559 :
名無し物書き@推敲中?:
「ペンキ」「唐辛子」「ミニディスク」
TVからカウントダウンが始まり、インスタントのそばに湯を注ぎ、父を思い出した。
ペンキ職人だった父が、突然消えたのは丁度去年の今頃。
父が居るまでは、まるでブラウン管越しの風景のような劣悪な環境だった。
意味も無く、叫び散らす父。
暇さえあれば、酒を食らい、湯水のごとく金を使う父。
その全てが嫌いでしょうがなかった。
消えてくれて嬉しい。それはもう、本当に…心の其処から嬉しいと感じた。
母も笑っていた。弟も笑っていた。祖母も、祖父も、親戚も。
ひょっとしたらペットのハムスターだって笑っていたかもしれない。
カウントダウンが残り5に為り、私はTVを消すと、MDデッキにミニディスクを入れスウィッチを入れる。
何かが壊れていく音と、複数の笑い声がひたすら流れるその音楽をバックに、そばを啜った。
そばを見ると思い出す…唐辛子色のあいつの血液を…。
「金」「ヒーロー」「オレンジ」