「よお栄作、金貸してくれ」
突然、正芳が現れた。今まで連絡もよこさず失踪したっきりどこでどうしている
のだろうと心配していた俺たちをよそに、正芳は真っ黒に日焼けした
逞しい体格の男になって帰ってきたのだ。
「なあ、貸してくれよ。ああそうだ、俺は風水を教わったんだ。この家を見てやろうか」
俺は無下に断った。しかし正芳は眉をひそめて俺を見下ろすと、
俺の目を見据えてけたたましく笑った。
「冗談だろ?おい、みてやるって。ああ、ダメだダメだ。ここもダメだ」
そういいながら正芳は部屋に勝手に押し入ってきて、改築しろしたほうがいい、
そうでなければ俺がお払いをしてやるからと言った。
断ろうとすると、正芳は指の間接を鳴らしたり、食卓のテーブルを叩いたりした。
叩かれたテーブルの上で食器がガタガタなっている。
「分かったよお払いをたのむよ」
俺は正芳に札を握らせると正芳は機嫌を直して白い歯を見せた。恐ろしかった。
「ダメだな、このうちの名義を変えたほうがいいぜ」
そういって俺は、言われるまま家の名義を彼の名義に変えた。
今では私のものだったはずの土地は、雑草が身の丈ほどまで茂り、植木は腐ってキノコが
わいている。妻の良恵はそこを舞うアゲハチョウを見つめながらつぶやいた。
「もういいわよ、行きましょうよ・・・仕方ないんでしょう」
「ストッキング」「はにわ」「マッサージ機」