「赤信号」「青空」「黄金」
彼は公園のベンチでアンパンと牛乳という質素な昼食をとっていた。
彼は昔、仲間と三人でコント赤信号というお笑いトリオを結成していた。
漫才ブームのときはどこに行ってもキャーキャ騒がれ、お金にも仕事にも女にも不自由することはなかった。
ところが、漫才ブームの終息と共に彼の黄金時代も終わった。
仲間の二人は司会をやったり、クイズ番組の解答者をやったり、今でもTVで現役で活躍している。
それに比べて自分は仕事もろくになく、こんなところで暇を持て余している。
彼はアンパンの最後のひとかけらを牛乳で流し込み、空を眺めた。
抜けるような青空。
白い雲の輪郭が、徐々に涙でぼやけていった。
次は「わかりあえる」「胸が痛い」「泪」です。