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うはう ◆8eErA24CiY :
「漢」「花束」「股引」
漢帝国を興して何十年。
帝王たる彼の前に、様々な国からの貢物・花束が贈られてくる。
一見悠長に見える彼は、その地位に見合う様、細心の注意をしてきた。
「王らしいかな、大丈夫かな、俺も板についてきたかな」
若い頃、彼は町で評判のろくでなしだった。
股引姿で飲んだくれの鼻つまみ者…
中国統一を成し遂げた今、そんな事を言う者が一人でもいるだろうか。
その日、彼は腹心の部下を集め、白馬の血の杯を前にこう言った。
「我が亡き後も…絶対に、私の一族以外は王にしない事を誓ってくれぇ!」
どこかで「ガクッ」という音がした、様な気がした。
もちろん、そんなこと、誰も口にしない。
当然じゃないか。
自分の一族を後継者にしたい、誰でももつ当たり前の望みじゃないか。
帝王という立場が、その当然の欲望を「ガクッ」にしていた。
等身大の人間としての彼は、敵国の無数の敵国同様、既に粛清されていた。
※なんか地味ー^^;
次のお代は:「赤信号」「青空」「黄金」でお願いします。