225 :
名無し物書き@推敲中?:
「バイキンマン」「オスマントルコ」「修羅場」
彼は修羅場をむかえていた。
彼の手は今しがた撃ちはなったばかりの鉄砲が握られている。
目の前に倒れている男に泣きすがる彼女の姿を、見つめるしかない。
「最低よ!残酷だわ、こんなこと!」
泣きはらした目の彼女が、怒り狂って彼を怒鳴りつけた。
彼はその剣幕におびえ、しどろもどろに答える。
「ざ、残酷だと君はいうが……中世ヨーロッパにおける、かのオスマントルコ軍の侵略の残虐さはだね、」
彼は豊富な知識を駆使し弁解をしたが、彼女はきかない。
「そんなのどうだっていいのよ!!…あなた天才科学者でしょ?彼を助けてみなさいよ。治してよ、彼を!!」
そういってまた目の前の男を呼びながら、泣き崩れた。
途方にくれたのは彼だ。
目の前の男は、彼の憎むべき宿敵の同胞だった。彼は敵に当然のことをした。
しかし、彼女はきかない。愛してしまったというのだ。
偉大な科学者であり、医者であり、工学にも長けている彼には作れないものなどない。
だがいくら彼でも目の前の男を蘇らせることなどできない。
「……くっ」
彼は目の前の男のふやけてしまった頭部をにらみつけた。
手から水鉄砲が落ち、床にあたって乾いた音をたてる。
不可能、という言葉が誇り高い彼を傷つけた。
たかがしゃべる食パンを作る、それだけなのに……彼には無理だった。
バイキンマンは唇をかみしめるほかなかった。
アソパソマソ…
「海苔」「牙」「てのひら」