この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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285名無し物書き@推敲中?
「銃殺」「裏切り」「金」

「とにかく金が必要だったんだよ」
椅子に縛り付けられた男は、何かを哀願するようにそう叫んだ。
頭の悪い男だ。自分の状況を十二分に理解してるくせに、助かろうとしてない。
「じゃあてめぇは、金ごときのために老板を裏切ったんだな」
「・・・・・・」俺の言葉に葉のヤツは黙りこくった。いくら馬鹿でも理解できるらしい。
金のためとはいえ、俺たちの親代わりだった毛先生を殺しちまったのがどんな事だか。
「春生、許してくれ」許せるわけが無い。だからこんな状況になってるんだ。なのにこのバカは・・・・・・
「毛先生は、俺の頼みを聞いてくれなかったんだ。俺のケツに火がついてるのに、自分でケツを拭けって言うんだ。
火のついたケツを拭くなんてできるわけないだろ」
「だから?」
「・・・・・・。そうだよ、黒星で頭をぶっ飛ばしてやったんだ」
「じゃあ、苦しんでないんだな?」
俺の言葉に少しだけ不思議そうな顔して、何かを思いついたように捲くし立てるようにしゃべりだした。
「当たり前だろ。じゃなきゃ銃殺なんてしねぇよ。もし毛先生を恨んでたら、そんな殺し方はしねぇ。
恨んでなかったから楽な殺し方をしたんだ。だって春生、俺たちは毛先生の息子だろ」
このバカな男は、苦しまずに殺したって事を強調すれば、助かれるとでも思ってるのだろうか?
「そうか。そいつは良かった」俺は葉に笑いかけた。それを見て葉も俺に笑いかけた。
「でも殺したことには変わりは無い。お前は楽に死ねると思うなよ」
そう俺は呟いて、以前にモンゴル人の友人にもらった、羊の皮を剥ぐためのナイフを手に取った。

題は、「瞬殺」「牛切り」「髪」