のことを理解しきれず、言葉が出てこないのだ。
「あ、ああああ、あんた……手、手が」
 カタカタと震える声でジークがいい、手から棍棒がするりと落ちて音を立てた。
 誰もが目を疑った。

 右手は、手首から先がするりと伸び、指がなくなっていた。
 代わりに光沢を帯び、灰色がかった、まるで刃物のような形状になっていた。
 それが、さっきこのジュオークに扮した樹の化け物を殺したのだ。

 心臓の音がうるさい。痛いくらいに高鳴っている。
 そのせいでまともに考えられなかった。
 いや、まとも考えてしまえば、それもおぞましいような気がした。
 なぜ俺の手が刃物になっているのだ。俺は何だ?
 俺は人間なのか、
 これはなんだ、おれは何者だ。これはどうなっている。
 なんで、誰が、どうして――?
 コンコン、


 窓を誰かがノックする音に、部屋にいた誰もが驚いて息を呑んだ。
 ヘイドレクは勢いよく窓辺へ視線を向けた。
 もう夜である。木戸が下ろされていて向こう側が見えないが、外は真っ暗だ。
 来客のある時間とは思えない。聞き違いだったのだろうか。
 しかし、その思いを吹き消すように、もう一度確かなノック音が、木戸から聞こえてきた。
「………い、 いったいこんな時に誰が…」
 出ようとした老父を、ルポワが手で制した。
「待ってください。何か嫌な予感がします」
 ルポワと同じ思いをまた、ヘイドレクも抱いていた。
 催促するように、何度も何度もノックは部屋中に響き渡る。
 ルポワの額から、玉のような汗が浮き出してきた。
「タイミングが良すぎると思いませんか。それに、なぜ戸からではなく、ここの窓を尋ねてきた
のでしょうか。普通の来客ではありえない。なにか―――」
 そう良いながら、ルポワは老父を片方の手で制止ながらゆっくりと剣を鞘から抜いた。
 金属の滑る音とともに、暗がりに剣の抜き身がランプの光を反射する。
 ルポワは苦いつばを飲み込むように言った。
「悪意のようなものが潜んでいる予感がするんです」

 誰もが窓の前に立ち尽くして、身体を強張らせていたときだった。
 窓の戸の奥から、くぐもった、人の声が聞こえてきた。

「……あ、ァけ…て、く  れ  …  …」

 その声に目をみはったのはヘイドレクだった。
 彼はいま自分の体に覆い被さっている化け物と窓を交互にみた。
 血が引いてゆく。
 その声はジュオークだ。間違いなかった。
 我を忘れてヘイドレクは化け物を押しのけ、窓際にかけよった。
 なぜだ、ジュオーク、おまえなのか。
 なぜそこにいるんだ、
 なぜ―――?!
「待ってください!!どうしたんですか!!!」
 ルポワの声が背から聞こえたが、聞いている余裕はなかった。
 なぜ、ジュオークの声だったのだ。彼は動けないほどの怪我人なのだ。
 それがなぜ、外に……
 勢いよく彼は木戸を押し開けた。
 空いた窓のおくは真っ暗闇だった。その中から何かがキラリと光、ヘイドレクのほうへと飛び込んだ。
 なにか、流れ星のようだった。

「ウワァァアアアアアアァァァァァアアアア!!!」
 耳をつんざくような悲鳴が聞こえ、ヘイドレクははっと後ろを振り向いた。
 重なるように老婦人の悲鳴も聞こえてきた。
 苦痛に表情をゆがめたジークという青年の肩から血が噴出す。
 そこには、奇妙な形をした短剣が数箇所突き刺さっていた。
 彼の背後の戸にも、短剣が突き刺さっていた。

 とっさにヘイドレクは力に任せて勢いよく戸を閉めた。
 大きな音と、悲鳴が空気を揺るがす。
 何が起こったのか、誰も把握し切れなかった。
 窓から何者かが部屋の中に攻撃を仕掛けてきたという事以外は。
 しかし、なんのために?

 ジークは肩を手で必死に押さえながら、床の上をのたうちまわる。
 口から悲鳴が迸る。ルポワと老婦人が青ざめながら必死にその肩を止血しようとしていた。
 心臓の音が高くなる。
 何かが始まっている、そんな予感が警告のようにヘイドレクの中で鳴り響いていた。
 自分を巻き込んだまま、巨大な何かが動き出してしまったかのような、予感が。

「ヘイドレクさん!!!」

 そのときルポワが叫び、ヘイドレクは反射的に窓の法を振り返り見た。
 
 窓は再び開かれていた。――今度は外にいる何者かによって。
 そして窓枠に、空ろに焦点のあっていない目をして、口をだらしなくあけた顔が、
樹液によって黄色く染まった包帯をぐるぐる巻きにしたジュオ―クの顔が、そこから覗いていた。

「アハァ、ヘイドレクどうしてまた閉めたんだぁ???」

 不気味に明るい言葉を、顔の表情をまったく変えないまま、ジュオークは喋った。
 しゃべったというよりも、言葉にあわせて口を動かしているだけだった。
 奇妙な光景だった。
 まるで巧妙な腹話術を見せられているかのような。
 しかし声はジュオークそのものだ。だから余計に薄気味悪い光景なのだ。
 戸惑うヘイドレクを、空ろな表情をしたままジュオークが笑った。

 コツ、と音がして、ふとヘイドレクが隣を見るといつのまにかルポワが傍らにきていた。
 同じように狐につままれた顔をして、眼鏡の奥の目がじっとジュオークの顔を凝視している。
 ヘイドレクはカタカタと壊れた人形のように顔を揺らして笑うジュオークをみた。

 
367名無し物書き@推敲中?:04/03/14 23:33
こ、このスレ、レベル高けぇな
久しぶりに、面白いもの読んだ感じだ
ス、スマン
ageちまった………_| ̄|○
保守
「すごかったなぁさっきの雷は。なぁ?ヘイドレク」
 ひとしきり笑い声を上げたあと、楽しそうにジュオークが言った。
 額に嫌な汗がはりつきはじめ、不快だったが、ヘイドレクは眼をそらす事ができなかった。
 窓から現れているジュオークの目は、ヘイドレクの方向など向いていない。それはただ眼球と名のついた
石ころのように眼窩にはまっているだけだった。機能していないのだ。
 しかしジュオークの声は死んだような顔に比べて陽気にさえ聞こえる。

「俺は怖くてさぁ、ベットの中でふるえてたよ。そのうえ、いきなりでかい音がしたもんだからビックリした。
なぁ、なぁ、おまえすごいなぁ、あんんな雷うけてたったそんだけの傷で……」

 その時、喋り続けるジュオークの、包帯にふさがれていない方の目から、涙が一筋こぼれるのと、
 閃光のような速さでルポワが剣を抜き放ち、ジュオークの頬をかすめて後ろの闇へと突き出す
のは、ほとんど同時だった。
 
 心臓が、これ以上ないというほど高鳴っている。
 いやな鳴り方だ、とルポワは感じた。
 この鳴りかたをするとき、自分は怖気づいている。
 背中がどっと湿った。

 剣の手ごたえは確かにあった。何かに食い込んだ感じが。なにかゴムのようなもの。
 しかし、手ごたえを感じた後、剣は前にも後ろにも動かなくなっていた。
 この闇の中に何かがある。それが、この患者を『動かしている』という確信があった。

「気をつけてください。何かがいます」
「……ああ。そうだな。あの傷でコイツが動けるはずがない」

 一瞬のことにおどろいたが、それでかえって目が覚めた。
 ヘイドレクはルポワの突き出した剣の先の闇をじっと睨みすえた。
 体のむきはそのままに片手で卓の上をまさぐり、ランプを掴み出すとゆっくりと自分の方へ引き寄せた。
 ランプの光は少し青ざめたルポワの眼鏡にゆらゆらと映り、空ろなジュオークの顔と、
鋭いナイフ状になっている異形のヘイドレクの手を映し出すだけで、
ルポワの剣の先にある、異様な禍々しい気を放つ何者かまでは届かない。
老父にも若き日々は存在した。
ジュオークの背後にいる何者かに、一瞥されたのを感じた瞬間、
彼の脳裏を素早く走り抜けたのは、若き日の忌まわしき事件のことだった。
太い腕に押さえられて身動きのできない身体。
(あの時は若かった/腕は今みたいにしわだらけじゃなく力に満ちていた/だけどヤツラの方が力が強かった)
少し離れたところで人形のようにゆらゆらと揺れる白い2本の足。
(そうだ/おまえも若かった/若くていい女だった/ヤツラは以前から妻に目をつけていたのかもしれない)
老父はべっとりと汗をかいた両の拳を強く、強く握り締めた。
ああ、そうだ、あれは災厄そのものだった、決して短くは無い年月を積み重ね、
少しずつ癒された心がやっと痛みを発しなくなり、二人で笑うことさえできるようになったのに、
ああ、今外にいるものは形を変えて戻ってきたあの時の災厄なのではないか・・・・・・!?
老父は老妻の目を見つめ、連れ合いが同じ恐怖を感じていることを知り、
同時に老父の全身を稲妻にも似た強い天啓が圧倒的な予言のように貫いた。
──今日この場所で、俺と俺の妻は死を迎えるのだ。
373372:04/03/31 16:49
あらすじ屋によると老父と老婦人は赤の他人なんだな……。
>>372は無しで……。
いんや、夫婦じゃねーの?
「あなた」って言ってなかったか?
と、いうわけで、面白いから>>372は有りの方向で。
375名無し物書き@推敲中?:04/04/23 10:44
age
376老父ドルファ:04/04/25 17:18
 それは天啓か。
 何かの合図だったのか。
 ビリビリと彼の中で何かが激しく揺れ動いた。
 性格には腹部、へそのあたりで、何かがぐにゃぐにゃと蠢くのを感じた。
 まるで孵化する直前の卵のように、ぶるぶると。



 彼が「あなた」ではなく「ドルファ」と妻から呼ばれていた頃、二人はこの上なく幸福だった。
 ソフィは華奢な身体に質素な麻のさっぱりとした枯葉色の衣服を身につけ、それでいて、
その動きはどこか気品があり、優雅だった。
 粗野で物静かなドルファの前で、彼女は木々の梢をいたずらにくすぐる風のように
優雅に花々に顔を近づけ、じっと葉を観察しながら、微笑んでその表面をなでるのだった。
 彼女は一風変わった植物学者の姉ゆずりで、植物が好きだった。
 だから彼女との散歩はいつも、植物観察をかねていた。
 彼はおずおずとソフィの手をにぎりしめると、彼女は笑ってその手を細い指でにぎりかえし、
目の前にそびえる樹木の梢を指差す。
「見て。タラヌネの樹はね、雄と雌があるの。不思議でしょう。樹なのに性別があるの。
 小さな花が咲いているでしょ。ちいさくてよく分からないけど。風がね、雌株の花粉を
 雄株のところまで運ぶの。素敵でしょ、ちょっとした遠距離恋愛ね」
「そうだね」
377老父ドルファ:04/04/25 17:19
「でも、私たちこんなに近いわ」
 いたずらっぽく笑って、彼女は手を握りしめてきた。
 彼はたまらなくなって彼女を抱きしめた。
 そういう風に、彼らはゆっくりと結びついていったのだった。
 しかし時折強風が残酷に花々を散らすように、二人の間に一陣の、恐ろしいほどの強風が
吹き去って、何もかもを粉々にしたのは、それから間もなくだった。


 心臓の、破れそうなほどの高鳴りは、彼の老体をうちのめした。
 あふれるように沸いてくるあの日の光景は、彼を呼吸困難にした。
 立っていられないほどだった。
 妻を盗むように見やると、彼女もまた恐怖に青ざめていたが、それは明らかに彼とは違う種類の
恐怖からだった。
 彼女の恐怖は、奇妙な管状のナイフから迸り出る青年の鮮やかな血と、
窓の外の得体の知れない何かによって生み出された、この場の奇妙な緊張感と緊迫感によるものだった。
 窓の外の何か。
 窓枠にかかった、彼が見つけてきた惨殺死体のようにぼろぼろに傷ついていた青年の、虚ろな顔。
 老人が恐れていたのは、そのどれでもなかった。
 それは彼の内側でゆっくりと芽吹こうとしている、あの日の光景の再生と、
 契約だった。

378老父ドルファ:04/04/25 17:21


 
『なんでもします』
 ひざまずいているものが悪魔でもいい。なんでもいい。
 そんなことは構っていられないのだ。
 ドルファは喉から漏れ出る息にさえ、焼かれてしまいそうだった。
 息をするたび、腹部が動き、わき腹から血が噴出し彼の指をぬるぬると濡らした。
『なん……でも、しますか、ら  ド、どうか。彼女を……』
 殴られた口腔のいたみなど、彼女を失うことに比べたらなんでもなかった。
 彼女を失うことなど考えられなかった。
 こんな終わり方はあんまりだ。
 こんな、まるで神に裏切られたような残酷な終わり方は。
『い、命を……』
 地面につけた頭の上から、まるで楽しむような笑いが落ちてきた。
 足が目の前にある。何でできているのかわからない、奇妙な光沢をもった黒い軍靴だった。
379老父ドルファ:04/04/25 17:28

『でもぉ彼女ミズカラ絶ったイノチなんでしょお? また与えたってまたシヌでしょお?』
 くすくすと笑い声とともに、残酷な風景を蘇らせる言葉が落ちてきた。
 彼女はミズカラ死んだ。
 そうだ。暴漢どもに目の前で蹂躙され、殴られ押さえつけられボロ雑巾のような俺を涙目で
見つめながら、舌を噛み切ったのだ。
 彼女の細い体の何処に、そんな強い力が残っていたのだろう。

 何も答えられないでいるドルファの頭上から、くぐもった高笑いが降り注いだ。
 悪魔。これは悪魔だ。そう思った。
 しかし、暴漢どもの倒れる音に気づいて顔を上げたとき、目の前にあったのは、
顔を穴だらけにし、血まみれになった暴漢たちの死体(ひどいものは頭が半分なかった)と、
奇妙な仮面をかぶり、夜の闇とけるような黒いマントにくるまって聳え立つ、この悪魔だけだった。
『イノチが欲しいぃ?』
 ふざけた間延びした声が、仮面の下からした。
 男とも女ともつかない、高音の声だった。
 仮面だけがくるりと振り返って、犬のようにうつぶすドルファを見下ろした。
『一つだけイノチあげられるよぉ、アンタ、イノチ欲しいぃ?』

 ドルファに躊躇う理由など、もう何も残ってなかった。
380老父ドルファ:04/04/25 17:30
『ジョリュのぉ言ったとおりぃ。アンタはメなんだねぇホントォに』
 どうか、早く……。切れ切れの息を吐き出し、軍靴に手をのばした。
 その手をあっさりと、仮面は蹴飛ばした。千切れるような痛みが腕全体にひびく。
 うめきがドルファの唇から漏れ出る。
『おいおい触るンじゃないよぉ虫けらフゼイがぁーって、あっとぉ、メだったぁ』
 倒れふしたドルファはもう声もでないほど疲弊しきっていた。
 無理だ、もう無理なのだと、彼自身確信しかけていた。
 もう終わりだ、自分も、彼女も。
 こんなふざけた者の言葉なんて嘘だ、打ちのめされ死にゆく人間をからかっているだけの
この上もなく性悪の悪魔の戯れなのだ。
『うふふ、シヌわけねぇんだよぉアンタわぁ、メなんだから』
 はやく、はやく、はやく、もう何もかもなくしてしまいたい。
 死の中で、彼女ともに歩いた森の美しい思い出に埋もれてしまいたい。
 白い脚を闇の中で高速で震わせ、こわばった形に指を曲げている風景など消して。
『言っておくよぉ?これは、契約だからねぇ。メは、いつかメブかなきゃァダメなんだよぉ』
 芽吹く? いつしかドルファは虚ろにこの高音の声を聞いていた。
381老父ドルファ:04/04/25 17:33
『この女にぃここで死なれたら困るのはぁこっちもなんだよぉ。
 カミのイシが狂っちまうからなぁああ。だからなぁあイノチやんなきゃいけないんだよぉ。
 サダメは定めなりにすすんでかないと困るの。あんたもだよぉ、ヨテイどおり芽吹ケよぉ?
 メブカねぇんなら呼びにいくからなぁ』
 
 最後まで聞き終わらぬうちにドルファは気を失っていた。
 目が覚めたとき、目の前には清潔な日常の象徴のような天井があった。
 傍らにはソフィーの姉がいた。ソフィーよりも彼女はきつめの顔立ちをしていたが、
今は眉をひそめ、苦痛にゆがんだ顔をして、ドルファを睨んでいた。
 何かを言おうとしたとき、誰かが叫ぶ声がして、彼の首に強い力でだきついた。
 熱い水が首にかかった。ソフィーの涙だった。
 彼女は生き返ったのだ。暴漢におそわれ「かけ」て、かわりにぼろぼろになったドルファの
ために、姉を呼び、二人で必死になって看病してくれていたのだった。
 
 しばらくして彼は彼女に結婚を申し込んだ。
 彼女は少し微笑んで、うなずいた。
 舌を噛み切った人間とは思えないほど、たよりなく細いうなじを赤く染めて。 
382名無し物書き@推敲中?:04/05/29 09:07
切ないよお
383名無し物書き@推敲中?:04/06/02 15:18
続き待ちage
誰か世界観や現状をまとめてくれたら続きを書けるのだがな。
読む気が起きないのは……いくらファンタジーでもそれは致命的だ。
だから読んだ人にまとめてほしい。
>>384
>>321->>326
>>385
まとめを読んで書く気がうせた……
なんでだよ!!!ヽ(`Д´)ノウワァァン
>>387
書こうとは思っているんだが、実行までの興味がまだない。
この板の別のスレで執筆を始めてしまったしな……
まだ五十レスに満たないスレだが、気分転換には事足りる。
それでなくても2chうんぬん関係なく長編を書いている最中だし、あまり暇がないんだ。
スマソ、やる気になったら書くよ(;´Д`)
その場合はサイドストーリーで、もっと高度に発達した城塞都市の王の話を考えている。
そろそろ世界樹を狙う別の者たちの話を付加してもいいはず。
というか、この魔術的世界でそれらの話がない(と思う)のは不自然だしな。

なんかその前に落ちそうだこのスレ、、
389本編の続き:04/07/01 16:37
その異変に最初に気が付いたのは、老父の妻のソフィだった。
老父の家は、丸太を組み合わせた単純な作りになっている。
ソフィは、背後の壁に奇妙な気配を感じて振り返った。
彼女の目に映ったのは、見慣れた丸太の壁ではなかった。
芽吹いている。
とうに枯れたはずの木材から、いっせいに緑の芽が顔を出し、
背後の壁全体から天井にかけてを黄緑色に染めている。
その色は、歓喜だった。
底無しの闇に包まれた小屋の内部で、それらは生命を祝い、
無言の雄叫びを挙げていた。
絶句したソフィの見守る前で、芽吹いたそれはみるみると成長し、
絡み合い、蔦のロープを作り上げた。
生き物のように全体を伸ばし、背後からヘイドレクに絡みつき、
動きを封じる。
蜘蛛の巣に捕らえられた羽虫のように、今やヘイドレクはほとんど
宙吊り状態で身動きできない。
その時になってようやく、ソフィの口から振り絞るような悲鳴が放たれた。
390本編の続き:04/07/01 17:47
ルポワがヘイドレクを振り返ったのは一瞬にも満たなかったに
違いない。
しかし、この場合、彼は眼前の敵から目を離すべきではなかった。
何者かに食い込んでいたはずの、ルポワの剣がふっと軽くなった。
ルポワが慌てて目を戻した時、窓の外にはすでにジュオークと
ジュオークの背後にいた何者かの姿は無い。
ルポワが思わず窓に駆け寄った時、宙吊りにされたヘイドレクが
鋭く叫んだ。
「ルポワ!」
瞬間、本能的に身を低くしたルポワの頭上を銀色の光がなぎ払う。
体勢の崩れたルポワの、今度は正面から銀色の光が襲い、
しゃがみこんだままの姿勢でルポワはこれもかろうじて躱わし、
距離を取って必死の思いで壁にへばりついた。
「ジーク!」
ルポワは、とどめを刺そうと剣を構え、自分を見下ろしている青年を、
不利な体勢のままで強くにらみつけた。
「仕方が無いんです……許してください……」
青年が一言発するたびに、青年の目から涙がぽろぽろとこぼれた。
青年の肩に突き刺さった短剣は、今やその形を奇妙な花のような
形に変え、花から伸びている根は青年の肩に幾重にも食い込み、
肩から手の甲にかけて緑の鎧のような形を作っている。
そして、青年の背後にルポワは見た。
戸が開き、闇の中からジュオークが小屋の中に静かに入って来る光景を。
391名無し物書き@推敲中?:04/08/20 19:09
生きる為にage
392罧原堤 ◆5edT8.HnQQ :04/08/24 15:03
そのころ仙台では、マンコ舐三による被害が拡大していた。
393本編の続き:04/08/24 16:41
ジュオークが屋内に入ってきた時、
老父ドルファの脳裏をよぎったのは、絶望、という言葉だった。
最強のヘイドリクは宙吊りにされ身動きすらままならず、
剣を使えるルポワは、異様な力に操られているジークの手によって、
今にも止めを刺されそうだ。
ドルファはジュオークの顔を盗み見た。
野卑な色は今は消え、むしろ荘厳とさえ言える表情を浮かべている。
この悪魔が、異様な力を操る怪物が、まさかわしとソフィーだけを
見逃してくれることなど、世界樹がひっくり返ってもありえないだろう。
しかし、この老いぼれに何ができるというのだ?
絶望に震えている力なきこの老いぼれに。
ドルファの肩に、いつのまにかそばに来ていたソフィの手が静かに重ねられた。
おびえているのかと思い、慰めようと妻の手を握り、
彼女の顔を見たドルファははっと息を飲んだ。
彼女は泣いていた。
しかし、その涙は恐怖や脅えから来る涙ではなく、
ドルファもまた彼女を見て彼女が涙を流す理由を理解した。
ドルファは彼女を引き寄せて、そっと包むように抱きしめた。
思い出してしまったんだね、ソフィ。
わしが結婚を申し込んだ時と変わらない、たよりなく細いうなじ。
そうだ、あの時お前は自らの舌を噛み切って死んだのだ──
394登場人物まとめ:04/08/24 23:55
     ∧ ∧
    ( ゚д†)
<≪≪ ◆  )
    │ ││
     (_) __)


  ヘイドレク(主人公)
 (胸に変な石《呼の種》が埋まっている、左目から胸にかけて落雷の傷)
  現在、右手が鋭利な刃物状に変化。
  自分の意思と関係なく変化する肉体に困惑。
  それがもとで瀕死に追いやったジュオークに自責を感じている。
395登場人物まとめ2:04/08/25 00:12
  Λ Λ          Λ Λ;;;;;
 (´∀`)ポート・ニース! ( ヾ∀゚);;;;;;)
 (   )   →   ⊂;;;  ⊂;;;;)
  |   |         | ,;'';.|;;|
  ∪"∪          ∪"∪;;;;;;)

 ジュオーク
(ヘイドレクのかつての戦友)
 暴走したヘイドレクによって瀕死状態。
 今は何者かによって操られている。
396登場人物まとめ3:04/08/25 00:35

   Λ Λ             ∩ ∩
  (;O‐O )            ( ゚Д゚)
  / V  )             し,;'';;※つ
 /_ _λ|            |  |
  (_) __)             ∪ ∪


 ルポワ=カイザヘーク     ジーノ
(若き樹学者。眼鏡)       (森で偶然ヘイドレクの暴走に居合わせる)
(なかなか剣も使える)      (シャーラという恋人?あり>>204
                    (肩に刺さった剣が変化し、現在暴走)
397登場人物まとめ4:04/08/25 00:36
小屋の持ち主。老夫婦

 ∧,,∧       ∧,,∧          ∧,,∧  
ミ ゚Å゚彡      ミ*゚ー゚ミ         ミ ゚∀゚彡
(ミ   ミ)       ミ\/ミ          し   ミつ
 ミ   ミ        ミ  彡         ミ   ミ
 ∪"∪        ∪∪           ∪"∪


 ドルファ     ソフィ          ルポワの先生
(ソフィの夫)   (植物に詳しい)       (ソフィの姉、行動派樹学者)
 (傷ついたジュオークたちを看病)       (今現在の行方は不明)
誰が誰がかよく分からなくなってきたので作りました。
適当にまとめた上AAよくわかんないので適当です。
モナーらを使ったのはあくまでイメージなのでよろしく。
希望としては渋い絵キボン。


ドクン!
その刹那ドルファの全身に、今まで感じたことの無い衝撃が走った。
ドクン!
それは次第に大きくなっていく。
ドルファはその衝撃を感じながら、全てを理解し始めていた

あの時、ふざけた仮面は確かに言っていた
『アンタわぁ、メなんだから』
『メは、いつかメブかなきゃァダメなんだよぉ』
そして、それが契約だ、とも…
「ソフィ」
ドルファは最愛のものの名を呼んだ
彼女は彼の腕の中で泣いている


うーむ…張られた伏線をうまく使いたかったんだけど
表現が…ネタが…
orz

 『言ったろぉ?』

 ゴォオオーゴォォォォォオオオォォォォオォォ………
 耳の奥で血の沸騰する音がする。いや、血が別のものに変わっていく音なのかもしれない。
 手のひらを濡らすソフィの涙の温度を感じながら、老父ドルファは、入り口に立つ焦点も定まらぬ呆けた顔で、
笑っている青年を見た。
 青年の首の後ろから、なにかツタのようなものが伸びているのが眼に入った。
 そのツタの先は、闇に伸びていて見えない。
(あれは何だ?)
 老父が眼を凝らした。
 しかし、凝らせば凝らすほど、視界がぼやけて、曇ってゆくのだった。
 老父の霞んだ視界の中で、もう一度、青年は口を開いた。どこか人形のようなぎこちなさで。

 『言ったろぉ?芽吹かねぇなら呼びに来るってよぉお』



 聞き覚えのある声が、その青年の口から漏れてきた。
 それはあの日に聞いた悪魔の声だった。
 
 老婦人は奇妙なことを口走る青年ジュオークを凝視しながら、夫の手を強く握った。
「やめてちょうだい……」
 涙で彼女の頬にできた皺に幾重にもわかれて涙が伝った。
 震える声で彼女は夫の手のこうを自分の頬に押し当てた。
「これ以上私たちをどうしたいの!何をするつもりなの!」
 

 混乱に老婦人が助けを求めるように夫をあおぎ見た、その瞬間。


 彼女の視界に映りこんできたものは、水水しく繁った萌黄が、夫の顔を覆い尽くしてしまうところだった。


 ああ。ソフィが呼んでいる。
 こんなに叫んでいるというのに、わしには遠く聞こえるのはどうしてだ。
 あの嵐のような血のざわめきも、今はまるで消えてしまった。
 ソフィはわしの名を呼んでいる。
 わしの名?
 それは本当にわしの名なのだろうか。
 ドルファ、《固き幹》というそのコトバが、本当に自分なのか。
 わしはなんだ?
 わ し  は  誰だ?

『新世界へよォオこそ、ザーガ・デシュリニ』

 突然、静寂に雷鳴がはしったがごとく、その声が老父の身体を貫いた。
 電撃は老父の身体中をめぐり、身体の隅々まで感覚が鮮明によみがえる。
 老父は突然感じたこともないような生命力があふれてくるのを感じた。

 
『お前はザーガ、《幾千の闇の針》。やっと芽吹きやがったなぁァア』

 次の瞬間、もはや身体全体を小さな葉に覆われた人間とは思えない姿になった老父は、
声のかぎり咆哮した。
 がたがたと小さな家がきしみ、がたがたと震えだすほどに。
403名無し物書き@推敲中?:04/09/02 03:11
俺は赤色に染まる中学生のまんこにちん棒をいれたかったのだよぉぉ。ちん棒じゃなくてもいい!
大小に振動する紫色の尖ったバイブでもいい!
中学生は初め小さく震えだして、それから大きく喘ぐのだろうな!
「はやくいれて!はやく!」
俺の生命力はこんなものじゃない。もはや人間ではなくなっていた。モンスターだ。
想像が俺を奮い立たせ、いれる前に果てた。
404熱液浴夫 ◆5edT8.HnQQ :04/09/05 14:14
がきの万個でも舐めるか暇だから暇だからであって俺が決してロリコンだからじゃないのでアールU
ウィーンと鳴る道具をポッケに入れたらレッツゴー。
405名無し物書き@推敲中?:04/11/16 01:53:04
ウホッ

い い 男

406名無し物書き@推敲中?:04/11/21 22:49:25
俺のくもりなきチンコで成敗してくれるわ!
407近日中に・・・:04/11/22 16:26:45
ええんか?ええんか?続き書いてもええんか?
いまさらながら書いちゃうぞw
誰か見てるんか?
つーか元書き手達はここ覚えてるんか?

オーーィ…
408名無し物書き@推敲中?:04/11/24 00:13:16
待ってる。
ノシ
409ヘイドレク萌え:04/11/24 12:17:18
あ、 いた
元書き手さんですか?

もう最後のほう謎詰め込みすぎの感があるんで、元書き手さん達には悪いけど
漏れなりにハードっぽく削除&まとめさせていただきます。
まあ、いまさら誰も文句は言わないだろうが…。

ここほぼ完全廃墟だね。オレの後に誰か続くのか〜??
410名無し物書き@推敲中?:04/11/27 21:39:10
紀元前5012年
この二年で世界は様変わりした。人は狩られる側になり、魔物が昼夜を分かたず出没した。
今日は明日に繋がるか定かならず、力ある者も力無き者もただ救いを求めた。
その熱気は正義を求める囁きとなり、怒りを告げる呼声となり、
やがて血を渇望する叫びの渦へと変わっていった。

ムベルリ大陸の西方の大国レンプロクト王国も例外ではなかった。
王族の愚政に反旗を翻した民衆の前で、栄華を極めた王都ヴァイエンジルークは炎に崩れ落ちた。
熟れ過ぎたイチジクの実の如く、その大国は落ちた瞬間周囲に紅蓮のハラワタを晒した。
その甘い死臭に誘われてまず隣国が、そして北方の蛮族が攻め込んできた。
大陸の多くの国で、魔族の前で団結すべき人間達は互いに首を絞め合い自ずから滅んでいった。

この時代、大地は炎を彩る額縁に過ぎず、海は人を閉じ込めるための檻であった。
そして逃げる事さえできない悪夢の中、人々はただ血に溺れていった。



…風は語るのを止めたのか いや語らねばならない
失われし世界樹に鎮魂の歌伝えんと
今だ終わらぬあの男の謎多き物語を
語らねばならない
忘却の嵐に包まれようと

今だ救いを求める大地の人々のために・・・!
411名無し物書き@推敲中?:04/11/27 21:43:45

肌寒い風が川面を走ってゆく
まだ明けきらぬ薄闇の下、男は川の畔に立ち青黒い水面を一人見つめていた。
男の頬から顎にかけて黒い無精髭が疎らに覆い、深い眼窩の奥で薄茶色の瞳が力なく水流を追う。
おもむろに男は鎧に包まれた屈強な体を折り曲げると、水を手で掬いやつれた顔に何度も擦り付けた。
するとそれが合図かのように、遠く朝靄の中に小船の影が音もなく滑ってくる。
男は気配を感じたのか、川面からか顔を離すと中腰になり様子を窺う。
背後の暝い森の中では小鳥達の歌がかまびつしい。
川の岸辺から身動きもせず見詰める中、船影はゆっくり遠ざかっていった。
安心したのか男は立てた膝を元に戻し、今度は顔を一気に水面に浸した。

冷えた水がボヤけた脳髄を刺激し、あの夜の記憶を呼び覚ます。

−血‥血の臭い…2年前の悪夢からまだ解放されないのか
あのジュオークを模した植物の化物にハラワタを貪られるルポワ‥
狂ったように泣き笑うジーノは自ら首を掻き切って‥
俺は‥俺は‥あの時…

顔を水面から上げると、瑕だらけのゴントレット(手甲)を外し火傷に爛れた右腕をさする。
つと目を上げると先程の小船が薄靄の先にまだボンヤリと見える。何かに引っ掛かったのか
ユラユラと揺れて行く先を迷っているかのようだ。


−火‥燃え盛る家…異形のモノと化したドルフォを抱き締め、共に炎に沈むソフィー
最初に炎があがったのは、俺の右腕‥あの剣がランプを倒し、腕が熱に包まれると
いつの間にか炎が周囲を嘗め回し‥
俺は‥俺は‥そう…


412名無し物書き@推敲中?:04/11/27 21:45:16

「早いなへイドリクの旦那、昨日は遅くまで飲んでただろうに。」背後から声がする。
小坑族(ドワーフ)特有の酷い訛りの共通語で小さな影が話しかけてくる。
こいつとは顔も合わせるのもイヤだが、仕方が無い、今は雇い主だ。

「ああ、用心棒としては当然だ。それに俺はポート・ニースには強いんでな。」
振り向くと小坑人は商人らしい抜け目ない眼つきで右腕を見やる。
ヘイドリクはさり気無く傍らに置いておいたゴントレットを填め直し、擦り切れたマントで
腕を隠すと、相手の気を逸らすため話題を振った。

「今日はアキュシラまで行くのか?昨日のように寄り道ばかりでは夜更けまでに着けぬぞ。」
小坑人は注意を逸らされ一瞬戸惑ったが
「あ〜、ん〜〜それだがな・・昨日考えたんだが、ホラ酒場で、あの赤毛の男が言ってただろ?
この川の上流のバーシラって村で例のバケモンどもが出たってな。こりゃこの武器商人のネゴ様が
行かなくってどうするってワケだ、なあ相棒。」
そういうとネゴはヘイドレクの腕を二三度叩き、荷馬車の方へと向かった。
413名無し物書き@推敲中?:04/11/27 21:49:17
影色のマントの中の腕が疼く −あの夜、友を貫いた右腕から生えた剣はまるで植物の
繊維のように燃え落ち無くなった。
厚いプレイトメイルの中の【呼の種】が脈動する。−あの夜、気が付けば俺は森の中を獣のように
疾走し・・俺は・・俺は・・・みなを捨て・・・友の亡骸さえ踏み付け・・一人だけで・・・
助けてくれた者達から・・黒衣の悪魔から・・そしてあの声からも・・・・・・

「オオオォ!」叫ぶと抜き打ちに腰のバスターソードを振り被り地面に突き立てる。
切先が足元の岩に吸い込まれ鈍い悲鳴を上げた。
背後の木々の小鳥達もさえずるのを止め、懊悩の声の正体を探ろうとする。
何分ほどそうしていたか、石のようにうつむき固まるヘイドレクの足元から、背負いきれぬ
重しのように影が伸びゆくと同時、遥か彼方の山塊から光が溢れ出した。
朝焼けの光が刃に反射し、左目の稲妻形の傷とその奥、雷光の如き金色の目を照らし出す。
「ラライノ‥俺は…」呟きヘイドレクは歯を食いしばると、立ち昇る朝陽に漆黒のマントを翻し、
荷馬車の方へと足を踏み出した。


岸辺からヘイドレクが立ち去ると、靄の中の小船もつかえが取れたのか、
スゥーと川面を走る出してゆく。
地平の彼方より熱っせられた風が、僅かに靄を透かすと

船上には無残に首の無い子供達の死体が折重なっていた・・・。



414名無し物書き@推敲中?:04/11/27 21:50:43
パクッテンジャネエゾ
415名無し物書き@推敲中?:04/11/27 21:59:25
ぱくる?ん??
416名無し物書き@推敲中?:04/11/27 22:47:26
無理矢理第2部始動させちまったけど、ちと長かったな…。
一応ハード路線意識して普通の武器持たしたけど
バスターソード→バスタードソードみたい。マア、ドウデモイイガ

417名無し物書き@推敲中?:04/11/28 00:45:06
あの夜、友を貫いた僕の濡れたセクスは、熱い飛沫とともに植物のように萎んでいくのだった。
「おおおぉぉぉ」
友は大きな声で叫び、快楽の震える声で悶えた。
友の尻の穴からは鈍い悲鳴を上げて精液が溢れ出す。
僕の萎んだセクスは、それを見て再び燃え滾った。
僕は歯を食いしばると友の尻をぱんぱんと叩き、
子供のように挿入するのだった・・・
418名無し物書き@推敲中?:04/11/28 07:25:41
さっそく来たな忘却の嵐!
419名無し物書き@推敲中?:04/11/28 22:18:31
名前違うし。人物の名前ぐらい一貫させろや。
420名無し物書き@推敲中?:04/11/28 23:31:45
細かいな。ドルフォ→ドルファか?
ジークはもともとはジーノだよね?

それより誰か続き書いてくれんか。
漏れは当分書く気がしない。
思い付きで首無し死体とかだしたが、続きなーんにも考えてないし…。
421名無し物書き@推敲中?:04/11/29 01:02:02
首無し死姦キボンヌ
422元書き手の残骸:04/12/25 15:35:57
 およそ岸辺から十尋ばかりも離れたろうか、小船は錨を打たれたかのごとく
動きを止めた。張り板がきしみ、折り重なった屍が揺れる。血にまみれた肉が、
にちゃりと音を立てた。
 にちゃ、べしゃ、ごりり。
 音が、止まない。
 ヘイドレクが断ち割った子供たちだったもの――その肉の裡に埋め込まれた、
何かが蠢き始めていた。
 うつぶせた屍がひとつ、かすかに震えて肉の山を滑り、梁に当たって仰向けに
転がった。その腹には、一筋の鋭利な割れ目。ぷつぷつと黄色くぬめる脂肪の
粒、その奥に、<それ>は潜んでいた。
 割れ目が内から押し広げられた。筋肉の層が口を開き、皮膚の隙間から
手が覗いた。
 瀝青のように真っ黒な、小さな右手だった。
 右手は空気に触れ、縮こまるように六本の指を戦慄かせた。


まだあったのな、ここ。
再開者も投げたみたいだし、誰もいないようだし、まあ好きにやってみよう。
423元書き手の残骸:04/12/25 15:52:52
 右手はしばらくその動きを止めていたが、やがて探るように辺りに触れ始めた。
その度、膿汁にまみれた粘つく音が船内に響く。それを聞く耳はない。ヘイドレクが
全て持ち去った。ただ右手だけが、粘る糸を引きながら蠢き続ける。
 右手が、床板に触れた。ワニスで固めた杉材の感触に一度は引き退いた右手だっ
たが、再度床板に触れるや、貼り付けるようにその掌を押し付けた。
 びち。
 右手に力が加わるや、その根元が埋まる屍の腹が裂けた。音が響くと、腕が伸びた。

 這い出そうとしているのだ、<それ>が。

 肘が見え、たわみ、上腕部がのぞいた。そのたびに腹の裂け目は鉤裂きの口を
広げ、収めた異物を吐き出していった。時折粘液に滑りながらも、しかと床板に貼り
ついた掌が、自らを産ましめていた。
424元書き手の残骸:04/12/25 16:19:27
 屍の腹が、大きく膨れた。裂け目は破砕音を響かせながら、今なお口を広げつつ
あった。それでも吐出され切らぬ何者かがもがいているのだ、出口を求めて。
 異音が響き、屍が大きく跳ねた。肉の裂ける音ではなかった。骨を割り砕く音だった。
音が響くたび、屍の胸がありえない大きさに膨れ上がった。

<それ>は、胸を割り開こうとしていた。

 右手が床を離れ、折れ曲がり、肋の沿端を掴み、押し上げた。押し上げるたび、
胸の皮膚が引きちぎれた。大きさに似合わぬ強力だった。押し上げられた胸の
隙間から、砕けた白い肋と、人の器官にあり得ぬ黒い球状の物体が覗いた。
 ひときわ大きな破砕音が響いた。想定外の力に耐えかねた胸骨が真二つにへし折れ、
胸の下半分がまくれ上がったのだ。さながら屋根裏部屋の小窓のごとく、ぱっくりと
口をあけた胸部はどす赤く凝った肺や心臓を大気にさらしていた。
 そしてそこには、先に垣間見えた黒い玉があった。玉は震え、水底で泡の爆ぜるような
音を立てた。

 その玉、未だ開かぬ目を瞼の内にぎょろぎょろと動かせ、鮫のごとく幾重に並んだ
茶色の乱杭歯を耳まで裂けた口から覗かせる<それ>の頭部が、忌まわしき生誕の
歓喜を、死肉の只中から轟かせたのだ。
425元書き手の残骸:04/12/25 16:34:56
 屍は、既に屍ではなかった。それはもはや、肉片であった。這い出た<それ>が
砕き散らした。肉塊の散乱するなか、<それ>は四つ這いになったまま、ただただ
玄妙ともいえる唸り声で、空気を振るわせ続けていた。

 と、それが顔を上げた。
 この死が充満した室内に、光が生まれたのを感じたのだ。

 屍の山、その頂に花があった。
 紅い花だった。数多の屍にその根をおろし、花弁の奥から淡い光を放ち、花は
爽々と咲いていた。己の放つ光を受け、葉を伸ばし、花が咲いていた。
<それ>の喉から、音が漏れた。未だその目は縫い付けられたままであったが、
<それ>は光を知っていた。
 これは己の宿主を殺し、そして今己を殺す者であることを知っていた。
426元書き手の残骸:04/12/25 17:21:53
 音もなく、根が疾った。花の根元で数十になる根が生え出で、その切っ先を
床板に転がる漆黒の肉体に向け、放ったのだ。
 根は<それ>の腕を、喉を、腹を、額を貫き、幾重に絡め取った。絡め取って、
引きずった。
 <それ>が啼いた。己に根を下ろした花が、己の裡から力の源泉ともいうべき何かを
根こそぎ吸い取ろうとするのを感じ、もがいた。もがくたび数本、根が引きちぎられた
が、すぐに倍増す数の根が絡みつき、締め上げた。
 <それ>がもう一度啼いた。絶望の声だった。己を輝きを増す花への恐怖だった。

 からからに吸い上げられた<それ>が床に伏して動かなくなったとき、紅だった花は
純白に輝いていた。旭光は周囲を圧せんばかりに燦然と輝き、血と肉と死を神々しく
照らし出していた。
 これこそヘイドレクの花、敵を見出したヘイドレクがその身から産み落とした、
生と死の仇花であった。


とりあえず、今回はこんな感じで。アリだったら、また。
427メヌバ編:2005/04/19(火) 05:44:44
気になってた>>116の女剣士を生かしてみる書き手の残骸。


「元気そうだなルジェール」
 そういって身軽に黒毛の馬から飛び降りた女は、女にしては短い緋色の髪を、
さらさらと無頓着に風になびかせばがら、勝気そうな大きな目を楽しそうに細めて、
彼女を迎えに来たルジェール公に対峙した。
 繊細な細工をこらしつつ、重厚につくられた甲冑に身をつつむルジェール公は、
その他を圧倒する厳つい顔面からは想像もできないほど、愉快そうに笑った。
笑うと鼻の下で触覚のようにはねている口ひげがあがる。
「相変わらず下品なひげだな、剃ったらどうだ」
「おまえこそ相変わらずの口の聞きようだな。腕のほうも相変わらずか」
「見せようか?」
 彼女は上目遣いに睨みながら、口元を楽しげにゆがませた。
 その瞳の中にあるものを感じて、ルジェール公はあわてて手を振って見せたが、
次の瞬間、女の腰に下げていた、痩躯に似合わぬ大仰な剣の柄がカチリとなった。
抜いたのではない。しまった音だった。
「ふふ、そのほうが似合うと言ってるだろ」
 そういって無邪気に笑う彼女の目の前で、苦い表情をしてルジェールが己の口元にふれると、
そこには短く刈られた口ひげが、ざりざりと指に触れた。
428メヌバ編:2005/04/19(火) 05:46:07
「レンプロクトは見たか?」

 ランプの光に照らし出されるのは、机のうえに広げられた一枚の羊皮紙。
 その上に描かれているのは大陸の地図だ。
 ルジェールはムベルリ大陸と書かれた場所の中央「レンプロクト」を指差す。
 蝋燭の光に浮かぶ彼の表情は、うってかわって深刻である。
 今は甲冑は脱ぎ、華美な軍服に着替えていたが、その華美さは彼の巨体から伝わる迫力を荘厳なものにしている。
 一方椅子に座らず、大きすぎる机の上に直接腰かけて、洋梨をぽりぽりかじりながら、女は指差された
場所を注視している。顔には表情はなく、膨らんだ頬からばりばりと梨を噛み砕く音が聞こえてくるばかりだ。
 飲み下した音が部屋中にひびいたあと、女は、ニッと口の端に笑みを浮かべた。
「見た」
 そして梨の汁のついたままの手で、地図の上、レンプロクトのある一点をゆびさしていった。
429メヌバ編:2005/04/19(火) 05:53:27
「王都ヴァイエンジルークは地獄絵図だ。
 二年分の王国軍と民衆の血でまさに名のとおり『ヴァイエン(漆黒の)ジルーク(泉)』
 それから王が逃げ込んだ城のあるこのベーブバルドだが……」

 女はふと顔をあげてルジェールを伺うように見て、言った。
「きな臭い」
「なぜそう思う」
「現国王が妙だな。あの若さならばとっくにレンプロクトほどの大国は支えきれぬと思っていたが、
 領土を半分にしつつも持ちこたえているのが妙だ。
 隣国カルキュラなんぞは、レンプロクトのような腐った果実など簡単に踏み潰せると
 踏んでいたようだが、二年も持ちこたえられて財政も苦しくなってきたに違いない」
 
 あの狸老王の苦い顔が目に浮かぶな、といって再び愉快そうに梨をかじる女を見て、
 硬くこわばった表情のまま、ルジェールは言った。
「なぜだか分かるか」
430メヌバ編:2005/04/19(火) 06:24:47

「なぜだと思う。考えてみな、ルジェール。
名だたる将校も亡命したスカスカの王国軍になぜそんなことがなしえるのか」

 うーん、と組んだ手の上に鼻をのせて考えこむ旧友をみて、女はケラケラ笑った。

「それが分からなきゃ、あの国は手に負えんよ。まあ分かったところで手に負えんことには変わりないか」
 それから芯だけになった洋ナシを机の上におくと、腕をくんで地図上の一点−−現王の逃げ込んだ

城塞都市
ベーブバルドを見つめた。
「ふふ、降参? ルジェール公殿」
「−−よほどすごい策士がいるとしか思えんが、あの国にそんな逸材が残っているとも思えん。
しかし噂では奇妙なことを聞いたのだがな」
 そういってルジェール公も顔は伏せたまま、伺うような視線を女に投げかけた。
口もとから笑みを消し、女も同じように鋭くひかる視線をルジェール公に向け、ゆっくりと頷く。
 促されるままにルジェール公は、おもむろに組んでいた手をほどくと、机の上で腕を組んだ。
431メヌバ編:2005/04/19(火) 06:39:31
「……馬鹿げてはいるが、そうとしか思えん。−−王国軍は不死身なのだという話だ。
 刺しても切っても血も出さずに戦い続けるというのだ。
 ありえないが、しかし現にあの狸カルキュラ王が弱りきっているという報告を聞くとどうも妙だ。
 おまえ、見たか?」
「いや、あの街周辺を女一人でうろつくには怖くてね」
「《コルトールの緋雷》が何を言う、メヌバ」
「ふふふ、名づけたのはあんたじゃなかったか? まぁいいや。うん、率直に言えば『見た』。
 その不死身の兵士の《残骸》をね」
「と、いうと?」
「カルキュラ陣営に寄ったときにさ、逃げてきた兵士がくっつけてきたんだ。
 その《不死身の王国軍》の兵士の《腕》をね」
「くっつけてきた?」
 その言葉を無視するようにメヌバは部屋をみまわして、一呼吸おいてから、
ふっと笑って腕をぶらぶらさせてみせた。

「そう。腕自体はこうぶらぶらとね、ぶらさがってるんだ。
 くっついているのは……、いいか?
 その腕の切断面からのびている無数の、木の『蔓』だ」
432名無し物書き@推敲中?:2005/04/25(月) 07:06:45
「なんだってー!?!?」

突如三人の男が現れて驚愕の表情を浮かべた。
彼らはそのまま「地球は滅亡する」と騒ぎたて消えていった。

その直後、大地は割れ、海は荒れ、嵐は巻き起こり、


世界は滅亡した



そしてトモダチ暦0003年、ある町で事件は発生する。
433メヌバ編:2005/04/26(火) 05:44:56
>>432微妙にくっつけてみよー。

「なんだってーー?!」
「シィーッ!!!」

 その時だった、壁にかけてあった肖像画の向こう側から驚愕の声といさめるような声が
同時に聞こえてきた。

 そこにかけてあるのは、美しい女性の肖像がである。
 薔薇の髪留めをつけ、黄金にかがやく巻き毛を耳のうえから少し下ろし、
あとは後ろにまとめてある。白皙の頬、ふっくらした桃色の唇には恥ずかしげな笑みが浮かぶ。
大きな瞳は夏の山山の緑をうつし、長いまつげがそれを縁取っている。
 メヌバが、ちら、とその絵を眺めたとたん、大きな瞳の中央の色が変わった。
 どうやらのぞき穴になっているようである。
「ふふん。おまえの母君の向こうにねずみがいるな」
 なかば楽しそうである。その指は腰の剣をもとめて、うごめいた。
「切るなよ。どかせば済む。それに鼠の正体はわかっているさ。呼べばくるだろう。
 入ってこい、レドンド、ムント、アリント」
「ふん。マザコンが」
 吐き捨てるように言って、メヌバは名残惜しそうに剣のつかを一なでした。
434メヌバ編:2005/04/26(火) 05:59:41
 鼠が這い出してくるにはしばしばかかった。
 もう一度メヌバが眼を光らせて剣の柄を握ろうとすると、あわてて絵が横にずれ、
おずおずと三匹の鼠が出てきた。
 赤毛で眼の大きな少年が一人と、メガネをかけ刈り上げた金髪の青年が一人、
それからひとりは金色の髪の毛を肩までたらした可愛らしい少女だった。
 メヌバは少女の耳をみて、わずかに眉をあげた。
 少女の耳の部分には、人間の耳の変わりに数枚の葉が茂っていたのである。
 少年たちはうつむいて絵のあった空洞から、つぎつぎと部屋に飛び込んできた。
 それから、しおれて一列に並んだ。
「おまえに子供がいたとはな、相変わらず、薔薇の君一筋なのだとばかり思っていたよ」
「俺の子ではない。食客の拾ってきた餓鬼どもだ。これが厄介な客でな、
 学者なだけに、好奇心旺盛すぎるというか……。
 まぁいい、紹介しようと思っていた。……おまえたち、先生を呼んで来い」
 ルジェールは疲れた表情をして、子供たちに向かって顎でドアを示した。
 子供たちは脱兎のごとくいっせいにドアに向かうと、パタパタと音をたてて走り去っていった。
435メヌバ編:2005/04/26(火) 06:10:53
「あの少女の耳、ここに来る前も何度か見たな」
「流行り病だそうだ。しかし、このところ樹に関する妙な噂ばかりが目立つな。
 気になっていたところに、流浪の樹学者とぬかす者がきてな、面白いから食客として迎えた。
 厄介だが、腕は本物だぞ」
「……樹学者ねぇ。しかし子供は面白いな、どうだ。子が欲しくなったか?」
 からかうような笑みを浮かべて、メヌバはルジェールを正面から見据えた。
 ルジェールは笑い返さずに、ふと肖像画へ視線を投げた。絵の女は場所を移動させたものの、
相変わらずためらいがちに微笑んでいる。
 眉をひそめたあと、メヌバも同様に肖像画のほうを向いた。
 しばらく二人の間には沈黙があった。
 それから顔に重々しい表情を浮かべて絵を注視したまま、彼は言った。
「……彼女は無事か」
 メヌバは深く息をはいてから、無造作な赤い髪の毛をがしがし掻いた。
 困ったようにルジェールをみつめる。
「ベーブバルドに入ったのは確かだ。それからは如何せん解らん」
「そうか……」
「お前が欲しいのはどっちだ、ルジェール? 焦がれ続けたお前の従妹か、レンプロクトか?」
「レンプロクトだろうな、メヌバ。彼女が王太后ならば、国ごといただくしかあるまい?」
436メヌバ編:2005/05/02(月) 07:07:48
 あきれた顔をしてメヌバは肩をすくめると、机からひょい、と飛び降りた。
 軽量の甲冑が軽やかな音をたてる。
「あきれた石頭だよお前は。昔からそうだ」
 そういいながら軽く身体を曲げたり、伸びをしながら身体をほぐしはじめた。

「こういうのは肩が凝るな。地図を見ているよりか、剣を振り回すほうが楽だ。
 ……で、あたしを呼んだのは、そのことなんだろ? ルジェール?」

 メヌバの鳶色の瞳の中に、蝋燭のゆらめきと、ルジェールの静かな漆黒の瞳が映った。
 言葉はないが、それが何を意味しているのかは長年のよしみですぐにわかったメヌバは、
薄く笑った。
「古い馴染みだろうが仕事は仕事だ。報酬ははずむんだろうな?」
「無論、成功すれば望むだけやろう。それだけの価値がある。お前がいれば我が軍は
500人の傭兵を一時に得たも同然だからな」
 メヌバは静かに眼を細めて笑った。
「ゼロが一つ足りないね」
437メヌバ編:2005/05/02(月) 07:09:38

 コンコン、とドアをたたく音が部屋に響いてきた。
 ルジェールが促すと、ゆっくりと静かに扉が開き、先ほどの三人の子供背にして、
背の高い、男装の老婆がたっていた。
 老婆と一瞬メヌバが思ったのは、彼女のひっつめている髪の毛がすべて真っ白かったからである。
 しかし老婆にしては若々しく、多少猫背気味ではあるが背も曲がっておらず、
顔も皺だらけではなかった。眼がねをかけており、顔立ちは多少きつめだが目元には
楽しそうな笑みが浮かんでいる。
 彼女は一礼するとゆっくりと部屋に入ってきた。静かな動作だが、不思議な存在感がある。
 ルジェールは席をたって、メヌバに彼女を紹介した。
「こちらが樹学者、ザフィーネ先生だ。先生、こちらが前にいっていた……」
「コルトールのメヌバだね。おやおや、公と並ぶと随分と若く見えるが」
 ザフィーネと紹介された彼女は、渋みのあるしわがれた声でケラケラと笑って、メヌバに手をさしだした。
「あんたも十分年齢不詳だよ。いくつだか聞いても?」
 不遜な口調と不躾なメヌバの質問に、傍で聞いていたルジェールは眉をひそめたが、
いっこうに気を悪くした様子もなく、むしろ愉快そうにザフィーネは声高く笑い出した。
438名無し物書き@推敲中?:2005/05/18(水) 12:16:01
メヌバ(・∀・)イイ!
439名無し物書き@推敲中?:2005/05/19(木) 03:35:42
分厚い雲が空を覆い、地上は一寸先も定かではない漆黒の闇に満たされていた。
とうに打ち捨てられたと見える、ひどく朽ち果てた石造りの民家の窓を塞いでいる
板張りの隙間から、今夜は暗い橙色の明かりが僅かに漏れている。
民家の中では、剥き出しになった床の上にそれぞれ御座を引き、
ほとんど消えかけている薪の火を挟んで、男と女が向かい合っていた。
女は若く、粗末な身なりをしている。ひどく脅えている様子で、緊張に体を強張らせている。
男は胡座をかき、静かに女を見つめている。小柄だが、がっしりとした筋肉が全身を覆っている。
顎鬚を蓄え、耳と鼻が異様に大きい。明るい日の下では、滑稽に見えるだろう、その相貌が、
今は足元の暗い焚き火が隈を作り、無気味な仮面のように見せていた。
「こちらへ」男が女に声をかけた。
幾許かの逡巡の後、女は覚悟を決めたように面を上げると、焚き火を回って男の正面に立った。
「お約束は守ってください」
女の声は固い。焚き火を背後にして、表情は窺い知れない。
「約束は守るさ。商売でドワーフが裏切ったって噂を聞いた事があるか?
さあ、尻を向けて、俺の足の間に座ってくれ」
返事を返さず、女は立ったままで白い着衣を肩から滑り落とし、下着だけの姿になった。
440名無し物書き@推敲中?:2005/05/19(木) 03:37:47
「う……」女の口から、思わず熱い吐息が洩れる。
最初に男の太くて短い指が、自分の肌に触れてきた時、嫌悪感しか感じなかった。
武器の代金の不足分に人間の女の身体を要求するドワーフ。
以前から、粘り付く視線で見られていた彼女にとって、この武器商人は忌み嫌う
嫌悪の対象でしかなかった。
緊急の事態とは言え、どうして今回、村が代金を用意できなかったのか。
嵌められたのだと思う。それは彼女の仕える主人が、彼女を裏切ったという事を意味する。
彼女は主人使用人という身分の差を越えて、バーシラの村長の長男に恋をしていた。
しかし身体を要求されて戸惑った彼女が、目で救いを求めた時、あの人は卑屈に目を背けたのだ。
あの時、永遠に恋は破れてしまったけど、好きだった気持ちは純粋だったと思う。
だから、あの頃の思い出のために、最後の御奉公のつもりで、嫌いな相手に抱かれに来た。
先刻までの彼女は、この好色な亜人と黙って向かい合い、決して心までは抱かれまいと固く決意していた。
しかし今、嫌いな男に後ろから抱きすくめられるようにして座り、淫蕩な愛撫に全身を委ねた時、
彼女の精神を全く別の戦慄が支配しようとしている。
股間に滴るものを感じた時、霞がかった脳裡で女は、ドワーフの生産品は武器だけではなく、
繊細な指先を持つものしか作り出せぬ緻密な工芸品があった事を思い出す。
441メヌバ編:2005/05/19(木) 04:29:00
スマン。メヌバ編の続きだ。
>>437から続く。

「孫がいたらこの子達ぐらいになっているんだろうねえ。
 ああもちろん、公のことは息子のように思わせてもらっているよ。少々厳ついがね」

「ならば母親らしくもう少しおとなしくしていてもらいたいものだ」
 むっと答えたルジェールを尻目にメヌバは哄笑し、差し出された手を快く握り返した。
「気に入った!メヌバだ。よろしく」
 ザフィーネも微笑んで、互いに強く手を握り合った。

 学者の性か日ごろから観察することがすきなザフィーネはここぞとばかりに、メヌバを眺めた。
 噂にたがわぬ緋色の髪、実践と実力に裏打ちされた自信で満ちた鳶色の目は気丈そうに細められ、
口の端も楽しそうに釣りあがっている。
 一見しただけならば、おてんば娘がそのまま成長したかのようだ。
 今の彼女は一見して無邪気である。
 しかしメヌバが生きてきたのは、お転婆なだけでは犬死する戦場であった。
442メヌバ編:2005/05/19(木) 04:30:15

(女の身で、剣の才に恵まれ過ぎてしまうのも過酷なものだ)
 そう思いながらザフィーネは俊敏さでは雷にひけを取らぬといわれる女剣士の、
極限にまで引き締められた腕の筋肉に視線を移した。
 大方の甲冑は今ははずしているのだろうが、それでも普段からむき出しだと思われる肩から腕にかけて
肌は日をよく吸い浅黒く、小さな傷が目立つ。
 しかし無駄なくひきしまった筋肉の美しさを見れば、ザフィーネにすればはるかに若いこの女剣士には
確かに戦場の神が宿っているのだと思わざるを得ない。
 胸を覆う甲冑も最小限のもので、その下からは見事な腹筋がのぞいている。それから腰に幅の広い
革製のベルトをつけ、そこから細身に似合わぬ大仰な剣が下げてある。下半身は男のようなズボンをはき、
その上に半分だけスカート状になった鎖帷子をつけている。
 膝下からは黒い革製のブーツを履いていた。
 視線をメヌバの腕に戻した時、ふとザフィーネはその肩に視線をとめた。
443メヌバ編:2005/05/19(木) 04:37:05
 メヌバのほうも、ザフィーネの楽しそうな目つきが急に怪訝に細められるのを見た。
 そう思うか思わぬかのうちに、老人とは思えないほどの強さで握り合った手を引っ張られ、
次の瞬間に、ザフィーネの左手がメヌバのむき出しの浅黒い上腕に添えられていた。

「メヌバ止せ!!」

 次の瞬間ルジェールが止めたのはメヌバだった。
 俊敏な女戦士はとっさのことに反射的に、太ももにくくりつけた探検をひきぬき、
ザフィーネの喉元をかっきるべく、刃を突きつけていたのだ。
「何の真似だ」
 メヌバの唇から先ほどの無邪気な笑いとは正反対の押し殺したような声が流れる。 
 しかしザフィーネの視線は相変わらず、メヌバの右上腕の一点に注がれたままだ。
 まるで首元につきつけられた、鈍く光る探検など眼中にないかのように。
「軽装が災いしたようだね。緋雷メヌバ」
「なに?」
 眉をひそめながら、ザフィーネの喉元に突きつけた刃からは注意をそらさぬようにし、
メヌバはザフィーネの指の添えられた自分の右肩に視線を落とした。
 そこにあったのは何の変哲もないかすり傷のように見えた。
 まだ新しいのか、うっすらと赤くにじんでいる。それはともかく、メヌバにとってそんなものは
とるに足らぬ傷に思えた。
 しかしそんなメヌバの反応を予想していてか、ザフィーネはふっと笑った。
「確かに見かけは普通の傷口さね。だが傷じゃあない」
444メヌバ編:2005/05/21(土) 03:23:52
 ザフィーネは血のにじむそこに、中指と人差し指をそえて、強く押した。
 メヌバは見た。傷口がかすかにうごめくのを。

「正確にいうんなら、『《まだ》傷口じゃぁない』」
「ザフィーネ!やっぱり……」
 栗色の癖のある髪をした目の大きな少年が、心配そうに口をはさんだ。
 分かっている、と言わんばかりにザフィーネは優しく微笑んで、続く言葉を制した。
 メヌバもルジェールも怪訝な目をして、二人を見比べる。
 再びザフィーネはメヌバの目を見据え、穏やかな口調でたずねた。

「さて、メヌバ。この子達から聞いた話によると、あんたは見たそうだね『蔓を生やした腕』を」
「ああ」
「ただ見ただけじゃぁ無い。あんたはその腕に触ったね?」
「ああ、触った。その腕を切り落としてやったのは他でもない、あたしだからな」
 とたんザフィーネは静かに目を細めた。
「その腕には他にも奇妙なところがあったろう。たとえば、血がやたら少ないとか」
 メヌバは相変わらず喉元に突きつけた切っ先を動揺のためかわずかに揺らした。
 彼女の眉がすこし釣りあがる。
「……その通りだ。それもやたらどろどろした血だった。何か知っているのか」
「それは追々お話するとしよう。とりあえず、これを何とかしなくてはねえ。少々やっかいだ」
445メヌバ編:2005/05/21(土) 03:26:13

「何が厄介だというんだ、先生。俺にはさっぱり話が見えん」

 痺れをきらして、横からイライラとルジェールが口を挟んだ。
 それに答えたのは、先ほどの子供たちのうち、比較的年上で、短く刈り上げた金髪の青年だった。

「たぶん『ゾイル植物』の亜種に種を植えつけられたのだと思います」

 彼は眼鏡のうしろで目を細めて、ザフィーネの指先を凝視している。
「そうでしょう。お師匠」
「間違いないだろうねえ。蔓、それから粘液状の血。この血の色もそうだ。
 そうなると潜伏期間が問題になる。メヌバ、それからどれくらい経つね?」
「……うーん、五日。あるいは六日ぐらいか」
 考え込むようにザフィーネは唸った。

「ゾイルは通常七日で芽吹く。明日あんたが目を覚ます時には、
 これはホンモノの傷になっているだろうねえ。ただしその時は、この腕全てが
 食いちぎられて、傷だらけだろうがね。そして美しい小さな赤い花が咲いているだろう」
446メヌバ編:2005/05/21(土) 03:28:39

「こんなちっぽけな傷がそんな恐ろしいものだっていうのか?」
 メヌバもルジェールも驚いて、傷口を眺めた。
「ほんとのゾイルは動物にしか寄生しないよ」
 赤毛の少年が口をはさんだ。
「種のまんま血の中に潜んでて、寄生してる動物が死ぬといっせいに芽吹くんだ。
 でも最近はヤバイ亜種が出回ってて、人間を食う。
 死ぬ前にさっさと芽吹いて、人間の脳みそ食べちゃうんだ」
「ひひ、おまえたちはいい樹学者になる!」
 ゾフィーネは声高く笑うと、まじめな顔になってメヌバの腕から手を離すと、
 袖に深緑の模様のあしらわれた白いローブの内をさぐり、黒く大きな麻のハンカチを
取り出した。それから小さな小瓶を取り出して、中身をそれに染み込ませはじめた。
「何をはじめる気だ?」
 突きつけていた刃をようやく下ろし、元の位置にしまいながら、メヌバは老いた樹学者の
手元を気味悪そうに覗き込んだ。
「種の除去に決まっているさね。今話したろう、
 早くとらないと、あんたは《あの腕》と同じことになろうよ」
447名無し物書き@推敲中?:2005/05/21(土) 19:21:28
なんや地味に続いてんな〜。
俺も久しぶりに書きたくなってきたが、もう細かい
設定忘れたわ。調べるのマンドックス

つーことで俺はハードにROMるぜ!

448名無し物書き@推敲中?:2005/06/19(日) 23:07:14
ネゴの睦み事をドアの隙間から秘かに覗き見るヘイドレク… |д゚;)
449ネゴとヘイドレク:2005/07/04(月) 18:35:05
「殺したのか?」
ヘイドレクが声をかけると、ネゴは小馬鹿にしたような笑みを口元に浮かべた。
「失神してるのさ。容量を越えた快感を与えると、脳がスイッチを切っちまう。人体の自己防衛だな」
「そういうものなのか」
「そういうものだ」
大儀そうに女の白い裸身を脇にどけると、ネゴは伸びをしながら立ち上がった。
その姿は、白雪姫を守っていた七人の小人に酷似していて愛らしい。
「出発するぞ、ヘイドレク。今から発てば、夜明けには駅に着く。
次の町に売る武器を受け取る段取りになっている」
荷馬車に向かって並んで歩きながら、ヘイドレクはこの小坑人の体力に内心で舌を巻いた。
欲望がこの男を動かしている。ネゴには迷いがない。金と女。世界が破滅するその日まで、
この男はそれを求め続け、死の間際においても決して後悔はしないだろう。
馬の手綱を握るヘイドレクの心の中に、ネゴを少しからかうような気持ちが生まれた。
「次の町にも、狙っている女がいるのか?」
仮眠用のベッドに身体を横たえていたネゴは、妙に真面目な声でヘイドレクに返事をした。
「よく解ったな」
ネゴはそれだけ答えると黙り込み、荷馬車内に奇妙な沈黙が満ちた。
その沈黙は、ネゴが次に狙っている女が、彼にとって特別な存在である事を、
ヘイドレクに想像させた。
「女の名はメヌバ。緋色の髪のメヌバ。あの女を犯すために俺は産まれて来たんだと思う。
ヘイドレク。お前は俺の事を嫌いだろう。お前だけでなく、多くの人間や亜人が俺の事を嫌っている。
それは俺が自分の欲望を満たすために手段を選ばないからだ。どんな汚い事でも平気でやるからだ。
あの女も俺の事を嫌っている。しかし、ヘイドレク、女の気持ちなど俺の欲望には関係ない話だ。
俺は必ずあの女を犯してやる。ああ、もう一度あの女に快楽の悲鳴をあげさせる事ができると思うだけで、
俺は頭が破裂しそうになるよ。俺はメヌバを犯して犯して犯しぬき、もしかすると、いや、今度は
間違いなく殺してしまうだろう」
暗闇の中で妄執の狂気を湛え、赤外線を感知するドワーフの両目が赤々と輝いている。
「あの女は剣の達人だ。必ずお前の助けがいる。その時は頼んだぞ、ヘイドレク」
ふいに声の調子をがらりと変えると、人なつこい商人の顔でネゴはヘイドレクに笑いかけた。
450メヌバ編:2005/07/05(火) 09:38:59
お、メヌバが絡んできた。これだから面白いなぁリレー小説。
>>446からの続き



 種の除去は造作もなく進んだ。

 黒い麻のハンカチを押し当て、上からぐるぐると包帯を巻かれた。
 ぽんと包帯を上から叩いて、ザフィーネは笑った。
「よし、今日はこのままで大丈夫さね。明日の朝、また見るとしよう」
「大袈裟なことを言う割りには、バカに治療が簡単だったな」
「ひひ、甘くみちゃぁいけないよメヌバ。これでも57種の草木で調合した薬さ。
 それにまだ終わっちゃいない。これは単なる前準備さね」
 フーン、とさほど興味もなさそうに、自分の腕に巻かれた包帯をみながらメヌバは鼻をならした。
 固唾を呑んで見守っていたルジェールもほっと息をつく。

「まあなんにせよ、無事に済むなら良いんだ。俺もいきなりお前を失うのは痛いぞメヌバ」
「はっ、あたしも報酬もらう前に散りたかないね」
 メヌバはさもおかしそうに腹をかかえて笑いながらそう言うと、腕に支障がないか、
肩を片手で抑えながら腕を動かしてみた。特に変わったことは感じられない。
 ルジェールはメヌバを尻目に、ザフィーネに視線を戻す。
451メヌバ編:2005/07/05(火) 09:42:24

「何が起こってるんだね、先生。何か知ってる、或いは気付いているんじゃぁ…?」
 眉をひそめ、ルジェールは深刻な面持ちで低い声でザフィーネに問うた。
 老樹学者は、飄々とした顔つきで、見つめかえす。
 メヌバを治療した用具をさっさと白衣の下にしまうと、腰部にあるポケットに手を
つっこんで、肩をすくめた。
 困ったように眉根を歪ませ、自嘲的な笑みで口元つりあげたまま言った。

「生態系が狂いだしてるね。それも特に植物が。
 ───しかもそれを誰かが意図的に利用している」

 ルジェールの沈んだ目が蝋燭のあかりにキラリと光った。
 手はしきりに刈り取られたヒゲを撫でながら、慎重そうに、地図に目を落とし、
ふたたびザフィーネを見比べる。
 傍で聞いていたメヌバも腕を組んで、そういうルジェールの仕草を見守った。
「レンプロクトにその《誰か》がいるというんだな」
「そりゃ知らないね、こっちは一介の樹学者だ。軍師じゃぁない」
 はぐらかすようにザフィーネは笑ったが、目はひどく静かだった。
452メヌバ編:2005/07/05(火) 10:18:40

「ただ、ヴァイエンジルーク、ベーブバルド周辺が一番ひどいとは聞いてるよ。
 それに不死身の兵士の噂も、その特徴も。
 それがゾイル系植物の症状と一致することは分かっているが、
 向こうがどうやってそれを統率しているかまるっきり分かったものじゃないね。
 いや、人間にはできないんだよ、そんなことはね」

 淡々と説くザフィーネの顔の皺に、蝋燭の影が落ちる。
 丸い眼鏡の奥にある双眸は、冷静すぎるほど穏やかに、ルジェールを見据えていた。

「誰なら、できる?」

 傍で聞いていたメヌバが無邪気に尋ねた。
 好奇心で鳶色の目がぎらぎらと輝いていた。未知の相手に会うのは、彼女の場合
恐怖ではなく歓喜だ。悪い癖だ、とルジェールはその大きな鼻から息を吐いた。
 ザフィーネはメヌバに視線を移した。
 その表情は怒っているようでもなく、質問に戸惑っているようでもなかった。
 答えを知っている者の余裕のある表情をしていた。
 メヌバはそんなことはとっくに分かっていたのだ。
 それが新しい自分の敵だということも。
453メヌバ編:2005/07/05(火) 10:42:11

 無性にわくわくした。剣の矛先が決まれば、彼女の身体は自然に動く。
 たとえその相手がどんなに強固な鎧を着ていようと、彼女の何倍あろうと。
 ザフィーネはそっと肩をすくめて、視線をルジェールの手元、地図へと落とした。
 そのまましばらく口を閉じていたが、ふと笑うと、口を開いた。
 
「同じ樹なら、できるね。それも世界そのものである樹ならね」
 
 ばかな、思わずルジェールの口元からそう嘆息が零れた。
 樹が樹を操るなど、それこそ現実離れしている。
 だが対照的にメヌバはザフィーネをじっと凝視していた。それから、慎重に
音ひとつひとつを確認するようにそっと、呟いた。
「せかいじゅ、のことか?」
 目を細めてメヌバを見やり、ザフィーネは意外だと言わんばかりの笑みを向けた。
「おや、知っていたのかい。まぁ、よくある古い伝説だからね、どこかで耳にしたのかもれないが。
 そう、その世界樹ならば、可能だろうってことさ」
「しかしあれは単なる伝説だ。存在すらしない。レンプロクトにあったなんて聞いたこともないが」
「レンプロクトにあるわけがない。天を突くといわれている大樹だ」
「ならば……」
「だが、確かに存在はしている。残念ながらね」
454メヌバ編:2005/07/21(木) 14:36:58
 メヌバを見据えながらザフィーネは言葉を切ると、一呼吸置いて肩をすくめた。

「世界樹は確かに、伝説そのものだったのさ。眠っているうちはね。
 この世界のどこかにあり、静かにただ、世界を支えているだけだった。
 その世界樹を《誰か》が、どうやってかは知らないが、起こしてしまった。
 もともと起きる予定だったのかは知らないがね……、だがここ数年の異変は
 確かに世界樹が関わっている。この子の耳を御覧」
 
 ザフィーネは傍らの少女の肩に手をかけた。
 耳から木の葉を枝のように茂らせる少女は、それでも聴覚はあるらしく、丸いつぶらな目を開いて
おずおずとメヌバを見上げると、すぐにまた凍ったような無表情のまま顔を俯けた。

「この植物はクオーナという。ヤドリギの一種だね。問題はこの樹が
 生存になんら影響を及ぼすことなく、人体に寄生しているということだ。
 しかも、人の構造を自ら変化させて現れる。
 こんな風に生態系を狂わせられるのは、世界の構造を体内に持つ、世界樹だけさね」
455メヌバ編:2005/07/21(木) 15:05:50
 ルジェールは眉をしかめたまま、俯いて黙り込んだ。
 机上の蝋燭の影が、彼の顔に色濃い影を作り出す。
 沈うつな重い静けさが続いた。メヌバも考え込むように口をつぐんでいる。
 しばらくして、ふとルジェールが視線をあげて、老樹学者を捉えた。
 
「その世界樹を、利用しているやつが、レンプロクトの不死身の兵士を操っているというのかね?」
「言ったろう、それは分からないと。一介の人間に、世界樹を利用などできないのさ」
「いよいよ分からなくなってきたぞ。人間じゃないなら、誰がいるというんだ」
 頭を抱えかねないほど混乱した様子で、ルジェールが項垂れ、机の上で両手を握り締める。
 一方、その様子を腕を組んだまま眺めていたメヌバがぽつりと呟いた。
 
「緑光の民、というやつらか?」

 先ほどからザフィーネの口元に浮かんでいた余裕のような微笑が消えた。
 彼女はメヌバを眼鏡の奥から注視する。
「その名を、ここで耳にするとは思わなんだ。どこで知ったね、コルトール?」
 メヌバは笑わずに、どこか遠くを眺めるように顔を背けた。
 それから記憶をなぞるかのように、遠い目をして黙したあと、淋しそうに笑った。

「遠い昔に、初めの師から聞いたおとぎ話だ。世界樹と、それを見守る緑光の民という。
 師ならあるいは、その種族のことを知っていたかもしれないが、しかしもう、それは分からないことだ。
 もう死んでしまっている人間に聞くことはできないからな」
456メヌバ編:2005/07/21(木) 15:15:26
「そんなことを知る人間は少ないはずだよ。あんたの師とやらが興味深いね。まぁとりあえず、話をすすめようか。
 そう、その緑光の民は、そう世界樹の傍に生き続ける最古の民だ、
 その血は樹液と血が混じり、樹と心が相通じるという。彼らなら、世界樹を利用することもできよう」
「だが何のために?」
 息子をなだめる母親のように優しく微笑んで、ザフィーネはルジェールを目を細めて見やった。

「分からないよ。緑光の民そのものがすでに伝説化している。
 あんたもすぐに信じられるね? 植物と人間の血が同時に流れている種族がこの地上にいることが」
 ううむ…、と唸って手を組み項垂れたルジェールをみて、ザフィーネはくっくっと喉をならして笑った。
 そしてすぐ笑い止め、真面目な顔をしてルジェールを見据えた。口元はまだ微かに笑いを留めていた。

「だが、世界樹をあやつる黒幕の可能性としては、緑光の民以外に考えられないっていうことさ。
 それが何の目的でレンプロクトと手を組んだのかは知らない。
 だが、このまま生態系が狂っていけば、レンプロクトだけの問題ではなくなる。
 あちこちにレンプロクトの不死身の兵士のような化け物だらけになってしまいかねないさね」
 受け入れがたい現実に、しばらく苦悶するような表情を浮かべていたが、ルジェールはヒゲをさすりながら、
ザフィーネをちらりと見やった。


「そいつらを味方にすることはできないかね」
457名無し物書き@推敲中?:2005/07/22(金) 14:08:41
ザフィーネ、見やりすぎ
458名無し物書き@推敲中?:2005/08/07(日) 22:55:11
長文荒らしウザイ
459名無し物書き@推敲中?:2005/08/09(火) 07:18:00
837 名前:名無し物書き@推敲中? 投稿日:2005/08/09(火) 05:54:09
少数メンバーでスレを独占し、排他的な流れを作るのはNGだよ。
それは2ちゃんのどこの板でも同じ。

我が物顔でage放題、スレ立て放題、飽きたら使いかけでも放置、
さらに同種の新スレを立てるのはもっとも嫌われる行為。
んなことやってたら、普通は追放されてもおかしくないんだよ?

子どもだから許されるという免罪符を求めているなら、2ちゃんになんか
来ないほうがいいよ最初から。
わかったかな?
460名無し物書き@推敲中?:2005/08/11(木) 15:07:41
どうせ廃墟じゃん
461ヘイドレクとメヌバ/ネゴ(1/2):2005/12/03(土) 17:24:02
メヌバは、この季節が好きだった。
夜の風が、甘やかな花の香りを運んでくる。
ザフィーネ邸を出て一人、夜道を歩きながらメヌバはくっくっと喉で笑った。
あの老樹学者は、何回私の事を見やれば気がすむのだろう。
思い出し笑いを口元に浮かべ、機嫌良く歩いていたメヌバが、不意に立ち止まった。
自分でも何故立ち止まったのか解らない。
しかし、メヌバの決断は早かった。
理由が解らないまま、豹のように身を翻し、草むらの中に姿を隠す。
──理解する必要はない。
直感を信じて、為すべき行動を取る。
それは、幾千を数える実戦という名の殺し合いで、彼女が体得した生き延びるための真理の一つだった。

身を隠した草むらの中で、気配を殺しメヌバは思考する。
何故、私は足を止めたのだろう?
通い慣れた道だ。
そこに何か、変化があったのか?
メヌバが立っていた場所から、幾程も隔てない位置で、ゆらり、と影が動いた。
巨漢だ。
メヌバより頭二つ大きい。
鍛え抜かれた筋肉が、周囲を威圧する雰囲気を放っている。
メヌバは、この男を見たのだ。
しかし、意識できなかった──《コルトールの緋雷》メヌバが意識できなかった。
その事実が、メヌバの全身を総毛立たせる。
「あんたを待っていた……」
男の声は、寂しそうな響きを帯びていた。
──話しかけてきた。殺意は感じられない。
この男は──敵──なのか?
「あんたを捕まえさせてもらう。抵抗するようならば、手足の二三本を叩き折る」
寂しげな声でそう宣言し、大男は剣を抜き、刃先を裏返すと、峰打ちの状態で正面に構えた。
462ヘイドレクとメヌバ/ネゴ(2/2):2005/12/03(土) 17:27:01
メヌバは立ち上がり、草むらから姿を現した。
剣を下げているのと同じ側の腕を動かし、鞘に手をかけた。
鍔口を鳴らし、剣刃の銀色を覗かせる。
完全に抜刀はしない。
親指で状態を保持したまま、逆の手を柄の頭に静かに添える。
メヌバは知る由もないが、その構えは遥か東洋の島国に伝わる居合の構えと同じものだ。
男の存在を感知できなかった動揺は、既にメヌバから拭い取られていた。
自分の足よりも一回り以上太い、男の腕の筋肉を見て、少し微笑む。
──膂力では、かないそうにないな。気配の消し方も見事なものだ。しかし、貴様に教えてやろう。なぜ私の剣が雷に喩えられているのか。
メヌバが微笑むのを見て、大男も釣られたように、はにかんだような笑顔を見せた。
奇妙な男だ!
添えた手で剣柄を鞘に強く叩きつける。
鞘に弾かれる勢いを加え、身体ごと弾丸のように飛び出す。
その速度は、まさに雷光。

メヌバとヘイドレクが斬り結んだ地から、幾許か離れた木の上で、ネゴは自慰をしていた。
筒状のガラスを二本、横につなげた千里眼を左手で支え、右手は己の奇怪な一物を握り締めている。
引き締まった肢体を、涎を垂らしながら視姦していたネゴが、しかしこの時、メヌバの初撃に思わず息を飲む。
剣先が振り切れるのを凌駕する速度で相手の懐に飛び込む。
果たして可能なのか、人の身にそのような動きが?
しかし、それをメヌバはやってのけた。
屈折した光が拡大して見せる情景は、為す術もなくヘイドレクが、構えた姿勢のままで確かに胸を貫かれている。
──これほど、とはな。
その剣技の卓越性に情欲が冷め、苦々しい気分でネゴは木を降り始めた。
──成長したな、メヌバ。何千世界を見てきた、この俺様がお前の腕前を保証してやろう。鬼神でさえ、剣ではお前にかなうまいよ。
しかし、成長──進化したのは、お前だけではないぞ。この年月で、人が人を殺すための道具に、どのような進化を与えたか、その身で経験してみるがいい。
ネゴは馬車に戻り、一抱えの密閉した容器を取り出した。
地面に置くと、何重にもかけられた留め金を全て外し、握り拳ほどの石を見つけて、先刻の木上に戻る。
慎重に狙いをつけ、容器に投石する。
二つに割れた容器の中から、無味無臭のガスが透明な蛇のように音もなく溢れ出した。
463ヘイドレクとメヌバ(1/4):2005/12/08(木) 08:51:39
メヌバが固まったのは、ありえない現象に遭遇した人間が取る当然の反応だった。
ヘイドレクの巨大な手が、白羽取りの形で易々とメヌバの手から、その剣を奪い取る。
確かに、その剣はヘイドレクの心臓に突き刺さるはずだったのだ。
しかし、事実として剣先は胸元の寸前、中空で静止した。
透明な壁? いや、そこだけが、まるで時間が凍結しているように。
ヘイドレクの胸に埋め込まれた、醜い植物の根が奇跡を起こした。
両腕から剣をもぎ取られ、我に返ったメヌバはその場で後ろに跳躍し、ヘイドレクと距離を取る。
「お前は何者だ」
青ざめた顔でメヌバは問い掛けた。
「その胸の球根はなんだ? どんな宿命がお前を護っているのだ」
ヘイドレクが、泣き出しそうな少年の表情を作ったのは、きっとメヌバの錯覚だろう。
「お前がその事を知る必要はないし、俺も話すつもりはない。お前をネゴの元に連れて行くのが俺の仕事だ。」
──ネゴ。
ヘイドレクが口にした、その忌まわしき名が、記憶の奥底に埋め込んだメヌバの記憶を掘り起こす。
私は少女だった。剣を知らなかった。何もできない子供だった。その私を──子供だった私をあの亜人は──。
両の目を狙い、正確に飛んできた緑の線を、ヘイドレクはのけぞるようにして、かろうじてかわした。
左肩の防具に、二枚の葉っぱが突き刺さっている。
ひゅっと音を鳴らして、メヌバは手にした木の枝を縦に鋭く振り下ろした。
「お前が何者なのか、もはやどうでもいい。ネゴの元へ連れて行ってもらう。奴には、借りを返さなくてはいけない」
「連れて行くといってるだろう」
「違うな。連れて行かせるのだ。殺さないだけありがたいと思え」
「その木の枝で、相手になると思っているのか」
メヌバは、冷たい微笑でそれに答えた。
ヘイドレクは今度は笑みを返さなかった。
確かに、こいつの剣は雷だ。
あの細い木の枝で突かれた時、俺の身体は戦闘能力を失うのか?
ヘイドレクは枝に貫かれる自分の姿をまざまざとイメージすることができた。
腕を。足を。喉を。目を。
──この女もバケモノだな。
ヘイドレクは、メヌバの剣を背中越しに遠く投げ捨てると、右手に握りしめた己の剣を右肩に担いだ。
斧を振り下ろすように、あの女の左大腿骨を叩き折る。
まずは厄介なあの機動力を奪ってやる。
464名無し物書き@推敲中?:2005/12/09(金) 08:14:14
age
465名無し物書き@推敲中?:2005/12/09(金) 08:54:31
ここから>>7に繋げるの?
466ヘイドレクとメヌバ(2/4):2005/12/10(土) 02:08:59
ヘイドレクとメヌバが闘っている地点から上方──山腹に建てられた一軒の小屋がある。
小屋の主人であるフェルは小用を済ませ、そろそろ寝屋に落ち着こうと、居間の明かりを消しに向かった。
居間の入り口で、フェルは床に手をつき、ゆっくりとひざまずく。
いつもそうしているわけではなく、そうせざるを得なかったのだ。
さては晩飯の食材に当たったか? そう思う暇もなく、フェルはうつ伏せの状態で意識を失う。

ヘイドレクは、メヌバが振るう木の枝で、すでにボロ雑巾のようにされていた。
喉や眼球という決定的な急所はかろうじて守っているものの、手足の関節を狙われ、満身創痍という言葉がふさわしい。
鍛えぬかれた鎧のような筋肉が、なんとかヘイドレクの身体を動かしている。
しかし、このまま冷酷な打突が続けば、じき立っている事もできなくなるのは、火を見るよりも明らかだった。
一撃。一撃でいい。
俺様の剣が、この女悪魔に触れる事さえできたのなら、そこで勝負は決まるのだ。
大声を上げ、ヘイドレクが剣を横になぎ払う。
確かに捕らえたと思ったメヌバの影は、残像のように掻き消え、予想外の角度から木の枝が突き刺さる。
何度も繰り返された、それは敗北へと続くダンスだった。
この局面を打破するきっかけは、永遠に訪れないのではないか?
ヘイドレクの心が折れそうになった時、何十回目かの突きが右足関節に深く突き刺さった。
体勢を崩したヘイドレクの視界の隅に、メヌバががくりと片ひざをつくのが見えた。
不自然な姿勢から伸ばしたヘイドレクの豪剣が、反射的に上げたメヌバの左腕骨を打ち砕く。

木上で、ヘイドレクとメヌバの戦闘を双眼鏡で観戦していたネゴは、顔を大げさにしかめヘイドレクを悪し様に罵った。
──傷物にしやがった! 俺の愛しい可愛いメヌバを、あのでくの棒が傷つけやがった!
肩に担いだずた袋から、奇妙な形の仮面を取り出すと、それを顔に装着する。
薬入れから容器を取り出し、ゼリー状のそれを仮面の縁に丁寧に塗りつけて、外気を完全に遮断する。
木から降りると、馬車に戻り、人が一人入れる大きな袋を引っ張り出した。
馬は熟睡している。馬車は使えない。
ヘイドレクとメヌバがすれ違うようにして横たわっている、戦闘があった場所を目指して、ネゴは最短距離で山の斜面を下り始めた。
467メヌバとネゴ(1/4):2005/12/10(土) 02:10:23
目を覚ましてすぐに、メヌバは体の自由が奪われている事に気がついた。
着衣は剥ぎ取られている。
下着姿で大の字に横たわった状態で、四肢が寝台の四隅に結び付けられている。
骨折した左の腕が、指先まで石膏で固められている。
手首の両側の石膏の余った部分に、二本の長いボルトが打ち込まれ、ベッドを貫いて寝台の底に固定されている。
この拘束を解くためには、四肢を縛る紐を切断し、骨折した左腕を固めている石膏を破壊せねばならない。
メヌバは左手を動かそうとして、指先の感覚がない事に気がついた。
骨折の痛みを伝えないために、麻酔が使われている。
治療は愛情にあふれていた。
そして、その愛情が、メヌバを捕らえた者の正体をメヌバに理解させた。
「商売人としての俺は死んだかもしれない」
足元から男の声が聞こえてきた。
「俺は抜け目がない男だと思っている。他人にも言われるし、自分でもそう思っている。
しかし、ヘイドレク──お前と戦っていた大男だ──あいつを殺さなかったのは俺の失敗だ。
お前の顔を見た瞬間、他の事は全て消えてしまった。置き去りにしてきたあいつは、今頃は捕らえられて、
俺の悪事を話してしまい、この街だけでなく、全ての街で俺は商売ができなくなるのかもしれない」
ここは暗い。
顔を上げても、おそらく男の姿を見る事はできないだろう。
「商売をしている時も、女を抱いている時も、お前の事を考えていたよ、メヌバ」
大きく開かされた股間を凝視する視線を感じ、しかしメヌバは羞恥を表情に出さないように努めた。
「私は殺されても、お前の物にはならんぞ。それは解っているはずだ」
「お前を女にしてやったのは俺だ。あれからお前は、誰とも交わってはいない。解るんだよ、メヌバ。
お前は俺を待っていてくれたんだ。お前は俺の物だ。お前は俺の物になるために生まれてきたんだ」
右の足首に、指先でそっとネゴが触れてきた。
「絶望的な拘束。そして俺から逃れるために、舌でも噛み切るか? しかし、お前がそれをしない事も解っている。
死を選ぶより、生き抜いて復讐を選ぶ女だ。お前の事なら何でも解るんだ。どうすればお前が歓ぶのかも」
指先は柔らかくくすぐるように円を描き、その優しい動きがメヌバを戸惑わせる。
「やめろ」
「やめはしない。お前が望んでいるのだ」
468名無し物書き@推敲中?:2006/01/10(火) 00:21:40
ひ…一月経つのに続きがー(泣)
そろそろageる時期と見た…正直続きが楽しみだし…


…すいませんメヌバとネゴの方ー
続きをーどうか続きをー
469メヌバとネゴ(2/4):2006/01/10(火) 01:46:56
髪の生え際から流れた汗が、耳の横を通ってベッドのシーツに吸い込まれた。
この部屋は、こんなに暑かっただろうか。
全身に汗をかきながら、メヌバはネゴの性技に耐えていた。
足首をくすぐっていた指先が、今はひざをなでるような動きで、メヌバの性感を引き出そうとしている。
「息が荒くなってきたよ、メヌバ」
ネゴの声は冷たい。
指先をひざのくぼみに強く押しつけられ、メヌバはしなやかな背中をのけぞらせた。
剣での勝負なら並ぶ者のない絶対の女戦士が、指先の動きひとつで快感を引き出され、
性欲の奴隷に作り変えられようとしている。
「かわいいよ、メヌバ」
手の甲ですうっと内腿をなでられる。
いやらしい男だった。
指や手の動きが、女の性を知り尽くしている。
どこをどうすれば最も効果的に女を狂わせるのか、熟知している。
股間が熱い。
そこだけが別の生き物のように熱を持ち、脈拍に合わせて鈍い痛みのような疼きを伝えてくる。
「下着を脱がさなかったのは、お前の羞恥心を煽るためだ」
表情は見えなくとも、ネゴが笑いを浮かべたのが解る。
「今から下着を脱がせようと思うのだが、構わないかい、メヌバ?」
やめろ、と叫ぼうとした時、下着の上から硬くとがった乳首をねじるようにつままれる。
「うっ……ううっ……」
メヌバの喉から出てきたのは、拒絶する声ではなく、快感に耐え切れず女が発する官能的な甘い音色だった。
ベッドが軋む。
乳首をつまむために立ち上がったネゴが、そのまま覆い被さるような姿勢で体重を預けてくる。
小柄だが、筋肉をまといがっしりしたその体は決して軽くはない。
私は夢を見ただろうか?
メヌバの思考は自問する。
夢の中で、この男に何度も陵辱され、性の喜びを感じていたのだろうか?
ネゴの長くて生暖かい舌が、メヌバの頬をゆっくりと舐める。
「人間の女は発情した時、どうして涙を流すのだろうな。濡れているだろう、メヌバ?」
メヌバは泣いていた。
ネゴの舌で舐め取られても、次から次に溢れるように涙が流れ出す。
470ヘイドレクの夢:2006/01/10(火) 05:22:07
ヘイドレクは母親の夢を見ていた。
牢に捕らえられ、冷たい床の上に放置され、手かせ足かせで自由を奪われている。
メヌバに突かれた全身は熱を持ち、目覚めれば指先一つ動かすのにも苦痛を伴うだろう。
しかし、今、ヘイドレクの魂は肉体を離れ夢を見ている。
夢の世界、そこではヘイドレクは痛みを感じない。
痛みを感じない?
魂は──魂は痛みを感じないと言うのか?
夢の中で、ヘイドレクは物乞いの老婆を殺す。
殺された老婆が母親の姿に変わる。
母親が身に付けていた首飾りの石が、ヘイドレクの手に埋まりこんでいく……
(人は死ぬだろ。だけどヘイドレク、人は死んでそれで本当にお終いなんだろうか)
鳶色の髪。
ジュオーク。
楽観的でいつも笑っているような彼が、その時はいやに真面目な顔をしていた。
(死者を蘇らせる方法があるらしい。反魂樹って聞いた事ないかい。
なあ、ヘイドレク。俺は伝説を信じるよ。世界樹の頂上にあると言われる神々の庭。
そこで死者たちは何を思っているんだろう)
ヘイドレクの胸に埋め込まれた木の根が形を変える。
木の根はジュオークに、やさしい友達に襲いかかり、その肉体を容赦なく食い尽くす……
小屋の中、見渡す限りの視界が火の海に覆われていた。
松明のように炎を身にまといながら、年老いた夫婦が抱き合っている。
ドルファ。
この老人は微笑んでいるのだろうか。
何年も前に死を選んだ、愛しい妻をしっかりと腕に抱き、共に命を終える事に幸福を感じているのだろうか。
暗闇の中で小屋が焼け落ちる。
炎に怯え、這いずるような惨めな姿で、ヘイドレクは小屋から逃げ出そうとする……
黒髪の美しい少女が、風に吹かれながら立っている。
ラライノ。ラライノ。
心の中で何万回と名前を呼び、彼女は永遠に来る筈がない愛しい兄を待ち続ける。
待ち続け、待ち続けて潰れた少女の足が樹の表面に吸収される。
絶望と憎悪を魂に刻み、呪怨の思いに満たされた黒髪の少女が世界樹と同化する。
471名無し物書き@推敲中?:2006/01/11(水) 03:53:41
と、ここでオレは目を開けた。なんだ、すべては夢だったのか。
目の前にはまだ一行も書き込んでいない液晶画面が淡い光を放っている。
いけね、学校に遅刻する。遊びはほどほどにしないとな。
472破瓜の血・前@:2006/01/17(火) 02:03:38
>>251より続けます

クロイツワァールの丘。元は精霊たちの住処であったというここは、未だ人の手の入らぬ未開の地でもあった。
古い古文書では必ず見る事の出来る名前だ。
物語好きな人間や精霊学者の見習いは、とても神秘的な場所だと、足を踏み入れてみたいと幻想する場所でもある。
しかし、実像は必ずしも、聞き伝わる話と同じわけではない。
切り立った山脈に囲まれているわけでもなく、深い霧の奥にひっそりと存在するわけでもない。
ヴェルヴェール山脈の裾にあるバージルの村を川沿いに少し登れば、古い遺跡やら何やらがごろごろとしている。
枯れた樹が風にその身をしならせる不毛の丘は、今世何処でも嗅ぐ事の出来る、火の匂いがした。
変わった建物の跡がある以外、そう何か変わった様子も――神秘的な雰囲気も無いその丘を
バージルの村の人間は、酷く、恐れていた。
あそこは精霊たちの『最後』の土地だと。
精霊の『嘆きの丘』と言って。

シオグルは走っていた。
大人達から、固く入る事を禁じられた、その丘を。
まだ年端も行かぬ少女にとって、そこは丘というより『林』と言った方が良い気がした。
走れども走れども枯れた樹ばかりが目に付く。
緑の、樹の生き生きとした色など一つもない木々が、彼女の前に覆いかぶさってくる感じがする。
だが足を止める事は出来なかった。
後ろから*****が追ってきているのだから。
473破瓜の血・前A:2006/01/17(火) 02:04:27
*****は昔から、バージルの村では恐れられた存在だった。
太古の時、精霊たちが魔族と戦った際、捕虜として連れて来た魔族に、
自分達の魔術で創ったあるモノを埋め込んで創った、精霊の命令しか聞かない、化け物だと。
そのモノは植物の―――遥かな昔から世界の中心に在る『世界樹』の種である『世界樹の子供達』だが、
魔族の悪しき心に犯され、魔族だけでなく精霊までも食い殺していった存在だと。
物語が何処まで本当か分からない。
それが果たして全て真実かと言う事は。
ただ、物語のタダの存在であったソレは、母の寝物語から抜け出し、村の人間を食い荒らして、今まさに自分も食い殺そうとしていた。
―――おとうさん、おかあさん
シオグルは走りながら、変わり果てた両親を想った。
村はずれで皆で遊び、疲れて帰ってきた時、母の腹からとても綺麗な花が咲いていた。
父の顔は石榴みたいになっていたが、目があったであろうところから、若い蔓のような枝が生えていた。
驚いて外に飛び出せば、いつの間にか村の何軒からか煙が上がっており、その中から他にもそんな人たちが一杯出て来た。
あわや自分もその餌食になりかけた時、ナルフィが助けてくれなければどうなってたのだろうか。
474破瓜の血・前B:2006/01/17(火) 02:05:07
―――ナルフィ
小さな頃から一緒にいたナルフィ
ふさふさとした白い尻尾と、ぴんと立った2つの耳、いつの間にか自分より大きくなっていた狼の四肢は、とても逞しく見えた。
又別の昔話で、神の右腕を食べたという狼の血を引く一族である(らしい)ナルフィは、襲い掛かってきた花や蔦を叩き落とすと、自分をその背に乗せ、丘へと一目散へ走った。
何が起こっているか分からず、ただその体に振り落とされないように必死でしがみ付いたシオグルだが、蔓がナルフィの後ろの2本の足に絡みつき、自分は振り落とされた。
やわらかい草の上だったが、痛みは凄まじかった。
食われかけるナルフィを呆然と見ていたシオグルだったが、ナルフィの鋭い咆哮を聞き、弾かれるように立ち上がって―――こうやって走り続けている。
―――わたし、ナルフィを、見捨てたんだ…
シオグルは走りながら、心の片隅で、そんな事を考える。
さっきまで頭の中は逃げることで一杯だったのに、体が重くなってくるにつれ、そんな事ばかりが頭の中をぐるぐると回っていた。
どうして母はあんな姿になってたのか。どうして父は動かなかったのか
一緒に遊んでた友達はどうなったのか。そもそも何故こんな事になったのか
体は水の中にいるように重くなっていく。後ろから追ってきているハズの*****はとっくに自分を捕まえてもいいはずなのに、そんな気配は少しも見られない。
シオグルを見失ったのか、それとも
―――愉しんで、るの?
どうしてそんな風に思ったかは分からない。そこに子供ながらの理論があるわけではない。
ただ、聞こえたのだ。
木々を渡る風の音が、枯れた虚から沁み出す音が、笑っているように聞こえたのだ。
目の前の死を否定しない自分を、嘲笑っている様に聞こえたのだ。
―――もう、ダメ…?
足はもう歩いているといって良い。頭ももう、何処を走っているか判断は付けられない。
母がいつも言ってた「村に何かあったら、下流の村まで行くのよ」と言う言葉が頭の中をぐるぐると回り続ける。
木々は暗い色に衣を変え始めている。そろそろ夜が来るのだ。火種も持ってない今だと、このまま暗い闇に囚われるのは避けられない。
―――わたし、ここで、死ぬのかな…
そう思うと、ココまで抵抗したのがバカの様に思える。
「あっ!」
枯れた太い木の根に足を取られ、あっけなくシオグルは転倒する。
立ち上がろうとするが、その瞬間、体中にとんでもない痛みが走り、花と口が押さえ込まれたように息が苦しくなる。
ああ、わたしはココで死ぬんだ。
頭から始まって、全身の感覚が真っ白になっていく。
夜が始まったのか、あたりはどんどん黒く塗りつぶされていく。分かるのは、あの嘲笑うような風の―――樹の声と、自分が何か柔らかい、今まで触ったことも無いような、心地よい布の上にいると言うことだけだ。
…布の上!?
そこで感覚が一気にはじけ、シオグルははっきりと、その声を聞いた。

「つぅかまぁえたぁ」

強くなった風の音の中、その叫びはあっという間に掻き消えた。
476破瓜の血・後@:2006/01/17(火) 02:24:10
シオグルは目を覚ました時、辺りはまだ薄闇の中だった。
起きている人間の気配は皆無だ。
――また、夢で、見たんだ。
つい5日前の、最後の自分の記憶を。

薄闇の中、シオグルはそっと、体を起こす。
そこそこ上等な木で作られた、取調べの為の机の寝心地は最悪だった。
今この瞬間まで、それに気づいていなかった自分は、幸運かどうか分からないが。
乱暴された時、体のあちこちを思いっきり殴られたお陰で、目覚めは最悪だが、
痛みであっという間に目は冴えていく。
ほとんど切れかけた明かりを頼りに、原型を留めていない服の残骸で何とか、体を最低限隠そうとする。
が、どうにも上手くいかない事に気づき、シオグルは裸のまま、音を立てないように、
慎重に机の上から降りていく。
部屋には欲望を遂げた男たちが、ある者は酒瓶を抱えて、ある者は床の上に、胡坐をかいたまま眠っている。
その誰もが、例外なく、正規の護衛軍の兵服を着ていた。
477破瓜の血・後A:2006/01/17(火) 02:31:13

気がついたとき、シオグルは牢の中にいた。
鉄格子の向こうから聞こえる、耳を塞ぎたくなる様な嘲りの中、分かったのは、
自分は今日から数えて3日前、この牢に届けられたそうだ。
バージルの村を滅ぼした『魔女』として。
勿論自分はそんな覚えはなかった。シオグルはまだ嫁に行く年にすら達していない子供だ。
しかし自分は確かに自白したと言う。
自分が、村に火を放ったと。
―――憶えてないよ…そんなの…やってないのに…
そんな自白には全く身に覚えはなかった。そう兵士にも、とても偉そうな、甲冑の人にも否定した。
だが周りの兵士たちは『魔女だ』『化け物憑きだ』と、囃し立てて聞いてはくれなかった。
そして取調べといって、自分の服を剥ぎ、自分達が疲れ果てるまで、この部屋で何度も酷いことをされる。
そんな事が、ここ2日間続いていた。
―――お前、死刑になるんだってよ。
―――しかも火やぶりじゃなくて、ちょいと変わった刑らしいぜ?
ぎゃはははと、兵士たちが嬲りながら笑う中で、分かっているのは、自分はもうすぐ死ぬ、と言うことだった。
478破瓜の血・後B:2006/01/17(火) 02:40:47
死ぬ、と言う事は、正直シオグルには、よく分からなかった。
隣近所のフェルスおじさんが首を括った時も、鍛冶屋の嫁のマオラさんがお産でダメだった時も、
母は二人の姿は見せず、ただこう言った。
「二人は、世界樹に昇ったの。そしてそこで、樹を守る人達のお手伝いをしにいったの」
《おそうしき》とやらにも自分は連れてってもらえなかった。家の中で「この子は守ってみせる」と呟く母と二人、ずっと閉じこもっていた。
だから『死ぬ』と言う事は、シオグルにとって、世界樹に昇る事だった。
兵士達が言ってた通りなら、母や父も、友達もナルフィも其処にいるはずだ。
―――はやく、来ないかなぁ。
『死刑』になる日が。
毎日殴られたり蹴られたり、ヘンな事されたりしなくなるんだろう。『永久にお別れ』になるのなら。
でもその前に、ちょっとだけ、この建物の中を見てみたかった。
この建物が何か、知りたかったのだ。
479破瓜の血・後C:2006/01/17(火) 02:47:14
扉には、閂がかかってなかった。
それをそぅっと開けると、さっと扉の中に身を滑らせる。
扉を元の状態に戻した時、さぁっと、冷たい風がシオグルの体を弄っていく。
音を立てないように静かに歩こうとするが、足の付け根から流れる血は、がんがん痛みを伝えてくる。
アレが終わった後、何時もココが痛んで仕方が無い。
人気が全く感じられない中、シオグルは下半身を右手で押さえながら、壁伝いに、そぉっと歩いて行く。
480破瓜の血・後D:2006/01/17(火) 02:57:35
鉄格子が沢山並んでいた。
その中には髪をボサボサにのばした人、ガタガタと震えながら横になっている人、他にも村では余り見なかった人たちが沢山いた。
みんなすやすやと眠っており、小さな明かりに照らされた寝顔は、子供のように安らかに見える。
―――ああ、そうか。これか
シオグルは合点がいったような顔で、彼らの顔を見ていた。
ここは『牢獄』なのだ。悪事を働いた人間が、入らなければならない場所。
父がいつか教えてくれたのは、ココの事だったのだ。
自分がいた場所も、きっとここに連なる場所なんだろう。
確かに牢の中には、悪いことをしそうな人もいる。だがその牢は何か、変だった。
老人が多い。信じられないくらい。
皆服をほとんど身につけてない。凍えそうな肩を寄せ合って、何とか暖を取っていると言う感じに見える。
―――悪い事をしそうな人達には、見えないなぁ…
そう思って、鉄格子に手を触れようとした時
「おい、何かこっちで動かなかったか?」
その声を聴いた瞬間、シオグルは走り出していた。
481破瓜の血・後E:2006/01/17(火) 03:02:10
声が、怖くてたまらなかった。
あの時、聞こえた声を思い出すから。
―――あいつぅ訳分かんねぇなぁこんな小娘逃がすなんてぇ
声はそう言って、自分に近づいた。
―――足りないぃ足りないぃと思ったらぁぁこいつかあぁ…
マントで自分をくるむと、自分の額に、左の人差し指を、近づけた。
―――これはあぁ逃げた罰うぅ
当てられた部分が、熱い。
―――そしてえぇ来ちゃいけない場所にいぃ入った罰うぅ
熱い熱い熱い熱くてたまらない

そして
482破瓜の血・後F:2006/01/17(火) 03:12:21
「きゃっ!」
体が宙に浮いて、シオグルの体は石畳の上に投げ出された。
頭を強く打ったのか、一瞬全部真っ白になるが、痛みが又、自分を引き戻す。
しばらく蛙の様に地に張ったままだったが、また声が聞こえ、勢い良く身を起こした。
が、痛みでまた頭に霞がかかってくる。声がどんどん近づいている今、そんな事をしている間は無いのに…
また走らなきゃと考え、前を見たシオグルの目に入ったのは、鉄の戸だった。
厚く、頑丈そうな鉄の戸は、シオグルの手ではどうやっても空きそうに無い様な重圧感が在る。
実際、取っ手に手をかけ、渾身の力をこめて押したり引いたりしてみるが、扉はびくともしない・
だがいつの間にか鉄格子の廊下は抜けていたらしく、右も左も石畳の壁だけで、他に出入り口など一切無い。
―――どうし、よう…
こうしている間にも、声は近づいてくる感じがする。
こうなったらいっそ、来た道を戻ろうかとした時

扉から手が伸び、彼女を中へと引きずり込んだ。
483名無し物書き@推敲中?:2006/02/14(火) 15:50:18
age
484名無し物書き@推敲中?:2006/03/06(月) 01:22:31
うおぉだれもいない誰もいなーい・・・
ageた人が一人いるだけ…
続き書いていいのか?いいのかな?
485名無し物書き@推敲中?:2006/03/08(水) 00:29:06
いいんじゃないの?誰も書かないようだし。
486名無し物書き@推敲中?:2006/03/11(土) 21:31:13
書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け
487ネゴ(1/2):2006/03/19(日) 01:02:05
眼窩の奥に広がる暗闇に、一瞬の閃光が走った。
この時から以後、ネゴの右の眼球が二度と光を捕える事は無い。
無心で舐めていたメヌバの左の脇から頭を大きくのけぞらせ、
右目を両手で押さえながら立ち上がろうとする。
ディズニー映画の七人の小人のような、ユーモラスなその顔に、
今は満面に苦痛の皺を刻み、大きく口を開いてはいるが、
絶叫は喉から出て来ない。
余りに過ぎる苦痛が、一瞬で悟った片目を失った事実に対する巨大な喪失感が、
ネゴが悲鳴を発し、場面に区切りを付ける事を許さなかった。
立ち上がろうと跪いた姿勢になり、ベッドの隅に体重をかけてしまい、
シーツで滑って無様に股間を打ちつける。
股間を痛打し、ベッドから転がり落ちたネゴは、残された片目に涙を滲ませながら、
メヌバの左腕から生じた悪魔の姿を確認した。
淡い緑色の光が、悪魔を包んでいる。
頭蓋の大きさはメヌバより一回り小さい。
生まれたての雛のように、後頭部が異様に発達した小さな頭。
くちばしの代わりに、丸い空洞のような口から細かい歯が
ぞろりと不揃いに正面に突き出している。
両の手の三本の指にネゴの片目を奪った禍々しい鋭利な長い爪を生やし、
その爪でメヌバを治療したギブスを削りながら、
メヌバの腕から這い出そうとしている。
全身が粘液にまみれている。
白く濁った両目は憎悪に満たされ、
突き出した歯をカチカチと鳴らしながら、化けものはネゴの見守る前で、
笛を吹くような細い声音で、自らの誕生を祝福した。
──あんな平べったい頭蓋骨なら、想像力を働かせる部位である前頭葉は、
おそらくこの生き物には存在しないだろう。
右目が伝える燃え上がるような熱い痛みと、股間が伝える吐き気を催すような
鈍い痛みを同時に感じながら、ネゴは変に冷たく冴え渡った思考でそんな事を考えた。
──俺の頭がおかしくなっていたのはいつからなんだろう。
村で人間の女を犯していた時には、もう狂っていただろうか。メヌバと初めて会った時は?
産まれた時はどうだったろう。俺はいつから気が狂っていたのだろう……。
488ネゴ(2/2):2006/03/19(日) 01:03:06
ネゴは冷静だった。
己がしなくてはいけない事を理解していた。
メヌバの腕から産まれようとしている怪物に両手を伸ばし、
脇の下から手を回し、強く上に引き上げようとした。
自らの力でメヌバの腕から抜け出そうとしていた怪物は、赤ん坊のように
ネゴの顔を見上げながら、最初はネゴにされるがままになっていた。
しかし、ネゴの取り上げ方が荒々しかったのかもしれない、再び細い鳴き声を
あげると、哺乳瓶を掴むように両手でネゴの右の腕を抱きすくめた。
鋭利な六本の爪は、易々とネゴの皮膚を切り裂き、速やかに骨まで達する。
瞬く間にネゴの手は自らの血で真っ赤に染まり、化け物もその血で全身を赤く染められた。
どれだけ血にまみれようと、ネゴは力を加えることを止めなかった。
鋭い爪は何度もネゴの腕を往復し、簾の様にされた皮膚と筋肉を両腕から垂れ下げながら、
ついにネゴは目的を達成した。
ネゴが取り上げた、メヌバの腕から産み落とされた化け物は醜い小人だった。
ほとんど二等身の体型に、短くて弱々しい足と短い腕、反比例するように両腕と両足の
三本しかない指から生えている爪は禍々しく鋭い。
自由になった足を曲げ、怪物はネゴの肩に足の爪を立てると、その反動を利用して
ネゴの拘束から脱出した。
ネゴは、怪物がベッドから降り、暗闇のどこかに姿を掻き消したのを見届けると、
ずたずたにされた腕を動かして、腰に下げていた短刀に手を伸ばした。
腱はかろうじて繋がっている、少しの苦労でネゴは短刀を鞘から抜き出し、腰から
ベッドの上に落とす事に成功した。
指の自由は効かない、ネゴは短刀をくわえると、メヌバの身体を回って、ギブスをして
いた方の反対、右腕を拘束している革紐を切断しようと努め始めた。
歯で短刀の柄をかみ締め、不器用ながらあと少しで切断と言う時に、踵に走る激痛で、
今度こそネゴは喉の奥から哀れな悲鳴をあげた。
振り返ると、何時の間にか、再びベッドに這い上がって来た化け物が踵にかじりついている。
そうだろう、そうだろうとも。こいつが生きたまま、俺を食べようと考えている事なんて、
とっくに想像できていたさ。
化け物が破壊したギブスで固められた腕を除く、三箇所の革紐を切断するまでに、ネゴは
アバラ骨が見えるほど、怪物に己の身体を食べられてしまう。
489ヘイドレクの夢:2006/03/19(日) 01:06:17
夢の中、ヘイドレクは世界樹を目指して歩いていた。
痛いぐらいに股間が怒張している。
世界樹で何が待っているのか解らない。
否、俺は解っている。
今は意識出来ないだけで、辿り着いた時、全ての冒険は結末を迎え、世界が始まるのだ。
爆発しそうな期待感が胸いっぱいに広がっている。
俺は世界樹を目指すのだ。
しかし、違う方向から、遠くからヘイドレクを呼ぶ声がする。
聞きたくない声だ。
ネゴ。
尊大だったお前が、どうして惨めな泣きそうな顔をして、何度も俺の名を呼んでいるのだ。
ヘイドレク。ヘイドレク。
お前は俺との契約を果たさなかった。
メヌバは、俺が苦労して運ばねばならなかったではないか。
だが、状況が変わった今、その咎は責めまいよ。
しかし、その代わりといっては何だが、お前に仕事を頼みたい。
俺の姿が見えるか、ヘイドレク。
神経が切られて、俺の腕はかろうじて曲げる事が出来るだけだ。
もちろん、それだけ出来るのならば、メヌバを化け物の手が届かぬ位置に支え続けることは
可能なのだが、あいにく化け物の食欲は一向に衰える気配すらない。
既にひざから先は両足とも食い尽くされた。
俺の命が尽きた時、一人になったメヌバが化け物の食欲の対象になるのは間違いないだろう。
ヘイドレク、どうか化け物を退治してはくれまいか。
俺が抱きしめているのは、本物の宝物だ。
三千世界を旅した俺が、生まれて初めて手にした、本物の宝物だ。
俺が感じているこの重み、同じ重さの黄金と引き換えにしても、決して釣り合いはしない。
本物の宝物だ、俺の宝物なんだ、ヘイドレク。
銀貨二枚で、お前は俺に雇われた。
契約は終わっていない。
終わっていないぞ、ヘイドレク……。
夢の中、ヘイドレクはため息をつくと、頭を左右に振って立ち止まる。
夢の中、ヘイドレクは方向を転じ、ネゴの声が呼ぶ方向に歩き出す。
490世界樹(1/6):2006/03/19(日) 05:44:32
宿直の牢番が芳醇な草の匂いに気がついたのは、深夜未明、夜明けに近い時間だった。
石を組み合わせて作られたこの建物に、カビのような臭いはあっても、
決して植物園のような強い草木の香りなど存在しない。
存在しない筈だった。
しかし牢番には心当たりがあった。牢番は夢遊病者のように、とぼんとした表情を浮かべ、
腰に下げた剣を無意識に抑えながら、草の匂いが漂ってくる心当たりを確認するために、
椅子から立ち上がった。
街の噂で、戦争の話が出ている。
おかしなもので、犯罪者も遠慮するのだろうか、今収監されているのは、昨日の夕方、
道に倒れているのを保護された大男だけだ。
大男がどこから街に入り込んで、どうして道に倒れていたのかは解らない。
買い物に急ぐ老婦人が発見した時、おそらく強大な戦闘力を有するその肉体は、
完全に意識を失い、死体のように無造作に転がされていた。
100kgを超える鉄像のような肉体を運ぶのに、六人の人手が必要だった。
大男の全身には無数の痣が残され、兵士の一人が言うには半刻に渡り拷問に等しい
打突を受けているらしく、想像を絶する痛みから失神したのだという予測が正解だと
思われる。
不具になる事はあっても命に別状はなかろう、医者の診断の後、簡単な手当てを
施され、大男はそのまま収監された。
この国最強の剣士であるメヌバの行方不明が発覚したのは、大男を収容した少し後だった。
誰もが、大男の全身に刻まれた痣との関連を疑い、直ちに取り調べんと大男の牢に
向かったのだが、その時、大男の容体は急変していた。
胸に深々と潜り込んでいた球根が、『芽吹いていた』のだ。
体温は周囲と変わらず、死体の胸から緑の草が芽吹いたように見える。
しかし、大男は呼吸を止めていなかった。
生きているのだ。植物のような生の形を持って。
球根は生まれつきのものだ、命には別状はない、そう診断を下した医師が、
責を問われるのには同情の念を禁じえない。
だが、あらゆる可能性を考慮しなかったのは迂闊と誹られても仕方がないだろう。
そうだ、ここがハードファンタジーの世界であり、何が起こっても、それが唯一つの
現実であるのならば。
草いきれの匂いが強くなる。大男が収監されている牢屋は、すぐそこまで近づいている。
491世界樹(2/6):2006/03/19(日) 05:45:45
夢の世界は、全てが白に満たされていた。
いつから歩き続け、どれだけ歩き続けてきたのだろう。
ヘイドレクから時間の概念が失われたのは、どれくらい前の事だっただろう。
昂揚した気分はいつしか掻き消え、何も思考せずにヘイドレクはひたすら歩き続けてきた。
ふと、規則正しい左右の脚の動きを止め、ヘイドレクは頭上を振り仰いだ。
どこまでも白い世界が続く。どこまでも、どこまでも。
正面の方向に視線を転じる。空と地の白が作るグラディエーションが重なり、
地平線の直線が、この世界が空と地から成る事を僅かに語りかけている。
ヘイドレクはその場でくるっと回り、周囲の地平線を全て目に入れる。
ああ、この世界には地平線しか存在しない。
ヘイドレクは足元を見下ろす。白い靄にひざまで埋まり、自分の足を見る事は出来ない。
踏み締めるべき大地の感触は存在しなかった。
ヘイドレクは、再び左右の脚を規則正しく動かし始めた。
俺は同じ場所で足踏みをしているのか?
違う。
目的地に近づいている確信がある。
心の中に固まりのように存在する確信、それだけを道標にヘイドレクは白い世界を歩き続ける。
暗闇の中、赤い灯がぽつりと灯っている。
全てが闇に満たされた世界を、ヘイドレクはいつから、どれだけ歩き続けてきたのだろう。
出口を見つけた喜びで、ヘイドレクは転がるような勢いで赤い光に向かって駆け出した。
ドルファの小屋だ。老人とその妻が、慎ましく暮らしていた粗末な小屋。
しかし今、小屋の中に主とその妻はいない。
彼等は物語を完結させ、世界から去ってしまった。だからもう、ここは彼らの家ではないのだ。
ドルファがかつて暮らしていた小屋は、今なお燃え盛る炎に包まれていた。
炎の照り返しで赤く染まる戸を、ヘイドレクは勢いよく押し開けた。
小屋の中一面、赤く、赤く燃えているのは炎ではなかった。
小屋の中いっぱいに満たされた、緑の植物が緑の輝きを発している。
広がる海は潮の香りを伝え、心地よい湿り気を含んだ風が頬をなでる。
濃厚な生命のエネルギーを全身に受け、しばし目を閉じたヘイドレクが目を開いた。
ドルファの椅子に座り、一人の男が背中を向けている。
そうだ。お前と出会わなくてはならなかったのだ。
ジュオーク。
492名無し物書き@推敲中?:2006/04/07(金) 03:37:23
ジュオーク? そうだ、ジョークだ。
これが冗談なのを忘れるところだった。
ジョークは冗談だもんな。
493名無し物書き@推敲中?:2006/04/07(金) 04:44:53
ファンタジー映画が嫌いな人→→→→→→→→→→→
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/movie/1135752798/
494世界樹(3/6):2006/04/09(日) 06:04:34
ヘイドレクは、ジュオークと肩を並べて神話世界に立っていた。
足元から湧き上がる白い霧が色づき、形を固定する。
木々が生まれ、木々が集まって森が生まれ、湖が海が、樹々を飛びめぐる美しい羽を
持つ鳥たちが創造され、瞬間美しい景色を二人に見せて、やがてぼやけて白い霧に戻る。
世界は創造され、消失し、次々にその形を変えていく。
──これは、神が行う創作だ。
自らが生み出した登場人物である少女──タウニの情念と愛により、捻じ曲げて方向を
変えられた物語──神話を、神が己の手を持って修正しようとしている。
今、ヘイドレクが存在する世界──《時の気泡》では、時間の流れそのものが、いや、
正確に表現するならば世界そのものが未だ確定という形では存在しない。
時空間を四次元座標で表すならば、各次元と垂直に交わる異なる次元軸上に位置する
《時の気泡》は、事物や事象を遇有する形而下世界とは完全に独立して存在する。
ヘイドレクが産まれ、生きてきた世界は、《時の気泡》で神が紡ぎ出す、幻の一側面に
すぎなかった。
ヘイドレクは、その事実を単に受け容れ、主人公として神に選択された己の使命を
理解した。
ジュオークがゆっくりと銀色の剣を構える。
ジュオークの背後に横たわる黒い影が静かに立ち上がり、ぼやけて重なるように、
影──ラライノとジュオークは一つの存在に再構成される。
鋭く突き出されたラライノの剣を身をよじってかわし、ヘイドレクは剣状に変化した
己の右腕を正眼の位置に構え態勢を整える。
第二撃を繰り出そうとしたラライノの動きを、ヘイドレクは猛獣のような咆哮を放つ事で
牽制した。
ヘイドレクは叫ぶ。
ラライノと自分をつなぐ《呼の種》から生み出された剣。
親殺しの自分が、神を殺すために使うに相ふさわしい剣だ。
そうだろう? それがお前のシナリオだ。
ジュオーク。ラライノ。《緑光の民》と呼ばれ、世界の全てを創造した者よ。
ラライノが右上段から袈裟懸けに振り下ろしてきた剣を、ヘイドレクは右腕の剣で
受け太刀する。
そのまま強引に、爆発するような腕力で、ラライノを体ごと後方に弾き飛ばす。
495世界樹(4/6):2006/04/09(日) 06:10:16
少年は少女を抱きしめる。

「綺麗だ、タウニ」
 腕の中で少女の、花を揺らすような笑い声がする。
「ね、ヘイドレク。《タ・カーファ》にきてくれる?」
 少年は無論だ、とでもいうようににっこり微笑んでうなずいた。
 やさしく視線がひとつに繋がると引き寄せられるように唇を重ねた。
 甘い花の匂いがする、とヘイドレクは思った。
 ヒメーダの花の匂いだ。

少女は、もう背丈が少女よりも大きくなった少年の手をまだ握っている。

「ほんと?」
 少女の唇からもう一度、その言葉がこぼれる。
 少年は少女の顔をみない。
 むずがゆいような気持ちで唇をかみしめたまま。
「約束してね!ほんとうに……あたしをヘイドレクのお嫁さんにしてね」

少年は両手を何かで潰され、喉も目も潰され丘の見えない場所に引きずられていく。
血のにおいが満ちる。潰された足の痛みで少女は気を失う。

 来ない、来ない、来ない。
 あの丘の上の樹の幹に少女はくくりつけられたまま朽ちようとしていた。
 ヘイドレクは襲撃の夜から姿がない。
 彼女は何も知らずにヘイドレクを待ち続けている。
 来ない来ない来ない。
「あれはおまえなぞ愛しておらぬ」
「お前を捨てたのだ」
 嘘。嘘。嘘。
 約束した。彼はあたしを愛している。それがすべて。
「村を清めた娘が、もっとも重い罪で村を汚すとは」
 ヘイドレク、来ない、来ない、来ない。
496名無し物書き@推敲中?:2006/04/30(日) 03:13:49
来ない、来ない、キターーーーーーーーーっ。
そうだ、ここは2ちゃんだったんだ。
497名無し物書き@推敲中?:2006/04/30(日) 03:23:33
少女は犯されて何度もイッタ。
樹の幹から解いてみても、足腰がたたなかったが、男たちは後ろから何度も挿入して中だしした。
498名無し物書き@推敲中?:2006/05/20(土) 01:49:10
まだ続いてたとは……
まとまってないけどまとめた甲斐があるってもんよ
499名無し物書き@推敲中?:2006/05/25(木) 04:24:41
少女の後ろに立っている男がそう言った
特に理由はないが少女は後ろを振り返ったが
500ケッターロホ:2006/06/22(木) 22:48:48
そこにはどこかともなくハチュウ人類が佇んでいた!
501メヌバの呪い:2006/07/23(日) 22:53:54

 ──おい、起きろ。
 どこかから靄のかかったように不鮮明な声が聞こえてくる。
 女の声だ、聞き覚えがある。
 ──……死んでるのか?
 段々鮮明になってきた声は、かすかに震えているのだった。
 水滴がポトリと頬に落ち、その感触に、ヘイドレクは夢ではないのだとぼんやり感じた。
 長い長い夢を見ていたようだった。
 眠りすぎて全身がだるくなっているのかもしれない。
 泥に全身つかっているようだった。感覚がない。
「死ぬな」
 柔らかな髪の毛の感触とぬくもりが涙で濡れた頬に押し付けられた。
 まだ、死んではいない。
 そう言おうとして目を開くと、

 その目に飛び込んできたのは、さしこむ朝日に鮮やかに浮かび上がる
 名も知らぬ小さな小屋の、血に染まった天井だった。

502メヌバの呪い:2006/07/23(日) 22:54:36
「血が……」
 ヘイドレクからこぼれてきた声に、視界の端で頭がビクンと動くのが分かった。
「おまえ…!!」
 ヘイドレクの頬へ顔をうずめていたその顔は紛れもなく、
ネゴが異常なほど固執し、ネゴのもとへ連れて行こうとしたヘイドレクを散々に
叩きのめした鬼神のごとき女剣士──メヌバだった。
 しかしその面影はいまはどこにもなかった。
 彼女は無力な少女のように両目に涙を浮かべていたのだ。
 そして、下着以外何も身に纏っていない彼女の肢体は、いまヘイドレクの目の前
にある天井のように、おびただしいほどの血を浴びていた。
「生きていたか……良かった」
「あんたにも、血が……」
 メヌバの涙に混じってにじむ血を、ヘイドレクが指の腹で拭う。
 それを黙って受けながら、メヌバは口の端をあげておかしそうに笑った。
「覚えてないのか。これはあのネゴの血だ。お前が、いや、お前のなかに取り込まれ
ているその植物が、あの忌わしい小男を引き裂いたんだよ」
 朝日によって夜の名残が取り払われた部屋には血にそまった二人のほかには閑散としている。
 にわかに信じられないヘイドレクを見て、メヌバは眉をゆがめて微笑んだ。
「お前はやはり何かに呪われているな。あたしのように」

503メヌバの呪い:2006/07/23(日) 22:55:39
 ヘイドレクは何も覚えてなかった。ずっと夢を見ていると思っていた。
 夢の中でネゴの声を聞いたことだけを覚えていた。
「ネゴは……」
「走って逃げていったよ」
 そうさりげなくメヌバは答えて、逃げていった方向を目で追うように遠くを見た。
 その答えに異様なものを感じて、ヘイドレクはメヌバの横顔を見据えた。
「……走ってだと? いま俺が引き裂いたと……」
「そうとも。引き裂かれた体のまま、走って逃げていったのだ。わかるか」
「…………」
 これほどまでに夥しい血を流しておきながら、走って逃げることが可能なのか。
 メヌバの無表情な横顔からは何も読み取れない。
 しかし、ヘイドレクは同時に気づいた。
 部屋の中に小さな赤い花が、血に混じってところどころに散らばっている。
 見覚えのない、親指ほどの小さな薔薇のような花だった。
 同時に、メヌバがぽつりとつぶやいた。

「お前が来たときには、もうあれはとっくに人間ではなくなっていた」
504名無し物書き@推敲中?:2006/09/03(日) 11:07:38

  
         諦めろ
         働け
         バカ残飯
  
505名無し物書き@推敲中?:2006/09/03(日) 20:15:49
メヌバはそう言いながら、自分の硬くなった性器をこすり上げていた。「血がおいしい、血がおいしい」
そう叫びながら、メヌバはネゴの顔に精子をぶちまけたのだった。
ネゴの小さな薔薇から顔を出している親指ほどの実は、充血して紅く染まっていた。ネゴは指先で細かく弾く。立ったまま体を痙攣させてメヌバとネゴは愛し合った。直接の合体はしなかったにも関わらず、快感は普段の倍以上あって体がとろけそうになるのを感じていた。
506たぬき:2006/09/03(日) 20:50:19
そこにうんこが大量に降ってきた!
507名無し物書き@推敲中?:2006/09/24(日) 23:29:53
アスペルガー残飯、諦めて働け。おまえに小説は無理だって。
 
 
 
 
508名無し物書き@推敲中?:2006/12/15(金) 22:41:17
ヌーン齋藤が現れた。ヌーン齋藤はヘイドレクをじっと視ている…
509名無し物書き@推敲中?:2006/12/20(水) 00:12:48
510名無し物書き@推敲中?:2006/12/23(土) 22:00:43
AGE
511名無し物書き@推敲中?:2006/12/25(月) 00:56:31
age
512名無し物書き@推敲中?:2006/12/25(月) 21:44:25
誰かまとめろ
513名無し物書き@推敲中?:2006/12/26(火) 19:53:39
>>7に繋げることが出来るのか・・・
514名無し物書き@推敲中?:2007/01/10(水) 21:49:18
…気付くと一瞬で世界は滅亡していた。
4年以上まえに立てられ、すでに形骸化した駄スレは、今、その運命を終えようとしている。
数々の作家志望の痛い連中を飲み込み、巨大な渦が幼稚なファンタジーワールドの全てを飲み込んでゆく。
自意識過剰なアスペルガー残飯たちに対して下された神々の罰であり、最期の慈悲でもあった。
「…さあ、現実を見よ!そしてファンタジー作家なんて幼稚じみた中2病丸出しの浅はかな夢を捨てて、
実社会に出て働くのだ!」
…悲鳴を上げるファンタジー世界の住人達。しかし神々の放った最後の天使達は容赦なく彼等の肉体を引き
裂いた。阿鼻叫喚の地獄絵図のなかで彼等は悟ったのだ。全ては虚しく儚い一瞬の夢であったことを。

…大音響とともに世界は消滅した。無限の暗黒のもたらす沈黙だけが残った。

  THE END
515名無し物書き@推敲中?:2007/01/10(水) 22:01:40
という夢をピエールは見ていた。
目を覚ますと傍らでゴンザレスが死んでいた。全裸で。
516放浪人 ◆i9AbFg50xo :2007/01/10(水) 22:04:39 BE:1052503878-2BP(0)
なんか……もうめちゃくちゃだな……
517名無し物書き@推敲中?:2007/01/10(水) 22:06:18
そう、ゴンザレスの死体はめちゃくちゃにされていた。
ピエールは怖くなり逃げ出した。
518名無し物書き@推敲中?:2007/01/11(木) 05:46:55
逃げ出した先に広がっていたのは、無限の虚無だった。
そう、このスレは既に役割を終え、世界は滅亡したのだ。
ピエールと自称するアスペルガー残飯は驚愕した。…いったいどうした!何が起こったんだ!俺達の
病的なファンタジー世界はどこへ行ってしまったのだ!…
無限に広がる暗黒を前にピエールことファンタジー小説家志望のアスペルガー残飯は泣いた。泣き叫
んだ。しかしその声は暗黒の中で虚しく響くばかりだった。

この世界は終わったのだ。くだらない駄文を延々と4年に渡り書き連ね人間の屑と化した中2病の
マヌケ達の安住の地は永遠に失われたのだ。
…ファンタジーに逃げ込む前に現実をみつめよ!オマエにはファンタジー作家としての才能は全く
無いのだから…
無限に広がる暗黒はピエールにそう語りかけているようだ。
ピエールは泣いた。泣き続けた。たった一人で。

そしてこの駄スレもここで終わる。これ以降書き込みする連中は間違いなく人間の屑なのだ。

   THE END
519名無し物書き@推敲中?:2007/01/11(木) 17:51:14
諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、 偏に風の前の塵に同じ───

4年間に渡るご愛読、誠にありがとうございました。

                       発売元 白泉社
520名無し物書き@推敲中?:2007/01/12(金) 01:56:35
age
521名無し物書き@推敲中?:2007/01/12(金) 20:16:45
第二部 『サラマンダーの金玉』編始動
522名無し物書き@推敲中?:2007/01/12(金) 21:27:46
そして即終了

ご愛読ありがとうございました
523名無し物書き@推敲中?:2007/01/13(土) 13:50:48
子供の多い板のこの手のスレだと必ず、
2ちゃんが・コテハンが……とか脈絡なく登場させたり、
うんことか精子とか下ネタに走って終了んなるんだよなあ。
子供が脊椎反射でカキコすると、必ずと言っていいほど同じことしか書かないのはなんでだろ。

書いてる本人は面白いと思い込んでるかしらんが、ツマンネ
524名無し物書き@推敲中?:2007/01/14(日) 09:13:48
積木で遊んでいるところに乱入して壊すガキがいるが、
同じような心理ではなかろうか。
525名無し物書き@推敲中?:2007/01/29(月) 01:48:23
>>503辺りから繋ぐのが妥当だと思う
526名無し物書き@推敲中?:2007/02/21(水) 05:41:47
>>503
「なんてことだ!」
ヘイドレクは力まかせに床を殴りつけた。
527名無し物書き@推敲中?:2007/02/21(水) 07:12:45
そのとたん、床から世界が裂けた。
崩れゆく中2病ファンタジーワールド。
世間知らずの病的な妄想で作られたこのくだらない世界は音を立てて崩壊していった。

そして後には何も残らなかった。
ただ、中2病から抜け出せないマヌケな作家志望たちの自意識過剰な戯言が
寂しく響き渡っているだけだった。

ジ・エンド
528名無し物書き@推敲中?:2007/02/21(水) 07:28:05
「そんなことはない!俺はぜったい作家になるんだああああああ!」
ヘイドレクは駆け出した。
夢に向かって。おのれの才能を信じ。
ただ、がむしゃらに。
529名無し物書き@推敲中?:2007/02/21(水) 12:27:51
「おお〜い!そこの若ぇの、どこさ行くだや〜?」
鍬をかついだ老人が、心配そうに叫んだ。
「そったら方に駆けてくと、肥タゴさあるで危ねえどぉ〜!」
530名無し物書き@推敲中?:2007/02/21(水) 15:20:29
肥壺にドップリ嵌った自称ヘイドレグと名乗るキモオタ男。
ハッと気付くとそこはハローワークだった。

慌てて履歴書を取り出す自称ヘイドレグと名乗る作家志望の阿呆。
しかし学歴及び職歴の欄には延々とブランクが…
531名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 01:37:10
「派遣会社登録 職種:工場内軽作業」
ヘイドレクを名乗る作家志望のピザニートは愕然としてしまった。
「日給手取り8000円 週五日 9:00〜17:00」
自分の世の中での価値はこの程度だったのか、とヘイドレクは落ち込んだ。
もう、ファンタジーワールドには逃げ込められないヘイドレク。
社会に一歩踏み出さなければ終わりだ、そう決意したはずなのに…

ヘイドレクは泣いた…泣きつかれて眠りに就くまで泣いた。
532名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 03:59:05
目が覚めるとそこは社員食堂だった。テーブルの上には涎の川が出来ている。
「ほら、昼休みも終わりだ。もういくぞ」
油まみれの作業着をきた中年男にヘイドレクは肩を叩かれた。
533名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 04:11:08
自給の約束は嘘だった。
ヘイドロクのうつくしい肉体は、自給ではなく重ねる性の数でのみ支払割れた。
醜い油まみれの作業着たちによって……
これは誰の、手引きだったのか

肩を叩いた意味は……嘘の積み木を崩す合図に過ぎなかったのだ。
534名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 04:16:02
そして、迂闊にも「レ」と炉の間違いを犯した。
もう全てが遅かったのだ。

入れてしまったアレはもう戻せない。
あとはこの間違いの現状が煽られるだけだ!
535名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 10:33:27
>>533
だからヘイドレクは自分のことをヘイドロクなどと呼んでしまったのだ。ショックのあまり。
ヘイドレクは頭を抱え込んだ。
536名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 17:51:23
頭を抱え込んでいる間にも男達の肉棒は容赦なくヘイドレク(又の名をヘイドロク)の肛門を貫いた。
あまりの激痛に泣き出すヘイドレク(ヘイドロク)。
日給8000円レベルで肉体労働に従事するブルーカラーの男達のパワーは凄まじかった。
搾取され続けたワーキングプア層の、溜まりに溜まった不満がヘイドレク(ヘイドロク)の弛んだ尻に
叩きつけられた。
「う、うぐうっ!」
苦痛のあまり、ヘイドレク(ヘイドロク)は呻いた。
すると別の中年男が「うるせえ黙れよ」と言いながらヘイドレク(ヘイドロク)の髪を掴み、その口に
勃起したペニスをねじ込んだ。
「んぐっ!…んおぇっ!」
ディープスロートまで達した臭い亀頭がヘイドロク(ヘイドレク)の喉を刺激して、思わず吐き気を催した。
「あはははっ!…こいつ、結構締まりが良いぜっ! グイグイくわえ込んでやがる」
「早くしろよ、オレにもやらせろよっ!」
男達はヘイドレク(以下略)を組み伏せて犯す。

(…くそっ!オレはファンタジー世界ではダーティーヒーローだったのに、こんな下衆な男達に強姦されて
いるなんて、信じられない!)
ヘイドレクは泣き出した。悔しかった。…しかし同時に、肛門を貫く痛みが何時しか快感に変わっているこ
とにも気付いた。

「おい、みろよ!コイツ、勃起してやがるぜ!」
「ああ〜本当だ。なんだこいつ、ゲイだったのか!あははははっ!」
そう、いつの間にかヘイドレクは勃起していたのだ。自分でもそれが信じられなかった。が、肉体労働者たちの
むさ苦しい悪臭や、荒々しい愛撫がヘイドレクの本能を激しく苛めた。
537名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 17:52:03
「うっ!…うおおっ!」
肛門を犯していた男は絶頂に達し、ヘイドレクの直腸の中へ大量の精液を放った。
その粘液の熱さにヘイドレクは身震いした。そしてその直後、ヘイドレクの口の中に大量の
精液が放たれた。
「ゲホッ! ゴホッ! ウゲエッ!」
喉の奥に注ぎ込まれた精液にむせてしまい。ヘイドレクはそれを吐き出そうとした。が、
「…おいオマエ、それ全部飲み込めや…一滴残さずなっ!」
男は命令した。ヘイドレクは涙目で男を見返したが、恫喝するような威圧的な目で睨まれて萎縮してしまった。
そして、口の中に溜まった精液を苦労して飲み込んだ…生臭い強烈な匂いが、吐き気を誘う。

「あははははっ!コイツ、やっぱマゾだわ。」
「オレ次な!」
再び犯されるヘイドレク…いつしか意識は薄れ、混濁した。
苦痛と快楽が交差する中でヘイドレクは抵抗を止め、男達のなすがままに任せた。
そして、犯されながら何度も射精した。そして意識を失った。

…気付くと工場内の資材倉庫の床で横たわっていたヘイドレク。作業服は全て剥ぎ取られて全裸であった。
そして体中に大量の精液がぶっかけられていた。
窓の外は既に暗く、夜になっていることを知った。犯され始めたのは昼頃…一体何時間犯され続けたのだ
ろうか?…そして一体何人に?

窓に映る自分の後姿に愕然とした。尻の肉のところに何かが書き込まれている。
(何だろう?)
ヘイドレクは自分の尻を観察した。そして、
「う、うわあー!」
と叫び声を上げた。
尻の肉には”肉便器専用アナル ご自由にぶち込んでください”と刺青で彫られていた。
538名無し物書き@推敲中?:2007/02/23(金) 22:48:07
ヘイドレクはその尻に彫られた刺青を消すことにした。全裸のまま手洗い場へ向かう。
どこにも人の姿はない。工場の一階、便所のすぐそばにある手洗い場へなんなく辿り着くことが出来た。
ヘイドレクは蛇口をひねり、尻を水に濡らす。石鹸を擦りつけた。
「たのむ、消えてくれ」ヘイドレクは、神に願った。
539名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 06:00:22
しかし彼が神の恩寵を受けることは無かった。彼の神はとうの昔に死んでいたのだ。

シクシクと泣きながらイボだらけの尻を洗っていると正社員のライン責任者が入ってきた。
「おい、派遣!貴様仕事サボって何ケツ出して遊んでるんだ!」
正社員はヘイドレクに怒鳴った。ヘイドレクはその声にビクッと反応し、その場で硬直した。

「はは〜ん。オマエが新入りのオカマゲイボーイだな…まあ、どっちにせよオマエ、今日は
半日仕事サボったんだからな、当然日給減るぞ。それに派遣会社の方にも一応連絡したからな」

正社員の言葉にヘイドレクは思わず恐怖した。
(クビになるかも…)
その現実がヘイドレクを打ちのめした。折角作家志望を諦めて一から社会人として生活しよ
うとこの工場に派遣されてきたのに…ヘイドレクは尻丸出しで硬直したまま涙ぐんだ。

「泣いたってムダさ。オマエみたいな社会のゴミ、働かせてやってるだけでも感謝すべきだろ?
ファンタジー作家志望だってw?寝言こいてんじゃねえぞw」
正社員は冷たく言い放つ。遂にヘイドレクは泣き出した。正社員の言葉が彼の最も痛いところを
突いたのだ。格好つけてハードファンタジーを創作するなんて粋がっていたが、現実は低賃金派遣
労働者の肉便器程度…ヘイドレクは悔しかった。そして尻丸出しのまま号泣した。

「ぐずぐず泣いてないでとっととラインに戻れやカスッ!こっちは慈善事業やってんじゃねえんだよ!」
正社員はそう言い放つと、ヘイドレクを嘲笑しながら出て行った。

翌日、ヘイドレクの日給は8000円から7200円に引き下げられていた。
540名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 19:24:49
夜勤シフトの仕事を終えたヘイドレク。彼は派遣社員なので正社員用の更衣室を使わせてもらえず
生産フロア脇にある用具倉庫前のせまいスペースで作業服から私服に着替え始めた。
すると突然、背後の用具倉庫の扉が開いた。着替え途中でブリーフパンツ一丁だったヘイドレクは
驚き強張った。すると扉から図太い腕が伸び、怯えるヘイドレクの肩を掴むと、そのまま用具倉庫
に引きずり込んだ。
「…よう、作家せんせい。俺たちに挨拶なしにお帰りかい?」
用具倉庫の中には下請負で勤務する製作部署の労働者たちが5人ほどいた。床に倒れ伏すヘイドレク
を見下ろしながらニヤニヤ笑っている。

(しまった。またコイツらDQNに捕らえられるとは…)
生産ラインの流れ作業で疲弊しきっていたために警戒心が薄れていた自分を罵った。日給を一割引き下げ
られ、派遣登録先の査定ランクも下げられた今のヘイドレクにとって、苦しい生活をしのぐために夜間シ
フト勤務が不可欠になっていた。しかし連日の激務に完全に消耗し切り、コイツらDQN上がりの肉体労
働者連中に捕まってしまったのだ。昨日の週払い給が財布に残っているのが悔やまれる。
「な、なんだよう…一体ボクに何の用があるんだよう」
ヘイドレグは怯えながらも必死に言った。…ここでこれ以上舐められてはいけない、彼は引き下がらない
覚悟で彼らの目を見返した。
すると彼らのボス、名前は確か中村…は意外にも満面の笑みを浮かべた。そして優しげな表情でヘイドレ
グの側にしゃがみこむと、ヘイドレグの目を見つめながら言った。
「いやなに、いつも俺たちはお前に…いや、お前の肛門と財布にお世話になっているからなぁ。だから今
日はちょいと御礼をしてやろうと思って」
541名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 19:25:30
予想外の展開にヘイドレクはキョトンとしてしまった。また今日もカツアゲを喰らい、肛門を
掘られると思ったのだ。散々肛門を犯され続けたおかげで最近は完全に肛門括約筋が緩み、放屁
をしたつもりがいつの間に身が出ているまでになっていた。そんな身体にされたヘイドレクは
いつしか諦めの境地に達し、彼らにされるがままになっていたのだった。

「作家せんせいよぉ、最近お疲れのようだからちょっと可哀相に思ってなあ。そんで、オレたち
いつも世話になってるんで、今日は作家せんせいにお返ししてあげようと思ってなあ、そうだろ?
みんな!」
山形と名乗る製作部の巨漢が言うと、用具倉庫に集ったDQN連中はそれに応えるように笑い、囃
し立てた。すると佐藤と名乗る若禿の暴走族崩れの男が座っていたドラム缶の上から飛び降りた。
そして懐の辺りに手を差し込んで何かを取り出そうとしながらヘイドレクに近づいてきた。
「…作家せんせいよぉ、なんか小説かくのに悩んでるんだって?その上最近随分お疲れみたいで…
クククッ!で、少し癒してやろうと思ったんだよ」

何かがおかしかった。彼らの見せる表面上の優しさは何か不自然だった。ヘイドレクは緩みかけた
表情を強張らせ、これから起こることに備えて警戒した。
男達はおのおの立ち上がった。そして床に座り込むヘイドレクのもとへと集まってきた。
皆一様にニヤニヤと笑いながら。

佐藤と名乗る族上がりが懐からなにか小さな袋を取り出した。何か薬品のようだ。それを
指先にもった佐藤はそれをヘイドレクの目の前で翳しながら
「これ、疲れが取れるクスリなんだよね…北朝鮮製の。これさえあれば、作家せんせいの
疲れも一発で吹き飛ぶさ。それにねぇ、作家せんせいのケツの性感もグッと高まるんだぜ!」
542名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 19:26:06
ヘイドレクは後ずさった。覚醒剤だ、とすぐに理解した。
逃げようとするヘイドレクに気付いた中村は、仲間に向かって
「押さえつけろ」
と命じた。すると連中は雪崩を打ってヘイドレクの身体に圧し掛かった。
抵抗するヘイドレク。しかし肉体労働で鍛え抜かれた彼らの腕力に敵うはずがなかった。

…いつの間にブリーフパンツを脱がされて肛門を犯されるヘイドレク。山形という巨漢は
ヘイドレクのフェラをさせ、まもなく射精した。さらにヘイドレクは腕を持ち上げられ、
本日3本目の覚醒剤を注入された。ヘイドレクの意識は混濁し、現実を妄想の境界が不明瞭
になってゆく。
直腸内に大量の精液が注ぎ込まれ、すぐに別の男がヘイドレクの肛門に肉棒を挿入する。
その肉棒の熱さにヘイドレクは思わず喘いだ。肛門全体を押し広げるようなそのボリュームに
感じてしまったヘイドレクはそのまま勃起し、すぐに射精した。
(…悔しい!で、でも堪らない、ああっ!)
快楽と苦痛の狭間でさらに堕落してゆくダーティーヒーロー・ヘイドレク。

「チッ! なんだよ、たった3万円しか入ってねえよ。こんだけヤクぶち込んでもらって、
この程度しかゼニ無いのか作家せんせい。残金あと2万は借金だぜ!」
中村はヘイドレクの財布を漁りながらそう罵った。
543名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 19:59:40
ヘイドレクは怒った。傍らの角材を手に取ると、血走った目で口角泡を飛ばしながらDQN達に殴り掛っていく。
544名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 20:28:24
しかしあっさりとかわされた。そして再びアナルを掘られ、覚醒剤を打たれた。
そのまま失神したヘイドレク。
気がつくとすでに次の勤務時間になっていた。
545名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 21:17:06
(感想)むしろ今の流れのほうが”ハード”ファンタジーでGJ!

では続けてください、どうぞ。
546名無し物書き@推敲中?:2007/02/24(土) 21:43:43
「ああ、もう朝かぁ。仕事行きたくねぇなあ」
ヘイドレクはフトンの中でまるくなった。
547作者A ◆CPnrHq4ryQ :2007/02/24(土) 21:46:06
春樹のセックスシーンはどうしてあんなに甘美なんだろう。
天才なんだろうな。
548名無し物書き@推敲中?:2007/02/25(日) 05:16:02
しかしヘイドレクに対する肛門調教は甘美などではなかった。
性奴隷としての服従、それこそが今のヘイドレクに課された肉の掟だった。
そしていつしかヘイドレク本人もそうした過酷な支配に悦びを見出せるようになった。
ヘイドレクは真性のマゾだったのだ。

「…オラアッ!なにやってるんだ、作家せんせい!」
いきなり怒鳴りつけられた。
ハッとしてヘイドレクは我に返った。仕事の手が止まっていたのだ。
「ボケッ!テメエは何の役にも立たないな!この給料泥棒があっ!」
そう言うと主任はヘイドレクのケツを思いっきり蹴飛ばした。
その瞬間、DQN工員達が調教用に肛門にねじ込んでいたリモートローターが
完全に肛門の奥に入り込んだ。ローターは腸内で振動し、下腹部全体を震わせた。
ヘイドレクはその心地よさに思わず唸った。
「す、すいません主任!ボ、ボクが悪かったです、もうしませんからクビにしないで下さい!」
ヘイドレクはその場で土下座をして謝罪した。すると主任は「フンッ!」とツバを顔に吐きかけて
大股で歩き去った。

数時間後、ヘイドレクは大便用便器に座ってウンウン唸っていた。完全に肛門の奥に嵌り込んだ
リモートローターを脱糞する要領で出そうとしているのだ。
(ち、畜生…なんでオレがこんな目に遭わなきゃならないんだよ!)
ヘイドレクは泣いた。肛門が痛いからじゃない、悲しかったのだ。本心から悔しかったのだ。

ローターが無事排出されたのはそれから10分ほど後だった。糞まみれだった。
549名無し物書き@推敲中?:2007/02/25(日) 18:28:51
ヘイドレクは思った。
なんで俺はDQN達にケツを掘られてまでこんな仕事をしているんだ。
どうせケツを掘られるのなら、もっと割りのいい仕事があるではないか。
ヘイドレクは辞表を出すべく事務所へ向かった。
550名無し物書き@推敲中?:2007/02/25(日) 19:15:20
しかし事務所の扉の前で躊躇した。
ハローワークで求職しても殆ど仕事がない現状...自分という人間が果てしなく無価値な
存在だという事実を知らされたあのハローワークでの出来事。
ヘイドレクは立ち竦んだ。
(こ、ここで仕事を辞めたら、オレはまた負け犬になってしまう。でも、もう肉便器の屈辱に
は耐え切れない!…気持ちいいことは認めるけど)
手に握った辞表をギュッと握り締め、唇を噛み締めたまま俯いた。

「おい人間のクズ!…何やってるんだゴミ野郎。くだらねえ小説とやらのネタでも考えていた
んかあ?」
廊下の向こうから正社員のDQN、山崎が呼びかけてきた。ヘイドレクは本能的に怯えて後ず
さりした。
「いい歳こいて何考えてんだか。それより作家せんせい、テメエ今日のノルマはちゃんと済ま
せたのかよ!」
「は、はい。今日のラインの生産作業分は全部終わっています…」
ヘイドレクは震えながら小声で返事した。
「ああっ?…ちげーよ!オメエの今日の”ノルマ”だよ馬鹿!ちゃんと御奉仕&覚醒剤の代金
持ってきたかって聞いてんだよ、無才の作家せんせ…ん?何だそれ」
山崎はヘイドレクが手にしている辞表の入った封筒に気がついた。慌てて隠そうとするヘイド
レクだったが、山崎はヘイドレクの腕を掴むと封筒をむしりとった。
必死に取り返そうとするヘイドレクだったが、山崎の蹴りを腹に喰らい地面に蹲った。覚醒剤
とホモ開発と連日の激務で体力が落ちきった無才のファンタジー作家志望ヘイドレクなど、
DQN上がりながら要領よく正社員の座を得て、かなりの高給をもらう山崎に敵う相手ではな
かった。…人間としての価値も全てふくめて。
551名無し物書き@推敲中?:2007/02/25(日) 19:16:21
蹲るヘイドレクの側で山崎は封筒を破り、辞表を読み始めた。
「んんー?…”一身上の都合で会社を辞めさせていただきます”…えっ!何だ作家せんせい
お前会社辞めるの!バッカじゃんコイツ!テメエみたいな無能馬鹿なんか雇ってもらってる
だけでもありがたいのにちょいと肛門掘られたくらいで負け犬みたいに逃げ出すんだ!テメ
エは肉便器アナル以外なんの使い道がねえって知ってた?まあいいや、オメエ、路頭に迷っ
て死ぬだけだしwww…おーい、みんな!作家せんせいが辞めるんだってさ…」
山崎はヘイドレクの辞表を手もって翳しながら工場内の同僚達に大声で知らせる。

床に倒れ伏していたヘイドレクは恐怖した。ファンタジー作家志望として方々の出版社に
自作ダークファンタジー小説を投稿してみたが何一つ採用掲載されなかったことを。
そして自分には小説を書く以外、なんの能力もないということを思い出した。…いや、正
確には、小説を書く能力すらなかったのだが。
泣きながら辞表を取り替えそうとするヘイドレク。
(…やっぱり仕事は辞めない!辞めたらもう、生活ができなくなっちゃう!)
嘲笑いながらヘイドレクの辞表を振り回す山崎に向かってヘイドレクは何度も何度も飛び掛った。
そして山崎に軽く脚払いされて転び、床に頭を打ち付けたヘイドレクはそのまま意識を失った。

翌日、会社からは派遣会社に派遣拒否の通知があった。
そしてヘイドレクは運送会社の配送所の貨物仕分け積み下ろし作業に派遣されることが決まった。
日給6500円だった。
552名無し物書き@推敲中?:2007/02/26(月) 01:08:52
「俺はこのまま>>1000までずっとイジメられ続けるのか…」
ヘイドレクはがっくりと膝をついて俯いた。今まではファンタジー世界でカッコイイヒーローとして
活躍していたが、夢から醒めてみれば只の作家志望の無職ニート。
そのギャップに打ちのめされ、もはやヘイドレクは精神が崩壊していた。

突然目の前で光が輝いた。眩しくて目をつぶるヘイドレク。
一体何なんだこれは、ヘイドレクは驚いた。まさか、覚醒剤の幻覚症状?
そして光の中から女神が現れた。そして女神はヘイドレクを見下ろすと優しげな微笑みを浮かべ、言った。
「その通りですよヘイドレク!貴方の人生はもう終わっています。」
「えっ?」
ヘイドレクは思わず聞き返した。女神は再び微笑むと、もう一度言った。
「貴方の人生はもうとっくに破滅してるって言ったのですよヘイドレクさん。作家志望と言いながらなんの
才能も無くムダな駄文を書き続けて貴重な時間を無意味に浪費した罰なのですよ!」
女神は微笑みを絶やさない。慈愛に溢れた瞳でヘイドレクを見つめながらさらに続ける。
「あと、私こと女神は、覚醒剤の幻覚症状で現れたのではなく、紛れもない本物です!貴方が貧弱な想像力
で書き付けたくだらないファンタジーとは違って、ちゃんと労働基準監督署から派遣された調査員です。そして
貴方に告げに来たのです。工場では労働基準法違反は存在せず、貴方の単なるサボタージュだってことを…
従って、貴方が区役所に提出した生活保護申請は却下されるはずです。頑張って仕事探して働いてくださいね!
では、さようなら!私も忙しい身なので要望及び苦情は正規の書面で郵送してきてくださいね」

ヘイドレクは倒れた。もう、もう俺の人生はお仕舞いだ。
(早く!早くこのスレを削除してくれ!…俺はもう、耐え切れない!)
そう叫びながら、ヘイドレクは巨大ディルドを取り出して肛門に挿入した。そして肛門を抉りながら勃起した
短小包茎ペニスをシゴき始めた。
553名無し物書き@推敲中?:2007/02/26(月) 04:53:40
「早くこのスレ、終わってくれ!俺はもう耐え切れない!」
ヘイドレクは叫んだ。
悲痛な叫びだった。



しかしこのスレはあと400レス以上あるのだ。
一体、ヘイドレクはどうなってしまうのだろうか...
554名無し物書き@推敲中?:2007/02/26(月) 05:56:22
足元を見ると驚いたことにランプが転がっていた!
「おお!もしかして、これは……」ヘイドレクはそれを拾いあげた。
555名無し物書き@推敲中?:2007/02/26(月) 20:57:11
擦ってみた。
556名無し物書き@推敲中?:2007/02/26(月) 20:59:43
「もしかして…これはアラジンと魔法のランプでは?」
ヘイドレクはランプを拾い上げるとそれをしげしげと眺めた。
表面には複雑で巧緻に刻み込まれた見事なアラベスク模様。少しくすんだ鈍い輝きが
このランプが年代物であることを示していた。
「これを擦ればもしかして魔人が出てきて、ボクの今の不幸な生活を終わらせてくれ
るかも知れないな」
そう呟くとヘイドレクはランプを手で擦り始めた。ふだんロリDVDの未発達な少女の
肉体を眺めて自分の貧弱な包茎ペニスを擦るように。
「頼む、魔人さま。俺を救ってくれ!もう俺は今の生活に耐えられないんだ!」
延々とランプを擦り続けるヘイドレクを、道行く人たちは奇異な目で眺めた。

数時間後、近所の住民の通報により、半狂乱でランプを磨き続けるヘイドレクが
警察に保護された。ランプは魔法のランプでもなんでもなく、東京ディズニーラ
ンドの土産物だった。この世には神も仏も魔人もいないのだ。

世の中そんなに甘くないのだよヘイドレク!キミはこのスレが終わるまで延々とカマ
を掘られ殴られ蹴られ虐げられて屈辱に塗れた生涯をおくるのだよ。それが才能もな
いのにファンタジー小説家などというふざけた戯言に踊って無駄な時間を浪費した罰
なのだ!

そして運送会社を休んだヘイドレクの日給は6500円から6000円に引き下
げられた。
557名無し物書き@推敲中?:2007/02/26(月) 22:10:39
昼休み。ヘイドレクは食堂裏の空き地に佇んでいた。悪魔を呼び出すつもりである。
この世には神も仏も、魔人さえもいやしない。悪魔だ!悪魔以外、何に頼れよう!
悪魔はきっといる。悪魔だけは。それは、この地獄のような現実が全てを物語っている!
ヘイドレクは手に持っていた鉄パイプで地面に正五角形を描き始めた。
そして隅に五本のローソクを立て、真ん中で火を燃やす。
「悪魔よ、いでよ!魂と引き替えに、オレの願いを叶えたまえ!」そう叫び、ヘイドレクは燃えさかる火の中にトカゲの尻尾だのニンニクだの頭髪だのをめったやたらに放り込んだ。
ぼわっと、音がして煙の中に何者かの姿が浮かびあがる。
「これは……」
558名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 01:38:55
煙の中からはムキムキマッチョの巨根悪魔が現れた。
「あ〜らお兄さん、私のことお呼び?あたしはねぇ...アシュタロットっていうのっ!」
魔人は全長30センチはあろうかという勃起チンコをぶんぶん振り回しながら色目を使った。
分厚い唇を真紅のルージュで彩り、目元にはライトパープルのアイラインは引かれている。
髭が角ばった強靭なアゴには青々とした剃り残しの髭が一面生え揃う。
胸から肩にかけて獰猛なほどに発達した筋肉がヘイドレクの目の前でブルンブルンとはじける。
そのあまりの迫力にヘイドレクは思わず後ずさりした。

「お兄さん逃げないで!お名前はなんていうのぉ?」
アシュタロットと名乗る悪魔はヘイドレクの腕をムンズと掴んだ。本能的に危機を察したヘイドレクはその
腕から振り払おうと暴れたが悪魔はそれを許さない。強引にヘイドレクに抱きつくと、図太い筋肉質の腕で
動きを制した。
「まあっ!失礼しちゃうわっ!自己紹介もせずにいきなり逃げようとするなんて!…こうなったらもう御仕
置きよっ!」
そういうとアシュタロットはヘイドレクのズボンとブリーフを一気に引き降ろした。そして泣き喚くヘイド
レクを地面にうつ伏せにさせると、大声でうひゃうひゃと笑いながら巨大なペニスをヘイドレクの肛門に
一気にねじ込んだ!
「うぎゃー!」
誰もいない食堂裏の空き地に、ヘイドレクの悲鳴が寂しく響いた。

…数時間後、覚醒剤でヘロヘロになったヘイドレクが夜間警備員に発見された。すぐ脇には長さ30センチ
直径7センチの巨大な浣腸器が血まみれになって転がっていた。浣腸器で覚醒剤を肛門に注入したのは自明
だった。そしてヘイドレクの肛門も血まみれだった。
唯一の救いは、普段から肛門を掘られ慣れていたために、巨大浣腸器を挿入しても肛門のヘリの一部が僅かに
裂けただけですんだことだった。

警備室に運ばれたヘイドレク。初老の警備員に同情されてお茶菓子をご馳走になった。
ヘイドレクは泣いた。悪魔が覚醒剤の幻覚に過ぎなかったなんて...
559名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 01:42:11
しゃぶれ
カタワモン残飯
560名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 05:16:48
と、警備室の入り口から声がした。
見るとそこには全身が真っ黒で尻尾のはえた生き物が仁王立ちしている。手には三つ又の槍。
ヘイドレクと警備員はぎょっとしてパイプイスから腰を浮かせた。
「これこそ、まさに……」
561名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 05:31:53
悪魔だった。
悪魔はヘイドレクと警備員を見下ろすとニヤリと笑った。
そして地の底から響き渡るような声で言った
「しゃぶれ カタワモン残飯」
562名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 18:16:15
「しゃぶれ カタワモン残飯」
そのセリフを聞いたヘイドレクは敏感に反応した。一瞬で自分のことだと判ったからだ。
作家志望といいながら何年も無駄な時間を浪費した挙句に、アナル肉便器以外なんの役にも
立たない派遣労働者に成り果てたヘイドレク…そう、まさに自分のことじゃないか!

そう思ったヘイドレクは、悪魔の前に立った。
そして着衣を全て脱ぐと後ろ向きになり、肛門を思いっきり悪魔の方へ向けた。
「さあ、どうぞ。私は貴方のしもべになります。遠慮なくいじめてください!」
悪魔は笑った。そして三つ又の槍を大きくかざすと、先端を思いっきりヘイドレクの肛門にねじ込んだ。
563名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 21:25:15
槍を前後に動かしながら嗜虐的なニタニタ笑いを浮かべる悪魔。「ぶはは。ぶはは」
ヘイドレクの頬を涙がつたう。痛みは感じない。しかし己れの不甲斐なさ、それが彼をとても悲しくさせたのだ。
とその時、初老の警備員が悪魔に体当たりをかました。
「ぐおっ」槍を持ったまま壁際までふっ飛んでいく悪魔。
警備員はヘイドレクを振り返って言う。「ここはわしに任せて、あんたは逃げなさい!」
564名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 21:28:32
「遠くへ行きんさい。なにもなかたんじゃけん…」
「拓郎か!」
ヘイドレクは警備員の額を叩き、ツッコミ入れた。
565名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 22:30:08
「タクロウ?」警備員の声色がおぞましいものへと変わった。ヘイドレクは戦慄した。ヘイドレクはわなわなと震えだし、口を大きく開くと、口の奥がキラリときらめく。ヘイドレクは叫ぶ。「イレイザーガン!」
566名無し物書き@推敲中?:2007/02/27(火) 22:33:46
再び声が聞こえた

    しゃぶれ
    尺八狂いザンパン
 
 
567名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 00:53:53
「しゃぶれ 尺八狂いザンパン」
その声がヘイドレクを戸惑わせた。目の前の警備員が見る見るうちに変身し、人材派遣会社の派遣登録担当者に
変わったのだ。担当者は営業用スマイルを満面に浮かべながらヘイドレクに言った。
「ヘイドレクさん、運送会社の方から苦情が来てますよ。慢性的なサボタージュが続いて業務に支障が出ている
って。」
ヘイドレクはイレイザーガンと名づけた東京マルイの6ミリBB弾を発射する電動ガンを手から落とした。
ガチャーンとリノリウムの床の上で大きな音を立てて電動ガンは床を滑った。
「それにねヘイドレクさん、我々としても貴方のいい加減な仕事態度を放っておくわけにゆかないんです。我々の
会社の信用に関わりますからね」
担当者の顔を見つめながらヘイドレクは立ち尽くした。今度こそクビだ、そう思うとヘイドレクは不安と恐怖に襲
われた。すると背後から声が
「ヘイドレクよ、もうキミがジリ貧なんだよ。どうだい?ここで大金を掴むために腎臓を売ってみては如何かな?」
ヘイドレクは振り向いた。そこには先ほどの悪魔がいた。

運送会社は実は某暴力団組織のフロント企業であり、彼はこの会社に役員として派遣された準構成員であった。

悪魔は真珠を埋め込んだ巨大なペニスを勃起させながら、ヘイドレクに熱い視線を注いでいた。
568名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 01:16:43
そして悪魔はヘイドレクに言った
「しゃぶれ 尺八狂いザンパン」
ヘイドレクはしゃがんだ。仕事を失いたくないという思いがヘイドレクを動かした。

本当にそれだけかなのか?とヘイドレクは自問した。
いやいやではなくて、本心から咥えたいと思っているんじゃんじゃいのか?
ヘイドレクは悩んだ。自分の本当の気持ちとは一体何なんだろうと考えをめぐらせた。

しゃがみこむと目の前にはの悪魔の巨大なペニスがそそり立っていた。
悪魔はニヤニヤしながらヘイドレクを見下ろしている。
ヘイドレクは勃起したチンコをもう一度ジッと眺めた。そしてゆっくりと口に含んだ。
569名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 02:23:01
お腹の減っていたヘイドレクはそのまま悪魔のペニスをむしゃむしゃ食べ始めた。
570名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 06:28:16
そう、これこそが尺八狂いザンパンの最後の意地だった。
「たまらないぜ、ああっ!もっと、もっと無茶苦茶に噛み付いてくれ!」
悪魔は悶えた。ヘイドレクの愛噛にマゾ魂が刺激されたのだ。
571名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 07:28:19
その時だった。
「終わりか?尺八残飯...」
572名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 09:54:46
「全然ハードフェンタズィーではないではないかァン!」
日本語で吠えたのはドラゴンしかりエラゴン。
フェンタズィーで困った時はドラゴンしかりエラゴン召喚。体長10メートル(フェンタズィー的には10パリエンとか珍奇な単位を使う)
の横には黒いローブを纏った者が立っていた。深々とフードをかぶり表情まではわからないが、お決まりのエルフ登場に違いないのだ。
573名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 10:02:38
そこにドワーフ登場。フードの人物を見ながらくんくんと鼻を鳴らし「にっくきエルフの匂いがするぞい」
お決まりのドワーフ=ジジィ的なしゃべり方だ。「わしゃエルフが大嫌いなんじゃ」と、とりあえずそばにいたヘイドレクに言った。
574名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 10:49:18
そして側にいた男も「>>547」と、まるで無関係なことを言った。
575名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 17:14:44
はっとして目が覚めたヘイドレク。
周りを見るといつもの四畳半のアパートだった。
「お、俺は夢でも見ていたのか?」
ヘイドレクはボーッとする頭で考えた。
痛む頭。痛む肛門。痛む自尊心。
もう、俺はお仕舞いなんだと悟った。
「ファンタジーよりも、現実のほうがよっぽどハードだぜ…」
そう呟くとヘイドレクは起き上がって着替えを始めた。
「さて、今日も仕事だ、今まで遊んでた分をちゃんと取り返さなくちゃ!」
ヘイドレクは一度大きく深呼吸した。そして元気よく運送会社の配送所にむかった。
576名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 18:16:54
道に迷うヘイドレク。
「うおーっ。ここは、どこだ!」
577名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 18:21:47
そこは西川口配送センターだった。
ヘイドレクはいつもの通りタイムカードを通してロッカールームに向かった。
578名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 18:40:07
ヘイドレクはこの西川口配送センターの建物をパンデモニウムと名づけていた。
長距離運送用10トントラックのことをドラゴンと呼び、配送用2トントラックの
事をモンスターと呼んでいた。
さらに配送所の仕分け作業員のことをドワーフと呼び、トラックドライバーのことを
竜使いと呼んでいた。
そしてヘイドレクは、周りから電波さんと呼ばれていた。
579名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 18:50:45
ヘイドレクはその能力をいかし、宇宙と交信を始めた。
宇宙人を手なずけ、この地獄のような毎日から脱出するつもりだった。
580名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 19:29:49
            _  -───-   _
            ,  '´           `ヽ      しかし電波につられてやってきたのは
          /                 \      お兄さんだった...  
        /                    ヽ
      / __, ィ_,-ァ__,, ,,、  , 、,,__ -ァ-=彡ヘ  ヽ
       ' 「      ´ {ハi′          }  l
      |  |                    |  |
       |  !                        |  |
      | │                   〈   !
      | |/ノ二__‐──ァ   ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ
     /⌒!|  =彳o。ト ̄ヽ     '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ !    「キミが、ヘイドレクかい?」
     ! ハ!|  ー─ '  i  !    `'   '' "   ||ヽ l |
    | | /ヽ!        |            |ヽ i !
    ヽ {  |           !           |ノ  /
     ヽ  |        _   ,、            ! , ′
      \ !         '-゙ ‐ ゙        レ'
        `!                    /
        ヽ     ゙  ̄   ̄ `     / |
            |\      ー ─‐       , ′ !
           |  \             /   |
      _ -‐┤ ゙、 \           /  ! l  |`ーr─-  _
 _ -‐ '"   / |  ゙、   ヽ ____  '´   '│  !  |     ゙''‐- 、,_
581名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 19:30:26
            , '´  ̄ ̄ ` 、
          i r-ー-┬-‐、i
           | |,,_   _,{|         ヘイドレクは頷いた
          N| "゚'` {"゚`lリ         すると男はヘイドレクの見ている前で
             ト.i   ,__''_  !           ツナギのホックを外し始めた
          /i/ l\ ー .イ|、
    ,.、-  ̄/  | l   ̄ / | |` ┬-、
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
  /    ∨     l   |!  |   `> |  i
  /     |`二^>  l.  |  | <__,|  |
_|      |.|-<    \ i / ,イ____!/ \
  .|     {.|  ` - 、 ,.---ァ^! |    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{   ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
  }/ -= ヽ__ - 'ヽ   -‐ ,r'゙   l                  |
__f゙// ̄ ̄     _ -'     |_____ ,. -  ̄ \____|
  | |  -  ̄   /   |     _ | ̄ ̄ ̄ ̄ /       \  ̄|
___`\ __ /    _l - ̄  l___ /   , /     ヽi___.|
 ̄ ̄ ̄    |    _ 二 =〒  ̄  } ̄ /     l |      ! ̄ ̄|
_______l       -ヾ ̄  l/         l|       |___|
582名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 19:31:01
  l |.          .|       
.  l |. - ‐‐- ,. ‐''´ .| l    
━ 〃         .| l       「ファンタジーの事を語り合おうよ…」
━ ┃      i'     .| l        そう言いながら男は
 ━┛|.        .| l         ジッパーを降ろした
 ━ 〃 ,. - ‐- ‐- | l
 ━ ┃|.  /´フ`:, | l         すると隆々と勃起した
  ━┛ |. し'、,.、j | l         逞しい男根が弾け出た!
`ー-、_ ', |. |!': .;;| .| l
   ┃ヽ、l.| :  ;;| | l  ,,
   ┃、 ヽ!   ;!l l
   ┃ ヽ  ゙、  .| l/ /
    ・  \ i;;;.| / /
ヽ  、 \  ヾi/ /  /
 `ー-、\ ,ゝ-'! //´
    `´`′  } ,.. j
     ヾ、   ! .:.:ノ
       ,.ゝ.:i:.:.:'.:.
   ,. ' ,. ':,.;;;i;;;;;_:.:..、ヽ
     / ̄     ̄\
   /          \
583名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 19:31:46
    〃                 i,        ,. -‐
   r'   ィ=ゝー-、-、、r=‐ヮォ.〈    /
    !  :l      ,リ|}    |. }   /  キミも尺八残飯なのか…
.   {.   |          ′    | }    l
    レ-、{∠ニ'==ァ   、==ニゞ<    |    ひと目でわかったよw
    !∩|.}. '"旬゙`   ./''旬 ` f^|    |
   l(( ゙′` ̄'"   f::` ̄  |l.|   |     …なあ、ファンタジーの住人同士
.    ヽ.ヽ        {:.    lリ     |
.    }.iーi       ^ r'    ,'    ノ    や ら な い か ?
     !| ヽ.   ー===-   /    ⌒ヽ
.   /}   \    ー‐   ,イ       l    ハードなファンタジーを体験できるぜ!
 __/ ‖  .  ヽ、_!__/:::|\       ヽ

--------------------------------------------------------------------------------
 、        ヽ
 |ヽ ト、  ト、 ト、 、.`、
/|l. l. | |l l | | l |l.| |l. l
/' j/ ノ|ル'/レ〃j/l |         「えっ!」
-‐7" ヾー---┐|_.j
 ̄   ./゙ニ,ニF、'' l _ヽ        ヘイドレクは絶句してしまった。
::   ,.,. |ヽ 」9L.` K }.|          しかし同時に
    l'  """  l ) /           自分の股間が
  h、,.ヘ.      レ'/             熱く緊張していくことにも気付いた。
          レ′
 r.二二.)     /
  ≡≡    ,イ
.       / !
\   /  ├、
::::::` ̄´   /  !ハ.
584名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 19:32:30
届. だ だ .そ |  / つ ホ よ
い か っ う |  l い イ か     「ファンタジー作家ならわかるだろ?
た ら た か  !  〉 て ホ っ      俺たちの才能を認めない世の中が糞だって…」
ん 電 の 君 |  | き イ た     
だ 波 か も |  | て    の     男はそう言うと
な が い 残 |  ヽ       か     ヘイドレクをひざまづかせた
あ        飯!   l \    /
ノ!\__     /   |  〃''7´        そして怒張した男根を
  {  l ̄`ヽ(  ヽ ! / ,;〈       ヘイドレクの目の前に突き出した
     j| /     `ヽ;;,,   ヽ  
  / / l!        ',;    ',     ヘイドレクは激しく欲情し
  / /         |            生唾をゴクリと飲み込んだ
  /   l          !    l
,.イl!    l!         /,    l!
ゞ{l       , , ,;;;ノ、,,,
r''l      ' ' ' ' ''l;;;''''''
、 |           |;;
.ヽ!   !         |;
__」   l        |ヽ
<!  ヽ      | ヽ
585名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 19:42:19
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\      男の逞しい男根は
          : ./   i./ ,,..、    ヽ     ヘイドレクの目の前で脈打っていた
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|   (…これが俺の中で暴れるんだ…)
           (´゛ ,/ llヽ            |    そう思うとヘイドレクはたまらなくなり
            ヽ -./ ., lliヽ       .|     男の男根にむしゃぶりついた!
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ      
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!    「おらぁ!もっと舌を使えよっ!」
 ビクビクッ   : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./     男は強い口調でヘイドレクに命じた
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.r   ゛ .゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|    (…完全に狂ってしまえば、もう辛い現実から
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん   逃れられることができるんだ!)
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛    
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、    今までファンタジー作家志望というだけで
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ      キチガイ扱いされた日々…
      .ll゙, ./    !            ,!     
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    (…いつか腐った世の中に復讐してやる!
      l.",!    .リ         |    俺が天才ファンタジー作家だって愚民共に分からせてやるんだ!)
      l":|    .〜'''      ,. │             
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │    ヘイドレクは本当の自分に辿り着いた気がした。
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
586名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 20:29:50
ヘイドレクは皆に男かも女かも忘れられていた。
私は誰だったろう。今まで何をしてきたのだろう。このスレを最初から読見返す気力もなく、私はここから新たに人生を出発しようと思う。
私は女。金髪。年齢も若い方がいい。そうね、21才としておこうかしら。
しかし尺八とは何だアンタ達。尺八みたいに立派なポッキートッポプリッツもってるの?
あんたらアレよ。犬笛よ。吹いても鳴りゃしない、持ち腐れキンポーでしょ。この精子ども。
毎日一人でシコタンシコタンやってる若ハゲどもでしょ!
人には不細工チビ呼ばわりするくせ、あんたもチンケなフェイスしたB型人間なのよね?ふふ。
みんな犬笛よ。オス犬ども。ヘイドレクは一息つくと、葉巻を加えた。
ネタ振り完了ね。
587名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 20:42:12
そして直ちに>>586は却下された。
引き続き運送会社に派遣されたヘイドレクをみんなでよってたかっていじめてやってください。

では、どうぞ
588名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 20:45:55
火の付いた葉巻を肛門にねじ込まれるヘイドレク
589名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 21:11:25
就労ビザがきれてることに、気がついた。
590名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 22:10:29
「ペガサス流星拳!!」星也が叫んだ。ヘイドレクは1秒間に98発の鉄拳を食らい絶命。ハードファンタジーとペガサスファンタジーを間違えてしまったが為の悲劇。「完」
591名無し物書き@推敲中?:2007/02/28(水) 23:12:36
と、DQNのひとりがうわごとのように言ったが、そんなこと大した問題じゃない。
ビザだ、ビザ!このままじゃ、本国に強制送還されてしまう!
592名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 01:11:22
ついに強制送還されたヘイドレク。
送還された先は、山梨県上九一色村の某カルト教団のサティアンだった。
全財産を教団へお布施として差し出す書面に署名を強要され、四畳半の狭苦しいアパートにあった煎餅布団や
中古TVなどは全て売り払われてしまった。
そしてヘイドレクは拘束衣を着せられ、頭に電極を差し込まれ、テープに録音されヘッドフォンから流される
マントラをヘ延々と一日中聞かせられた。
「修行するぞ!修行するぞ!修行するぞ!」
周囲にいるカルト教団の信者達はそう叫びながら、ヘイドレクの周りでピョンピョン跳ね回って踊り狂っていた。

「おい、ヘイドレク。貴様はファンタジー作家になりたいとか言って全然芽が出なかったそうだな。…それは世の
中がカルマに満ちて穢れているからだよ。教団に入ってともに修行に励み、世の中に鉄槌を加えようじゃないか!」
ヘイドレクは声の主の方へと振り返った。するとそこには全裸の大男が立っていた。勃起した仮性包茎のペニスが
ヘイドレクの前で悠然と揺れた。
「これからヘイドレク君にイニシエーションを施す!皆のもの!こちらを注目!」
大男は叫んだ。すると踊り狂っていた信者達は一斉に静まりヘイドレクの近くに集まった。
(な、なにがおこるの?)
ヘイドレクは緊張した。すると大男はヘイドレクを強引に四つん這いにさせると、勃起したペニスを強引に肛門に
ねじ込んだ。

「…これであのヘイドレクって馬鹿も懲りただろ」
人材派遣登録会社の派遣担当者は笑いながら言った。
「何せあの馬鹿なにも使い道が無いからな。アホ宗教で洗脳されて骨の髄までしゃぶりつくされりゃ少しは
反省するだろ、こっちに査定にも響いてくるんだからかなわねえよ全く…」
別の担当者もそう言って笑った。そして一言付け加えた。
「作家志望なんて言って、下らねえ駄文書いている馬鹿なんて、産業廃棄物以下だよな」
593名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 18:44:16
サティアンで修行に励むヘイドレク。
ここでは色んな仲間達との出会いが待っていた。

頭に電極差し込んだ解離性人格障害のマサハル君。
左腕前腕がケロイド状になるまでリストカットを繰り返したゴスロリデブのカスミちゃん
覚醒剤中毒になって時々全身を芋虫に食い荒らされる幻覚をみるミチル君
チック症で癇癪持ち、いつもサティアンをにぎわすアキラ君
自分は大宇宙意思から選ばれた光の剣士だという過酷な運命を背負った女戦士、マサミ。

みんなみんなヘイドレクの大事な大事な仲間達だった。
ともに笑い、ともに泣き、ともに修行に励んだかけがえの無い大事な友人達...

そう、あの日までは。
…あの日、警視庁と山梨県警の機動隊、それに自衛隊まで繰り出してヘイドレクの光の楽園
に踏み込んだのだ。
594名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 18:45:08
強制捜査に入った機動隊員がサティアン内部に突入してきた。

正気が完全に吹き飛んだマサハル君は呆然と天井を見上げたまま微動だにしない。
多分アッチの世界に旅立ったのだろう。
ヒステリックな悲鳴を上げてリストカットを始めたカスミちゃんを、機動隊員が慌てて
押さえつける。
「芋虫があー!俺を食い殺そうと…」と叫びながら全身を掻き毟り血まみれのミチル君
もまた機動隊員に羽交い絞めにされた。

(ボクたちの…ボクたちの楽園が、醜い現実社会の前で崩壊してゆく…)
ヘイドレクは許せなかった。怒りに燃えたヘイドレクは傍に落ちていた角材を握り締める
と、いきなり機動隊員に殴りかかった。
「うおおおーっ!」
しかし始めの一撃はあっさりかわされ、軽く脚払いを喰らうと、ヘイドレクはサティアン
の床の思いっきり転倒した。
「公務執行妨害!確保!」
あっさり捕まったヘイドレク。

しかし教団内部でもロクに使い物にならなかったヘイドレクは起訴猶予となり何の罪状も
問われなかった。そして裸一貫となったヘイドレクは再び就職活動を開始し、搾取率4割
超えの悪名高き人材派遣会社に第三種派遣業務登録をした。

日給は言わずもがな。ファンタジー作家志望の末路なんぞこんなもんだ。
595名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 19:11:20
サティアン?
サティアン?
サタィアン?
サタァン????
サターン!!!!!
ヘイドレクは度肝抜かれて第2サティアンでしりもちついちまった。
596名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 19:16:59
しかしそこは正確には「第二製造ライン」であった。
カルト教団の洗脳抜け切れない元ファンタジー脳のヘイドレクはマトモにリハビリテーションも経ずに
いきなり製造ラインで部品組み立て作業をすることとなった。
熱した半田鏝で肛門をツンツンするくらいしか楽しみがないヘイドレク。
彼に幸せは訪れるのだろうか?(いや、訪れないよ。あと残り400レスの間苦しみ続けるんだよ)
597名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 19:44:46
しかしよぉ。
ああ、私?ヘイドレクだけどさぁ。一回も飯食うシーンないんだけど?
あった?読み返すのめんどくさい。
チンコくわえてばっか何ですけど。
ところで、始まりからこれ何日経った?現時点での話。
トゥエインティーフォーじゃねぇんだからさぁ。
いいかげん翌日になんないかな。あった?翌日の場面きりかえ。読み返すのめんどくさい。
じゃあアレだ。これ二年前の話ね。そう、その間いっぱい寝たね。肉まんとかピザまんいっぱい食ったし。はい、じゃあ次の方現在。
サターン!?
ヘイドレクはしりもちついた。あ、私ね、しりもちついた。
598名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 20:53:50
翌日。ヘイドレクは飯を食いながらシコっていた。
シュッシュッシュッ。
599名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 21:38:23
さらに翌日。ヘイドレクはウンコを食いながらシコっていた。
シュッシュッシュッ。
600名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 21:39:12
ついでに600げとを宣言するヘイドレク
さらにウンコを食った
601名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 21:54:32
>>597
日本語でおk
602名無し物書き@推敲中?:2007/03/01(木) 22:36:05
そして一週間が経った
603名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 00:39:39
さらに一ヶ月経った
604名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 01:07:39
なぜか3ヶ月過去に戻った
605名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 01:21:03
ヘイドレクは鏡を見た。
「オレも老けたなあ」
606名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 02:13:12
ファンタジー作家になれないまま幾歳月...
頭髪は抜け落ち、額は頭頂部近くまで禿げ上がってしまった。栄養価の低いジャンクフードばかり
食べ続けたために不自然に贅肉が付き、全身が緩みきっていた。
ヘイドレクは驚愕した。そして自分が青春をものの見事に浪費し、遂に社会不適合者に成り下がって
しまったことを知った。

そして今日も又、安い日給を稼ぐためにヘイドレクは工場に向かう。
死を迎えるその日まで、延々と続くワーキングプア生活。
それがファンタジー作家志望の成れの果て、ヘイドレクの真の姿だった。
607名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 05:38:22
「もう、死のう」
ヘイドレクは呟いた。
(こんな人生なんて真っ平ゴメンだ!あと400近くレスが残っているなんて...)
ヘイドレクは泣いた。人目を憚らず泣き叫んだ。そして近くのビルの屋上に上った。
「ここから飛び降りれば、俺死ねるな」
8階建ての屋上から見た地面は目眩がするほど遠かった。目下には駐車場があり、
黒々としたアスファルトがヘイドレクを誘う。
ヘイドレクは少し竦んだ。死ぬ覚悟ができたとはいえやはり怖い。しかし、このさき
ロクな人生が待っていないことを思うと…ヘイドレクは靴を脱いだ。遺書は書かなか
った。そしてゆっくりと屋上の柵を乗り越えようとした。

「待ちな!アンちゃん」
突然後ろから声を掛けられた。と、同時に肩を摑まれて強引に引き戻された。
驚いて後ろを向くヘイドレク。そこにはスリーピースのスーツを着て濃いサ
ングラスをかけた長身の男が立っていた。
「死ぬ気かい?…駄目だよアンちゃん」
「は、離してください!死なせてください!…ボク、もう!」
ヘイドレクはもがいた。しかし男は太い腕でヘイドレクを押さえ込んだ。抵抗でき
なくなったヘイドレクは泣いた。床に突っ伏して大声で泣きじゃくった。

「死んじゃアカンよ、アンちゃん」
男は優しく声を掛ける。興奮が少し収まったヘイドレクは男を見た。男はヘイド
レクを見て微笑んだ。そして言った。
「死ぬ前に、まず腎臓を売って、数ヶ月間ウチの組のタコ部屋で仕事してからでも
遅くないだろ、あ」
608名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 08:01:10
ヘイドレクは黒塗りのベンツに乗せられ組事務所へ連れられていった。
609名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 16:35:39
そのまま組事務所に連れ込まれたヘイドレク。
まず危険物の硫酸ピッチを扱う違法軽油製造工場で仕事をする労務契約を結ばされた。
もちろんその書類には「産業廃棄物処理施設」と記載されているが...
(産業廃棄物か…それってまさに俺、ファンタジー作家志望の成れの果ての俺の事だな)
ヘイドレクはふとそう思った。そして少し微笑んだ。
「なに笑ってやがるんだよこの能無しがあっ!とっとと書類にサインしやがれ!」
怖いお兄さん達が脅しをかける。ヘイドレクはビクッ!と反応し、涙を流し始めた。

次に差し出されたのは保険申請書類だった。被保険者は無論ヘイドレク。保険金受け取り人
の欄には「朝比奈興行株式会社 代表取締役 朴 聖日」と記載されていた。在日ヤクザだった。

そして最後に彼がサインした書類は生体間腎移植での腎臓提供同意書だった。
彼はサインを拒んだ。しかし怖いお兄さん方に手を摑まれ、強引にサインさせられた。

サインさせられたヘイドレクは土木工事用資材置き場の中にあるプレハブ小屋に監禁
された。右手を手錠で鉄パイプと繋がれ、目の前には菓子パン2個と牛乳パックが置かれていた。

ヘイドレクは泣いた。自分は死ぬ、しかも在日ヤクザにいいようにされた挙句に無残に
殺されるのだ。

窓から差し込む月明かりがヘイドレクを照らした。そして泣き疲れたヘイドレクはいつしか
眠りに付いた。
610名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 17:59:17
目が覚めるとヘイドレクは一匹の巨大な毒虫になっていた。
固い甲羅の背中を下にして仰向けの状態。少し頭をもたげると弓形の節で分け目をいれられた丸い腹部が見えた。
その腹の丸く盛りあがったところに掛け蒲団がかろうじて引っ掛かっている。
いったい自分の身の上に何事が起こったのか、とヘイドレクは考えてみた。夢ではなかった。
611名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 19:58:07
「まあどっちにせよ、元から毒虫みたいな存在だったしな…」
ヘイドレクは溜め息をつき、何故か納得した。
全身ヌメるように黒光りする外骨格に覆われ、赤茶けてた腹が生ゴミを喰らうたびに
怪しげに蠕動運動を繰り返す。プレハブ倉庫内に転がる腐ったパンの欠片やドブネズミ
の腐乱死体をゴキブリたちと奪い合っている間に、なぜか本当の自分を発見したような
気がした。

と、突然激しい腹痛がヘイドレクを襲った。
「ぐわあー!痛い、痛いよ!」
ヘイドレクは苦しみのあまり転げまわる。内臓が全て反乱を起こしているようだ。
そして肛門の、毒針(ゴキブリ共に突き刺して殺し食うための武器)の脇辺りが突然
破水した。同時に腹の奥の方から何かがゆっくりと下ってきた。

ヘイドレクは壁にもたれかかった。そして薄れゆく意識の中、自分の腹の先から産卵管が
伸びるのを見た。そこからは不気味なオレンジ色をした卵が次から次へと吐き出された。
粘液に包まれたそれは壁材の表面に粘着してへばりついた。
612名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 20:58:34
なんて旨そうなんだ、とヘイドレクは思った。
前後のみさかいなく自らの産み落とした卵をムシャムシャと食べ始める。本数ばかりが多くなった足を器用に使い。
そしてすっかり完食してからヘイドレクは呟く。満足気に。「俺は、虫以下の存在だな」、と。
「作家志望のなれの果てがこれか」、と。
613名無し物書き@推敲中?:2007/03/02(金) 23:56:12
ほら始まった!
尺八とかウンコとかチンコの後は虫とか卵!
アンタ達わるいクセよそれ。
あたし!?ヘイドレクだけど。
確かに飯食ってねぇ言ったけど。いまだに飯は食えてねぇよ!
何日経った言ったけど、その後は日だけ過ぎて何もしてねぇ部分あるし。
これヘードフェンタズィにしたいのよね?
スカトロとかスプラッターじゃないわよね?
わかりやすく言えばハリーポッターよね?違うの?
ハリーポッター?
ハリーポター?
ハリポター???
シャポターン????
シャターン!??
サターン!!?
ヘイドレクは度肝ぬかれてしりもちついた。
614名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 01:17:38
するとどうであろう、いきなりヘイドレクの背中に無数のイボが浮き上がった。
「な、何だこれ!…中で何かがムズムズと蠢いてる!」
背中一面をびっしりと直径3〜4センチほどのイボが埋め尽くした。窓に映る自分の背中を
見たヘイドレクは、あまりの気持ち悪さに吐いた。
「ゲエッ!グエーッ!」
しかし尚も背中のイボは蠢く。中に何かいる!ヘイドレクは悟った。背中に大量発生したイボ
イボの中に黒っぽいものがいるのが肌から透けて見えた。

「パリッ…パリパリッ!」
ヘイドレクが気味悪さに呻いている最中、背中の皮膚が破れる音が響いた。
(まさか、まさかイボが潰れたのか?)
あわてて自分の背中を見下ろすヘイドレク。そしてヘイドレクが見た光景は凄惨なものだった。

…毒虫たちだった。毒虫は鋏状のアゴを器用に使いヘイドレクの背中のイボを中から食い破ろうと
している。黒い触角と、同じく黒い前脚が破れ目を押し広げ、巨大な複眼を持った黒光りする頭部
がそこから次々と飛び出した。破れたイボからは凄まじい腐敗臭のする紫色の粘液が滴り落ちた。

ヘイドレクは叫んだ。現実とは思えない光景を目にして恐怖で神経が吹き飛んでしまったのだ。
叫び続けるヘイドレクの背中では、イボから羽化した数十匹の真っ黒な毒虫が這い回っていた。
そしてイボの残骸をムシャムシャと食いながら羽を広げ、アゴをカチカチと鳴らした。
615名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 04:01:58
そこへ前に努めていた工場のDQNたちが部屋のドアを蹴破り乱入してきた。
「おい作家志望の先生、ひさしぶりに遊びにきて……なっ!」
立ちすくむDQNたち。
616名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 07:29:34
「背中から毒虫わいとりますやん!」
DQN達はヘイドレクの背中をボコボコに蹴りまくり、全てのイボをつぶした。
背中に毒虫?
背に毒虫??
背がドクムシ??
セガドクムシ???
セガサタムシ???
セガサタン???
セガサターン!!?サターン!!!!!?
ヘイドレクはぶったまげて、しりもちついちゃった。
しりもちついたら、しりにもイボあって、しりもちついでにつぶしちゃった。
ペチョって。いや、ペッチッかな?
ブチョッていったかな?
ヘイドレクは白目をむきながら、そんな事を考えていた。
617名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 18:53:59
立ち竦むDQNたちが見たものは…
毒虫の群れにあらかた食い荒らされたヘイドレクの残骸だった。
「うわっ!何だこれ!…スゲエ臭ぇ!」
部屋の中央には腐った肉塊が転がっており、それは既に人間の原形をとどめていなかった。
床一面には肉塊から流れ出た腐敗汁が広がり、散らばった肉の残骸には毒虫たちが産み付けた
幼虫の芋虫が蠢いている。そして毒虫たちは部屋中をブンブンと羽音を響かせながら飛び交い、
部屋に入ろうとするDQN達を激しく威嚇する。
「何だよこれ!ファンタジー作家気取りの成れの果てって、こんな悲惨なのかよっ!」
DQN達は驚愕して口々に叫んだ。自意識過剰の社会不適合者であり理屈馬鹿の無能者でしか
なかったヘイドレクは、今や毒虫たちの糧となったのだ。

毒虫たちは警戒し、さらに緊張が高まった。可愛いわが子である芋虫たちを守ろうとドアの
辺りで立ち竦むDQNたちに向けて威嚇し、カチカチとアゴを鳴らした。

「おい、マズイぜ。あのキモい昆虫共、俺たちのこと狙ってるみたいだぜ」
「ああ、とっとと出よう。どうせ作家馬鹿も死んじゃったみたいだし…クソッ!今夜の飲み代
ふんだくれると思ったのによ!」
DQNたちはゆっくりと後ずさりし、プレハブ小屋から出ようとした。

そのときであった。部屋の中から不気味な声がしたのは。
618名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 18:54:49
「…待てェ〜。貴様ら待てェ〜…」
DQNたちは始め空耳だと思った。毒虫たちの羽音が錯覚を起こしたのだと。
しかしもう一度、今度ははっきりと彼らの耳に届いた。
「…待てェ〜。貴様ら待てえっ!待ちやがれえっ!」
間違いない。間違いなく人間の声だった。でも一体何処から?

すると、部屋の中央にあった腐った肉塊がモゾモゾと蠢きだした。同時にへばりついていた
芋虫たちがポロポロと床に落ちる。部屋中を飛び交う毒虫の成虫も、空中で奇妙なダンスを
踊りだした…まるで何かを喜ぶような、そんな飛び方だった。

ゴクリとツバを飲み込むDQN達。何か危険が迫っている。それは本能的にわかっていた。
しかし動けなかった。逃げたいという気持ちと、馬鹿作家の哀れな末期がどんなことを引き
起こしているのかという興味が、彼らの心の中で拮抗しているのだ。

そうしている間も、腐った肉塊の表面から腐肉がボロボロと剥がれ落ちる。同時に腐汁が辺り
に飛び散った。床でモゾモゾと蠢いていた芋虫共は、飛び散った腐肉や腐汁に這い寄ると、成虫
同様発達したアゴでそれらを貪り食った。

そして肉塊の中から、巨大な繭が現れた。
その繭の中からうめき声が聞こえる。
DQN達は繭を見つめながら一歩も動かない。いや、動けない。
619名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 18:55:35
繭の表面の一部が裂け、底から鎌ような黒い物が現れた。それは繭の表面を引き裂いて
裂け目をさらに大きく広げた。さらにその裂け目からは痙攣するようにヒクヒクと動く
触覚が現れた。裂け目の中からニョキッと飛び出るとまるで周囲を探るようにクルリ
と回った。

「な、何なんだよ…コレ」
緊張に耐えられなくなったDQNの一人が遂に言葉を吐いた。しかし、誰も答えられる
者はいない。誰もが目の前で起こっている現実を受け入れることができないでいるのだ。

彼らの前で繭は大きく揺れ、それと同時に裂け目から何本もの脚が出てきた。艶やかな
漆黒の外骨格はヌラリと輝き、先端の鉤爪が繭をバリバリと引き裂いてゆく。
…遂に体全体が現れた。膨れ上がった巨大な腹部の先端には優に20センチはある鋭い
毒針が輝く。幾つもの体節が複雑に組み合った胸部からは硬く細長い脚が何本も生えて
いる。そして頭部は…巨大な主眼と複眼が100近くずらりと並び、やはり20センチ
以上はある巨大なアゴが鋏のようにかみ合って伸びていた。

「ひいいぃっ!」「うわああっ!」
DQN達は遂に叫んだ。そして後ずさりするとそのままドアに向かって駆けた。…逃げよう
逃げるのだ!彼らは必死にドアに縋りつき外に出ようとした。

その様子を見た巨大な毒虫ヘイドレクはニヤリと笑った。無論その笑顔を人間にはわからない
人間には巨大な複眼の色が赤紫色から青っぽく変化し、触覚がピンと跳ね上がっただけにしか
見えないだろうから。そして同時に触覚の先端から、人間には感じ取れない微弱な電波が毒虫
達に向けて発せられた。それを日本語に翻訳すれば”奴らを全員食い殺せ”となる。
毒虫達は狂喜乱舞(文字通り)して、DQNに向かって襲い掛かった。
620名無し物書き@推敲中?:2007/03/03(土) 19:45:12
まっ先に餌食となったのはDQNたちのリーダ山崎である。
毒虫の群れは羽音を響かせ脇目もふらず山崎に突進した。
山崎の頭上で黒いひと固まりの蚊柱状となる。
「ひっ」と、恐怖に顔を歪めそれを見上げる山崎。
毒虫の群れは物凄い勢いで山崎の頭部めがけ下降していった。
ゴッゴッゴッ。ゴッゴッゴッ。ゴッゴッゴッ。
狙いが正確だったせいか、山崎の頭部は両肩の間へほとんどめり込んでしまった。頭頂の骨が砕けたらしく、頭髪の間からは白い骨片の尖った先端がひとつ突き出した。
山崎はそのまま膝をつき前のめりに倒れ込むとわずかに体を痙攣させたきり動かなくなった。両肩の間には黒いふさふさした頭髪だけが盛りあがっている。頭頂から流れ出た血が床に真っ赤な海を作った。
悲鳴をあげる者は誰もいない。あまりのことに驚き、というより、これ以上あまりのことというのは他にちょっとないから全員が夢を見ているような非現実的な気持ちにとらわれていて、悲鳴という現実的な反応を示すには至らなかったのだ。
毒虫たちは顎の鋏を使い山崎の屍肉をピチャピチャと食らい始めた。
621名無し物書き@推敲中?:2007/03/04(日) 01:10:46
毒虫の大群は山崎の体をすっかり完食するとその鎌首をDQN達へと向けた。
そこでようやくハッと我にかえるDQNたち。
「うっ、うっ、うわああああああ!」
622名無し物書き@推敲中?:2007/03/04(日) 18:23:47
目の前には人間の残骸が転がっていた。
引き千切られた手や、肋骨が剥き出しになった胴体が無造作に散らばっていた。
はみ出した内臓には無数の芋虫がたかり、ぴちゃぴちゃと音を立てながらそれらを貪り食っていた。
狭いプレハブ小屋の中には数百匹ものドス黒い毒虫がブンブンと五月蝿い羽音を立てて飛び交って
いる。あるものは鋏状の顎に引き千切った肉の塊を咥えて、別のあるものは重なりあって交尾しながら
宙を舞っていた。
巨大な毒虫となったヘイドレクはDQNの残骸にゆっくりと這い寄った。空腹だったのだ。ヘイドレク
は前脚でDQNの脚を掴むと、腿の肉を鎌状の顎で引き千切った。それを器用に口吻に運ぶと美味しそう
にムシャムシャと食べた。特に大腿骨にこびり付いた肉が旨いな、と思った。

硬い骨を残して殆ど食べつくしたヘイドレクはいきなり立ち上がった。そして壁に向かうと、丸々と膨れ
上がった黒光りする腹部を持ち上げた。すると肛門から黄色い粘液が溢れ出した。尻を器用に動かしながら
壁にその粘液を塗りつけるヘイドレク。

彼は巣作りをしているのだ。

それに気付いた無数の毒虫の成虫たちは、好き勝手な行動を止め、ヘイドレクの元に集まった。そして自
分達の尻からも黄色い粘液を吐き出して壁に塗りつけ始めた。

数時間後、数多くの小部屋を持つ巨大な巣が完成した。成虫のメス達はその小部屋の一つ一つに卵を産み
落とした。
ヘイドレクはその模様を眺め、満足そうに微笑んだ。
623名無し物書き@推敲中?:2007/03/04(日) 22:46:30
そこへあの在日ヤクザたちが現れた。
「お〜い、にいちゃん仕事やで」
624名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 01:32:34
毒虫の群れは在日ヤクザにも襲いかかっていった。「ぎゃあっ!」
鉄のように固いその体をヤグザ者の顔面に次々とぶつけていく。ゴツッゴツッゴツッゴツッ。
側頭部と頬骨が壁に叩きつけられ、こなごなに砕け散った。頭部全体が、潰れた。
がん、という大きな音がして壁が揺れ、天井の蛍光灯がまたたいた。
潰された在日ヤクザの顔面が筋肉の粘着力によって壁にへばりつき、両の目玉を顎の下までだらりと垂らして室内を睨みつけている。
床には折れた白い歯がいくつも突き立ち、血と脳味噌が放射線状にとび散っていた。
在日ヤクザの首の切断面にはなぜかピンクの舌が直立しており、それは勃起した犬の陰茎を思わせる。
在日ヤクザは棒のように真っ直ぐ体を硬直させ、床に倒れ込んでいった。
625名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:28:28
「…はっ!」
ヘイドレクは目を覚ました。どうしたんだろう、体が動かない。
目を開けて、顔を上げた。
するとぼんやりだが目の前の光景が見えてきた。

数人の男がなにやら作業している。
そして突然、叫び声が響いた。
「うぎゃーっ!」

作業台の上に人間が寝かされていた。そして叫び声とともに両手足がバタバタと暴れた。
作業していた男達が、その暴れる手足を強引に押さえつけている。
一体なにが行われているのだろうか?

ふと、ジャラリと金属音がした。
何だろうと見てみると、自分の両手足が鎖で拘束されている。
(そういえば俺、ヤクザに捕らえられているんだったな…)
ヘイドレクは思い出した。
626名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:29:09
「あがっ!うがっ!…ぎゃーっ!」
ピピッと血が飛び散り、作業服姿の男達にかかった。
作業台の上の人間は凄まじい悲鳴を上げ、そして全身を痙攣させ暴れた。
しかし作業を続ける男達はその抵抗を抑えつつ淡々と仕事を続けているようだった。

そして数分後、遂に台の上の人間は動かなくなった…どうやら死んだらしい。

「…おっ、コイツ起きたみたいだぜ」
作業服姿の男の一人がヘイドレクの方を向いて言った。
すると他の作業服姿の連中もヘイドレクの方を向いた。そしてそのうちの一人がゆっくりと
ヘイドレクのほうに歩み寄る。そしてヘイドレクの目の前でしゃがみ、うな垂れるヘイドレク
の顔を覗きこんで言った。
「悪いなあ、あんちゃん。今度はあんちゃんの番だよ。…腎臓を頂くからな」

その言葉を聞いたヘイドレクは信じられないという表情をした。
そして数秒後に、部屋中がビリビリいうような凄まじい叫び声を上げた。

散々抵抗するも、遂に作業台の上に縛り付けられたヘイドレク。尚も暴れるも、ヤクザたちに
しこたまどつかれて意識が飛びそうになった。
「ジタバタすんなや、コラ」
ヘイドレクは泣き出した。しかし彼らはそんなヘイドレクをまるでモノを見るような目で見下
ろしているだけだった。手術用具が運び込まれるのが見える。メスやらクスコやらがズラリと
並ぶ金属製プレートや、摘出後の腎臓を保存するための生理食塩水パックとアイスボックスが
目に入った瞬間、恐怖のあまりヘイドレクは失禁した。
「あ〜あ。しょうがねえなあ…」
作業服の男の一人が嘲笑いながらヘイドレクの排泄物を処理し、ペニスと肛門をアルコールで
薫蒸消毒した。
アルコールをアナルに塗られたヘイドレクは、気化熱から来る爽快感に思わず喘いでしまった。
627名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:30:05
「あんちゃん、麻酔は無しやで。打ってやってもええんやが、一本100万円だしな。…今の
あんちゃんじゃあ払えんやろ?」
男の一人が言った。言い終わるや否や、ヘイドレクの弛んだ腹に青鉛筆で目印の線を引くと、手に
持ったメスで一気にヘイドレクの腹を引き裂いた。
「ギャーッ!」
今だかつて無い凄まじい激痛がヘイドレクを襲った。
大暴れするヘイドレク。しかし周りにいた他の作業員がヘイドレクの手足を押さえつけて抵抗を抑えた。
そうしている間にもメスを持った男はヘイドレクの腹をどんどん切り裂いてゆく。

全身から凄まじい量の脂汗が、ブワッと溢れ出した。ヘイドレクの精神は崩壊し、目玉が飛び出んばかり
に見開いた目は、白眼の毛細血管が方々で破裂したのか真っ赤に染まっている。食いしばった口は力み
すぎて歯を砕き、さらに頬の内側の肉を食いちぎった。口角から溢れ出る血が顎を伝い、台の上に滴り
落ちる。
ヘイドレクの全身はガクガクと痙攣を始めた。先ほど失禁したばかりなのに、再びまた失禁を始める。
それを作業員の一人が笑いながら始末する。
その間も腎臓摘出手術は進行していた。多分医師であろう彼らのリーダーはヘイドレクの腹を大きく
裂くと、溢れる血を大量のガーゼで拭った。さらに複雑に入り組む小腸を掻き分けて腎臓を発見すると、
状態の良い左側の腎臓を手で撫でた。止血カンシを手にした彼は、腎臓動脈と腎臓静脈、そして尿管を
それぞれ扼止して出血を防止し、メスを巧みに用いてヘイドレクの腎臓を丁寧に摘出した。

遂にヘイドレクは腎臓を一つ失った。しかし今のヘイドレクにはそれがわかっていなかった。
殆ど発狂したヘイドレクは緩みきった顔で笑いながら泣き、泣きながら笑った。
そして甲高い叫び声を上げ続けながら意識を失った。
628名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:30:06
床に倒れてアラびっくり!頭で立って見事な三点倒立!
三点倒立??
サンテントウリツ???
サンタントーリツ????
サタントーリン???
サタンコウリン????
サターン降臨!?!
ヘイドレクはドギモ抜かれてしりもちついた!
ペッタンコぉ、ペッタンコぉ、と見事な尻餅を!
629名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:33:17
なにこれ
630名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:48:19
「なにこれ…」
ヘイドレクは自分の腹に刻まれた醜い手術痕を見下ろして言った。
爽やかな朝日が差し込むタコ部屋で一人、ヘイドレクは抗生物質を水で飲み下した。

(たしか俺は、毒虫になってDQNやヤクザを食い殺したはず…あれは、ただの夢
だったのか?俺は毒虫になっていたはずなのに…何でこんなことに!)
ヘイドレクは泣いた。

突然、タコ部屋の鉄扉が開いた。そして在日ヤクザ・金聖日が入ってきた。
いかにも高級ヤクザといった感じに藤色のスーツを着こなして葉巻をくわえている。
そして凄まじい笑顔でヘイドレクに向かって言った。
「あんちゃん、腎臓もろうたで。高く売れてえがったな。…まあ、これで借金もチャラ
や。我々も鬼や無いんや…これでお前さんも晴れて自由の身やで!」
金聖日はそういうと、ヘイドレクの肩をバンッと叩いた。
キョトンとするヘイドレク。
(腎臓を売ったって…どういうこと?)
ヘイドレクは困惑した。そんなヘイドレクを組員たちは強引に立ち上がらせて
外に連れ出した。そして土木作業員がギュウギュウ詰めにされたライトバンに
乗せられるとそのままダム建設現場に連れてゆかれた。
631名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:49:37
ヘイドレクがついたその尻餅が売り出された。
そんなもの誰も買うわけがないだろうと在日ヤクザ達は思ったが、あにはからんや、飛ぶように売れた。
特に正月には重宝された。正月の売り上げだけで借金はすべて返済できた。
二年もする頃にはヘイドレク、世界の富豪と肩を並べるまでになった。
これで何も気にすることなく小説が書ける!――ヘイドレクの創作活動が始まった。
632名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 18:55:46
と、ダム建設現場で夢想するヘイドレクであった。
「うらーっ!モタモタせんととっとと働けやボケッ!」
薔薇ムチがビュンビュン振り下ろされ、ヘイドレクの肌を裂いた。
「ぐうわっ!」
ヘイドレクは喘いだ。
633名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 19:23:11
しかしその痛みがとっても気持ち良かったヘイドレク
634名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 19:25:50
「てめぇ、ファンタジー作家の俺様を鞭打ちやがったな!」ヘイドレクはぶち切れた。
手にしていたスコップを現場監督の頭めがけ振りおろした。
あまりに逆上していたためだろう、ヘイドレクの振りおろしたスコップは現場監督の頭の頂きを少しそれて右のこめかみの上にあたった。
ずるり、と、現場監督の黒髪が顔面の皮膚もろとも顔の片側に剥げ落ちた。
現場監督は化け物のように顔面の筋肉をむき出しにし、鼻孔を黒くおっ広げ、瞼をなくして眼球を突き出し、上下の歯茎と二列に並んだ白い歯を見せた。
その現場監督の上半身がぐらり、と右に傾き、彼ははじめて、ぎゃあああああ、という悲鳴をあげた。
ヘイドレクは少し焦り気味に第二撃を振りおろした。たま狙いがそれ、スコップは現場監督の左肩の骨を砕いた。
現場監督はぶっ倒れ、激痛に泣き叫びながらのたうちまわった。
635名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 19:56:54
>>625-627
残虐描写以前に、こういう事を平然と思いついて書き込める人間の神経が理解できない
636名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 21:36:33
ほんとほんと、
ひどい描写。
学校でイジメられてるのかな。
お母さんやお父さんとうまくやれてないのかな。
さみしいね。
かなしいよ。
637名無し物書き@推敲中?:2007/03/05(月) 22:01:01
ヘイドレクは、反省した。
「俺は、なんて酷いことをしてしまったんだああああああ!」

翌日、街では木製の巨大な十字架を背負い布教活動に取り組むヘイドレクの姿が目撃された。
638名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 05:17:52
それから一年後、
639名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 05:26:45
ヘイドレクは物流サービスセンターの倉庫で貨物の仕分け業務に従事していた。
日払い日当は7500円。
既に区役所には国民年金及び健康保険の納付控除申請を済ませており、
風邪を引いても医者にもかかれず、将来の年金受給額の減額も覚悟の上だった。

「労働するっていうのは、とっても素晴らしいことなんだな!」
ヘイドレクは額を流れる汗を拭いながら微笑んだ。
640名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 05:54:21
>>635
なんの事かと思って読んだけど、確かにこういうアイデア思いつくのはまともではないな。
体から毒虫が産まれてくるだとか、全部同じ人間が思いついたアイデアだとしたら逆に凄い。
悪い意味でw
641名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 07:18:56
チラ裏の感想文なんかどうでもいいんだよ
続き書け
642名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 17:19:04
しかしチラ裏の広告に目を奪われるヘイドレク。
そこに書かれていた内容を見て、ヘイドレクは唸った。

”正社員募集 工場内作業:生鮮食品を扱うお仕事です 
 月給:18万〜24万 社保完 社員寮入寮可 応相談”

街角で立ち竦むヘイドレク。チラシを握る手は震え、目からは熱い涙がこぼれた。
「こ、これで俺も、ワーキングプア生活から抜け出すことができる!」
ヘイドレクは泣いた。正社員という響きの美しさに感動しながら泣いた。

気付くとその言葉を口にしていた。
「…正社員 正社員 正社員 正社員っ!」
道行く人はそんな彼を奇異な目で眺める。
しかしヘイドレクは気付かない。
人生最後のチャンスを掴んだ、そう思ったのだ。
643名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 19:02:50
とその時、通りの向こうがわで叫び声。
人だかりができている。
ヘイドレクはそこへ行ってみた。
644名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 21:21:09
人ごみに行くのに3年の月日が流れた。
その頃もう人ごみもなくなり、街も変わってしまっていた。
そう、ドラゴンとかエラゴンとかよくわかんねぇのが空を飛び、外には魔物(マェンスタァ)がウヨウヨいるようなヘードフェンタズィーの世界にッ!みんなの好きなエルフもいるよ!
因みにヘイドレク
Lv26
HP118
Mp83
今更ながら旅の仲間を探そうと思うけど?いる?いんね?いんねぇよ今更。なんか面倒臭い、人付き合いが。
とりあえずヘイドレク、やることないから、尻餅ついた。ペッタンコォ〜ってね。ズボン何かはいてないから、チンコの方もペチャ〜ンだね地面に。
645名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 22:03:07
人だかりの中に分け入るヘイドレク。
そこには無残な姿を晒した死体があった。車に轢かれたのだ。
ボロ雑巾のように引き千切れた肉体は車に引っ掛かったまま引きずられ、アスファルトの上に
血肉を撒き散らしていた。
はみ出た内臓は無造作に散らばり、おそらく腸に詰まった糞便であろう、凄い匂いが辺りに漂って
いた。
ざわつく野次馬。ヘイドレクもその凄惨な現場の光景にショックを受け、立ち竦んでしまった。

「可哀相にねえ」「何でも、ふらふらと車道に飛び出したみたいだよ…」
野次馬達が次々喋る。遠くからパトカーと救急車のサイレンが響いてきた。

(こんな無残な死に方もあるんだな…いや、まだ被害者は生きているのかな?)
血まみれで倒れる被害者の顔はアスファルトで削れて頬骨が剥き出しになっていた。

やがて救急隊員がやってきた。警官達が群集を押しのけて道を空ける。
ヘイドレクも少し横にどきながら被害者の方をずっと見続けた。

気になったのだ。なぜかあの被害者を見たことがあるような…

救急隊員達がストレッチャーを取り出し、被害者を乗せようとした。
そのとき被害者の容貌がはっきりとヘイドレクに見て取れた。

そしてヘイドレクはその場で叫んだ。…信じられなかった。

その被害者は、ヘイドレク本人だったからだ。
646名無し物書き@推敲中?:2007/03/06(火) 23:05:47
>>645
へぇ〜本人だったんだ。
じゃあさ、見てたのだれ?
ヘイドレクじゃないの?ひかれたのが本人でしょ?
おかしくね?
つうか、みんな物語はリレーしてねぇのに、ヘイドレクってのは素直に引き継ぐのな。
不思議ぃ〜。サマンサはそう思った。
647名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 00:07:49
「はっ。もしかしてこれは、ドッペルゲンガー!?」
ヘイドレクは自分そっくりの死体を見て、そう思った。
648名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 00:59:16
そしてふと気付くと手術台の上にヘイドレクは寝かされていた。
そして何故か…それをヘイドレク自身が見下ろしている。
(どうして…どうして俺がここに寝かされているんだ!)
そんなヘイドレクの思いなど誰も気付くことなく、救急医療チームがヘイドレクに緊急手術を施していた。
大量の血が点滴輸血され、素早く正確な外科的処置が手際よく進められる。
血圧も心拍数も今にも消えてしまいそうであったが、なんとか持ちこたえているようだ…。

「ガイシャの名は…ヘイドレク?変な名前だな。職業は自称作家…まあ無職みたいです。それと住所不定です。
本日午後二時ごろ区役所通りと竹橋通りの交差点付近で信号を無視して飛び出して軽自動車に轢かれたようです」
手術室の前の廊下で警官の一人が言った。
「…目撃者の話だと、なんだかブツブツ呟いて、へらへら笑いながら車道にヒョコヒョコ飛び出していったみたい
ですね…血中アルコールは検出されず。なお、腎臓が一つ摘出されているみたいですが…」
すると刑事が答えた。
「腎臓摘出かあ…多分、作家で食えなくて貧乏をこじらして売っ払ったんだなあ。まあ、事件性は無いみたいだから
ねえ、春先だしこれからこういう変なのも出てくるんだろ。」
「そうですねえ。でも、ある意味自爆事故ですから保険適用なしですし…もしかしたらこのまま死んじゃう方がいい
んじゃないですかねえ…」
警官はそういうと、刑事がたしなめるように
「おいおい、そういう言い方しちゃ駄目だぞ!…ガイシャが目ェ覚ますの待って事情聴取して、今週末までに報告
せえよ…」
「はい、わかりました。」
そういいながら警官たちは出口へと向かった。
649名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 01:00:02
警官達の声を聞きながらヘイドレクは呆然とした。
(俺はここにいる…俺はここにいるのに、どういうことだ!俺はまだ死んでないよ!誰かっ、俺に気付いてくれっ!)
そのときヘイドレクは気付いた。手術室の前の廊下にあった鏡…そこには自分の本当の姿が映っていた。

初めはヘイドレクは躊躇した。そこに映っている自分の姿が信じられなかったからだ。
しかし、勇気を絞ってヘイドレクは鏡を見た。ゆっくりと振り返り、そしてそこに映る自分の姿を自分の目で確認した。

「うわああーっ!」
ヘイドレクは叫んだ。鏡に映ったヘイドレクは、血まみれだった。先ほどの道路で轢かれたときそのままに、肉は削れ
骨は砕け、そして全身キズだらけで赤黒い血が薄汚れた肌を伝い床にまで流れていた。破れた内臓からは腸がはみ出て
方々から内容物が噴出していた。

そう、ヘイドレクは事故に遭ったのだ。そして、彼は今、幽体離脱をしていたのだ。
(俺は…俺はこのまま死ぬのか!…イヤだあっ、まだ死にたくないよう!)

ヘイドレクは泣いた。手術室の前の廊下で泣き崩れた。

しかしその声は誰にも届かなかった。

彼は無事、生き返ることが出来るのか?!
そして生き返ったとしても、彼は幸せになれるのか!

乞うご期待(って誰に?)
650名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 03:24:34
ヘイドレクは、死んだ。実にあっけなく虫けらのように死んだ。
医者は爆笑した。「わははははっ。手術、ミスっちゃったよ!」
「わははははっ。こいつ、死んじゃいましたね!」麻酔医もつられて大爆笑した。
「わははははっ」
「わははははっ」
「わははははっ」
手術室の皆が腹を抱えて目に涙を浮かべ、壁や床を乱打した。
誰ひとりとして、罪悪感のカケラもなかった。
651名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 04:53:58
「いんじゃねえ?どうせコイツ、ファンタジー作家志望だっていうしw」
「ファンタジー作家ぁ?…人間のくずだなコイツ。まあ死んでよかったんじゃん」
「そうですよね。どうせ無職の無一文みたいですし。おまわりさんも身元不明だって言ってましたよ」
医師や看護婦たちはヘイドレクの死体を見下ろし、笑いながら言う。
その光景を見ながらヘイドレク(の幽霊)は涙した。悲しみではない。激しい怒り、そして憎悪。
歯を食いしばりながらヘイドレクは彼らを睨みつけ、そして復讐を誓った。
(呪ってやる...貴様ら全員呪い殺してやるっ!)
ヘイドレクは叫んだ。無論、医師や看護婦達にその声は届かない。

「で、どうするこの死体?医療ミスとかで面倒背負うのヤダな、俺」
「そうだなあ...邪魔だから犬にでも食わせますか?」
看護婦はヘイドレクの死体を、まるで糞の塊であるかのように顔を顰めながら言った。
「いや、犬も食わんよこんな汚らしい死体…背中なんかイボイボだぜ!豚にでも食わせるか」
手術室の中の全員が笑った…正確にはヘイドレクを除いて。
(殺してやる!…こいつ等全員ブチ殺してやるっ!憶えてやがれよ!)

ヘイドレクの死体はそのまま廃棄物処理用の運送コンテナに放り込まれた。
そこには酪農農園に飼料として運ばれる食堂からの生ゴミが詰まっていた。
そしてヘイドレクの死体はその中に無残に転がされそのまま数日間放置された。
無数のゴキブリが彼の肉の柔らかい部分から順に貪り食っていった。目や耳たぶ、唇や陰茎などは早くに
無くなり、裂けた腹からはみ出した内臓もあらかた食い尽くされた。腐りかけた肉はコンテナ内に凄まじい
腐敗臭を充満させる。既に肉体は紫色に変色し、もはや人間の原形を留めていなかった。
652名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 04:55:55
酪農農場に運ばれたコンテナは、養豚厩舎の餌箱に中身を全て吐き出した。飼料貯蔵タンクの内部には
ミキサーカッターが仕込まれており、それで生ゴミやらを細かく砕き、裁断してゆく。
半ば腐ったヘイドレクの肉体も、その中で他の生ゴミと共に粉砕され混ぜ合わされた。
先端のバルブからミックス飼料として搾り出されたヘイドレクの死体はそのまま下のベルトコンベアで運
ばれ、豚たちの待つ厩舎へと運ばれる。
腹を空かせた豚たちは、ヘイドレクの腐肉が混じった混合飼料を旨そうに平らげた。

そして数時間後、かつてヘイドレクだったものは、豚の肛門から豚の糞としてひねり出された。

(俺の体があっ!…俺の体が豚のクソになってしまった!ああっ!)
ヘイドレク(の幽霊 以下略)は、無数の蝿がたかる豚のクソの山を前にして立ち竦んだ。

「ブヒイッ!ブヒヒイッ!」
ヘイドレクに気付いたのか、豚たちは嘲るような鳴き声を発し、再び大量の糞をひり出した。

(奴らを全員呪い殺してやる!…いや、世の中の人間を全て呪い殺してやるんだ!)
ヘイドレクは誓った。

豚小屋の中で…
653名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 17:03:28
それから暫くして、病院内で幽霊が出るとの噂が立つようになった。
654名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 19:56:40
それは、ヘイドレクだった。
病院内の誰ひとりとして、怖がっていなかった。
655名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 20:31:47
ヘイドレクの亡霊が出てもうんこ臭いだけで、病院側としては正直迷惑だった。
656名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 20:52:30
うんこ臭いならトイレに籠もれば迷惑にならないだろう。
彼の気配りは新たな都市伝説を生む。

トイレのうんこさん───ヘイドレク。
657名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 21:26:22
の、筈であるがヘイドレクは復讐のために現世へ現れたのだ。
ウンコ臭を振り撒きながら病院内を走り回った。
658名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 23:05:01
全裸だった
659 ◆DyOKJeeChw :2007/03/07(水) 23:06:21
アバドンは「セルティックなんだよね」と三回言った。
660名無し物書き@推敲中?:2007/03/07(水) 23:38:48
あともう少し!
あからさまにクオリティーがおちてキテルゾ!
前半部分書いてた奴ら戻ってこい!
途中で台無しにされたからって「なにこれ」とかいってスネるな!
書け!
661名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 01:56:19
そうだ。ウンコ臭を撒き散らすだけじゃ、クオリティが低い。
「俺は、なにをするべきだろう」ヘイドレクは、考え込んだ。
662名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 05:21:43
しかしそのまま寝込んでしまったヘイドレク。
ふと起きてみると、自分が便器そのものになっていた。
「な、なんだよコレ…どうして俺が便器になっているんだよ!」
ヘイドレクは焦った。しかし身体は動かない。浄水槽と配水管で壁と床につながれた
陶器製の肉体は、蛍光灯の明かりの下で鈍く光った。

「ガチャ…」
突然、トイレの扉が開く音がした。
(誰か来る!)
ヘイドレクはとっさに身構えた。しかし身体は動かない。焦るヘイドレクをよそに、コツコツコツ
と足音が近づいてくる。そして、ヘイドレクがいる個室の扉が開いた…そこには体重100kgは
あろうかという脂性のデブが仁王立ちしていた。
(ま、まさかっ!)
そう、そのまさかである。その脂デブは糞を垂れに来たのだ。
(やめろっ!やめてくれぇっ!)
ヘイドレクは叫んだ。無論その声は誰にも届かない。ヘイドレクの恐怖をよそに目の前の脂デブは
スラックスのベルトを外しシミだらけのブリーフとともに引きずり降ろした。

ヘイドレクの目の前には恥垢だらけの包茎チンコがぶら下がっていた。
663名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 05:22:36
「ふう〜、ヤバイぜ。漏れそうだ」
どう見ても死にかけた豚にしか見えない脂デブはそう呟いた。そしてぼりぼりと尻を掻きながら
後ろを向く。
今度はヘイドレクの目の前に、方々にケツ毛の生えたイボだらけの汚いケツが突き出された。

そしてその汚いケツは、ヘイドレクの大きく開かれた口にドッカリと乗っかってきた。
(むぐう〜っ!んむむ〜っ!)
ヘイドレクは声にならない叫びを発した。しかしその瞬間
「ブビーッ!」
と屁がヘイドレクの口の中に充満した。あまりの臭気に失神しかけるヘイドレク。何故自分が
このような過酷な仕打ちを受けなければならないのか、そうヘイドレクは思った。

そしていよいよ真の恐怖がやってきた。
イボだらけの浅黒い肛門が大きく開かれると、そこから巨大な一本糞が先端を覗かせた。メリメリ
とイヤな音を立てて、それは肛門から搾り出されてゆく。
ヘイドレクはもがいた。そして神に祈った。しかし運命は無情にもヘイドレクの想像した最悪の事態
へと突き進んで行った…。

「ふう〜。たっぷり出たなあ。昨日ギョーザ食ったから糞も相当クセエな!」
脂デブはそう言って、大きく溜め息をついた。そして巨大な糞をくわえ込んだまま半狂乱になっている
ヘイドレクの口にアンモニア臭たっぷりの尿をジョロジョロと垂れ流した。そしてトイレットペーパー
で肛門を拭い、それを再びヘイドレクの口に放り込むと、便器(ヘイドレクの口)の蓋を閉じて、中身を
全てヘイドレクの胃へと流し込んだ。

ヘイドレクの叫びはトイレの中に響き渡った。しかしその声を聞いたものは誰もいなかった。

神はヘイドレクを見捨てたのか?!
664名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 17:22:46
そう、神ほとうの昔にヘイドレクを見捨て、アフロディーテのフェラをこころゆくまで楽しんでいた
のであった。

一方毎日ウンコを食べ続けたヘイドレクは、自分の人生について深く考えた。
かつて、工場のDQN達の肉便器だった自分が、今ここで本物の便器になって様々な人間の排泄物を
美味しく頂いている。

「セ・ラ・ヴィ」
ヘイドレクは呟いた。しかしその声は中年男の下痢便に掻き消された。
665名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 18:47:24
とその時、マグニチュード17の直下型地震が都市を襲った。
排水官がぶち切れ、床は割けた。ヘイドレクは、解き放たれた。
(自由だ!ふたたび自由を、手に入れた!)西に向かって駆け出すヘイドレク。
陶器製の便座部(ヘイドレクの顔にあたる部分)が、少し笑っているようにも見えた。
666名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 20:39:43
そう、それが便器マン・ヘイドレクの誕生であった。
667名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 21:10:09
「ボクはうんこを食べるんだよーっ!」
ヘイドレクは叫んだ。夕陽に向かって...
668名無し物書き@推敲中?:2007/03/08(木) 21:26:56
その夕日の向こうから、ひとりの少女がやってきた。
少女は、ヤリマンだった。つまりは肉便器。
便器と便器は恋に落ちた。
669名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 01:18:10
肉便器の名前はシャーラ(※参考>>204)と言った。
彼女は電波系肉便器で醜男に身体を投げ出す自虐タイプのヤク中娼婦だった。
彼女は疲れたのだ、数百もの男のチンコをくわえ込み、20歳にしてすでに30半ばにしか見えない
ほどに衰えていた…セックスのやり過ぎによる腎虚が進んでいたのだ。
ボロボロになった彼女はヘイドレクに我が身を投げ出した…自暴自棄になって。

しかしヘイドレクにはちんちんが無かった。そのため二人のプレイは食糞モノに限られた。

…なにがともあれ彼にとっては束の間の幸せな時期だったのだ。

…しかし幸せは長く続かない。シャーラはヘイドレクの目の前で男の客を取り、ヘイドレクの見てい
る前で男とセックスを始めた。嫉妬で狂うヘイドレクの前で、シャーラは甘い喘ぎを漏らした。

「…おらあっ!ちゃんと舌を使えよ肉便器がっ!」
男はシャーラを罵り、頭を平手で叩いた。肉便器シャーラは勃起したちんこを口に咥えながら唸る。
口角から唾液を垂れ流しながら男のチンコをバキュームした。
「…おっ、おおうっ。ちゃんとやれば出来るじゃないか、メス豚肉便器が」
男は肉便器シャーラに向けて鋭く腰を突き出した。シャーラの細身の肉体はその衝撃で軋む。
「…んむんっ!んはあっ!」
シャーラは耐えられずにチンコを吐き出した。喉奥まで亀頭が深く侵入し、呼吸が困難だったのだ。
そしてうな垂れると、激しく息をして喘いだ。

「…おい肉便器、ナメてんじゃねえぞ。コレで終わりだと思ってんのか、あ?」
男はシャーラの髪を掴むと強引に四つん這いにさせ、尻を突き出させた。半泣きでそれに従うシャーラ。
丸みを帯びたシャーラの尻に、男の浅黒いチンコがこすり付けられる。柔らかな尻の肉に節くれだった
亀頭が沈むと、たまらずシャーラは喘いだ。
「ああっ!…焦らさないでっ。お願い早くっ!」
そう苦悶するシャーラを、男は嘲るように見下ろす。シャーラは耐え切れず地面に顔を突っ伏して呻いた。
670名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 01:18:58
(そ、そんな…シャーラ、嘘だと言ってくれよシャーラッ!)
ヘイドレクは泣いた。目の前で愛しい女が男に身体を開いて喘いでいる。その現実が信じられなかった。

「おらあっ!もっと脚を開けや肉便器っ!」
男はシャーラに怒鳴りつける。シャーラは泣きながら両脚を大きく広げた。
滑らかな下腹部から恥丘にかけて濃い陰毛が繁る。そこから大きく割れた陰裂は充血して赤紫色の大陰唇
が濡れそぼっていた。包皮の中から僅かに覗くクリトリスの辺りは既にぐっしょりと湿り湯気を立てている。
色素が沈着したヴァギナは数多くの男を向かい入れた証であろう。その縁の辺りは数多くの男に苛められ
いびつな形に崩れていた。

「は、早くお願いよっ!…どんなプレイもOKだからっ!」
シャーラは男に向かって叫んだ。
男はゆっくりとしゃがむと、シャーラの開かれた股間に顔を近づけて陰部をしげしげと眺めた。男の視線を
感じたシャーラは益々濡れ、熱い愛液が膣管の奥からあふれ出す。

「…ほう、お前相当のスキモノだなあ肉便器」
男はニヤニヤしながら言った。その声に恥じ入ったシャーラは身を捩じらせた。擦れあった陰裂の肉唇から
滴った愛液が腿を伝い、地面にシミをつくる。
671名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 01:19:48
男はシャーラの両脚を持ち上げると、自分のチンコをシャーラの秘所に当てた。そしてそのまま
陰裂にそって亀頭を這わせた。僅かに先端を陰裂に埋め、その溝を浚うようにゆっくりとスライド
させる。
「ああっ!…そんな焦らさないでぇっ!」
シャーラは苦しげに叫んだ。そして腰を捩り、男を誘おうと男の肩に縋りついた。
男はシャーラのその反応を充分堪能し、笑った。そしてシャーラの腰を抱えると、一気にシャーラの
ヴァギナを貫いた。

「あひいっ!ああっ!…す、凄い、壊れちゃうーっ!」
「…むうっ、な、中々いい締りしてんじゃん…グイグイ奥の方で…締め付けやがるぜっ!」
男は腰を大きくグラインドさせ、さらに奥へと突き進んだ。そのたびにシャーラは大きな声で叫ぶ。
「スゴいっ!ああっ!凄いわあっ!もっとーっ!」
シャーラは全身を痙攣させて昇天した。同時に子宮の奥から熱い愛液を溢れさせ、男のチンコを包み
込む。流れ出た愛液はさらに結合部に纏わりつき、男が腰をグラインドさせるたびにクチュクチュと
いやらしい音を立てる。

「おおっ…スゲエよっ。おおっ、イキそうだよっ!…うっ、うぐうっ…ぐううっぁ!」
男は唸った。と、同時に腰を激しく痙攣させてシャーラの子宮の中に大量のザーメンをぶち撒けた。

…セックスはその後、2回戦に突入した。目の前で二人の痴態を涙ながらに眺めるヘイドレク。
(俺の恋は終わった…)
見知らぬ男によって犯されて喜ぶシャーラの歓喜の表情をみてヘイドレクは悟った。

セックスを終えた二人は互いに見つめあい、微笑んだ。肩を寄せ合った二人は少しはしゃぎながら
服をまとうと、腕を組んで歩み去った。

肩を寄せ合い歩き去る二人を見つめ、ヘイドレクは泣いた。日が暮れるまで泣きじゃくった。
672名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 02:16:51
そう、ヘイドレクは涙を流していたのだ!比喩的な表現などではなく、本物の涙を!
愛する人を失う悲しみ。――その人間らしい心が、ヘイドレクにかかっていた呪いを解いたに違いない!
ヘイドレクは頬を伝う涙を掌で拭い、立ち上がり、歩き出した。
行く先はもちろん、
673名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 02:26:18
ソープだった。
674名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 02:45:48
ボッタクられた
675名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 19:37:00
無一文になった
676名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 21:41:55
人生終わった
677カボチャ頭を叩いてみれば:2007/03/09(金) 21:49:20
終わった筈だが、そこはそれ、小説なのでゾンビの如く復活した。
名前もヘイドレクからうんこ為の介に変名した。
うんこ為の介となったヘイドレクは、復活したばかりだが取りあえず出すものを出そうと
トイレに行って大をした。

ブブブブブブブブブリィー!
678名無し物書き@推敲中?:2007/03/09(金) 23:42:07
出すものをだしたら、とうぜん腹が減る。
ヘイドレクは定食屋に入った。
679名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:11:37
定食屋の扉を開けると…そこは地獄絵図だった。
「…いらっしゃい、なんにしますか?」
陰気な店員がヘイドレクに声を掛けた…彼の手には巨大な肉切包丁が握られている。その鋭い切っ先からは
鮮血が滴り落ち、床を真っ赤に染めていた。

「…ぎゃあーっ!」
店の奥からは人間のものとは思えない絶叫が発せられた。それと同時にドガッドガッと重いものを叩きつける
音が響く。怒鳴りつける声、悲鳴、それらが交互にヘイドレクの耳を貫いた。

「…一体、何が行われているの」
ヘイドレクは怯えながら店員に尋ねる。店員は一度ヘイドレクを睨みつけた。が、すぐに嘘くさい笑顔を作り
答えた。
「お騒がせして申し訳ございませんニダ…あっ、申し訳ございませんねえ。今、材料の仕込みを行ってスミダ
…あっ、行っておりますので」
そういいながらヘイドレクを奥のテーブルへと誘う。
ヘイドレクは躊躇した。床には何のものとも区別のつかない血や肉片、それに臓物が散らばっている。それらの
間を這うように丸々と太ったゴキブリが蠢き、大量の蝿がブンブン唸りを上げて飛び交う。
「…足元にご注意くださいニダ…あっ、ご注意くださいね。散らかっててすいませんスミダ」
店員は丁寧な口調で言った。しかしその言葉の裏にはヘイドレクを脅迫するような強い意志が感じられた。

(絶対にヤバイ、ここはまともじゃないよ…どうしよう、逃げようか?)
ヘイドレクは思った。このままではマズイ、先ほどの声だった間違いなく人間のものだった。
ヘイドレクは恐る恐る入り口の方を振り返った。
するとそこには、いつの間にか数人の店員が立ちはだかり、ヘイドレクの方を見ながらニヤニヤと笑っていた。
680名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:12:14
「…お客様、どうなさいましたニダ?」
ヘイドレクを案内していた店員が声を掛けた。ハッとして向き直るヘイドレク。すると店員は手にした
肉切包丁を掲げてヘイドレクの目の前でギラ突かせた。研ぎ澄まされた刃には鮮やかな赤い血が伝い、
ヘイドレクの目の前でゆっくりと刀身を流れた。

「…どうぞ、こちらの席へ」
店員は椅子の一つを引いてヘイドレクに座るように促す。
ヘイドレクは真っ青な顔で店員の言うとおりにその席に座った。そして顔を上げると、入り口前に立ちはだかる
他の店員達と目が合った。
彼らは一様に目をキラキラと輝かせ、ヘイドレクを睨みつけながら嘲笑していた。

(殺される!)
ヘイドレクはとっさに思った。まるで猛獣の群れの中に放り込まれた子羊のような、そんな気分だった。
テーブルの上にも細かな肉片が散らばり、気味が悪いほど腹が膨れたチャバネゴキブリがモサモサと這い
回っている。

「バンッ!」
突然、何者かの手がそのゴキブリを叩き潰した。とっさのことに驚き、思わず身体がビクつくヘイドレク。
すると店員がしゃがみこみ、ヘイドレクの顔を覗きこんだ。
「…なんにします?」
そういうと凄まじい笑顔で笑った。大きく開かれた口には黄色く尖った歯がズラリと並び、キムチ臭い息
に混じって吐き気を催すような腐敗臭がヘイドレクの顔にかかった。
681名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:12:53
「…あ、あの、A定食をお願いします…」
「A定食ですね!」
店員は大声で答えた。そして厨房に向かってヘイドレクには理解不能のハングルで大声で怒鳴りつけた。
すると厨房から猛獣の遠吠えのような声が響き、それと同時に入り口に立ちはだかる店員たちが
「ウリナラマンセー!」
と声を揃えて叫ぶ。
ヘイドレクは生きた心地がしなかった。

…悪夢のような数分間、ヘイドレクはテーブルの上を這い回るゴキブリを眺めて過ごした。時折ヘイド
レクの頬に蝿が止まる。それを払おうとせずに黙って椅子の上で佇んでいた。そんなヘイドレクの様子
を見ながら入り口を塞ぐ店員たちはニヤニヤと笑い声を上げてはしゃいでいた。

「…お待たせしましたスミダ。A定食でスミダ」
そういうと店員はトレーをヘイドレクの目の前にドカリと置いた。
そしてその料理を見た瞬間、ヘイドレクは意識を失った。

トレーに並ぶ皿には、火で炙られた人間の生首と手足が、煮込まれた臓物と共に盛り付けられていた。
682名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:13:36
…意識を取り戻したヘイドレクは、大きな台の上に寝かされていた。
「…ここは、ここはどこ?」
ヘイドレクはボーッとする頭を軽く振りながら思った。
天井には裸電球がゆっくりと揺れている。その周りを丸々と太った銀バエが飛び交っていた。
(…の、喉が渇いた。水)
ヘイドレクは起き上がろうとした。が、
(?!)
起き上がろうとしても起き上がれない。
なんと両手両脚がテーブルの四隅に鎖で括りつけられていた。

「ようやく起きたニダね…」
背後から声を掛けられた。ヘイドレクはギクッとしてそちらに顔を向ける。
…そこには先ほどの店員達がズラリとならび、ヘイドレクのことを見下ろしていた。みな一様
にニヤニヤと笑っている。
「…こ、コレは一体、どういうことなんです?」
ヘイドレクはオズオズと尋ねた。すると彼らは突然ゲラゲラと笑い出した。
(な、なんなんだよお…)
ヘイドレクは何のことか理解できず、ただ黙って彼らのことを見るしかなかった。

「チョッパリ、お前はこれからウリたちの晩飯になるニダ…美味しく召し上がってやるニダから
感謝して調理されるニダよ!」
店員の一人がそういうと、一同がドッと笑い出した…あるものはテーブルをバンバン平手で叩き
別のあるものは脚で床をドンドンと踏み鳴らしながら。数匹のゴキブリが彼らの足で踏み殺された。

ヘイドレクは唖然とした。今聞いたことが信じられないかった。

「…ジャリッ、ジャリッ」
厨房の奥のほうから物音が近づいてくる。すると店員達は騒ぎをやめて立ち上がり
「ウリナラマンセー!」
と声を揃えて叫んだ。その声に応えるように、厨房の奥からなにかの唸り声が響いた。
683名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:14:37
厨房と部屋を隔てる暖簾が捲くれた。するとそこには青黒い腕が現れた。その手には尖った歯が
ズラリと並ぶ巨大なのこぎりが握られていた。

「ひいっ!」
ヘイドレクは短い悲鳴を上げた。
そして遂に料理人が現れた。

身長2メートル以上ある半人半獣のバケモノだった。
「…アニョハセオー…」
バケモノはヘイドレクの方を睨むと、地獄の底から響き渡るような低い声でそう挨拶した。

…30分後、ヘイドレクの肉体は完全に解体された。内蔵は綺麗に抜き取られて壁のフック
に吊るされた…あとでソーセージを作るのだ。両手両脚はそれぞれ胴体から切り離され、さ
らに肘と膝で切り分けられた。特に腿の肉はバケモノの好物であり、丁寧に処理されたあと
大なべで塩茹でにされた。胴体から切り離された頭は、頭蓋骨に円状に穴を開けられ、露わに
なった脳髄にシオとコショウが振られた…生のままマッコリの付け合せにされるのだ。

そして数時間後、バケモノたちはヘイドレクを綺麗に平らげた。
残った骨は大鍋で煮込まれ、スープの材料になった。

『ハードファンタジー・ヘイドレク』第一部・完
684名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:33:28
そして『ハードファンタジー・ヘイドレク』第二部スタート

さて、残り300レス強いでどこまでやれるか
685名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 01:39:23
【ローカルルール】

1、カキコは創作文のみ、感想は不要
2、950〜960レスを踏んだものが次スレを立てること。
   ただしその前にDAT落ちしそうな場合はそれ以前に立てること。
   そしてURLを貼り次スレに誘導すること
3、次スレのタイトルは適当でよいが、”ヘイドレク”の名は継承すること
4、可能な限りリレーをすること。後は適当でよい。想像と妄想イッパイの
   荒唐無稽なストーリーをカキコすんべ。

では、どうぞ
686名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:04:18
>>685
オイ、君は初期メンバーか?そうだよな?
主旨変えるなよ!
荒唐無稽じゃねぇだろ!
ヘードフェンタズィー方向だろ!
駄目だよ初期メンバーが妥協しちゃ!
諦めるな!
と、エルフとドワーフとかドラゴンがいいました。
ヘイドレクは騎士です。棋士じゃありませんし、倉庫で働いたり、派遣社員で悩んだりしません。
悩みがあるとすれば、街の外にいるマンスタァ〜とどう戦うかぐらいです。
ウンチとか尺八とかクチにしません。そんなもの、お口に合いませんし、食うとすれば薬草くらいです。
687名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:34:49
ヘイドレクは、森の中にいた。
688名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:37:31
ハードファンタジー・ヘイドレク 第二部

『ヘイドレク 新宿中央公園で青テント生活編』

ヘイドレクは目覚めた。
今日もアルミ缶の収集作業に出かけねばオマンマ食い上げだ。
周りの仲間達がまだ寝静まっている午前2時、へイドレクはボロボロの毛布を肌蹴てムクリと
起き上がった。
「うーん」
大きく深呼吸し、両手を伸ばして身体をほぐすヘイドレク。
傍らに置いてあったペットボトルの残りをグイッと飲み干して青テントから這い出る。
まだ肌寒い早春の風が吹き抜ける。ヘイドレクは思わずブルッと震え、シミだらけのダウンジャケット
の襟を正した。
そのまま水道の蛇口を捻り、薄汚れた顔をジャブジャブと洗う。
元は白であったのに、長いこと洗っていなかったため茶色に染まったタオルで顔を拭くと、植え込みに
向かった。そしてこれまたシミだらけのジーンズのファスナーを下ろし、包皮に覆われた短小ちんこを
つかみ出すと、強烈なアンモニア臭のする小便を木の根元にジョロジョロと垂れ流した。

「クソッ!」
ヘイドレクは思わず毒づいた。小便が軌道を逸れて靴とジーンズの裾を汚したためだ。
「なんてこった…1ヶ月前に洗濯したばかりなのに」
ヘイドレクは溜め息をつくと、近くに落ちていたコンビニの袋を拾い、ぬれた部分を拭った。
「さあ、今日もアルミ缶を一杯ひろうぞぉ!」
ヘイドレクはそう声にだすと、青テントに掛けておいたズタ袋を担いで夜の新宿の街に
出向いた。

不夜城の副都心、新宿のビル群は摩天楼の名にふさわしい威容で新宿中央公園を取り囲む。
ヘイドレクはその真っ只中に最下層民の一人として地べたを這い回る生活を今日も続けていた。
689名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:46:30
そこへDQNたちのリーダー山崎があらわれた。
「おら!作家先生、チンコしゃぶれや!」
690名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:46:51
歓楽街のゴミ集積所でアルミ缶を漁るヘイドレク。
ふと生ゴミの詰まった箱に気付いた。
「あっ!今日も拾いものあるかな?」
ヘイドレクはアルミ缶拾いを中断して生ゴミの箱を漁る。
箱に手を突っ込んだ瞬間、数匹のゴキブリがワラワラと逃げてゆく。しかしヘイドレクは気にもせず
さらに奥深く箱を漁った。

10分後、箱の中からは喰いかけの鳥の唐揚げとりんごの芯、それにホッケの身が見つかった。
喜んだヘイドレクはそのまま路上に座り込み、それらを貪り喰った。
道行く人が、人間のクズを見るような目でヘイドレクを眺める。しかしヘイドレクは気にも留め
なかった。今は只、空腹を満たすことだけがヘイドレクの唯一の楽しみであった。

一通り生ゴミを平らげるとヘイドレクは再びゴミ漁りを始めた。
するとゴミの山の奥から、30センチはあろうかという巨大な男根バイブレーターが発掘された。

「ああっ!伝説の魔剣・オリハルコンだあっ!」
元・ファンタジー作家だったヘイドレク。それを右手に掴むと天にかざした。

自分がファンタジーヒーローになれた気がした。

そして収集業者から受け取った本日のアルミ缶の引き取り代金は2500円であった。
それを大事に懐にしまい込んだヘイドレクは、上着の中にしまったバイブレーターを抱え、再び
新宿中央公園の青テントに戻っていった。
691名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:47:52
ヘイドレクはしゃぶった。
692名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:49:15
>>689
「ゴメン、カキコに気付かなかったよ」
ヘイドレクは謝った。
そして次のレスからは>>690>>689の流れで言ってくれ、とヘイドレクは懇願した。
そしてこのスレに宿る神はアフロディーテのフェラチオを受けながら、この懇願をしぶしぶ了承した。
693名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:50:02
ヘイドレクは怒った!
694名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 02:55:44
そして少し困った
とにかく青テントの中でヘイドレクはDQNたちにお口で施しをした
695名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 03:12:23
散々玩ばれるヘイドレク。なにせ彼らは新宿2丁目仕込みの猛者ばかりだった。
「おうコラッ!ちゃんとしゃぶれや作家先生」
「舌の使い方がなってねえぞ、コラッ!」
DQNたちは次々とヘイドレクを罵る。
泣きながら御奉仕するヘイドレク。しかしDQNのお兄さん達は容赦しなかった。

一通りヌき終わるとヘイドレクは青テントの中でうつ伏せに倒れた。
満足したDQN兄さん達はヘイドレクを囲い込みタバコに火をつけて談笑を始めた。
今日のシノギが幾らだったとか、覚醒剤の納入価格が警察の取り締まりのせいで上が
って困るとかそういう話だった。
そしてDQN兄さんのリーダー山崎が思い立ったようにヘイドレクの懐を探り出した。
(今日の売り上げ、取られちゃう!)
ヘイドレクはそう思い、慌てて抵抗した。が、DQN達に取り押さえられてしまった。

「おお〜ちゃんと金、あるじゃんかよ」
遂に今日の稼ぎ分、2500円とふんだくられたヘイドレク。思わず目に涙が浮かんだ。
そしてさらにDQN達は懐を探った。そして
「おっ、何だこれは?」
と、ヘイドレクの懐にあった伝説の魔剣・オリハルコンを奪った。
「なんだよ、デカチンバイブじゃねーかよ!…もしかしてお前、コレで掘って欲しかったのか?」
山崎はバイブをヘイドレクの目の前にかざした。シリコンラバーで覆われたバイブは裸電球の光の
下で鈍く光った。
696名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 03:13:03
「…そ、それはボクの剣」
ヘイドレクはオリハルコンを取り戻そうとして手を伸ばした。しかし一発ケリを入れられて
蹲ってしまった。
「…結構使い込んであるな、このバイブ…ほら、この辺りなんか変なカスがこびり付いてるぜ」
「もしかして、アナル開発に使ってたんじゃね」
DQN達は大笑いした。
そしてヘイドレクの方を向き直ると、再び四つん這いにさせた。
裸の尻が電球の光の下に眩しく映えた。

「うおりゃあっ!」
山崎はいきなりヘイドレクの肛門にバイブをねじ込んだ。
「ひぎいっ!」
ヘイドレクは鋭い悲鳴を上げた。しかし山崎は無情にもヘイドレクの肛門の奥へとバイブを進める。
痛みのあまり悶えるヘイドレク。しかしDQN達に押さえつけられ身動きが取れない。

「…ブツンッ」
突然、鈍い音がした。そしてその瞬間、
「ぎゃああーっ!」
とヘイドレクは叫んだ。
肛門括約筋が引き千切れたのだ。
そしてヘイドレクはそのまま気絶してしまった。

…気付くともう次の朝であった。
697名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 04:13:38
テントの外に出ると円盤がとまっていた。
円盤の直径は約十メートル。外側は、金属製。
その上にある伸縮自在の屋根が開くと、中から奇妙な生物が顔をのぞかせた。
緑色の肌に巨大な額。目はピンポン玉のように真ん丸で、頭髪やうぶ毛の類はいっさい生えていない。
宇宙人に、間違いなかった。
ヘイドレクは喜びのあまり、躍りあがった。
「SFだ!ファンタジーの流れではないにしろ、こっちの方が百倍マシだ!」
もうケツを掘られたりチンコをしゃぶったりするのにはウンザリしていたのである。
ヘイドレクはみずから円盤に近づいて行った。
698名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 05:54:26
しかし円盤の中で待っていたのは、またしてもアナル開発だった。

何十本もの触手を生やした紫色の蛸みたいな異星人たちはヘイドレクを円盤内の実験室に連れ込む
と、そこにある手術台の上に寝かせた。そして巨大な電極を肛門に差し込み何度も何度も高電圧を
かけたのだ。
そのたびに射精するヘイドレク。異星人たちはヘイドレクが放出した黄ばんだ精液を試験管に採ると
それを顕微鏡らしき複雑な外形の機械で観察していた。
「ウコピツブ…プリフプ」
「ピクロエイ…ヂツピホ」
ヘイドレクには全く理解できない言葉で話をする異星人。散々肛門に電圧をかけられたせいで前立腺
の辺りが焼きつき、尿道が痺れるように熱かった。

…そして散々射精したため完全に消耗しきったヘイドレクはいつしか気絶してしまった。

ふと気付くとベッドの上に寝かされていた。久しぶりに柔らかなシーツで寝ることが出来
たせいか疲れもかなり取れており、ヘイドレクは久々の爽快感に浸った。上体を起こした
ヘイドレクは大きくあくびをし、さらに身体を後ろに反らして伸びをした。

「…ツピピーッ!ツピーッ!」
突然部屋中に得体の知れないビープ音が響いた。
ヘイドレクは驚き、ベッドから降りた。彼はいつの間にか紳士服のコナカの春夏用スーツ上下を
身に着けていた…パンツが2枚ついて一着分の値段というお買い得品の奴だった。

そしてポケットの中には何故か、あの魔剣・オリハルコン(=黒巨根バイブ)が入っていた。
699名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 05:55:03
「…ツピーッ!ピピーッ!」
ビープ音はさらに響く。ヘイドレクはどうしてよいかわからずオロオロした。
(また、酷い目に遭うのか…?)
ヘイドレクは思った。それもそうだろう。
第一部では散々陵辱された挙句に毒虫に食いつぶされ、豚の糞にされ、便器にされて糞をたらふく
食わされて最後には在日カニバリズム集団に食い殺されたのだ。
(…第二部でも俺はまた、酷い仕打ちを受けるのか!)
ヘイドレクは泣きそうになった…このスレも、もう残り300弱。その間もまた苛められ続けるな
んて絶えられなかった。

「…ツピーッ!ピピーッ!…ビビーッ!」
さらに音はけたたましく響き渡った。そして部屋中の照明がチカチカと明滅し、壁や天井の配管が
裂け、蒸気が勢い良く噴出した。

「うわああーっ!…いきなり死ぬのかあーっ!」
ヘイドレクは絶叫した。あまりにも酷い仕打ち!まだ何もしていない内にあっさり死ぬなんて!

…しかし同時にヘイドレクは思った。
(どうせ、散々苦しんで死ぬくらいなら、いっそあっさりと死んで終わったほうがいいんじゃ…)

そう思ったらヘイドレクは強くなった。
(死のう!)
そう覚悟したヘイドレクは自ら呪われた運命を閉じようと(ry
700名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 05:57:07
「ふうむ…つまらんな」
全能の神>>1は溜め息をついた。円盤の中で死を覚悟したヘイドレクは部屋の中で座禅を組み、訳の
わからないマントラを一心不乱に唱えている。次々に崩壊する円盤の中で異星人たちが慌てふためいて
いるのにヘイドレクは一向に動じない…精神的に強くなったのではなく、単に人生という現実から逃避
したうえでの自殺願望に過ぎない…それが神>>1の気に障った。

「…どうなさったのです?全能の神>>1様」
これまた一心不乱に神こと>>1のペニスをしゃぶっていた美の女神アフロディテは顔を上げて神に尋ねた。
>>1はアフロディテの問いかけに気付き、アフロディテの美しい鳶色の瞳を見つめながら答えた。
「ふうむ…ファンタジー作家志望なんていう電波チックな夢を持った阿呆を現実に目覚めさせようと散々
苛めてやったのに、何故かこのスレが今だに延々と続いておるのだ…可笑しくはないか、アフロディテ?」
>>1はそう言うと、アフロディテの美しい臀部に手を這わせ、盛り上がった尻から股間の茂みに指を差し込
むとそこを転がすように愛撫した。
その微妙な愛撫に、アフロディテは思わず「はあんっ!」と甘い喘ぎ声を上げてしまった。
アフロディテの表情の変化に気付いた神>>1は、意地悪にもアフロディテのさらに微妙な部分に指先を伸ばし、
既にうっすらと濡れた秘肉をこすってやった。包皮に包まれたクリトリスをわざと逸らし、大陰唇から尿道の
辺りのGスポットを僅かに逸れた辺りを重点的に攻めた。
焦らされたアフロディテは思わずわなないた。
「か、神様っ!お願いでございます、そんなにイジメられてしまっては私、これ以上耐えられませんっ!」
アフロディテは思わず神>>1の肩に縋った。そして丸みを帯びた見事なGカップのバストが神>>1の逞しい胸に
押し付けられた…それはそれは、素晴らしい弾力であった。
701名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 05:58:37
しかし神>>1は動じなかった。すでに神のペニスはビンビンに勃起し、先ほどまでのアフロディテの熱いディー
プスロートフェラにより、亀頭の先端まで赤紫色に充血しきっていた。アフロディテの唾液だけでなく、神自身
が滲ませたカウパー氏腺液が尿道の先端部分に溜まっている。
「おおっ!かわゆいアフロディテや。なにかこのスレに集う電波系ファンタジー作家志望の糞馬鹿たちを駆逐する
良いアイデアはないか?」
>>1はアフロディテに問うた。アフロディテは神の指先の愛撫ですすり泣いていた。今や神の指先はアフロディテ
の陰裂を分け入り、小陰唇の辺りから溝全体を優しく穿り返すようにイタズラをする。時折ヴァギナを掠める神の
指先に、アフロディテは思わず甲高いうめき声を漏らしてしまった。
「どうしたのじゃ、アフロディテ。早く答えい」
>>1は意地悪く微笑むと、歓喜にあえぐアフロディテに囁いた。アフロディテは愛撫に敏感に反応
してしまい、もはや絶頂寸前に達していた。しかし神はアフロディテの一番大事な部分…充血した
クリトリスや膣口前部数センチにあるアフロディテのクライシスポイントを巧みに避ける。

「…か、神様ぁっ!私、もうダメですっ!お願いですっ…早く私めを貫いてくださいっ!」
アフロディテは遂に叫んだ。そして神>>1の股間の巨根を手で掴むと、グショグショに濡れ切った
自分のヴァギナに当て、その中に挿入しようとした。

「ならぬっ!ならぬぞっアフロディテッ!」
>>1はいきなり立ち上がるとアフロディテの華奢な身体を突き飛ばした。アフロディテはよろめき、
床の上に崩れるように倒れ伏した。しかしなおも神>>1のペニスを求めて這い寄ると、神>>1のビンビン
に勃起したペニスをくわえ込んだ。

アフロディテがペニスをくわえ込み、亀頭を舌で巧みに刺激した瞬間、神>>1は一瞬電気が奔るような
快感に襲われた。そして思わす肛門がキュッと締まってしまった。しかしさすがは全知全能の神である、
大きく深呼吸すると何とかイクのを抑えた。そして宮殿の王宮の間に控える衛兵達に、アフロディテを
抑えるようにと顎で合図を送った。
702名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 06:32:32
神殿の傍らで女官達と交わっていた衛兵たちはハッと我に返り、慌てて甲冑を身に着けて駆け寄ってきた。
そして必死に神>>1のペニスにしゃぶりつくアフロディテを抱えると、神の足元から引き離した。
「ああっ!お願いです神様っ!…お情けをっ、私めにお情けを下さいましっ!」
アフロディテは半狂乱になりながら叫ぶ。そして神殿の大理石の床の上に崩れ落ちると手を自分の秘所に差
し入れてまさぐった。そして指先を陰裂に這わせて熱く濡れそぼったヴァギナを刺激して自らを慰めた。

美しいアフロディテの肉体が神殿の床の上で震え、わなないた。
その淫靡な美しさは神々しいまでに輝いた。

(美しい…何と美しいんだアフロディテ。そなたがそこまで美しいとは…何と罪作りな女なんだっ!)
床の上で自らを慰め悶えるアフロディテの痴態を見下ろしていた神は、その美しさに心を打たれた。同時に
隆々と勃起したペニスが敏感に反応する。先ほど必死になって抑えたアフロディテに対する欲望がみるみると
甦ってゆくのを神>>1は感じた。

「神様ぁっ!お願いです神様ぁっ!…早くお情けをっ!」
アフロディテは遂にすすり泣いた。神殿の柔らかな光の中でアフロディテのしなやかな肢体が妖しく蠢き、神>>1
の本能を強く激しく突き動かす。

(ぬううっ!…全知全能の神である俺様としたことがあっ!…アフロディテめ、許さんぞっ!)
>>1は遂に耐え切れなくなってしまった。そしてアフロディテに一歩近づくと大きく息を吸い込んだ…空気には
アフロディテの汗に混じって放たれたフェロモンが満ち、神>>1の理性を無残に打ち砕いた。

そして神>>1はアフロディテの美しい肉体にむしゃぶりついた。床の上に横たわるアフロディテの身体を抱き寄せると
舌で乳首をこねくり回し、そして大きく開いた股間に自らの巨根を当てた。
(なんていやらしい女なんだ、アフロディテ!)
身悶えするアフロディテを見下ろした神は一瞬そう思った。そして隆々と勃起したちんこをアフロディテの熱く濡れた
ヴァギナに向かって勢い良く滑り込ませた。
「う、うおおおっ!…アフロディテッ!」
「ああっ!壊れちゃう!…凄いっ!神様凄いですっ!」
二人は神殿中に響き渡るような大声で歓喜の叫び声を上げた。
703名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 06:36:36
>>1とアフロディテのセックスを見ていた衛兵と女官達も耐えられなくなり、自らの衣装を
脱ぎ払った。そして乳房や尻を露わにして互いを貪り始めた。神殿中で甘い吐息が洩れ、歓
喜の悲鳴が上がる。松明の揺れ動く炎の中で神話の世界の神々が肉と肉をぶつけ合って交じ
り合う。

…その光景は神聖であり、同時に背徳的でもあった。

「うおおっ!…アフロディテ、アフロディテッ!」
>>1は一際大きな声を上げると、大きく振りかぶった腰を思いっきりアフロディテの腰に
打ち付けた…その瞬間、神>>1は天国を見た(ここが天国なのに)。

アフロディテの膣の中で神>>1のペニスが大きく痙攣する。
それと同時にアフロディテの子宮の中に、神の寵愛の証がぶちまけられた。

「…何やってるんだよ、アイツら」
円盤に乗ってる宇宙人達はあきれ返り神々の戯れを見守った。
「単に作家がSFネタを思いつかなかっただけだろ…で、電波作家を駆逐するアイデアは
どうしたんだ?」
別の宇宙人もそう嘯く。馬鹿馬鹿しくなった彼らは、おのおの宇宙船の修理を始めた

…一方ヘイドレクはやはり恐怖に耐えられずに円盤内の独房の中で失神し、ついでに失禁していた。
床の上を糞尿が流れ、ヘイドレクの新調スーツを汚した。
704名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 09:17:51
ヘイドレクは歌をうたった。
「へいDJ♪カマせyeahyeahyeah、気分上々の〜、針落とせ♪はじけ飛ぶ〜♪」
705名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 17:10:15
宇宙人たちは、顔を見あわせた。
「こ、こいつ」
「うむ」
「なかなかの美声だ!」ふたり同時に叫んだ。
706名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 17:12:30
…キャサリンはまるでメロンを二つ並べたような巨大なパイオツの持ち主だった。やや濃い目の
ハニーブロンドヘアをショートにたなびかせ、胸元を意図して強調したようなカットの大きく入
ったアンダーシャツの上に、上2つの釦を開けた制服で乳房の谷間を際立たせていた。…多くの
男達の視線がキャサリンの胸元からウェスト、そしてツンと上向いたヒップへと流れる。キャサ
リンはその熱い視線を充分に意識して細くくびれたウェストをやや捻り気味にスロープを歩いた。
…タイトなミニスカート(制服支給品のものだが、あえて裾を切り詰めている)の下で丸みを帯
びたヒップが窮屈そうに捩れる…新兵徴用された多くの青年乗組員達は狭い兵舎の組み立てベッ
ドの上で、夜な夜なキャサリン中尉のそのバストとヒップにしゃぶりつく夢を見ながら青臭いペ
ニスを握り締めていた。
…キャサリンは恒星間宇宙船ギャラクティカのメインデッキから士官用居住区を抜け、第三ハッチ
脇のエレベータを登った。…向かうは艦隊司令部付参謀本部。情報将校であるキャサリンはそこで
作戦参謀課の参謀部員デニスと『打ち合わせ』をするのだ。…キャサリンは第二応接室の扉の前に
立った。そこで大きく息を吸い、吐いた。襟元を調えて前髪を鬢に撫で付けるように指で漉いて、
もう一度大きく呼吸をした。そしてゆっくりノックした。
「キャサリンです!」
「…入りたまえ…」
扉越しにデニスの声がくぐもって聞こえた。キャサリンはIDカードをセキュリティーセンサーに
翳し、指紋認証を済ますと扉がシュッと滑らかに開いた。
「…お待たせして申し訳ございません。潜入させた連絡員の消息が分からなくなったものですから…」
キャサリンは眼鏡を外しながらそう言い訳をした。

デニスは長身で引き締まった肉体を持つ生粋の情報将校だ。伏せ目勝ちの憂いを帯びた視線
はキャサリンのウブなハートをチクリと刺激する知的で危うい光を放つ…キャサリンは眼鏡
を外すと真っ直ぐにデニスのその目を見た。
707名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 17:13:20
…しばし無言で見つめあう2人。そしてデニスがため息をつき椅子から立ち上がった瞬間、
キャサリンはデニスの胸に飛び込んだ。互いを擦りあうように抱きしめて唇を重ねた。文字
通りしゃぶり付くように。高まる二人の吐息。デニスの舌はキャサリンの頬をかすめ、顎の
ラインから長く伸びた首筋をしゃぶりつくように舐めた。
「うんっ!ああっ!」
キャサリンは思わず声が漏れた。デニスの膝がキャサリンの両腿の間に割り込み、右手はス
カートの裾をたくし上げる。パンストのグラデーションに彩られた小麦色のしなやかな脚が
露わになる。膝を割って奥へと進むデニスの腿がキャサリンの熱くなった秘所に触れた。
「あんっ!ああっ!ああ〜っ!」
デニスの腿が秘所の上でスライドされるとキャサリンは喘いだ。キャサリンは脚を上げ、デ
ニスの越しに巻きつけて自らの陰部をデニスの股間に擦りつける。熱くなったデニスの太い
ペニスが制服のスラックス越しにキャサリンのヴァギナに押し当てられた。瞬間、膣を伝っ
て粘液が一気に溢れ出してパンティの生地を湿らせた。

…広い会議用デスクの上にキャサリンは横たえられた。デニスはキャサリンの上着を剥ぎとり
ブラを外すと、重力(宇宙船なので人工重力)に抗するかのように形を崩さずツンと立った
乳房が現れた。敏感そうな乳首にデニスは乱暴に舌を這わせた。既にスカートは腰の上までた
くし上げられ、パンストは股の部分を破られてパンティの生地が剥き出される。そこをデニス
の指が溝に沿ってぐりぐり押し付けるように弄ると、キャサリンは体を弾ませた。もはや耐え
られなくなった。
708名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 17:14:02
「…お願いデニス!もう、焦らさないで!は、早く!私を愛して!」
悲鳴に近い声でデニスに訴える。デニスはニコリと微笑みながら上体を起こしてベルトを外した。
…軍支給品のブリーフを下ろした瞬間はじけ出るように黒々とした男根が躍り出た。既に隆々と
勃起し、尿道の辺りからガマン汁が滲み出ている。
…デスクの上で腰を捩らせるキャサリンの両膝を広げると愛液が膣を伝い、閉じられた肛門を伝っ
てデスクの上に雫を垂らしている。キャサリンが腰をくねる度に腿や尻の肉がたわむ。濃い黄金
の恥毛に囲まれた秘所のクレパスがよじれ、襞と襞を擦り合わせる。そのたびにクチュッと僅かな
音がして奥からさらに愛液が滲み出てくる。
…何て好き者なんだキャサリン。デニスは思った。真面目一辺倒だったキャサリンを初斬したのは
当時指導教官だったデニス自身だった。まだ任官間もないキャサリンを手取り足取り指導し、遂に
は夜ベッドの上で性生活の技巧を丁寧に指導した。彼女は最高だった。オクテの彼女に露出の高い
服を着せて新兵の男の視線に曝し、マゾに目覚めさせたのも俺だ…多分そのときも濡らしていたに
違いない。今日もこの部屋に辿り着いた頃にはもう…デニスの中に残酷な悦びが沸き立った。徐々
に自分も興奮してゆくのが判った。
(この女を支配しているのは俺だ!)
デニスは内心そう叫んだ。
709名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 17:15:01
「…お願いはやくぅ〜!デニス中佐ぁ!もう、私、おかしくなっちゃう!」
すすり泣くように哀願するキャサリン。荒く息をするたびに天を衝くように隆起したバスト
トップが虚空で震える。…デニスは手を伸ばして彼女の両乳房を掴んだ。
「はあうっ!」
キャサリンが喘ぐ。
その乳房を掴み乱暴に揉み、同時に充血した亀頭をキャサリンの秘所にめり込ませた。…熱
い!ヤケドしそうだ!既にドロドロに濡れきったヴァギナは膣粘膜自体が充血して熱を帯び
る。デニスの亀頭に絡みつくように熱い液がドクドク滴る。…スゲエ!最高だぜ!そしてデ
ニスは彼女のウェストに両手を当てると自らの腰に引き寄せ、一気に肉茎を侵入させた!
「あぐぅっ!あぎっ!はぁああっ!!」
キャサリンは会議室全体に響きわたる大声で叫んだ!
「ああっ!おおっ!あおっ!もっと!最高!」
キャサリンは首を左右に振りながら悶える。…肉茎全体に絡みつく蜜壺の粘膜。熱く柔ら
かい膣の内壁すべてがデニスの巨根を飲み込み、さらに奥へと誘う。彼女の特徴である子
宮頚部…括約筋が発達した彼女は此処が一番きつく締まるのだ…其処を思いっきり亀頭で
擦る。痺れるような気持ちよさ!…最高だぜキャサリン!
「キャサリン!ほら!もうイクぞ!」「…ああっ!デ、デニス!!デニスッ!!」「ウグ
ウッ!グワァッ!」
亀頭が子宮頚部を跨ぎ、子宮の奥壁を衝いた瞬間、デニスとキャサリンは同時に絶頂に至り、
キャサリンの子宮の中に大量のザーメンが注がれた。

「…で、ヘイドレクを調査しているという連絡員の消息は何時からわからないのか?」
デニスはタバコを咥えながらキャサリンに尋ねた。キャサリンはあの後何度もイカされて完全
に消耗し切り、力なくデニスの腕に抱かれている。
「…今、報告しなきゃ…駄目ですか…?」
キャサリンは少し切なげな表情で尋ねた。…デニスは一瞬考えた。…まあ、もう一戦交えてか
らでも遅くは無いか…そう思い、キャサリンの顎を持ち上げ、唇を重ねた。
710名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 18:12:52
「…こ、ここはドコ?」
ヘイドレクは目を覚ますと、起き上がって周りを見渡した。
一面、荒涼とした砂漠の世界が延々と続く。吹き荒ぶ砂嵐が砂の台地を駆け抜け、舞い上がった
砂の粒子がヘイドレクの肌を打つ。目を開けるのが辛いほどであった。
まるで鮮血を思わせるような不気味な夕陽が地平線近くから照りつける…サンドストームの中でも
その輝きが失われないほどに強烈な光が辺りの風景を鮮やかなコントラストで照らし出した。

「…何でボクは、こんなところに居るんだよっ!」
ヘイドレクは叫んだ。人っ子一人居ない虚無の台地に殆ど手ぶらで放り出されたのだ。身に着けて
いるモノといえば、先ほどの宇宙船の中で着せられた既製品の紺のスーツ上下(しかも自分で垂れ
流した糞便で汚れている)のほか、100円ライター一つ、小銭が僅かに入っているだけの合成皮革
の財布…そして全長25センチのバイブレーター”オリハルコン”だけだった。

ヘイドレクは”オリハルコン”を取り出した。
西日に照りつけられた”オリハルコン”の黒いシリコンラバーが鈍い光を反射する。
(…こ、ここはSFファンタジー世界なのか?それにしても、俺の武器が黒バイブ一本
だけだとは…)
ヘイドレクは落胆した。そして立ち上がると、どこかに街はないかと探し歩いた。
今は水、そして食料が欲しかったヘイドレク。

荒涼とした大地に向かって、ヘイドレクは歩みはじめた。
711名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 18:13:53
「…ドルルルゥッ!ドルルッ!」
西日に向かって歩くヘイドレクの背後から、なにやら爆音が響き渡った。
その音は徐々にヘイドレクに近づいてくる。
(…何?何が来るの?)
ヘイドレクは怯えた。そして恐る恐る後ろを振り返った。

「…ドルルルーッ!ブゥォンッ!」
さらにその音が近づいてくる。エンジン音だっ、とヘイドレクは直感した。遥か後方の大地から
けたたましい爆音と共に濛々と砂煙が立ち上がる。そしてその砂煙の中から何台ものバイクが現
れた。黒光りするその車体の上には全身鋲の打ち込まれたアーマージャケットで武装した派手な
身なりの大男が跨っている。
その威容に警戒するヘイドレク。そうしている間にもバイクの群れはますますヘイドレクに近づ
いてくる。

「イヤッホーッ!」
先頭のバイクに跨るモヒカン頭の男が奇声を上げた。それと共に付き従うバイカーたちもけたた
ましい叫び声を上げる。
身構えるヘイドレク。すると先頭の男は先端に分銅のついたチェーンをヘイドレクに投げつけた。
チェーンはジャラリと金属音を立てながらヘイドレクに向かってヘビのように飛び掛り、ヘイド
レクの首に巻きついた。
「グウッ!」
ヘイドレクは首を締め付けられ、呼吸が一瞬止まった。そしてバイクの勢いに引きずられるように
もんどりうって地面に倒れた。
712名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 18:14:38
「ようっ!作家先生よおっ、あんたこんなところで何やってるんだよっ!」
バイクの男がヘイドレクに向かって叫んだ…なんとその男はDQNのボス、山崎だった。
山崎ほかDQN軍団たちは地面に這い蹲るヘイドレクに向かって嘲笑し、ツバを吐きかけ
た。ヘイドレクは地面に引きずられながら棍棒で叩きのめされ、いつしか意識を失った。

…数時間後、ヘイドレクは目覚めた。
なにやら倉庫のような場所であった。しかしヘイドレクには見覚えはなかった。倉庫の柱
に鎖で縛り付けられたヘイドレクは全身キズだらけで、少し動くだけで骨が軋むように痛
んだ。
「ようっ!作家先生のお目覚めだぜっ!」
DQNのボス、山崎が怒鳴った。すると周りにいたDQN連中がゲラゲラと笑い出した。
ヘイドレクは顔を上げ、彼らの方を見た。彼らはヘイドレクの傍で焚き火を燃やし、近く
の村から攫った村人の子供達を串刺しにして焼いていた。
子供達の断末魔の悲鳴が響いた。DQNの一人、滝沢が子供の腹を捌き、内臓を引きずり
出したのだ。刃渡り40センチにもなる巨大なナイフは子供の腹に深く食い込み、傷口から
溢れ出る鮮血が滝沢の顔に降りかかる。
「おい滝沢、早くそいつも焼けよ。腹減ってるんだからよお!」
DQNの一人村野が声を掛ける。
「少女はどうした?…やはり肉は女の方が旨いだろ!」
やはりDQNの一人である大島が言う。すると
「少女は先に犯してからだよ馬鹿っ!犯す前に喰ったらチンコが満足しねえよ!」
と山崎が笑いながら答える。

彼らは一様に血走った目で笑い、子供達の肉を貪り食っていた。
ヘイドレクは戦慄した。そして恐怖のあまり放尿してしまった。
713名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 18:15:23
するとDQN軍団の副リーダー、岩村が立ち上がるとヘイドレクに近づいた。
手にはこんがり焼けた子供の太ももが串刺しにされて握られてる。
「…よう、作家先生。ここがファンタジー世界だとでも思ったかい?」
岩村はヘイドレクの目を見ながらニヤリと笑った。そして手に握った串をヘイドレクの目の前
に差し出すと
「テメエ、腹減ってるんだろ…コレ喰えや」
そういって無理矢理ヘイドレクの口に肉をねじ込んだ。
抵抗するヘイドレク。しかし岩村は強引にヘイドレクの口をこじ開けると、その肉を喉の奥まで
無理矢理押し込み、そのまま飲み込ませた。
「…ングッ!ンッグッ!…グエッ!」
ヘイドレクは思わず吐きそうになった。しかし岩村はそれを許さず、強引に口を閉じさせると喉を
強く押して全て飲み込ませた。

息苦しくなって喘ぐヘイドレク。そのヘイドレクに向かって岩村が言った。
「…ここはなあ、作家先生。ファンタジー世界なんかじゃねえんだよ。ここは原油採掘プラント建設
現場なのさ!そしてお前はここの使役奴隷として連れてこられたんだよっ!」
そういうと岩村はゲラゲラと笑い出した。すると周りにいたDQN達も腹を抱えて笑い出した。
「ワーハッハッ!作家先生よおっ!結局お前は奴隷以外なんの使い道もねえんだよおっ!」
DQN達は子供の肉を喰らいながら笑った。
そしてたらふく喰らった後、ヘイドレクを採掘作業員の酒保に連れてゆき、そこに集う荒くれ者
達に売り飛ばした。

ヘイドレクは散々ケツを掘られ、サディストの大男の肉奴隷にされた。

そしてそれから10年の月日が経った。
ヘイドレクは今だに採掘労働者の肉奴隷として酷使されていた。
714名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:22:27
ヘイドレクは逃げた。
そして漫才師になった。売れた。
人気者のヘイドレク、笑っていいともに出ている。
タモリさんが話しかけた。「昔はいろいろ大変だったそうですね」
「はい。苦労しました」
「髪、のびた?」
715名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:31:25
そういう夢をみたヘイドレク。
しかし現実は採掘炭鉱町の酒保の従業員として酷使され続けていた。
716名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:32:04
「おうコラッ!ヘイドレク!とっとと酒を持ってこいやっ!」
採掘労働者たちがヘイドレクに怒鳴りつける。洗い場の隅で欠けた皿を布で拭いていたヘイドレク
はビクッと怯え、オズオズとお辞儀をしながら
「…は、はい。ただいまお持ちします」
と答えた。そしてバケツほどもあるジョッキにアブサン酒をドブドブと注ぎ込むと男達の
テーブルへ重そうに運んだ。

あれから10年…ヘイドレクは鉱山採掘現場の酒保で下っ端の使役奴隷として働いていた。
遠い昔、天才ファンタジー作家を目指していたこともあったヘイドレクであったが、今は
場末の酒場で猛々しい労働者達のご機嫌取りに甘んじていた。
鉱山労働者たちの財布を目当てに集う娼婦達にもマヌケな男と軽蔑され、工夫の子供達にも
”電波おじさん”とあだ名を付けられて石を投げつけられる、それが現在のヘイドレクだっ
た。どんな酷い目に遭っても卑屈な笑いを浮かべるしかできないヘイドレクは、それが真の
自分の姿なんだと納得した。そしてこのまま人生を静かに終えようと、そう思った。

今日も仕事を終え、物置小屋のような自室に戻ったヘイドレク。まあ、壁と屋根があるだけ
新宿中央公園よりマシかな、とヘイドレクは少し苦笑いを浮かべた。そして部屋の中に入り
明かりをつけると、棚の上に置いてある混ぜものの安ワインのボトルを取ると、コルクを抜
いて少しラッパ飲みした。
ほろ苦い芳香が口一杯に広がり、思わずヘイドレクは呻いた。
717名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:33:00
煎餅布団に潜り込んだヘイドレク。暑苦しく中々寝付けない。何度も寝返りを打ちながら
明日もまた採掘労働者達にイジメられるのかと思う悔し涙が溢れた。
既に肉便器として扱われる年齢も超え、単なる無駄飯喰らいに堕落した今のヘイドレクに
とってはそれでも、彼ら採掘労働者に縋って生きてゆくしかないのだ。それが悔しかった。

「…ドドーンッ!」
突如集落の方から巨大な爆音が響いた。それと共に数多くの人の怒号と悲鳴が上がる。そして
再び重い爆音が響き、地面を揺るがせた。

(な、何なんだ?)
ヘイドレクはキノコの生えた煎餅布団を跳ね除け、慌てて起き上がった。そうこうしている間
にも不気味な音は何度も響き渡る。それとともに多くの人間の断末魔の叫びが!
「…ド、ドラゴンが襲来してきたぞーっ!」
「採掘井が破壊された!原油が連鎖爆発を起こすぞっ!」
外から声が聞こえた。

(ド、ドラゴン?…まさか、本当にドラゴンが居たんだ!)
ヘイドレクは一瞬立ち竦んだ。そしてもう一度”ドラゴン”という言葉を反芻した。…間違い
ない、それは自分の憧れたファンタジー世界の生き物だった。
ヘイドレクは着の身着のままで物置小屋を飛び出した。そして集落の方を見た。
集落のアチラコチラで炎が上がり、人々が踏み潰されて死んでいた。肉体が引き千切られている
死体もある…食い殺されたのだ。

そして再び凄まじい爆音が響いた。それと同時に第三原油採掘井の採掘塔が白炎を上げて吹き飛
んだ。
…そしてその炎の輝きの中には、紛れも泣くドラゴンが居た。
ドラゴンは噴出する原油の中に巨大な顎を突っ込むとそれをガブリガブリと飲み始めた。
718名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:33:57
ドラゴンは原油を大量に飲み干すと、大きく翼を広げて集落に向かって飛んできた。
全長は優に30メートルはあろうかという巨体が、集落の上空で旋回する。その翼が
大きく羽ばたくたびに集落の貧弱な建物はなぎ倒された。

(ド、ドラゴン…本当に居たんだぁ)
ヘイドレクは物置小屋の脇で立ち竦んだまま笑った。そして笑いながら小躍りした。自分
の憧れたファンタジー世界が今、自分の目の前に繰り広げられているのだ。それが
嬉しかった。
目の前で次々とドラゴンに食い殺される村人を眺めながらヘイドレクは大声で笑った。笑い
ながら地面に倒れ、倒れた後も笑い転げた。村人が無残に食いちぎられても少女がドラゴン
に付き従うガーゴイルに犯されながら食い殺されてもヘイドレクは笑い続けた。採掘労働者
たちが手に機関銃を持ち、ドラゴンやガーゴイルの群れに連射してもヘイドレクは涙を流し
ながら笑い続けた。

…数時間後、炭鉱町のあらかたが破壊され、街の人間の大半が食い殺された。生き残っている
者たちもいたが、殆どがドラゴンやガーゴイルたちとの戦いでキズつき、うな垂れていた。
大量の原油と鉄鉱石、それに人間の肉を喰らったドラゴンは一際大きな声で吠えた。そして
丸太棒のような巨大な尾を上に大きく持ち上げ身体を痙攣させた。
「ブウッ!…ブリブリブリッ!…モリモリッ!」
不気味な音が響いた。それと同時に桁外れに大量の糞が、集落の中央にあった教会の残骸の
上にぶちまけられた。大量の廃油を含むドラゴンの糞は、未消化の人骨を含みながら広場一
杯に流れ、広がっていった。
そしてドラゴンは満足そうに大あくびすると、死肉を漁るガーゴイルたちを引きつれて大空
に舞った。

ヘイドレクは笑った。そして完全に気が狂っていた。怒りに燃える集落の人々の睨みつける
なかでヘイドレクは笑い転げ、そして失禁した。
719名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:36:09
国士無双をあがったヘイドレク、お金もちになった。
借金をぜんぶ返して小説を書いた。売れた。
笑っていいともによばれた。
タモリさんが話しかけた。
「髪、のびた?」
720名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 19:41:23
「昔はドラゴンと闘ったことがあります」ヘイドレクは答えた。
721名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 20:01:30
全国ネットで狂人振りを晒したヘイドレクは全ての人から糾弾された。
722名無し物書き@推敲中?:2007/03/10(土) 21:17:05
「ヘイドレク」こと「うんこ為の介」は糾弾から逃れる様に佐渡へ向かった。
ドラゴンと戦った事をタモリに話した事が日本中でうんこ為の介バッシングの引き金になったからだ。
しかし名前を改名していたお蔭で、佐渡の旅館には易々と宿泊出来たのは幸いだった。
もし「ヘイドレク」のまま泊まってたら、その夜には刺客の手で惨殺されていた事だろう。
うんこ為の介は内心ほっと胸を撫で下ろし、どっか!と畳の上に座った。
座ったうんこ為の介は思った。
・・・麻雀で国士無双も出した。小説も書いた。ドラゴンと戦い、失禁し、笑っていいとも!にも呼ばれた。
鉱山採掘現場の酒保で下っ端の使役奴隷として働いたりもした。漫才師にもなったし
散々ケツを掘られ、サディストの大男の肉奴隷にされたりもしたし、歓楽街のゴミ集積所でアルミ缶を漁りもした。
しかしそれも今となってはいい思い出だ。
でも二度とそんな目にはあいたくはない。
もう僕はヘイドレクではない。うんこ為の介なのだ。ちょん髷を結い、赤い褌を引き締め、
両手にコカコーラの空き瓶を持ちながら相撲甚句を歌う男、うんこ為の介だ。
これからの人生は相撲甚句と共に歩んでいこう。
頭には髷がある。両手には瓶がある。股には褌がある。そして心には相撲甚句がいつもある。
ああ、なんてすばらしいんだ!僕は佐渡で相撲甚句を歌いながら生活していこう!
そう心に誓った。
723名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 00:08:37
誓いを立てたその日に、ヘイドレクは死んだ。
犬に噛まれて、死んだ。
医者は爆笑した。「わははははっ。今度は、オレのせいじゃないもんね!」
「わははははっ。そうですそうです。運び込まれた時にはコイツ、手遅れでしたからね!」麻酔医もつづいて大爆笑。
「わははははっ」
「わははははっ」
「わははははっ」
手術室内の全員が腹を抱えて床を転げ回った。
誰ひとりとして、ヘイドレクの死を悲しんでいなかった。
724名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 09:12:48
でもやっぱりうんこ為の介は復活した。今日放映される「華麗なる一族」が観たいからだ。
復活したうんこ為の介は、自分を噛んだ犬を蹴り殺し
大笑いした医者とか麻酔医を金槌で殴り殺して溜飲を下げた。
下げた後、自販機でコカコーラを買って飲んだ。そしたら自販機から
725名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 16:19:15
自分のキンタマが出てきた。
726名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 16:47:16
驚くヘイドレク。
見ると自分の股間にキンタマが無かった。
そしてチンコもなくなっていた。
「うおおーっ」
叫ぶヘイドレク。

とりあえず黒バイブをガムテープで股間に貼り付けた。

チンコを取り戻した気がした。
727:名無し物書き@推敲中?::2007/03/11(日) 18:46:26
だが、肉体の変調は顕在化していた。
まず声がソプラノがかって高くなり、幼くなっていた。
そして胸は、まるでエアバックをじょじょに膨らませるように大きくなり
シャツを襟から弾き飛ばしていた。
同様に尻も肥大化し、穿いていたジーンズが空気でも入れたようにパンパンに
腫れ上がり、前のボタンを引きちぎっていた。
それに合わせウェストが締め付けられかのごとく細身になっていた。
何故か丁髷の結わえていた紐は切れ、落ち武者姿になった思いきゃ
カッパ状態の禿から髪が生え、肩のあたりまで伸び、長髪になった。
バキゴキゴキゴキ…全身の骨格が強引な形で変えられていく、按摩サンに
百人がかりで全身を矯正されるようで、かなり痛い
「っああああああああああああああああああ」
叫び声は確実にオンナノコにものだ。
脳、髪の艶、肌、生殖器、体脂肪率、全てが♂から切り替わっていく…

728名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 18:59:33
そしてヘイドレクは女性と交わることなく三十年を過ごした。
二十年目に魔法が使えるようになり、三十年が近づいた頃には妖精と友達になれた。
災い転じて福となす。――チンコを失ったことにより、ファンタジーワールドが幕を開けた。
729名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 19:14:18
それは葛西のハローワークから始まった。
今日も求人窓口の列に並ぶヘイドレク。
その目は労働意欲に燃え、光り輝いていた。
「よ〜し、今日もバリバリ仕事するぞ!ダンボール積載でも工場内軽作業でもドンと来い」
ヘイドレクは微笑んだ。
自分が生まれ変わった気がしたのだ。
730名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 19:22:29
ライトバンに乗せられて連れて行かれた先は自動車部品工場の貨物倉庫だった。
そこで納入した部品を各ラインへ仕分けし運搬するという日本経済にとってきわめて重要な仕事だった。
朝8:45に倉庫前の納入業者用トラック待機エリアに集合するライン工達。
その群れの中に笑顔のヘイドレクがいた。
ライン長が2〜3分ほどの短い演説を終え、注意事項を伝達するとライン工たちは
各部署へと散っていった。
始業のベルが鳴ると共にコンベアが稼動しだす。それと共に積載されたダンボール
箱がそれぞれのラインへと流入してゆく。

ヘイドレクは笑顔で作業を始めた。

時給は700円だった。
731名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 19:31:29
初任給。

社会人一年生には、
「パーッと使っちまいてぇんだけど、親にプレゼントが相場かなぁ」
と高揚と落胆を一度にもたらせてくれる特殊な金銭である。

ヘイドレクは両親を犯して殺したため、上記の落胆はない。
あるのは久々に、いや初めて大金を手にしたという高揚のみだ。

「ゴートゥーDMC!」

これでクラウザーさんのアルバムを買うんだ!
意気込んで開けた、ありえない程にぶ厚い封筒の中身。それは……



ペリカ。
732名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 19:32:49
「ボク、妖精と話せるんだよ…」
ヘイドレクは同じラインに並んで仕事をするフリーター崩れに自慢げに言った。
「へえ、本当かよ…」
周りの連中は面倒臭そうに答えた。生産調整で毎日ラインに並ぶ単純労働作業員の数が入れ替わるのに
一々こんな電波と親しくしようとする奴はいなかった。

…休憩時間、ヘイドレクは中庭でパック牛乳を飲みながら妖精と話をした。
妖精はヘイドレクの耳元で囁く。
(ライン長のオヤジがお前のケツを狙っているぞ、ヘイドレク!アイツはホモだからな。お前の
形のいいケツを眺めてうっとりとしてたぜ!)
そういうと妖精はニヤリと笑った。
「…な、何だって!ゆ、許せない、あの野郎!」
ヘイドレクは怒りに震え、立ち上がった。そして傍らに落ちていた鉄パイプを掴んだ。

…一時間後、ヘイドレクはライン長を鉄パイプで殴り重傷を負わせた。
そして周りの工員達に取り押さえられながら半狂乱になって
「妖精が教えてくれたんだ!妖精がボクに教えてくれただよ!」
と、叫んでいた。

警察病院で、ヘイドレクは乖離性人格障害と診断された。
733名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 19:50:55
警察病院の一室に監禁されたヘイドレクは
「…ボクは悪くない。悪戯な妖精のお茶目なジョークのせいなんだ…」
と、真っ白な壁に向かってうわ言を言い続けていた。
それを観察していた精神科医は少し溜め息をついた。そして
(もはや救いようがないな…)
と悲しげに呟いた。

「名前はヘイドレク…変な名前ですね。罪状は暴行ではなく傷害罪になる模様です。
ただし責任能力の関係で刑は多少減じられると思いますが…」
精神科医の後ろに控えていた公選弁護人が言った。
「それにしても哀れですね、彼。ファンタジー作家を夢見ていて、いつしか自分がフ
ァンタジー世界のヒーローだって妄想に達してしまって…こういうのをアスペルガー
残飯って言うんでしたっけ?」
「…ええ、可哀相ですよ。知能障害に加え、若年性痴呆症の初期症状が既に出てます
この分だと障害者保険の申請をなして、一刻も早く授産施設に入れてあげるのが慈悲
だと思います」
医師は答えた。
「ならば、今回の被害者への保障は労災での認定如何にかかってるわけですね…」
そういうと弁護士は一例して、警視庁の刑事と一緒に部屋から出て行った。

医師は尚もヘイドレクを観察した。
(…まあ、もう社会復帰できないんだからな。人体実験の検体にでもなってもらうか)
そう言って咥えたタバコに火を付け、微笑んだ。

「ボクは魔法を使えるんだぞ!…これが魔法のステッキなんだぞ〜!」
ヘイドレクは叫んだ。そしてパンツの裾から勃起したペニスを引っ張り出して右手で
擦り始めた

…数分後、ヘイドレクは白い壁に向かって思いっきり射精した。
734名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 20:06:39
ヘイドレクは、ハッとした。
「たしか>>726で俺のチンコはなくなったはずだ。なのに、射精ができるわけがない!」頬をつねってみる。「夢だ、これは夢に違いない!」
735名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 20:10:48
残念だが現実だった。
チンコを失ったという方がヘイドレクの妄想だったのだ。
人格障害が進み、現実と妄想の境界線をどんどん失ってゆくヘイドレク。

警察病院から障害者支援施設へと送られたヘイドレクは相も変わらず貧弱な
ペニスをシゴき続けた。

…精液が尽きるまで。
736名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 20:17:24
「…ヘイドレクの栄養状態は如何ですか?」
精神科医は授産施設の担当者に電話で聞いた。担当者はわざわざ患者さんのために
こんなところまで電話してくれる医師がいるなんて素晴らしい、と精神科医を褒め
「ええ。だんだん良好になってきてますよ…長いこと貧乏な食生活を続けたせいで
相当悪化していたんですが、此処に来てからは食事もちゃんと食べてますよ」
と答えた。
精神科医は2,3お世辞を言い、電話を切った。
そしてキャビネットの上のシガーケースから葉巻を取り出し、ウェンガーナイフで
吸い口を切断した。そしてジッポで火を点すと大きく煙を吸い込み、天井に向かって
吐き出した。

(まあ、一ヶ月ってところだな…あのヘイドレクという阿呆をクスリ漬けにして解剖
するのは…)
そう思った精神科医は、友人の外科医のところに内線連絡を入れた。
737名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 20:22:45
その友人の外科医は何者かによって、殺されていた。
738名無し物書き@推敲中?:2007/03/11(日) 20:30:02
捜査線上にはヘイドレクの弟の名前があがった。
ヘイドレクと赤ん坊の頃に生き別れとなったヘイボロクの名が!
739名無し物書き@推敲中?:2007/03/12(月) 05:05:41
だが実際はそんな奴は居なかった。
そして外科医は別に殺されては居なかった。
すべてヘイドレクの希望的憶測であり、病的妄想の産物に過ぎなかった。

現実のヘイドレクは今、病院の外科病棟にある公開手術室の手術台の上に居た。
両手両脚を革のベルトで拘束され、肛門には巨大な電極がぶち込まれていた。
貧弱なペニスにはカテーテルが挿入され、手術台の下にある排泄物用のバケツに
黄ばんだ尿をチョロチョロと吐き出す。全裸のヘイドレクの肌は汗ばみ、脇腹
やあばらに向かって汗の雫が流れ落ちる。

「ハアッ!ハアッ!ハアッ!…」
ヘイドレクは天井を見上げながら浅く早く呼吸を繰り返していた。かつて毒虫に
産み付けられた卵が体内で孵化して脳にまわり、大脳真皮質をアチラコチラ蚕食
してしまったせいで大幅に知能が低下してしまったヘイドレク。
自分が今どこに居るかも、何をされるのかも理解してはいないが、これから自分
が酷い目に合うということだけは本能的に察しているようだ。

「…酷い汗ですね」
手術助手を務める若手の外科医の一人がそう言うと、ヘイドレクの額に浮かび上
がった汗をコットン布でふき取った。しかしヘイドレクの汗は止まらない。そして
益々息が荒くなり、ついには唸うような声を発した。
740名無し物書き@推敲中?:2007/03/12(月) 05:06:17
「うわああーっ!」
ついにヘイドレクは悲鳴を上げた。それと同時に肛門に刺さっていた電極が勢い良く
抜け、大量の糞が噴出した。液体状の下痢便が手術台の下の排泄物用バケツをはみ出し
て床まで汚した。

「あーあ…またかよ。コイツはいつもその辺に糞を垂れたり小便漏らしたりすんだよなぁ」
茶髪の看護婦が毒づきながらタバコを灰皿でもみ消し、手術室脇のロッカーからモップと
バケツを取り出した。そしてヘイドレクを憎憎しげに一度睨むと、汚れた床を掃除し始めた。

そして外科医師たちが手術室に入ってきた。それと同時にワゴンにはメスやカンシ、糸ノコ
やペンチなどの金属器具が並べられてゆく。手術助手達はヘイドレクの横たわる手術台のまわり
に整列すると、外科部長がヘイドレクの傍に立った。そして興奮して身体を揺すっているヘイ
ドレクの顔を覗きこんだ…その目はまるで、道端の石ころを見ているように冷めていた。

「メス…」
外科部長は傍に控える助手に声を掛けた。
741名無し物書き@推敲中?:2007/03/12(月) 05:28:07
助手は傍らのダンボール箱から素早くヒヨコの雌を選別し、医者に手渡した。
ピヨピヨピヨ。ピヨピヨピヨ。ピヨピヨピヨ。
その場にいた全員が和んだ。マスクに覆われている口からは白い歯がこぼれているに違いない。皺の寄った目尻が、垂れている。
「ヒヨコはとっても可愛いにゃあ」ヘイドレクは、呟いた。
742名無し物書き@推敲中?:2007/03/12(月) 06:32:26
しかしハードファンタジーを志すこのスレではそんな面白くも無いギャグに逃げるつもりはなかった。
「そうっ!残虐表現だっ!それこそが我々アスペルガー残飯の目指す真のファンタジーなのだ!」
外科医は手にしたメスを握ると、恐怖で泣き叫ぶヘイドレクのどてっ腹に向かって一気に振り下ろした。

「ぎゃあーっ!!」
凄まじい激痛がヘイドレクを襲った。痛みのあまり手術台の上で大暴れするヘイドレク。しかし助手たちは
ヘイドレクの身体を押さえ、抵抗を許さなかった。何度も痙攣するようにバタつくヘイドレクの肢体は助手
たちの腕の下で強張る。それと同時にヘイドレクは再び脱糞し、同時にカテーテル管の中に思いっきり放尿
した…おそらくは腎臓(すでに一つ売り払っているため、残ったほうのやつ)までメスの切っ先が達したので
あろう、尿には鮮血が混じり、屎尿用バケツの中は真っ赤に染まった。

「ふぎゃーっ!ふぎいいっ!」
屠殺される豚のような鳴き声を発するヘイドレク。その表情を笑いながら見下ろす外科部長はヘイドレクの目を
見つめながらさらにメスを深く押し込む。同時にヘイドレクの腹の傷口から血が噴き出し、外科部長の顔一面に
降りかかった。そして腹圧が高まり、ヘイドレクの腸が傷口からモリモリと盛り上がってくる。まるで巨大な
ミミズのような小腸がヘイドレクの腹の上にまで溢れ出て、色白の肌にドス黒い血を吐き出した。

「カンシッ!」
外科部長は助手に声を掛ける。助手は瞬間的に反応し機械のように正確にカンシを外科部長の手に乗せた。ヘ
イドレクの腹の裂け目から一切目を逸らすことなくカンシを受け取った外科部長はヘイドレクの腹の傷
にカンシを固定した。

額から流れ出る外科部長の汗を、看護婦が素早く拭った。
743名無し物書き@推敲中?:2007/03/12(月) 06:33:16
ヘイドレクはもはや抵抗を止めた。激痛が彼の精神を完全に粉砕したのだ。それはある意味最後の
慈悲であったのだろう…大量に血便を垂れ流しながらヘイドレクは天井を見上げ、へらへらと笑っ
た。そして口から大量の血を吐き出して咳き込んだ。

すると傍の助手が素早く吸引管を手に取るとヘイドレクの口をこじ開けてそれを突っ込んだ。同時に
スイッチをオンにするとヘイドレクの喉奥に溜まった血痰を吸引し始めた。
アクリル製の透明な吸引管には赤黒い痰混じりの粘液が吸い込まれてゆく。

…外科部長は手際よくヘイドレクの内臓を探った。そして
「…見つけた、見つけたぞっ!」
と、興奮した声で叫んだ。すると周囲の助手達も
「おおっ!」
と感嘆の声を上げた。

外科部長は丁寧にヘイドレクの腸を掻き分けた。そして脾臓や胆嚢を脇に寄せ、さらに傷つけて
しまった腎臓を上に避けた。赤黒い肝臓と胃、そして右肺の辺りに目当てのものを発見した。

…それは直径10センチほどの、楕円形の物体だった。

…卵、である。
744名無し物書き@推敲中?:2007/03/12(月) 22:51:06
その卵が割れて、中から不気味な生き物が姿をあらわした。
無毛の肌に緑と赤のマダラ模様。体中から、無数の触覚が生えている。
その生き物は手術台の上から飛び降りて、水掻きの付いた四肢もおぼつかなく歩き出した。
近くにいた麻酔医に身をすり寄せる。見上げた黒目がちの瞳だけは、愛らしい。
麻酔医はしゃがみ込んでその生き物に触れた。「ひとに、なつくんですね。この……ぐほっ!」

麻酔医はおこりにかかったように体を痙攣させ、ぶっ倒れた。
白目をむいて口からブクブク泡をふいている。
麻酔医は、死んだのである。
745名無し物書き@推敲中?:2007/03/13(火) 19:33:32
「バ、バケモノッ!」
手術室に集った医師たちは次々に叫んだ。後ずさりする彼らをよそに、その醜悪なバケモノはいきなり
身体をモゾモゾと痙攣させた…まるで変身するかのように。
硬直する医師たち…恐怖のあまり尿をもらす看護婦…その中でバケモノはゆっくりと粘液質の肌を破っ
てゆく。そしてその下からは、無数の節足を持ち、巨大な複眼を持つ極彩色の巨大な虫が現れた!

全長は約1メートルほど…甲冑のように黒く硬い胸部からは少なくとも十本以上の蜘蛛のように長い
節足が生えている。棘の入った硬く黒い節足の先にはナイフのようにギラリと光る鉤爪が、それぞれ
の節足の先端についている。そして巨大に膨れた腹部は…不気味なほどに鮮やかな赤と緑の縞模様を
描き、バケモノが呼吸するたびに大きく膨張収縮を繰り返す…そしてその先の尻には、真っ黄色の長
い毒針が伸びていた。

「シャーッ!」
まるで哺乳類の肉食獣に酷似した口元から空気を切り裂くような鳴き声を上げたバケモノ…おそらく
医師たちを威嚇しているのだろう…バケモノは先ほど自分が毒針で刺し殺した麻酔医の死体にゆっく
りと圧し掛かり、長さ15センチはあるであろう長い犬歯で麻酔医の胸を裂いた。
バケモノの咀嚼力は予想外に強いらしく、麻酔医の肉体は始めの一噛みで引き裂かれ、唖然として
見守る医師団の顔に血飛沫が飛び散った。
746名無し物書き@推敲中?:2007/03/13(火) 19:34:05
大きく見開いた顎で麻酔医の内臓を食いちぎるバケモノ。手術室の中にグチャグチャという
不気味な音が響き渡った。バケモノは時々ゲップするように唸り声をあげ、そのたびに医師団
の方に向き直った。無機質な色彩を放つのその巨大な複眼に射すくめられた医師団は、その場
で動けないまま立ち竦んでいた…恐怖と、そして興味が彼らの中で激しく交差する。

バケモノは麻酔医の頭部に向かう。毒により顔面が紫色に染まり、肌には数ミリの血腫が無数
に浮き上がったその顔は通常の2倍ほどに膨れ上がり、もとの人物の容貌を失わせていた。
目や鼻、口元からは黒ずんだ血が溢れ出て頬を流れている…凄まじい毒だ、と誰もが思った。

バケモノは麻酔医の死体の表情を見下ろした…無論その表情は読み取れない。
しばしの時間が流れる…見下ろしたまま微動だにしないバケモノ。それを注視し生唾をゴク
リと飲み下す医師団。静まり返った手術室に、壁に掛けられた時計の秒針が時を刻む”チッ
チッ”という機械音だけが響く。

するとどうであろう、麻酔医の死体が徐々に変化してゆく。頭の形が少しずつであるが変化を
しているのだ。”ゴキゴキ”となにやら硬いものを砕く音がし出した…その音は少しずつだが
確実に大きくなっている。
それは麻酔医の死体の頭蓋骨の内側からだった。紫色に膨れ上がった麻酔医の頭が、その音が
するたびに小刻みに動く。そして額やこめかみの辺りの皮膚が破けた…内側から何か尖った
もので突き破ったように見える。そしてその傷口からは明るいオレンジ色の粘液がドロリと
溢れ出た。
747名無し物書き@推敲中?:2007/03/13(火) 19:34:46
「ひいっ!」
医師団の何人かが短い悲鳴を上げた。しかしそうこうしている内にもコツコツと刻み付けるような
音は続き、麻酔医の頭はどんどん形を崩してゆく。
バケモノはその様子を、身じろぎせずにジッと見下ろす…機械のように。

ガキッ!と、突然乾いた音に変化した。ついに中の者は麻酔医の頭蓋を破ったのだ。そしてその穴から
明るいオレンジ色の粘液がドクドクと流れ出た。

…医師たちの表情は最高潮だった。実験が成功したのだ、と誰もがそう確信した。長年に渡る研究の成果
が今、この手術室の床の上に現れる…それが医師たちを興奮させた。命が失われるとも知らずに。

麻酔医の頭蓋骨が噛み砕かれる音がした。砕かれた穴からはヒクヒクと蠢く黒光りした触覚が何本も覗く。
そして無数の鉤爪が麻酔医の頭蓋にへばりついた肉を貪った。

「…つ、ついに成功だ!我々は我々自身の技術だけで、全く新しい生命を創造したのだぁ!」
研究部門のトップを勤める外科部長は叫んだ。その声は興奮に震えている。
その声を聞いた若手の医師たちも、顔に満面の笑みを浮かべた…狂気とともに。

「グガキッ!」
一際大きい音が響き、麻酔医の頭部が完全に崩壊した。その瞬間、雲霞のように無数の羽虫が
飛び出してきた。
「ヴヴァーッ!」
凄まじい羽音を立てて手術室を飛び交う数十匹の羽虫たち…その大きさは5〜6センチほど。成虫のバケモノ
とは違い、所々に赤い斑点の入った真っ黒な甲虫だった。

「うわあーっ!」
医師団たちは我に返った。実験が成功したということは、今この手術室に居る自分達の命が危険だということ
を思い出したのだ。我先にと出口に向かう医師団たち。しかし、外への扉は開かなかった…プロジェクトリー
ダーの牧原孝之の指示だった。

「あけろっ!開けてくれっ!」
医師たちの叫びが虚しく響いた。
748名無し物書き@推敲中?:2007/03/13(火) 19:35:37
その様子を監視カメラの映像で見守る牧村孝之。
「…如何ですか?局長閣下」
牧村は横で葉巻を咥える「局長」に向かって尋ねた。局長は葉巻の煙を大きく吸い込むと
鼻から吐き出した。甘い煙の香が部屋中に充満してゆく。
「…悪くないね、牧村大尉。研究予算を増額するように戦略情報部に言っておくから、この
方向性で行きなさい…」
「局長」は静かな口調で言った。そしてゆっくりと立ち上がると、凄まじい美人の秘書を従え
監視室の自動ドアを開けて出て行った。

牧村は再び監視カメラの映像に目をやった…地獄だった。
黒い甲虫たちは医師たちに襲い掛かり、目や鼻、耳や口、肛門などありとあらゆる穴から侵入し
医師たちの肉体をズタズタに食い破っていく。一方最初のバケモノ…母体となった間抜けなファ
ンタジー作家志望の男の名前を取って”ヘイドレク1号”…は、立ち尽くして笑う外科部長に
踊りかかると、その頭からバリバリと噛み砕き、食い殺していった。

(悪いな…この研究は他に漏らすわけにはいかないんだよ。)
映像を見ながら牧村は呟いた。そして小さな声で
「クククッ!」
と少し笑った。

一方ヘイドレク本人は、凄惨極まる地獄の中で腹が裂けたまま横たわり、何故か勃起していた
自分のチンコをしごき始めた。
数分後、ヘイドレクが射精すると、その精液はカテーテルを伝って手術台の下の排泄物用バケ
ツに滴った…その頃には”ヘイドレク1号”と甲虫達は餌である人間の子供の生肉に釣られて
別室へと移動していた。

一人取り残されたヘイドレクはへらへら笑った。狂った頭は完全に修復不能だった。
749名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 01:11:04
その頃、火星の近くにあるスペースコロニーでは大事件が起こっていた!
750名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 01:54:23
火星のコロニーの話の前に…

病棟内に解き放たれた甲虫たちは次々と患者や職員達に襲い掛かった。
大柄な人間はその場で食いつくし、一方で若い女性や子供のように肉が柔らかい人間には
”ヘイドレク1号”が毒針で仕留めたあと、甲虫たちがその肉体に産卵していった。
病棟内の方々で断末魔の悲鳴が上がり、血飛沫が飛び散った。食いちぎられた肉片や内臓
が廊下に散らばり、その肉を甲虫の幼虫達が貪り食っている。数千匹もの蛹の繭が壁一面に
びっしりと張り付き、そこから羽化した甲虫たちが飛び立つ。一日もしないうちに甲虫の
群れたちは数万に達した。

「…素晴らしい!これでこの実験も成功だな」
牧村孝之はその病棟から10キロメートルほど離れた位置に置かれた監視用研究棟の一室で
そう呟いた。薄暗いその部屋の中で一際明るく輝く20余りのモニターには、病棟内での惨劇
が映し出されている。隠しカメラの映像は事のほか鮮明で、映像を見ている職員の一人は思わ
ずゴミ箱の中に胃の内容物を吐いた。
「これだけの攻撃力があれば、腐れチョンの租界を数日以内で制圧可能だな…」
牧村はダビドフのシガーを加えると、その先端にジッポで火を付けながらそう呟く。実験の技術
担当トップの真田康宏技術大尉はその声を背後で聞きながら、無言でモニターのデータを読み取
っていた。
「…牧村大尉、8時間で甲虫”マンバ”は約5万匹まで増殖しました。職員及び精神病棟の患者
総数145名は全滅…素晴らしい戦果だと思います」
淡々とした口調で真田技術大尉は牧村に言う。

牧村はタバコの煙を大きく天井に吐きかけながら
「…防御シールの作動状況は?とりあえずプロジェクト第一期はこれで〆だ。ゾマンガスで”マンバ”
を至急絶滅させ、海兵隊一小隊を調査に送り込め…”ヘイドレク1号”は爆破しろ」
そう命じた。
751名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 01:55:05
病棟内部では今だ惨劇が続いていた。
追い詰められた職員達が病室の一つに立て篭もってバリケードを設営し、侵入しようとする甲虫に向けて
簡易バーナーの炎で焼き殺していた。しかし全てを防ぎきることが出来ずにバリケードを突破した甲虫に
よって肉体を食い破られ、身体に卵を産み付けられていった。
「…くそっ!なんだよこいつらは!」
「次から次へと湧き出てきやがるっ!」
職員達はそう毒づき、あるものは戦い続け、べつのあるものは食い殺されていった…。

「…ガチャガチャッ!」
突然天井の辺りから物音がした。しかし甲虫たちのけたたましい羽音でそれに気付いた
者は誰一人いない。無論甲虫たちも…。
そして病棟中の全ての部屋、廊下の天井に直径2〜3ミリほどの小さな穴が無数に開いた。
さらに病棟のありとあらゆる場所に仕掛けられていたゾマンガスのタンクの排出口のバルブ
が開放され、気化器に向かって内容物が流れてゆく…そして
「…シューッ!」
静かな噴出音と共に無味無臭無色透明のガスがゆっくりと吐き出された。

「…?」
病棟奥の病室の一つで、精神分裂症の若い女性をレイープしながら食っていた”ヘイドレク1号”は異変を
察知した。そして半ば喰いかけた精液塗れの女性の死体を放り出すと病室から飛び出した。
…そして”ヘイドレク1号”は見たのだ…彼(or彼女)の可愛い子供達が無残に転がっているのを。

同時に”ヘイドレク1号”は息苦しさを感じた。僅か100万分の1グラムで大人一人の致死量に充分な
ゾマンガスであったが、”ヘイドレク1号”にはそれほど効果は無かった。しかし息苦しさは多少感じた。
「ウッ…ウオオッ!」
”ヘイドレク1号”は声にならない叫びを上げた。
752名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 01:56:06
そして”ヘイドレク1号”は自分の体内から機械音がするのを感じた
(…爆弾?)
言葉を理解していれば”ヘイドレク1号”はそう思っただろう。だが、”ヘイドレク1号”は直感的
に自分の危機を察した。そしてその瞬間、自分の腹を自分の顎で裂き、その中に長い触手を侵入させた。
オレンジ色の体液が腹の裂け目から溢れ出てくる…さらに食い殺し未消化のままの人体の残骸も傷口
から出てきた。”ヘイドレク1号”はそんなことは一切きにせずにどんどん腹の中を探り、時限爆弾を
発見するとそれをつかみ出した。そして廊下の向こうに投げつけた。

「…牧村大尉、ただいまヘイドレク1号を破壊しました」
…データモニターから爆発の衝撃を読み取った真田技術大尉は牧村に告げた。牧村はそれを聞くと無線の
スイッチを押し、
「よしっ!海兵隊第7小隊の三島中尉っ!病棟内部に潜入せよ…第一級先頭装備、全員防護服及びエアボ
ンベ装着確認!生き残りを発見次第全て殲滅しろっ!これは訓練ではない、実戦であるっ!」

第7小隊の面子合計25名は病棟の周りに素早く展開した。そして正面玄関に集うと副隊長の斉藤少尉が
リモートコントローラーを取り出して自動ドアの設定をマニュアルに変換した。
斉藤少尉が顎で合図を送ると岩下軍曹以下10名の突撃隊がドアの前に素早く移動し、ドアが開くと同時
に玄関ロビーに向かって突入した。

…玄関ロビーは文字通り地獄だった。引き千切られた人体のパーツが血まみれで散らばっている。ロビー
じゅう一杯に赤い斑点を持つ黒い甲虫の死体が転がっていた。あるものは人肉の切れ端を咥えながら、別の
あるものは人間の肉の塊に頭から食い込みながら。

…戦場慣れしている小隊の面々もこの凄惨な光景にショックを受けた。しかし動揺することが戦場でいかに
危険かを知りぬいた男達である、ガスマスクの奥の表情は引き締まり、取り乱したものは居なかった。
753名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 01:57:00
玄関ロビーから奥に向かってはエレベーターホールと階段、そして内科及び小児科の診察室が
並んでいた。さらにその奥へ向かうと婦人科と形成外科の診察病棟と処置室だ。
その辺りに転がっている死体の殆どは食いちぎられた者より、内側から食い破られた者が多い
…女性と子供が多かったためだろう。現に床には黄ばんだ色をした芋虫の死骸が転がり、小隊
の兵士が歩くたびに靴の下で潰れて赤茶けた体液を飛び散らせた。

「…カツーン カツーン…」
階段のある辺りから靴音が響いた。兵士達はその瞬間一斉にそちらに振り返り、銃口を向けた。
岩下軍曹は右手をサッとかざし、射撃を制した。兵士達は動かない。銃を階段方向へ向けたまま
ジッと足音の方向を注視していた。

「カツーン カツーン」
尚も足音が響く。しかも確実に下に降りてきている。
兵士達の緊張が高まった。

そしてそれはついに姿を現した。
それは、乳幼児と若い女性の死体を喰らいながら病棟を移動してきた”ヘイドレク1号”だった。

その姿を確認した瞬間、兵士達は一斉に射撃を開始した。
754名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 02:31:22
「何事だあっ!」
岩下軍曹のイヤホンに三島副隊長の声が響いた。岩下軍曹は
「ヘイドレク1号です中尉!奴は…奴は生きてます!」

続けざまに火器が火を噴く。その銃弾を全身に浴びたヘイドレク1号は肉体のアチコチが引き千切れ
オレンジ色の体液が飛び散った。
巨大に膨れ上がった腹には機関銃の銃弾が集中し、弾け跳んだ内臓が病棟のクリーム色の壁にへばり
つく。同時に産卵管に詰まっていた卵が弾け、未成熟の芋虫が階段ロビーで蠢いた。
朦朧とする意識のなかでヘイドレク1号は自身の死を悟った。
しかしこのまま黙って死を受け入れるつもりは毛頭無かった。

「撃てーっ!」岩下軍曹は兵に命じ、自身も背負っていた軽機関銃に曳光弾を装着するとヘイドレク
1号の居る辺りに向けて引き金を絞った。壁の漆喰が砕け、火炎物が燃え盛る中で床に散らばった卵
や幼虫は燃え尽きる。

ヘイドレク1号は銃弾の嵐の中、最後の力を振り絞って跳躍した…既に羽根は引き千切れ、使い物に
ならなくなっていた。そして兵士達が展開する玄関ロビーまでの15メートルほどの距離を瞬時に詰
めた。

「ウギャーッ!」
兵士の一人が凄まじい悲鳴を上げた。その兵士の身体にはヘイドレク1号が圧し掛かり、長い毒針で肉体
を串刺しにしたのだ。
動揺する兵士たち。
しかし岩下軍曹はヘイドレク1号に駆け寄ると軽機関銃の銃口をヘイドレク1号の頭部に突きつけて引き金
を絞った…が、その瞬間、ヘイドレク1号は岩下軍曹の喉笛を巨大な牙で引き千切った。

岩下軍曹はその場で即死した。そしてヘイドレク1号は岩下軍曹の肉体を貪り食う。

突然、正面玄関からグレネードランチャーが飛んで来て、ヘイドレク1号の肉体を吹き飛ばした。
「総員、退却っ!」
玄関口から三島中尉の叫び声が響く。兵士達は素早く玄関ホールに向けて掛けた。と同時に2発目のグレネード
がヘイドレク1号の肉体を粉砕し、斉藤少尉の手にした火炎放射器がロビー全部を焼き払った。
755名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 02:32:30
数時間後、小隊によって完全に全滅させられたヘイドレク1号と甲虫マンバの死骸の中を、軍の生化学
技術陣が歩き回っていた。
方々で
「凄い…此処までの威力があるとは!」
「これは使えますね…問題はマンバの拡散ですが、第三世代以上の繁殖能力を与えなければ問題は解決
出来るとおもいますが…」
と、口々に研究成果について議論を始めている。

一方、牧村大尉は監視塔の一室で三島中尉と斉藤少尉から戦況報告を受けた。
その傍らで美人秘書、中野慶子少尉が素早く口述筆記をしてレポートにまとめる。
一般兵士達は岩下軍曹の死を悔しがりながら武装を解除し、解毒剤や抗生物質を与えられて飲み下していた。

…そのころヘイドレク本人は、地下の手術室で一人マスターベーションにふけっていた。
腹のすいたかれは、死亡し甲虫マンバに食い散らかされた麻酔医の死体の肉を貪り食っていた。

そして舞台は火星近くのスペースコロニーへと移る…
756名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 04:00:02
文机に置かれた原稿用紙を前に、作家は苦悩していた。
「か、火星のスペースコロニーについて、何も書けえええん」インク瓶を鷲掴み、壁に投げつけた。
757名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 05:04:18
「そんなことで貴様…アスペルガー残飯を名乗る資格があるのか?」
背後から声が掛かり、>>756の頭に銃が突きつけられた。
驚いて振り返ろうとする>>756であったが、いきなり銃身で後頭部を殴りつけられて
机に突っ伏してしまった。
鈍い痛みが頭の中でガンガン響き、意識が遠のく>>756
そんな>>756の頭に再び銃口が突きつけられ、そしてゆっくりと引き金が引き絞られた。

「…ゴウンッ!」

低い銃声が部屋中を響くと同時に>>756の頭蓋が弾け飛び、机の上の原稿用紙に血と
脳漿が飛び散った。

>>756の背後に立つ男は銃を懐にしまった。そしてサングラスの奥から表情のない目で
砕け散った>>756の頭蓋を見下ろしながら呟いた。

「貴様ごときに、アスペルガー残飯を名乗る資格は無いんだよ…」

一方、当スレの主人公ヘイドレク例の病棟の地下手術室でオナニーを続けながら、床に
散らばる甲虫の死骸をガツガツ喰らっていた。

そして舞台は火星近くのスペースコロニーへと移る…
758名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 17:56:55
今、>>757を殺してきた。哀れな756をむごく殺した罪を
泣いて悔いていたが、後悔は地獄でしてもらうことにした。
柄の長さが90cmはある大きな斧を振りかざし、>>757を地下の小部屋の隅に追い詰める。
>>757の引き攣った醜い泣き顔から完全に血の気がうせたところを見計らって一挙に
>>757の 両手両足を切断。柄を通して斧の無骨な刃が肉を裂き骨を断ち切る感触がズンと伝わる。
切り口から噴出すコレステロール過剰の鮮血。すかさずレーザー光線で傷口を焼いて止血する。
慈悲からではない。>>757の苦しみを長引かせるために。

>>757の断末魔の苦しみだ。谷間に苦悶の声が延々と響き、異様な効果を醸し出す。
>>757は自業自得だが、 さすがにこちらの鼓膜が辛い。
この間にシャワーを浴び、マッチョな俺の上半身とイケメン顔を汚したけがらわしい返り血を洗い流し、
ついでに斧を研ぎなおした。 作業が終わっても>>757の叫びは続いたが、次第に途切れ、
醜く肥えた腹が痙攣するのみ。
それでは仕上げ。>>757の首を刎ね飛ばす。絶叫が止み、首が床の上で不規則に転がる。
追って流れ出る鮮血が静かに絨毯に染み渡る。
その転がった首、おまけにザクリとぶち割ってみた。中はやはり予想通り生き腐れだ。

>>757よ。地獄で苦しめ。これはお前が自ら望んだ結末なんだ。
めでたしめでたし。

759名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 17:58:02

達成感に包まれ新たな血の臭いを嗅ぎ、俺は最高潮に興奮した。
呼吸は荒くなり 血は下半身に集中してジーンズの股間は突き破られんばかりに盛り上がっている。
もう我慢できねぇ!
血にぬらつく手で苦労しながら ファスナーを降ろすと、チンチンはビクビク震えながら、
たちまちのうちに20cmはあろうかという長さにビンビンと成長した。 隆々と盛り上がった血管が鼓動にあわせて蠢いている。
前かがみになりながら香具師の打ち落とされ、スイカのように割られたぶさまな生首を取り上げると
そのまま口の中に自慢の巨根を一気にぶちこんでやった。ハッハッハ!生フェラだぜぃ!
まだ体温が残るクチャクチャした口腔。ザラリとした舌に、なめらかな歯の感触がたまらねぇ!
いいぜ!オゥ!オゥ!オゥ! 腕の筋肉と股間をびくつかせながら、俺は最高にハイな気分だゼェ!
アヒャ!アヒャ!アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!

>>757の生首の切り口から、赤黒い血を混ぜて、苺ミルク色に染まった精液が
ドロリと流れ出した・・・

760名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 19:01:13
その瞬間、>>759の股間に激痛が走った。
「う、うぎゃーっ!」
大慌てで股間の生首を放り出す>>759。そして自分の痛む股間を見下ろすと、そこにあるはずの包茎ちんこが
なくなっていた。そしてかつて恥垢塗れのチンコがぶら下がっていた辺りからは
大量の鮮血が迸っていた。
「お、俺のチンコがっ!俺の自慢のオリハルコンがあっ!」
股間の傷口を両手で押さえながら絨毯の上を転げまわる>>759。溢れ出す鮮血が絨毯を赤黒く染め、哀れな絶叫
が地下室に響き渡る。

「…クククッ」
豚のような悲鳴を上げてのたうち回る>>759の背後から笑い声が響いた。
>>759は、激しく喘ぎながら笑い声のするほうを向いた。
そして見たのだ。先程斧で切断した>>757の生首がこちらを睨んでいるのを。
その口は大きく開かれ、ギラリと輝く尖った歯の間に、かつて>>759が右手で散々擦り上げた肉茎の残骸が
無残な姿で咥えられているのを…

「あ…ああっ、ううっ!」
言葉にならない声を上げる>>759。その目の前で>>757の生首に切断面から何本もの触手がにょきにょきと生え
生首自身をゆっくりと持ち上げた。そして激しい痛みに喘ぐ>>759に向かって絨毯の上を這うように進んだ。
761名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 19:02:36
「き、貴様は一体、何者なんだ!」
>>759は喘ぎながら尋ねた。すると>>757は大きくかっかっかっと笑いながら言った。

「俺かい?…俺はお前だよ、ヘイドレク」

そして>>757ことヘイドレクは>>759ことヘイドレクに向かって触手を伸ばした。
>>759は慌てて傍らに転がる巨大な斧を掴み、自分に巻き付こうとするピンク色の触手を
なぎ払おうとする。
「くそっ!…寄るなっ、寄るなっぁ!」
何本もの触手が斧によって切断され、その切り口からオレンジ色の粘液が流れ出した。
しかし触手は確実に>>759の肉体に絡みつき、その白癬に罹患し悪臭を放つ短い脚を締め上げ
マスかきすぎて指紋が薄れたブヨブヨの腕をねじった。そして肥満した太鼓腹を押し潰して
ゆく。

「うごおっ!…ぐうっ、ぐわあっ!」
「さあ、ヘイドレクよ。俺ことヘイドレクと融合するんだ…そしてお前も、俺と共にアスペル
ガー残飯として無残で情けない人生を歩むのだ…」
>>757の声を遠くに聞いた>>759は、体内から響くくぐもった破砕音で自分の全身の骨が砕け散
ったのを知った。
762名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 19:03:49
目の前には>>757の巨大な口があった。ズラリと並ぶ尖った牙には、先程食いちぎられた自分の
チンコの残骸が哀れにも引っ掛かっているのが見えた。
触手の表皮からは強酸が分泌され>>757の皮膚と肉を侵してゆく、ドロリと溶解した肉は触手の
吸盤によって吸い取られてゆく、徐々に人間の形状を失い、血まみれの肉の塊に変貌してゆく
>>759はそれでも生きていた。慈悲からではない、苦しみを長引かせるためだ。


「…あ、…あっ、あう」
締め上げられた肺が空気を求め喘いだ。既に>>759の顔は紫色に変色している…見開かれた目
は充血し、救済を求めるように>>757の目を見返す。
しかし>>757は大きく笑った。そして触手のうち、とりわけ巨大な一本を>>759の肛門にねじ込み
ゆっくりと内臓を喰った。
「ふごっ!ふぐうっ!」
小腸をズタズタにされた>>759は凄まじい激痛に襲われ暴れた。
激しく首を振って痛みから逃れようとする>>759の苦悶の表情を見下ろした>>757は、これ以上ない
ほど楽しげに笑った。
763名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 19:04:48
哀れな>>759が死んだのはそれから数時間後であった。
包茎ちんこを食いちぎられ、肺を締め上げられ、全身の骨を砕かれ、肉を酸で溶かされ、
内臓を生きたまま食われ、散々苦しんだ挙句の死であった。

…もはや単なる血まみれの挽肉と化した>>759の死体を見下ろす>>757
「さあ、>>759よ。貴様も戦士たちの眠るヴァルハラへと旅立つのだ…そして俺と共に
ヘイドレクとして生きてゆくのだ…」
そう呟いた>>757は、かつて>>759であった肉の塊を持ち上げると口を大きく開き、頭蓋骨
からバリバリと貪り食った。

さようなら、>>759

君のことは忘れないよ!

そういってヘイドレクは絨毯の上にたっぷりウンコをした。
764名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 19:32:16
そのウンコはある研究所に届けられた。
顕微鏡をのぞいた博士は驚愕した。「こ、これは!」
765名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 20:05:18
「これは!」
驚愕する博士に向かってこのスレの神が一言言った。
「お前、リレー小説でネタを丸投げにして逃げてんじゃねえよ。ちゃんと責任とってつなげろよ」
そう言われた博士はさらに驚愕し、目の前のウンコを美味しそうに食べ始めた。
766名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 20:24:36
「ぼくのウンコ返せ!」
ヘイドレクが殴り込んできた。
767名無し物書き@推敲中?:2007/03/14(水) 20:27:43
手には柄の長さが90cmはある大きな斧を振りかざして・・・
嗚呼!博士の命は風前のともしび!
768名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 06:34:50
博士は机の抽出しから拳銃を取り出した。
769名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 07:33:24
「…もううんざりだよ。僕はこのスレから脱出するよ。」
そうヘイドレクはいった!
「…ひぎい、うがあ!」
ラスボスのヒギイウガア三点リーダビックリマンはいかった!
「…ヒギイ、ウガア!ここじゃあ、オイドンが神でごわす!いじめてやるわい!」
ヘイドレクは仲間を呼んだ。
「777、レス番>>777よ、助けてくれ」
770名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 14:04:28
「これ!ジェイソン!オメ様なにやっとるだよ!」
唐突に響く、中年おばんの声。
へ?ヘイドレクが斧を振りかざしたまま振り向くと、そこに立っていたのは古ぼけたセーター姿の
田舎じみたおばんがいた。
「こんなところで何しとるだよ。早く田舎に帰ってキャンプ場で仕事に精出すだよ。
オーナーさんもジェイソンがいないんでこまっとるだよ。」
「違う、俺はジェイソンなんかじゃない!俺の名はヘイ・・」
「だーかーら、おめはワシのせがれのジェイソンだ!でかい図体してマサカリ振り回すキチガイといえば、
おめしかいないべさ。何だ、面もかぶらねぇで。おめの仕事と言えばキャンプ場で乳繰り合うエロガキを
成敗することだべ?お前が街から消えたせいですっかり治安が乱れ、みんなこまっとるだよ。」
そういいながら、おばんはヘイドレクにホッケーマスクを被せた。
思わぬ展開に唖然としながらもヘイドレクは、
「このおばんについて行って、ジェイソンとやらになりきるのも悪くないか・・・」と内心思った。

「お母さん、ごめん!これから田舎に帰って親孝行するよ!」ヘイドレクは作り笑いをしながら言った。
「そうか、じゃあまっすぐ田舎に帰ろう!飛行機の切符もとって有るべな。来月、四月の13日は金曜じゃ!
早速キャンプ場で若い衆を成敗するんじゃぞ!」

手を取り合ってアメリカの田舎町へ向かう二人を、博士は唖然としながら眺めていた。
771名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 17:48:25
「…ジェニファー!す、凄いよジェニファー!」
クリスタルレイクの湖畔に停車する64年型プリマスの中で、運転席バケットシートの上に座るテッド
は思わず喘いだ。膝までずり下ろされたテッドのジーンズの上に縋りつくようにジェニファーは突っ伏
している。そしてジェニファーの肉感的な唇はテッドのいきり立つペニスを上下しざらつく舌はテッド
の亀頭を包み込むように刺激した。ジェニファーの口元は自身の唾液で溢れ返り、唇が肉茎を這うたび
に、イヤらしくクチュクチュとした粘液質の音を発した。
カーオーディオからはマービン・ゲイのマーシーマーシーミーが流れる。二人の若者の汗と息吹に満ち
た車内はジットリと湿った空気に満ち、フロントガラスは擦りガラスのように白く曇った。
「ジェニファー!…ボク、もう駄目だよ、もうイきそうだよお〜」
テッドは情けないうめき声をあげる。その声を聞いたジェニファーは上目遣いにテッドを見て意地悪く
微笑んだ。そしてもう一度テッドのペニスを深くくわえ込むと、喉奥と舌の表面で亀頭を挟み込み、
首全体を大きくグラインドさせてテッドを思いっきり苛めてやった。
「ああっ、ジェニファー!素晴らしいよ!…も、もう駄目だあっ!」
バケットシートの上で大きく背中を反らせたテッドは、腰全体を痙攣させて絶頂に達し、ジェニファー
の熱く湿った口腔の中に思いっきり射精した。
生臭い大量の精液が、ジェニファーの喉の奥に向かって流れ込み、思わずジェニファーはむせ返ってし
まった…。

ヘイドレクは火星コロニーに向かうのも忘れ、巨大な斧を片手に64年型プリマスに這い寄っていった。
夜露に濡れた草がヘイドレクの服を濡らす。ヘイドレクはそのジットリとした感触に少し嫌な感じを覚えた
が、気にしないように黙って這い進む。
夜霧の中、プリマスフュリーの車体は、雲の切れ間から差し込む僅かな月明かりを反射して赤く輝く。その
車体はぎしぎしと揺れ、中からはアイズレー・ブラザーズのトラックオブライフが聞こえる。
そして車の中では、メロンのような乳房をぶら下げた金髪の娘が、グリースでダックテイルスタイルに固めた
革ジャンの男の上に跨り激しく喘いでいた。
772名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 17:49:03
車まで数メートルの距離…そこでヘイドレクは這い進むのを止めた。そして地面スレスレの位置から
見上げるように車内の様子を観察する。
薄く差し込む月明かりのなかで、十代の娘の柔肌は滑らかな曲線を描きながらわなないた。そしてま
だ桃色の乳頭が緩やかに盛り上がった乳房の上で弾んだ。そしてそのたわわな乳房を、節くれだった
男の手が無造作に這い回り、美しい乳房の形を崩す。そのたびに若い娘は歓喜の声をあげ、跨った男
の腰の上で大きく跳ねた。

(…ち、ちくしょう。こんないい女と…イチャつきやがって!)
ヘイドレクは心の中で毒づいた。しかしヘイドレクの股間は素直だった。自重で地面の草に押し付けら
れた貧弱な包茎ペニスは徐々に熱を帯びる。そしてジェニファーの肢体がヘイドレクの視界のなかで蠢く
度に膨張は始め、ジェニファーの甘い呻きが車内から洩れ聞こえるたびにその硬度を増していった。
ヘイドレクは僅かに腰を浮かせた。そうしなければ自分の貧弱なチンコが自重で押し潰されてしまいそう
だったからだ。

…嫉妬交じりの熱い視線でジェニファーの痴態を覗き込むヘイドレク。
その視線の中でジェニファーは何度も絶頂に達し、快楽に表情を歪めた。そしてテッドの肩に縋りつくと
更なる愛撫を求め、悲鳴に近い声を上げる。

…いつしかヘイドレクは自分のズボンのジッパーを降ろしていた。そしてブリーフの裾から自分の貧弱包
茎ペニスを引っ張り出すと、手にしていた斧を放り出して手の平で擦り始めた。
773名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 17:49:56
「おおっテッド!あなた素晴らしいわテッド!…もっと、もっと私を深く貫いてっ!」
「ジェニファー!…ああっ、君の中はとっても熱いよっ、ヤケドしてしまいそうだよっ!」
車内で絡み合う二人はクライマックスへ向けて激しく上り詰める。プリマスの車体もより激しく揺れ
始め、サスペンションの軋む音が湖畔の林の中に響き渡る。
そしてその数メートル先の地べたにうつ伏せるヘイドレクもまた最高潮へ向かって右手を激しく動か
した。ちんこが地面に接するたびに草の葉や茎の先端が亀頭をチクチクと刺激し、今までのオナニー
ではありえないような快感がヘイドレクを襲う。草に滴る濡れた夜露の冷たさもまた、ヘイドレクの
性感をより高めた。

「ああっ!テッドッ!テッド〜ッ!」
ジェニファーはついに耐えられなくなり、すすり泣くような声を上げて絶頂に達した。そしてほぼ同時
にテッドも天国へたどり着き、二人は大きく痙攣しながら互いの肉体に縋りついた。
ジェニファーの子宮の奥壁に向かって、テッドの熱い迸りが吐き出された瞬間、その数メートル先で
マスターベーションにふけるヘイドレクも絶頂に達し、地面に向かって黄ばんだ精液を吐き出した。

…快感の余韻に浸り車内で喘ぐ二人。互いの目を見詰め合うと、少しはにかむように微笑み、もう一度
肩を寄せ合うと熱いキスをかわした。
その瞬間、
「…ガサッ!」
という物音が外から聞こえた。
ハッとする二人。…緊張して互いを見つめあい、そして曇った窓をセーターの裾で拭うと外を見た。
そして数メートル先でチンコ丸出しで仰向けに横たわる男を発見した。
「キャアッ!」
「だ、誰だテメエッ!」
二人はその人影に向かって叫んだ。そしてテッドは急いでイグニッションキーをオンにしてエンジ
ンを始動させ、ライトを点灯させた。
774名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 17:50:53
…オナニー直後の開放感に浸り星空を見上げていたヘイドレクはハッと我に返った。そしてプリマス
のエンジン音が響き渡った瞬間
(み、見つかったっ!)
と悟った。急いで起き上がろうとするヘイドレク。そしてそのヘイドレクの背後からけたたましいエ
ンジン音を上げるプリマスが急発進した。
(や、ヤバイ、逃げろっ!)
ヘイドレクは立ち上がり、林の中へと逃げようとした。
しかし、膝まで下ろしたズボンとブリーフが脚に絡まり、そのままうつ伏せになって地面に転がった。
プリマスは情けなくスッ転んだヘイドレクのすぐ横を凄い加速ですり抜けると、そのまま林道に向か
って一直線に駆け抜けていった。

(…た、助かったぁ。良かった、見つからなくて…)
ヘイドレクは一安心し、大きく溜め息をついた。しかしその瞬間、自分の股間に凄まじい痛みが走った。
「…ぐうっ」
思わず唸るヘイドレク。そして自分の股間を見下ろした。するとそこは鮮血で真っ赤に染まっていた。
そして、自分の股間にあったはずのチンコがない!
…一瞬、事態がわからず混乱するヘイドレク。

地面には、血まみれのマサカリが転がっていた。その血塗られた刃に、ヘイドレクの包茎ちんこの断片
が無残な姿で食い込んでいた…さきほど転倒した際に、マサカリの上に倒れてしまったのだ。

そして、自分のチンコがマサカリによって…

「うわああーっ!」

誰も居ないクリスタルレイクの湖畔で、ヘイドレクは一人絶叫した。
775名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 18:02:46
泣きながら家に帰ってきたジェイソン、いや、ヘイドレクを、
オカンは虐待した。

ヘイドレクの尻をひんめくり、皮ベルトでベチ!ベチ!ベチ!
柔らかな尻の皮膚は真っ赤にはれ上がって剥げ、滲み出す血が股間の血と交わって
床をぬらしてゆく。
おっかさん、僕は悲しいよ。
ニセジェイソンであるヘイドレクは、自身の本当の母親を思いだしながら涙にくれた。

一方、森の中では真のジェイソンが甦り、ヘイドレクが取り落とした斧を拾い上げた・・・
776名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 18:13:39
※業務連絡:
 そろそろDAT落ちするんじゃね?
 誰か次スレ立ててくれる?
 スレタイは別に何でもいいけど
 ”ヘイドレク”の名前を冠しておいてくれれば有り難い。
 立てたら誘導もお願いね
777名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 18:17:18
>>769
しかし777は君を助けなかった。
778名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 18:19:32
ヘイドレクは布団の中で泣いていた。
しかし心の中には安らぎがあった。
虐待されてもいい。僕には偽者であっても、母さんができたんだ。
おんぼろ小屋の垢じみた布団が、体温でしだいに温まってくる。
涙でぬれた枕も乾きだした。
第一、チンチンがなくなった僕は、もう下卑た欲望とは無縁の体なんだ。
これからは、この怖いお母さんといっしょにつつましく生きていこう。


一方、業務連絡の後クリスタルレイク湖畔を散歩していた776は、甦ったジェイソンに
遭遇してしまった!
ヘイドレクの股間の血と精液で汚れた斧がキラリと光る・・・
779名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 19:57:51
>>776は、死んだ。
ジェイソンに湖畔で遭遇しただけで頓死した。心臓発作だった。
ああ、憐れ>>776>>776の登場および死はこの物語になんの影響も与えなかった。
>>776の死体は人知れず腐敗して森の養分となった。
780名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 20:14:38
そして>>779のカキコはただちに修正された

能天気にクリスタルレイクの岸辺を散歩する776の背後にジェイソンの怪しい影が這い寄った。
776は口笛を吹きながら夜空を見上げ、咥えたタバコの煙を大きく吐き出した。
「ううんっ、いい気持ちだなぁ」
お気楽な776に向かってジェイソンは一歩一歩その歩みを進める。
マスクのしたで鈍く光る目は、776の頭、そして首筋を捉えて離さない。右手に握り締めた巨大な
マサカリが月明かりのなかでギラリと光った。

鋭く尖った刃の先にはヘイドレクの血が滴り、まだ乾かぬそれは音を立てずに岸辺の砂地へと雫を
垂らした。

…一方、チンコを半ば切断し大量出血に喘ぐヘイドレクは心ある医者によって千切れかけたチンコを
なんとか繋ぎとめた。切断される前に比べて3cmほど短くなってしまったが、とりあえずチンコを
取り戻したのだ。
ヘイドレクは随喜の涙を流して医者に感謝の意を述べ、そして下腹部でだらしなく垂れている自分の
チンコを涙ながらに見下ろした。
いびつに繋がったために大きく右に折れたようになったチンコは、繋がった部分にケロイド状の醜い
傷跡を残している。やはりズタズタに裂けてしまった亀頭部分も無理矢理繋げたために複数の節が
重なったような歪なものに変わってしまっている…ただ一つ嬉しかったのは、医者がサービスで包茎
の皮を切除してくれたことだ。それがヘイドレクをとても喜ばせた。思春期以来ずっと包茎に悩まされ
続けたヘイドレクだったが、今この瞬間、自分が大人になった気がした。

「…お医者さん、いつになったらオナニーできますか?」
ヘイドレクは手術用具を診察用カバンにしまい込んでいる医者に尋ねた。医者は手をとめ、ヘイドレクに
向かって微笑みかけると優しい口調で言った。
「まあ、今は無理だよ。やったとしても痛いはずだから。2〜3日ってところじゃないか?」
781名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 20:15:16
「ありがとうございますお医者様っ!」
突然部屋の隅から母が言った…正確には義母であるが。
「ヘイドレクのちんこは治るんですねっ!ありがとう!…ありがとうっ!」
義母は泣きながら医者に縋りついた。医者は困ったような笑顔を浮かべてヘイドレクの方を向いた。
ヘイドレクも困ってしまい、少し苦笑いした。

「…ふうっ!今夜の月は、なんと素晴らしい月なんだ…」
一方776は自分に危機が迫っているとも知らずに湖面に映る月影をながめて溜め息をついた。
うっすらと靄のかかる湖面には、滲んだような満月が波間に揺らぎながら映っている。
春先にしては蒼みかかったその輝きは、季節はずれの虹彩を岸辺の新芽に投げかける。
まだ開ききらぬその蕾たちは、来るべき春に向けて今はひっそりと寝息を立てているようだ。
そんな中で776はゆっくりタバコを吸い、そして虚空に煙を吐き出した。

…ジェイソンはさらに776に近寄った。ラバーソウルのスニーカーは完全にジェイソンの
巨体の足音を消し去り、776はジェイソンの存在に全く気付いた様子は無い。
マスクの下のジェイソンの口元が歪んだ。そして黄ばんだ歯を剥き出しにして声も立てずに
笑った。その目は大きく見開かれ、絞り込まれた瞳孔には強烈な殺意が漲っていた。

ジェイソンは右手に握ったマサカリを大きく宙に掲げた。そして湖面の月影を眺めて立ち竦
む776の頭上に向かって一気に振り下ろした!
782名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 20:16:06
渾身の力で振り下ろされたマサカリはなぜか虚しく空を切り、ザクリという鈍い音を立てて
岸辺の砂地にその刃を突きたてた。
慌てるジェイソン、しかし彼の目の前に既に776の姿は無かった。

驚いたジェイソンは周囲を見回した。
(…い、いない。ヤツは一体何処へ?!)
焦るジェイソン…先ほどのテッドとジェニファーをヘイドレクの邪魔立てにより殺しそこね、
逸る心を抑えきれなくなったジェイソンは思わず冷静さを失った。

「…はははっ!私はここだよ明智君」
突然、ジェイソンの頭上から声が響いた。
驚いて見上げるジェイソン…そこには巨大な熱気球が浮かんでいた。そしてその籠から垂れ下
がるロープの先端に…776がすがり付いていた。

「…ジェイソンに化けても無駄だよ明智君。君の正体は香港CIAの手によってとっくに暴か
れているんだからね!」
そういうと776は高らかに笑った。そして懐からタロットカードを取り出すと、それをジェ
イソンこと明智小五郎のマスクの眉間に投げつけた。

「シュッ!」
と軽やかに空を切る音とともに「デス」のカードがジェイソンのホッケーマスクに突き刺さり
砕いた。砕け落ちたマスクの下から現れた顔は…紛れも泣く名探偵・明智小五郎であった。

「君は完全に包囲されている!」
突然巨大なメガホンの声が静かな湖畔に響き渡った。そして同時に林の木立の方々から、ジェ
イソンこと明智小五郎に向けて無数のサーチライトが放たれる。さらにどこかに潜んでいた
らしい大量の装甲車が一気に湖畔に押し寄せ、中から数十人もの機動隊員がワラワラと湧き出
てきた。
783名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 20:17:44
「しまった!」
明智小五郎は思わず呻いた。そしてクリスタルレイクの方を振り返った。湖に飛び込んで
逃げようとしたのだ。
が、遅かった。アクアラングを背負った無数の自衛隊員が散弾銃をこちらに向けながら湖
から上がってきていた。

「もう終わりだよ明智君!…これから我々は火星のコロニーに向かうのだ!さらばだ明智君」
そういうと776は気球に乗り込み、夜空に向かって消えていった。
気球の籠の中には、美しい助手のキャサリンとメアリーが上半身裸で巨乳を776に擦り付け
て悶えていた。776は彼女達の愛撫を受けながら二人の尻を丁寧に撫で回し、指先をヴァギナ
に挿入した…お楽しみはこれからだよ明智君、地上で確保され暴れる明智君に向け776は満面
の笑みでそう叫んだ。

「…か、火星コロニー?」
痛むちんこを庇いながらヘイドレクは尋ね返した。
「そうですヘイドレク。きみは火星コロニーに行かねばならない義務があるのです」
黒ずくめのスーツを着込んだ連邦政府の役人が書類を片手にヘイドレクに向かって言った。
「どういうことです?なぜウチの息子が火星コロニーに…」
義母であるドロシーが役人達に食ってかかった。役人はドロシーに目を向けると微笑んで言った。
「貴女も一緒ですよ、ドロシー・ヘイドレク」
784名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 21:10:02
明智が確保されてもがいている。みなの興味は彼に集中している。
一方、騒ぎに目覚めたか、森から何者かが現れた。身長は2m近く、身にまとった薄汚れた衣服の上からでも、
筋肉をまとった重厚な肉体が迫力を見せている。穿いたジーンズの股間は大きく盛り上がり、
租チンのヘイドレクなどとは比べ物になぞならない。しかしその顔・・・
いかなる骨格がその下にあるのか、どのような事故にあったのか、この世のものとも思えない
おぞましい形相だ。人間であるのかも疑わしい。

その大男は、ニセジェイソンの明智が被っていたホッケーマスクを見つけるや
接ぎなおして被り、砂に突き立ったままの巨大な両刃斧を拾い上げるや
二三度大きく振りかぶって具合を試す。

かれこそ真のジェイソンだった!

ヘイドレクは義母と火星コロニー移住の手続きをしていた。
明智は怒号を吐きながら、護送車に押し込まれていた。

ジェイソンの斧は誰の頭に炸裂するのか・・・
785名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 21:48:18
それは、>>780だった。
「てめぇ、俺のカキコ勝手に修正しやがって、ボケが!」ジェイソンは>>780の頭めがけ何度も斧を振りおろした。
>>780の頭蓋が割れ、鮮血と皺のない脳味噌が辺りに飛び散った。
>>780は棒のように体を真っ直ぐ硬直させ、砂利道へ倒れ込んでいく。
ジェイソンは荒く肩で息をしながら呟いた。「リレー小説のルール守れ!意地でもつなげろや!この脳なしが!」
脳をなくした>>780
ジェイソンは我知らず巧いことを言っていた。
786名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 22:45:28
仇を討ったジェイソンは、これからは木こりとしてまじめに生きよう、と
決心した。

血にまみれた斧をきれいに洗い、家路につく。
787名無し物書き@推敲中?:2007/03/15(木) 23:01:58
しかしジェイソンは780の血を全身に浴び、さらに殺戮の興奮がいまだ収まらない。
血が下半身に集中し、ただでさえ大きく盛り上がったジーンズの股間は、突き破られんばかりだ。
女を抱きたい、襲いたい。
しかし女を抱くのは、キャンプ場のエロドキュソガキを成敗するのが使命である自らの沽券にかかわる。
よし、ならばオナニーだ!
ジェイソンがジーンズのファスナーをおろすと、20cm以上はある巨根が
ギン!と現れた。赤黒い亀頭、浮き出した血管がビクビク脈打っている。
788名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 01:08:26
そしてジェイソンはその場でしゃがんでオナニーし、僅か一分ほどで射精して果てた。

そのころ火星に向かう宇宙船の中でヘイドレクは人材派遣会社に登録した。
そして派遣先が決定した。

職種:資源プラント建設現場作業員
時給:850円
その他:交通費支給、時間外手当あり、長期間歓迎

ヘイドレクは火星コロニーの労働許可証を手にすると大喜びで契約書に署名した。
そこで地獄が待っているともしらずに。
789名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 01:45:49
「これ、ヘイドレク!何をしてるの!」ヘイドレクの母親が契約書を取りあげ、破り捨てた。「あなたには、学習能力というものがないの!?」
アホ面でぽかんとするヘイドレク。本当に、母親の言ってることの意味が分からなかった。
母はつづける。「そんな所で働いたらまた、酷い目に合うわよ!アナルを開発されたりチンコしゃぶらされたりするに決まってるじゃない!」
790名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 01:50:54
791名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 02:46:44
しかしふと気になった。

ヘイドレクの母親、というが、本当はジェイソンの母親ではないか?
彼女はヘイドレクを自身の息子、ジェイソンだと勘違いしているのではないか?
ヘイドレクだと気がついてしまったら意味が無いではないか・・・

さて一方、地球では真のジェイソンがオナニーの快感からやっと我に返ったところであった。
家に帰ってみれば、愛するおっかんがいない。おっかんはどこの馬の骨とも知らぬヘイドレクなどという
租チンのオタ野郎をわが子と勘違いし、旅立ってしまったのだった。
「おのれヘイドレク!人の大事なおっか様を!」
ジェイソンは怒りに燃えた。斧の柄を砕けんばかりに握り締めた。
木こりになってまじめに生きるのは後回しだ。まずはおっか様を取り戻すのだ。
木を切り倒す前に、この斧にヘイドレクの血を吸わせるのだ・・・
792名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 07:32:07
ジェイソンは自分で宇宙船を作りあげ、それに乗ってヘイドレクのあとを追った。
793名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 10:32:42
一方ヘイドレクはその頃、麻雀でハコ天くらってひっくり返っていた。
まさか四暗刻単騎字一色のトリプル役満振り込むなんて。
ヘイドレクの財布の中身は空っぽになってしまった。
794名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 11:08:45
さらにヘイドレクが五萬を場に叩いた瞬間、
「ロン一発、メンタンピン三色ドラドラ。ああ、裏ドラも乗ってる」
まさか腹ボテ単騎が一発で決まるとは。ヘイドレクは自分を罵った。
795名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 11:16:00
そして次の東風戦、一局の4巡目でいきなり悲劇が。
「悪いねヘイドレク、それロン。メンピンチンイツドラ3」
ヘイドレクが振り込んだ牌は一ピン、一九切りの最中に起きたアクシデントであった。
「うわあー」と大声で叫んだヘイドレクは目の前の山を両手で崩してしまった。
その瞬間、冷たい一言がヘイドレクに投げかけられた。
「ヘイドレク、今のはチョンボね。満貫払いで4000、2000」
ヘイドレクの目から涙がこぼれた。
796名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 11:23:15
そして第3局、ヘイドレクの親。配牌は上々、混一筋のリャンシャンテンである。
あとは中か北をポンして、イーピンとウーピンの待ちだな。いや待てよ、ここは一気に対々まで手を伸ばすってパターンもあるぞ。
ウキウキしながらリャンソーを積もり、そのまま場に捨てたヘイドレクに向かって、
「ヘイドレク、それ当たり。ダブリーでタンドラ1」
ヘイドレクは希望を失った。
797名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 11:33:20
そしてオーラスである。もはやヘイドレクに逆転の望みはない。
ここは大きな手を狙っていくらかでも借金の額を減らしておかないと大変なことになるぞ。
ヘイドレクの手は震えた。チャッチャッと牌同士が当たる無機質な音が卓に響く。
今回の筋はよいとヘイドレクは思った。いや、見事である。ソーズ一色のメンチン狙いが可能の素晴らしい配牌。
いや待てよ、ここは大きく出て緑一色狙ってもいいのかな?
ヘイドレクの額に汗が浮かぶ。
ツモ。よしいいぞ、スーソウだ。不要牌のキューピンを切る。
後はローピンが無事に出てくればポンだ。おっ、下家がローピン切り。
「ポン」と叫ぶヘイドレク。
そしてウーソウ切り。これでイーシャンテン。役満のプレッシャーからかヘイドレクの全身に鳥肌が立った。
後はリャンソウ来て聴牌。そして、そして!

「あ、それロン。食いタン1000点」
対面から聞こえたその一言がヘイドレクの精神を打ち砕いた。
798名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 13:26:38
その瞬間、巨大な両刃斧の一撃で麻雀卓はぶったぎられた。舞い散る牌!
一同が唖然とする中に現れたのは斧を振りかざすジェイソン!
「追いついたぜヘイドレク!おめ、おらのおっかあ盗みくさって!早く返してけろじゃ!」
799名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 17:39:19
「残念だなジェイソン、お前のおっかあは毎晩俺の腕に抱かれてすすり泣いているぜ。俺のテクでな」
ヘイドレクはジェイソンに向かってそう言うと、麻雀で負けが84万円にまで達していることも忘れてニヤリと笑った。
その声を聞いたジェイソンは怒り狂い、面子の一人を跳ね除けると「よし、勝負だヘイドレク」と叫び
全自動雀卓のスイッチを押した。
勝負は東風戦。レートは点5。ヘイドレクのジェイソンの熱い勝負が始まった。
800名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 17:40:06
800get
801名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 17:58:40
卓の上で牌が唸る…凄まじい緊張感が卓のまわりを包み、牌と牌がぶつかり合う音だけが雀荘の部屋を虚しく響いた。
「…その”中”、ポン」
ヘイドレクが先に仕掛ける…混一色。捨て牌で三色系を匂わすように、あえてど真ん中の5ピンを切る。
ジェイソンはその5ピンを注視した。そして大きく息を吸うと少し目を瞑った。
(ジェイソンのヤツ…待ちはもしかすると?)
ヘイドレクは思った。このまま突き進むのはマズイ…ドラを少なくとも2つは握っているようだ。
手はチャンタ、頭のトンがダブ東でそれに一ソウはドラ…これは相当デカいぞ。

ヘイドレクの見ている前でジェイソンは”北”を切る。
ヘイドレクのツモ…なんと”東”。ヘイドレクは焦った。これは切るわけにはゆかない。
(何で今頃になってこんな危険牌くるんだよ…くそっ、このまま逃げるか)
ヘイドレクは高めの”東”を手元に置き、八ソウを切る。

「ヘイドレク…お前今”東”ツモってるだろ」
目の前のジェイソンが笑う。ヘイドレクはいきなりのその言葉に焦った。緊張を悟られないよう目線を虚空に
彷徨わせ、そして慣れない手つきでタバコに火を付けた。

「悪いなヘイドレク。ツモだよ…別に”東”なんて要らなかったんだ」
そう言ってニヤリと笑ったジェイソンは牌をパタリと倒した。
「面前チャンタダブ東…”東”はミンコで持ってたんだヘイドレク。ドラ3だな…ああ、裏ドラも乗ってドラ4」
ジェイソンの手は確かにヘイドレクの読み通りであった。
しかし、ヘイドレクは卓に手を掛けてうな垂れてしまった。一対一の真っ向勝負に負けた…それがヘイドレクの
プライドをザックリと傷つけたのだ。

「ヘイドレク…母さんを帰してもらおうか。お前に犯されていようがいまいが、母さんは母さんなんだよ…」
802名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 18:20:45
「クソッ!まだ第二局じゃねえかよ」
ヘイドレクは牌をグシャグシャにかき混ぜて中央の穴に流し込むと攪拌スイッチを押した。
同時に綺麗に揃った牌がせり上がる。

再び場に緊張感が走った。
ヘイドレクの配牌は…目を覆いたくなるような惨状だった。
(何だよ…これは)
ヤオチュウ牌のズラリと揃った配牌にヘイドレクは思わず唸った。やはり先ほどの混一を逃し流れが完全に
ジェイソンに向かってしまったのだ。

「あ、それポン」
ヘイドレクの目の前でそう宣言するジェイソンは、これまた”東”を食った。
親のダブ東…そしてヤツの手は…綺麗に場に並んだ捨牌は見事な混一筋である。
(ヤツはソーズで混一を狙っているな)
ヘイドレクは悟った。此処でヘイドレクは戦術を変更した。ヘイドレクの手元にはソーズが多い。
しかも三色純チャンも不可能ではない。
(…まず、確実に字牌整理だな)
ヘイドレクはそう睨み、手元の”西”を振った。

「ロンッ!」
ジェイソンは静かに言った。
(えっ!)
ヘイドレクは驚いた。何故”西”なんだ?
「小四喜、混一、ダブ東」
ジェイソンは静かな口調でそう言うと、手元の牌を倒した。

ヘイドレクは、その場で硬直してしまった。
803名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 18:31:24
その後、東風戦でサシ馬入れて4万払ったヘイドレク。さらに熱くなったヘイドレクは半荘戦に突入し、振込みマシーンと化した。
「ロンッ!タンピン三色ドラ2」
「ロンッ!チートイ混一ドラ4」
「ロンッ!喰いタンのみ」

次から次へとヘイドレクが狙い撃ちにされた。
膝がガクガク震え、額から汗が流れる…ヘイドレクの思考は完全に混濁し、もはや冷静な判断は不可能になっていた。

それを嘲るような笑顔で見つめるジェイソン。
最終局…ついにギャンブラー・ジェイソンの本領が発揮された。

最終局9巡目、ジェイソンは自ら宣言した。
「国士オープンリーチ13面待ち」
点棒を放り投げながらジェイソンはヘイドレクの目を見た。
ヘイドレクのリーチを待ってから繰り出した究極の爆弾であった。

目の前の現実が信じられないヘイドレク。もはや自分は無防備に突っ込んで行くしかない…。
そして、ヘイドレクは牌を掴み、それを引き寄せた。
ゆっくりとそれをめくるヘイドレク…その牌は”撥”。まさしくど真ん中であった(と、いうよりストライクゾーンは
めちゃめちゃ広かったわけだが)

「うわあーっ!」
ヘイドレクはその場で発狂した。
804名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 18:39:34
そしてダメ押しの大三元字一色を振り込んだヘイドレクはその場に崩れ落ちてしまった。
805名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 19:09:32
「フフフ この雀荘を幽霊物件にしてくれようぞ!」
崩れ落ちたヘイドレクを前に、ジェイソンは大きく斧を振りかぶった。
806名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 19:24:58
「ロンッ!」
ジェイソンの振込みに上家のナゾの男が宣言した。
「リーチ一発、三色イーペードラ3!」
そういうと上家の男は少しサングラスをずらしてジェイソンを見上げると、意地悪く笑った。
その顔を見た瞬間、ジェイソンは固まった。
「お、お前はあの時の…」
807名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 20:37:12
>>776だった。
>>776>>779で無下に扱われたことに腹を立て、虚構世界の特性を利用し蘇ったのである。
「これを、使いなさい」>>776は懐から札束を取り出すと床に頭を抱えうずくまっているヘイドレクの前へ放り投げた。
ハッと目を見開くヘイドレク。「い、いいんですか!?」
「ああ。無期限、無利息の出世払いで貸してやる」
ヘイドレクの逆襲が始まった。
808名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 21:44:15
「まあ座れよジェイソン」
と776はジェイソンに促す。
776は美しい助手のキャサリンと乳房をもみ、メアリーの股間をまさぐりながらヘイドレクに向かって笑いかけた。
「無期限無利息は冗談さ。ちゃんとトゴで払ってもらうよ。」
そういうとキャサリンの差し出したダビドフを口に咥え、メアリーがそれに火を付けた。
大きく煙を吸い込む776…そして776は意地悪くジェイソンの顔を見上げた。

床で膝をついたまま呆けたような顔をするヘイドレク。
(一体俺は何に巻き込まれたんだ?)
まるで見当の付かない展開にどうしてよいかわからず、ただただ776とジェイソンの顔を見比べている。
809名無し物書き@推敲中?:2007/03/16(金) 21:57:04
ジェイソンは大きく息を吐くと、少し苦笑いしながら首を左右に振った。
その様子を見た776はジェイソンに椅子に座るように手で促した。
ジェイソンは、やれやれと言った感じで倒れた椅子を起こすとそれに座った。
卓を挟んで向かい合う776とジェイソン。

「ヘイドレク…もう一度座れ」
776は静かな口調でヘイドレクに言った。その間も776の視線はジェイソンを捉えて離さない。
ジェイソンも少し微笑みながら776の視線を見返す。
交わされる二人の視線の火花が、二人のギャンブラーとしての矜持を垣間見せた。

ヘイドレクはゴクリとツバを飲み込むと立ち上がった。
そして卓に近寄ると椅子を引き出し、それに座った。上家が776、下家がジェイソン。
そして対面にはドクター・スコルツェニーが冷たい微笑みを浮かべながら座った。

「勝負は半荘…レートはデカリャンピン、それでいいな?ヘイドレク」
3人はヘイドレクの顔を覗きこんだ。ヘイドレクは緊張し、そして頷いた。
(一世一代の大勝負が始まる…)
雀荘の中の空気がピンと張り詰める…さあ、勝負の開始だ!

全自動卓が積牌の山をゆっくりと持ち上げてくる。
810名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 00:24:53
二局目が東場の一つのヤマだった。
一局目でドクター・スコルツェニーがタンピンのみで喰い上がりして親が776に移動。
そして二局目に突入。
「ポン」
いきなり二巡目で776はサンピンをポンした。
「相変わらず手が早いな…麻雀も女も」
ジェイソンは苦笑しながら776に言った。776はジェイソンの方をチラリと一瞥し
「まあ、短期決戦だからな。どこかの誰かさんみたいに無茶して高目狙ってもしょうがねえだろ」
776は微妙にヘイドレクを意識しながらそう言って少し笑う。

ヘイドレクの手は三色筋。ここは無難にヤオチュウ切りして安手でも良いから上がっておくのがいい、
そうヘイドレクは判断し、ツモ牌のイーソウを残して九萬を切る。

「ポン」
再び776がそれをポンした。ヘイドレクは少し驚いたように776を伺う。
776は無表情のまま場に捨てられた九萬を取るとそれを翳す。

(早い…対々狙いか。それにしても無茶して上がりに行ってるとしか思えない…)
ヘイドレクは戸惑った。上家の度重なる喰いにペースが乱される。

「どうしたヘイドレク。早くツモれよ」
下家のジェイソンが少しイラついたような声でヘイドレクを促す。先ほども776に散々喰い散らかされ
まともに手を作らせてもらえなかったのを気にしているようだ。

「ああ、ゴメン…すぐツモるよ」
ヘイドレクはジェイソンの剣幕に押され、慌てた様子で次牌をツモッた。
”西”…今のヘイドレクには不要牌だ。ヘイドレクはすぐさま場にそれをリリースした。
811名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 00:26:35
「ポン」
再び776がコールする。今度は他の3人が一瞬顔を上げ、一斉に776の方を向いた。
776は今度も全くの無表情のまま、ヘイドレクの目の前に転がる”西”を掴むとそれを残し
手元から七萬を切る。

「ポン」
今度はジェイソンが喰った。少しイラついた声でコールし、776のリリースした牌を奪い取る
ように掴んだ。そして一瞬、776とヘイドレクを睨みつけながらそれを手元に入れる。

(な、何なんだこの麻雀は…これじゃあ手が全然進まないよ)
ヘイドレクは焦った。もう一度自分の手を覗き込み、改めて手を確認した。
上手く伸ばせば三色イーペーまでゆく…しかし先ほどの776のセリフを思い起こした。
(「どこかの誰かさんみたいに無茶して高め狙ってもしょうがねえだろ…」)
ヘイドレクは悩んだ…ブラフ?一瞬そういう考えが頭を過ぎる。少なくとも自分の感情が776の
ペースでかき乱されているのは確かなのだ。
ヘイドレクはチラリと776を見た。すると776の視線とかち合った。
(776に…監視されている。もう、俺の手はお見通しなのか?)
味方だと思った776の思惑がわからなくなった。

ドクター・スコルツェニーがジェイソンのローソウをチーした。間違いなく今局は荒れている。

「カン」
776は”西”をカンした。それが他の3人に与えた影響は計り知れなかった。
ヤマに晒された”南”の文字…既に776をドラ4を手にしていることを意味した。

「クッ!」
ジェイソンが思わず呻いた。それはヘイドレクの呻きでもあった。
そして776は、他の3人の動揺を眺めながら少し微笑み、キャサリンの差し出したタバコを咥えた。
「…お前たち、今夜も可愛がってやるからな」
776はキャサリンとメアリーの腰を擦りながら微笑むと、女達は頬を少し赤らめた。
812名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 00:27:13
「オイッ!とっととツモれよヘイドレク!」
ジェイソンの声にハッと我に返ったヘイドレク。
「ああっ…すぐ」
ヘイドレクは慌てて次牌をツモッた。
今度の牌は”白”三色タン上がりを目指すヘイドレクには完全に不要である。
しかしヘイドレクは躊躇した。漠然とした不安が場全体を包む…切るべきか、降りるべきか?
(「どこかの誰かさんみたいに無茶して高め狙ってもしょうがねえだろ…」)
先ほどの776のセリフは、俺を引っ掛けているんじゃないのか、という不安が襲う。

ここで上がって親勝負を目指していたヘイドレクは窮地に立った…方針が見えないのだ。
そして上家の776は親…早く上がったほうが勝ちだろう、ならば!

ヘイドレクは”白”を切った。

「ロン」
776の声が響いた。

「対々、白、ドラ4」
静かな口調で776が告げる…そしてその瞬間、ジェイソンとドクター・スコルツェニーの安堵の溜め息が洩れた。

ヘイドレクの顔が一気に青ざめた。
813名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 00:47:01
776の待ちは”白”とスーピン…決していい待ちではない。しかしヘイドレクはそれを一撃で振ったのだ。

茫然自失のヘイドレクの前で牌が配られてゆく。
ヘイドレクは震える手で自分の牌を積んだ。
(まずい…このペースでは絶対にマズイ!)
ヘイドレクは焦った、しかし流れを変える方法が全く思いつかない。

「落ち着けよヘイドレク…チャンスは自分で掴むもんだろ?」
776がヘイドレクに声を掛けた…ヘイドレクはハッとして顔を上げ、776を見返す。
776はヘイドレクに向かって少し笑った。しかしその目は笑ってはおらず、明らかにヘイドレクを非難していた。
(776は俺に奮起するよう促しているんだ。情けを掛ける積もりなんて毛頭ないんだな…)
ヘイドレクは少し頷いた。そして配牌を並べ替えていった。

…今回のヘイドレクの配牌は三色、対々筋か?トイツが3つ揃っている。先ほどまでの絶望的な配牌とは異なり
今回は脈がありそうだった。

2巡目のドクター・スコルツェニーの捨牌ローピンをポンし、幸先の良い出足である。
次のツモ牌でさらにスーソーをミンコってこれで対々への道筋が出来た。唯一の字牌であった”東”を無事に通し
さらに次のツモでドラ牌の七萬を引き寄せる…七萬対子、ドラ2。

ヘイドレクの頬が思わず緩んだ。そしてジェイソンの捨てたリャンピンを目ざとく見つけると、

「ロンッ!」

ヘイドレクは元気よくコールした。

「対々、タンヤオ、ドラ2」

本日最初の上がりである。悔しがるジェイソンを横目にヘイドレクは小さくガッツポーズを作った。
814名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 01:22:54
親になったヘイドレクは上手く流れを掴んだ…いや、正確には776のアシストがあったと言うべきだろう。
ヘイドレクが親になった瞬間から、776は明らかにベタ降りした様子が見られたからだ。

ヘイドレクに火薬を放り込んで頭に血が上ったジェイソンは乱暴にヤマを崩すと
「とっとと次、始めるぞっ!」
と、少し大きな声で叫んだ。そして牌が上がりきるのを待たずにサイコロのスイッチを押し
ヘイドレクの「とっとと取れよ!」と毒づきながら牌を配ってゆく。

(ジェイソンのヤツ…焦ってる)
ヘイドレクは生まれて初めて他人に対して優越感を持った。
今ならジェイソンを打ち倒せる、そう確信したヘイドレクはさらに攻勢を続けた。

「ジェイソンそれロンッ!インピンイーペードラ1」
「ロンッ!ジェイソンそれ!メンホンドラ2」
「パーワンツモ、面タンピン三色ドラ1」

次々と確実に点棒を取り返すヘイドレク。いきなり776の爆弾を踏みつけたのが嘘のように次から次へと
良手で上がりを続ける…完全にヘイドレクペースだった。
そして同時に、ジェイソンの大量出血は痛く、現在ぶっちぎりの最下位。
血走った目でヘイドレクを睨みつけながらジェイソンは斧の柄を握り締めて唸った。

「おいジェイソン…ここは火星コロニーだぜ。クリスタルレイクみたいに斧で人を殺しまくったら
瞬く間にお前は銃殺だよ…しかもこの場でな」
776は憤るジェイソンに向かって告げ、周囲を見るように視線を向けた。
ジェイソン、そしてヘイドレクも自分達の周りを観察した。

そこには光線銃を携えたコロニーの正規兵たちがこちらを観察しながら警備に当たっていた。
815名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 01:23:54
「わかったかい?ジェイソン…ここでは雀卓の上の命のやり取りだけが認められているんだよ」
ジェイソンはさらに唸った。そして同時に全身をぶるぶると震わせて力んでいる。

(耐えているんだ…ジェイソンは耐えているんだ)
ヘイドレクは悟った。そして同時に、これからの麻雀は命がけのものになるのを覚悟した。

ヘイドレクの親は5連荘まで続いた。
まさか八連荘はあるまいとヘイドレクもわかっていたが、ラストに小三元を上がった後、
ドクター・スコルツェニーによって清一筋を崩されて終わったのだった。

そして今度の親は下家のジェイソンである。
手にしていた斧をかなぐり捨て、雀卓に集中しだしたジェイソンの気合は恐ろしいまでに高まっていた。
かつての凶暴さは影をひそめ、今は静かな闘志を燃やしている。

「東場最後だよヘイドレク…どうする、レート上げるか?」
776が突然そう言ってきた。ヘイドレクは一瞬躊躇した。確かに今は調子がいい。しかし、リスクを負って
まで無理にレートを上げる必要性はあるのか?ヘイドレクは悩んだ。

「ああ、レートは倍だ。それで行こう」
ヘイドレクが戸惑っている中、いきなりジェイソンがそう答えた。
「そうですね…そろそろ本番に突入ですね」
ドクター・スコルツェニーもそれに習う。

「いいな、ヘイドレク。皆も言っているんだから」
776は再びヘイドレクに問うた。
ヘイドレクは頷くしかなかった。

それが真の地獄の始まりだとは知らずに…
816名無し物書き@推敲中?:2007/03/17(土) 01:49:36
というのはウソで、ヘイドレクはまた勝ち出した。
とくに親となってからがスゴかった。
配牌率が三十万分の一といわれる天和を八回連続であがり、そのあとも国士無双、四暗刻、しまいには九蓮宝燈までやってのける始末。
これは決っと今までの不運(*過去レス参照)の代償としてツキが巡ってきたに違いなかった!
817名無し物書き@推敲中?
そうした妄想を思い描いていた時、既に全ては終わりヘイドレクは素寒貧であった。
では何故ヘイドレクはあれから地獄を味わってしまったのだろうか?
彼が地獄を見た南場を少し覗いてみよう