1999年滅びの年、全ての人類はそれまでに犯した数々の罪によりて粛清された。
僕は目を醒ました。 窓からは朝日がこぼれ、小鳥達が囀っているそれはそういつもと変らぬ朝だった。
当らない、そんな予言なんて当るわけない、そうクラスメートと話してはいた
しかし内心、ノストラダムスの予言にちょっと期待していたのだが、7月に入って既に
20日が経っているのに世界は相変わらず、平坦に流れている。
「ちえっ! つまんねぇーの!」僕はベットから降りた、しかし何かがいつもと明らかに違う
そう視線がいつもよりもかなり低い位置にあり、ちらりと視線に入った掌は……
「うわうわうわ! なんだこれ!」背中を見ると三毛模様、顔を撫でるとピンと髭の感触がした。
鏡をのぞくとそこには一匹の三毛猫がいた。
大変だ、慌てて台所に行って「お母さん、僕、僕、猫になってる!」
「何そんなに慌てているの?」と母さんも白い毛並みの美しい、白猫になっていた。
凛と耳を立たせた姿は人間であった時と変らぬ美しさだ。
「僕達、どどどどうしちゃったんだろ!?」
「なに騒いでいるんだ、英治」椅子に座っていた栗毛の猫が落ち着いた声音で、僕に言った。
「父さん?」僕は、恐る恐る尋ねた。
「ああそうだよ。」父は器用にコーヒーを飲みながら、新聞を読んでいる。
時折、あちちっと言っているのは猫舌になったからであろう。
「父さん、僕達……猫になっちゃったね。」髭を情けなくたらしながら、僕は言った。
「別に良いんじゃない」そう応えたのは、父の斜め向かいに座っていたアメリカンショートヘアーだった。
「姉さん?」
「そうよ、ふああ」そういうと姉は背伸びをした。
「なんでお姉ちゃんだけ外国種なの?」僕は首を傾げて尋ねた。
「フー」そういって、威嚇のポーズをとった父が母に言った
「おい、母さん、そういえば20前程前に英会話スクールに足繁く通っていた
時期があったね。」
「あら、そんな昔の話は覚えてないわ。」母は相変わらず凛としつつ、忙しげに朝餉を作っている。
「しかしお前!」父は威嚇のポーズを崩そうとしない。
それを見ていた、ニャーっと姉が泣き出した。
僕はたまらず「学校、行ってきます」と外へ出た。
外にはいつもと変らぬ、青空が広がっていた。
お題継続で