この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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269名無し物書き@推敲中?
アパートの廊下に出しっ放された三輪車を避けて、一番奥の自分の部屋まで
たどり着く。向かいのビルの日陰になっているこの部屋は、夏は涼しいが、
冬は寒い。震える手で鍵を回す。
彼と、私から彼を奪ったあの女と、それに協力した奴らは相変わらず
仲良く笑っている。カウンセラーはそんな職場からは離れなさいと言ったが
この不況の時代、そう簡単に仕事を辞められるわけもない。
誰もいない真っ暗な部屋に、手探りで明りをつける。
本当はこの部屋からも離れたい。彼との思い出がしみついたこの部屋。
ベッドに倒れ込んで声を上げて泣いた。
今だけ、今だけだよ。今は辛くても、いつか笑い話にできる日がくる。
泣いても泣いても楽になんかならない。けれど私は涙とマスカラで
どろどろになった目をこすって号泣し続けた。
もういやだ、もうやだよ。誰か助けてよ。
ああ、次は未来ある愛し方を知っている人と出会うんだ。そして日の当たる
部屋で幸せになる。きっと、なれる。