この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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557ルゥ ◆1twshhDf4c :03/01/19 16:31
「幹事」 「政治家」 「ドッグフード」 

とにかく頭が痛かった。記憶も定かではない。
二日酔いでふらふらする頭を支えながら、私はゆっくりとベッドから起き上がった。
今朝、私は見知らぬ部屋で目が覚めた。
昨夜のことも……覚えていない。
唯一わかるのは、隣で寝ている男のことだけ。
男は起きている時には決して見せないような安らかな顔で、小さな寝息を立てている。
私はくちゃくちゃになったシャツのボタンをゆっくり留めながら、必死に昨日のことを思い出そうとした。
そう、昨日は高校の同窓会だった。
愛犬にドッグフードやっていた時に届いた幹事である元クラス委員長からの葉書に、初めて出席に丸をつけ返信したのだ。
そして、旧友たちと酒を飲み交わし、近況報告をし、二次会でもう一軒店に入って……、その後のことはどうしても思い出せない。
なぜ、この男と一緒にこんなホテルにいるのかも。
泣き出しそうになるのを必死で堪えつつ、私は満足そうに寝入っている男を睨む。
高校の頃、大嫌いだった男。政治家の息子でいつも偉そうな奴だった。
そして、女には不自由しないと言ううわさが囁かれていた高校時代の私の彼氏……。
十年間、私はこの男のことを忘れることができなかった。
結婚して、かわいい息子ができても、昨日、会場でこの男を目にした時、どうしようもなく胸が騒いだ。
なぜ、忘れることができなかったんだろう。
なぜ、あの時のように一緒に寝てしまったのだろう。
今更後悔しても取り返しがつかない。
「武明、昨日はちゃんと眠れたかしら……」
あの男と同じ名の息子を心配しながら、気持ちよさそうに眠っている男を一人残し、私は静かにホテルを出た。

☆長ーい(泣)
 次は「チョコレート」「スキー」「カーネーション」でお願いします。
「チョコレート」「スキー」「カーネーション」

家に帰るとテーブルの上にカーネーションが置いてあった。
「ママへ」
と書かれたカードに紅いリボンがかけられている。
それを見た私は溢れる涙を抑えることができなかった。
そう、あの時も紅いリボンだった。
初めてみんなとスキーに行ったあの日。
思い切って武明にバレンタインチョコを渡したのだった。
紅いリボンをかけたチョコレート。
するとその夜、私は武明の部屋に呼ばれて・・・・・・
私はあの時の武明の冷笑を、決して忘れることはないだろう。

「ママ、おはよう」
気が付くとパジャマ姿の息子が立っていた。
「おはよう武明。よく寝られた?」
私はそっと涙を拭い、朝食の支度を始めた。


次は「ペンキ」「唐辛子」「ミニディスク」
559名無し物書き@推敲中?:03/01/20 00:48
 「ペンキ」「唐辛子」「ミニディスク」

TVからカウントダウンが始まり、インスタントのそばに湯を注ぎ、父を思い出した。
 ペンキ職人だった父が、突然消えたのは丁度去年の今頃。
父が居るまでは、まるでブラウン管越しの風景のような劣悪な環境だった。
意味も無く、叫び散らす父。
暇さえあれば、酒を食らい、湯水のごとく金を使う父。
その全てが嫌いでしょうがなかった。
消えてくれて嬉しい。それはもう、本当に…心の其処から嬉しいと感じた。
母も笑っていた。弟も笑っていた。祖母も、祖父も、親戚も。
ひょっとしたらペットのハムスターだって笑っていたかもしれない。
 カウントダウンが残り5に為り、私はTVを消すと、MDデッキにミニディスクを入れスウィッチを入れる。
何かが壊れていく音と、複数の笑い声がひたすら流れるその音楽をバックに、そばを啜った。
 そばを見ると思い出す…唐辛子色のあいつの血液を…。  
「金」「ヒーロー」「オレンジ」
560名無し物書き@推敲中?:03/01/20 00:48
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      ★お話しませんか?★
561「金」「ヒーロー」「オレンジ」:03/01/20 01:06
「お金さえあれば、何でも出来る」
彼女が言ったこの台詞に、俺はどうしても反論したかったけど、すぐには出来なかった。

俺の人生は、金だった。
小さい頃には、友達とどれだけ多くお年玉をもらえるか、競っていた俺。
小さくてまずい割には高かったヒーローカード入りのポテトチップスを買えるだけ買った。
中学の時の夢はアメリカに行くことだった。親に金を出してもらって短期留学した。
高校の時の夢は憧れのギターを買うことだった。バイトして一括で買った。
そして、今大学生だ。童貞の頃はソープに行って、脱童貞気分を味わえた。
欲しい物も大体買える。割のいいバイトをしてるしな。

でも、物が増えれば増えるほど、切ない気分になる。

三日三晩考えを膨らませていた時、一瞬、昔の風景が脳裏を過ぎった。
ちっちゃい頃の家族旅行。部屋から見たオレンジ色の空。鏡のような湖。

これはお金で買えるだろうか?と俺は彼女に聞いた。
「旅行すれば、見ることが出来るわ」

俺は彼女よりも浅はかだ。だけど、人間的だと思う。

次のお題は「バナナ」「ライター」「エアコン」
562名無し物書き@推敲中?:03/01/20 01:06
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 「バナナ」「ライター」「エアコン」

夕闇に沈む部屋に足を踏み入れると、果して男の予想は当たった。
乱雑な部屋の片隅にあるベッドの上。彼女の亡骸がそこにはあった。
「………ごめんね」
 そんな言葉で途切れた電話から1時間。形振り構わず駆けつけた。
いつもの笑みに出迎えられることを信じながら。

 どれほど経過しただろうか。闇の黙にエアコンの駆動音だけが低い唸りを上げている。
月光に映える白蝋染みた頬には、口唇から赤い糸が一筋垂れていた。
枕元には抗欝剤や抗不安剤などに混じって、手付かずの洋菓子やらバナナが置いてあった。
食欲が戻るようにと、彼女の好物を昨日の帰りがけに買ってやったものだった。
 ふと手元に目をやると、掌に一片の紙切れが握られている。俺は何気なしに
広げてみると文字らしきものが見て取れる。電灯を点けるのももどかしく、懐にあった
ライターで文字を拾う。

「誕生日おめでとう」
 
 小さな貧弱な字で、ただ一行書いてあった。
俺は嗚咽とも咆哮ともとれる声で泣いた。初めて彼女が死んだと分かった。

次は「兜」「鉛筆」「国」でし。
564うり:03/01/20 10:49
「兜」「鉛筆」「国」
僕が小学生の頃、筆箱の中身と言えば、先ずは鉛筆だった。今でこそ、この国では誰でもが持っているが、当時、シャープペンシルは羨望の的だった。
その日、学校に行くと、クラスのみんながヒロシの机に集まっていた……。
何事かと覗き込むと、ヒロシの右手に見なれないペンが握られている。
「ケンジ、シャープペンシルだぜ」ヒロシが僕に向かって右手を突き出す。
ヒロシは、クラスの誰よりもいち早く話題の新製品を手に入れて自慢する鼻持ちならないヤツだ。僕は、またかとウンザリした。でも、いちいちナイフで削らなくてもいいシャープペンシルは魅力的だ。
実は、母親におねだりしたのだが、あえなく却下された。『シャープペンシルを使うと指先が不器用になる。綺麗にナイフで鉛筆を削る事によって指先が器用になる』と言うのが理由だ。
だから余計ヒロシの態度にカチンときた。
「シャープペンシルなんて使うと指先が不器用になるんだぜ」僕はヒロシを見下ろした。
「不器用なお前に言われたく無いよ」ヒロシは僕を睨んだ。
そうして僕とヒロシの鉛筆削り競走が始まった。
真新しい鉛筆を削る、削る。ナイフの動きに合わせシャッシャッと削りカスが飛ぶ。
「痛っ」僕の指先から血が滲んだ。ナイフで切ってしまった。顔を上げると、ヒロシが馬鹿にした様に口許だけで笑っている。
……僕の負けだ。
「不器用になると困るから鉛筆も使うけどね。ほら、勝って兜の緒を締めろって諺あるじゃん」ヒロシはふんっと鼻をならした。
「うっ」ヒロシが顔を顰める。ナイフをしまう時に指を切ったらしい。
「引き分けにする?」僕はヒロシに言った。僕の目許はきっと緩んでいたに違いない。

次のお題は「柳腰」「速度計」「ミラーボール」でお願いします。
565一文字:03/01/20 14:16
お題「柳腰」「速度計」「ミラーボール」

「君ゃ存外綺麗な体してるな。柳腰ってのか」
 抱え上げられた事に文句を言う彼女を無視して、俺は落下の勢いで完膚無きまでに粉砕された
ミラーボールを蹴散らかしそのままバーを出た。幸いここには顔も利く。もっとも利くも利かな
いも、ほとぼりが冷めるまでは顔を出せまいが。
 飛び出した背後で、また声。どうやら二、三人のし切れなかった奴等がいたらしい。やれやれ、
手加減しすぎたか。俺も甘いね。
「離せ! はなせー!」
 脳味噌の天辺に突き刺さる声で女がわめき散らす。助けてやったのに何て態度……いや、俺が
さらったようにしか思えないか。
「おまたせだ、相棒さん」
 先に彼女を放り込んでから、相棒との間に挟む形で俺が乗り込む。凄い形相で飛び出そうとす
るのを慌ててなだめながら――
「おいおいどっち行くんだよ!」
「点数がやばくてね、速度計避けて行くんでそこんとこよろしく」
 背後から車が三台。逃げ切れるか、いやその前にこのじゃじゃ馬が窓から逃げ出さないか――
聞いていたよりも楽しい展開じゃないか、と俺は口の端に笑みを浮かべた。

 ……正直すまんかった。次のお題は「お茶請け」「山道」「致命的」でお願いします。
「お茶請け」「山道」「致命的」

 険しい砂利道を、荒い息を吐きながら良次は歩いて行った。昔取った杵柄も三十を
過ぎると形無しだ。自分の日頃の運動不足を呪いつつ、大まかな目的地までの距離を
計る。身を切るような寒風も、今の良次には心地よい涼風だ。汗が額から流れ落ちて
瞼を伝う段になり、ようやくその山荘が姿を現した。
 玄関のドアノッカーを叩くと、扉を開けたのは恩師の奥さんの美智代だった。
「あら、ずいぶん早かったのね。午後に着くって言ってたのに」
 暖かい室内に通されてまず良次がしたのは、恩師の前で手を合わせることだった。
手に携えた包みを奥さんに渡すと、小さな仏壇の前で線香を上げた。
 美智代はそれを仏壇の脇のテーブルに置いた。ふと目にした、壁に貼られたスナップ
写真の中で、恩師と美智代と青年時代の良次が山道を背景に微笑んでいる。
 美智代は良次を素朴な木のテーブルに着かせ、奥に引っ込んだ。
「どうぞおかまいなく」良次はキッチンに向かって言った。
 ほどなく美智代はお盆を手に戻ってくる。お茶請けの皿を差し出すその手には、
見覚えのある結婚指輪が光っていた。
「もう十年になるのね」奥さんは言った。
「はい」良次は答えた。
 良次が山を離れてから十年の歳月が流れていた。恩師の矢沢が裂けたクレバスから
転落してゆく悪夢のような瞬間を抱えて生きながらえて、もうそれだけの年月が経過
しているのだ……良次は自分の致命的な判断ミスを忘れることができずにいる。
 奥さんは、三好さんのせいじゃないわ、と慰めてくれた。だが彼はいまだに自責の
念を禁じえない。
 良次はあらためて奥さんに頭を下げた。

 次は「FM」「青臭い」「たんぽぽ」で。
 「FM」「青臭い」「たんぽぽ」

 春の麗らかな陽気に、僕はひとつ大きな欠伸をした。
病室の窓際にある僕のベッドは、正午頃から日溜りの中になる。
 梢の合間から差し込む光に目を細めながら、勢いよく芽吹く外の世界に思いを馳せた。

「純ちゃんと結婚するんだっ」
 栗色の大きな目を輝かせながらそう宣言した美鈴。
「うん、僕も美鈴ちゃんと結婚する」
 道端に生えていたタンポポを器用に丸めて、ちっちゃな指にはめた。
 
 園児だった頃の青臭い記憶を思い出した。ちょうど今頃の季節だったな。
「純君、今日もいいお天気ね」
声と同時に開け放たれた窓から、心地よい微風が火照り気味の頬を撫でる。
淡い思いに浸る僕を現実に呼び覚まさせた看護士さんは、そう言うと病室から出ていった。
 再び訪れた静寂。
日課となっていたFMラジオをつけると、目当ての美鈴の歌声が流れていた。

 ………美鈴、キミはあの約束覚えているかい?

 微風に乗って、ふわりとタンポポの綿毛が僕の掌に舞い降りた。

 次は「納屋」「深窓」「肉迫」にて。
 俺は稀代のスケコマシだ。これは自他共に認めるところだが、まだそれを信じない奴もいる。
 そんな奴らに俺という人間を見せつけるのが、今回の目的というわけだ。

 召使いには金を掴ませ、がんじがらめに縛ってある。勝手門を開けさせ、納屋に脚立を用意させるくらいはお茶の子さいさいだ。
 今だ社交界はおろか、社会に顔も出したことがないという深窓の令嬢。彼女を、俺の魅力でメロメロにしてやるのさ。
 俺は難なく屋敷の敷地にもぐりこみ、納屋の屋根から母屋に渡り移った。ベランダからベランダへ飛び移り、
目指すは令嬢の過ごす、豪華な牢獄。
 テラスのすぐ向こう、というところまで肉薄した俺は、最後のスタイルチェックを手早く済ませた。完璧。俺に惚れない女はいない。
 俺は夜風になびくカーテンと共に室内へ滑り込み、はっとして振り向こうとする彼女の両肩を優しく抑え、そっと振り向かせた。

 秘密兵器って知ってるか?恐るべき威力を知られないようにした兵器だ。
 だが、「秘密にしておかないと恥ずかしい兵器」ってのも、なかにはあるんだよ……
 俺はその恐るべき生き物を放り出し、悲鳴を上げて逃げ出した。

 俺は稀代のスケコマシ。しかし最近、その自信も揺らぎつつある。

 次のお題は「電卓」「正門」「修理」で。
569「電卓」「正門」「修理」:03/01/20 22:27
 私は確かに正門から入っていった。誰の目にも付く桜の木が
春の色に染まっていた。それは夢などではないはずだ。しかし、
あいつはこういった。
 「この電卓、修理しといてくれ」
 まったく意味がわからない。何で私が、電卓の修理をしなければ
ならないのだ。壊したのはあいつだろう。それを人に修理しろとは、
なんと非常識な奴だ。親の顔が見てみたいとはこのことだ。
 「無からは何も生れぬ。もう一度言ってみよ。」
 私はあいつを睨んで、こういってみた。すると、あいつと来たら、
 「何だそれ。意味不明だなお前って奴は。何もいわずに修理すればいいんだよ」
といって、裏門から出ていった。

 次のお題は「パソコン」「羅生門」「修理費」
 「パソコン」「羅生門」「修理費」

「ジジッ…近畿…震は…多数の死…」頼みの携帯ラジオからは、断片的な言葉しか聞き取れなかった。
「…クソッ!」修理費をケチった報いか…。
 呆然と立ち尽くす俺の眼前には、一瞬で廃墟と化した京都の姿があった。
 剥き出しになった高層ビルの鉄管は、俺を覆い隠さんばかりに迫り出している。

 ………もしも余震があったら。
 
 咄嗟にその場を離れようとした刹那、それは聞こえた。
「…無駄じゃて…鉄塊に屠られるのも一興じゃて…キヒヒ」脳裏に直接語りかけるような濁声。
瓦礫の虚からそれは聞こえてくる。好奇心に駆られて近づいてみると、パソコンと思しきひび割れた画面に映し出された老人が声の主であった。黒い外套を纏ったその姿に男は愕然とした。
 糜爛状の皮膚には白く蠢くモノが隙間なく付着し、爆ぜた腹腔からは緑色の粘液が滴り落ちている。人外の者であることは明らかだった。下卑た嗤いの度に蠢くモノがポトリと落ちる。
「キヒッ、羅生門に棲みし我が眷属は甦った…お前を喰らいたいが、惜しいかな」
蒼穹を思わせる双眸は、心の内を抉るように俺に突き刺さる。
「千里眼は言うとるぞ…ほれ」差し向けられた指先、その天空を仰ぎ見ると、斜陽に鈍く光る鉄柱が直上に迫っていた。

「ジジッ…平安…エ…リアン……」


 次は「媒体」「火線」「空論」でし。
571名無し物書き@推敲中?:03/01/21 14:37
「媒体」「火線」「空論」

A「博士、『火線』っていう言葉がわからなくて調べてみたんですけどね。
 『かせん 【火線】 直接敵と射撃を交える最前線。 』という意味なんですね」
B「ほほー、そうか。で、どの媒体で調べたんだ?」
A「へっ、今度は『媒体』ですか。普段使わないからよくわかんないけど調べてみます」
A「博士、調べました。
 『ばいたい 【媒体】(1)なかだちをするもの。媒介するもの。
 (2)情報伝達の媒介手段となるもの。新聞・ラジオ・テレビなど。メディア。「宣伝―」
 ってことですよね。だったら、おじいちゃんに聞きました」
B「なんで、自分で調べないんだ。誰かの言う論理をそのまま信じるのか。
 そんなことでは研究者失格だぞ」
A「だっておじいちゃんもの知りだし、いつもいいことを言うんですよ」
B「いったい誰なんだ。そのおじいちゃんと言うのは」
A「わたしのおじいちゃんで、柳田空っていう名前なんです」
B「そうか、それはきっと『空論』だな」

「ポケットティッシュ」「ふんわり」「北風」
572名無し物書き@推敲中?:03/01/21 20:37
自慰をした。片手には精液のついたポケットティッシュ。
開いていた窓から北風が吹き込んできて手にあった精液まみれの
ティッシュがふんわり流れて床にポトンと落ちた。
573名無し物書き@推敲中?:03/01/21 21:32
次のお題
「診療所」「夜遊び」「戯言」
「いや〜はっはっは、夜遊びも大変だねぇ」
 でかい声で武勇伝をがなり立てる成田。はっきり言って、気に入らない奴だ。
「昨日は久しぶりにソープへ行ったんだよ。生はやっぱいいねえ」
<夜遊び>と言う言葉を取り違えて使うような馬鹿でも、上司は上司だ。あまり無碍に扱うと手痛いしっぺ返しを食う。
「今度キミも行くか?安いところならおごってやるぞ、がはははは」
 俺は曖昧な笑みを返しながら、心の奥底から湧き上がる害意を抑え込もうとしていた。

 下品なブタめ。そのうち、天罰でも喰らうがいいさ。

 天罰の日は、案外すぐにやってきた。
 その日成田は鼠渓部に激しい疼痛を訴え、そのまま近所の診療所に駆け込んだのだ。
「ヘルペスが侵入して、尿道炎を起こしてます」
 帰ってきた成田は土気色の顔に脂汗を滲ませていた。
 俺が心の中で快哉を叫んだのは言うまでもない。

 次のお題は「カップ焼きそば」「アルマイト」「こだま」で。
575574:03/01/21 22:51
「戯言」が抜けた…スマソ。
「取り違えて使うような」→「取り違え、戯言を吐くような」に改訂致したく。
576うはう ◆8eErA24CiY :03/01/22 02:18
「カップ焼きそば」「アルマイト」「こだま」

 彼女の家庭教師は、粗末な六畳のアパートに住んでいた。
 軽い風邪の見舞のつもりが、もう夕方になっていた。
 ブラウスのボタンをかけて、ぼんやりとカップ焼きそばを作る彼女。
 馴れぬせいか、湯を切ると麺が一緒に流しに落ちた。
 しばしぼんやりと、落ちた麺を眺める彼女に、家庭教師はこう言った。

 「今、君の心中に浮かんだ格言をあててあげよう。
  覆水盆に帰らず。こぼれた乳を嘆いても無駄だ。
  君は今、こんな事になってしまった自分を、こぼれた麺に投影している。
  この麺が元に戻るなら、ここに来る前の自分に戻れるかもしれないと。」

 彼の声が、彼女の意識下にまでもこだました。
 「戻すのだ!こぼれた麺を。そして食べるのだ、何もなかった様な顔で!」
 アルマイトの流しが、湯の熱でバコンと音をたてた。
 まるで何かに憑しつかれた様に、彼女はこぼれた麺を拾いはじめた。

 そして、その翌日。
 彼女は激しく下痢をした。

※すごく長いセリフだー
 次のお題は:「誕生日」「逆回転」「生徒手帳」でお願いします。
 「カップ焼きそば」「アルマイト」「こだま」

 …じゃれつくんじゃねぇよ…ったく。
 「あ? 何か言ったか?」「ああ、悪ぃ、何でもねぇ…」
 コイツは相当な電話好きらしい。呼出音と同時に足元に駆け寄ってきやがる。
 俺は食いかけのカップ焼きそばを少し摘むと、奴の小さな皿へと放ってやった。
 鞠のように弾む姿を横目に見ながら、暫しの談笑を楽しんだ。

 鬱陶しい。愛玩動物の類はどうも好きにはなれなかった。ガキも同じだ。
 まぁ、最近のクソガキは可愛らしさの欠片もねぇからな、例外か。
 見上げるふたつの目に俺はいつも思う。
 …そんな目で俺を見るんじゃねぇよ。無垢すぎるんだ。もっと汚れろよ…。
 我ながらその理不尽さに辟易しながらも、汚れきった心は拒否反応を起こしてしまう。

 そんな一週間前の情景がふと頭に浮かんだ。
 短くなった吸殻を味気ないアルマイトの灰皿に押し付ける。鈍色に光るそれは奴の皿だったやつだ。
 ひとつ深呼吸をするようにゆっくりと煙を吐き出す。体のラインに沿って消えゆく煙を掻き立てる奴
はいない。
 カチカチと秒針が支配する静寂を呼出音が遮った。所在無げな両足に自然と視線が落ちる。
 「おお悪いな先週は。犬嫌いのお前に預かってもらって…。実はさぁ、また明日から…」
 俺の右手はコートにのびていた。受話器口の奴の鳴声が脳裏にこだましていた。


※某CMの影響でふ。あの目が〜〜〜!!

 お題は、うはうさんの「誕生日」「逆回転」「生徒手帳」でふ。
578名無し物書き@推敲中?:03/01/22 15:05
「誕生日」「逆回転」「生徒手帳」

今まではシステムノートを使っていたけど、とうとう生徒手帳を使う年代になってしまったか。
システムノートの前は電子手帳、そしてその前は音声記述手帳だったな。
ずいぶんと、ゆったりとした時代になってしまったものだ。
ボクもとうとう18歳。あっ、知らず知らずのうちに自分のことをボクと呼ぶようになっちゃったな。
今度の誕生日が来たら、ボクは17歳になる。
そして2年たったら、今の親友とは他人同士になる。
人生が逆回転を始めてからもうどれぐらいたったのだろう。
ボクがこの世の中から消滅するまであと18年…

「ルーペ」「ストラップ」「人形」
579名無し物書き@推敲中?:03/01/22 19:27
>>578
クレイジー!
ポォォォウ!ルーペッッッッ!
ヒュウー!ヒュッヒューウ!
COOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOL!!!!!!!!!!
HAHAHA!
クゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッゥゥゥゥゥルッ!!!
ファイ!ファイ!ファイ!ファイ! ストラ!ップ!!
イイイイイイイヤッホウ!!
シュッパシュッパミラクォル!!!!
クールクールクールクールクール!
トマホォォォォォォォォォォウク人形!!!!!!!
580宿生木:03/01/22 19:54
次のお題は何ですか?
581The プー:03/01/22 20:32
>「ルーペ」「ストラップ」「人形」

では?
582The プー:03/01/22 20:32
>>579
Σ(゚Д゚)
>>579
ガ━━Σ(゚д゚lll)━━ン
「ついに当製鉄所では完全無人化に成功致しました」
 テレビカメラの向こうにいる製鉄所の工場長が、得意満面の笑みを浮かべていた。
「ほほう、それはすごいですね。どのレベルまで無人化できたんですか?」
「完全、です」
 工場長は繰り返した。
「当工場では炭素鋼のストラップ、いえ失礼。ストリップ(圧延鋼板)を製造しているのですが、
その製造過程を全てロボットとセンサー、コンピュータが行っております。人の手が入るのは
輸送のみになりますが、それは外注にしておりますので、完全な無人化です」
「しかし、ロボットが故障した場合には?」
「問題ありません。ご覧下さい」
 工場長が一角を指し示すと、そこには不格好な鋼鉄製の人形が転がっていた。
「コンピュータ制御のマルチプル・メンテナー(万能修繕機)です。当工場における、
ありとあらゆる故障に対応可能です」
「しかし、そのロボットが故障した場合には?」
 工場長は掌とルーペを差し出した。ルーペの中で、豆粒ほどの大きさの人形がうごめいていた。
「当工場の無人化は完璧です」
 次の日、製鉄所の工場長が解雇を苦に自殺したというニュースが流れた。

 次のお題は「銭湯」「戦闘」「先頭」で。
585The プー:03/01/22 20:56
 ところで、私は常々電車の中等で携帯電話をいじくらかす女子高生などを目にする機会がある。
 彼女らは、ストラップがジャンガラジャンガラと監獄の監守が持ち歩く鍵の束のようにぶらさがって
いる携帯を振り回し、車内でも何の躊躇もなく「えーうっそ。まじー。ぎゃはは。」などと破滅的壊滅的
絶望的な日本語を駆使し、神聖で静寂な午後三時のまどろみの総武線等の空気を一気にヘドロの
沼へと引きずり込んでいくのである。
 そこで私はこう思うの。「うぬ・・・こいつら・・・」と。「うぬ・・・こいつら・・・そのバカみたいに赤茶に染
めた髪の毛を灼熱太陽光線ループ攻撃でチリッチリにしてやろうか・・・」と思うわけなのである。
 まぁ実際は何も出来ずに私は黙って席に座り込んで、たぬき寝入りを決め込み、その内心では、
丑三つ時の神社で「女子高生」と書かれた藁人形を激しくご神木に打ち付けているのである。
 全国の女子高生よ!!せめて、せめて車内でぐらいは静かにしてくれないか。どうせ学校でもその
調子でバカ騒ぎしているのであろうから、せめて平和なる電車内でぐらい我々にも安息の時という物
を供給させてくれないか。
586The プー:03/01/22 20:56
漏れが書くと必ず被る罠(・ω・`)
銭湯、戦闘、先頭

戦闘の先頭の尖塔に立ち、銭湯を思う船頭。

遷都は成るのか?
お題は

ピラミッド、個展、印鑑でよろしく。
589ピラミッド、個展、印鑑:03/01/22 23:10
 私の町にある画家がやってきた。国道沿いのピラミッドで個展を開きに来たのだ。
私も友達と一緒に見に行った。当時子供だった私は、画家の個展など行ったことはなかったし、
ピラミッドなど存在すら知らなかった。なので行く前の日はなかなか寝付けずに、
ピラミッドの様子などを空想していた。私の知るピラミッドとは図鑑で見るエジプトのものだ。
そんなものが内の近所にあったこと自体驚きだった。
 その日は晴れていた。私は友達を誘いに行って印鑑が必要なことを思い出し、家に駆け足で帰った。
そのついでにカメラも携えた。そのカメラは父親の宝物であった。
 私たちは地図を見ながら見慣れぬ道を歩いた。自分の町とそんなに違わない住宅街でも
どこかに的が潜んでいる気がして、言い知れぬ動揺を感じた。普通のスーパー帰りのおばちゃんも
得体の知れないビニール袋を持った不審者だ。特に恐かったのが、昼間から酔っぱらっている
おっさんだ。舌がもつれて何を言っているのかわからない。かといって、無視するわけにもいかず
適当に相づちして逃げた。
 ピラミッドはガラス張りだった。埃が積もっていたのか、白く汚れていた。

「垂らす」「カラス」「ガラス」で
590「垂らす」「カラス」「ガラス」:03/01/23 02:24
犬が舌を垂らす姿は、見苦しいと思う。
飼い主への親愛の情を示すため、健康な犬が舌を垂らしてじゃれつくのはまだ許せるが、痩せた野良犬が惨めな様子で舌を出しているのは最悪だ。
早朝、そんな犬がゴミバケツをあさっているのを2階の窓ガラス越しに見て、俺は最悪を通り越して「わびさび」の世界にまで到達した。
「野良犬や、バケツ顔入れ、あさる音」
くだらない俳句をひねり出し、あまりのバカバカしさに自分で自嘲する。
ガランと音がして犬があさっていたゴミバケツが倒れた。と、いきなりカラスが舞い降り、ぶちまけられた残飯を嘴でつつき始めた。
妻に逃げられた男が、ぼんやりと外を眺めているときに見るものとしてあまりに似合いすぎるわびしい情景だった。

次は「国会」「地下鉄」「ブラジャー」で。
「国会」「地下鉄」「ブラジャー」

 ……どういうセンスしているのかしら。
赤地に青のストライプ。これでもかというほど自己主張するブラジャーだった。
 ……よくもまぁ、こんなもの見つけてきたものだわ。
ひとつ嘆息を漏らすと、しぶしぶ身に付けてみた。
私的にはちょうどいいと思っている形いいバストにそれはぴったりとフィットする。
「エロオヤジ……」
鏡台に写る、悪趣味な私に私は毒づいた。
 
 国会に巣食うタヌキ共の相手をするようになってからすでに半年。
部屋にある調度品も随分と豪奢なものになった。交友関係も幾分派手さを増した。
 私自身もまあ、精神的には鍛えられたかな……。
鏡台にできた小さなキズをそっとなぞる。半年前、別れ際に彼がつけたキズ。
今ではいい発奮材になっているけれど。
 感傷的になっている鏡の私にふっと気付いて、私は立ち上がった。
「よぅしっ! 今日も一稼ぎといきますか!」
ブラをくれたタヌキをカモりに、私は軽い足取りで地下鉄の駅に急いだ。


 
 次は「子狐」「盲目」「嬌声」にて。
592名無し物書き@推敲中?:03/01/23 21:56
 ……どういうセンスしているのかしら。
赤地に青のストライプ。これでもかというほど自己主張するブラジャーだった。
 ……よくもまぁ、こんなもの見つけてきたものだわ。
ひとつ嘆息を漏らすと、しぶしぶ身に付けてみた。
私的にはちょうどいいと思っている形いいバストにそれはぴったりとフィットする。
「盲目……」
鏡台に写る、悪趣味な私に私は毒づいた。
 
 国会に巣食う子狐共の相手をするようになってからすでに半年。
部屋にある調度品も随分と豪奢なものになった。嬌声関係も幾分派手さを増した。
 私自身もまあ、精神的には鍛えられたかな……。
鏡台にできた小さなキズをそっとなぞる。半年前、別れ際に彼がつけたキズ。
今ではいい発奮材になっているけれど。
 感傷的になっている鏡の私にふっと気付いて、私は立ち上がった。
「よぅしっ! 今日も一稼ぎといきますか!」
ブラをくれた子狐をカモりに、私は軽い足取りで地下鉄の駅に急いだ。


NEXT 「黒ミサ」「食用石油」「安達祐実汁」
593Ca ◆rVxO13uOq. :03/01/23 23:20
司祭の声が厳かに響き渡る。
「暗黒神に捧げる三つの供物を今高らかに宣言せん」
黒づくめの参列者の喉が一斉にごくりと音を立てる。
黒ミサのフィナーレに際し、神託により次回の供物が三品所望されるのだ。
彼らにとっては、どれほど困難でもどれほど理不尽であっても、
喜んで身を捧げることが邪神への何よりの忠誠の証となるのだ。
事実、古来には自ら腹を裂き赤子を捧げた女もいるらしい。

求められる供物は時代の流れに応じて変化していった。
――今回既に捧げられた供物は、
超高級ワイン(銘柄が指定された)に
デンマーク製の安眠枕(型番が指定された)、
そして女子高生(容姿が事細かく規定された)の処女膜。
三つの供物とは時代が要請する三大欲求を象徴しているらしい。

そして今、司祭の声が朗々と響き渡る。
食用石油――そして、安達祐実汁――そして、……――。
最後の供物は信者の苦悶の響きによって掻き消された。
「我ら邪神に心をささげし者ども、
 食用石油も安達祐実汁もたやすく手に入れてみせましょう!
 ですが、どうか、どうか、最後の……だけは不可能です! ご容赦ください!」

しかし、司祭の返答は簡潔にして苛烈を極めた。「お題継続」
自慰をした。
片手には食用石油と安達祐実汁のミックス液。
潤滑と興奮、一石二鳥だ。
搾り出した精液は…
今宵の黒ミサに捧げよう。

「小雪」「蜜柑」「郵便」
595 ◆ra0S/YG2ds :03/01/24 00:14
「小雪」「蜜柑」「郵便」

  四月には珍しく小雪が舞うなか、私はバスターミナルで
彼女を待った。手袋をしてくればよかったと思う程度には寒
かった。コンビニで懐炉を買おうかとも思ったが、やめた。
右のポケットには、懐炉よりも温かい一枚の手紙が入っていた。

  その便りは一年も前に、雪の積もる郵便受けで見つけた。
  たった一行、「あの日あの時、あなたと出会った場所で」
とだけ書いてあった。そしていま私はその場所にいる。行けば、
彼女が突然姿を消した理由(わけ)を訊けると思ったのだ。
  どんな言葉をかければいい……?
  私は再会に相応しい言葉を見つけられずにいた。いや、言葉は
いらないのかもしれない。左のポケットに入っている蜜柑を、ただ、
渡せばいい。そんな気がして顔を上げると、彼女が立っていた。


彼女が「男と」立っていた、にしようかと思いますたが、やめといた。w
「太った彼女が立っていた」にしようかとも考えたけど、やめた。www
覆面簡素人様ならやはり、「覆面を被った彼女が……」でしょうか!? w
596 ◆ra0S/YG2ds :03/01/24 00:56
お題忘れてしまった。
もし「継続」で書いてられる方がいたら、それで。
まだでしたら、「海を」「見ていた」「午後」でお願いします。
「見ている」ではなく、「見ていた」キボンヌ。
597Ca ◆rVxO13uOq. :03/01/24 02:58
僕が彼女と出会ったのは、一昨年の初秋であった。
大学を休学して寄る辺のない旅の途中そこに立ち寄ったのだ。
海が見たかったのだと思う。夏も終わり人々の関心から解放された孤独な海が。
もう海水浴には遅すぎるし、その日は格段に寒かったせいか訪れるサーファーもいなかった。
(後で知ったことだが、この付近はあるサーファーグループの縄張りになっていたようだ)
午後の灰色の雲の下に広がる暗紫色の海は、人々との僅かな接触すら拒絶するかのようだった。
だが、彼女独りそこにいたのだ。波に攫われてしまいそうなほど頼りなげに佇んでいた。
季節はずれの白いのワンピースの上のこれまた真っ白な帽子が、冴えない景色の中で不思議に映えた。
ただぽつねんと海を見ていた。蜻蛉のような人だと思った。その儚さに心が奪われた。
そのとき、蜻蛉が羽ばたいた。帽子が吹き荒ぶ海風に攫われたのだ。
海に落っこちそうになりながら、なんとか僕が帽子を掴むと、
一瞬彼女は呆けた顔をし、それから柳眉を歪ませてくすくすと笑った。
「ちょうど人に会いたいような気分だったの」
こんな人気もないところでおかしな言いぐさだったが、彼女が言うと自分もそんな気持ちがしたのだ。

そうして、僕達は場末のホテルに入り、一緒に寝た。
どうしてそうしたのかは分からない。そうしないと彼女が消えてしまう気がしたのだ。無性に刹那の女の肌が恋しかった。
抱きしめれば折れてしまいそうなのに、抱けば抱くほどそこに実在するという肉感が増していった。
行為が終わった後でようやくにして気がついた。おそらく彼女は自殺しようとしていたのだと思う。

朝起きると彼女はやはりの蜻蛉のように消えていた。シーツには僅かにその残滓が残るだけ。
お互い名前すら聞かなかった。自分がしたことがどういう行為だったのか未だに分からない。
良かったのか悪かったのか。それが誰にとってなのか。
今言葉にできるほど分かっていることは、おそらくその後、彼女は自殺していないだろうし、
僕が心を奪われた蜻蛉の女性は蜃気楼の彼方に消え去った。
598Ca ◆rVxO13uOq. :03/01/24 03:05
>「見ている」ではなく、「見ていた」キボンヌ。
一応違いを意識して書いてみたのだが、要求は満たせたであろうか……
お次は、
「改悛」「ポップアート」「世代」
599名無し物書き@推敲中?:03/01/24 03:47
ピラミッド辺りから読んだけどこのスレ面白いね
こんなんが2chにあったとは
「改悛」「ポップアート」「世代」

「爺ちゃん! 出来たよっ」
 まどろみの中にいた儂を、孫の草太が呼び覚ます。
少々億劫ではあったが、しょぼついた目は何とか玄関先にいる少年を捉えた。
機械油と埃で真っ黒な手を、これまた薄汚れたワイシャツで拭いながら嬉々とした声で続ける。
「爺ちゃん、また寝てるん? それよか来て来てっ」
 返事を待たず、草太の姿は戸口から消えた。
 ……やれやれ、またかと思い苦笑に面を皺める。
 機械いじりの癖がどうやら草太にもうつったようだ。庭にある鉄屑を組み立てては儂に見せに来る。
まあそこは子供がするところ。手の平サイズの怪獣を誇らしげに見せる姿に微笑ましさを覚えるというものだ。
苦言は挟むまい。未だ眠気の取れぬ目を瞬かせながら、庭先から急かす孫のもとへ向かった。

 そこには天を衝かんばかりの黒く巨大な建造物があった。現代建築の粋を結集させたような、いや遥かに凌駕
したそれは空狭しとその異様な姿を誇示している。禍々しいその形は男根を想像させた。
「そ、草太、この建物は」
「建物ぉ? ポップアートと言えよ! この戦後世代が!」老人を背にして、高みを見つめながら少年は言う。
「改悛するのは貴様のほうだったなぁ、どうよこの傑作!」振り返ると、老人はすでに絶命していた。
 ポップアートは瞬時に墓標と化した。


※ごめんなさい、お爺ちゃん。

次は「鼓動」「怪事」「ドレス」
この怪事に、僕は鼓動がマシンガンのようにガンガン響くのを感じた。
「ごめんなさい、お爺ちゃん」
そんなつもりじゃなかったんだ。
僕は決心した。もう二度と機械いじりはしないよ!

そして式の日。
「婆ちゃん! 出来たよっ」
孫の草太に急かされて庭先へ出たお婆ちゃん。
そこには天を衝かんばかりの黒く巨大なドレスがあった。
そしてお婆ちゃんは・・・・・・


次は「草冠」「シナジィ」「夢物語」
「ナクナ…ソウタ」
 優しいお爺ちゃんとお婆ちゃんを亡くして泣きじゃくる僕にかかる慰めの声。
振り向けばそこにはお爺ちゃんの傑作「T-01」が立っていた。
「シナジィ、ヨネバァ、トモニマンゾクソウダタヨ。ジブンセメル、イクナイ」
「そうよ草太。お爺ちゃんはねぇ…」T-01の後ろから現れた、叔母の幸子は語った。
「草太の名前はお爺ちゃんが考えてくれたの。雑草のように力強く生きて欲しいって。
 草太の草の字には草冠がついているでしょう? お婆ちゃんは、楽にという意味も兼ねて
 薬という字を使いたかったらしいけど、お爺ちゃんは草がいいって聞かなくてね…。
 いつまでも泣いていては駄目よ。お爺ちゃんお婆ちゃんのためにもね」

 涙が止まらなかった。お爺ちゃん! お婆ちゃん!! なんで僕はこんな、こんな……。
悔やんでも悔やみきれない過ちを犯してしまった。罪の意識は小柄な身体に重く圧し掛かってゆく。
「うう……ううううううう!!」慙愧の念が口からこぼれだす。
お爺ちゃんお婆ちゃんと過ごした楽しい日々は夢物語だったのっ!?

 黒く巨大な建造物とドレスは、異様さを増すばかりに怪しくその姿を晒している。
ふたつの墓標は瞬時に草太の枷と化した。


次は「湖底」「蛍光色」「銭湯」
603「湖底」「蛍光色」「銭湯」:03/01/25 04:37
私は今、非常にさわやかな気分だ。
なぜかって?聞くまでもないだろう。
世の中に必要ない人間というのは必ず存在する。それは必然だ。生きているだけで他者を貶め、
誰からも必要とされず、己のために周囲を蝕んでいくゴミのような人間。死んで当然のやつだ!
私の人生にとって邪魔でしかない最悪にして最低の害悪!クズ!寄生虫だ!
・・少し落ち着こうか。私の苦しみの元凶であったアイツ、は既にこの世の者では無くなった。湖底に沈んだ泥のように濁んでいた
私の心が、今では嘘のように晴れやかだ。とても清清しい。多忙な仕事を終えたあとに、くつろぎなら妻と
飲むビールを飲むひと時、それすらも今の心地よさには及ぶまい。
・・解せない面持ちだな?これからの私について心配してくれているのかな?ははは、心配後無用だよ。私は
刑務所に入るつもりなんてこれぽっちもない。
彼は「殺された」んじゃない、「死んだ」んだから。
警察をそう思わせる仕掛けは既に整っている。あとは彼に飲ませたこの薬を処分するだけさ。さて・・余韻に
ひたっていたいところだが、さっさと済ませて帰宅するとするか。せっかくの妻の料理が冷めてしまうからな。

次は「コーラ」「肌」「蛍光色」



「どうだい?今回のにはなかなか自信があるんだが。僕も文がうまくなっただろう」
「んー・・・まあ前よりはましなんじゃない?というかそれよりさ・・・」
「ん?なんだい?」
「前の人に指定された「銭湯」がどこにも入ってないじゃん」


次は「ホタル」「母」「トラック」で。

604名無し物書き@推敲中?:03/01/25 07:14
「ホタル」「母」「トラック」
R県Y村にあるという謎の建造物の噂を聞いたのは、一週間ほど前のことだった。
興味を持った私は、何とか忙しいスケジュールの中都合をつけ、取材を行うことにした。
当日、愛車アコードワゴンに機材とカメラマンの山口君を乗せて出発したのが午前5時。「Y村まであと50km」の標識を確認した頃には、日は暮れかかっていた。
街灯もない道をひたすら進むと、いつしかアスファルトから林道の砂利道に変わっていた。
砂利を踏む不規則な騒音にうんざりしてきたころ、「まだ日本にこんなところがあったのか…」 思わず口に出してしまった。
「失礼ですよ」と山口君に咎められるも、彼も薄ら笑いを浮かべている。
しばらくして、道が二手に分かれているところに辿り着いた。
標識や看板は何処にも無い。路肩に車を停め、暗がりの中手がかりを捜していると、一台の白い軽トラックがやってきた。
「おめえらさ何やってんだ?」
訳を話すと、軽トラックの男は村まで用事があるのでついでだから案内してやろうと言う。助かりますぅ、とわざとらしく返事をしてその後を付いて行った。
10分ほど走ると、林道を抜け田園地帯が広がっていた。辺りで優雅に舞うホタルの揺らめきをカメラマンの山口君がシャッターに納める。
既に集落に入っていたはずだが、夜の農村は穏やかな眠りについていたためか、気づくまで時間がかかった。
やがて、一軒の西洋風の邸宅の前に辿り着くと、軽トラックの男はドアに向かって先生、先生と呼びかけた。
中から現れたのは中年の女性だった。男は小包を手渡し、話を始めた。
しばらくして男は我々を呼び、中にはいるように勧めた。居間のソファに腰掛け、女性に謎の建造物の取材に来た事を説明すると、女性は意外な事を口にした。
つくったのは甥の少年ひとりで、その建造物はこの家の敷地内にあるという。敷地内とは言っても裏の山の頂上付近の広場で、今から行くのは危険なのだとか。
「取材は明日にして今日は泊まっていって下さい。部屋も空いてますし。」
ありがとうございます、とお礼を言うと、彼女は階段の上の方からこちらを覗く顔に気づいた。
605名無し物書き@推敲中?:03/01/25 07:57
「草太!こっちいらっしゃい。わざわざ新聞社の方々があれの取材に来てくれたのよ!」
少年は草太です、と名乗るとぺこりと頭を下げた。息子さんですか?と聞くと女性はあわてて否定した。
「この子が甥ですの」
ではこの女性は母親ではないのか。
「父も母も死んでしまったので母の実家に来ました。祖父母も死んでしまったので、今は幸子おばさんと二人で住んでます」
少年は丁寧な口調で、質問する前に答えてくれた。
・・・時計は午後十時を回っている。

翌日、私は驚愕した。裏山の頂上の広場にあるというその建造物、山よりも大きい!その形は塔・・・否、男根を想像しても無理はない!
黒い塊が黒光りする姿は異様であり怖じ気づいても仕方ない迫力がある。
昨日は日が暮れていたためか気付かなかったが、あんな物のほぼ真下で我々は眠っていたのかと思うと激しく萎える。
よく見ると、黒いブツには黒い布状の物が巻き付いている。草太は、
「あれはドレス。風で流されないように巻き付けています。」
と説明した。山口君は夢中でシャッターをきり続ける。
黒い物体の根本には石板が置いてあった。草太が表面を拭き取ると文字が現れた。

『田中支那虎、よね。この地に眠る』

「二人とも僕が殺したんですよ」
嬉々として語る草太の顔が、一瞬爬虫類のように変化したのを私は見逃さなかった。




次は「クトゥルー」「深層」「遺跡」で
 数千年前に滅びたとされる、第三惑星先住生物。我々トリースの民がこの惑星を発見したとき、
これら先住生物は既に亡く、半ば滅びつつある遺跡だけがあった。
 トリースを除けば、唯一と目される知的生命の文化・文明を探るため、我々第三惑星先住生物
文化文明調査団は組織され、今日まで探索を行ってきた。

「センセイ、見つけましたぞ!」
 助手のプロスメーデが四本の腕を振り回しながら駆け寄ってくる。
「やはりあの、植物繊維でできたブロックの山が当たりでした。その向こうから出るわ出るわ!」
 私はすぐに持ち場を放り出し、プロスメーデと件の場所に急いだ。
「ブロックは積んであるだけでした。高分子化合物でコートされていたお陰で、損壊は最小限です」
 私は震える手で、現場作業員の差し出すブロックを受け取った。数千年を閲してなお、ブロックに
描かれた色彩は鮮やかに色づいていた。
「どのブロックにも先住生物の文字が表記されています。一大発見ですよこれは!」
 私はプロスメーデが差し出したメモを受け取った。現在あるデータで解読された、先住生物の文章だという。
「『セツナクトゥルーラブヲカタリ、ナオエロマンサイノビショウジョゲーム』?なんだこれは」
「はあ。なんでも先住生物の間で、<エロゲー>と言われる文化らしいのですが。私にもさっぱり」
 私はブロックに描かれた絵画に目をやった。先住生物とおぼしき物体は、申し分け程度の着衣を
まとい、不思議なポーズで構えていた。

 次のお題は「ざぶとん」「ガスボンベ」「充電器」で。