この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層

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 子供の頃。食卓には私の大好きな牡蠣フライ。
しかし、その時は食べる気がしなかった。
私は火星人に連れ去られて、何やらテストを
受けさせられていた。まずは身体能力を測り、
次は知能の検査、そして食べ物。何に役立つのであろうか。
 私の周りには研究員らしい白衣を着た火星人が何人かいた。
畳にちゃぶ台の部屋だが、私は落ち着くことが出来ず
今にも泣きそうだった。
「俺の作った牡蠣フライが食べられないっていうのか」
 一人の火星人が怒鳴ったが、私はちゃぶ台の上の
牡蠣フライの皿をじっと見て、涙をこらえていた。
「食え。こん畜生」
 その叱責に私はついに泣き出した。こらえていた涙は
周りをぼやかし、喉から滲む声は自分の耳にもうるさかった。
「今日は牡蠣フライよ」
と何処からか懐かしい声が聞こえる。死んだ母の声だ。
いつか周りの火星人は涙の向こうに母の顔を映していた。
私は泣き笑い牡蠣フライを食べた。

「思う」「はとこ」「死ぬんじゃない」