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名無し物書き@推敲中?:
「ちゃんとあたしの話し聞いてる?!」
彼女はそう言って、僕の書きかけのレポート、「オスマントルコの繁栄と
滅亡」を鷲づかみにした。確かに僕は彼女の話しを聞いていなかった。
来週末に行くUSJだって、最初からあまり乗り気じゃなかったし、まあ行く
は良いとしても、乗り物の順番だとか、Eパスの取り方なんかを、こと細か
に決める気になんて、とてもじゃないけどなれなかったのだ。
テレビでは丁度、アンパンマンの再放送が流れていた。
「アンパンマンとバイキンマンどっちが好き?」
出し抜けの質問に、彼女はちょっと毒気を抜かれたけれど、すぐに答える。
「バイキンマンね。アンパンマンは嫌い。いつもただ自由に生きようと
しているバイキンマンの邪魔をするから」
「やっぱりね」
僕の口調に何かを感じ取った彼女の眼がますます険しくなる。
「何が言いたいの?」
彼女の手の中で、僕のレポートはくしゃくしゃになる。
これから繰り広げられるだろう修羅場を思って、僕はため息をついた。