この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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292名無し物書き@推敲中?
お台場パレットタウンに突如として出現した、世界最大級という
うたい文句で有名な観覧車を目の前にした俺の口から、
当たり前の如く出てきた言葉は、「でっか」であった。
噂には聞いていたが、なんというでっかさか。
文学少年と自負、日々様々な物事を心のなかで描写しては、
嗚呼完璧美しい俺すごい。なんつって一人悦に浸る事を趣味としていた
俺は、とりあえず、描写の基本である比喩を使って、なんとか
このばかでかいぐるぐるをやっつけてやろうと、思考をめぐらせる
のだが、どーしても出てこない。とにかく、でかすぎて、
こいつを例えるにふさわしいモノが存在しない。が、
ココで諦めたら、今の自分を支える、文学少年としての自信が
すべて崩壊してしまうし、せっかく山の中から、電車を乗り継いで
このような埋め立ての僻地まで遠征してきた甲斐がない。
なんとしても、こいつをやっつけてやる。
と、決意してから三時間後、俺は新幹線「のぞみ」に乗っていた。
お台場。すごいところだなあ。とかと思いながら、文学少年としての
死を実感、ついでに世界は広い事を実感し、自分も新たなレベルに
進まねばと、ちょっと決意し、出掛けにバッグ突っ込んできた
文庫「我輩はネコである」を取り出し、一拍置いて俺は、
「そおおおおおおおおおかああああああ!!!!!!」と、叫んだ。
我輩はネコである!!!!すばらしい!
自分がねこになることで、ネコを描写してしまうとは!!
迂闊!俺迂闊!俺も観覧車になるべきだったああああ!って興奮して
しまったが、その手法こそ、すでに数十年前に他でもない我輩ネコの著者
である、夏目漱石によってすでに開拓されており、おはは。
まだまだだなあ俺。なんてって俺、センチメンタルに車窓からの夕暮れを
眺めて轟沈したのである。ガタゴト。

次は「ぬかみそ」「土間」「母」で、おねがいす。