470 :
1日1書 ◆SiQaWqYmNw :
「ステッカー」「仮面」「日本刀」
「やれやれ」
まるで村上春樹の小説の主人公のようにそう呟いた。
僕は目の前にいる仮面男の顔と、その男が持つ日本刀を交互に見ていた。
確か、朝のマラソンをしていたはずだった。歩道の無い道を走ってる時に、
後ろからダンプ特有の大きなクラクションが聞こえてきたところまでは覚えている。
その時に見た、「熊出没注意」というステッカーもよく覚えている。
問題はその後だ。音に驚いて、少しだけ右側によろけた気がしたと思ったら、
件の仮面の男にぶつかっていた。そして今に至るというわけだ。
タイムスリップ?そんな馬鹿げているが、どこか現実的に感じる言葉が頭に浮かんだ。
男は一言だけ僕に言った。
「抜け」
その言葉が最後の台詞になった。もちろん僕がこの世で聞いた最後の台詞ではなく、
男がこの世に残した最後の台詞になったという意味である。
僕が抜いたものは銃であり、日本刀などという、旧時代的なものを持つ彼など相手にならなかった。
死んでいる男をしばらく眺めてから、今の僕の状況を理解できる答えを探して、
なんだか視線の感じる方向に進んでみることにした。
※ふ〜風邪が回復しました。次のお題は「カレー」「ピクルス」「卵」