この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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294「屁理屈」「実証主義」「ろうそく」
 それはある日の学校帰りの出来事であった。
「おい武、エロ本が捨てとるぞ、コッチきてみ」
「本当じゃぁ、久しぶりやのぉ」
当時小学生の僕らにとってエロ本は道端やゴミ捨て場にひっそりと眠る未知の世界が詰まった宝物であった。
武が少し湿った紙を丁寧にめくり二人で覗き込む、僕らはチョット背伸びしたの世界を楽しんでいた。其の時
其処に今だ目にせぬ言葉と画像が飛び込んできた、それは『SM』
「SMってなんや、知っとるか武?」
「ようわからんけど何かこのオッサン気持ちよさそうな顔しとるのぉ」
「ローソク垂らされるのが気持ちええんかのぉ……なぁ、やってみんか?」
今思えば何と実証主義と言うか行動的と言うか、とにかく僕らは帰宅後直ぐに秘密基地に行く約束をした。

 秘密基地に着くと健太はマッチ箱とローソクを僕に渡してその後ジャンケンをしようと提案し僕もそれに従った
「よーし、武の負けじゃ上着ぬげ、負けたんやから屁理屈こくなよ」
「俺も男じゃ腹くくったわい、はよせい」
僕は上着を脱いで四つんばいになり身構えた
「よし、垂らすぞ」
 ボド──。
「アッ、熱いわボケ」
「どうじゃ武、熱い異常に気持ちええか?」
「全然気持ちようない、熱い……だけじゃ」
 
 その後僕らは直ぐに帰ろうとはしなかった、ただ夕日を眺めながら大人って難しいのだなと言葉少なめに語り合っていた。