この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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189五十歩千歩
「階段」「さっぱり」「電球」

 電球を踏んだ。幸い、足の裏は無傷のようで、痛みはない。。
 とりあえず、叫ぶ。
「誰だー! こんな所に電球おいたのー!!」
 しかしまぁ、誰もいない理科室では何のリアクションもあるはずがない。一通り逆上し、激昂してから、落ち着いて足の裏を眺める。
 先日彼女に言われた、
「最近は素足が流行なの」
 の言葉を信じ、靴下もはかず、上履きも焼却炉に投げ込んだ素足の裏は、自分で言うのもなんだが、ちょっとなまめかしい。
 馬鹿な事を考えているなぁ、と我ながら反省し、くっついたガラスの破片を払った。
 理科室に立ち入ってから、3回ほど試してみた『我に返る』と言う奴を、もう一回やってみたが、やはり効果は上がらない。何か面白いものはないかと、忍び込んでみたものの、学校の理科室なんかにはさっぱりめぼしい物はない。
 理科室を出て、ペタペタと足を音を鳴らし、昇降口に向かう。
「ほかに何かありそうなところって、金工室とかか?」
 独りごちて、立ち止まると、叫び声が聞こえた。
「私は電球なんかおかないわよ!」
 声の所在を探して見ると、階段の踊り場に、彼女が笑っていた。